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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) Y03
審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) Y03
審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) Y03
審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) Y03
管理番号 1211513 
異議申立番号 異議2009-900051 
総通号数 123 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2010-03-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2009-01-28 
確定日 2010-01-15 
異議申立件数
事件の表示 登録第5176990号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5176990号商標の商標登録を取り消す。
理由 1 本件商標
本件登録第5176990号商標(以下「本件商標」という。)は、「premier」の欧文字と「プレミア」の片仮名文字とを上下二段に書してなり、第3類「せっけん類,化粧品」を指定商品として、平成15年6月2日に登録出願、同20年9月5日に登録査定、同年10月31日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する登録第1793225号商標(以下「引用商標」という。)は、「プルミエ」の片仮名文字と「PREMIER」の欧文字とを上下二段に書してなり、第4類「せつけん類(薬剤に属するものを除く)歯みがき、化粧品(薬剤に属するものを除く)香料類」を指定商品として、昭和54年11月27日に登録出願、同60年7月29日に設定登録され、その後、2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、平成17年6月8日に第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類」を指定商品とする書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

3 登録異議の申立ての理由の要旨
申立人は、「本件商標は、当該商標登録出願の日前の商標登録に係る他人の登録商標に類似する商標であって、その登録商標に係る指定商品と同一又は類似の商品に使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。また、本件商標は、申立人の業務に係る商品と出所の混同を生じるおそれのある商標であるから、商標法第4条第1項15号に該当する。よって、本件商標の登録は、取り消されるべきものである。」旨申立て、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。

4 本件商標の取消理由の要旨
登録異議の申立てがあった結果、商標権者に対し、期間を指定して意見を述べる機会を与えて通知した平成21年8月21日付けの取消理由は、要旨次のとおりである。
本件商標は、「premier」の欧文字と「プレミア」の片仮名文字とを上下二段に書した構成よりなるところ、その構成中の「premier」の欧文字部分は「第1位の、首位の、最初の」などの意味を有する比較的知られた英語であり、その下段の「プレミア」の片仮名文字部分は前記欧文字部分の読み方を表すものと認められるから、構成全体として「プレミア」の称呼、「第1位の、首位の、最初の」の観念を生ずるものである。
他方、引用商標は、「プルミエ」の片仮名文字と「PREMIER」の欧文字とを上下二段に書した構成よりなるところ、構成中の「PREMIER」は、「第1の、最初の、首位の」などの意味を有する英語又は仏語として知られていることからすれば、該文字部分より「プルミエ」の称呼を生じる他の欧文字部分より「プレミア」の称呼をも生じ、「最初の、首位の」の観念を生じるものというべきである。
そうとすれば、本件商標と引用商標とは、「プレミア」の称呼を共通にし、かつ「第1位の、首位の、最初の」の観念を共通にし、さらにそれぞれの構成中の「premier」と「PREMIER」の欧文字部分において、小文字と大文字の差異を有するもののその綴りを同じにする外観上も近似する類似の商標というのが相当である。
そして、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは、「せっけん類,化粧品」において抵触するものである。
したがって、本件商標の登録は、その指定商品中「せっけん類,化粧品」について、商標法第4条第1項第11号の規定に違反してされたものである。

5 取消理由の通知に対する商標権者の意見
本件商標権者は、前記4の取消理由の通知に対して要旨以下のように意見を述べ、証拠として、乙第1号証ないし乙第23号証を提出した。
(1)振り仮名に相当する片仮名文字を有する商標について
本件商標と引用商標は、いずれも欧文字とその振り仮名に相当する片仮名文字を2段に書したものである。かかる商標の称呼は、片仮名文字が欧文字部分の称呼を特定すべき役割を果たすものと無理なく認識し得るときは、片仮名文字部分より生ずる称呼を自然の称呼とみるのが相当である。
そして、この考え方が審決、異議決定において多数採用されているところである(乙第3号証ないし乙第7号証)。
(2)審判官は、引用商標について、その構成中の欧文字部分「PREMIER」は、英語及び仏語において一般に知られた語であるとして、片仮名文字部分「プルミエ」の振り仮名の効果を無視して、該片仮名文字文字部分より「プルミエ」の称呼を生じるとする以外に、その欧文字部分より「プレミア」の称呼を生ずると認定している。このことは、上記審決、異議決定において多数採用されている認定と異なる。
(3)また、引用商標に関連する商標をインターネット上で検索するに、「プルミエ」が発見できるのみで「プレミア」は発見できない。この取引の事情を考慮すれば、引用商標の称呼は、「プルミエ」と推測される(乙第11号証の1ないし3)。
(4)観念について、本件商標からは、「最初の」の観念を生じないとはいえないものの、むしろ、「初演、初公開」、「スポーツリーグ」を想起するのが普通であり、一方、引用商標は漠然と仏語であると認識するにとどまり,何らかの特段の観念を生ずるとして観念上類似するとはいえない
(5)外観については、一見して明らかに識別可能な外観構成からなるものであり、相互に非類似である。
(6)そうとすると、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点においても、類似しないものである。

6 当審の判断
(1)商標権者は、「前記5 取り消し理由に対する商標権者の意見」で、引用商標の片仮名文字部分が欧文字部分の称呼を特定すべきものと無理なく認識し得るときは、片仮名文字部分より生ずる称呼を自然の称呼と見るべきであり、引用商標は「プルミエ」の称呼のみを生ずるとし、審決例を挙げて、主張している。
確かに、引用商標においては、「プルミエ」の称呼も不自然ではないから、片仮名文字により、欧文字部分からも「プルミエ」の称呼を生ずることは否定しないが、 構成中の「PREMIER」の欧文字部分は、例えば小学館「英和中辞典」において高校程度で習得する英単語として掲載され、我が国では、「第1位の、首位の、最高の」等の意味を有する既成語として一般に知られているものであるから、その英語読みである「プレミア」の称呼も自然の称呼というべきである。
そうすると、引用商標は、「プレミア」の称呼をも生ずることは少なからずあるというのが相当である。
このことは、商標審査基準において、「例えば、『白梅』における『ハクバイ』及び『シラウメ』のように2つ以上の自然の称呼を有する文字商標は、その一方を振り仮名として付した場合であっても、他の一方の自然称呼を生ずるものとする。」(商標審査基準 九、商標法第4条第1項第11号(先願に係る他人の登録商標)4.(ロ)参照)とされているところである。
(2)また、商標権者は、観念について、「本件商標からは、『最初の』の観念を生じないとはいえないものの、むしろ、『初演、初公開』、『スポーツリーグ』を想起するのが普通であり、一方、引用商標は漠然と仏語であると認識するにとどまり,何らかの特段の観念を生ずるとして観念上類似するとはいえない」と主張している。
しかし、本件商標及び引用商標中の「premier」及び「PREMIER」は、欧文字と小文字の違いに過ぎないものであり、したがって、いずれも上記のとおり、「第1位の、首位の、最高の」等の意味合いを有する語として親しまれているものであるから、本件商標は、「初演、初公開」の観念を生ずることがあるとしても、欧文字部分より「第1位の、首位の、最高の」等の観念を生ずるものであり、引用商標は、「プルミエ」からは、何らの観念を生じないとしても、欧文字部分より「第1位の、首位の、最高の」の観念を生ずるというべきである。
そうすると、本件商標と引用商標は、いずれも「第1位の、首位の、最高の」の観念をも生ずる点において、観念上、相紛らわしいものといえる。
(3)さらに、商標権者は、外観について、「一見して明らかに識別可能な外観構成からなるものであり、相互に非類似である」としている。
しかしながら、本件商標中の「premier」及び引用商標中の「PREMIER」はいずれも独立して看取されるものであり、本件商標と引用商標は、該欧文字部分において外観においても類似するものと判断する(なお、商標構成中の一部をもって外観上比較した事例、成語の大文字部分と小文字部分とを外観において類似とされた事例として、平成20年(行ケ)第10100号(知財高裁平成20年10月30日判決言渡)、平成20年(行ケ)第10295号(知財高裁平成21年1月29日判決言渡)、平成18年(行ケ)第10280号(知財高裁平成18年12月20日判決言渡)などがある。)。
そして、商標法4条1項11号に係る商標の類否は、同一又は類似の商品又は役務に使用された商標が、その外観、観念、称呼等によって取引者,需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して、その商品又は役務に係る取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すべきものである(最高裁昭和39年(行ツ)第110号昭和43年2月27日第三小法廷判決)ところ、本件商標と引用商標とは、それぞれ称呼及び観念を共通にし、かつ構成中の「premier」と「PREMIER」の欧文字部分において、外観上も近似する類似の商標というのが相当である。
(4)また、申立人は、取引の実情として、引用商標権者が使用している商標は、「プルミエ」であると主張し、引用商標より生ずる称呼は、「プルミエ」であると主張しているが、仮に、引用商標が使用されていない実情があるとしても、本件商標と引用商標とがその指定商品に使用された場合には、互いに相紛らわしい類似の商標であることは前記のとおりである。
そして、例示の審決、異議決定等は、その商標が造語であるか既成語であるか、既成語であっても一般に知られているか否かにおいて本件と事案を異にするものである。
以上のとおり、商標権者の主張は何れも採用できない。
(5)してみれば、本件商標についてした前記4の取消理由は妥当であって、本件商標は、商標法第4条第1項11号に違反して登録されたものといわざるを得ない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2009-11-30 
出願番号 商願2003-45205(T2003-45205) 
審決分類 T 1 651・ 261- Z (Y03)
T 1 651・ 263- Z (Y03)
T 1 651・ 271- Z (Y03)
T 1 651・ 262- Z (Y03)
最終処分 取消  
前審関与審査官 渡邉 健司酒井 福造 
特許庁審判長 芦葉 松美
特許庁審判官 岩崎 良子
内山 進
登録日 2008-10-31 
登録番号 商標登録第5176990号(T5176990) 
権利者 ロート製薬株式会社
商標の称呼 プレミア、プルミエ 
代理人 小谷 悦司 
代理人 竹内 裕 
代理人 川瀬 幹夫 

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