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審決分類 審判 全部無効 商4条1項8号 他人の肖像、氏名、著名な芸名など 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y33
管理番号 1211379 
審判番号 無効2009-890066 
総通号数 123 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-03-26 
種別 無効の審決 
審判請求日 2009-06-05 
確定日 2010-01-15 
事件の表示 上記当事者間の登録第4852037号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4852037号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4852037号商標(以下「本件商標」という。)は、「Twiggy」の欧文字を標準文字で表してなり、平成16年8月27日に登録出願、第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」を指定商品として、平成17年2月21日に登録査定、同年4月1日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論と同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第30号証を提出している。
1 無効事由
(1)本件商標に請求人の芸名が含まれることについて
本件商標は、「Twiggy」の欧文字を標準文字で横書きした構成からなり、請求人の芸名は、欧文字綴りにするときは「TWIGGY」ないし「Twiggy」である。
よって、本件商標と請求人の芸名とは同一であって、本件商標に請求人の芸名が含まれることは明白である。
(2)「Twiggy」が請求人の著名な芸名であることについて
「Twiggy」が請求人の著名な芸名であることは、本件商標と同じ「TWIGGY」よりなる別の商標(登録第4613097号)に関する無効審判事件(無効2007-890164:甲第3号証)において、「請求人の芸名は、本件商標の登録出願時においてもなお、我が国のファッション関連の需要者のみならず、一般の需要者の間においても、広く認識されていたものとみるのが相当であって、その著名性は、本件商標の査定時(平成14年9月3日)にも継続していたものということができる。」旨判断した事実より明らかである。
さらに、同じく「TWIGGY」よりなる商標に関しての商標登録第4520099号無効審判事件(無効2006-89157)、商標登録第4499194号無効審判事件(無効2006-89116)、商標登録第4499195号無効審判事件(無効2006-89117)、商標登録第4499193号無効審判事件(無効2006-89115)においても、特許庁は「TWIGGY」が請求人の著名な芸名であることを認めており、各審決はいずれも確定している。
そうすると、「TWIGGY」の文字は、請求人の芸名として、本件商標の登録出願時はもとよりその登録査定時において、著名なものであったこと上記の各審決から明白であるから、本件商標は、請求人の著名な芸名と同一の綴り字よりなるものであって、他人の著名な芸名を含む商標である。
(3)請求人の承諾の不存在
被請求人は、本件商標を登録出願するにあたり、請求人の承諾を得ていない。
2 まとめ
以上のとおり、本件商標は、他人の著名な芸名を含む商標であり、商標法第4条第1項第8号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項第1号により、その登録を無効とすべきものである。

第3 被請求人の主張
被請求人は、請求人の前記第2の主張に対し何ら答弁をしていない。

第4 当審の判断
1 芸名「Twiggy」の著名性について
(1)請求人の提出に係る証拠(甲第4号証ないし甲第30号証)及びその主張の全趣旨によれば、請求人「レズリー・ホーンビー」(なお、甲第4号証、甲第29号証及び甲第30号証によれば「レスリー・ホーンビー」と記載されている。)は、1966年にファッションモデルとしてデビューし、細くやせた肢体と短く切り込んだボーイッシュな髪型にミニスカートという、かつてなかったファッションスタイルにファッション業界の注目を集め、フランスの「エル」、イギリス、アメリカの「ヴォーグ」等世界的に著名なファッション雑誌に登場したこと、また、同人の身体の特徴から、「小枝のような、ほっそりした」などを意味する「Twiggy」なる愛称も、請求人の芸名として、ファッション業界において一躍知れわたるようになったこと、我が国においても、請求人が1967年に来日したことを契機に、請求人の細くやせた肢体と短く切り込んだボーイッシュな髪型にミニスカートいうファッションスタイルが若い女性の間で大いに受け入れられ、瞬く間にミニスカートが大流行し、そのファッションスタイルを請求人の芸名である「Twiggy」から採った「ツイギールック」などと称し、頻繁に使用されたこと、また、請求人は、1967年に来日した際に、被服メーカーの東洋レーヨン株式会社、菓子メーカーの森永製菓株式会社、自動車メーカーのトヨタ自動車工業株式会社などとスポンサー契約を締結し、その宣伝広告に請求人の肖像写真とともに「トゥイギー」の文字が使用されたこと及びその滞在期間中、請求人に関する種々の記事が「トゥイギー」の名のもとで女性週刊誌を賑わしたこと、その後、請求人は、女優として活動する傍ら、自伝「ツイッギー・・・・・・黒と白の中で」がベストセラーとなり、文庫化されたこと、また、60年代の際だったファッションモデルとして1998年以降もファッション雑誌にしばしば取り上げられているばかりでなく、1960年代のファッションスタイルの復興などの動きに伴い、ファッション業界で再度脚光を浴びたこと、2004(平成16)年3月の再来日の際にも、種々のマスコミに取り上げられたこと、などが認められる。
(2)前記(1)で認定した事実を総合すると、請求人の芸名である「Twiggy」及びその片仮名表記である「ツイギー」、「トゥイギー」、「ツイッギー」等は、ミニスカートを着用する肢体の細いファッションモデルというイメージと強固に結びつき、1960年代の後半以降、我が国のファッション関連の商品分野の需要者のみならず、一般世人の間にきわめて強い印象を与えたものであることが認められる。
さらに、当時、爆発的に流行したミニスカートというファッションスタイルは、その後の我が国において定着し、ファッションスタイルの一類型として確立されたことや1998年頃に、1960年代のファッションスタイルが再認識されたことなどともあいまって、請求人の芸名は、本件商標の登録出願時においてもなお、我が国のファッション関連の需要者のみならず、一般の需要者の間においても、広く認識されていたものとみるのが相当であって、その著名性は、本件商標の査定時(平成17年2月21日)にも継続していたものということができる。
2 商標法第4条第1項第8号該当性について
本件商標は、前記第1のとおり、「Twiggy」の欧文字を書してなるものであり、該「Twiggy」の文字は、前記1認定のとおり、請求人の芸名として、本件商標の登録出願時はもとよりその登録査定時においても、著名なものであったと認め得るものである。
そして、本件商標の登録査定時において、請求人が被請求人(商標権者)に対し、本件商標の登録出願について、承諾を与えたと認めるに足る証拠は見いだせない。
そうすると、本件商標は、請求人の著名な芸名である「Twiggy」と同一の綴り字よりなるものであるから、他人の著名な芸名を含む商標というべきであり、請求人による承諾を得て商標登録を受けたものではない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当するものである。
3 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第8号に違反してされたものであるから、同法第46条第1項の規定により、無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2009-10-29 
結審通知日 2009-11-04 
審決日 2009-11-30 
出願番号 商願2004-82995(T2004-82995) 
審決分類 T 1 11・ 23- Z (Y33)
最終処分 成立  
特許庁審判長 森吉 正美
特許庁審判官 渡邉 健司
鈴木 修
登録日 2005-04-01 
登録番号 商標登録第4852037号(T4852037) 
商標の称呼 トゥイギー、ツイギー 
代理人 辻 哲哉 
代理人 山崎 卓也 

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