• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 109
管理番号 1208329 
審判番号 取消2007-301452 
総通号数 121 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-01-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2007-11-12 
確定日 2009-12-01 
事件の表示 上記当事者間の登録第2535532号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第2535532号商標の指定商品中「電子応用機械器具及びその部品」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第2535532号商標(以下「本件商標」という。)は、「EFI」の欧文字を書してなり、平成2年6月21日に登録出願され、第11類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、平成5年5月31日に設定登録されたものである。
その後、商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、その指定商品については、平成16年4月14日に、第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極」とする書換登録がされているものである。

2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号ないし第4号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、商標権者、専用使用権者及び通常使用権者のいずれによっても、その指定商品中「電子応用機械器具及びその部品」について、継続して3年以上日本国内において使用されていないものであるから、その登録は商標法第50条第1項の規定に基づき取り消されるべきである。
(2)弁駁の理由
披請求人は、本件商標をその指定商品中「抵抗器」につき使用している旨主張し、その証拠として乙第1号ないし第7号証を提出しているが、以下のとおり、被請求人は、本件商標をその指定商品中「電子応用機械器具及びその部品」について、本件審判請求日前3年以内に使用していることを立証していない。
ア 「電子応用機械器具及びその部品」と「抵抗器」
請求人は、本件商標に関し、その指定商品中「電子応用機械器具及びその部品」についての登録の取消を求めたものである。
しかしながら、被請求人は「電子応用機械器具及びその部品」とは無関係の商品「抵抗器」について使用していることを一貫して主張している。
してみれば、そもそも被請求人は、請求人が取消を求める「電子応用機械器具及びその部品」に関して本件商標を使用していることの立証を全く行っていない。よって、被請求人提出に係る乙各号証は、いずれにおいても本件商標が請求に係る指定商品について使用されたことを証明していない。
なお、「抵抗器」が「電子応用機械器具及びその部品」と無関係であることは、特許庁発行の「類似商品・役務審査基準」(甲第2号証)から明らかである。
イ 乙第1号ないし第7号証について
(ア)乙第1号証について
乙第1号証は、被請求人が「取引先」であると主張する「菱電商事株式会社」の会社案内にすぎず、本件商標「EFI」の記述は一切ない。
また、「取扱いメーカー」のページに「Vishay Intertechnolgy,lnc.」の記載はあるものの、請求人「Vishay EFI Inc.」の記載は一切ない。
してみれば、乙第1号証自体、本件商標の使用に関しても、被請求人と菱電商事株式会社との関係に関しても、何も証明するものではない。
(イ)乙第2号証について
a.被請求人は、「日本法人との取引一覧表」として乙第2号証を提出し、「被請求人は、(略)その商品の日本での販売を菱電商事株式会社、ビーエフ・コーポレイション、グローバル・エレクトロニクス・コーポレイション及びトーメン・エレクトロニクス・コーポレイション(乙第2号証)などを通じて行っている」と主張している。
しかしながら、乙第2号証は、どの会社のリストなのかがはっきりせず、被請求人が日本の企業と取引していること自体を立証できていない。むしろ、乙第1号証の「取扱いメーカー」のリストに請求人ではなくVishay Intertechnology、Inc.が記載されている事実、乙第6号証の宣誓者がVishay Intertechnology,lnc.の社員である可能性が高い事実、乙第6号及び第7号証が「Vishay Intertechnology,lnc.」から「Vishay EFI Inc.」へ書き変えられた可能性がある事実などを総合勘案すると、乙第2号証のリストは、被請求人のものではなく、「Vishay Intertechnology,lnc.」のものである可能性がある。
いずれにしても、乙第2号証は、「被請求人は、日本の企業と取引を行っている」という被請求人の主張を裏付ける証拠ではない。
b.なお、乙第2号証の最右欄(PO)の一部には、「EFI-021」という記載が認められる。しかし、この「EFI」の記載は商標法上の「商標」としての使用でないことは言うまでもなく、取引があったと目される日付は、本件審判請求登録日前3年よりはるかに前である。
その他、乙第2号証の中で「EFI」という記載は発見できなかった。
したがって、乙第2号証は、本件商標が指定商品に使用されていることを立証する資料でないことは論ずるまでもない。
(ウ)乙第3号証について
a.披請求人は、「本件商標を使用した商品『抵抗器(resistor)』(以下「使用商品」という。)は、商品の英文仕様書に掲載されている(乙第3号証)」と主張している。
そして、「商品の英文仕様書に表示された『EFI』の文字は、『Vishay EFI CC8』として、社名及び製品のシリーズ番号と一連に標記されているとは言え、欧文字『EFI』と横書きして成る本件商標と同一の範躊に属するものである。」と主張している。
しかしながら、乙第3号証の中で、「Vishay EFI CC8」という記述は、文章の中でわずか1箇所に使われているのみに過ぎない。かかる使用態様に鑑みるに、「EFI」という文字が「抵抗器」に関する商標として使用されているとは考えられない。
してみれば、乙第3号証は、本件商標「EFI」が、商標法上の「商標」として指定商品に使用されていたことを立証するものではない。
b.さらに、乙第3号証は、取引上極めて重要な3頁目の「Notice」の部分を含め、全て英語で記載されている。
日本における取引に用いられる仕様書は、通常、日本語で記載されるものであることに鑑みれば、乙第3号証のみをもって、乙第3号証に記載されている商品が日本で取引きされたことを立証することはできない。
(エ)乙第4号及び第5号証について
a.乙第4号(イ)及び第5号証(イ)は、その構成に鑑みて、どこかの会社が作成した菱電商事株式会社宛ての請求書に関するコンピュータ画面を印刷したものと目される。
しかしながら、乙第4号(イ)及び第5号証(イ)は、改変が容易なコンピュータ画面を印刷したものに過ぎず、そもそも商標の使用を立証するための証拠にはなりえない。
b.また、「Stock Number」などの商品を特定できる番号が、他の乙号証と一致するわけでもなく、どのような商品についての証拠なのか自体がはっきりしない。
c.また、乙第4号(イ)及び第5号証(イ)の中では、本件商標「EFI」は使用されておらず、これらの証拠は、本件商標「EFI」が商標法上の商標として使用されている事実を立証するものではない。
d.披請求人は、乙第4号(ロ)及び第5号証(ロ)として、菱電商事及びBFコーポレーションに宛てた請求書を提出している。
しかしながら、同乙号証中に本件商標「EFI」が使用されている事実はなかった。
したがって、乙第4号(ロ)及び第5号証(ロ)は、本件商標「EFI」が商標法上の商標として使用されている事実を立証するものではない。
e.なお、請求人は答弁書の中において、乙第4号及び第5号証を「輸出証明書」と記述しているが、これらの書類は単なる「コンピュータ画面の印刷物」と「請求書(写)」であり、「輸出証明書」などの類のものではない。
(オ)乙第6号証について
a.被請求人は、乙第6号証として、宣誓供述書(英文)とともにその「日本語訳」を提出している。
しかしながら、この「日本語訳」は、英文宣誓書の内容と全く異なるものであり、本件不使用取消審判において参照されるべき証拠ではない。
すなわち、乙第6号証「日本語訳」では、「ケイス・レズビーは、商標EFIに係わる商品(乙第2号証)が、(略)日本の顧客(略)へ輸出されていた事を宣誓する。」と記述されているが、実際の宣誓供述書(英文)ではこのような宣誓は一切されていない。宣誓供述書(英文)では、単に「添付のエクセル表がEFIブランド商品の売上高を示すものであること」を確認しているに過ぎない。
さらに、乙第6号証「日本語訳」には、「2005年から2007年までの期間、日本の顧客に対する商標EFIに係わる商品の輸出証明書[乙第4号証(イ)及び(ロ)並びに乙第5号証(イ)及び(ロ)]が存することを宣誓する。」との記述もあるが、実際の宣誓供述書(英文)では、このような宣誓もなされていない。実際の宣誓供述書(英文)は、「添付の請求書が2005年から2007年の間に、日本の顧客に販売されたEFIブランド製品の請求書の真正な謄本であること」を確認するに過ぎないものである。
以上の状況に鑑み、請求人は乙第6号証の日本語訳を新しく提出するので(甲第3号証)、披請求人の提出に係る乙第6号証「日本語訳」は証拠として参照しないようお願いする。
b.次に、乙第6号証「宣誓供述書(英文)」で、宣誓者は「添付のエクセル表が(略)売上高を示すものであること」及び「添付の請求書が(略)請求書の真正な謄本であること」を確認している。
しかしながら、乙第6号証として提出された宣誓供述書には、そもそも「エクセル表」も「請求書」も添付されていない。
してみれば、乙第6号証には、宣誓の中心となるべき添付書類が欠落しており、結果として乙第6号証は本件不使用取消審判において、ほぼ何の意味も持だない書面といわざるを得ない。
c.仮に、乙第6号証「宣誓供述書(英文)」にエクセル表が添付されていたとしても、このエクセル表は、単に「製品の売上高」を示すのみであり、本件商標が指定商品に使用されていたことを示す証拠ではない。
また、「請求書」に関しても、「何らかの商品の取引があったこと」を示すのみであり、本件商標が指定商品に使用されていたことを示す証拠ではない。
してみれば、乙第6号証は、そもそも本件不使用取消審判において、本件商標の使用を立証するための証拠とはなりえない。
d.乙第6号証「宣誓供述書(英文)」を精査すると、宣誓者が所属する会社の名称部分(Vishay EFI lnc.)が修正された痕跡を見つけることができる。
してみれば、乙第6号証「宣誓供述書(英文)」は、宣誓書作成後に書き変えられた疑いが強く残り、宣誓書の真正な写しとして、本件不使用取消審判における証拠として採用すべきではない。
上記の点に関し、請求人が調べたところによれば、宣誓者Mr.KeithRaysbyは、Vishay Intertechnology,lnc.の社員である(若しくは社員であった)ことが判明した(甲第4号証)。「EFI Inc.」の文字が書き加えられたと目される箇所が、ちょうど「Intertechnology、lnc.」程度の文字が入るスペースであることに鑑みると、もともとは「Vishay Intertechnology,lnc.」と書されていた可能性がある。
e.最後に、乙第6号証「宣誓供述書(英文)」は、そもそも被請求人自身が作成した宣誓書であり、本件商標の使用を立証するための客観的な証拠となりえないことは論ずるまでもなく明らかである。
(カ)乙第7号証について
a.乙第7号証は、菱電商事株式会社がVishay EFI Inc.から抵抗器を購入していることを確認する宣誓書である。
しかしながら、この宣誓書は、単に菱電商事株式会社とVishay EFI Incの間で取引があったことを示すものに過ぎず、本件商標が我が国において使用されていたことを示す資料ではない。したがって、乙第7号証は、本件不使用取消審判において、特に意味を持たない証拠といわざるを得ない。
b.乙第7号証を精査すると、披請求人の社名部分(Vishay EFI Inc.)が修正された痕跡がある。
してみれば、乙第7号証は、宣誓書作成後に第三者により改変された可能性も否定できず、そもそも宣誓書の真正な写しかどうか疑わしいといわざるを得ない。
なお、乙第1号証(菱電商事株式会社事業案内)の「取扱いメーカー」の項に、「Vishay EFI Inc.」はなく、「Vishay Intertechnology,Inc.」がリストアップされていることに鑑みると、菱電商事株式会社が抵抗器を購入しているのは、「Vishay EFI Inc.」ではなく「Vishay Intertechnology,lnc.」であり、宣誓書には、もともと「Vishay Intertechnology,lnc.」と書されていた可能性がある。
ウ まとめ
以上のとおり、披請求人は、本件商標を指定商品「電子応用機械器具及びその部品」に商標法上の商標として使用するものではない。
そして、被請求人提出に係る乙第1号ないし第7号証のいずれにおいても、本件商標が請求に係る指定商品について審判請求登録前3年の間に使用されたことを証明していない。

3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない。審判費用は、請求人の負担とする。との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号ないし第7号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)第1答弁
ア 被請求人は、本件商標を使用した商品「抵抗器(resistor)」を、日本における代理店としての菱電商事株式会社(乙第1号証)を通じて、少なくとも2005年より販売しており、本件商標が取消される謂れは無いものである。
イ 被請求人は、半導体・デバイス事業のメーカーであるが、その商品の日本での販売を菱電商事株式会社、ビーエフ・コーポレイション、グローバル・エレクトロニクス・コーポレイション及びトーメン・エレクトロニクス・コーポレイション(乙第2号証)などを通じて行っている。菱電商事株式会社、ビーエフ・コーポレイション、グローバル・エレクトロニクス・コーポレイション及びトーメン・エレクトロニクス・コーポレイションは、当該商品を日本国内の主要取引先へ販売している。
ウ 使用商品「抵抗器(resistor)」は、商品の英文仕様書に掲載されている(乙第3号証)他、菱電商事株式会社との取引書類(輸出証明書)(乙第4号証)及びビーエフ・コーポレーションとの取引書類(輸出証明書)(乙第5号証)にも掲載されている。
商品の英文仕様書に表示された「EFI」の文字は、「Vishay EFI CC8」として、社名及び製品のシリーズ番号と一連に表記されているとは言え、欧文字で「EFI」と横書きして成る本件商標と同一の範疇に属するものである。
エ また、被請求人の副社長であるケイス・レズビー(Keith Raysby)の宣誓供述書(affidavit)(乙第6号証)により、2001年から2008年までの期間、商標EFIに係わる商品が、菱電商事株式会社、グローバル・エレクトロニクス・コーポレイション及びビーエフ・コーポレイションヘ輸出されていた事実が、輸出証明書などの取引書類から認められるものである。更に、菱電商事株式会社マーケティング部の山本マネージャーの書面(乙第7号証)により、同社がヴィシャイ イーエフアイ インコーポレイテッドより商品を輸入して、日本国内の主要取引先へ販売した事実が確認できるものである。
これらの書証から、本件商標が本件審判請求日前3年以内に使用されていた事が判明するものである。
オ 以上述べたように、本件商標を付した商品は、乙第1号から第7号証に示した如く、現に取引されているものであり、請求人の主張は成り立たないものである。
(2)弁駁に対する答弁
被請求人は、請求人の弁駁に対し、何等答弁するところがない。

4 当審の判断
(1)被請求人は、使用商品「抵抗器」を、日本における代理店としての菱電商事株式会社を通じて、少なくとも2005年より販売しており、本件商標が取消されるいわれは無い旨主張しているところ、他方、請求人は、「抵抗器」は「電子応用機械器具及びその部品」とは無関係(含まれないもの)と主張しているので、被請求人の使用商品「抵抗器」が、本件審判請求に係る指定商品に含まれる商品であるか否かについて、検討する。
ア 「抵抗器」とは、「回路に電気抵抗を与えるために用いる器具・素子。」(広辞苑第6版)であるところ、被請求人提出の乙第3号証の上段右側の「FEATURES(特徴)」の項目中に、「Resistance range(抵抗値範囲):20Ω to 20kΩ」との記載があることからすると、被請求人の使用商品が「抵抗器」であることが認められる。
そして、「抵抗器」は、商標法施行規則第6条別表で規定される第9類「三 配電用又は制御用の機械器具」又は「十三 電気通信機械器具」に属する商品の1つとして例示されているものである。
イ これに対し、本件審判請求に係る指定商品である「電子応用機械器具及びその部品」は、商品及び役務の区分解説(国際分類第9版対応)によれば、「この概念には、電子の作用を応用したもので、その機械器具の機能の本質的な要素としているものだけが含まれる。」と説明されているものである。
ウ そうすると、「回路に電気抵抗を与えるために用いる器具・素子」の範疇に属する商品(抵抗器)と電子応用機械器具及びその部品とは、商品の用途、需要者等を異にする非類似の商品と認められるものであるから、「抵抗器」が、本件請求に係る指定商品の範疇に属する商品とは認められない。
してみれば、被請求人は、本件請求に係る指定商品「電子応用機械器具及びその部品」の範疇に属しない商品について登録商標の使用の事実を証明しているものと認められる。
(2)前記のとおり、被請求人が本件商標を使用していたと主張する「抵抗器」は、本件審判請求に係る指定商品中には含まれないものであるが、念のため、乙各号証について検討する。
ア 乙第1号証は、菱電商事株式会社のホームページの「写し」であるが、本件審判請求の登録日より後の「打ち出し日付」のものであって、1枚目は菱電商事株式会社の「事業案内」であり、2枚目はその「取扱いメーカー」、3枚目は取扱いメーカー中の「Vishay Intertechnology,Inc.」の会社案内と認められるが、いずれのページにも本件商標「EFI」の記載はなく、本件商標の使用事実を立証する証拠とは無関係なものである。
イ 乙第2号証は、「日本国法人(4社)との取引一覧表」であるとしているが、タイトルも作成年月日もなく、該リスト中の「PO」欄には「EFI-021」の記載はあるものの、その日付(BookDate)は、いずれも「10/31/2001」であり、本件審判請求の登録前3年より、さらに数年以上古い日付のものであるから、何等使用の事実を立証するものではない。
ウ 乙第3号証は、商品の英文仕様書と認められるところ、その仕様書中に記された「Resistor」の文字より、これが「抵抗器」に関する仕様書であることは認められる。
ところで、披請求人は、前記仕様書中で表示されている「EFI」の文字が、「社名及び製品のシリーズ番号と一連に標記されているとは言え、本件商標と同一の範躊に属するものである」旨主張しているが、該「EFI」の文字は、その仕様書中の「・・・Vishay Electro-Films(EFI)・・・」の記載から判断すれば、単に「Electro-Films」の文字を略称して「EFI」と表示したに過ぎないものであるから、この表示をもって、本件商標「EFI」が、商標法上の「商標」として使用されたことを立証したということはできない。
なお、本仕様書は、全て英語で記載された仕様書であるが、その記載内容がすべて英語で表示されているような場合、日本の需要者を対象としたものとは認められないものであって、かつ、実際に日本国内において、その仕様書がどの時期に、誰に対して、どのような方法で頒布されたか等、具体的な取扱について、何等の証拠提出もないものである。
さらに、右下の「Revision:11-Mar-08」の記載から判断して、本仕様書の作成日は、本件審判請求の登録日より後の日付のものである。
エ 乙第4号及び第5号証は、被請求人と菱電商事株式会社との取引書類(写)及び被請求人とビーエフ・コーポレーションとの取引書類(写)であるとしている。
しかしながら、そのうちの乙第4号証(イ)及び第5号証(イ)は、単に菱電商事株式会社及びBF・コーポレーション宛ての請求書に関するコンピュータ画面を印刷したものであるが、いずれの文書にも本件商標は使用されていないから、これらの証拠では本件商標の使用の事実は立証されない。
オ 乙第6号証は、被請求人の副社長であるケイス・レズビー(Keith Raysby)の宣誓供述書であるが、被請求人は、「該宣誓供述書によって、2001年から2008年までの期間、本件商標に係わる商品が、菱電商事株式会社、グローバル・エレクトロニクス・コーポレイション及びビーエフ・コーポレイションヘ輸出されていた事実が、輸出証明書などの取引書類から認められる」旨主張している。
しかしながら、提出された宣誓供述書には、添付されているはずの「エクセル表」及び「請求書」の提出がなく、いかなる商品が取引されていたのかを特定することができない。してみれば、乙第6号証は、本件商標の使用を立証するための証拠とはなりえないものである。
なお、乙第6号証は、宣誓者が所属する会社の名称部分(Vishay EFI lnc.)がホワイトマーカーで修正されたと思われる部分が2箇所あり、かつ、文字タイプが異なるなどの不自然さもあることから、第三者による改変の可能性が否定できず、真正な宣誓書であるか疑わしいといわざるを得ない。
カ 乙第7号証は、菱電商事株式会社マーケティング部の山本マネージャーの書面と認められるところ、菱電商事株式会社が被請求人より使用商品を輸入して、日本国内の主要取引先へ販売した旨について、菱電商事株式会社の山本マネージャーが該書面を作成したにすぎないものである。
なお、乙第7号証についても、披請求人の社名部分(Vishay EFI Inc.)の文字タイプが異なるなどの不自然さがあり、第三者による改変の可能性が否定できず、真正な書面の写しかどうか疑わしいといわざるを得ない。
キ 以上の証拠によっては、使用商品が「抵抗器」であることは認め得るとしても、使用商標が使用されたことを立証する証拠はなく、また、使用商品が、本件審判請求に係る指定商品「電子応用機械器具及びその部品」の範疇に属する商品であることも特定することができなかった。
そうすると、本件商標が、その指定商品中「電子応用機械器具及びその部品」に使用されていたとは認められない。
また、本件商標の指定商品中の取消請求に係る商品について、本件商標の使用を窺わせる他の主張及び立証はない。
(3)まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが請求に係る指定商品のいずれかについて、本件商標を使用していたことを証明し得なかったのみならず、使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていないといわなければならない。
したがって、本件商標の指定商品中「電子応用機械器具及びその部品」についての登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2009-07-07 
結審通知日 2009-07-09 
審決日 2009-07-22 
出願番号 商願平2-70945 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (109)
最終処分 成立  
特許庁審判長 佐藤 達夫
特許庁審判官 野口 美代子
小川 きみえ
登録日 1993-05-31 
登録番号 商標登録第2535532号(T2535532) 
商標の称呼 イイエフアイ、エフィ 
代理人 松尾 和子 
代理人 竹中 陽輔 
代理人 中村 稔 
代理人 井滝 裕敬 
代理人 熊倉 禎男 
代理人 秋元 輝雄 
代理人 藤倉 大作 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ