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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X43
審判 全部申立て  登録を維持 X43
審判 全部申立て  登録を維持 X43
管理番号 1206851 
異議申立番号 異議2009-900084 
総通号数 120 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2009-12-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2009-03-03 
確定日 2009-10-19 
異議申立件数
事件の表示 登録第5183865号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5183865号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5183865号商標(以下「本件商標」という。)は、「四代目だるま」の文字を横書きしてなり、平成19年12月25日に登録出願、第43類「飲食物の提供」を指定商品として、同20年11月4日に登録査定、同月28日に設定登録されたものである。

2 本件登録異議申立ての理由
本件登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第21号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)商標法第3条第1項第6号について
本件商標の構成中、「だるま」の文字部分は、飲食店の店名として多数使用されている(例えば、甲第2号証の1ないし22)から、自他役務の識別力が弱く、これを指定役務について使用しても、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない。また、本件商標の構成中、「四代目」の文字部分は、古くからの伝統を擁する老舗にあっては、創業以来、正当に受け継がれている者である旨を看者に強く印象づけるために「?代目」の語が広く使用されている(例えば、甲第4号証の1ないし11)から、自他役務の識別力が極めて弱い。
本件商標は、「だるま」の語に「四代目」の語を冠して構成されたものであるから、本件商標を指定役務について使用しても、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない。
よって、本件商標は、商標法第3条第1項第6号に違反して登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項第11号について
「だるま」の文字部分が自他役務の識別力を有するとした場合、本件商標は、「四代目だるま」の文字を書してなるところ、「四代目」の文字部分は、初代から数えて四番目の代であることを示しているにすぎず、自他役務の識別力は、極めて弱いから、本件商標から構成文字の全体に相応して「ヨンダイメダルマ」の称呼と「四代目のだるま」の観念とが生ずるほかに、「だるま」の文字部分に相応した単なる「ダルマ」の称呼と「だるま」の観念とが生ずるものである。
本件商標の出願に対して、登録第3295076号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成4年9月28日に登録出願され、第42類「仕出しによる魚料理・肉料理・鳥料理・とんかつ料理・てんぷら料理・煮物料理・すしの提供,ケイタリング」を指定役務として、平成9年4月25日に登録設定されたものであり(甲第6号証)、「株式会社だるま」の文字部分は、一般取引者の保護のために法人の種類を示すよう法律上要求されている部分である「株式会社」の部分を除いた「だるま」の文字部分が社会的存在としての特定に必要不可欠な部分であるから、引用商標からは、構成文字の全体に相応して「カブシキカイシヤダルマ」の称呼が生ずるほか、「だるま」の文字部分に相応した単なる「ダルマ」の称呼が生ずるものである。
以上のことから、本件商標と引用商標とは、「ダルマ」の称呼を共通にする類似の商標であり、かつ、本件商標の指定役務は、引用商標の指定役務と類似するから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
(3)商標法第4条第1項第7号について
(ア)「だるま」を店舗名とする老舗の飲食店において、先代より家業を受け継いだ者は、「?代目だるま」の店舗名の使用を欲しかつ必要とするものであるところ、「?代目」の語の一私人による独占は、その語を冠した「?代目だるま」の使用を不可能とするものであり、競合業者の営業活動を不当に阻害するおそれがある。
また、店舗名が「だるま」の老舗料理店が存在する場合に、その老舗料理店と同じ地域内での「四代目だるま」の店舗名の使用は、その店舗が老舗料理店の「だるま」となんらの関係がなくても、需要者、取引者をして、その老舗と何らかの関わりがあると誤認させるおそれがある。
したがって、「?代目」の語の一私人による独占は、公正な取引秩序を破壊し、老舗の名声に便乗することを助長するという不条理な結果を招く。
さらに、本件商標の「四代目だるま」に接する取引者、需要者は、その店舗が四代にわたって引き継がれてきた由緒のある店舗であると理解し、認識するものであるところ、もし、四代にわたって家業を引き継いでいない者が店舗名を表す語に「四代目」の語を冠して使用した場合、虚偽の表示を行ったこととなり、取引者、需要者を欺く結果となり、社会の一般的道徳観念に反する。
上記したとおり、本件商標の「四代目だるま」のように、「?代目」の語を含む商標は、競合業者の営業活動を不当に阻害したり、老舗の名声に便乗することを助長したり、取引者、需要者を欺いたりするなどの結果を招くおそれがあるから、公序良俗を害するおそれがある商標である。
(イ)串かつ店の「だるま」は、申立人である株式会社一門会が経営する串かつ料理を提供する料理店であり(甲第8号証参照。)、大阪の新世界にその本店を置いている。大阪の新世界は、「串かつ」の発祥の地とされており、そもそも「串かつ」は、昭和4年(1929年)、新世界に串かつ店「だるま」を創業した百野ヨシエが最初に考案したといわれており(甲第9号証)、これにより、串かつ店「だるま」は、元祖串かつ店として認知され、現在、新世界店以下、7店舗を構えている。串かつ店の「だるま」は、三代目の店主が病に倒れ、創立以来の閉店の危機に陥っていたところ、学生時代からの店の常連客であった俳優の赤井英和氏の尽力もあって、平成14年11月に閉店状態の店が再オープンした(甲第10号証)。現在、株式会社一門会の代表取締役である「上山勝也氏」が四代目を受け継いでいる(甲第8号証及び甲第11号証)。その後、赤井英和氏が出演するテレビ番組などで串かつ店「だるま」のPRが盛んに行われ、一方で、新聞社、雑誌社、放送会社などから数多くの取材を受け、新聞、雑誌、テレビなどの媒体を通じで串かつ店の「だるま」が取り上げられた結果、串かつ店の「だるま」は、広く知られるに至った(甲第12号証ないし甲第18号証)。
このように、串かつの店の「だるま」は、日本国内(主として関西圏)において周知である。本件商標の商標権者である「田中享氏」は、申立人である株式会社一門会の元社員であり、同社設立後、同社の代表取締役を一時期務め(甲第11号証)、串かつ店の「だるま」の経営に参画した。しかし、同社内で問題を惹起したため、平成19年5月10日に株主総会の決議によって代表取締役を解任され、同社を退職している。串かつ店「だるま」の店主は、株式会社一門会の代表取締役である「上山勝也氏」であり、四代目を引き継いでいる。
「田中享氏」は、串かつ店の「だるま」の店主でないにもかかわらず、串かつ店「だるま」の名声にフリーライドする目的で、更には、不当に自己の業務を有利にし向け、申立人の業務を抑止するために、串かつ店の「だるま」の店舗名及び「だるま」の語に「四代目」の語を冠した標章が未登録であることを奇貨として、申立人に無断で本件商標の「四代目だるま」を出願したものである。
このような商標権者による剽窃的行為は、公正な取引秩序を混乱させることは、明らかであり、加えて、本件商標の「四代目だるま」を店舗名とした串かつ店がオープンすると、「四代目だるま」に接する取引者、需要者は、その店舗が四代にわたって引き継がれてきた由緒のある店舗であると理解し、認識するのみならず、大阪の新世界に本店を置く周知の串かつ店「だるま」を引き継いだ者の店舗であると理解し認識するもので、こうした虚偽の表示は、取引者、需要者を欺き、社会の一般的道徳観念に反するものである。 したがって、本件商標は商標法第4条第1項第7号に該当する。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第6号について
本件商標は、「四代目だるま」の文字よりなるものであるところ、構成前半の「四代目」は、「代」の文字が「家又は位を継いで、その地位にある間」の意味を有することから、初代から四番目の代に当たることを表すものであり、後半の「だるま」は、同様に、達磨大師の座禅した姿に模した「張り子の玩具」の意味合いとを有するものであるから、共に親しまれたものというべきであって、本件商標は、該文字が軽重の差がなく結合し、「四代目のだるま」(四番目の代のだるま)のごとき一体の意味合いを認識させるものである。
そうとすれば、「四代目」及び「だるま」が指定役務との関係において、仮に多数使用されている事実があるとしても、これを一体不可分的に表示した本件商標は、それ自体自他商品識別の機能を十分に発揮し得るものであり、「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」とはいうことができない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するものではない。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、「四代目だるま」の文字を、同じ書体、同じ大きさ、等間隔にまとまりよく一体的に表示しているものであり、また、観念上、「四代目」と「だるま」に軽重の差はなく、「四代目のだるま」の観念を生じるものであり、また、その構成文字より生ずる「ヨンダイメダルマ」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものである。
そうとすると、本件商標は、構成全体が一体不可分の商標と認識され、「ヨンダイメダルマ」の称呼及び「四代目だるま」の観念のみを生ずるものというべきである。
してみれば、本件商標より「ダルマ」の称呼をも生じるとし、本件商標と引用商標とが類似の商標であるとの申立人の主張は採用できず、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第7号について
申立人は、本件商標の「四代目だるま」のように、「?代目」の語を含む商標は、競合業者の営業活動を不当に阻害したり、老舗の名声に便乗することを助長したり、取引者、需要者を欺いたりするなどの結果を招くおそれがあるから、公序良俗を害するおそれがある商標であると主張しているが、「四代目だるま」が、本件商標の指定役務の分野において多数使用されているとする事実もないから、本件商標の登録により、競合業者の営業活動を不当に阻害するものとはいえず、また、「四代目だるま」を登録することが老舗の名声に便乗する事情は認められないし、取引者、需要者を欺くともいえないから、申立人の上記主張は採用できない。
また、申立人は、串カツ店「だるま」を経営し、その現在の経営者が「四代目」に当たる(甲第8号証)として、また、商標権者が平成19年5月10日までの一時期、申立人の取締役であった(甲第11号証)として述べるところがあるが、申立人が本件商標を使用していたとする事実はなく、したがって、剽窃して出願したとする事実は、提出に係る証拠によっても認められない。
その他、申立人の主張を検討しても、本件商標が公序良俗を害するおそれがある商標であるとは、認めることができない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号にも該当しない。
(4)結び
以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項又は同法第4条第1項の規定に違反して登録されたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
(1)引用商標


異議決定日 2009-09-30 
出願番号 商願2007-127064(T2007-127064) 
審決分類 T 1 651・ 262- Y (X43)
T 1 651・ 22- Y (X43)
T 1 651・ 16- Y (X43)
最終処分 維持  
前審関与審査官 田中 幸一 
特許庁審判長 芦葉 松美
特許庁審判官 岩崎 良子
内山 進
登録日 2008-11-28 
登録番号 商標登録第5183865号(T5183865) 
権利者 田中享
商標の称呼 ヨンダイメダルマ、ダルマ 
代理人 粕川 敏夫 
代理人 鈴木 由充 

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