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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 Y09
審判 一部申立て  登録を維持 Y09
審判 一部申立て  登録を維持 Y09
管理番号 1205386 
異議申立番号 異議2009-900112 
総通号数 119 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2009-11-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2009-03-26 
確定日 2009-10-05 
異議申立件数
事件の表示 登録第5190328号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5190328号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5190328号商標(以下「本件商標」という。)は、「ブラック」の片仮名文字と「BLACK」の欧文字とを二段に横書してなり、第9類「電子計算機用ゲームプログラム,ダウンロード可能な電子計算機用ゲームプログラム,携帯電話機用ゲームプログラム,家庭用テレビゲームおもちゃ用ゲームプログラム,ダウンロード可能な家庭用テレビゲームおもちゃ用ゲームプログラム,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のゲームプログラム」を指定商品として、平成17年10月27日に登録出願、同20年12月19目に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由について
1 商標法第3条第1項第3号の該当性について
(1)商標法第3条第1項第3号の趣旨について
商標法第3条第1項各号が要求する「需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識させる力(以下「自他商品識別力」という。)」は、商標の構成自体を基準としてその有無が判断されると解されるが、実際には商標の「使用」によって発揮される。かかる「使用」の定義は、同法第2条第3項各号で限定列挙され「商品」の場合は「商品又は商品の包装に標章を付する行為」等が該当する。かかる「使用」により発揮される「自他商品識別力」を有する商標が、商標法の保護対象であることは明らかであり(同法第1条、同法第50条等)、「使用」によって自他商品識別力が発揮されないことが予め明らかである場合は商標法で保護すべきでない。
ところで、同法第3条第1項第3号列挙のものを不登録事由とする理由として、「需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識させる力が発揮され得」ないといういわゆる狭義の自他商品識別力のみならず、「通常、商品又は役務を流通過程又は取引過程に置く場合に必要な表示であるから何人も使用をする必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものだから一私人に独占を認めるのは妥当ではない」(甲第2号証の1)という公益的見地含めたいわゆる広義の自他商品識別力からも説明されるのが一般的である。かかる公益的見地から独占適応性を考慮する必要性は、「登録に対する信頼を高める公益的な目的を達成する」(甲第2号証の1)という商標登録異議申立ての趣旨に合致する。
本件指定商品中の「家庭用テレビゲームおもちゃ用ゲームプログラム,ダウンロード可能な家庭用テレビゲームおもちゃ用ゲームプログラム,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のゲームプログラム」(以下「本件ゲームプログラム」という。)の場合、「商品に・・・標章を付する行為」(同法第2条第3項第1号及び第2号)とはどのような行為を言うのか。この点、いわゆる無体物たる「本件ゲームプログラム」が、家庭用テレビゲームおもちゃ・携帯用液晶画面ゲームおもちゃ等ゲーム機器の映像面を介して使用者によって視認され、ゲームを楽しめる状態になったときに、同映像面に商標が現れた状態をいうと考えるのが妥当である。かかる視認されゲームを楽しめる状態は、家庭用テレビゲームおもちゃ・携帯用液晶画面ゲームおもちゃ等のゲーム機器によってはじめて実現される。この他、「本件ゲームプログラム」はDVD等各種媒体に格納され、包装容器に包装されて有体物として流通する場合も多く、「商品の包装に標章を付する行為」等も多く行われている(同項第1号及び第2号)。さらに、「本件ゲームプログラム」は、家庭用テレビゲームおもちゃ・携帯用液晶画面ゲームおもちゃ等のゲーム機器と密接な関連性をもって、紙媒体やインターネット上で広告宣伝・PR等され(同項第8号)、かつ、それ自体視認されない「本件ゲームプログラム」において、かかる「使用」が需要者・取引者の認知向上に最も貢献することは想像に難くない。したがって、「本件ゲームプログラム」の場合は、家庭用テレビゲームおもちゃ若しくは携帯用液晶画面ゲームおもちゃ等のゲーム機器又は格納用の各種媒体若しくは包装容器等の有体物との密接関連性を重視して自他商品識別力を発揮するかについても検討すべきである。
次に、「本件ゲームプログラム」自体の特性・品質等とはどのようなものを言うのか。この点、映像面の豊かなビジュアル表現、登場キャラクターのユニーク性若しくはゲーム機器機能とうまく連携した操作機能や処理機能等といった各要素又はかかる構成要素からなるゲームの内容を、その特性・品質等と考えるのが妥当である。具体的には例えば、「黒色」を意味する「ブラック(BLACK)」の色彩を映像面に多用しゲームのシーン(例えば、戦闘シーン、正義に対する「悪」の表現)を作り出したり、キャラクターの一部に「ブラック(BLACK)」の色彩が持つイメージを有する悪魔や謎の人物等を登場させたりして、ゲームの内容の要素を構成する(「ブラック(BLACK)」又は「ブラック(BLACK)」を含む複合語の意味は、甲第2号証の2ないし4で示すとおりである)。すなわち「ブラック(BLACK)」の文字、色彩又はその文字が有する意味は、ゲームプログラムの内容の一部又は全部を記述することが多い。
以上を総合的にみて、「本件ゲームプログラム」の属するゲーム業界において、一私人に「ブラック\BLACK」を商標登録させ、更新を条件に何十年にもわたり独占排他的使用を認めることがふさわしいのか否か、取引秩序維持という法目的(商標法第1条)に照らし、公益的見地から広義の自他商品識別力の有無を判断すべきである。
以上をさらに「(2)家庭用テレビゲームおもちゃ・携帯用液晶画面ゲームおもちゃ等のゲーム機器その他の有体物と『ブラック\BLACK』の文字との関係」、「(3)「本件ゲームプログラム」自体と『ブラック\BLACK』の文字との関係」として順に以下詳述する。
(2)家庭用テレビゲームおもちゃ・携帯用液晶画面ゲームおもちゃ等のゲーム機器その他の有体物と「ブラック\BLACK」の文字との関係について
(ア)ゲーム機器等での記述的使用例
上述の如く「本件ゲームプログラム」は、家庭用テレビゲームおもちゃ・携帯用液晶画面ゲームおもちゃ等のゲーム機器によってはじめて使用者により視認されゲームを楽しめる状態が実現される。そこで以下、ゲーム業界のみならず一般の需要者・取引者に広く知られている主要なゲーム機器その他の有体物を列挙しつつ、「ブラック」又は「BLACK」等がこれらのゲーム機器等の特性・品質・色彩等を表す記述的な文字として使用されている例を挙げる。なお「グラファイトブラック」等のごとく他の文字と結合した記述例も挙げたが、「ブラック」が記述的文字であることを否定するものでないことは明らかである。
「ブラック」又は「BLACK」がゲーム機器等の特性・品質・色彩等を表す記述的な文字として使用されている例(甲第3号証ないし甲第5号証、甲第8号証、甲第12号証ないし甲第15号証、甲第18号証ないし甲第20号証、甲第22号証、甲第24号証ないし甲第27号証、甲第32号証ないし甲第34号証、甲第36号証ないし甲第41号証)
(イ)商品の取引実情等
ゲーム業界では以下のように、「本件ゲームプログラム」と家庭用テレビゲームおもちゃ・携帯用液晶画面ゲームおもちゃ等のゲーム機器が密接関連性をもって取引され又は宣伝広告・PR等されている実情がある。そうすると、上記(ア)のようにかかるゲーム機器に対し「ブラック」又は「BLACK」が記述的文字として頻繁に使用されている状況で、需要者・取引者が「ブラック」又は「BLACK」を自他商品識別標識たる商標として認識できるか疑問である。さらに、かかる「ブラック」又は「BLACK」が記述されたゲーム機器と「本件ゲームプログラム」が紙媒体やWeb上の同一ページで販売又は宣伝広告・PR等されている場合、「ブラック」又は「BLACK」が「本件ゲームプログラム」について自他商品識別力を発揮するか疑問である。
「ゲームプログラム」とゲーム機器が密接関連性をもって取引されている例(甲第3号証ないし甲第7号証、甲第9号証ないし甲第11号証、甲第13号証ないし甲第15号証、甲第17号証、甲第19号証、甲第24号証、甲第27号証、甲第28号証ないし甲第30号証、甲第31号証、甲第32号証、甲第34号証及び甲第36号証)
(ウ)特許庁審査の運用上の例
特許庁編「類似商品・役務審査基準」(以下「審査基準」という。)及び特許電子図書館に設けられた「商品・役務名リスト」並びに本件商標の「商標出願・登録商標検索(詳細表示)』によれば、「本件ゲームプログラム」及び「家庭用テレピゲームおもちゃ」「携帯用液晶両面ゲームおもちゃ」はいずれも「24A01」の類似群コードが付され類似する商品として扱われている(甲第1号証及び甲第42号証)。これはゲーム業界では上述のように「本件ゲームプログラム」と家庭用テレビゲームおもちゃ・携帯用液晶画面ゲームおもちゃ等のゲーム機器が密接関連性をもって取引されている状況を反映させてのことといえる。裁判所は特許庁の見解に拘束されないとしても、特許庁の「審査基準」は一定の取引秩序を形成している。そうすると本件商標の登録が維持された場合に、家庭用テレビゲームおもちゃ・携帯用液品画面ゲームおもちゃ等のゲーム機器に「ブラック\BLACK」を使用している第三者の行為に対して、本件商標の権利者に権利行使の根拠を与えることとなり(商標法第37条等)、公益的に妥当でない。確かに第三者は商標法第26条によりかかる権利の効力を制限できるとしても、このように第三者の営業やゲーム業界を不安定な状況にさらし、権利濫用を誘発するような状態を生み出すことは商標法が本来目的とするところではないはずである。
(エ)家庭用ゲーム業界の仕組み・ゲーム機器の販売等実績
甲第43号証からも、家庭用ゲーム業界の仕組みとして、ハードメーカーが、ソフト部門を持ち、かつ、ハードメーカーとソフトメーカーとの密接関連性がうかがわれる(ハードにはゲーム機器が、ソフトには「本件ゲームプログラム」が含まれると解する。)。同号証によれば、ゲーム業界における任天堂(ニンテンドーDSシリーズ等)、ソニー(プレイステーション・シリーズ等)、マイクロソフト(Xbox360等)の3社が強く、かつ任天堂はソフト販売数で1位を占めているとされる。
甲第9号証によれば2004年11月21日販売から2009年3月6日付時点で 「ニンテンドーDSシリーズは1億台販売」を突破した旨報告され、そのうち「ブラック\BLACK(黒色)のゲーム機器を含む「ニンテンドーDSi」の国内累計販売台数は2009年3月22日時点で200万台を突破した旨報告されている。また甲第35号証によれば、累計生産出荷台数(2007年3月31日時点)について、プレイステーションは全世界10,249万台、プレイステーション2は全世界11,789万台に至っている。また同号証では、プレイステーション・ポータブルの2009年1月末時点で全世界累計売上台数は5,000万台を達成した旨報告されている。
(3)「本件ゲームプログラム」自体と『ブラック\BLACK』の文字との関係について
上記(1)のとおり、「ブラック」又は「BLACK」の文字、色彩又はその文字が有する意味は、ゲームプログラムの内容の一部又は全部を記述することが多い。しかしこのような表現は文字として表現されず、映像面の色彩や登場人物等のイメージとして記述される場合は、本件商標を構成する「ブラック」又は「BLACK」が「本件ゲームプログラム」の内容自体・特性・品質等を直接表現するとまでは言えず暗示するにとどまる、との見解もあり得よう。また「ブラック(BLACK)」は、「『不正な』『闇の』などの意で複合語をつくる」とされ(甲第2呼証の2)、「ブラック(BLACK)」単独では何ら意味ももたず、記述的な文字とはならないとの見解もあり得よう。
(ア)ゲームプログラムのタイトル例
しかし少なくとも以下のように「ブラック」又は「BLACK」と他の文字からなる「本件ゲームプログラム」のタイトルが多数存在しこれらは「本件ゲームプログラム」に関するいわゆる商標的使用と判断される可能性もあり得る。特に各種媒体等の大きさ・かたち等との関係やデザイン上の観点から、「ブラック」又は「BLACK」を他の文字から分離して単独で認識できるよう表現したものも多く、本件商標の登録が維持される場合は当該権利者に対し、これらの「本件ゲームプログラム」に商標権に基づく権利行使の根拠(商標法第37条等)を与え得ることとなり公益的観点から妥当ではない。以下、「本件ゲームプログラム」のタイトル例を列挙する。(甲第44号証ないし甲第58号証)確かに、「BLACK」のみが中央に浮きあがるように表現されているが、自他商品識別力は認められ得ず又は極めて低い。
(イ)「ブラックな」と形容されるゲームの例
「ブラック(BLACK)」は、「『不正な』『闇の』などの意で複合語をつくる」とされ(甲第2号証の2)、「ブラック(BLACK)」単独では何ら意味ももたず、記述的な文字とはならないとの見解に対しては、その表現の例(甲第59号証)を挙げることで反論可能であろう。すなわち、例えば「ブラック・ユーモア」等の複合語については「ブラックな」と短縮した言葉で表現される場合も多く、「ブラック」又は「BLACK」のみでゲームプログラムの内容自体又はその構成要素を記述する。かかる表現はいわゆる狭義の自他商品識別力がないのみならず、「何人も使用をする必要があり、かつ、何人もその使用を欲するもの」であるから独占適応性がなく、結果として広義の自他商品識別力がないことは明らかである。
以上を勘案すると、本件商標を構成する文字「ブラック/BLACK」は、「本件ゲームプログラム」の内容自体・特性・品質等を記述する文字であるため、自他商品識別力又は独占適応性を欠くものであり、商標法第3条第1項第3号に該当する。
なにより、ゲームプログラム分野で「ブラック」又は「BLACK」という最も基本的な色彩について、一私人に独占させる状態を許すと、他のあらゆる商品・サービス分野でかかる状態がなし崩しに現れ収集のつかない事態になることは誰しもが予想できる。そうすると、「ブラック(BLACK)」のような基本色の名称は、上記(1)のとおり、広義の自他商品識別力がなく、公益的見地から独占適応性なきものとして登録すべきではない。
(4)まとめ
以上により、本件商標を構成する「ブラック」又は「BLACK」の文字は、家庭用テレビゲームおもちゃ・携帯用液晶画面ゲームおもちゃ等のゲーム機器又はCD-ROM・DVD等の各種媒体若しくは包装容器等の有体物の特性・品質等を記述する文字に過ぎず、また、「本件ゲームプログラム」の内容自体・特性・品質等を記述することも多く、結果として「本件ゲームプログラム」すなわち「家庭用テレビゲームおもちゃ用ゲームプログラム,ダウンロード可能な家庭用テレビゲームおもちゃ用ゲームプログラム,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のゲームプログラム」の内容自体・特性・品質又は格納若しくは実行される場所等を記述する文字として認識されるに過ぎないことが明らかになったものと思料する。
してみれば、本件商標は、その指定商品中「家庭用テレビゲームおもちゃ用ゲームプログラム,ダウンロード可能な家庭用テレビゲームおもちゃ用ゲームプログラム,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のゲームプログラム」の商品について使用しても、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識できず又は独占適応性を欠き、また、前記商品以外の商品について使用するときは、商品の特性・品質等について誤認を生ずるおそれがあるものといわなければならないため、本件商標は商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。

2 商標法第3条第1項第6号の該当性について
商標法第3条第1項第6号は「前各号に掲げるもののほか、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」は登録できない旨規定する。
上記1で述べたように、「本件ゲームプログラム」の実行等に必要な家庭用テレビゲームおもちゃ等のゲーム機器又は格納用の各種媒体・包装容器の特性・品質等を記述する文字であることが認められるとしても、「本件ゲームプログラム」の内容自体・特性・品質等を記述する文字とは認められないとして同項第3号に該当しないとされる場合においても、上記1で述べた理由により総合的にみれば、自他商品識別力又は独占適応性を欠く。
してみれば、本件商標は、その指定商品中「家庭用テレビゲームおもちゃ用ゲームプログラム,ダウンロード可能な家庭用テレビゲームおもちゃ用ゲームプログラム,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のゲームプログラム」等の商品について使用しても、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識できず、また、前記商品以外の商品について使用するときは、商品の特性・品質等について誤認を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本件商標は商標法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第16号に該当する。

3 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、その指定商品中「家庭用テレビゲームおもちゃ用ゲームプログラム,ダウンロード可能な家庭用テレビゲームおもちゃ用ゲームプログラム,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のゲームプログラム」について、商標法第3条第1項第3号及び同項第6号並びに同法第4条第1項第16号に該当し、同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきである。

第3 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号の該当性について
本件商標は、上記第1のとおり、「ブラック」の片仮名文字と「BLACK」の欧文字とを二段に横書してなるものであるところ、その構成中の「BLACK」文字部分が「黒色」の意味を有する英語(甲第2号証の2)であり、同じく「ブラック」の文字部分が前記英語の発音を表すものであり、また「黒色」の意味を有する外来語(甲第2号証の3及び4)でもあって、いずれの語も我が国において広く知られたものである。
申立人は、まず、本件商標が「本件ゲームプログラム」を使用者が立ち上げてゲームを楽しむ場合に必ず必要となる家庭用テレビゲームおもちゃ・携帯用液晶画面ゲームおもちゃ等のゲーム機器の特性・品質・色彩等を記述する文字であるから、商標法第3条第1項第3号の規定に該当する旨主張する。
しかしながら、本件事案において、商標法第3条第1項第3号の冒頭にいう「その商品」とは、登録異議の申立てに係る指定商品そのものをいうのであって、その関連商品を含むものとは解されないから、本件商標が本件申立てに係る指定商品の関連商品である「家庭用テレビゲームおもちゃ、携帯用液晶画面ゲームおもちゃ等のゲーム機器」の特性・品質・色彩等を記述する文字であるとしても、この点に関する申立人の主張は理由がない。
申立人は、次に、「ゲームプログラム」を店頭等で譲渡・貸与等する場合に必ず必要となる格納用の各種媒体や包装容器の特性・品質等を記述する文字であり、かつ、「ゲームプログラム」の内容自体・特性・品質等を記述する文字であるため、結果として「ゲームプログラム」の内容自体・特性・品質等又は「ゲームプログラム」が格納若しくは実行される場所等を記述する文字にすぎないから、商標法第3条第1項第3号の規定に該当する旨主張する。
しかしながら、ゲームプログラムそれ自体は有体物ではないので色彩を表す「ブラック/BLACK」の各文字が直接ゲームプログラムの特性・品質を表すということは想定できず、甲各号証によっても「ブラック/BLACK」の各文字が直接「本件ゲームプログラム」の色彩又はその他「本件ゲームプログラム」の特性・品質を表すものとして使用されている事実は認められない。ただ、「本件ゲームプログラム」が記録される記録媒体が黒色にされ又はその包装が黒色にされることが想定されるが、これは直接「本件ゲームプログラム」の特性・品質を表示するものとはいえず、甲各号証によっても「ブラック/BLACK」の各文字が「本件ゲームプログラム」を取り扱う業界においてその商品の特性・品質を表示するものとして取引上一般に記録媒体又はその包装に使用されている事実は認められないから、この点に関する申立人の主張も理由がない。
申立人は、更に、本件商標が「本件ゲームプログラム」の特性・品質を表示するものであることを前提として、当該特性・品質表示に該当する商品以外の「本件ゲームプログラム」に本件商標を使用するときは、商品の特性・品質について誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する旨主張するが、本件商標は上述したとおり「本件ゲームプログラム」にこれを使用してもその商品の特性・品質を表示する場合に該当しないものであるから、この点に関する申立人の主張も採用の限りでない。

2 商標法第3条第1項第6号の該当性について
申立人は、本件商標が、「ゲームプログラム」の実行等に必要な「家庭用テレビゲームおもちゃ」等のゲーム機器又は格納用の各種媒体・包装容器の特性・品質等を記述する文字であることが認められるとしても、「ゲームプログラム」の内容自体・特性・品質等を記述する文字とは認められないとして商標法第3条第1項第3号に該当しないとされる場合においても、同号に該当するとして述べた理由により、総合的にみれば、自他商品識別力が発揮され得ず、又は、独占適応性を欠くから、同項第6号に該当し、前記商品以外の商品について使用するときは、商品の特性・品質等について誤認を生ずるおそれがあり、同法第4条第1項第16号に該当する旨主張する。
しかしながら、本件商標は、「黒色」を意味する「ブラック/BLACK 」の各文字よりなるとしても、上述したとおり、その使用商品「本件ゲームプログラム」が直接視認し得ない性質のため、その商品の品質表示に該当しないと認め、自他商品の識別力を有すると判断したものであるから、これを需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものとはいえず、本件商標が商標法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第16号に該当する旨の主張はいずれも採用することができない。

3 結論
以上のとおり、本件商標は、その指定商品中「家庭用テレビゲームおもちゃ用ゲームプログラム,ダウンロード可能な家庭用テレビゲームおもちゃ用ゲームプログラム,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のゲームプログラム」
について、商標法第3条第1項第3号及び第6号並びに同法第4条第1項第16号の規定に違反して登録されたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2009-09-11 
出願番号 商願2005-100847(T2005-100847) 
審決分類 T 1 652・ 13- Y (Y09)
T 1 652・ 272- Y (Y09)
T 1 652・ 16- Y (Y09)
最終処分 維持  
前審関与審査官 土井 敬子 
特許庁審判長 渡邉 健司
特許庁審判官 鈴木 修
平澤 芳行
登録日 2008-12-19 
登録番号 商標登録第5190328号(T5190328) 
権利者 エレクトロニック アーツ インコーポレイテッド
商標の称呼 ブラック 
代理人 一色国際特許業務法人 

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