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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 117
管理番号 1208181 
審判番号 取消2009-300195 
総通号数 121 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-01-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2009-02-09 
確定日 2009-11-09 
事件の表示 上記当事者間の登録第1415624号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第1415624号商標の指定商品中「被服」については、その登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件審判請求に係る登録第1415624号商標(以下「本件商標」という。)は、「LOCOMOTIVE5」の欧文字と、「ロコモ-ティブファイブ」の片仮名文字とを二段に横書きした構成よりなるものであって、昭和50年2月1日に登録出願、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として、同55年4月30日に設定登録されたものである。
当該商標権は、2回に亘る存続期間の更新登録がされ、現に有効に存続中であり、また、本件審判の予告登録は、平成21年2月25日にされたものである。

2 請求人の主張
請求人は、「商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中、第17類『被服』の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする」との審決を求め、その理由及び弁駁を次のように述べて、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定商品中「被服」について、3年以上、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが登録商標を使用していない。

(2)弁駁の理由
ア 本件商標の構成について
本件商標の構成をみると、上段の「LOCOMOTIVE5」においては「LOCOMOTIVE」と「5」がスペースを介さず連綴され、かつ、下段に「ロコモーティブファイブ」という片仮名文字が配されている。これは、被請求人が、「LOCOMOTIVE5」は一連一体の商標であって、本件商標からは「ロコモーティブファイブ」の称呼のみが生じることを意図したものと考えられる。被請求人がそのような意図を有していることは、本件商標の出願審査において被請求人が提出した意見書からも明らかである(甲第1号証)。
したがって、本件商標からは「ロコモーティブ」の称呼が生じないこと及び通常使用権者の使用に係る「locomotive」からは「ロコモーティブ」の称呼のみが生じる。
イ 社会通念上の同一性について
(ア)上記アのとおり、通常使用権者の使用に係る「locomotive」は、商標法50条1項において、登録商標と「社会通念上同一と認められる商標」として例示されている「同一の称呼及び観念を生ずる商標」には該当しないし、同条同項に例示されている他の例(外観において同視される図形からなる商標)にも該当しない。
(イ)そうすると、本件においては、通常使用権者の使用に係る「locomotive」が、本件商標との関係で、同条同項に規定する「その他の」当該登録商標と社会通念上同一である商標と認められない限り、本件商標は不使用取消を免れない。
そして、この点に係る被請求人主張の要用は「アラビア数字が商品の種類、品番等として使用されている実情が存在し」(客観要件)、かつ、「登録商標構成中のアラビア数字を削除して使用しても、取引者・需要者の信用・利益を阻害しないと商標権者が確信した場合」(主観要件)には、登録商標構成中のアラビア数字の有無は「社会通念上の同一性」に影響を与えないというものであろうが、その旨の主張は妥当性を欠き、また、その使用に係る「locomotive」が、「その他の」当該登録商標と社会通念上同一である商標と認められるべき具体的な理由及びそれを裏付けるための証拠が提出されていない。
(ウ)結語
以上のとおり、通常使用権者の使用に係る「locomotive」と本件商標とは、社会通念上同一の商標でない。

3 被請求人の主張
被請求人は、本審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。との審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第6号証(枝番を含む)を提出した。
〈答弁の理由〉
本件商標は、通常使用権者により、指定商品「被服」について、本件審判請求登録日以前より3年以内に使用がなされているから、商標法第50条第1項に該当しないものである。
(1)通常使用権
商標権者と通常使用権者は、互いに乙第2号証及び乙第3号証により立証するように、平成20年3月1日に本件商標の「LOCOMOTIVE5(ロコモ-ティブファイブ)」、商品「トドラー(子供服)」について、商標使用許諾契約を締結している。

(2)登録商標の使用の態様
使用商品に表示される登録商標の態様は、欧文字の「LOCOMOTIVE」となっており、「5」が削除されている。
それは前記使用許諾契約が発効してから具体的に商品に使用する登録商標について、通常使用権者から、使用商品は子供服であるので「5」を削除した「LOCOMOTIVE」を表示したいと、承諾を求められた際、商標権者の執行者は「5」のような数字が、商品の種類、品番等を表示する付記として使用されている実情と、「LOCOMOTIVE」の文字を100%使用し、取引者、需要者の信用、利益を阻害しない登録商標の使用範囲と確信して承諾したものである。

(3)登録商標の表示
通常使用権者は、販売商品では乙第6号証にて立証するように、登録商標を「locomotive」と小文字体で織ネームとラベル(下げ札)に表示し、織ネームは商品に縫い付け、ラベル(下げ札)は封緘ラインで織ネームに連結している。商品は、Tシャツと表示されているが女児服である。

(4)登録商標の使用商品の販売状況
通常使用権者は、乙第4号証及び乙第6号証により立証する商品Tシャツ(女児服)を株式会社イトーヨーカ堂に、品番を「22075 LOT6332」の表示で、販売開始日2008年7月10日から販売終了日2008年8月30日までに、初回投入予定数量1,860枚を含めてそれ以上を販売したものである。
本品番商品「22075 LOT6332」は、通常使用権者において次年のサンプル用に残されていたので乙第6号証として提出する。
通常使用権者は、乙第5号証により立証する商品Tシャツ(女児服)を株式会社イトーヨーカ堂に、品番を「22075 LOT6333」の表示で、販売開始日2008年7月10日から販売終了日2008年8月30日までに、初回投入予定数量2,220枚を含めてそれ以上を販売したものである。
本品番商品「22075 LOT6333」は、通常使用権者において、サンプル用に残されてないので提出できない。

4 当審の判断
請求人は、通常使用権者の使用に係る「locomotive」が本件商標と社会通念上同一の商標でない旨を主張し争っているので、この点について以下検討する。
なお、その使用に係る商品「Tシャツ(女児服)」(以下「使用商品」という場合がある。)が請求に係る本件商標の指定商品「被服」の範疇に属するものであること、及びその使用が本件審判の予告登録(平成21年2月25日)前3年以内であることなどについては、争うことを明らかにしていない。

(1)本件商標について
本件商標は、前記1のとおり、「LOCOMOTIVE5」と、「ロコモ-ティブファイブ」の文字よりなるところ、各構成文字は、同書、同大、等間隔でまとまりよく一体的に把握し得るものであり、また、「ロコモ-ティブファイブ」の片仮名文字部分は、「LOCOMOTIVE5」の欧文字部分の称呼を特定すべき役割を果たすものと無理なく認識できるものであるから、該片仮名文字部分に相応して「ロコモ-ティブファイブ」の称呼のみを生ずるとみるのが自然である。
また、「LOCOMOTIVE5」及び「ロコモ-ティブファイブ」の各文字からは、熟語のような一体的な意味合いを認識すことはできないとしても、「LOCOMOTIVE」及び「ロコモ-ティブ」の文字が「機関車」等の意味を、また、「5」および「ファイブ」は「(基数の)5」を表したものと理解できるものであるから、全体として「機関車と数字5とを組み合わせたもの」程の漠然した観念を把握させるものというのが相当である。
そうとすると、本件商標は、全体として不可分一体の商標を表示したものというべきである。
ところで、被請求人は、使用商標において、本件商標の構成とは異なり「5」が削除されている理由として、「5」のような数字が、商品の種類、品番等を表示する付記として使用されている実情があること、すなわち、商標の要部とはなり得ない旨を要旨とする主張をしていると解せられるところ、かかる構成からなる本件商標よりは、その構成中「5」の部分を分離して、これを商品の種類、品番等を表示する付記(商品の記号、符号)と認識するというよりも、上記したとおり、むしろその構成全体を不可分一体の商標と判断するのが相当であるから、被請求人の主張は採用することができない。
さらに、被請求人は、使用商標に本件商標の構成とは異なり「5」が削除されている他の理由として、通常使用権者から承諾を求められたことと、「LOCOMOTIVE」の文字を100%使用し、取引者、需要者の信用、利益を阻害しない登録商標の使用範囲と確信して承諾したものである旨の主張もしている。
しかしながら、これらの主張は、単に被請求人自身の事情を述べるに止まるものであって、妥当でなく、採用の限りでない。

(2)使用商標について
添付資料説明書(乙第4号証及び乙第5号証)に添付された仕様書には「LOCOMOTIVE」の表示、及び通常使用権者にかかる販売商品(女児服)を撮影した写真(乙第6号証)には、「locomotive」の表示の入った織ネーム及び下げ札が認められる。
してみると、当該使用に係る商標「LOCOMOTIVE」又は「locomotive」(以下「使用商標」という。)からは、「ロコモ-ティブ」の称呼を生ずるものであり、その観念は「機関車」等の意味を把握させるものである。

(3)本件商標と使用商標の類否について
そこで、上記(1)及び(2)においてした認定に基づいて、本件商標と、使用商標とを比較するに、本件商標から生ずる「ロコモ-ティブファイブ」の称呼と、使用商標から生じる「ロコモ-ティブ」の称呼とは、音構成及び構成音数において顕著な差異を有するものであるから、称呼上、十分に区別し得るものである。
また、本件商標からは、全体として「機関車と数字5とを組み合わせたもの」程の漠然した観念を把握させるのに対し、使用商標からは、「機関車」等の意味を把握させるものであるから、観念上も区別し得るものである。
さらに、本件商標は、「LOCOMOTIVE5」の欧文字と、「ロコモ-ティブファイブ」の片仮名文字とよりなるのに対し、使用商標は「LOCOMOTIVE」又は「locomotive」の欧文字のみよりなるから、たとえ、本件商標中に使用商標と綴りを同じくする部分を含んでいるとしても外観上類似するとまでは言えないものである。
そうとすると、使用商標と本件商標とは、その外観、称呼、観念のいずれとも非類似の商標であって、社会通念上同一の商標であるとは認められない。

(4)結語
以上のとおり、被請求人提出の各証拠によっては、本件商標(社会通念上同一の商標を含む。)をその請求に係る指定商品「被服」について、通常使用権者により要証期間内に使用していたことを立証し得たものと認めることはできない。
また、被請求人は、本件商標を使用していないことについて、正当な理由があることを明らかにしていない。
したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その指定商品中「被服」についての登録を取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2009-09-04 
結審通知日 2009-09-09 
審決日 2009-09-28 
出願番号 商願昭50-12295 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (117)
最終処分 成立  
特許庁審判長 佐藤 達夫
特許庁審判官 野口 美代子
小川 きみえ
登録日 1980-04-30 
登録番号 商標登録第1415624号(T1415624) 
商標の称呼 ロコモーティブファイブ、ロコモーティブ 
代理人 増田 政義 
代理人 村上 晃一 
代理人 穂坂 道子 

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