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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 Z33 |
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管理番号 | 1205394 |
異議申立番号 | 異議2008-685002 |
総通号数 | 119 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2009-11-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2008-01-15 |
確定日 | 2009-08-17 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 国際登録第496105号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 国際登録第496105号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件国際登録第496105号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲(1)のとおりの構成からなり,1985(昭和60)年9月10日を国際登録の日,2006(平成18)年6月30日を事後指定の日とし,第33類「Wines,sparkling wines,spirits and liqueurs.」を指定商品として,平成19年10月26日に設定登録されたものである。 2 登録異議申立人の引用する商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は,以下のとおりであり,その商標権は,いずれも現に有効に存続しているものである。 (1)登録第4046867号商標(以下,「引用商標1」という。)は,別掲(2)のとおりの構成からなり,平成7年6月29日に登録出願,第33類「シャンパーニュ地方産のぶどう酒,その他の果実酒,洋酒,中国酒,日本酒,薬味酒」を指定商品として,同9年8月22日に設定登録されたものである。 (2)登録第2721952号商標(以下,「引用商標2」という。)は,別掲(3)のとおりの構成からなり,平成元年12月26日に登録出願,第28類「酒類(薬用酒を除く)」を指定商品として,同9年6月6日に設定登録されたものであり,指定商品については,その後,同20年3月26日に指定商品の書換登録により,第32類「ビール」及び第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」となっている。 (3)登録第1639069号商標(以下,「引用商標3」という。)は,別掲(4)のとおりの構成からなり,昭和54年6月21日に登録出願,第28類「酒類(薬用酒を除く)」を指定商品として,同58年12月26日に設定登録されたものであり,指定商品については,その後,平成16年4月7日に指定商品の書換登録により,第33類「洋酒,果実酒,日本酒,中国酒,薬味酒」となっている。 以下,これらを併せていうときには,「引用商標」という。 3 登録異議の申立ての理由(要旨) 申立人は,その理由を以下のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第200号証を提出した。 (1)商標法第4条第1項第15号について 本件商標は,基本形状において「上端が略波型」である点,「下方部分が槍型」である点が引用商標と共通しており,また,具体的態様において,引用商標と同様に「葡萄の房と枝葉からなる絵柄」を有しており,その描写位置や方法も引用商標と酷似しているから,本願商標と引用商標とは,全体的な印象を一にし外観において酷似する商標というべきであり,本件商標がその指定商品に使用された場合,取引者・需要者は,あたかも申立人若しくは申立人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務にかかる商品であるかの如く認識し,その商品の出所について混同を生ずるおそれがある。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。 (2)商標法第4条第1項第19号について 本件商標が使用されているのはスペイン産の「スパークリング・ワイン」であるが,引用商標が使用されている商品はシャンパーニュ地方産の「スパークリング・ワイン」である。かかる限定的な商品分野において,引用商標と酷似する本件商標を使用する行為は,引用商標の著名性を不正の目的で利用するものであり,引用商標の周知・著名性が稀釈化されるという害を招くおそれがある。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当する。 4 当審の判断 (1)使用商標及び引用商標の著名性について 申立人の提出に係る証拠によれば,以下の事実が認められる。 申立人は,1743年に創設されたシャンペンを製造するフランス法人であって,近年における年間の生産量は2500万本,自社で所有する畑の総面積は800haと,シャンパーニュ地方最大のシャンペン製造メーカーとしての地位を誇っていること(甲第175号証及び甲第176号証)。申立人が製造するシャンペンの最高級銘柄である「ドンペリニョン」は,申立人の代名詞的存在となっており,我が国への輸入量は2007年度(1月から11月まで)が64,970本,2006年度が96,965本,2005年度が81,955本,2004年度が72,797本,2003年度が71,387本であったこと(甲第177号証及び甲第178号証)。 申立人は,上端を略波形とし下方部分を槍型とする輪郭形状が引用商標と同様の標章を,1743年から今日までドンペリニョンのフロントラベルに使用していること(甲第179号証)。 申立人は,少なくとも本件商標の出願時(「事後指定時である2006年6月30日」以下同じ。)及び登録時において,上端を略波形とし,下方部分を槍型とする輪郭形状内に葡萄の房と枝葉からなる絵柄と星の図形,「Dom Perignon」及び「MOET et CHANDON」(「双方に文字の一部にアクサンテギュが含まれる」以下同じ)の文字等を配してなる引用商標2と略同様の形状の標章に,「Champane」,「ビンテージ年(Vintage西暦)」,内容量,アルコール度数等の文字を表示した標章(以下「使用商標」という。別掲(5))をドンペリニョンのフロントラベルに使用していること(甲第1号証ないし甲第200号証)。 そして,ドンペリニョンは,申立人自身が日本国内外の各種新聞,雑誌,テレビ等のメディアにおいて積極的に広告・宣伝をするとともに,これらのメディアにおいて,その歴史や申立人の最高級銘柄としての内外での高い評価と人気,各種パーティーや高級レストラン・料亭において使用されていること等を紹介する記事が掲載されていること。また,それらの広告や紹介記事のほとんどに,使用商標が付されたドンペリニョンの瓶が表示されていること(甲第1号証ないし甲第173号証及び甲第188号証)。 以上のとおり,使用商標及びこれと輪郭形状とその内側に描かれた図形を同じくする引用商標2(以下,使用商標と引用商標2をあわせていうときは「使用商標等」という。)は,遅くとも本件商標の出願時までには,我が国のみならず,フランスを含む多くの国において,申立人の製造・販売に係るシャンペン(スパークリングワイン)の出所を表示する標章として著名性を獲得していたということができる。 しかしながら,引用商標1及び引用商標3については,本件商標の登録出願時及び登録査定時における使用を確認することができず,著名性を獲得していたということはできない。 (2)本件商標と使用商標等の類似性について (a)本件商標について 本件商標は,別掲(1)のとおり,上端がゆるやかな波型で下方部分が楯型の輪郭形状からなり,上部の波形の中央部及び下部の中央部を開け,上部の波形の左右の部分から両側面の内径部分に葡萄の房と枝葉からなる絵柄を描き,その絵柄の上部に絵柄に囲まれるように建物を描き,さらに,中央に筆記体の「RogerGoulart」の欧文字を配してなるものである。 そして,これは,その全体的外観から,ぶどう酒のボトルに貼付されるフロント・ラベルと容易に理解し得るものといえる。 (b)使用商標等について 引用商標2は,別掲(3)のとおり,上端が略波型で下方部分が槍型の輪郭形状からなり,その内側上部に鳥が羽を広げたかのように見える曲線を組み合わせ模様を,同じく下部に星印を,左右の内径にそって,最下部において枝を交差させた葡萄の房と枝葉からなる絵柄を下部から上部の8分目ほどまでの部分に配し,さらに,上部に「MOET et CHANDON」,中央部に「Dom Perignon」の文字を配してなるものである。 また,使用商標は,別掲(5)のとおり,引用商標2とほぼ同様の形状の標章に,「Champane」,「ビンテージ年(Vintage西暦)」,内容量,アルコール度数等の文字を記載したものである。 そして,これらは,本件商標と同様に,その全体的外観から,ぶどう酒のボトルに貼付されるフロント・ラベルと容易に理解し得るものといえる。 (c)本件商標と使用商標等との類否について そこで,本件商標と使用商標等を比較すると,両者は,外形において上端が波型であって,下方部分が楯又は槍のようにつぼまって表されている点と,その内部に葡萄の房と枝葉からなる絵柄を配してなる点に,共通性を有するものである。 しかしながら,輪郭形状における上端の波型は,本件商標が中心を外側にふくらませるような緩やかな曲線により描かれているのに対し,使用商標等は,内側に湾曲した2本線により,中心と左右の隅を尖らせたようにシャープな曲線により描かれており,また,下方部分にしても,本件商標が下部の角度が大きく全体として丸みを帯びた,楯型に近い形状で描かれているのに対し,使用商標等は,下部の角度を本件商標よりも小さくし,槍型に近い形状で描かれていることから,両者の輪郭形状は,共通にするところはあるとしてもその全体から受ける印象は異なるものといえ,また,葡萄の房と枝葉からなる絵柄にしても,配置された位置や葡萄の房や枝葉の詳細形状を異にするものであって,視覚的に受ける印象が異なるものといえる。 加えて,両者の他の図形部分においては,本件商標に建物が描かれているのに対し,使用商標等には,下部に星が描かれ,上部に線書き図形が配されてる点に明らかな相違を有するものであり,また,文字部分についても,本件商標に表示された「RogerGoulart」と使用商標等に表示された「MOET et CHANDON」及び「Dom Perignon」等の文字とは,綴りが異なる上に,それぞれの配置,文字の大きさ,書体等が異なるものである。 してみれば,本件商標と使用商標等とは,時と所を異にして離隔的に観察した場合においても,看者に与える印象は異なったものとなり,需要者としての通常の注意力をもってすれば,外観上,何ら相紛れるおそれのない非類似の商標であり,別異の商標であると判断するのが相当である。また他に,両者を称呼及び観念において類似とすべき点は見当たらない。 (3)商標法第4条第1項第15号及び同第19号該当について 上記4(1)で認定したとおり,引用商標1及び引用商標3は,需要者の間に広く認識されている商標とはいえないから,商標法第4条第1項第15号及び同第19号には該当しない。 そこで,以下,使用商標等について判断する。 上記4(2)で認定したとおり,本件商標と使用商標等とは,相紛れるおそれのない別異の商標であるから,たとえ使用商標等が日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標であるとしても,本件商標をその指定商品に使用しても,これに接する取引者,需要者が使用商標等又は申立人を連想,想起するようなことはなく,該商品が申立人又は同人と経済的・組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく,その出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。 また,前記のとおり,本件商標と使用商標等とは,類似しない別異の商標であるから,両商標の使用に係る商品の類似性の程度を考慮するとしても,本件商標をその指定商品に使用しても引用商標等の著名性にただ乗りし,不正に利益を得る目的で利用するものとはいえない。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号及び同第19号には該当しない。 (4)以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第15号,同項第119号のいずれにも違反して登録されたものではないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,その登録を維持すべきものである。 よって,結論のとおり決定する。 |
別掲 |
【別記】 |
異議決定日 | 2009-07-29 |
審決分類 |
T
1
651・
26-
Y
(Z33)
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最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 八木橋 正雄 |
特許庁審判長 |
井岡 賢一 |
特許庁審判官 |
小林 由美子 岩崎 良子 |
登録日 | 1985-09-10 |
権利者 | ROGER GOULART, S.A. |
商標の称呼 | ロジャーグラート、ロジャー、グラート |
代理人 | 稲葉 良幸 |
代理人 | 田中 克郎 |