• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 009
管理番号 1211447 
審判番号 取消2008-300305 
総通号数 123 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-03-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2008-03-12 
確定日 2010-02-19 
事件の表示 上記当事者間の登録第4039352号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4039352号商標(以下「本件商標」という。)は、「スキャンメール」の片仮名文字を横書きした構成よりなり、平成7年11月20日に登録出願され、第9類「磁気探知機・超音波応用探知機等の電子応用機械器具及びその部品,測定機械器具,電気磁気測定器,郵便切手のはり付けチェック装置,電気通信機械器具,盗難警報器,火災報知機」を指定商品として、同9年8月8日に設定登録されたものである。
また、本件審判の請求登録日は、平成20年3月31日である。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品中、第9類「磁気探知機・超音波応用探知機等の電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具」についての商標登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
商標権者は、日本国内において本件商標を、継続して3年以上「磁気探知機・超音波応用探知機等の電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具」について使用していない。
また、その商標登録原簿に徴する限り、専用使用権或いは通常使用権が設定或いは許諾されている事実も見当たらない(甲第1号証)。
よって、上記各指定商品についての登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。

2 弁駁の理由
(1)乙各号証(被請求人提出に係る参考資料1ないし参考資料4は、乙第1号証ないし乙第4号証と読み替え扱う。)によれば、次の事実を認めることができる。
ア 乙第1号証について
乙第1号証は、商標権者の製品カタログの抜粋と認められる。
同号証の目次には、「郵便不審物選別装置 スキャンメール10K」の記載がある。
また、同号証の第77頁の中段には、枠囲みで「商品名」と仕様が記載されているが、「商品名」は「スキャンメール10K」とされている。さらに、当該ページ下段において使用例を示す写真と共に「スキャンメール10Kに通します」と記載されている。
同号証の第93頁には、郵便不審物選別装置の図が掲載されているが、ここで使用されている製品名は「スキャンメール10K」である。
以上のとおり、同号証において使用されているのは、「スキャンメール10K」であって、本件商標「スキャンメール」が使用されている事実は存在しない。

イ 乙第2号証について
乙第2号証は、製品製造元、英国SCANNA MSC LTD(以下「スキャナ社」という。)のホームページ印刷物の写しと認められる。
同号証には、「SCANMAIL 10K」という商標らしきものが使用されていることは伺えるが、本件商標「スキャンメール」が使用されている事実は存在しない。

ウ 乙第3号証について
乙第3号証は、スキャナ・ジャパン株式会社(以下「スキャナ・ジャパン社」という。)のカタログとされている。
同号証には、「スキャンメール 10K」という商標らしきものが使用されていることは伺えるが、本件商標「スキャンメール」が使用されている事実は存在しない。
また、同号証が、何時、どのように頒布されたものかは何ら立証されてなく、これが本件審判請求の登録前3年以内のものであることが証明されていない。

エ 乙第4号証について
乙第4号証は、「商標使用説明書」とされている。
しかしながら、同号証の内容は、「事務所設立・事業開始に関するプレスリリース記事原稿」であり、本件商標は全く使用されていない。
したがって、詳細を検討するまでもなく、本件商標の使用を証明するものではない。

(2)社会通念上同一と認められる商標の使用
以上(1)で認定したとおり、乙各号証は、「スキャンメール10K」を審判請求に係る指定商品について使用をしていることを示しているに過ぎず、本件商標「スキャンメール」を使用していることを証明していない。
そして、使用に係る商標「スキャンメール10K」は、本件商標「スキャンメール」に必然性のない構成要素「10K」を付加しているため、本件商標と社会通念上同一と認められる商標とはいえない。

(3)使用権者
被請求人は、「スキャナ・ジャパン社に本件商標の通常使用権を許諾している。」と主張しているが、乙各号証によっては、スキャナ・ジャパン社が使用権者に該当することは何ら立証されていない。
してみれば、スキャナ・ジャパン社は、本件商標の使用権者に該当しない権原なき第三者であって「商標権者または使用権者による登録商標の使用」という商標法第50条第1項に規定する主体的要件を欠くものである。
したがって、本件商標が使用されていることの証明には該当しない。
また、スキャナ社については、同社が、商標権者、使用権者のいずれかに該当することは何ら証明されていない。
してみれば、スキャナ社は、本件商標の使用権者に該当しない権原なき第三者であって「商標権者または使用権者による登録商標の使用」という商標法第50条第1項に規定する主体的要件を欠くものである。
したがって、本件商標が使用されていることの証明には該当しない。

(4)結語
以上述べたとおり、被請求人が提出した答弁書及び証拠は、いずれも商標権者又は使用権者によって本件商標が使用されている事実を示すものではない。
したがって、本件商標の登録は法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第4号証を提出した。
1 使用事実
(1)乙第1号証について
乙第1号証は、商標権者の製品カタログの抜粋である。
同号証を参照すると、同人が取り扱っている製品の一つ、「郵便不審物選別装置」が紹介されており、その製品名として本件商標「スキャンメール」が使用されていることを認識することができる。
また、同号証の裏ページには、「平成17年4月現在のものです。」との記載があり、少なくとも、平成17年4月に本件商標が使用されていたことは明白である。

(2)乙第2号証及び乙第3号証について
乙第2号証は、スキャナ社のホームページ印刷物であり、乙第3号証は、スキャナ・ジャパン社のカタログである。
乙第2号証及び乙第3号証のいずれにも、本件商標が製品名として、見出しに使用されている。

(3)乙第4号証について
乙第4号証は、スキャナ・ジャパン社の商標使用説明書である。
同号証には、平成19年4月3日付けで事務所が設置され、製品の販売が開始されていることが記載されている。
同号証の使用説明書には、「代表的な取扱製品」として「1.封書・小型宅配使用一次スクリーニング装置」との記載があるが、これは、本件商標「スキャンメール」が使用されている製品である。

(4)本件商標が使用されている商品
本件商標が使用されているのは、「郵便不審物選別装置」である。
「郵便不審物選別装置」は、本件審判の請求に係る指定商品中の「磁気探知機」であり、高感度磁気センサによって、クリップ、ホチキス針等の一般的な金属と、爆発物の部品と覚しき不審な金属片や刃物等との違いを見分け、不審物が探知されるとアラームで、警告を発する構成となっている。

2 結語
以上のとおり、本件商標「スキャンメール」は、商標権者及び使用権者によって、本件審判請求の登録の日から現在に至るまで、磁気探知機である郵便不審物選別装置の名称として使用されている。

第4 当審における審尋
当審において、被請求人に対して、次のとおり審尋した。
1 乙第1号証の原本を提出されたい。

2 乙第1号証ないし乙第3号証には、「スキャンメール10K」、「SCANMAIL10K」の文字が表示されているところ、当該文字中の「10K」が、規格、型式、仕様等を表示しているのであれば、その旨主張されたい。そして、当該主張をするのであれば、それを証する書面を提出されたい。

3 乙第4号証は、右端にあるべき文字が一部印刷されていないと思われるので、該当資料全体を印刷した書面を提出されたい。

4 乙第1号証及び乙第3号証が、何時、何処で、誰に対して何部配布されたかを証する書面を提出されたい。

5 本件商標を付した商品が実際に販売されたのであれば、それを証する取引書類(領収書等)を提出されたい。

第5 上記第4の審尋に対する被請求人の回答(要旨)
1 乙第1号証は、被請求人の会社カタログであるところ、在庫が一冊しか残っておらず、また、冊子自体が分厚く原本の提出が困難なため該当箇所を写真で提出する(補足資料1)。

2 乙第1号証ないし乙第3号証には、「スキャンメール10K」、「SCANMAIL10K」の文字が表示されているが、当該文字中の「10K」は、型式を表示したものである。当該主張を証する書面として、補足資料3ないし6を提出する。

3 乙第4号証については、資料全体を印刷した書面を提出する。

4 乙第1号証は、2005年4月から2006年4月の期間に、被請求人のショールーム及びセキュリティ製品販売先で、セキュリティ製品関連の顧客に対して、4000部を配布した。
乙第3号証は、インターネット上の会社案内であるから、誰に対して、何部配布したかを特定することは不可能である。しかしながら、該頁は、本件商標の使用権者スキャナ・ジャパン社設立の平成19年4月より現在に至るまで使用されているものである。

5 本件商標を付した商品の取引書類については、必要があれば提出する。

第6 当審の判断
1 乙第1号証について、
乙第1号証は、製品カタログの抜粋の写しと認められる。
同号証の第77頁には、「郵便不審物選別装置/スキャンメール10K(英国SCANNA MSC LTD製)」の記載、「高い選別能力 高感度磁気センサは、クリップ、ホチキス針金属タグなどの一般的な金属製品と、爆発物の部品と思われるような不審な金属片や刃物などとの違いを見分けることができます。また、テストカードにより精度チェックが行えます。」の記載及び郵便不審物選別装置の写真中に二段に書された「SCANMAIL」、「10K」の記載がある。
また、同号証の裏表紙右下には、商標権者の名称の記載及び「平成17年4月現在のものです。」の記載がある。
以上の事実から、商標権者の製品カタログに「郵便不審物選別装置」が紹介されたこと、当該「郵便不審物選別装置」は「スキャナ社」製であり商標「スキャンメール10K」(以下「使用商標」という。)が使用されていること及び当該カタログにおいて紹介されている商品は「平成17年4月現在のものである」ことを認めることができる。
ところで、同号証は、表紙及び目次よりして、商標権者が販売するセキュリティ設備機器全体の製品カタログであると推認し得るものである。
そして、一般に、そのような製品カタログは、相当部数作成され、取引先等に配布されるのが実情である。
そうとすれば、同号証も相当部数作成され、取引先等に配布されたものと推認することができる。
してみれば、同号証が、2005年4月から2006年4月の期間に、被請求人のショールーム及びセキュリティ製品販売先で、セキュリティ製品関連の顧客に対して、4000部を配布した旨の請求人の主張は、不自然なところがないので、これを認める。

2 社会通念上同一と認められる商標について
(1)使用商標「スキャンメール10K」が本件商標「スキャンメール」と社会通念上同一と認められる商標であるかどうか検討する。
ア 各種機械器具の分野にあっては、商標の使用は当該商品の仕様、規格や型式、或いは品質や等級など、商標を付する対象商品の種類や種別に応じて、適宜に記号・符号を加えて使用されるのが通常であるところ、本件審判の請求に係る指定商品は、機械器具の分野に属する商品である。

イ 使用商標「スキャンメール10K」は片仮名と数字及び欧文字の組合せよりなるところ、「10K」のように数字2文字及び欧文字1文字よりなる組合せは、商品の記号・符号として使用されることが多く、商品の記号・符号として使用される場合は、しばしば、商標の後ろに付加される実情にある。

ウ 郵便不審物選別装置の写真(乙第1号証及び補足資料4)には、「SCANMAIL」と「10K」とが2段に分離して表示されている。

エ 乙第3号証には「スキャンメール(SCANMAIL 10K)」、「スキャンメールで発見できる対象物」と表示されていることから、「スキャンメール10K」が、「スキャンメール」と略称されて、使用されている事実が認められる。

オ 補足資料5は、「月刊GARGO(2008年2月号)」48頁のコピーと認められるところ、「卓上型レターボム検知器『スキャンメール』」及び「『スキャンメール』は厚さ6cmまでの不審物を投入口に差し込むだけで自動的に検査できる。」の表示がある。

カ 補足資料6は、「日刊航空貿易 2008年1月8日」15頁のコピーと認められるところ、「卓上型レターボム検知器『スキャンメール』」の表示がある。

(2)小括
上記(1)で認定した事実を総合勘案すれば、使用商標「スキャンメール10K」の構成中「10K」の部分は、商品の規格、型式等を表示したものであり、それゆえ、実際の取引にあっても「10K」の部分が省略されて使用されていると解するのが相当である。
そうとすれば、使用商標構成中「10K」の部分は、商品の自他商品識別標識としての機能のない部分であるというべきであるから、その付加が、本件商標の社会通念上の同一性を損なうものということはできない。
したがって、使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標であるというべきである。

3 結語
以上のとおり、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が、本件審判請求の予告登録前3年以内に、日本国内において、取消請求に係る指定商品中の「磁気探知機・超音波応用探知機等の電子応用機械器具及びその部品」の範囲内にある商品の一つである「郵便物不審物選別装置」について、商標権者によって、商品に関する広告に使用されていたものということができる。
したがって、本件商標の取消請求に係る指定商品ついての登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2009-03-06 
結審通知日 2009-03-10 
審決日 2009-03-25 
出願番号 商願平7-120456 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (009)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岩本 和雄 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 小川 きみえ
佐藤 達夫
登録日 1997-08-08 
登録番号 商標登録第4039352号(T4039352) 
商標の称呼 スキャンメール 
代理人 村田 幹雄 
代理人 香原 修也 
代理人 藤田 雅彦 
代理人 広川 浩司 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ