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審決分類 審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 登録しない Y29
審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない Y29
管理番号 1212968 
審判番号 不服2009-6269 
総通号数 124 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-04-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-03-24 
確定日 2010-02-18 
事件の表示 商願2006- 61708拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第29類「食用あゆ(生きているものを除く。),あゆの加工物,あゆ雑炊のもと」を指定商品として、平成18年7月3日に登録出願されたものである。そして、願書記載の指定商品については、原審において、同19年4月2日付け提出の手続補正書により、第29類「食用あゆ(生きているものを除く。),あゆの加工水産物,あゆ雑炊のもと」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由(要点)
原査定は、「本願商標は、『あゆの店 きむら』と書してなるところ、『あゆの店』の文字は『あゆ料理を食べさせる店』程の意味合いを看取させ、『きむら』の文字は『ありふれた氏に通じる木村』を表したものと認められるので、全体として自他商品の識別標識としての機能を有しているものとはいえず、需要者をして何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものと認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。また、本願商標は、全国的に認識されているものとは認められない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第6号について
本願商標は、別掲のとおり、「あゆの店 きむら」の文字を横書きしてなるところ、その構成中「あゆの店」の文字は、あゆ料理を食べさせる店又はあゆ製品を販売する店であることを指称する「あゆを取扱う店」程の意味を認識させ、また、「きむら」の文字は、ありふれた氏である「木村」を平仮名で表したものと認められる。
そうとすれば、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者に、「あゆを取扱う木村という店」程の意味合いを認識させるに止まり、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識できない商標と判断するのが相当であるから、自他商品の識別標識としての機能を果し得る商標とは認められないというべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。
なお、請求人は、同号の適用について、原審及び当審においても、何ら具体的な反論をしていないものである。
(2)商標法第3条第2項について
請求人は、原審及び当審において、本願商標は継続して使用された結果、全国的に周知となり、商標法第3条第2項の適用を受けることができる旨主張し、証拠方法として資料1ないし資料111(枝番を含む。)を提出しているので、以下検討する。
(ア)実際に使用している商標及び商品
提出された資料によれば、その一部を除き、請求人は、本願商標と同一の商標を、本願の指定商品と同一の商品である「食用あゆ(生きているものを除く。),あゆの加工水産物,あゆ雑炊のもと」について使用していることが認められる。
(イ)商標及び商品の使用開始時期、使用期間
請求人は、原審及び当審において、本願商標を昭和57年(1982年)頃から25年以上にわたり使用している旨述べているところ、例えば、平成3年(1991年)(資料49)、平成10年(1998年)(資料54)、平成17年(2005年)(資料5)、平成18年(2006年)(資料26)、平成19年(2007年)(資料25)及び平成20年(2008年)(資料85)において、本願商標と同一の商標を本願の指定商品と同一の商品に使用していることが認められるが、平成3年(1991年)頃からの使用は確認できるものの、使用開始時期を昭和57年頃と特定することはできないものである。
(ウ)生産、証明若しくは譲渡の数量又は営業の規模(店舗数、営業地域、売上高等)
請求人は、本願の指定商品の販売店として、滋賀県彦根市及び長浜市において3店舗を営業している(例えば資料3及び資料4)。
また、請求人は、平成14年(2002年)頃から各年約5億円の売上げを維持し、2007年度(平成19年度)も約5億円の売上げ(資料83)があり、その売上げの大部分は本願の指定商品「食用あゆ(生きているものを除く。),あゆの加工水産物,あゆ雑炊のもと」である旨述べているが、資料83から、本願の指定商品に係るものであるのかどうかを確認することはできない。
(エ)広告宣伝の方法、回数及び内容
請求人は、「昭和60年(1985年)頃から商品の販売促進用にカタログ等(資料36ないし資料47)を作成し、前記(ウ)の店舗においては、商品の販売用パンフレット(資料3ないし資料10)や商品紹介のチラシ(資料71ないし資料73)を配布している。昭和61年頃から顧客あてに商品案内、ダイレクトメール用、夏季又は冬季用のパンフレット等(資料4及び資料5、資料35、資料74ないし資料77、資料102及び資料103)を送付し、また、平成18年(2006年)、同19年(2007年)に出展した百貨店等における催事の案内状(資料16ないし資料28及び資料80)及び平成20年(2008年)1月から同21(2009年)年3月の間に、東京、名古屋、京都、大阪、滋賀などで出展した百貨店等における催事の案内状(資料81及び資料82並びに資料86ないし資料101)等を顧客に送付した。また、百貨店は催事のチラシ(資料29ないし資料34、資料104ないし資料106)を配布している。」旨、述べている。
確かに、請求人は、営業店舗において、商品のパンフレット等を配布すると共に、顧客あてにダイレクトメールや商品のパンフレット等を送付し、百貨店等における催事の際には、その案内状を送付するなど、ある程度の広告宣伝を行っていることは認められる。
しかしながら、資料36ないし資料47には、それらの作成日又は発行日が記載されておらず、また、それ以外の証拠をみても、請求人が、昭和60年頃から本願商標と同一の商標を本願の指定商品と同一の商品に使用して広告宣伝を行っていたとは認められない。
さらに、百貨店等で開催される催事は、その大半が関東、近畿の主要都市のいずれも同じ店舗で近年になって開催されている上に、北海道、東北、甲信越、南九州、沖縄での開催は皆無であることから、日本全国にわたって広く行われているとはいえないものである。
また、新聞や雑誌における広告は、平成3年(1991年)から平成10年(1998年)の間に京都新聞、滋賀彦根新聞,彦根東高校新聞、「DADA Journal No35」と称する紙面(資料49ないし資料52及び資料54)及び「ベンチタイム」と称する雑誌(資料56及び資料57)に、7年間にわずか7回の掲載であり、しかも、本願商標と同一の態様からなる商標の記載は資料49及び資料54のみであることに加えて、それらは全国に頒布されているとは認め難い高校新聞などによるものであるから、その広告は、一地域に止まるものでしかないといわなければならない。
さらに、新聞折込チラシによる広告は、滋賀県湖北地方を中心に新聞折込チラシ(資料84及び資料85)を年2回ずつ、最近4年継続して配布していると述べるものの、これらは滋賀県の一地域での広告に止まるものでしかないといわなければならない。
そうとすれば、これらの証拠から本願商標が使用により自他商品の識別力を有するに至っているとは認められないものである。
(オ)一般紙、雑誌又はインターネット等における記事掲載の回数及び内容
昭和62年(1987年)から平成14年(2002年)の間に、京都新聞、日経MJ新聞及び「salut」と称する紙面(資料48、資料53及び資料55)並びに平成20年(2008年)日経MJ新聞(資料108)及び平成21年(2009年)東京新聞(資料109)に、請求人に関する記事が掲載されている。
また、平成9年度(1997年度)「くらしの百科・別冊 関西こだわりの味」(資料61)、平成11年(1999年)「滋賀のおいしい店」(資料58)、平成12年(2000年)「ブルーガイド情報版 京都・琵琶湖」(資料59)、平成15年(2003年)「日本の食材 おいしい旅」(資料63)、平成17年(2005年)「家庭画報のデリシャス宅配便」(資料62)、「家庭画報 2004.4月」と手書きされた紙面(資料60)及び「美味の追憶vol.6」の題目の紙面(資料107)に、請求人に関する記事が掲載されている。
さらに、「あゆの店 きむら」について、「YAHOO!JAPAN」(資料12及び資料110)及び「Google」(資料13及び資料111)で検索した結果のうちの、1から20件目までの見出しのコピーは、そのほとんどが、請求人の業務に係る商品や店舗に関するものである。
しかしながら、新聞における記事の掲載は、22年間にわずか5回でしかなく、また、雑誌における掲載も8年間にわずか7回でしかない上に、本願商標と同一の態様の文字からなる商標の記載は全く見当たらないものである。
さらに、インターネットによる検索結果は、そのほとんどが請求人に関する記事の見出しであるものの、これらから、本願商標が使用により識別力を有するに至ったかどうかを判断するための、例えば、本願商標を付した商品の販売地域などを確認することはできないことから、この検索結果をもって、本願商標が全国的に広く知られているということはできない。
そうとすれば、これらの証拠から本願商標が使用により自他商品の識別力を有するに至っているとは認められないものである。
(カ)まとめ
以上のことからすれば、請求人が実際に使用している商標及び商品は、本
願商標及びその指定商品と同一であることは認められるものの、商標及び商品の使用地域、生産、証明若しくは譲渡の数量又は営業の規模、広告宣伝、新聞等における記事掲載等から、本願商標が、請求人の出所表示として、その商品の需要者の間で全国的に認識されているということはできない。
そうとすれば、請求人が主張するように、本願商標が、継続して使用された結果、全国的に周知となり、使用による特別顕著性を取得し、出所表示機能を持つに至ったと認めることはできない。
したがって、請求人が提出した全ての証拠を総合して勘案しても、本願商標が、その指定商品について使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものとは認められないものである。
(3)結論
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するとした原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
また、本願商標は、同法第3条第2項の要件を具備するものではないから登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲 本願商標




審理終結日 2009-12-21 
結審通知日 2009-12-22 
審決日 2010-01-06 
出願番号 商願2006-61708(T2006-61708) 
審決分類 T 1 8・ 16- Z (Y29)
T 1 8・ 17- Z (Y29)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田口 善久 
特許庁審判長 渡邉 健司
特許庁審判官 瀧本 佐代子
岩崎 安子
商標の称呼 アユノミセキムラ、アユノミセ、キムラ 
代理人 岸本 忠昭 

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