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審決分類 |
審判 査定不服 商4条1項15号出所の混同 登録しない X1425 |
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管理番号 | 1213013 |
審判番号 | 不服2009-5825 |
総通号数 | 124 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2010-04-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-03-02 |
確定日 | 2010-03-01 |
事件の表示 | 商願2008- 32131拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第14類「貴金属,キーホルダー,身飾品,宝石及びその原石並びに宝玉の模造品,時計」及び第25類被服,履物,運動用特殊衣服・運動用特殊靴」を指定商品として、平成20年4月10日に登録出願されたものである。 2 原査定の拒絶の理由の要旨 原査定は、「本願商標は、その構成中に、ファンシーグッズの企画・制作会社である(株)サンリオが、商品『貴金属,キーホルダー,身飾品,被服,履物』等に使用して、本願出願前より広く需要者間に認識されている著名な商標『HELLO KITTY』の略称として一般に親しまれている『KITTY』の欧文字を有してなるから、これをその指定商品に使用するときは、恰も前記会社あるいは同会社と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 3 当審の判断 (1)「KITTY」及び「キティ」標章の周知著名性について 「KITTY」の欧文字よりなる標章及び「キティ」の片仮名文字よりなる標章(以下、前者を「『KITTY』標章」、後者を「『キティ』標章」といい、両者をまとめていうときは「引用商標」という。)は、東京都品川区大崎1丁目6番1号に本社をおく、株式会社サンリオが、被服、キーホルダーを始めとする様々な商品に使用する「Hello Kitty」のブランドの略称として、本願の登録出願前から、現在に至るまで、我が国の取引者・需要者に広く認識されているものとなっていることは、顕著な事実である。 (2)本願商標と引用商標の類似性の程度 本願商標は、別掲のとおり、「Pepii.Kitty」の文字よりなるところ、構成全体として、特定の意味合いを想起させるものとは認められないものであり、また、構成全体を常に一体不可分のものとしてのみ把握しなければならない特別の事情も見出せないものである。 加えて、本願商標は、その構成中に句読点を有することから、「Pepii」と「Kitty」、2つの語よりなることが、容易に理解され得るものであって、構成後半の「Kitty」は、「KITTY」標章と、欧文字における大文字と小文字程度の違いしか無く、本願商標に接する取引者・需要者は、該「kitty」部分より、著名な「Hello Kitty」のブランドの略称である「KITTY」又は「キティ」を連想、想起し、該文字部分に強く印象づけられることが決して少なくないものというのが相当である。 そうとすれば、本願商標は、その構成中に「Kitty」の文字を含んでいる点において、引用商標との類似性の程度は高いものといわなければならない。 (3)本願商標の指定商品と株式会社サンリオの業務に係る商品との関連性及び需要者の共通性について 本願商標の指定商品は「貴金属,キーホルダー,身飾品,宝石及びその原石並びに宝玉の模造品,時計」及び「被服,履物,運動用特殊衣服・運動用特殊靴」であるところ、これらの商品においては、既に株式会社サンリオの標章或いはキャラクターが使用され、販売されていることからすれば、商品の関連性は共通するといえる。 そして、商品の需要者も、ともに主として一般消費者という点で共通するものである。 (4)出所混同のおそれ 以上のとおり、引用商標が、株式会社サンリオが、被服、キーホルダーを始めとする様々な商品に使用する「Hello Kitty」のブランドの略称として、我が国の取引者・需要者に広く認識され、その著名性の程度が高いこと、本願商標と引用商標の類似性の程度が高いこと、商品に関連性があり、その需要者も共通することからすれば、本願商標をその指定商品に使用するときは、これに接する需要者は、本願商標の構成中「Kitty」の文字部分に強く印象づけられ、これより引用商標を連想、想起し、該商品が株式会社サンリオ又は同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。 (5)請求人の主張について (ア)請求人は、本願商標と引用商標との類似性について、「(株)サンリオの『KITTY』『キティ』を使用した商品は、“耳に赤いリボンのついた猫のキャラクター“が必ず付されているので、その意味でも外観が全く異なる。」、「本願商標は、『Peppi.Kitty』という英文字から構成されており、しかも、全て筆記体による英文字であるから、“外観上”字が連続して書かれているだけでなく、“称呼上”筆記体の文字は連続して発声するものである。また、格別冗長ではない。とすれば、『ペピィキティ』と、自然に、よどみなく一気一連に称呼でき、『ペピィキティ』の称呼のみを生じる。」、「本願商標は、『大人の可愛らしさ』をテーマにした服飾品ブランドの名前であって、外国人アート・ディレクター『Pepii K.』の響きを採用した造語であり、特段の意味は持たない。それに対し、他人の表示たる『KITTY』『キティ』は、『子猫』という意味の英語に由来しており、『子猫』という意味を持つ。このことは、(株)サンリオのキャラクター(耳に赤いリボンのついた猫のキャラクター)からも明らかである。よって、本件出願商標と『KITTY』『キティ』は、その観念が著しく異なる。」旨述べるとともに、「本願商標と他人の表示たる『KITTY』『キティ』には、類似性はない。」旨、主張している。 しかしながら、本願商標は、同一書体よりなるものであるとしても、視覚的に「Peppi」と「Kitty」とからなるものと認識できるものであり、また、「Peppi」は、特段の意味合いをもって知られている語ではなく、請求人も認めているとおり、本願商標が全体として見れば、何ら観念を有しないものである。 そうとすれば、「ペピィキティ」の称呼がよどみなく一連に称呼し得るとしても、「Kitty」の文字部分が全く看取されないほどに一体的な商標とはいえず、本願商標は.その構成中に顕著に「Kitty」の文字を有してなるものであるから、既に述べたとおり、その類似性の程度は高いものというのが相当である。 また、引用商標が猫のキャラクターのブランドの略称であって、当該キャラクターと共に使用されることが多いとしても、引用商標が広く知られていることから、本件商標の「Kitty」の文字部分に着目する場合も少なくないというべきである。 そうとすれば、本願商標と引用商標には類似性がないという請求人の主張は採用できない。 (イ)請求人は、「KITTY」及び「キティ」は、「子猫」を意味する英語であり、独創性はほとんどない旨主張している。 確かに、英語の成語である点において、造語に比べてその創造性は低いとはいえるものの、「KITTY」及び「キティ」が「子猫」を意味する語として、広く一般に知られている語であるとまでは言い難いものである(なお、請求人は、「子猫」の意味で日常的に使用されている旨主張しているが、上記意味合いで日本語化しているというような事情は何ら示されていない。)から、その創造性が低いとはいえない。 (ウ)請求人は、「本願商標を使用する商品は、インターネット販売専用の女性用服飾品であり、ダルビッシュ紗栄子氏のファッション・ライフスタイルに憧れを抱いている女性をターゲットにしている。」ことなどを述べるとともに、「(株)サンリオの『KITTY』『キティ』という他人の表示を使用した商品は、主に、縫いぐるみ・文房具・雑貨・お土産品である。そして、サンリオのアンテナショップや各地の観光地で販売されており、広く一般消費者を対象としている。よって、商品の販売経路、売り場、対象ターゲットそのものが異なり、本件出願商標の商品の取引者・需要者と、『KITTY』『キティ』の商品の取引者・需要者は、明らかに異なる。」旨主張している。 しかしながら、商標法4条1項15号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれ」を判断するに当たっては,出願に係る商標の指定商品全部について、これを一般的に検討すべきであり、出願人固有の取引の実情を混同を否定する方向に斟酌することは許されない(知財高裁平成17年(行ケ)第10491号 平成17年12月20日判決言渡参照)と解されているところ、請求人の主張するインターネット販売専用であることなどは、請求人固有の取引の実情にすぎないものであって、請求人の該主張は、商品の出所について混同を生じさせるおそれを否定するものにはならない。 また、請求人の、本願商標を使用する商品が女性用服飾品であって、引用商標が使用される商品とは、商品の取引者・需要者が異なると主張するが、当該商品に該当する本願指定商品は「被服」であるところ、その需要者は、女性用に限られるものではなく、一般消費者であり、しかも、引用商標に係る商品が被服にも使用されているから、本願商標と引用商標、それぞれが使用される商品の需要者は共通するものである。 (エ)請求人は、本願商標を使用する商品について、「インターネット販売専用であるので、その取引者・需要者は、実際にその商品を手に取ることができないからこそ、販売サイト(ホームページ)上の情報を隈無くチェックした上で、商品を購入するか否かを決定するのである。」、「本件販売サイトには、サンリオという文字はおろか、お馴染みの耳に赤いリボンのついた猫のキャラクターも一切存在しない。また、その商品にも、サンリオという文字はおろか、なんらキャラクターが付されていない。よって、取引者・需要者が本件出願商標の商品を購入するにあたり、(株)サンリオの『KITTY』『キティ』を想起させる情報は一切無い。しかも、ブランドディレクターのファッション・ライフスタイルに憧れを抱いている女性が購入目的で販売サイトにアクセスしてくるのであるから、その注意力からして、(株)サンリオの『KITTY』『キティ』商品と混同するはずがない。」旨主張している。 しかしながら、前記(ウ)で述べたように、請求人が主張の前提としているインターネット販売、および、それに基づく主張は、請求人固有の取引の実情にすぎないものであり、また、本願指定商品の主な需要者である一般消費者の注意力は、請求人が主張するほど、常に緻密なものであるとは限らないといえる。 (6)まとめ したがって、本願商標は、他人の業務に係る商品とその出所について混同を生ずるおそれがあるものというべきであるから、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
<別掲> 本願商標 |
審理終結日 | 2009-12-09 |
結審通知日 | 2009-12-18 |
審決日 | 2010-01-06 |
出願番号 | 商願2008-32131(T2008-32131) |
審決分類 |
T
1
8・
271-
Z
(X1425)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 石井 恵美子、山田 忠司 |
特許庁審判長 |
内山 進 |
特許庁審判官 |
井出 英一郎 赤星 直昭 |
商標の称呼 | ペピキティ、ペピーキティ、ペピ、ペピー、キティ |
代理人 | 洲崎 達也 |
代理人 | 江藤 利彦 |