• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 105091016172125
管理番号 1213052 
審判番号 取消2008-301557 
総通号数 124 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-04-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2008-12-11 
確定日 2010-01-25 
事件の表示 上記当事者間の登録第625895号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第625895号商標(以下「本件商標」という。)は、「アスリート」の片仮名文字を書してなり、第17類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、昭和37年6月15日に登録出願、同38年10月4日に設定登録され、その後、4回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、平成16年2月25日に第5類「失禁用おしめ」、第9類「事故防護用手袋,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,防火被服」、第10類「医療用手袋」、第16類「紙製幼児用おしめ」、第17類「絶縁手袋」、第20類「クッション,座布団,まくら,マットレス」、第21類「家事用手袋」、第22類「衣服綿,ハンモック,布団袋,布団綿」、第24類「布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」及び第25類「被服」を指定商品とする書換登録がなされたものである。
2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中第5類「失禁用おしめ」、第9類「事故防護用手袋」、第10類「医療用手袋」、第16類「紙製幼児用おしめ」、第17類「絶縁手袋」、第21類「家事用手袋」及び第25類「被服」の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べた。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定商品中前記取消請求に係る商品について継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって使用された事実がないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
(2)弁駁
被請求人は、カタログ(乙第2号証、乙第3号証、乙第5号証、乙第6号証)、出荷案内伝票(乙第4号証)、商標販売態様等を説明するための写真(乙第7号証、乙第8号証)と物品受領書(乙第9号証、乙第10号証)を提出するとともに、本件商標が指定商品中「被服」に含まれる「ウォームアップスーツ」について、日本国内において本件審判の予告登録日から遡って3年の間に商標権者によって使用されていた旨を主張している。不使用による商標登録の取消しを免れるためには、審判請求登録(平成20年12月26日)前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者、通常使用権者のいずれかが指定商品又は指定役務について登録商標の使用をしていることが要求される。このことについて各乙号証を検討する。
乙第2号証のカタログは、ここに掲載された写真で矢印に示されたものは全て小さく不明瞭であり、比較的はっきりと表示された第56頁(BASIC SERIES)においてモデルが着用しているものには「Athlete」の文字を斜めに表示したものがウォームアップパンツの向かって右下(左腰)と、ボトルネックシャツの向かって左上(右胸)に縫い付けられているが、明瞭であるとはいえない。また、第64頁(ECOLOGY WEAR)においてモデルが着用しているものには「Athlete」の文字を斜めに白抜きで表示したラベルが表示されている。これは本件商標のように「アスリート」の文字を表記しただけのものではなく、全体がほぼ同じフォントで頭文字が大文字の「Athlete」の活字を斜体で表示した構成に見えるが、いずれにしろ明瞭に表示されたものではないため、乙第2号証は登録商標の使用を証明する資料とはならない。また、乙第2号証において商品のみを撮影したその他の写真についても、写真が小さいため「ATHLETE」の文字を看取することはできない。
また、この「ATHLETE」は本件商標「アスリート」のカタカナ及びローマ字の表示を相互に変更するものであっても、よく見ると「A」の文字の横棒が省略されており、その斜体の構成から即座に「アスリート」を変換したものとは看取できないものであるため、その独特の構成によって本件商標とは同一の観念を生ずるとは言えないものである。したがって、社会通念上同一と見られる商標の使用には該当しない。
乙第3号証は、乙第2号証にも掲載された82SD-6922等の商品の販売態様を示す写真であるが、審判請求前3年以内の使用を立証するものではない。すなわち、同号証の写真の撮影時期が不明であるため、撮影されたスウェットタイプシャツ等の商品が、審判請求後に準備して撮影されたものと考えることも可能であり、本件審判請求登録前における商品であることを確認するに足る事実は立証されていない。同写真は販売態様と表示されてはいるが、被請求人が表示したものであって客観性に乏しく、販売を目的とした状態の写真と認めることはできない。また、乙第2号証と同様、商品タグや下げ札に見られる名称は本件商標とは異なる斜体で表示した「ATHLETE」である。しかも、頭文字が大文字で「A」の文字の横棒を消して「V」を上下逆にしたような表示であって、「E」に関しては縦横の繋ぎ目に隙間があり、2箇所の「E」にあることから意図的にデザイン化したものと判断され、カタカナの横書きのみで構成される本件商標の使用であるとはいえない。
この乙第3号証もまた、その独特の構成によって「ATHLETE」と普通に読み取れる文字ではないことから、本件商標とは同一の観念を生ずるとは言えず、社会通念上同一と見られる商標の使用には該当しない。
乙第4号証は、被請求人の製造委託先である酒伊編織株式会社あての出荷案内伝票であるが、酒伊編織株式会社が本件商標の商標権者、専用使用権者、または通常使用権者のいずれかに該当することは証明されていない。しかも、同伝票の右下に「MIZUNO」の文字は見えるが、送信元として被請求人の正式名称も見られない上に、登録商標に関する記載もない。
乙第5号証は、2007年4月に発行したカタログであるが、乙第2号証と同様、モデルが着用しているものに付されたラベルは、本件商標のような「アスリート」のカタカナ表記と判断できない上に、その他個別の商品の写真と同様、写真が小さいため「ATHLETE」の文字を看取することはできない。また、第73頁下欄には辛うじて看取できる白抜きの「ATHLETE」のラベルがあるが、これも乙第2号証と同様、本件商標のような「アスリート」のカタカナ表記と判断できない。
この乙第5号証もまた、その独特の構成によって「ATHLETE」と普通に読み取れる文字ではないことから、本件商標とは同一の観念を生ずるとは言えず、社会通念上同一と見られる商標の使用には該当しない。
乙第6号証のカタログは、その発行時期は定かではなく、「08A/W」の表示が発行時期を示す証拠はどこにも見られない。仮にこれが2008年の発行のものであったとしても、「A/W」が秋・冬を表す言葉として一般的ではないし、2008年中でも審判請求登録(平成20年12月26日)以降に作成したものと考えることも実際に可能である。また、その表紙に大きく記載された「ATHLETE」の文字は「E」が丸みを帯びて一見して「E」に見えないような形であるため、乙第2号証、乙第5号証と同様、本件商標と異なり「ATHLETE」の文字をデザイン化してアレンジを施した態様であって、本件商標の使用とはいえないものである。
この乙第6号証もまた、その独特の構成によって「ATHLETE」と普通に読み取れる文字ではないことから、本件商標とは同一の観念を生ずるとは言えず、社会通念上同一と見られる商標の使用には該当しない。
乙第7号証、乙第8号証は、66WT-87207、66TM-75509等の商品の販売態様を示す写真であるが、審判請求前3年以内の使用を立証するものではない。すなわち、同号証の写真の撮影時期が不明であるため、撮影された商品が、審判請求後に準備して撮影されたものと考えることも可能であり、本件審判請求登録前における商品であることを確認するに足る事実は立証されていない。同写真は販売態様と表示されてはいるが、被請求人が表示したものであって客観性に乏しく、販売を目的とした状態の写真と認めることはできない。また、乙第6号証と同様、商品タグや下げ札に見られる名称は本件商標とは異なる「E」をデザイン化した「ATHLETE」であると判断され、カタカナの縦書きのみで構成される本件商標の使用であるとはいえない。
被請求人は、乙第7号証は、乙第6号証に掲載される「66WT-87207」の商標使用態様を説明する写真であると主張している。
しかし、前述のように乙第6号証の表紙「08A/W」が2008年秋冬用の意味である等という常識は一般的ではないから、被請求人の主張は失当である。
乙第9号証、乙第10号証は、それぞれ乙第7号証、乙第8号証の商品に関する物品受領書であるが、品名に「アスリート」の字の記載はあっても、この受領書では送付者・受領者がどちらであるかが不明である。また、「イオン キュウシュウ オオノジョウサテイ」等の表示が本件商標の商標権者、専用使用権者、または通常使用権者のいずれかに該当することは証明されていない。しかも、取引先名の欄に「ミズノ(カ)」の文字は見えるが、送信元として被請求人の正式名称も見られない上に、登録商標に関する記載もない。
(3)結び
以上のとおり、答弁書において主張している被請求人による本件商標の使用について何ら立証されていないから、本件登録の取消は免れない。
3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第10号証を提出している。
(1)被請求人(商標権者)は、本件商標を、本件商標権一部取消し審判の予告登録日である平成20年12月26日(乙第1号証)から遡って3年の間に、日本国内において、被服に継続して使用している。
(2)立証その1
(ア)被請求人は、乙第2号証として、商標権者が2008年5月に発行したカタログ「2009 MIZUNO\SCHOOL SPORTS\WEAR & GOODS COLLECTION」の要部複写を提出する。
このカタログの第34頁にはウォームアップスーツを着用した男性モデルの写真が掲載され、男性モデルが着用のウェア右胸に白抜きで「ATHLETE」と表示していることが確認できる。
同様に、第36頁にはウォームアップスーツを着用した男性モデルと女性モデルの写真が掲載され、女性モデルが着用のパンツ左裾に白抜きで「ATHLETE」と表示していることが確認できる。
同様に、第39頁にはウォームアップスーツを着用した男性モデルと女性モデルの写真が掲載され、男性モデルが着用のウェア右裾に白抜きで「ATHLETE」と表示していることが確認できるとともに女性モデルが着用のパンツ左裾に白抜きで「ATHLETE」と表示していることが確認できる。かかる「ATHLETE」の表示は、同カタログの第35・37・38頁に示す各商品「82SD-11□□」、「82SV-11□□」、「82SD-13□□」、「82PC-11□□」、「82PH-11□□」、「82SD-69□□」、「82SV-69□□」、「82SD-68□□」、「82PC-69□□」、「82PC-68□□」、「82PH-69□□」、「82PH-67□□」、「82SB-68□□」、「82SV-68□□」で使用している(□□は2けたのカラーコードを示す。)。
(イ)この商標「ATHLETE」の使用は、本件商標「アスリート」の片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって、同一の称呼及び観念を生ずる商標であるから、社会通念上同一と認められる商標である。
また、使用しているウォームアップスーツ等は、第25類の「被服」に属することも明らかである。
したがって、乙第2号証に示すカタログヘの商標の使用は、本件商標の指定商品への使用に該当するものである。
(ウ)乙第3号証は、乙第2号証に示すカタログ「2009 MIZUNO\SCHOOL SPORTS\WEAR & GOODS COLLECTION」に掲載の被服の一例「82SD-6922」並びに「82PH-6922」の現物により、商標使用態様を説明する写真である。
この乙第3号証の商標「ATHLETE」の被服への使用も、本件商標「アスリート」と社会通念上同一と認められる商標の使用であるから、本件商標を使用していることは明らかなものと確信する。
(エ)乙第4号証は、被請求人の製造委託先である酒井編織株式会社あてに出荷指示した実績を示す「出荷案内伝票」の複写である。各伝票の品番と乙第2号証に示すカタログ「2009 MIZUNO\SCHOOL SPORTS\WEAR & GOODS COLLECTION」並びに乙第3号証から、実際に「ATHLETE」を表記した商品が商取引(販売)されていることは明らかである。
(オ)乙第5号証として、商標権者が2007年4月に発行したカタログ「2008 MIZUNO\SCHOOL SPORTS\WEAR & GOODS COLLECTION」の要部複写を提出する。なお、このカタログが2007年4月に発行されたことは、同カタログの裏表紙の最下段に記載されている(具体的使用態様は乙第2号証と同様につき省略する)。
前記乙第2号証並びに乙第5号証により、2007年4月以降継続的に「ATHLETE」を表記した被服が商取引(販売)されていることは明らかである。
(3)立証その2
(ア)次に、被請求人は、乙第6号証として、商標権者が2008年に発行したカタログ「08A/W ATHLETE MEN’S & WOMEN’S MEGASTORE SALES DIVISION NEW COLLECTION」の要部複写を提出する。
このカタログが2008年に発行されたことは、同カタログの表紙「08A/W」(2008年秋(Autumn)冬(Winter)用の意味)の記載から明らかである。
このカタログ自体に「ATHLETE」商標が使用されているのみならず、ウェアのイラストにも「ATHLETE」の文字が入っていること、さらにはそれが刺繍や背中ワッペン&ファスナー再起反射としても「ATHLETE」の商標が入れられることが確認できる。
この商標「ATHLETE」の使用は、本件商標「アスリート」と社会通念上同一と認められる商標であるから、乙第6号証に示すカタログの被服への使用は、本件商標の使用に該当するものである。
(イ)乙第7号証は、乙第6号証に示すカタログ「08A/W ATHLETE MEN’S & WOMEN’S MEGASTORE SALES DIVISION NEW COLLECTION」に掲載の被服の一例「66WT-87207」(最後の2けたは色品番)の被服現物により、商標使用態様を説明する写真である。
この乙第7号証の商標「ATHLETE」の使用も、本件商標「アスリート」と社会通念上同一と認められる商標であるから、本件商標を使用していることは明らかなものと確信する。
(ウ)乙第8号証は、乙第6号証に示すカタログ「08A/W ATHLETE MEN’S & WOMEN’S MEGASTORE SALES DIVISION NEW COLLECTION」の追加品番として企画された被服で、カタログには掲載がないが「66TM-75509」(最後の2けたは色品番)として販売されたものの被服現物の写真である。
この乙第8号証の商標「ATHLETE」の使用も、本件商標「アスリート」と社会通念上同一と認められる商標であるから、本件商標を使用していることは明らかなものと確信する。
(エ)乙第9号証及び10号証は、現物写真を提出した「66WT-872」及び「66TM-755」の被服を、被請求人会社から「イオン キュウシュウ オオノジョウサテイ」「イオン キュウシュウ トクリキサテイ」「イオン キュウシュウ カミミネサテイ」様へ送品したことを示す「物品受領書」の複写である。
各伝票の「品名・規格」のところには「アスリート」の商標が使用されており、「品番」のところには「66WT-872」「66TM-755」の品番が記載されている。そして、納品日のところには「08/09/23」の記載があるので、前記被服が商標権一部取消し審判の予告登録日である平成20(2008)年12月26日(乙第1号証)から遡って3年の間である平成20(2008)年9月23日に使用されていたことが分かる。
(4)結論
以上のように、本件商標は、その指定商品中の被服に使用していたものであり、その商標の使用も社会通念上同一と認められる範囲である。そして、本件商標を付した被服は、商標権者から小売店に販売されているから、本件商標を使用していることは明らかなものと確信する。
そして、本件商標を付した被服の販売時期は、「商標権一部取消し審判の予告登録」日である平成20(2008)年12月26日から遡って3年以内である。
このように、本件商標はその審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において商標権者である被請求人が、その請求に係る指定商品中の「被服」に使用していたものであるから、本件審判請求の理由は成り立たない。
4 当審の判断
(1)本件審判請求の登録日について
商標登録原簿によれば、本件審判請求の登録(予告登録)は、平成21年1月6日になされていることが認められる。なお、被請求人は、IPDL審判情報(乙第1号証)掲載の予告登録処分日(同20年12月26日)を本件審判請求の予告登録日としているが、上記予告登録処分日は、予告登録日ではない。
したがって、商標法第50条第2項に規定する「・・・その審判の請求の登録前三年以内に・・」についての本件における証明すべき期間は、前記登録日の平成21年1月6日前3年以内である。
(2)本件商標の使用について
ア 乙各号証によれば、本件商標の使用に関して、以下の事実が認められる。
乙第2号証は、「2009 MIZUNO SCHOOL SPORTS WEAR & GOODS COLLECTION」と題する商品カタログであり、裏表紙には最下段に発行日及び発行者名称として「2008年5月 ミズノ株式会社」が記載されている。
また、該カタログには、商品記号「82SD-69□□」とするウォームアップスーツのスウェットタイプシャツの商品写真及び同じく商品記号「82PH-69□□」とするハーフパンツの商品写真があり、さらに、これらの商品を含め、「ATHLETE」とおぼしき文字がシャツの胸部分や正面右下部分、パンツの腰下部分、ハーフパンツの膝上部分などにに表示された商品の写真等が多数掲載されているものの、その表示部分が写真では、小さく不鮮明なものが多いが、第56頁の写真のウォームアップスーツのトップスの左腕部分及びパンツの腰部分には、別掲(1)の構成の「ATHLETE」の文字からなる商標(以下「使用商標1」という。)が刺繍されているものと認められる。また、第64頁のウインドブレーカースーツの反射ワッペン部分の拡大写真には、該ワッペン部分に使用商標1が記載されていることが認められる。なお、被請求人の主張によれば、商品記号末尾2けたの□□はカラーコードを示すものとして空白にしてカタログに記載されているものと認められる。
乙第3号証は、商品記号「82SD-6922」のスエットタイプシャツ及び商品記号「82PH-6922」のハーフパンツの全体写真(写真1、2、6)、襟内側及び腰内側に縫い付けられているの商品タグ部分の拡大写真(写真3、7)、吊り下げ札の拡大写真(写真4、8)、上記シャツの正面右下及びパンツの正面左下のワッペン部分の拡大写真(写真5、9)であるところ、拡大写真により、これらの商品タグ、吊り下げ札、ワッペンには、使用商標1が記載されていることが認められる。なお、該写真の商品は、いずれも乙第2号証の同一品番(但し、カラーコード部分の表示は異なる。)の商品と同一のデザインの商品であることが認められる。
乙第4号証は、商標権者が製造委託先会社あてに出荷を指示した「出荷案内伝票」の控え3通と認められるところ、いずれも店名を「酒伊編織株式会社」とし、発行日2008年1月8日の伝票(NO.82362)には、品番の欄には乙第2号証のカタログ掲載のスウェットタイプシャツを表す「82SD6936」及びサイズ、数量などの記載がされていることが認められ、発行日2008年1月8日の伝票(NO.82363)には、品番の欄には「82SD6922」、「82SD6936」、「82SD6963」の記載があり、サイズ欄及び数量欄には、サイズごとの数量が記載されていることが認められ、発行日2008年2月1日の伝票には、品番の欄には「82SD6922」、「82SD6936」、「82SD6963」の記載があり、サイズ欄及び数量欄には、サイズごとの数量が記載されていることが認められる。
乙第5号証は、表紙に「2008 MIZUNO SCHOOL SPORTS WEAR & GOODS COLLECTION」と題する商品カタログであり、裏表紙には最下段に発行日及び発行者名称として「2007年4月 ミズノ株式会社」が記載されている。
該カタログに掲載の商品写真では、ラベル部分が小さく記載されている文字が判別できないものが多いが、第45頁のウォームアップシャツの反射ワッペン部分の拡大写真には、使用商標1が記載されていることが認められる。
乙第6号証は、表紙に「08A/W ATHLETE MEN’S & WOMEN’S」と題する商品カタログであり、裏表紙に「ミズノ株式会社」が記載され、各頁の上部には「ATHLETE ‘08A/W」の記載があり、表紙及び各頁上部にある「ATHLETE」は、別掲(2)の構成よりなる商標(以下「使用商標2」という。)である。また、該カタログにおいて、品番「66WT-872」のウインドブレーカースーツをはじめ、ウオームアップシャツ、ウォームアップパンツについてデザイン、仕様、価格などとともに刺繍の説明として使用商標2が記載されている。
なお、「‘08A/W」は、「‘08」は「2008年」の表示方法として、また、「A/W」は「秋冬用」の表示方法として普通に使用されているものであるから、該カタログは、2008年秋冬用カタログと認められる。
乙第7号証は、吊り下げ札に商品記号「66WT-87207」が付されたウインドブレーカースーツの上衣の全体写真(写真1)、該上衣の刺繍部分(写真3、4、6)、襟内側に縫い付けられているタグ部分(写真6、7)、吊り下げ札(写真3、5)、背中のワッペン部分の拡大写真(写真8)及び下衣の全体写真(写真2)、該下衣の刺繍部分(写真9、10)、吊り下げ札(写真9)の拡大写真であり、これらの刺繍、タグ、ワッペン及び吊り下げ札に使用商標2の文字があることが認められる。なお、該写真の商品は、いずれも乙第6号証の同一品番(但し、カラーコード部分の表示は異なる。)の商品と同一のデザインの商品であることが認められる。
乙第9号証は、社名及び店名を「イオン キュウシュウ オオノジョウサティ」、「イオン キュウシュウ トクリキサティ」及び「イオン キュウシュウ カミミネサティ」とする物品受領書3通であり、いずれも取引先名「ミズノ(カ)」(被請求人)とし、発注日を「08年09月17日」、納品日を「08年09月23日」とし、品名に「アスリート JRウインドス・・・」、商品コードに「66WT872」などの記載、数量、単価が記載されているものである。
イ 上記に認定した事実によれば以下の事実が認められる。
乙第2号証ないし乙第4号証によれば、被請求人は、使用商標1を付してなるウォームアップスーツ、ウインドブレーカースーツを掲載した2009年用の商品カタログを2008年5月に発行して使用し、また、上記カタログの使用時期前ではあるが、商品の品番から、使用商標1を付してなる「スウェットタイプシャツ」(ウォームアップスーツの上衣)であると推認できる商品を被請求人商品の製造委託先に2008年1月8日に出荷の指示をしていることが認められる。
また、乙第5号証によれば、使用商標1を付してなるウォームアップシャツ及びパンツを掲載している2008年用の商品カタログを2007年4月に発行し、使用したことが認められる。
さらに、乙第6号証、乙第7号証及び第9号証によれば、被請求人は、使用商標2を付してなるウォームアップシャツ、パンツ及びハーフパンツスーツ、ウインドブレーカースーツを掲載した2008年秋冬用の商品のカタログにおいて掲載していることが認められ、ウインドブレーカースーツを2008年9月23日に取引先に納品したことが認められる。
請求人は、使用商標1は「A」の文字の横棒が省略されており、その斜体の構成から即座に「アスリート」を変換したものとは看取できないものであるため、その独特の構成によって本件登録商標とは同一の観念を生ずるとは言えないものであり、使用商標2は「E」が丸みを帯びて一見して「E」に見えないような形であるため、その独特の構成によって「ATHLETE」と普通に読み取れる文字でないことから、本件商標と同一の観念を生ずるとはいえず、使用商標1及び使用商標2は、本件商標と社会通念上同一と見られる商標の使用には該当しないと主張している。
しかしながら、使用商標1及び使用商標2は、「A」若しくは「E」の文字がややデザインされているとはいえ使用商標1及び使用商標2の構成全体を見ると直ちに「ATHLETE」の文字を想起できるものであり、そして、「ATHLETE」は、「競技者」の意味を有する英語であって、「アスリート」と発音されるものであるから、使用商標1及び使用商標2は、いずれも本件商標とは片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標と解することができ、少なくとも社会通念上同一と認められる範囲内の商標というのが相当である。
(3)まとめ
以上によれば、商標権者は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内においてその請求に係る指定商品のうち被服の範ちゅうに属する「ウォームアップスーツ、ウインドブレーカースーツ」について本件商標の使用をしていたと認められる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 【別記】


審理終結日 2009-08-21 
結審通知日 2009-08-27 
審決日 2009-09-10 
出願番号 商願昭37-18628 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (105091016172125)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 芦葉 松美
特許庁審判官 岩崎 良子
内山 進
登録日 1963-10-04 
登録番号 商標登録第625895号(T625895) 
商標の称呼 アスリート 
代理人 吉岡 宏嗣 
代理人 鵜沼 辰之 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ