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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z42
管理番号 1205310 
審判番号 取消2008-301026 
総通号数 119 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-11-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2008-08-08 
確定日 2009-10-06 
事件の表示 上記当事者間の登録第4742526号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4742526号商標(以下「本件商標」という。)は、平成13年9月4日に登録出願され、別掲(1)のとおりの構成からなり、第42類「飲食物の提供」を指定役務として、同16年1月23日に設定登録がされたものである。
本件審判の予告登録は、平成20年8月25日にされた。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定役務、第42類「飲食物の提供」の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由及び弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定役務である第42類「飲食物の提供」について、継続して3年以上日本国内において、商標権者及びその他の本件商標を使用する権利を有する者によって使用された事実が存しないから、取り消されるべきものである。
2 弁駁の理由
被請求人の提出した証拠(乙第1号証ないし乙第7号証)からは、商標法第50条第2項に規定する証明がなされていないと思料する。
(1)乙第1号証は、商標権者に係る2007年3月30日にプリントアウトの「ショプガイド/SHOP GUIDE」を見出しとするウェブページであり、被請求人はその中段右の写真に「コーヒーリパブリック店舗内において上方看板に本件商標(緑地に白色)が表示されている」として、本件商標の使用を立証しようとしている。
ア しかし、該ウェブページの中段右の写真においては、本件商標又は社会通念上同一と認められる商標を確認することができない。
イ なお、当該ウェブページは、2007年3月30日に「プリントアウトされた」に過ぎず、その記事内容自体には、何ら商標の使用を特定する日にちが掲載されてなく、この点においても本件審判請求登録日前3年以内に使用していることを立証し得ないものと思料する。
(2)乙第2号証は、店舗「コーヒーリパブリック三宮店」における2007年8月分の売上伝票(現金支払い分)及びポイントカードであり、本件商標の2007年8月における使用を立証するために提出された。
ア しかし、売上伝票とされるものは、そこに表示されているマークが不鮮明であるか、日付が確認できないか、又は本件商標又は社会通念上同一と認められる商標でないかのいずれかであり、本件商標の使用を立証する証拠として不十分といわざるを得ない。
イ さらに、ポイントカードなるもののみをもって本件商標の2007年8月における使用を立証することはできないのみならず、乙第2号証は、本件商標を「飲食物の提供」に使用していることが明らかといえないばかりか、商標権者(被請求人)との関係も明らかでない。なお確認のため、乙第2号証に記載の連絡先に電話したが、不通で連絡をとることができなかった。
ウ なお、「二人の立ち姿を模した図形」、「COFFEE」の文字、及び「REPUBLICS」の文字の上下三段書きの商標は、本件商標と社会通念上同一とは解されない(後述(8)参照)。
(3)乙第3号証は、店舗「コーヒーリパブリック三宮店」における2007年8月分の売上伝票(カード支払い分)とするものであるが、これは、当該指定役務との関係が不明であるばかりか、本件商標又は社会通念上同一と認められる商標は見当たらず、本件商標の使用を確認することができない。
(4)乙第4号証は、店舗「コーヒーリパブリック三宮店」において使用されたUFJカードの入金明細とするものであるが、これにおいても、当該指定役務との関係が不明であるばかりか、本件商標又は社会通念上同一と認められる商標が見当たらず、本件商標の使用を確認することができない。
(5)乙第5号証は、季刊カタログ誌「U.break」2006年春号(2006年3月1日発行)であり、この表紙の下段中央の写真において、店舗「コーヒーリパブリック三宮店」において利用される飲食物のメニュー下段に本件商標が緑色で付されているとし、これをもって2006年3月1日に本件商標の使用を立証しようとしている。
ア しかしながら、該カタログ表紙の下段中央の写真において本件商標又は社会通念上同一と認められる商標は表示されておらず、本件商標の使用を確認することができない。
イ もとより、カタログ誌の表紙(表紙の写真)それ自体は、登録商標の使用と直接の関係が無い(その時点で不使用であっても表紙に掲載されることもあるため)。そして、該カタログ誌の本文中には、本件商標又は社会通念上同一と認められる商標を記載した記事があるわけでもなく、当該カタログ誌の発行日が本件商標の使用日を立証するということもできない。
(6)乙第6号証は、季刊カタログ誌「break」2002年春号(2002年5月1日発行)であり、このカタログ5ページにおいて店舗「コーヒーリパブリック三宮店」が紹介されており、本件商標は、2002年5月1日以前より2007年8月に至るまで、当該写真の態様により上記店舗において飲食物の提供に際し継続的に使用されていると述べている。
しかし、2002年5月1日に発行されたカタログ誌をもって「2007年8月に至るまで」の継続的な使用を立証することができないことは明らかである。乙第6号証は、本件審判請求登録日前3年以内に使用していることを立証する証拠となり得ないものである。
(7)乙第7号証は、季刊カタログ誌「U.break」2005年春号(2005年4月15日発行)であり、このカタログ3ページには店舗「コーヒーリパブリック三宮店」が紹介されており、商標権者は、遅くとも2005年4月15日から2007年8月の間において、本件商標を「飲食物の提供」において使用していたことは明らかであると述べている。
しかしながら、前記乙第6号証について述べたと同様、2005年4月15日に発行されたカタログ誌をもって「2005年4月15日から2007年8月の間」の継続的な使用を立証することはできず、当該証拠は採用し得ないものである。
(8)本件商標は、「二人の立ち姿を模した図形」を中心として、「COFFEE」の文字と「REPUBLICS」の文字を左右に配した横書き一連の構成、すなわち文字と図形が横一連に不可分一体とされた構成に、当該商標の構成における重要な特徴があるものと解する。
これと構成・特徴を基本的に異にする「二人の立ち姿を模した図形」、「COFFEE」の文字、及び「REPUBLICS」の文字の上下三段書きの商標は、もはや社会通念上同一とは認められないことが明らかであると思料する。
(9)以上のとおり、商標権者(被請求人)が指定役務「飲食物の提供」について、本件審判請求の登録日である平成20年8月25日前3年以内に日本国内において本件商標を継続して使用しているという被請求人の答弁は根拠がないと思料する。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第7号証を提出した。
被請求人である商標権者は、指定役務「飲食物の提供」について、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において本件商標を使用をしているので、これを立証する。
(1)乙第1号証は、商標権者(株式会社ウエシマコーヒーフーズ)に係る2007年3月30日にプリントアウトの「ショプガイド/SHOP GUIDE」を見出しとするウェブページ(商願2007-56742号にかかる平成20年5月28日提出の手続補足書に添付したものである。)であり、これに記載のとおり、神戸市中央区三宮町1-4-9所在の「コーヒーリパブリック三宮店」は、商標権者が経営するコーヒー及びデザート、パニーニ等を提供する飲食店である。
ア 該ウェブページの中段右の写真によると、コーヒーリパブリック店舗内において上方看板に本件商標(緑地に白色)が表示されており、商標権者が指定役務「飲食物の提供」にかかる本件商標を、少なくとも2007年3月30日に使用していたことは明らかである。
イ また上記のとおり、該ウェブページが平成20年5月28日に存在していたことも明らかである。
(2)乙第2号証は、店舗「コーヒーリパブリック三宮店」における2007年8月分の売上伝票(現金支払い分)及びポイントカードの一部である。
該ポイントカード正面上段には、本件商標が緑地に白色で描かれている。また、該ポイントカードは、ユーザーが店舗「コーヒーリパブリック三宮店」を利用する度に裏側にスタンプが押され、スタンプが12個たまるとドリンクが無料となるものであり、役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供するものである。
(3)乙第3号証は、店舗「コーヒーリパブリック三宮店」における2007年8月分の売上伝票(カード支払い分)の一部である。
(4)乙第4号証は、ユーザーが2007年8月に店舗「コーヒーリパブリック三宮店」において使用したUFJカードの入金明細であり、三菱UFJニコス株式会社により発行されたものである。
(5)乙第5号証は、商標権者が作成し、店舗等において配布している季刊カタログ誌「U.break」2006年春号(2006年3月1日発行)であり、このカタログ表紙の下段中央の写真によると、店舗「コーヒーリパブリック三宮店」において利用される飲食物のメニュー下段に本件商標が緑色で付されていることを視認できる。
(6)乙第6号証は、商標権者が作成し、店舗等において配布している季刊カタログ誌「break」2002年夏号(2002年5月1日発行)である。該カタログ5ページにおいて店舗「コーヒーリパブリック三宮店」が紹介されており、上段左の写真には店舗「コーヒーリパブリック三宮店」の外観が表されている。
ア これによると、店舗の入口上部に幌が上下二段に設置されており、それぞれの幌正面に本件商標(緑地に白色)が表示されている。さらに、店舗正面の2枚のガラス部分中央にもそれぞれ、本件商標(白色)が表されている。
イ これらの幌及びガラスに表された本件商標は、2002年5月1日以前より2007年8月に至るまで、当該写真の態様により上記店舗において飲食物の提供に際し継続的に使用されている。
(7)乙第7号証は、商標権者が作成し、店舗等において配布している季刊カタログ誌「U.break」2005年春号(2005年4月15日発行)であり、このカタログ3ページには店舗「コーヒーリパブリック三宮店」が紹介されており、中段左の写真には店舗「コーヒーリパブリック三宮店」の外観に設置された看板が表されている。
また、その写真下段には店舗にて使用されているコーヒーカップの写真が表されている。
(8)なお、これらに表された商標は、本件商標の構成要素と同一である「二人の立ち姿を模した図形」と「COFFEE REPUBLICS」の文字からなっており、本件商標の構成要素のいずれも欠くものでなく、看板やコーヒーカップ等の形状及びデザイン上の制限により「COFFEE REPUBLICS」の文字を二段併記で表したものである。
ア 当該商標は、本件商標と「二人の立ち姿を模した図形」が同一であり、上下二段に横書きされた「COFFEE REPUBLICS」の文字部分は、一体不可分のものとして、看取、理解されるものであり、該文字部分より全体として「コーヒーリパブリック」という同一の称呼及び観念が生ずる。
イ 以上より、当該商標は、本件商標と同一性を損なう変更使用というものではないから、これらは社会通念上同一と認められるべきものである(商標法第50条第1項括弧書き)。
(9)以上のとおり、商標権者は、遅くとも2005年4月15日から2007年8月の間において、本件商標を指定役務「飲食物の提供」において使用していたことは明らかである。

第4 当審の判断
本件審判は、商標法第50条により、本件商標をその指定役務である「飲食物の提供」への不使用を理由として、その登録の取消を求めているところ、提出された乙第1号証ないし乙第7号証によって、被請求人(商標権者)が取消請求に係る指定役務への所定の使用を証明し得たかについて検討する。
1 本件商標と使用商標について
(1)本件商標は、別掲(1)のとおり、「CR」の英文字を描いてなる旗を立てた男性二人と思しきシルエット風の図形(以下「立ち姿図形」という。)を介して、その左右にそれぞれ「COFFEE」(なお、語頭の「C」の文字は他の文字より倍程度大きく表示されている。以下同じ)及び「REPUBLICS」(なお、末尾の「S」の文字は他の文字より倍程度大きく表示されている。以下同じ)の英文字を横一連に配置した構成からなるものである。
(2)これに対して、被請求人が商標権者の経営する店舗「コーヒーリパブリック三宮店」での使用とする商標(以下「使用商標」という。)は、別掲(2)のとおり、立ち姿図形の下に、「COFFEE」及び「REPUBLICS」の二段横書きした英文字を配置した構成からなるものである。
(3)そこで、本件商標と使用商標が相互に社会通念上同一のものに当たるか否かを考察するに、両商標は、その構成中に存する「立ち姿図形」、英文字「COFFEE」及び「REPUBLICS」の構成要素を悉く同一にし、その文字の大きさ及び配置において前者が「C」及び「S」の文字が他の文字より倍程度大きい文字で横一連に、後者が同じ大きさの文字で上下に表示してなるところの相違は認められる。
しかしながら、本件商標と使用商標との構成にあって、両者の「立ち姿図形」、英文字「COFFEE」及び「REPUBLICS」がそれぞれ強く印象・記憶されて、商取引の実際においての取引指標に資されるもの、すなわち、いずれもが自他役務の識別標識としての機能を果たす主要部であって、図形部分からは「CR」の英文字が描いてなる旗を立てた男性二人からなる図形というような見たままの印象を、また、該英文字部分からは、例えば、英語の辞書等からすると、共に「コーヒー共和国」(コーヒーリパブリックス)というほどの同一の観念、及び共通の称呼を生じるものであるというのが自然である。
(4)してみると、本件商標と使用商標とを全体的に比較すれば、その配置に差異を有するとしても、商取引の実際においては登録商標が配列又は配置その他の態様について少なからぬ変更が加えられて使用されるものであることを考慮に入れてみれば、両者の差異が自他役務の識別標識としての機能を果たす主要構成について、その本質(役務の出所表示機能)を損なうほどのものとするのは困難であるから、本件商標と使用商標とは、社会通念上同一のものというのが相当である。
2 使用事実について
(1)2002(平成14)年5月1日発行の季刊カタログ誌「break」(乙第6号証)、2005(平成17)年4月15日及び2006(平成18)年3月1日発行の季刊カタログ誌「U.break」(乙第7号証、乙第5号証)、2007(平成19)年3月30日にプリントアウトの「ショプガイド/SHOP GUIDE」を見出しとするウェブページ(乙第1号証)、及び取引書類といえる「売上伝票」や「ポイントカード」(乙第2号証、乙第3号証)を総合勘案すれば次の事実を認定できる。
ア 商標権者がその本店所在地と同所において「コーヒーリパブリック三宮店」を店名とする飲食店(カフェ)を少なくとも季刊カタログ誌「break」の平成14(2002)年5月1日発行前から日計表(乙第3号証)の日付よりみて2007年8月30日の間において営業していたことが推認できる。
イ また、複写の関係から不明瞭な点やメニューの写真において本件商標の構成中の末尾「UBLICS」の文字部分が欠落したものなども見受けられるが、商標権者は、別掲のとおりの構成からなる本件商標や使用商標と認識し得る標章について、同人の直営店のカフェ店舗内外のディスプレー、役務の提供の用に供するコーヒーカップ、領収証などに使用していることの事実が認められる。
(2)さらに「売上伝票(現金支払い分)」(乙第2号証)を子細にみれば、一葉目には「ポイントカード」、「領収証」、「領収証(控え)」、「売上レシート」及び「入金レシート」、二葉目には「ポイントカード」及びポイントカードの利用で値引きされて合計金額が0円になっている領収書、及び三葉目には当該店舗の「飲食売上」、コーヒー、紅茶の部門に仕分けられた「部門別売上」等の日計表に係る「レジレーポート」であるところ、これらはいずれもレジスターより打ち出された原本がそれぞれステープル止めしてあり、これらより次の事実を認めることができる。
ア 当該売上伝票は、「領収証(控え)」を除き、「2007年8月1日」の日付の記載があることから、当該店舗での飲食物の提供に係る営業を本件審判請求の登録前3年(平成17(2005)年8月25日から平成20(2008)年8月24日)以内である日時において行ったこと。
イ また、一葉目及び二葉目の「領収証」の上部には、立ち姿図形の下に、二段横書きした「COFFEE」及び「REPUBLICS」を配置した別掲(2)のとおりの商標を表示し使用したこと。
なお、該原本には、注文伝票として使用された痕跡として上部に白色テープがそのまま貼られてはいるが、そのテープ下に表示された商標は容易に認識でき、これを複写した審判請求書副本に添付されたものは、この白色テープの作用により不鮮明なものがあるけれども、いずれも同一のレジスターより打ち出されたものであって、白色テープの貼られていない三葉目の「レジレーポート」に印刷された商標と同一になることは自明である。
ウ そして、一葉目の下段の「領収証」には、「メニュー 氷コーヒー 2個」の記載や三葉目の「レジレーポート」の「営業日 2007年8月1日」の下段に記載された「飲食売上 組数 185組」と「お持帰り 組数 0組」及びコーヒー、紅茶の部門に仕分けられた「部門別売上」等などの記載からして、当該店舗において取消請求に係る指定役務「飲食物の提供」についての営業をしたこと。
エ そうすると、商標権者(株式会社ウエシマコーヒーフーズ)は、平成19(2007)年8月1日に、同人の営業する飲食店(カフェ)である店舗「コーヒーリパブリック三宮店」において、「飲食物の提供」に係る役務に本件商標ないし使用商標を使用していたということができる。
3 結語
以上のとおり、被請求人は、商標権者が本件商標ないし本件商標と社会通念上同一の使用商標を本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、請求に係る指定役務「飲食物の提供」について、使用していたことを証明し得たものというべきである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、これを取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
(1)本件商標


(2)使用商標



審理終結日 2009-05-07 
結審通知日 2009-05-13 
審決日 2009-05-27 
出願番号 商願2001-79932(T2001-79932) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Z42)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 箕輪 秀人原田 信彦 
特許庁審判長 渡邉 健司
特許庁審判官 鈴木 修
井出 英一郎
登録日 2004-01-23 
登録番号 商標登録第4742526号(T4742526) 
商標の称呼 シイアアル、コーヒーリパブリックス、リパブリックス 
代理人 飯田 伸行 
代理人 鳥巣 実 

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