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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 13233 |
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管理番号 | 1209997 |
審判番号 | 取消2008-301525 |
総通号数 | 122 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2010-02-26 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2008-12-04 |
確定日 | 2009-12-11 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第2423275号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第2423275号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第2423275号商標(以下「本件商標」という。)は、「BLUE NOTE」の欧文字を横書きしてなり、昭和60年5月1日に登録出願、第28類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、平成4年6月30日に設定登録、その後、同14年7月16日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、同15年2月26日に第32類「ビール」及び第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」を指定商品とする書換登録がなされたものである。 第2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証を提出した。 1 請求の理由 本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきものである。 2 答弁に対する弁駁 (1)乙第1号証及び第2号証は、被請求人が本件商標の使用権者である株式会社本田商店(以下「本田商店」という。)のHP及び同社に関する帝国データバンク提供の企業情報の写しであり、いずれも同社の事業内容・業績等を示しているにすぎない。これらの証拠においては、同社が本件商標を使用していることは、何ら示唆すらされていない。 乙第3号証は、2009年3月13日に印刷されたウェブサイトからの抜粋であり、被請求人は、これらの資料をもって、2000年10月から現在に至るまで、本件商標の指定商品中の「焼酎」を販売していると主張している。しかし、本件審判の請求の登録日である2008年12月19日(審決注:本件審判の請求の登録日は平成20年〔2008年〕12月24日である。)以前にこれが掲載されていたという明確な証拠は、何ら示されておらず、乙第3号証は、2009年3月13日にそのような記事がウェブ上に掲載されていた可能性を示唆するにとどまるものである。過去の不使用取消審判における審決例においても、例えば、カタログのような証拠であっても、「カタログが、どのような時期に、誰に対して、どのような方法で、どの程度の量販売又は配布されたかなど、具体的な取扱いについて何ら証拠の提出がなされていない」場合には、不使用取消審判における使用の証拠としては、認められていない(取消2006-31445号:甲第1号証)。 乙第4号証は、そこに表示されている日付によれば、いずれも本件審判の請求の登録日以降である2009年3月10日及び13日に撮影された本件商品の写真であり、これらの写真自体は、その商品が2000年10月から現在にいたるまで、継続して販売されていたことを何ら証明するものではない。 乙第5号証として、本件審判の請求の登録日前3年以内にあたる2007年2月7日及び2008年4月1日付けとする本件商品に係る請求書の写しを添付している。しかし、いずれも表計算ソフト等で作成されたかのような簡易なものであり、上記の日付をもって正式に発行された請求書と認めるには、不十分なものである。さらに、2008年4月1日付けとする請求書の写しでは、単価の額が誤って記載されているものと思われる。このような請求書が正式な請求書として顧客に対して発行されていたとは考えにくいものであるし、また、これらが会社の経理資料として保管されていたことも不自然であるものと思料する。 (2)乙第1号証ないし第5号証は、上記のとおり、その証拠そのものが本件審判における使用の証拠としては、不十分なものであるが、そもそも被請求人は、本田商店が使用権者であることを何ら証明していない。被請求人は、その答弁書においてただ単に本田商店の社長である本田眞一郎氏と被請求人が友人関係にあり、「使用権者である」と述べているにとどまる。したがって、仮に本田商店が本件商標を本件審判の請求に係る商品に使用していたとしても、商標権者等が本件商標を使用していたことの立証は、何らなされていないものと思料する。 (3)以上述べたとおり、被請求人は、その答弁書において、本件商標が本件審判の請求の登録前3年以内に商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかにより使用されている点を主張立証できておらず、また、使用していないことについての正当な理由と証明も行っていないものであるから、本件商標は、不使用によりその商標登録を取り消されることを免れないものである。 第3 被請求人の主張 1 答弁の趣旨 被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第8号証を提出した。 2 平成21年3月16日付け答弁書の理由 (1)被請求人は、本件商標が本件商品について現に使用されていることを裏付ける証拠方法として、乙第1号証ないし乙第5号証を提出する。 乙第1号証は、使用権者である兵庫県姫路市に拠点を置く本田商店のHP写である。本田商店の社長である本田眞一郎と商標権者の首藤英信とは、友人関係であって、商品「BLUE NOTE」(焼酎)の製造・販売を2000年頃依頼したものである。 乙第2号証は、使用権者である本田商店の企業情報(帝国データバンク提供)写しであり、1923年創業の現存する老舗企業である。 乙第3号証は、「BLUE NOTE」の個別HP写であり、商標「BLUE NOTE」で商品「焼酎」を2000年10月から現在に至るまで販売している。当該商品の内容は、アルコール分30%、容量は、720mlで希望小売価格は、2000円(外税)であって、ネット販売ができるように、「御注文者ご記入欄」や「発送先ご記入欄」を設けたページも設けてある。 乙第4号証には、今現在販売している「BLUE NOTE」(焼酎、以下「本件商品」という。)の全体パッケージと中身をそれぞれ撮影したものであり、全体をブルーに装飾したデザインとし、パッケージの表面には、「BLUE NOTE」が記載されている。 この文字は、本件商標と社会通念上同一と認められるものである。また、裏面には、製造・販売の本田商店、住所、注意書きなどが記載されている。 乙第5号証の上部は、2007年2月7日付の請求書写であり、5本分の請求であることが理解できる。また、下部は、2008年4月1日付けの請求書であり、4本分の請求であることが理解できる。よって、これらの請求書は、「BLUE NOTE」が現に取引された事実を示すものであり、発行日は、何れも本件審判の請求の登録前3年以内のものである。 (2)以上のとおり、被請求人は、現に継続的に、本件商標をその指定商品中の「焼酎」に使用しているものである。したがって、本件商標の登録を取り消すべきであるとする請求人の請求は、根拠を有しない。 3 弁駁及び審尋に対する平成21年9月4日付け答弁書 (1)取引の実情が確認できる証左として、年間製造量、年間(月間)販売量、販売先及び現在の在庫量等を証明できる書類、資料等であるが、詳細な数字は企業情報となるため、差し控える。 なお、本件商品は瓶に詰めた状態で在庫しているのではなく、タンク内にて貯蔵している。このタンクは最大8、000リットル製造でき、現在は約4、000リットルの在庫がある。したがって、注文を受けた時点で瓶詰めするものなので、その点を理解願いたい。 請求人は、本件商品の製造・販売について疑義を持たれているようであるが、被請求人は全く偽り無く、本件商品を製造・販売していることをここに誓約する。 そこで、被請求人は、本件商品について、本件審判の請求の登録日である平成20年12月19日(審決注:本件審判の請求の登録日は平成20年12月24日である。)前3年以内の使用であることを裏付ける証拠方法として新たに以下の乙第6号証ないし乙第8号証を提出する。 乙第6号証は、乙第3号証で開示したホームページの登録完了メール写しであり、そこには、「登録日:2006-05-18」、「ホームページのURL:http:/bluenote1931. hp. infoseek.co.jp」、「iswebライトID :bluenote1931」、「iswebライトパスワード:秘匿」など重要事項が記載されている。 また、上部点線の中に「【重要】これらの登録完了メールは再発行できません【重要】下記の情報はホームページの運営の際に重要な情報となりますので、プリントアウト等して大切に保管して下さい。」とあることから、その信頼性が高いものである。 以上のことから、商標法第2条第3項第8号の「商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」を「使用」と認めているので、その点を十分理解願いたい。 乙第7号証は、東京のお好み焼き店「明石野(あかしの)」(東京都目黒区目黒1-4-8脇田ビル2F)から購入された際の請求書写しと明石野(あかしの)のウェブサイト写しであり、請求書には2008年5月1日付けとなっており、現在も営業していることがわかる。 乙第8号証は、印刷会社(広畑印刷株式会社:姫路市広畑区吾妻2-41)の納品証明書であり、平成18年8月21日にラベル5,000枚と箱1,000箱を印刷、納品したことが証明されたものである。念のため、ラベルと箱の現物を提出する。 (2)以上のとおり、被請求人は、現に継続的に本件商標「BLUE NOTE」を「焼酎」について、本件審判の請求の登録日前3年以内に使用していることが証明されたものである。 したがって、本件商標の登録を取り消すべきであるとする請求人の主張は根拠を有しないものである。 第4 被請求人に対する審尋 当審において、被請求人に対して通知した、平成21年7月31日付け審尋は以下のとおりである。 被請求人は、平成21年3月16日付け答弁書の6.(2)において「株式会社本田商店の社長である本田眞一郎氏と本商標権者の首藤英信氏とは友人関係であって、今回の商品『BLUE NOTE』(焼酎)の製造・販売を2000年頃依頼したものである。(中略)乙第3号証は、『BLUE NOTE』の個別HP写であり、商標『BLUE NOTE』で商品『焼酎』を2000年10月から現在に至るまで販売している。」旨述べているところ、乙第3号証及び乙第4号証に示された「焼酎」を株式会社本田商店が、いつどれくらいの量を製造、販売したのか等、取引の実情が確認できる証左、例えば年間製造量、年間(月間)販売量、販売先及び現在の在庫量等を証明できる書類、資料等を提出されたい。 第5 当審の判断 商標法第50条に規定する商標登録の取消しの審判にあっては、同条第2項において、その審判の請求の登録(本件の場合、平成20年〔2008年〕12月24日)前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての使用をしていることを被請求人が証明しない限り、使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにした場合を除いて、商標権者は、その指定商品又は指定役務に係る商標登録の取消しを免れないとされている。 1 被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、商標権者が本件商標を請求に係る指定商品について使用しているとして、乙第1号証ないし乙第8号証を提出した。 そこで、被請求人の提出に係る答弁の全趣旨及び乙各号証について検討すると、次の事実が認められる。 (1)通常使用権について、書面による使用許諾契約は提出されていないが、「本田商店の社長である本田眞一郎と商標権者の首藤英信とは、友人関係であって、本件商品の製造・販売を2000年頃依頼したものである。」旨述べている。 そして、使用許諾は、商標権者と使用権者の意思表示の合意によって成立し、口頭による契約も認められと解されることを考慮すると、商標権使用許諾契約書の提出がなくても、商標権者である被請求人と本田商店との間には黙示の使用許諾があったものと推認し得るものである。 (2)乙第1号証は、使用権者である本田商店のホームページの写しと認められるところ、これには本田商店の歴史や銘柄の由来等が紹介されているものの、本件商標の表示は見当たらない。 (3)乙第2号証は、帝国データバンクの本田商店に関する企業情報の写しと認められるところ、これには本田商店の業種が、清酒製造、酒類卸であること等が記載されているものの、本件商標の表示は見当たらない。 (4)乙第3号証は、「BLUE NOTE」のホームページの写しと認められるところ、これには、本件商品の写真が掲載され、また「種類 本格焼酎」、「製造/販売元/株式会社本田商店」等の表示がある。 しかしながら、その打ち出し日が2009年3月13日であり、本件審判の請求の登録前3年以内に該当しないものである。 (5)乙第4号証は、本件商品の写真と認められるところ、該写真に焼酎の瓶及びその包装用箱が撮影されている。そして、焼酎の瓶のラベルに「2000」「BLUE NOT」「Collections」「本格焼酎」「焼酎乙種」等の表示及び、その包装用箱に「2000」「BLUE NOTE」「Collections」「本格焼酎」「焼酎乙種」「株式会社本田商店謹醸」「焼酎」「720ml×1本入」等の表示がある。 しかしながら、その撮影日が2009年3月10日及び2009年3月13日であり、本件審判の請求の登録前3年以内に該当しないものである。 (6)乙第5号証は、本件審判の請求の登録前3年以内である請求書の写しと認められるところ、これには、2007年2月7日及び2008年4月1日の日付け、また、商品名欄に「本格焼酎 ブルーノート」、mlの欄に「720」、本の欄に「5」及び「4」、単価の欄には一方に「2,000」他方に「8,000」の記載がある。そして、その下部には、「醸造元」として「(株)本田商店」と記載されている。 しかしながら、この請求書は、本田商店自身が作成し、容易に打ち出しできるものであり、納品書や販売先の受領書は提出されていない。よって、乙第5号証によっては本件商品を本田商店が販売したと認めることは困難といわざるを得ない。 (7)乙第6号証は、乙第3号証のホームページの登録完了メールの写しと認められるところ、これによれば、本田商店が2006年5月18日にホームページ領域を確保したことは推認できる。 しかしながら、その当時のホームページの掲載内容を示す証拠の提出はないから、これによって本件商標を「焼酎」に使用したことの証明にはならない。 (8)乙第7号証は、請求書と購入先の明石野のウェブページの写しと認められるところ、請求書の写しには前記(6)と同様に、2008年5月1日の日付け、また、商品名欄に「本格焼酎 ブルーノート」、mlの欄に「720」、本の欄に「5」、単価の欄に「2,000」の記載がある。そして、その下部には、「醸造元」として「(株)本田商店」と記載されている。また、明石野のウェブページには、本件商標の表示は見当たらない。 そうとすれば、本件商品を本田商店が販売したと認めることは困難といわざるを得ない。 (9)乙第8号証は、印刷会社の納品証明書及びラベルと箱の現物と認められるところ、そのラベルと箱の現物には「株式会社本田商店」、本件商標と社会通念上同一と認められる「BLUE NOTE」及び、「本格焼酎」の記載がある。 しかしながら、納品証明書は、印刷会社がラベルと箱を印刷したことを証明したにすぎず、印刷したことを裏付ける請求書、受領書の提出はない(印刷、納品の事実を証明できるのであれば、その裏付けとなる証左があるはずである。)。また、実際に商品を販売したのか不明確であるから、本件審判の請求の登録前3年以内に、本件商標を「焼酎」について使用していたと認めることはできない。 2 前記事実からすれば、被請求人が提出した乙各号証によっては、本件商標(社会通念上同一の商標を含む。)が本件審判の請求の登録前3年以内に取消請求に係る指定商品中「焼酎」について使用されたことを証明したものということはできない。 他に、本件商標が請求に係る指定商品について使用されていると認め得る証拠はない。 3 なお、被請求人は審尋に対し「年間製造量、年間(月間)販売量、販売先及び現在の在庫量等を証明できる書類、資料等であるが、詳細な数字は企業情報となるため、差し控えさせていただきたい。なお、本件商品『BLUE NOTE』(焼酎)は瓶に詰めた状態で在庫しているのではなく、タンク内にて貯蔵(高さは約3メートル、径は約2メートル)している。このタンクは最大8、000リットル製造でき、現在は約4、000リットルの在庫がある。」と述べるのみで、その証左となるものは何ら提出されていない。 そして、提出された、乙第6号証ないし乙第8号証を徴しても、本件審判の請求の登録前3年以内に取消請求に係る指定商品中「焼酎」について使用していたと認めることはできないことは、前記認定のとおりである。 4 以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品について、本件商標の使用をしていることを証明していないものといわざるを得ず、また、被請求人は、使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしていない。 したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-10-09 |
結審通知日 | 2009-10-19 |
審決日 | 2009-10-30 |
出願番号 | 商願昭60-45077 |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Z
(13233)
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最終処分 | 成立 |
特許庁審判長 |
森吉 正美 |
特許庁審判官 |
瀧本 佐代子 小畑 恵一 |
登録日 | 1992-06-30 |
登録番号 | 商標登録第2423275号(T2423275) |
商標の称呼 | ブルーノート、ノート |
代理人 | 山崎 行造 |
代理人 | 柳野 隆生 |
代理人 | 杉山 直人 |