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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(一部取消、一部維持) X11
審判 全部申立て  登録を取消(一部取消、一部維持) X11
管理番号 1205350 
異議申立番号 異議2008-900340 
総通号数 119 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2009-11-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2008-09-12 
確定日 2009-09-09 
異議申立件数
事件の表示 登録第5138851号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5138851号商標の指定商品中「レンジフード」についての商標登録を取り消す。 本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5138851号商標(以下「本件商標」という。)は、「スリムフード」の片仮名文字を標準文字で表してなり、平成19年1月31日に登録出願、第11類「便所ユニット,浴室ユニット,乾燥装置,換熱器,蒸煮装置,蒸発装置,蒸留装置,熱交換器,牛乳殺菌機,工業用炉,原子炉,飼料乾燥装置,ボイラー,暖冷房装置,冷凍機械器具,業務用衣類乾燥機,美容院用又は理髪店用の機械器具(「いす」を除く。),業務用加熱調理機械器具,業務用食器乾燥機,業務用食器消毒器,水道用栓,タンク用水位制御弁,パイプライン用栓,汚水浄化槽,し尿処理槽,業務用ごみ焼却炉,家庭用ごみ焼却炉,太陽熱利用温水器,浄水装置,電球類及び照明用器具,家庭用電熱用品類,水道蛇口用座金,水道蛇口用ワッシャー,ガス湯沸かし器,加熱器,調理台,流し台,アイスボックス,氷冷蔵庫,家庭用浄水器,浴槽類,あんどん,ちょうちん,ガスランプ,石油ランプ,ほや,あんか,かいろ,かいろ灰,湯たんぽ,洗浄機能付き便座,洗面所用消毒剤ディスペンサー,便器,和式便器用いす,家庭用汚水浄化槽,家庭用し尿処理槽,化学物質を充てんした保温保冷具,火鉢類」を指定商品として、同20年4月7日に登録査定、同年6月13日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由(要点)
(1)登録異議申立人TOTO株式会社の理由(申立番号01)
本件商標は、片仮名「スリムフード」を標準文字で表したものであり、語頭の「スリム」は英語の「SLIM」を、語尾の「フード」は英語の「FOOD」及び「HOOD」が考えられるが、これを前後に連結した表音文字を片仮名で書した態様である。
「スリム(SLIM)」の文字は、「細い、ほっそりした」の意味合いで、本来「人・体格」等に使用される語ではあるが、昨今、機械・器具関連においても細身タイプの機器に、比喩的に使用されている、日常親しまれた外来語である。また、「フード」の文字は、「FOOD(食品)」、「HOOD(ずきん状のもの・覆い)」が直観されるが、本件商標を使用する指定商品の機器関連から考慮すると、「細い形態のフード・ほっそりしたフード」の意味合いが直接的に理解できるものである。
したがって、本件商標は、「レンジフード」、「換気フード」を始め、フードを帯有する商品に使用した場合、「ほっそりしたフード」を使用した商品の品質、形状、機能を表示するにすぎないから商標法第3条第1項第3号に該当し、それ以外の商品に使用した場合、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるため、同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)登録異議申立人パナソニック株式会社の理由(申立番号02)
本件商標は、片仮名「スリムフード」を横書きした構成よりなり、「スリム」が英単語「slim」(「細い、ほっそりとした」の意)の片仮名表音、「フード」が「hood」(「カバー、排気口の覆い」の意)又は「food」(「食物、食料」の意)の片仮名表音であることは自然に認識できると考えられ、現在の日本人の英語力を考えれば、英単語「slim」と「hood」又は「food」の意味も容易に認識されると考えるのが相当である。
そして、本件商標の指定商品中「業務用加熱調理機械器具、家庭用電熱用品類」、特にこれらに含まれる「レンジフード」について、本件商標の自他商品識別力を考えると、「スリム」がほっそりとしたレンジフードの形状を表し、「フード」がレンジフードという商品自体を表していると認識され、本件商標は、「ほっそりした形状のレンジフード」の意味合いを理解し、単に商品の品質、形状を表示するにすぎないと考えられる。
したがって、本件商標は、レンジフード及びその他の商品について使用しても、商品の品質、形状を表示するにすぎないから、自他商品識別力を発揮せず、商標法第3条第1項第3号に該当し、本件商標の指定商品中、「薄型のレンジフード、薄型の換気口、薄型の覆い」でない商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。

3 本件商標に対する取消理由(要旨)
平成21年5月15日付けで通知した取消理由は、次のとおりである。
(1)本件商標は、前記1のとおり、「スリムフード」の片仮名文字を書してなるところ、その構成中の「スリム」の文字は、「細いさま。ほっそりしたさま」の意味を有する語(広辞苑第6版 2008年1月11日株式会社岩波書店発行)として、また、その構成中の「フード」の文字は、「【food】食品。食物」及び「【hood】ひさし型の覆い」等の意味を有する語(前出広辞苑第6版)として、いずれも一般に広く知られているものである。
(2)申立番号01のTOTO株式会社(以下「TOTO」という。)の提出に係る甲第5号証及び甲第7号証(枝番を含む。)並びに申立番号02のパナソニック株式会社の提出に係る甲第7号証ないし甲第11号証及び甲第13号証によれば、以下の事実が認められる。
なお、上記2件の証拠番号が重複しているため、以下、申立番号02の甲第7号証ないし甲第11号証及び甲第13号証を甲第8号証ないし甲第12号証及び甲第14号証とする。
ア 甲第7号証の1は、TOTOに係るキッチンに関する商品カタログの抜粋5葉、及び「TOTO KITCHEN レガセスの特徴 フード」を見出しとする2008年8月20日にプリントアウトされたと認められるウェブページであり、これらには「スタイルF:ノンフィルタースリムフード」、「ノンフィルタースリムフード」、「リモデルスリムフード」の商品名表示と該商品の写真及びその仕様など、レンジフードについての掲載がある。
なお、該商品カタログの作成、頒布など、その使用時期についての記載は見当たらないが、当審における職権調査によれば、2004(平成16)年9月10日付けの日刊建設工業新聞の記事情報において、「TOTO/多機能システムキッチン発売、高級感あるデザインで便利な機能搭載」の見出しの下、「・・・システムキッチン『スタイル・エフ』を9月15日に発売する。新製品はスリムな収納ユニットが選べ・・・遠心力を活用した『ノンフィルタースリムフード』を搭載し・・・3年後に年間3万セットの販売を目指す。」との記載があることから、当該「・・・スリムフード」と表示したレンジフードがTOTOから2004(平成16)年9月15日に発売され、現在も継続して販売されている状況にあると推認し得るものである。
イ 表紙に「TOTO KITCHEN」、「STYLE F」及び「2008.8」の記載のあるTOTOに係る商品カタログ(甲第10号証)並びに表紙に「TOTO KITCHEN」、「LEGACESS」及び「2008.8」の記載のあるTOTOの商品カタログ(甲第11号証)には、レンジフードについて、「ノンフィルタースリムフード」、「リモデルスリムフード」の商品名表示と該商品の写真及びその仕様などの掲載があり、また、「リモデルとは『増改築』『リフォーム』から一歩進化させ、『お客様の期待以上の新しい生活スタイルを約束すること』とわたしたちTOTOは定義しています。」との記載がある。
なお、上記商品カタログ(甲第10号証)は、該「2008.8」の記載から2008(平成20)年8月発行のものと認められるものの、そのカタログの表紙の「STYLE F」の記載及び上記日刊建設工業新聞の記事情報によれば、「ノンフィルタースリムフード」の文字が2004(平成16)年9月15日以降使用されていると推認し得るものである。
ウ 表紙に「2007.11」及び裏表紙に「このカタログの記載内容は平成19年11月現在のものです。」並びに表紙に「2008.3」及び裏表紙に「このカタログの記載内容は平成20年3月現在のものです。」とそれぞれ記載された松下電工株式会社に係る2007(平成19)年11月版及び2008年3月版システムキッチンに関する商品カタログ抜粋(甲第8号証及び甲第9号証)には、「Dスリムフード(幕板タイプ)」、「Dスリムフード(ダクトカバータイプ)」及び「Dスリムフード(サイドタイプ)」などの商品名表示とともに、フード部分がほっそりしたレンジフードの写真などの掲載がある。
なお、「喚起上手IIレンジフード|Nationl」を見出しとする2008年8月20日にプリントアウトしたと認められるウェブページ(甲第7号証の3)に記載された「Dスリムフード」の商品名表示も甲第8号証及び甲第9号証の商品カタログと照応すると認められる。
エ 表紙に「システムキッチン エスタジオ」及び「2008.1」並びに裏表紙に「このカタログは2008年1月現在のものです。」と記載された株式会社ノーリツに係る2008年1月版システムキッチンに関する商品カタログ(甲第12号証)には、「IH対応スリムフード」及び「マントル型スリムフード」などの商品名表示とともに、フード部分がほっそりしたレンジフードの写真などの掲載がある。
オ 右上に「データ更新0802*[控コード0001-00N00B0]-51028700」との記載がある2008年8月20日にプリントアウトしたと認められる富士工業株式会社に関するウェブページ(甲第7号証の4)には、矩形輪郭線内に品名として「スーパースリムフード」及び収録として「0504」の記載がある。
カ 2008年8月25日にプリントアウトしたと認められる「スリムフード」を検索キーとするGoogle検索結果(甲第5号証)には、次の記載がある。
(ア)見出しに付与された手書きによる番号「16」に、前記ウに照応する「松下電工 住宅設備と建材 説明書」の見出しの下に、「レンジフード Dスリムフード ペニンシュラ型 シロッコファンタイプ(リモコン付き)・・・(2005年9月)」との記載。
(イ)同「51」に、前記オに照応する「住まいのショールーム調査隊:【トーヨーキッチン】水栓とレンジフード」の見出しの下に、「2005年12月21日・・・富士工業のスリムフードか、ヤマハのサイクロンフードがいいなあ。・・・」との記載。
(ウ)同「91」に、前記ウに照応する「Novelog:年末の大掃除の仕方?キッチン編?」の見出しの下に、「2007年12月10日・・・これは、ナショナルのDスリムフード。・・・」との記載。
(エ)同「122」に、前記アに照応する「建築:2008年01月 アーカイブ」の見出しの下に、「TOTO独自のオイルキャッチ機構により、ノンフィルターを実現。・・・リモデルスリムフード・・・」との記載。
(オ)このほか、該Google検索結果からは、吉川化成株式会社、サンワカンパニー、株式会社ノーリツなどの企業によってもレンジフードについて、「スリムフード」、「マントル型スリムフード」、「スーパースリムフード」等の使用が窺い知れる。
キ 吉川化成株式会社に係るウェブページ(甲第7号証の2及び甲第14号証)において、「スリムフード」の表示とともに、フード部分がほっそりしたレンジフードの写真の掲載が認められ、甲第14号証には、「機能美を追求したスリムタイプです。」との記載もある。
ク なお、前記カの検索結果、及びこれと掲載情報での整合性がとれるとみて差し支えない上記キに挙げたレンジフードの商品紹介に係るウェブページについては、該検索結果が2008(平成20)年8月25日にプリントアウトされた以前の事実は必ずしも明確に特定できないとしても、TOTO、松下電工株式会社及び株式会社ノーリツに係る前記アないしエの「レンジフード」に使用された「スリムフード」の文字の使用状況を踏まえれば、本件商標の登録査定時から該検索時が僅かに5ヶ月程の期間であり、これらの情報も本件商標の登録査定時のものとその使用状況などにおいてさほど相違する点はないと推認し得るものである。
(3)上記(2)の事実を総合すると、システムキッチンに係る業界においては、本件商標の指定商品中、「家庭用電熱用品類」に属する商品「レンジフード」中の「フードがほっそりした商品」について、「スリムフード」の文字が本件商標の登録査定時には取引上普通に使用されていたと認めることができるものであり、該「レンジフード」に使用された「スリムフード」の文字に接する取引者、需要者は、その構成中の「フード」の語を「food」の外来語としてではなく、「ひさし型の覆い」等の意味を有する「hood」の外来語と認識し、構成文字全体から「ほっそりした覆い」程の意味合いを容易に理解し、把握するにとどまり、自他商品の識別標識とは認識し得ないとみるのが相当である。
そうとすれば、本件商標は、前記1のとおり、「スリムフード」の文字を普通に用いられる方法で書してなるものであるから、これをその指定商品中「フードがほっそりしたレンジフード」について使用しても、単に商品の品質、形状を表示したものと理解するに止まり、自他商品の出所識別標識としての機能を果たし得ないものであり、かつ、これを「フードがほっそりしたレンジフード」以外の「レンジフード」に使用するときは、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、その指定商品中「レンジフード」について商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものである。

4 商標権者の意見
商標権者は、前記3の取消理由に対して、指定した期間内に意見を述べるところがない。

5 当審の判断
本件商標についてした前記3の取消理由は、妥当なものである。
したがって、本件商標の登録は、その指定商品中、結論掲記の指定商品について、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定によって、取り消すべきものである。
そして、本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品については、各登録異議申立人の主張及び提出に係る証拠を検討したが、取り消すべき理由がないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2009-07-23 
出願番号 商願2007-7460(T2007-7460) 
審決分類 T 1 651・ 13- ZC (X11)
T 1 651・ 272- ZC (X11)
最終処分 一部取消  
前審関与審査官 安達 輝幸橋本 浩子 
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 末武 久佳
田村 正明
登録日 2008-06-13 
登録番号 商標登録第5138851号(T5138851) 
権利者 ヤマハリビングテック株式会社
商標の称呼 スリムフード 
代理人 平山 一幸 
代理人 篠田 哲也 
代理人 特許業務法人松田特許事務所 
代理人 大橋 啓輔 
代理人 土生 真之 
代理人 中村 仁 

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