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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) X03
審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) X03
管理番号 1214747 
異議申立番号 異議2009-900134 
総通号数 125 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2010-05-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2009-04-10 
確定日 2010-03-19 
異議申立件数
事件の表示 登録第5195264号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5195264号商標の商標登録を取り消す。
理由 第1 本件商標
本件登録第5195264号商標(以下「本件商標」という。)は、「植物のめぐみ」の文字を横書きしてなり、平成20年6月10日に登録出願、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」を指定商品として、同年12月12日に登録査定、同21年1月9日に設定登録されたものである。

第2 登録異議申立の理由
1 化粧品、クリーム等の本件商標の指定商品(以下「本件指定商品」という。)においては、植物を原材料に使用した商品が多数市場に流通していることは明白なところであるが、こうした商品において、配合された植物の特性、効果、品質を生かした商品であることを表す語として、「植物のめぐみ」あるいは「植物の恵み」等の語が、普通に使用され、認識されているものである(甲第1号証)。
2 本件商標「植物のめぐみ」は、これを本件指定商品に使用するときは、「植物の特性、効果を生かした商品」であることを直感させ、単に本件指定商品の品質を表す標章にすぎないものであることから、商標法第3条第1項第3号の規定に該当するものである。
3 また、本件商標「植物のめぐみ」を「植物の特性、効果を生かした商品」以外の本件指定商品に使用するときは、あたかもその商品が「植物の特性、効果を生かした商品」であるかの如く直感させ、その商品の品質について誤認を生ずるおそれのあることは明白であって、商標法第4条第1項第16号の規定に該当するものである。
4 「植物のめぐみ」の語が本件指定商品を取り扱う業界において、広く使われていることから、本件商標「植物のめぐみ」は、これを本件指定商品に使用するときは、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であって、商標法第3条第1項第6号の規定に該当するものである。
以上の理由により、本件商標は、登録の要件を具備しないものとして、その登録は取り消されるべきものである。

第3 本件商標の取消理由
当審において、平成21年10月23日付けで商標権者に対して通知した取消理由は、要旨次のとおりである。
1 登録異議申立人(以下「申立人」という。)から本件商標の審査の段階で提出された刊行物提出書に添付された資料、本件登録異議申立てにおいて提出された甲第1号証及び職権による証拠調べによれば、「植物のめぐみ」又は「植物の恵(み)」の語について、次のように使用されている事実が認められる。
(1)甲第1号証は、本件商標の査定日後である2009年(平成21年)3月12日にプリントアウトされたウェブページであるが、これらに次の記載がある。
ア 「小田急百貨店 新宿店×シティリビング 秋のコスメテックカーニバル」の「イソップ」の項に「スキンケア商品」について「植物のめぐみを最大限に生かした・・」の記載。
イ 「【WEB限定】ヘアシャンプー グレープフルーツベルガモット〈Biorista〉|Otto|女性ファッション・服の・・・」の「【WEB限定】ヘアシャンプー グレープフルーツベルガモット〈Biorista〉」の項に「ヘアーシャンプー」の商品説明として「植物原料を加熱せずフレッシュなままミックスし、植物のめぐみをダイレクトに閉じ込めました。」の記載。
ウ 「コスメキャンペーン情報 無添加化粧品」の「ナチュラルコスメ特集」の項に「植物のめぐみを肌で実感する・・」の記載。
エ 「アヴァンティ通信特集:咲ら化粧品・潤い肌セット」の「女性の本音」の項に「天然植物のめぐみ『植物プレセンタ(カッコンエキス・クロレラエキス・アロエベラ葉エキス)』を配合。」の記載。
オ 「i-VoCE[アイ・ヴォ-チェ]の「ブランド名 ビオテルム」、「発売日 2008/08/29」等の記載及び商品説明として「肌をなめらかにし、プルンとした弾力のある肌へと導く、植物の恵の美容液。」の記載。
カ 「オーガニック エイジングケアコスメ ”ユイル・エ・ボーム”フェイスモイストセラム(保湿美容液)・・・」の商品「保湿美容液」の商品説明として「植物の恵みを堪能できる保湿美容液」の記載。
キ 「MBT サンダル・シューズ正規販売店:コアギャラリー&スパ-CORE Gallery&Spa-」の「CMDサンスクリーン25」の項に商品説明として「オーガニック植物の恵でスキンケアしながらの紫外線カットが実現しました。」の記載。
ク 「green mama::HIKORAの日記」に「green mama」「June 23 [Thu],2005」の記載及び「フットケア商品」の説明に「植物の恵たっぷりのスキンケア」の記載。
ケ 「ドクターハウシュカ クインスボディミルク 145ml オーガニック生活便-Yahoo!ショッピング」の「ドクターハウシュカ クインスボディミルク 145ml」の商品説明に「ボディケアにも植物の恵を活用しましょう。」の記載。
(2)職権による証拠調べのウェブページによれば、「植物のめぐみ」又は「植物の恵(み)」の語が、本件指定商品について、以下のように使用されている事実がある。
ア 「ソティス-ハイドラリラックス フレッシュネスジェル-Yahoo!BEAUTY」に「製品名 ハイドラリラックス フレッシュネスジェル」の記載及び商品説明として「爽快感を与えるボディクリーム。植物のめぐみであるエッセンシャルオイルブレンドの優しい香り」の記載(http://cosme.beauty.yahoo.co.jp/2877621/)。
イ 「キャリアオイル等 アロマリフレッシュ」の「プランツオイル 100ml」の商品説明として「究極のキャリアオイル!植物のめぐみ!無添加!」の記載(http://aroma-refresh.net/SHOP/97457/t02/list.html)。
ウ 「花雪肌 コスメ通販でキレイに」の「花雪肌 角質クリアジェル」の商品説明として「植物のめぐみたっぷり!」の記載(http://cosmeticeye.blog42.fc2.com/blog-category-31.html)。
エ 「SOHO BASIC N.Y.C-リップカラースティ-Yahoo!BEAUTY」に「製品名 リップカラースティ」の商品説明として「はっきりとした発色で落ちない口紅。植物の恵み、紅花色素を配合しています。」の記載(http://cosme.beauty.yahoo.co.jp/350845/)。
オ 「マチスボディライン-ボディディスカバリーボックス-Yahoo!BEAUTY」に「製品名 ボディディスカバリーボックス」の商品説明として「海や植物の恵みが肌にたっぷりと潤いを与え、・・」の記載(http://cosme.beauty.yahoo.co.jp/2921454/)。
カ 「清潔応援-ベビーシャンプー Yahoo!BEAUTY」に「製品名 ベビーシャンプー」の商品説明として「植物の恵みをたっぷり取り入れた石けんシャンプーです。」の記載(http://cosme.beauty.yahoo.co.jp/300543/)。
キ 清潔応援-ベビーソープ Yahoo!BEAUTY」に「製品名 ベビーソープ 」の商品説明として「植物の恵みをたっぷり取り入れた石けんです。」の記載(http://cosme.beauty.yahoo.co.jp/300542/)。
ク 「高知の耳つぼ・骨盤ダイエット、ロイヤル化粧品、フェイシャルエステ」の「☆ロイヤル化粧品・ローズ化粧品☆」の項に「スキンケア商品」の説明として「水と植物のめぐみで、いつまでも美しく。」の記載(http://www.ne.jp/asahi/forsch/t/sub31.html)
ケ 「大高酵素化粧品・ヘ-ラル-ノ」に「植物のめぐみから生まれた・・・大高酵素化粧品・・・」の記載(http://www.hiramatsu-y.com/sub90.htm)。
コ 「【楽天市場】ティーツリーオイル 歯磨き粉:サプリンクス・ビタミン・ストア」に「ティーツリー歯磨き粉」の商品説明として「デンタルケア『ティーツリーオイル歯磨き粉』は、植物の恵みで気になる歯の汚れをきれいに落とし口中をすこやかに保ちます。」の記載(http://item.rakuten.co.jp/suplinx/901191)。
サ 「エッセンシャルオイル図鑑8」に「植物の恵みエッセンシャルオイル図鑑〈8〉」の記載(http://www.kireine.net/rensai/ren0014/ren0014.html)。
(3)申立人が本件商標の登録査定の日(平成20年12月12日)前である平成20年8月27日に提出した刊行物提出書には、上記の(2)中アないしキと、実質的に同一内容のウェブページ(アドレスも同じ)のプリントアウトが添付されている。
2 前記1(1)及び(2)で認定した事実によれば、本件商標の指定商品である化粧品、せっけん類、香料類及び歯磨きを取り扱う業界において、商品の原材料に様々な植物を使用し、それらの植物の持つ効能や特性を活かし、皮膚や頭髪を健やかに保つことなどを目的とした商品が市場に多数出回っており、それらの商品について「植物のめぐみ」「植物の恵(み)」の語が、「植物を原材料に用い、その植物の効能や特性を活かした商品」であることを表す語として普通に使用されている実情が認められる。
加えて、前記1(3)で認定した事実を考慮すれば、かかる実情は、本件商標の登録査定前より現在にいたるまで継続しているものと判断するのが相当である。
そうとすると、「植物のめぐみ」の文字を書してなる本件商標は、これをその指定商品中「植物を原材料に用い、その植物の効能や特性を活かしたせっけん類・香料類・化粧品・歯磨き」について使用するときは、これに接する取引者・需要者をして、当該文字を「植物を原材料に用い、その植物の効能や特性を活かした商品」であるという商品の品質を表したものと認識するにすぎないものであって、上記商品以外の商品について使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
3 むすび
以上のとおりであるから、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものと認める。

第4 取消理由に対する商標権者の意見
上記第3の取消理由に対して、商標権者は、要旨次のように意見を述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第13号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 本件商標は「植物のめぐみ」の文字を横書きにしてなるものである。
その前半部の「植物」の文字についていえば、植物には多種多様の種類がある。そして、「植物」という言葉から想起されるイメージも、ある人は花一輪を、あるいは大きな森を、草原を、1本の大木等、人により千差万別であり一義的なものが想起されることは決してない。このように「植物」の語自体に多種多様な概念を有しているために、本件商標全体を通じてみたときに、どのような植物か植物のどの部位か、どのような成分であるのか等が直接的に表現されているとはいえない。
そして、後半部の「めぐみ」の文字は、「めぐむこと、なさけをかけること、あわれみ、いつくしみ」などの意味を有する「恵み」(乙第1号証)をひらがな文字で表したものである。このように「恵み」の語が広範な意味を有しているため、「恵み」の語自体が「めぐむこと、なさけをかけること、あわれみ、いつくしみ」を漫然と間接的に表現するものであるといえる。商標権者は、本件商標全体を通じてみたときに、本件商標が文字通りに、例えば、「植物のめぐみ」、「植物のなさけをかけること」又は「植物のあわれみ」、「植物のいつくしみ」等の意味合いの語として把握、理解されることを否定するものではない。しかし、前記述べたように、本件商標は、構成する「植物」、「めぐみ」の言葉がそれぞれに非常に広範な意味を併せ持つ言葉の組み合わせだから、「植物のめぐみ」として組み合わされた場合、ますます広範な意味合いをもち、一義的な意味合いを持つとは考えにくいものである。つまり、商品の内容が特定されるものではなく、極めて漫然としてるから、本件商標は、その指定商品「石けん類、香料類、化粧品、歯みがき」の品質を直接的ないし具体的に表すとはいいがたいものである。
そうすると、本件商標はその構成各文字の有する意味に具体性はなく、例えば「植物になんらかの関係があるような期待を抱かせる商品」であることを暗示させる程度のものであって、すなわち商品の品質を間接的に表示するにすぎないものというべきである。
したがって、本件商標は、直接的表示ではなく間接的表示するにとどまるものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当しないものである。
2 以上の主張は、例えば下記に記載の事実からも明らかである。
本件商標の指定商品が含まれる指定商品区分第3類において「自然の恵み」、「海の恵み」、「大地の恵み」、「大豆の恵み」、「天然の恵み」、「米の恵み」、「天然シアの恵み」等の商標が登録されている(乙第3号証ないし乙第10号証)。例えば、登録第4807018号「米の恵み」について、本取消理由通知のような判断の場合、「米を原材料に用い、その米の効能や特性を活かした石けん類・香料類・化粧品・歯みがきについて使用するときは、これに接する取引者・需要者をして、当該文字を『米を原材料に用い、その米の効能や特性を活かした商品』であるという商品の品質を表したものと認識するにすぎないもので、上記商品以外の商品について使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない」となることはあきらかである。ところが実際には識別力を有する商標として登録されている。「米の恵み」は、「米になんらかの関係があるような期待を抱かせる商品」であることを暗示させる程度のものであって、商品の品質を間接的に表示するにすぎないものと判断され登録されたものと考える。さらに、登録第3254354号「自然の恵み」についていえば、「自然になんらかの関係があるような期待を抱かせる商品」のように、これも商品の品質を間接的に表示するものにすぎないと判断されたものと思料する。このような登録商標は上記に示した以外にも多くの事例がある(乙第10号証)。
したがって、乙第10号証に示すような「○○の恵み」の商標の審査において、「○○の恵み」とは「○○になんらかの関係があるような期待を抱かせる商品」程度の認識を抱かせるものであって、商品の品質等を間接的に表示すると認定され、登録の査定の判断がされたもの考える。
よって、これら登録商標と同様に、本件商標は、商品の品質を間接的に表示するにすぎないものであるから、登録を維持されるべきである。
3 登録されている「自然の恵み」、「天然の恵み」、「米の恵み」、「海の恵み」等についても本件商標と同じ指定商品において普通に使われている事例が多数見受けられた(乙第11号証)。
また他にも、本件商標の指定商品と同じ国際分類第3類においては、次のような商標が登録されているが、普通に使われている事例が多く見受けられ、例えば、登録第4159375号「ぷるぷる/プルプル」(乙第12号証)について、商品の特性を活かす語として使用されている事例(乙第13号証)が見受けられる。このように、本件商標の指定商品の区分においては、商標登録されている語であっても、普通に使われている実情が認められる事例が多く見受けられる。
したがって、これらの登録商標と使用実情の関係から見ても、本件商標に特段登録を取り消される理由はなく、登録を維持されるべきである。
4 以上のとおり、本件商標は、指定商品の品質を直接的に表示するものとは言えず間接的に表示するものであり、他の登録商標やその登録状況及び使用実情の関係からみても特段登録を取り消される理由はないものと考える。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものではなく、商標法第43条の3第2項の規定に基づいて、取り消されるべきものではない。

第5 当審の判断
本件商標についてした上記第3の取消理由は妥当なものであって、本件商標の登録は、その指定商品「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」について、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものであるといわざるを得ないものである。
そして、取消理由に対する上記第4の商標権者の意見は、次のとおり採用することができない。
1 本件商標はその構成各文字の有する意味に具体性はなく、例えば「植物になんらかの関係があるような期待を抱かせる商品」であることを暗示させる程度のものであって、すなわち商品の品質を間接的に表示するにすぎないものというべきである。したがって、本件商標は、直接的表示ではなく間接的表示するにとどまるものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当しないものである旨主張している。
しかしながら、上記第3の取消理由1で認定したとおり「植物のめぐみ」又は「植物の(恵)み」の語は、本件指定商品である化粧品、せっけん類、香料類及び歯磨きを取り扱う業界において、本件商標の登録査定前より現在にいたるまで継続して「植物を原材料に用い、その植物の効能や特性を活かした商品」であることを表す語として普通に使用されている実情が認められる。
そうとすると、「植物のめぐみ」の文字を書してなる本件商標は、これをその指定商品中「植物を原材料に用い、その植物の効能や特性を活かしたせっけん類・香料類・化粧品・歯磨き」について使用するときは、これに接する取引者・需要者をして、当該文字を商品の品質を暗示させるもの又は、間接的表示したものと認識するのではなく、むしろ、「植物を原材料に用い、その植物の効能や特性を活かした商品」であるという商品の品質を表したものと認識するにすぎないものであって、上記商品以外の商品について使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものと判断するのが相当である。
2 商標権者は、過去の登録商標の例とその語の使用例(2009年12月のもの)を挙げ、本件商標に特段登録を取り消される理由はない旨主張している。
しかしながら、商標の識別性の判断は、当該商標の査定時又は審決時において、その商標が使用される商品の取引の実情等を考慮し、個別具体的に判断すべきものであって、「植物のめぐみ」「植物の恵(み)」の語の使用事実からすれば上述のとおり判断するのが相当である。
したがって、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2010-01-28 
出願番号 商願2008-45255(T2008-45255) 
審決分類 T 1 651・ 272- Z (X03)
T 1 651・ 13- Z (X03)
最終処分 取消  
前審関与審査官 神田 忠雄 
特許庁審判長 森吉 正美
特許庁審判官 小畑 恵一
瀧本 佐代子
登録日 2009-01-09 
登録番号 商標登録第5195264号(T5195264) 
権利者 株式会社ノエビア
商標の称呼 ショクブツノメグミ 

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