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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y29 |
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管理番号 | 1214540 |
審判番号 | 取消2009-300879 |
総通号数 | 125 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2010-05-28 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2009-08-03 |
確定日 | 2010-03-10 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4924383号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第4924383号商標の指定商品中、第29類「うなぎの蒲焼き」については、その登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第4924383号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲に表示したとおり「江戸焼」の文字を縦書きし、その左にやや図案化した「白焼」及び「蒲焼」と思しき文字を縦書きし、「江戸焼」の文字と「蒲焼」の文字の下には、それぞれ笹と思しき図形を配した構成からなり、平成16年5月24日に登録出願、第29類「うなぎ(生きているものを除く。),うなぎの蒲焼き」を指定商品として、同18年1月27日に設定登録され、その商標権は、現に有効に存続しているものである。 2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のとおり述べ、証拠方法として、甲第1号証を提出した。 (1)請求の理由 本件商標の商標権者は、日本国内において、本件商標を、継続して3年以上「うなぎの蒲焼き」について使用していない。また、その商標登録原簿に徴する限り、本件商標に、専用使用権或いは通常使用権が設定・許諾されている事実も見当たらない(甲第1号証)。 よって、「うなぎの蒲焼き」についての本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。 (2)答弁に対する弁駁 ア 乙第1号証ないし乙第4号証として提出された「写真」は、被請求人も認めているように平成21年8月29日に撮影されたものであり、本件審判請求の予告登縁日である平成21年8月12日(審決注:平成21年8月14日の誤記と認める。)前3年以内に撮影されたものではないことは明らかである。 また、乙第5号証として提出された「タグ」について、被請求人は「商標登録を受けた後、比較的早い時期に印刷注文している」と述べているものの、具体的にタグをいつ誰に印刷の注文をし、いつ制作されて納入されたかについては何ら証明されておらず、よって乙第5号証の「タグ」が本件審判請求の予告登録日前3年以内に制作されたものであることすら立証されていないことは明らかである。 さらに、乙第6号証は単なる「透明の袋」であり、本件商標の記載もないことから本件商標を指定商品に使用していることは何ら証明されていない。 よって、乙第6号証によっても、本件商標が指定商品について本件審判請求の登録前3年以内に使用されたものであることは何ら立証されていない。 以上のとおり、乙第1号証ないし乙第6号証によっては、本件審判請求の登録前3年以内に本件商標が指定商品に使用されたことは何ら立証されておらず、商標法第50条第2項に規定する時期的要件を満たしていないため証拠価値を有しない。 なお、被請求人は答弁書において「乙第1号証ないし乙第4号証の写真の撮影年月日は2009年8月29日であるが、本件商標の登縁日が平成18年1月27日であることから撮影日が登録日から3年7ヶ月が過ぎたところである」と述べた上で、「乙第5号証のタグが現実に存在しておりその印刷の完成に要する日程等をかんがみれば本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において指定商品についての登録商標の使用に該当する」と述べている。 しかし、乙第1号証ないし乙第4号証の写真の撮影日が本件商標の登録日から3年7ヶ月が過ぎた時点であることが事実であっても、その事実は本件審判請求の登録前3年以内に本件商標が指定商品に使用されているか否かとは何ら関係のないものである。 加えて、仮に乙第5号証の「タグ」の制作時期が本件審判請求登録日前であったことを被請求人が立証したとしても、そのような事実は「当該タグが本件審判請求登録日前に制作されたこと」を証明することにしか過ぎず、本件審判請求の登録前3年以内に本件商標が指定商品に使用されていることの証拠にはなり得ないものである。 なお、被請求人が提出した各号証には、本来は包装袋に記載されているはずの「賞味期限」の記載も存在しないことから実際に当該態様で取引された事実は伺えないため、被請求人が提出した乙第1号証ないし乙第6号証は、むしろ商品パッケージ及びパッケージタグのサンプルにしか過ぎないと推認されるものであり、サンプルの存在が本件商標を商品「うなぎの蒲焼き」について本件審判請求の登録前3年以内に実際に使用していることの証明に当たらないこどは明白である。 以上のとおり、審判請求登縁日以降に撮影された写真や使用時期が不明な包装類に基づき、審判請求登録日前の使用に該当するとの主張は到底認められるものではなく、被請求人の主張はむしろいわゆる駆け込み使用に基づき根拠のない主張を行っているものであると言わざるを得ない。 したがって、いずれにしても乙第1号証ないし乙第6号証によっては、本件審判請求の登録前3年以内に本件商標が指定商品に使用されたことは何ら立証されておらず、商標法第50条第2項に規定する時期的要件を満たしていない。 なお、商標法第50条第2項では、審判請求の登録後における使用事実を示す証拠によって登録前における使用を認めるということは何ら規定しておらず、提出された証拠に基づく被請求人の主張を認容することは、同条で使用の立証について時期的要件を規定している趣旨を著しく逸脱するものであって認められないものである。 イ 以上述べた理由により、被請求人が提出した答弁書及び乙各号証によっては商標権者によって本件商標がその指定商品について本件審判請求の登録前3年以内に使用されている事実を示すものではなく、提出された証拠によっては本件審判請求の登録前3年以内における本件商標の指定商品についての使用が立証されていないこと明らかであるから、本件商標の登録は法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。 3 被請求人の主張 被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第6号証を提出した。 (1)被請求人たる商標権者が、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、指定商品についての本件商標の使用をしている。 (2)商標権者は、本件商標に係る指定商品「うなぎの蒲焼き」について、本件商標を使用している。商標権者は、千葉県銚子市宮原町1485番地の忠平株式会社にて、乙第1号証ないし乙第4号証の写真に示すような本件商標が付された指定商品「うなぎの蒲焼き」の加工、販売をしている。製造者忠平株式会社と共に本件商標が印刷された商品取付けタグを乙第5号証に示す。乙第5号証の商品取付けタグは、乙第1号証ないし乙第4号証の写真のなかで使用されているタグの現物である。この本件商標が印刷された乙第5号証のタグは、商標登録を受けた後、比較的早い時期に印刷注文している。また、乙第1号証ないし乙第4号証の写真のなかで使用されている指定商品「うなぎの蒲焼き」の透明包装袋を乙第6号証に示す。 (3)乙第1号証ないし乙第4号証の写真の撮影年月日は、本件審判請求を受けて急遽撮影したことから2009年8月29日になっている。しかし、本件商標に係る商標権は平成18年1月27日に登録され、3年7ヶ月が過ぎたところである。乙第5号証の商品取付けタグの印刷物が現実に存在しており、その印刷の完成に要する日程等をかんがみれば、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、指定商品についての登録商標の使用に該当すると考える。乙第5号証の商品取付けタグには、本件商標と共に指定商品「うなぎの蒲焼き」の写真が印刷されている。 以上のごとく、本件商標に係る指定商品「うなぎの蒲焼き」について、本件商標の使用をしていることが証明されたと思料する。 4 被請求人に対する審尋 被請求人の提出に係る乙第1号証ないし乙第6号証において使用されている商標は、笹の図形部分並びに白焼及び蒲焼の文字部分が存在しないから、本件商標と社会通念上同一の商標とは認められない。 被請求人は、本件商標又は本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、請求に係る指定商品「うなぎの蒲焼き」に使用していることを以下の書類等を提出することにより証明して下さい。 (1)本件商標又は本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していることの証明 例:本件商標又は本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付した商品の包装袋・包装紙・包装箱・広告(カタログ、ちらし等)等 (2)本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において使用していることの証明 例:注文書、納品書、請求書、領収書等 なお、本書に対して、上記期間内に手続きがされない場合には、審理を終結しますので留意して下さい。 5 審尋に対する被請求人の答弁 被請求人は、審尋に対し何ら答弁していない。 6 当審の判断 被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、商標権者が本件商標を請求に係る指定商品中「うなぎの蒲焼き」について使用しているとして、乙第1号証ないし乙第6号証を提出した。 (1)そこで、被請求人の提出に係る乙各号証について検討すると、以下の事実が認められる。 ア 乙第1号証ないし乙第4号証は、商標権者の取扱いに係る商品「商品タグ付き包装袋に入ったうなぎの蒲焼き」を撮影した写真と認められる。 乙第1号証及び乙第2号証は、縦書きの「江戸焼」の文字が記載された商品タグ付き包装袋の写真であり、乙第3号証は、前記包装袋の裏面であり、商品タグの右上部分に横書きの「江戸焼」の文字が記載された写真である。 乙第1号証ないし乙第4号証の写真の撮影日は、いずれも「2009.08.29」と写真に表示されている。 イ 乙第5号証は、包装袋に付ける商品タグと認められ、縦書きの「江戸焼」の文字、横書きの「江戸焼」の文字、品名の欄に「うなぎ 蒲焼き」の文字、賞味期限の欄に「枠外記載」の文字が記載されている。 ウ 乙第6号証は、何も記載されていない透明の包装袋である。 (2)前記(1)で認定した事実によれば、以下のとおり判断するのが相当である。 ア 使用時期について 乙第1号証ないし乙第4号証の写真の撮影日と認められる平成21年8月29日は、本件の審判の請求の登録日である平成21年8月14日以降のものである。 乙第5号証及び乙第6号証には、商品「うなぎの蒲焼き」が製造された日付等が記載されていないものである。 また、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に本件商標を使用していることを証明する注文書、納品書、請求書、領収書等を提出していないものである。 したがって、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において本件商標を使用していることを証明したものとは認められない。 なお、被請求人は、「乙第1号証ないし乙第4号証の写真の撮影年月日は、本件審判請求を受けて急遽撮影したことから2009年8月29日になっている。しかし、本件商標に係る商標権は平成18年1月27日に登録され、3年7ヶ月が過ぎたところである。乙第5号証の商品取付けタグの印刷物が現実に存在しており、その印刷の完成に要する日程等をかんがみれば、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、指定商品についての登録商標の使用に該当すると考える。」と述べているが、商標法第50条の取消審判は、審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り、商標権者は、その指定商品又は指定役務に係る商標登録の取消しを免れないものであり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内の使用を証明しているものとは認められないから、上記のとおり判断するのが相当である。 イ 商標の同一性について 本件商標は、別掲に表示したとおり「江戸焼」の文字を縦書きし、その左にやや図案化した「白焼」及び「蒲焼」と思しき文字を縦書きし、「江戸焼」の文字と「蒲焼」の文字の下には、それぞれ笹と思しき図形を配した構成からなる。 一方、使用されている商標(以下「使用商標」という。)は、縦書きの「江戸焼」の文字のみからなる商標(乙第1号証、乙第2号証及び乙第5号証)又は横書きの「江戸焼」の文字のみからなる商標(乙第3号証及び乙第5号証)であり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得る笹と思しき図形並びに「白焼」及び「蒲焼」と思しき文字も見当たらない。 してみれば、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標ということができないものである。 また、被請求人は、本件商標又は本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付した商品の包装袋・包装紙・包装箱・広告等を提出していないものである。 したがって、被請求人は、本件商標を使用していることを証明したものとは認められない。 (3)なお、被請求人は、前記4の審尋に対し、期間内に何ら応答するところが無く、また弁駁に対する答弁もない。 (4)むすび 以上のとおりであるから、被請求人が、本件の審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件請求に係る指定商品について、本件商標の使用をしていたことを証明したものと認めることはできない。また、被請求人は、請求に係る指定商品について、本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。 したがって、本件商標の登録は、その指定商品中の第29類「うなぎの蒲焼き」について、商標法第50条の規定により、取り消すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲 本件商標 |
審理終結日 | 2010-01-12 |
結審通知日 | 2010-01-14 |
審決日 | 2010-01-27 |
出願番号 | 商願2004-47451(T2004-47451) |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Z
(Y29)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 田口 善久 |
特許庁審判長 |
渡邉 健司 |
特許庁審判官 |
瀧本 佐代子 岩崎 安子 |
登録日 | 2006-01-27 |
登録番号 | 商標登録第4924383号(T4924383) |
商標の称呼 | エドヤキ、エド、シラヤキカバヤキ |
代理人 | 香原 修也 |
代理人 | 小林 宜延 |
代理人 | 藤田 雅彦 |