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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服200914904 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 取り消して登録 X30
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 取り消して登録 X30
管理番号 1216267 
審判番号 不服2009-4603 
総通号数 126 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-06-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-03-03 
確定日 2010-04-30 
事件の表示 商願2007- 56032拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 1 本願商標
本願商標は、「コクうま」の文字を標準文字により表してなり、第30類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成19年6月4日に登録出願され、指定商品については、平成20年1月21日差出しの手続補正書及び当審における平成22年1月13日差出しの手続補正書により、第30類「サラダクリーミードレッシング」と補正されているものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『コクうま』の文字を標準文字で書してなるところ、該文字は、食品業界において、『こく(コク)があってうまい(旨い)』ことを誇称する語として一般的に使われているものである。そうすると、出願人が、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者に『こく(コク)があってうまい(旨い)商品』であることを理解させるにとどまり、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」と認定、判断して本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、前記したとおり、「コクうま」の文字を書してなるものであるところ、字種の違いにより「コク」の片仮名と「うま」の平仮名からなるものと認識されるものである。そして、「コク(こく)」の文字は、「濃厚なうまみ」(小学館発行 大辞泉)を意味する語として、食品分野では一般に使用されている語であり、「うま」の文字は、「うまい」の語が、誇張され「うまっ」と使用されたり、「バカうま」、「超うま」、「激うま」、「辛ウマ」、「甘ウマ」などのように一般に広く使用されていることからすると、「うまい」の意味合いを容易に想起させる場合も少なくないといえるものである。
そして、食品業界においては、コクがある商品であることを商品の特徴として広告、宣伝することも行われている。
そうとすると、本願指定商品を含む食品分野においては、「コク」の文字と「うま」の文字からなる「コクうま」からは、容易に「コクがあってうまい」という意味合いを認識させる場合も少なくないというのが相当である。
請求人は、「出願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かは、(1)出願商標が指定商品の品質又は役務の質を直接且つ具体的に表示するものであるか否か、及び、(2)出願商標が指定商品の品質等又は指定役務の質等を表示するものとして取引上一般に使用されているか否かによ」るとし、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当しないことについて、るる主張している。
しかしながら、上記に述べたように、「コクうま」の文字は、暗示にとどまらず「コクがあってうまい」の意味合いを認識させるものであるから、商品の品質を直接的かつ具体的に表示するものといえるものである。そして、商標法第3条第1項第3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきであるばかりでなく、平成21年12月4日付け職権証拠調べ通知で示したように、「コクうま焼きそばソース」、「こく旨サラミ」、「こく旨ヨーグルト」、「特選神戸ラーメン コクうま醤油味」、「コク旨カレー」、「コクうま餃子」などのように「コクうま」等の文字が使用されているものである。
また、請求人は、「こくうま」の文字からなる商標や「コクウマ」の文字からなる商標の登録例を挙げ、「コクうま」は、食品の品質等を直接かつ具体的に表示するものではない、旨主張しているが、本願商標は、字種の異なる「コクうま」の文字よりなるものであって、請求人の挙げる登録例とは事案を異にするというべきであるから、請求人の主張はいずれも採用することはできない。
したがって、本願商標をその指定商品に使用した場合に、商品の品質を普通に用いられる方法で表示してなる商標であるとして、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとした原査定に誤りはない。
(2)商標法第3条第2項該当性について
請求人は、本願商標は、使用により自他商品の識別力を獲得しているから、商標法第3条第2項の要件を具備している旨主張し、証拠方法として、甲第2号証ないし甲第7号証、甲第22号証ないし甲第26号証、甲第28号証ないし甲第31号証(枝番を含む。)を提出している。
そこで、本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備するか否かについて検討するに、請求人の提出に係る各号証によれば、請求人は、「サラダクリーミードレッシング」に本願商標を平成19年8月から現在に至るまで継続的に使用し、該商品の2008年度の販売実績は、1,490万本であり(甲26)、売上額は、発売を開始した平成19年度は17億円であり、平成20年度はさらに増加していることが認められ(甲31)、TVコマーシャルも平成19年9月30日以降平成21年10月31日までの間に5,604回行われたほか、雑誌等への広告、キャンペーンイベント等が行われたことが認められる(甲24、甲28の1?17、甲29)。
さらに、当審における職権調査によれば、本願の指定商品「サラダクリーミードレッシング」(マヨネーズ風調味料)やマヨネーズの分野において、「コクうま」の文字を他人が使用している事実は、見当たらない。
そうとすれば、本願商標は、その指定商品に使用された結果、取引者、需要者間において、請求人(出願人)の業務に係る商品を表示する商標として、広く認識することができるに至ったものと認め得るところである。
(3)むすび
したがって、本願商標は、その指定商品について、商標法第3条第2項が規定する要件を充たしているものであるから、同法第3条第1項第3号に該当するとして、本願を拒絶すべき限りでない。
その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決日 2010-04-15 
出願番号 商願2007-56032(T2007-56032) 
審決分類 T 1 8・ 13- WY (X30)
T 1 8・ 17- WY (X30)
最終処分 成立  
前審関与審査官 冨澤 美加武谷 逸平小田 明 
特許庁審判長 内山 進
特許庁審判官 板谷 玲子
瀧本 佐代子
商標の称呼 コクウマ 
代理人 古関 宏 

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