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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) X031645
審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) X031645
管理番号 1210092 
異議申立番号 異議2008-900485 
総通号数 122 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2010-02-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2008-12-04 
確定日 2009-12-28 
異議申立件数
事件の表示 登録第5164996号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5164996号商標の商標登録を取り消す。
理由 1 本件商標について
本件登録第5164996号商標(以下「本件商標」という。)は、「リッツセレモア」の片仮名文字を標準文字で表してなり、平成19年4月2日に登録出願、第3類「植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,薫料」、第16類「新聞,雑誌,書籍,その他の印刷物」及び第45類「葬儀の執行,墓地又は納骨堂の提供,祭壇の貸与」を指定商品又は指定役務として、同20年8月15日に登録査定、同年9月5日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、結論同旨の決定を求めると主張し、その理由として要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第48号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第15号について
ア 申立人及びその許諾による使用権者の使用に係る商標「RITS(リッツ)は遅くとも本件商標の出願日前から現在に至るまでわが国において広く知られ著名であったこと。
イ 本件商標「リッツセレモア」は著名商標「RITS(リッツ)」に類似する商標であること。
ウ 「セレモアつくば」は商標「RITS(リッツ)」の著名性を認識しながら意図的に、そしてフリーライドを目的に「リッツ」の文字を含む本件商標を出願したことに照らし、本件商標は、「RITS(リッツ)」との関係において広義の混同を生じるおそれがある商標であるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第8号について
「RITS(リッツ)」は、申立人が経営を担う「HOTEL RITS」並びに申立人が商標「RITS(リッツ)」について使用許諾を与えている「THE RITS CARLTON」の著名な略称である。
また、「HOTEL RITS」、「THE RITS CARLTON」が遅くとも本件商標の出願日前から現在にかけて、わが国において広く知られ著名であったことは、提出した証拠のとおりである。さらに、申立人と、「セレモアつくば」との間には、経済的又は組織的関係は一切なく、申立人が「セレモアつくば」に対して著名商標「RITS(リッツ)」の出願の承諾を行った事実はない。したがって、本件商標は、「他人の指名の著名な略称を含む商標」に該当するものであって、申立人の承諾を得ていないものであるから、商標法第4条第1項第8号に該当する。
(3)結論
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号、同法第8号の規定に該当し、同法第43条の3第2項の規定により取り消されるべきものである。

3 本件商標の取消理由
商標権者に対して、平成21年8月31日付けで通知した取消理由は、要旨以下のとおりである。
(1)申立人の使用に係る標章の著名性について
申立人の提出に係る甲各号証及び申立人の主張並びに職権による調査によれば、以下の事実が認められる。
ア 1896年、セザール・リッツはロンドンにて「ホテル リッツ パリ」を経営する有限会社「ザ・リッツ・ホテル・リミテッド」を創立した。1920年、彼の未亡人が商標権を現在の名義人である「ザ・リッツ・ホテル・リミテッド」に譲渡した。ヨーロッパの貴族、財界の重要人物、政界のエリート、著名なアーティストなどが皆ここで交わり、このホテルは「パリの真ん中で、街のリズムを整えているよう」です(ヴォーグ誌)・・・英国皇太子、イランのシャー、スペイン、スウェーデン、ポルトガルの国王などの王族はここで晩餐や休息の時間を過ごし、ウィンザー公夫妻はホテルを定まった滞在地とした。ルドルフ・ヴァレンティノ、マレーネ、ディートリヒ、チャーリー・チャップリン、「神聖ガルボ帝国」のグレタ・ガルボなど、映画界の有名人やスターはここで自らの栄光の反響を味わった(甲第32号証)。
イ セザール・リッツは1898年、高級宝飾店が軒を連ねていることで有名なパリのヴァンドーム広場に、自分の名前を冠した理想のホテルをつくった。快適さ、安全性、プライバシー、サービスにおいて、すべてのゲストに極上のそして自宅のようなくつろぎを提供することをめざす「ホテル・リッツ」である。同ホテルは、エドワード7世に「King of Hoteliers and hotelier to kings(ホテルの王)」と賞賛された。また、アーネスト・ヘミングウェイ氏やマルセル・プルースト氏、マダム・ココ・シャネルらの滞在先としても知られ、小説や映画にも登場するなど、リッツ・カールトンのラグジュアリーのルーツとして多くの人々を魅了し続けている。
1899年には「カールトン・ホテル」をロンドンに開業。パリの「ホテル・リッツ」と併せて、1905年に米国に設立された「ザ・リッツ・カールトン・マネジメント・カンパニー」の名前の由来となった。アメリカに進出したリッツ・カールトンでは、セザール・リッツの死後、妻マリーが彼の意思を継承し、ヨーロッパにしかないような一流のホテルを建設するという理想のもと、ホテルの経営を拡大し、ニューヨーク、フィラデルフィア、ピッツバーグ、モントリオールなどに進出した。
1927年には、ボストン市長の依頼により、エドワード・ワイナー氏が商号使用の許可を取り、ザ・リッツ・カールトン・ボストンをオープンした。
1961年にワイナー氏が亡くなった後、不動産会社の会長兼オーナーであるジェラルド・W・プレイクリー氏がザ・リッツ・カールトン・ボストンを運営するが、ホテルと全米におけるザ・リッツ・カールトンの商号使用権を1983年にアトランタのウィリアム・B・ジョンソンに売却。ホテルの運営と商号使用権をとりまとめたジョンソンは、「ザ・リッツ・カールトン・ホテル・カンパニーL.L.C」を設立した。これが現在の“新世代のリッツ・カールトン”の始まりとなる。前述の使用許諾体制もまた受け継がれ、引き続き申立人による使用許諾の下で、使用権者「ザ・リッツ・カールトン・ホテル・カンパニー」は着実にその事業地域を拡大していった。
現在では、「ザ・リッツ・カールトン・ホテル」は世界の主要都市や人気リゾート地に約70箇所も存在し、パリの「ホテル・リッツ」の精神に倣い、各地で世界最高水準のもてなしをゲストに提供し続けている。このことは、使用権者が、ホスピタリティ業界並びにトップクラスの消費者組織に授与された数々の栄誉ある賞を見ても明らかである。各地の「ザ・リッツ・カールトン」は軒並み5つ星、4つ星の評価を得ており、旅行誌・経済誌などさまざまな分野の格付けにおいても常に上位に「ザ・リッツ・カールトン」の名が挙がっている(甲第33号証及び甲第36号証)。パリの「ホテル・リッツ」と同様に、「ザ・リッツ・カールトン」も、数多くの著名人に利用されている実績があり、また、多数の映画の舞台となっている。例えば、「ザ・リッツ・カールトン・ボストン」は、かつて女優の「エリザベス・テーラー」などが常客であったことで知られ、「ザ・リッツ・カールトン・ラグーナニゲール」については、英国元首相「ウィンストン・チャーチル」や元NBAバスケットボール選手「マイケル・ジョーダン」、「ローリングストーンズ」のメンバーなどが常客として名を連ねている。また、「ザ・リッツ・カールトン・マリナデルレイ」では、さまざまな映画の撮影が行われている。マイケル・ダグラス主演の「ザ・ゲーム」(1997年)、ウィル・スミス主演の「エネミー・オブ・アメリカ」(1998年)などである(甲第39号証)。
ウ フランスは日本人が観光で訪れる最も代表的な国の一つであり、今般、フランスのパリに訪れる日本人は年間で60万人強にものぼる(甲第34号証)。そして、ほとんどのフランス観光誌には「ホテル リッツ」が掲載され、一般の雑誌等にもたびたび紹介されている。例えば、るるぶ/パリ ’09(出版社:JTBパブリッシング)の雑誌に「リッツ・パリ/ホテル王が夢見た華麗で優雅なたたずまい」、「・・・『世界のVIPが我が家と感じるホテル』を目指して創業した名門ホテル。・・・」の記載がある。まっぷるマガジン2009 フランス(出版社:昭文社)の雑誌に「リッツ(Ritz Paris)」「名士が集うパリの社交場」、「ホテル王のセザール リッツが1898年に開業したパリ屈指の名門。・・・」の記載がある。CREA(出版者:文藝春秋社)の雑誌に「パリで最もゴージャスな広場であるヴァンドーム広場の名を、いっそう高めているのがリッツ・パリの存在だ。・・・」の記載がある(甲第35号証ないし甲第38号証)。
エ 「ザ・リッツ・カールトン」は、パリの「ホテル・リッツ」をルーツとするホテルグループであり、パリの「ホテル・リッツ」との関係において現在の名声を得、そして、現在においても、申立人の使用許諾の下に「RITZ」「リッツ」を使用している。パリの「ホテル・リッツ」は、使用権者による事業拡大を経てさらなる注目と評価を受け、その結果、「RITZ」「リッツ」ブランドの地位は今や不動のものとなった。
オ 1997年に使用権者「ザ・リッツ・カールトン・グループ」はその事業を日本に進出させた。同社は、大阪を最初の開業地に選び、「ザ・リッツ・カールトン・大阪」を開業させた。同ホテルが提供するサービスはたちまち高い評価を得て、国内外の主要雑誌が行う読者アンケートなどで、数々の名誉を獲得している。例えば、2008年1月「コンデナスト・トラベラー」誌において世界最高のホテルの一つに選ばれた。2007年10月「週刊ダイヤモンド」誌「専門家が選んだ「日本のベストホテル」にて全国第1位、2005年7月「トラベル+レジャー」誌においてワールドベストホテルランキングでアジア地区でトップ25入り(日本全国では第1位)など、国内及び世界から高い評価を受け続けている。同ホテルでは、リッツ・カールトンのロゴをあしらったホテルのオリジナル商品や、アメニティグッズ、ブックマーク、フォトクリップ、キーホルダーなどの日用品、アクセサリーやグラス、革製品や衣服、さらには、ホテルオリジナルの最高級チョコレートを販売している(甲第33号証)。また、2003年には、日本プロ野球リーグの阪神タイガースが18年ぶりに優勝し、同チームの優勝祝賀パーティーが同ホテルで催されるなど、同ホテルは様々な角度から注目を浴び、名声を獲得している(甲第40号証)。
2007年には、申立人による商標「RITZ(リッツ)」の使用許諾の下、使用権者は、「ザ・リッツ・カールトン・東京」を六本木に開業させた。同ホテルは、「ミシュランガイド・東京・2008年」において、最高級の評価を得、翌2009年も同じく最高評価を得ている(甲第41号証ないし甲第43号)。
このように、日本においても、「ザ・リッツ・カールトン」は、高い注目を浴びているホテルの一つとなった。同ホテルは、創業者が「セザール・リッツ」であること、「RITZ」ブランドの頂点に「ホテル・リッツ」が存在していることを広く紹介している。「RITZ」ブランドは、同ホテルの日本への進出及び近年の一流ホテルブームに乗って、我が国においてさらなる評価を得、その名声と知名度がさらに高まった。
カ 「ザ・リッツ・カールトン・ホテル」が提供するサービスは、分野を越えて、様々なサービス業者から注目を浴びており、「ザ・リッツ・カールトン・ホテル」を主題にして、その成功の秘訣などを叙述した「リッツ・カールトン物語」という書籍も存在している(甲第44号証)。また、「ザ・リッツ・カールトン・ホテル」のサービス理念を学ぶセミナーも開催されている(甲第45号証)。
キ 申立人が1988年に「ダブリュ・ビー・ジョンソン・プロパティーズ・インコーポレーテッド」に対して「RITZ」の使用を許諾する形態がとられて以来、著名商標「RITZ(リッツ)」は、申立人の同商標に対する強い保護意識と企業努力により、「ザ・リッツ・カールトン・グループ」の発展に寄与し、またその事業を保護し続けてきている。
ク 日本で発行された英和辞典(グランドセンチュリー英和辞典 株式会社三省堂)には、「Ritz」の項に、「パリその他にある豪華ホテル」と記載されている。
ケ 申立人は、わが国において、「RITZ」及びそれを含む商標について多数登録を有しており、特許庁のIPDLの「日本国周知・著名商標検索」においても「RITZ」は著名商標の一つとして挙げられている(甲第29号証)。
コ また、特許庁及び裁判所において「RITZ」「リッツ」が申立人の略称及び上記ホテルの通称として、わが国で周知、著名なものであると判断されている事例が多数存在する(甲第3号証ないし甲第28号証)。
(2)出所の混同のおそれについて
上記(1)の事実を総合すると、「リッツ」の語は、申立人の業務に係る役務を表示するものとして本件商標の登録出願の日の前から我が国において、周知、著名なものとなっていたと認められ、現在においても、その著名性は継続しているというのが相当である。また、申立人は、ホテルにおける各種サービスを提供する他、各種商品の販売も行っている。
本件商標は、「リッツセレモア」の片仮名文字を標準文字により表してなり、その構成中の前半部に、申立人の著名な商標「リッツ」の文字を有してなるものであるから、該文字部分が看者の注意を強く引き、これに着目し記憶されるものと判断するのが相当である。
そうとすれば、本件商標は、これをその指定商品及び指定役務について使用する場合には、これに接する取引者、需要者は、申立人を連想・想起し、その指定商品又は指定役務が申立人又は同人と経済的・組織的に何等かの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、商品又は役務の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわざるを得ない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。
(3)まとめ
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反されたものであるから、その登録を取り消すべきものである。

4 商標権者の意見
商標権者は、上記3の取消理由に対して所定の期間を経過するも、何ら意見を述べていない。

5 当審の判断
そして、上記3の取消理由は妥当なものと認められるので本件商標の登録は、この取消理由により、商標法第43条の3第2項の規定に基づき、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2009-11-10 
出願番号 商願2007-31714(T2007-31714) 
審決分類 T 1 651・ 271- Z (X031645)
T 1 651・ 23- Z (X031645)
最終処分 取消 
前審関与審査官 大渕 敏雄 
特許庁審判長 森吉 正美
特許庁審判官 小畑 恵一
瀧本 佐代子
登録日 2008-09-05 
登録番号 商標登録第5164996号(T5164996) 
権利者 株式会社セレモアつくば
商標の称呼 リッツセレモア、リッツ、セレモア 
代理人 井滝 裕敬 
代理人 熊倉 禎男 
代理人 松尾 和子 
代理人 中村 稔 
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