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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X20
管理番号 1211390 
審判番号 不服2009-5460 
総通号数 123 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-03-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-03-12 
確定日 2010-01-20 
事件の表示 商願2008- 45655拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「ひんやりジェルマット」の文字を横書きしてなり、第20類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成20年6月11日に登録出願され、その後、指定商品については平成21年1月26日付け提出の手続補正書により、第20類「保冷効果を有するジェル状の化学物質を充填した愛玩動物休息用マット,保冷効果を有するジェル状の化学物質を充填した愛玩動物冷却用マット,保冷効果を有するジェル状の化学物質を充填したその他の愛玩動物用マット,保冷効果を有するジェル状の化学物質を充填した愛玩動物用布団用・ベッド用又はマットレス用敷きパッド」に補正されたものである。

2 原査定における拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『冷たい感触・雰囲気であるさま』を意味する『ひんやり』の平仮名文字、『ゼリー状に固化したもの』等を意味する『ジェル』の片仮名文字及び『敷物』を意味する『マット』の片仮名文字を普通に用いられる方法で『ひんやりジェルマット』と一連に表示してなり、全体として『冷たい感触のゼリー状の敷物』の意味合いを認識させるものであるから、これを本願指定商品に使用するときは、『冷たい感触のゼリー状の愛玩動物休息用マット,冷たい感触のゼリー状の愛玩動物冷却用マット,その他の冷たい感触のゼリー状の愛玩動物用マット,冷たい感触のゼリー状の愛玩動物用布団用・ベッド用又はマットレス用敷きパッド』と理解されるにとどまり、単にその商品の品質、原材料を普通に用いられる方法で表示するものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
本願商標は、前記1のとおり、「ひんやりジェルマット」の文字を書してなるところ、その構成中、「ひんやり」は「冷たい感触・雰囲気であるさま。」等を、「ジェル」は「ゼリー状のもの。」等を、「マット」は「床などに敷く敷物。また、布団の下に敷く、弾力性のあるもの。」等を意味する語(いずれも広辞苑第六版)として一般に知られており、全体として「ひんやりとするジェルのマット」であること、つまりは「冷たい感触のゼリー状のものを用いた敷物」程の意味合いを容易に理解させるものである。
ところで、夏の暑さ対策のための商品や、夏の暑さ等をしのぐための機能を付加した商品には、多種多様なものが存在しているところ、それらの中には、その機能実現のため、ジェル(ゼリー状の物質)を用い、敷物のように使用する商品も存在しているところである。
そして、そのような商品は、人用のみならず、本願指定商品を含む、ペット用の商品においても見受けられるところであり、該商品の品質を表示する語として、「ひんやり」、「ジェル」、「マット」の各語が用いられている実情は、原審における拒絶査定で示したインターネット情報の他に、例えば、以下のインターネット情報における記載からも十分裏付けられるところである。
(1)アイリスオーヤマ株式会社のウェブサイトにおいて、「暑い季節の必需品!“クールマットシリーズ”を発売」のタイトルページに、「当社は、ペットのための夏の暑さ対策グッズ“クールマットシリーズ”を全国のホームセンターやGMSなどで2009年3月20日(金)から発売いたしました。従来から発売している商品に加えて、水につけたり冷凍庫で凍らせる必要の無いジェルマットタイプと、折りたためるので持ち運びに便利なアルミマットタイプを新たに発売しました。」との記載があり、さらに、その下の「クールジェルマット」の項には、「1.凍らせずにそのまま使える! ジェルが体から熱を吸収してひんやりするため、本体を冷やす必要がありません。 2.両面構造でいつでもひんやり マットの中心に断熱効果のあるマットを入れているのでジェルが熱を吸収してぬるくなっても、裏を返せばまたひんやりとした面が当たりずっと涼感が続きます。」との記載がある。<http://www.irisohyama.co.jp/news/2008/0325-2.html>
(2)ペットオアシスのウェブサイトにおいて、「クールアルミジェルマット」の商品ページに、「ペットの夏バテ予防に最適! ひんやり涼しい クール冷却ジェルと放熱性の優れたアルミのW効果!! 冷蔵庫などで冷やさなくても、ひんやり冷たい機能商品です」との記載がある。<http://petoasis.net/?pid=14659443>
(3)センチュリーペット豊明店のウェブサイトにおいて、「フルーツ村の ひえひえジェルマット Sサイズ ピンク」の商品ページに、「商品詳細情報」の項の下、「簡単!敷くだけのひんやりマットです! ジェルマットはペットの体温をジェルで吸熱(熱移動)し、アルミで放熱(放射)を繰り返し、マットはひんやりとした冷たさを持続します。」との記載がある。<http://www.dream-mart24.jp/shopdetail/027007000002/order/>
(4)有限会社小岩ペットのウェブサイトにおいて、「ぬくひえマット 8?10時間タイプ」の商品ページに、「冬の寒い日はレンジで加熱、夏の暑い日は冷凍庫で冷却!タオルに巻いて専用カバーにセットすれば、オールシーズン快適に使えるペット専用のジェルマットです。」との記載があり、また、同ページ掲載の商品パッケージの写真中には、「W」の欧文字を挟み、左側に「冬はあったか」、右側に「夏はひんやり」との記載がある。<http://www.koiwa-pet.com/46hoon/ho_044.html>
(5)ペットサロンポチの家のウェブサイトにおいて、「カントリー風 ペット用ベッド クールジェルマット#4」の商品ページに、「こちらは☆夏バージョン☆で『クールでわん』(冷却用ジェルシート)セットです。」、「暑??い夏・・・ワンちゃんにクールジェルマットで元気に乗り切ってもらいましょう♪ 夏は付属の『クールでわん』(冷却用ジェルシート)でひんやり 冬はお好みでお布団を置いてあげてくださいね」との記載がある。<http://www.pochihouse.jp/SHOP/72.html>
(6)ユーザー株式会社のウェブサイトにおいて、「涼感ジェルマット L」の商品ページに、「この夏はひんやり・ぐっすり! 自然なひんやり感! 適度なクッション性! 背中から腰まで、ぐっすり安眠!」との記載がある。なお、当該商品自体は人用のものであるが、「ご用意のサイズは次の通りです」との記載に続いて列挙された8つの商品のうちの一つに、「ひえひえ爽快ジェルマット ペット用もご用意!」と記載された商品が写真とともに掲載されている。さらに、その下には、「涼感ポイント1」に関する記載として、「ジェルの主成分は『水』です。水はその周りの温度になろうとする性質があります。ですので、お部屋の温度が28℃だとしたら、涼感ジェルマットも28℃になります。私たちの体温は、ほとんどの方が36℃位ですので、当然28℃の涼感ジェルマットは『ひんやり』感じます。」との記載が、「涼感ポイント2」に関する記載として、「涼感ジェルマットが体の熱を吸収して、ひんやりとしていただけます。それでけではありません!低反発マットのように、適度なクッション性で体になじみ、やさしく包み込んでくれます。」及び「マット材に、当社独自の研究開発にて生産いたしました、新素材『クールガムジェル』を採用!スポンジにジェルをしっかりとなじませて、心地よい低反発の使用感を実現!液体タイプのように、体が床に当たってしまうような、いわゆる『床付き』感がありません。」との記載が、「涼感ポイント3」に関する記載として、「洗えるのが嬉しい、カバー付きのジェルマットです。寝苦しい夜が続く熱帯夜、快適に過ごしたいですよね・・・ひんやり感じてもやっぱり汗はかいてしまいます。せっかく『ひんやり』 気持ちよく過ごせても、洗えない寝具は ちょっと嫌ですよねぇ・・・ですので私たちは 最初から 取り外しのできる、洗えるカバー付きで商品開発をしました。」との記載がある。<http://shop.user.co.jp/products/detail-132.html>
(7)ライフタイムのウェブサイトにおいて、「冷却ジェルシート ハーフサイズ COOL GEL PLUS」の商品ページに、「【寝る時以外にもリビングで使ったりペットにも】冷却ジェル低反発シート クールジェルプラスマット 90×90cm 触るだけで冷たさを実感熱帯夜も快適に過ごすこの夏必須アイテム」、「夏の定番アイテムとなった冷却ジェルマット COOL GEL PLUSが新登場 触れた瞬間にわかる冷たさは驚きです! 今お使いのお布団やマットレスの上に敷くだけの簡単・便利 体にやさしく、エアコン代節約のエコ冷却ジェルマットです。」との記載があり、さらに、「※これからの時期、ペットにも」の項の下、マットの上に乗った犬の写真とともに「厚さに弱いペットにも♪ ひんやり気持ちいいから気に入ってくれるはず」との記載がある。<http://tenant.depart.livedoor.com/t/lifetime3/item5418766.html>
以上よりすれば、本願商標を、その指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、「ひんやりとするジェルのマット(冷たい感触のゼリー状のものを用いた敷物)」程の意味合いを容易に想起し、単に該商品の品質を表示したものと理解するに止まり、自他商品識別標識としての機能を果たし得るものとは認識しないというべきである。
なお、請求人は、「本願商標が、請求人(出願人)の造語であり、本願の指定商品に係る取引の実際・実情において、このような本願商標の表示形態及び称呼のものは、市場で未だかつて、全く使用されたことがないものであるから、その商品が具体的にいかなる品質であるか、取引者、需要者は理解できない」、及び「原審で引用した事例は、商標としての使用例では全くなく、単にインターネット上の文章中又は標語の類の一語としてのものであり、しかも、本願商標『ひんやりジェルマット』そのものの使用例があるわけでは決してなく、これらの事由をもって、本願商標は決して拒絶されるべきものではない」旨主張している。
しかしながら、本願指定商品の分野において、ひんやりとするジェルを使用したマットが、商品として複数実在する上、「ひんやり」、「ジェル」、「マット」の語のほか、「ジェル」と「マット」を結合した「ジェルマット」の語が、商品の特徴、品質を表す際に実際に使用されていることよりすれば、これらの語を一連に書したにすぎない本願商標は、これに接する取引者、需要者をして、商品の品質等を表示するものとして受け取られるような虞は全くないとは言い難く、むしろ、「ひんやりとするジェルのマット(冷たい感触のゼリー状のものを用いた敷物)」程の意味合いを容易に理解し得るというべきであり、また、商標法3条1項3号の適用は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る商標につき、登録を受けることはできないとしたものであって、該表示が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、必ずしも要求されないものと解されていることからすれば、請求人の当該主張は採用できない。
また、「ひんやり」、「ジェル」、「マット」などの語が、前記意味合いをもって、商品の特徴、品質を表す際に実際に使用されているのであれば、それらの事例は、本願商標に接する需要者等が「ひんやりとするジェルのマット(冷たい感触のゼリー状のものを用いた敷物)」程の意味合いを理解することの証左であって、本願商標そのものの使用例の有無については、前述のとおり、商標法3条1項3号の適用にあたって、現実に使用されている等の事実は、必ずしも要求されないものと解されていることから、請求人の当該主張は採用できない。
さらに、請求人は、過去の登録例を挙げて、本願商標が登録されるべきである旨主張しているが、商標の類否の判断は、当該出願に係る商標と他人の登録商標との対比において、個別・具体的に判断すべきものであり、過去の登録例等の判断に拘束されることなく検討されるべきものであるから、請求人の当該主張は採用できない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2009-11-18 
結審通知日 2009-11-24 
審決日 2009-12-09 
出願番号 商願2008-45655(T2008-45655) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X20)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山田 忠司竹内 耕平 
特許庁審判長 内山 進
特許庁審判官 赤星 直昭
井出 英一郎
商標の称呼 ヒンヤリジェルマット、ヒンヤリジェル、ヒンヤリ、ジェルマット、ジェル 
代理人 下山 冨士男 

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