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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y05
管理番号 1208298 
審判番号 取消2008-300689 
総通号数 121 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-01-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2008-05-30 
確定日 2009-12-09 
事件の表示 上記当事者間の登録第4821347号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4821347号商標(以下「本件商標」という。)は、「タフロタン」の文字と「Taflotan」の文字を二段に横書きしてなり、平成16年4月1日に登録出願、第5類「薬剤」を指定商品として、同16年11月26日に設定登録され、その商標権は、現に有効に存続しているものである。

2 請求人の主張
請求人は、「本件商標の登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を次のとおり述べ、証拠方法として、甲第1号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかにより、その指定商品について使用された事実がない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項により取り消されるべきである。

(2)答弁に対する弁駁
ア 乙第1号証の1及び2について
乙第1号証の1及び2は、それぞれ2本のボトルと箱を各方向から写した写真である。これらの写真は、撮影の日付・場所、商品との関連性のいずれについても不明である。したがって、これらは、証拠価値はなく、本件商標の使用の事実を立証するものではない。
また、乙第1号証の1は、ボトルの表面のラベルに外国語が記載されているが、一般の日本人にとっては、この外国語の意味するところを理解できるものとは考え難いため、この商品に接した国内の需要者は、ラベル表示からでは直ちにこのボトルが何らかの薬剤であると認識することは困難である。 したがって、乙第1号証の1に示すボトルと、指定商品との関連性は極めて希薄である。
なお、通常薬品は、人体に服用する極めてデリケートな性質の商品であるから、商品(ボトルであるならボトル本体の裏面等)に製造者・販売者を明らかする表示部が設けられているところ、乙第1号証の1の裏面の製造者表示部分が提出されていないのは極めて不自然であり、乙第1号証の1に示すボトルには被請求人を表す表示部分が存在しているか大いに疑問視される。
さらに、被請求人は、乙第1号証に示すボトルを輸出したと主張し、輸出手続に使用したとする書類として乙第2号証の1以下の乙各号証を提出するが、上述したように、乙第1号証の1は、本件商標と被請求人との関係のみならず、本件商標と指定商品との関係についても全くないか、又は極めて希薄であるといわざるを得ない。
このように、被請求人が主張する「輸出品」(乙第1号証の1)がそもそも本件商標の使用を立証するには足りないものであるので、この「輸出品」を輸出する際の手続書類(乙第2号証の1以下の各乙号証)によっても、本件商標の使用を立証するものではなく、証拠価値がないものであるが、念のため、乙第2号証の1以下について検討をする。

イ 乙第2号証の1及び2
これらはインターコムズ及びFCAといった輸入手続の用語を説明する書類にすぎないので、本件商標の使用の事実を立証するものではない。

ウ 乙第3号証の1及び2
これらの「Description」の記載中に、「Taflotan」の文字が書されているが、これらのみからでは、指定商品又は指定商品の包装等に「Taflotan」の標章を付して譲渡等が行なわれたことを直接的に立証していない。

エ 乙第3号証の3及び4
これらは、本件商標との関連が不明である。被請求人は、乙第3号証の4と2との関連を主張するが、乙第3号証の2ではパッケージ数が合計12であるのに対し、乙第3号証の4は貨物個数が7個となっているなど齟齬する点があるので、関連性についての信憑性はなお一層低い。

オ 乙第3号証の5ないし7
これらについても本件商標との関連を示すものはない。

カ 乙第4号証の1ないし6
これらについても本件商標のと関連を示すものはない。なお、被請求人は、これらの中に現れる「DE-085」が「タフルプロスト」の開発コードである旨説明し、乙第4号証の1ないし3を本件商標の使用を裏付けるものとする。しかし、本件商標は、「Taflotan」の文字と「タフロタン」の文字を二段に表示してなるものであるから、これらは、本件商標とは何ら関係がなく証拠価値がない。乙第4号証の4ないし6についても同様である。

キ 以上のように、本件商標が、その指定商品について、被請求人によって包装等に付された事実は認められない。したがって、被請求人の主張は理由がない。

ク なお、念のため、輸出及び子会社への輸送の点についても述べる。
被請求人主張のとおり、使用に係る商品(緑内障・高眼圧症治療剤)は、フィンランドにある被請求人の子会社宛に輸出し、ドイツ国内での販売を目的とする薬剤である。日本国内における流通を全く予定せず、現に流通してもいない商品であるから、商標法上に規定する商品には該当しないというべきである。
この点については、商標法第2条第3項第2号に標章の使用として、「輸出」が追加されたことから、被請求人による専らドイツ国内での販売を目的とする商品を輸出する行為は、形式的には標章の使用に該当するかにも思える。
しかし、そもそも商標法第2条第3項第2号に「輸出」が追加されたのは、経済のグローバル化の進展よりわが国の産業財産侵害品が国境を越えて取引される事例が増大するなど模倣品問題の国際化・深刻化にかんがみ、国内の製造や譲渡の段階では差止めができない場合でも輸出者が判明した場合には、権利者が輸出の段階でも差止めなどの措置を講じることを可能とするためであり、主に商標権の侵害の場面における問題と考えることができる。この規定をそのまま商標の使用の場面に直接的に適用したとすると、登録商標の不使用状態を脱却あるいは回避する目的のためだけに登録に係る商標をその指定商品に付して海外に搬送すれば足りることとなってしまい、脱法行為を容易に行い得るものとなり妥当性を欠く。
また、このことは、親会社・子会社間のみにおける流通とも共通する点がある。商標の不使用状態を回避するためだけに登録商標を付して子会社に発送し、そのことを証する書面さえ提出すれば取消を逃れることとしたのでは、不使用商標の取消制度は有名無実となる。本件でも国内・国外の差はあれ、単に子会社への輸送の事実のみでもって商標の使用が認められるのであれば、業務上の信用を保護し需要者の利益を保護するという商標法の法目的に真っ向から反するものとなる。

ケ 以上のとおり、乙各号証によっては、本件商標がその指定商品について、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者によって使用されたことが証明されていない。

3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のとおり述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第4号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)使用の事実
ア 被請求人は、一般名Tafluprost(タフルプロスト)を主成分とする「緑内障・高眼圧症治療剤」(以下「使用商品」という。)の商品名として、本件商標と社会通念上同一の商標「TAFLOTAN」を使用し、該商品を日本国内にて製造し、フィンランド・タンペレに存在する被請求人の子会社「SANTEN OY」を受取人として輸出した。

イ 使用商品は、被請求人の滋賀工場で製造され、「TAFLOTAN」の文字が上段に、下段に一般名Tafluprostが印刷されたシュリンクラベルで被包したボトル(乙第1号証の1:使用商品は、SANTEN OYからドイツでの販売用に輸出されることから、シュリンクラベルの文字はドイツ語で記載されている。)を、「Taflotan」が印刷された50本入りの箱(乙第1号証の2)に梱包した。

ウ そして、貿易取引条件の解釈に関する国際規則(「International Rules for the Interpretations of Trade Terms」(以下「INCOTERMS」という。)のFCA(Free Carrier;運送人渡し。以下「FCA」という。)条件で(乙第2号証の1及び2)、2008年4月22日に、被請求人の滋賀工場から、フィンランド・タンペレのSANTEN OYを受取人として、箱詰めされた使用商品のボトル70750本及びサンプル25650本が発送された(乙第3号証の1及び2)。
すなわち、これらは、2008年4月22日に被請求人の滋賀工場において、買主であるSANTEN OYが指定した運送人であるDHL GLOBAL FORWARDING(以下「DHL社」という。)に引渡しがなされ(エアウェイビル(AWB)番号:3PA9066。乙第3号証の3)、同日付けで関西空港税関に輸出申請が行われ同税関支署長の許可を受けた(乙第3号証の4)上で、フィンランドに空輸された。
なお、輸出許可通知書兼輸出申告控(大額)(乙第3号証の4)には、上記のエアウェイビル(AWB)番号(3PA9066)及び被請求人作成に係るPACKING LIST(乙第3号証の1)・INVOICE(乙第3号証の2)の番号(0002-OY)が表示されている。

エ 使用商品は、フィンランド税関により2008年4月24日付けで輸入許可され(乙第3号証の5)、同日付けでSANTEN OYに受領された。上記被請求人の滋賀工場における発送からSANTEN OYによる受領に至るまでの経緯は、DHL社のホームページから確認できる(乙第3号証の6)。

オ また、使用商品の対価は、SANTEN OYから2008年6月24日付けで被請求人の当座預金口座に対して送金され、同年6月26日に被請求人に支払われた(乙第3号証の7)。

カ フィンランドへのサンプル品の輸出
(ア)上記取引に先立ち、被請求人は、SANTEN OYに対して、「TAFLOTAN」のサンプル5000本を輸出した(乙第4号証の1及び2)。この点、「PACKING LIST(REVISED)」及び「INVOICE(REVISED)」には、「DE-085 ophthalmic solution 5,000 BOTTLES」と記載されているが、この「DE-085」とは、タフルプロストの開発コードである(乙第4号証の3)。

(イ)上記サンプルは、INCOTERMSのFCA条件の下、2008年3月14日付けで被請求人の大阪本社にてSANTEN OYを受取人としてDHL社に引き渡され(乙第4号証の4)、同年3月17日にフィンランド税関にて輸入許可を受けた上で(乙第4号証の5)SANTEN OYに届けられた。DHL社への引渡しからSANTEN OYによるサンプル品の受領に至るまでの経緯は、DHL社のホームページから確認できる(乙第4号証の6)。

(2)むすび
以上のとおり、本件商標と社会通念上同一の商標が付された使用商品は、2008年4月22日付けで日本からフィンランドに向けて同日付けで輸出許可通知を受けた上で輸出されており(商標法第2条第3項第2号)、フィンランド・タンペレの受取人(SANTEN OY)に同年4月24日付けで受領されている。
そうすると、本件商標と社会通念上同一の商標が、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、被請求人によって、その請求に係る指定商品「薬剤」について使用されていることは明らかである。

4 当審の判断
(1)乙第1号証の1及び2、乙第3号証の1ないし7並びに乙第4号証の1ないし6によれば、以下の事実が認められる。
ア 乙第1号証の1は、使用商品の写真と認められるところ、ボトルの胴体部には、「TAFLOTAN」の文字が大きく表示され、その下に、上から順に「15 Mikrogramm/ml」、「Augentropfen」、「Tafluprost」の各文字が表記されている。

イ 乙第1号証の2は、「Taflotan 15μg/mL」、「50283」の各文字が上面及び4側面に表記された包装箱の写真であるところ、該包装箱は、上記ア認定の使用商品を包装する箱と認められる。また、該包装箱の底面には、「タフロタン(ドイツ)2.5mL×50函」の文字が表示されている。

ウ 乙第3号証の1ないし7は、商標権者(被請求人)と、フィンランドのタンペレ(TAMPERE,FINLAND)に所在の同社の子会社であるSANTEN OYとの間でした商品の輸出に関する取引書類である(これらの書類が商標権者とSANTEN OYとの間の取引に関するものであることについては、請求人は争うことを明らかにしていない。)。
(ア)乙第3号証の1は、2008年4月22日付け「PACKING LIST」(No.:0002-OY)であるところ、その「Description」及び「Quantity」の各欄には、「Taflotan 15μg/ML eye drops/62,000 BOTTLES」、「Taflotan 15μg/ML eye drops/8,750 BOTTLES」、「Taflotan SAMPLE 15μg/ML eye drops/15,500 BOTTLES」、「Taflotan SAMPLE 15μg/ML eye drops/10,150 BOTTLES」などの記載があり、また、これらの下には、「Total:7PALLET/96,400 BOTTLES/12PCS」の記載がある。

(イ)乙第3号証の2は、2008年4月22日付け「INVOICE」(No.:0002-OY)であるところ、その「Description」及び「Quantity」の各欄には、「MEDICINE」、「50283 Taflotan 15μg/ML eye drops/70,750 BOTTLES」、「50284 Taflotan SAMPLE 15μg/ML eye drops/25,650 BOTTLES」等の記載があり、また、これらの下の「TOTAL」欄には、「7PALLET/96,400 BOTTLES/12PCS」の記載がある。なお、「INVOICE」の「Unit Price」欄は、黒く塗りつぶしてある。

(ウ)乙第3号証の3は、輸送会社であるDHL社の引き受け書類と認められるところ、「invoice number/HEL C 201099」、「3PA9066」、「7 DRUGS」、「Import date:23APR08」等の記載がある。

(エ)乙第3号証の4の1枚目は、2008年4月22日付け「輸出許可通知書兼輸出申告控(大額)」と認められるところ、「代理人」欄にはDHL社の記載があり、また、「AWB番号 3PA 9066」、「貨物個数 7個」、「仕入書番号 A-0002-OY」、「輸出許可年月日 2008.04.22 関西空港税関支署長」などの記載がある。
さらに、同2枚目は、DHL社の航空貨物輸送状と認められるところ、ここには、「EXECUTION DATE 22APR2008」、「SIPPER’S REFERENCE NO. 0002-OY」、「TOTAL PIECES 7」、「DGF AIRBILL NO.3PA9066」などの記載がある。

(オ)乙第3号証の5は、2008年4月24日付けヘルシンキ(フィンランド)税関通過決定であり、2枚目には、「Date of arrival/23 April 2008」、「Date of approval/24 April 2008」、「Taxation date/24 April 2008」、「Reference/201099」、「Additional reference/HEL201099-01-ANL」などの記載がある。

(カ)乙第3号証の6は、DHL社の「Shipmemt Detail」であるところ、これによれば、DHL社が輸送した「エアウェイビル(AWB)番号:3PA9066」の荷物の受け取りから引渡人に受領された一連の経緯が記載されている。

(キ)乙第3号証の7は、2008年6月26日作成に係る「外国送金ご案内 兼 入金のお知らせ」であるところ、SANTEN OYは、2008年6月26日に、送金銀行を「HELSINKI」として、被請求人に送金をした。また、「メッセージ」欄には、「NO.0002OY」の記載がある。

エ 乙第4号証の1、2及び4ないし6は、商標権者(被請求人)とその子会社であるSANTEN OYとの間でした商品の輸出に関する取引書類である(これらの書類が商標権者とSANTEN OYとの間の取引に関するものであることについては、請求人は争うことを明らかにしていない。)。
(ア)2008年3月14日付け「PACKING LIST(REVISED)」及び「INVOICE(REVISED)」の「Description」及び「Quantity」の各欄には、「0.0015%DE-085 ophthalmic solution/5,000 BOTTLES」の記載がある(ただし、「INVOICE(REVISED)」には、「0.0015%DE-085 ophthalmic solution」の上部に「〈FREE SAMPLES〉」の記載がある。)。なお、「INVOICE(REVISED)」の「Unit Price」欄は、黒く塗りつぶしてある(乙第4号証の1及び2)。

(イ)上記(ア)の商品は、輸送会社であるDHL社を介して2008年3月17日にSANTEN OYに送達されたところ、DHL社の引き受け書類における「エアウェイビル(AWB)番号」は、「5RJW837」であり、DHL社の「Shipmemt Detail」には、DHL社が輸送した「エアウェイビル(AWB)番号:5RJW837」に関する荷物の受け取りから引渡人に受領された一連の経緯が記載されている(乙第4号証の4?6)。

(ウ)上記(ア)及び(イ)の商品の輸出に関し、被請求人は、前記ウの取引に先立ち、SANTEN OYに対してした、使用商品のサンプル5000本の輸出であり、「PACKING LIST(REVISED)」及び「INVOICE(REVISED)」に記載された「DE-085」は、タフルプロストの開発コードであると主張し、乙第4号証の3を提出する。
乙第4号証の3は、被請求人がした2007年4月3日付け「News Release」と認められるところ、これには、「欧州での緑内障・高眼圧症治療剤DE-085(タフルプロスト)承認申請について」の見出しのもと、「参天製薬株式会社の欧州子会社サンテン・オイ(フィンランド・タンペレ)は、4月2日(現地時間)、欧州主要国(13カ国)に対し、緑内障・高眼圧症治療剤 DE-085(一般名:タフルプロスト)の承認申請を行いましたのでお知らせします。DE-085は、原薬の製造を旭硝子株式会社(東京都千代田区)が行い、当社が製剤化し、開発を行ったプロスタグランジン系緑内障・高眼圧症治療剤です。・・・参天グループは、今後DE-085が製品ラインナップに加わることで、より多くの治療の選択肢を医療の現場に提供でき、患者さんのQOL(生活の質)向上に貢献できることを期待しています。なお、日本でのDE-085の申請は2006年7月31日に実施しております。」などの記載があり、下部の「〈概要〉」欄には、「開発コード:DE-085」、「一般名:タフルプロスト」、「剤型:水性点眼剤」、「申請時の効能・効果:緑内障、高眼圧症」などの記載がある。

(2)前記(1)で認定した事実によれば、被請求人は、「TAFLOTAN」を表示した使用商品(乙第1号証の1)70750本及びそのサンプル25650本を、「Taflotan」の表示がある包装箱(乙第1号証の2)に梱包し、ドイツで販売する目的で、2008(平成20年)年4月24日に、輸送会社であるDHL社を介してフィンランド・タンペレに所在の被請求人の子会社であるSANTEN OYに輸出したこと(乙第3号証の1?6)、SANTEN OYは、使用商品の代金を2008年6月26日に、HELSINKIに所在の銀行を介して被請求人に送金をしたこと(乙第3号証の7)、被請求人は、上記取引に先立つ2008年3月17日に、SANTEN OYに対し、「0.0015%DE-085 ophthalmic solution」5000本を、DHL社を介して輸出したこと(乙第4号証の1、2、4?6)を推認することができ、2008年3月17日に輸出した商品は、乙第4号証の3の記載内容からみて、使用商品のサンプルであることが推認される。
したがって、被請求人は、本件審判の請求の登録(平成20年6月19日)前3年以内に、本件請求に係る指定商品に含まれる「緑内障・高眼圧症治療剤」(使用商品)について、本件商標と社会通念上同一と認められる「TAFLOTAN」又は「Taflotan」(以下、まとめて「使用商標」という。)を表示して、フィンランド・タンペレに所在の被請求人の子会社であるSANTEN OYに販売(輸出)したことを認めることができる(使用商品が本件請求に係る指定商品に含まれること及び使用商標が本件商標と社会通念上同一の商標であることについては、請求人は争うことを明らかにしていない。)。

(3)請求人の主張について
ア 請求人は、乙第1号証の1及び2はその撮影の日・場所、商品との関連性について不明であるから、これらは、証拠価値はなく、本件商標の使用の事実を立証するものではないし、また、乙第1号証の1のボトルのラベルは、外国語のみの表示であり、国内の需要者は、ラベル表示から直ちに何の薬剤であるかを認識することは困難であるから、乙第1号証の1のボトルと指定商品との関連性は極めて希薄である旨主張し、さらに、乙第1号証の1のボトルは、製造者・販売者を明らかする表示部分が提出されておらず、被請求人を表す表示部分が存在しているか大いに疑問視される旨主張する。
しかしながら、乙第1号証の1及び2について、その撮影日等の記載がないとしても、該証拠は、登録商標がどのような態様で、どのような商品に使用されているかを明らかにするものであり、他の証拠と総合して勘案すれば、前記認定のとおり、本件審判の請求の登録前3年以内に、ドイツで販売する目的をもって、使用商品について、使用商標を表示して、フィンランド・タンペレに所在の被請求人の子会社に販売したことを推認することができるといえるから、その撮影日等の記載がないことをもって直ちに証拠価値がないとすることはできない。また、使用商品は、ドイツで販売される目的をもって、被請求人の子会社に販売されたものであるから、外国語(独語)のみで表示されることは当然といえるし、使用商品に、製造者・販売者を明らかする表示部が示されていないとしても、その表示部には、ドイツ国内の法律の規定に従い、被請求人等の表示がされるものと推認し得るところである。

イ 請求人は、乙第3号証の1ないし7に関し、乙第3号証の1及び2は、使用商品又はその包装に使用商標を付して取引がされたことを立証していないし、また、乙第3号証の3ないし7は、本件商標との関連が不明である旨主張する。
しかし、乙第1号証の1及び2並びに乙第3号証の1ないし7を総合すれば、「TAFLOTAN」、「15 Mikrogramm/ml」、「Augentropfen」等の各文字が表示された使用商品(乙第1号証の1)が、「PACKING LIST」及び「INVOICE」に記載された「Taflotan 15μg/ML eye drops」及び「50283 Taflotan 15μg/ML eye drops」と同一の商品と推認することができ、かつ、「PACKING LIST」及び「INVOICE」に記載された商品が、DHL社の輸送を経て、日本(関西空港)の税関を通過し、フィンランド(ヘルシンキ)の税関を通過した後、被請求人の子会社に送達され、該子会社が被請求人に対し、代金を送金するまでの一連の取引経過は、これら書類に記載された日付、インボイス番号(0002-OY)、エアウェイビル(AWB)番号(3PA9066)等から認め得るところである。
その他、請求人は、乙第3号証の2と4とでは、パッケージ数が異なるなど取引書類間の関連性についての信憑性が低いなどと主張するが、乙第3号証の2に示された輸出貨物は、「7PALLET 12PCS」であり、乙第3号証の4のそれは、「貨物個数 7個」であり、また、乙第3号証の3には、「No.of packages & descr.of goods/7 DRUGS」と記載され、貨物数が一致し、かつ、その重量もほぼ一致しているばかりでなく、上記のとおり、取引書類に示されたインボイス番号、エアウェイビル(AWB)番号等も一致しており、乙第3号証すべてが同一の取引に関する証拠であるとみることに格別不自然な点は見出せない。また、これら一連の取引経過を証明したDHL社の輸送明細が虚偽の記載をしたものとは、関西空港税関やヘルシンキの税関等の書類の記載からみて到底考えられない。

ウ 請求人は、使用商品はフィンランドにある被請求人の子会社宛に輸出し、ドイツ国内での販売を目的とする薬剤であるから、日本国内において流通をしていない商品であって、商標法上の商品には該当しない旨主張し、さらに、商標法第2条第3項第2号に規定する「輸出」について縷々主張する。
しかしながら、商標法上の商品とは、商標制度の目的に照らすと、流通性があり市場で取引の対象となり得るものをいうと解するのが相当であり、また、「商品についての登録商標の使用」があったというためには、当該商品の識別表示として商標法第2条第3項各号に規定する行為がされることを要するというべきであるところ、同第3項第1号には、「商品又は商品の包装に標章を付する行為」と規定され、また、同第2号には、「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回路を通じて提供する行為」と規定されている。
そうすると、本件における使用商品は、乙第1号証の1及び2、乙第3号証の1ないし7並びに乙第4号証の1ないし6によれば、商標法上の商品であることは明らかであり、さらに、被請求人により、商標法第2条第3項第1号及び同第2号に規定する行為がされたと認め得るところである。
なお、付言すれば、乙第4号証の3によれば、被請求人は、2007年4月3日付け「News Release」において、使用商品と認められる商品の「欧州での緑内障・高眼圧症治療剤DE-085(タフルプロスト)承認申請」及びに日本でのDE-085の申請が2006年7月31日に実施されたことを一般に公表したものであり、その文面から見て、使用商品の我が国における広告と捉えることもできる。

エ 請求人は、商標の不使用状態を回避するためだけに登録商標を付して子会社に発送し、そのことを証する書面さえ提出すれば取消を逃れることとしたのでは、不使用商標の取消制度は有名無実となる。本件でも国内・国外の差はあれ、単に子会社への輸送の事実のみをもってしては、商標の使用は認められない旨主張する。
しかし、被請求人とフィンランド・タンペレに所在のSANTEN OYとが親会社、子会社の関係にあるとしても、被請求人とSANTEN OYとの取引は、両会社がそれぞれ業として、独立した会社間の取引として行っていることが容易に推認され、乙第3号証の1ないし7に示す取引が不使用による商標登録の取消しを免れるためにのみ作成された架空ないし名目的な取引であったと認めるに足りる証拠は見出せない。

オ したがって、上記ア?エに関する請求人の主張は、いずれも理由がなく採用することができない。他に前記認定を覆すに足る証拠の提出はない。

(4)むすび
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が請求に係る指定商品中の「緑内障・高眼圧症治療剤」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したと認めることができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2009-03-18 
結審通知日 2009-03-25 
審決日 2009-04-07 
出願番号 商願2004-30966(T2004-30966) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Y05)
最終処分 不成立 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 佐藤 達夫
小川 きみえ
登録日 2004-11-26 
登録番号 商標登録第4821347号(T4821347) 
商標の称呼 タフロタン、タフロ 
代理人 太田 誠治 
代理人 宮崎 浩充 
代理人 中島 淳 
代理人 西元 勝一 
代理人 加藤 和詳 
代理人 北村 修一郎 
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