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審決分類 審判 一部取消 商標の同一性 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 119
管理番号 1205253 
審判番号 取消2008-300685 
総通号数 119 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-11-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2008-05-30 
確定日 2009-09-28 
事件の表示 上記当事者間の登録第2703925号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第2703925号商標の「第19類 金魚ばち,観賞魚用水そう,観賞魚用水そう内において使用する飾り岩・水車・風車・燈台・模造植物,観賞魚用水そうに用いる揚水ポンプ・エアーポンプ・ろ過器,小鳥籠,犬小屋,犬の首輪,犬の胴輪,犬の胴着,犬の靴,犬のおしゃぶり,愛玩動物用ブラシ・食器」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第2703925号商標(以下「本件商標」という。)は、「AMIGO」の欧文字と「アミーゴ」の片仮名文字とを二段に横書きしてなり、平成4年3月5日に登録出願、第19類「台所用品(電気機械器具、手動利器および手動工具に属するものを除く)日用品(他の類に属するものを除く)」を指定商品として、同7年2月28日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張(要点)
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。
(1)請求の理由
請求人は、本件商標の指定商品中の「金魚ばち,観賞魚用水そう,観賞魚用水そう内において使用する飾り岩・水車・風車・燈台・模造植物,観賞魚用水そうに用いる揚水ポンプ・エアーポンプ・ろ過器,小鳥籠,犬小屋,犬の首輪,犬の胴輪,犬の胴着,犬の靴,犬のおしゃぶり,愛玩動物用ブラシ・食器,及びこれらに類似する商品」についてあらゆる方向から調査したが、継続して3年以上、日本国内において、本件商標が商標権者によって使用された事実を見出せない。また、本件商標の登録原簿には専用使用権又は通常使用権の登録はなされていない上、商標権者以外の者が商標権者から前記指定商品のいずれかについて通常使用権の許諾を受けて、本件商標を本件審判請求前3年以内に日本国内において現実に使用した事実も認められない。
よって、本件商標の登録は、その指定商品中の上記商品について、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
(2)答弁に対する弁駁
(ア)被請求人は、株式会社クリテーに通常使用権を許諾している旨主張しているが、本件商標の登録原簿謄本(甲第2号証)にはいかなる使用権も登録されていないし、使用許諾契約書などその許諾事実を証明する書類も全く示されていない。
(イ)乙第1号証によれば、樹脂製透明袋に包装された商品(水質改善材)の上側開口部分にあって、ステープラーにて止着された白色紙製のタグにおいて、商品名「水・アミーゴ」や商品説明文が記載されていることが認められる。しかしながら、白色紙製のタグは、一般的な事務用紙にワープロ印字されただけの極めて簡略なものであるし、製造者・販売者表示などは一切表示されていない。また、タグに表示された商品名は「水・アミーゴ」であり、構成文字の相違や全体として「水は友だち」といった格別な観念が生じ得ることから、本件商標と社会通念上の同一性があるものとはいい難い。
なお、乙第1号証に係る商品の写真には、本件審判の予告登録日(平成20年6月19日)より後となる2008年11月21日を意味すると思しき「2008/11/21」が印字されているのみであるから、予告登録日前の使用事実を示す証拠とはなり得ない。
(ウ)乙第2号証は、前記商品の説明パンフレットとされているが、当該パンフレットには「EMセラミックスのあら不思議」と表示されているのみで、本件商標のみならず、乙第1号証に示された商品のタグ表示「水・アミーゴ」の文字すら認められない。
(エ)乙第3号証は、前記商品に使用するシールの納品書写しとされているが、一般に、印刷されたシール自体には汎用性があり、特定商品に限定使用されるものではないから、納品書に品名として「水質改善材EMセラミックス水・アミーゴ用シール」と記載されているからといって、本件審判請求に係る商品について現実に使用されていた証拠とはなり得ない。
また、当該納品書には「シール」と表示されているのに、実際の商品として写真表示されたものにはシールと思しきものは見当たらず、前記のように、事務用紙にワープロ印字された白色紙製タグが止着されているのみである。そして、当該シールの納品者「株式会社アヴァント」と受領者「株式会社クリテー」及び被請求人「タマパック株式会社」がいずれも代表者を同じくする同系会社(甲第3号証)となれば、当該取引事実自体にも疑問を禁じ得ない。
(オ)以上の事実を総合すれば、被請求人は、本件審判請求を受けて急造した商品包装袋に「水・アミーゴ」の文字等をワープロ印字した白色紙製タグを止着したうえで写真(乙第1号証)を撮影したと考えざるを得ない。
したがって、乙第1号証ないし乙第3号証のいずれによっても、本件商標が本件審判請求の日前3年以内に日本国内において、本件審判請求に係る指定商品のいずれについても現実に使用された事実は明らかにされていない。
3 被請求人の主張(要点)
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第16号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)答弁の要点
被請求人は、本件商標「AMIGO/アミーゴ」について、株式会社クリテー(住所:東京都昭島市中神町1丁目12番14号)に通常使用権を許諾しており、通常使用権者は、本件商標を商品「観賞魚用水槽に用いるろ過器(水質改善材、EMセラミック)」に、本件審判の予告登録(平成20年6月19日)前3年の間に使用している。
本件商標を使用している商品「観賞魚用水槽に用いるろ過器(水質改善材)」は、EMセラミックを中空の円筒(パイプ)状に焼成したものであり、観賞魚用水槽に入れて水をろ過するろ過器として使用するものである。EMセラミックとは、有用微生物群(EM)とEMで植物等を発酵処理し抽出した液体(EM/X)を粘土に練りこみ、高温で焼成してセラミック化したものであり、EMならびにEM/Xに由来する抗酸化の働きがある。
具体的な使用方法は、パイプ状のEMセラミックのろ過器を観賞魚用水槽に入れ、空気ポンプ等により水槽内の水に動きを加えることにより、水がろ過器の外側または内側の面に接して、それにより、水をろ過、浄化するものである。その結果、水槽の壁面への汚れの付着が少なくなり、また、壁面を清掃するときには汚れの落ちが容易となり、水槽の清掃及び水の交換が楽になるものである。
本件商標を使用するろ過器は、本件審判請求の対象である指定商品「観賞魚用水そうに用いる揚水ポンプ・エアーポンプ・ろ過器およびこれに類似する商品」に含まれるものである。
当該商品については、乙第1号証(商品写真)及び乙第2号証(パンフレット)のとおりである。また、使用の事実が予告登録前3年の間にあったことを証明するため、本件商品に使用するシールの納品を受けた時の納品書(乙第3号証)を提出する。本件商品用シールの納品者は、株式会社アヴァント(東京都昭島市中神町1157番11号KSビル2F)、納品先は、本件商標の通常使用権者である株式会社クリテーであり、納品書に表示された日付は2008年3月24日である。
以上のとおり、本件商標は、その指定商品に予告登録前3年の間に使用されているものである。
(2)答弁(第2)の要点
ア 「観賞魚用水槽に用いるろ過器」の展示・販売について
(ア)乙第1号証の商品「観賞魚用水槽に用いるろ過器(水質改善材、EMセラミック)」は、東京都立川市東中神駅(JR青梅線)駅前のレンタルボックスショップ「バレーヌ東中神」において、特定非営利活動法人日中体育環境教育整備協会(以下、「日中体育環境教育整備協会」という。)が利用契約を結んでいる展示ボックスにおいて販売のために展示されている。
(イ)レンタルボックスの使用については、2008(平成20)年1月31日に契約が締結され、当該商品は同年2月9日から出展、展示・販売を開始している。(乙第4号証ないし乙第9号証)
(ウ)日中体育環境教育整備協会、アイデア発明振興会(JECTEEMA)、株式会社クリテー及び被請求人の関係について説明する。被請求人の現相談役であり、株式会社クリテーの代表者である山田昌夫は、日中体育環境教育整備協会や、アイデア発明振興会等々の活動を幅広く行っている。
アイデア発明振興会は、1996年に設立され、会員のアイデア発明を奨励し、その発明品の商品化及び販売の援助をしており(乙第3号証参照)、その活動の一環として、東中神駅南口駅前のレンタルボックスショップ「バレーヌ東中神」に、展示ボックスを設け(使用契約名義人は、日中体育環境教育整備協会)、当該ボックスを会員に開放している。(乙第10号証ないし乙第14号証)
イ 登録商標と乙第1号証の商標との社会的同?性について
(ア)乙第1号証の商標使用は、次の理由により、登録商標の同一性の範囲内の使用と判断されるべきものである。
本件商標の構成は、ローマ字「AMIGO」と片仮名文字「アミーゴ」を上下二段に横書きしたものであり、乙第1号証に表された商標は片仮名「アミーゴ」を波状に並べたものである。
(イ)特許庁編「審判便覧」53-01の3.(2)(エ)には、登録商標が二段併記等の構成からなる場合であって、上段及び下段等の各部が観念を同一とするとき、その一方の使用は社会通念上同一と認められる商標である旨例2として明示されている。(乙第15号証)
(ウ)また、乙第1号証の商標「アミーゴ」の左側に「水」の漢字と中黒点が配されているが、「アミーゴ」商標は被請求人が15の商品区分において所有する「アミーゴ」商標の1つとし使用されているものであって、自他商品役務識別力を有するのは、「アミーゴ」の部分である。本件の場合は、水に関連する商品に使用するものであるので、商標「アミーゴ」の横に商品の用途・効能等を表示する漢字と中黒点「水・」を配したものと考えることができる。
これを「水・アミーゴ」商標と評価した場合にも、「水」と「アミーゴ」は、漢字と片仮名文字の相違を有し、中黒点によって分離されるものであるから、「水」が商品の用途・効能表示であることと相侯って、要部及び自他商品役務識別力を有するのは「アミーゴ」の部分と判断され、「アミーゴ」商標と同一性の範囲内にある使用と認められるべきものである。
本件商標のように、登録商標に他の文字を付記した使用について、多数の商標が同一性の範囲内の使用と認められている。その審決例は次のとおりである。(乙第16号証の1ないし3)
a 登録商標「Combi」と使用商標「コンビスマート」「Combi Smart」(取消2001-30620)
b 登録商標「TBS」と使用商標「TBSショッピング」「TBS/ショッピング」(審判平11-30688)
c 登録商標「CMC」と使用商標「CMC-TC」(取消2004-30430)(審決注:登録商標と使用商標は誤記と判断した。)
d 登録商標「MASTER」と使用商標「マスター超硬バー」(取消2005-31504)
e 登録商標「ケロンパス」と使用商標「ケロンパス・パップ」(取消2003-31428)
f 登録商標「旅」と使用商標「旅のたび」(審判平11-30016)
なお、上記a及びbの審決では、使用商標は、その構成中「コンビ」「Combi」及び「TBS」の文字部分が独立して自他商品役務識別機能を果たすので登録商標と社会通念上同一の商標と認める旨認定している。(乙第16号証の1及び2)
これらの審決例にてらしても、乙第1号証の商標が本件商標の使用であることは明らかである。
通常使用権について
請求人は、通常使用権の登録がないこと等をあげて、あたかも通常使用権が存在しないかのごとく主張しているが、通常使用権(商標法第31条)は、専用使用権(同法第30条)とは異なり、設定登録を要するものではない(同法第35条で準用する特許法第98条第1項第2号)から、通常使用権の登録がないことは何ら問題にならない。
また、使用許諾契約書等を提出することは、本件商標の使用を証明する上で必要とは考えられない。商標権者の許諾の元に通常使用権者が本件商標を使用している事実があれば、それで十分である。
エ 商標の使用の挙証責任について
商標法第50条第2項は、挙証責任の転換を規定しているが、これは請求人の「不使用の事実」の証明しにくさを回避するためのものであるから、その反対に被請求人の証明のしにくさについても考慮を払うべきであり、その考慮が払われなければ、衡平のために立証責任の転換を図ったことの意義が没却される。
例えば、写真の撮影日については、使用の事実の証明を求められて初めて、写真を撮ることが一般的であることから、その撮影日付だけで、期間内の使用であるかどうかを判断すべきではない。写真と同時に提出された資料によって、撮影日以前からその商品が存在することが推認できれば、それで証明は完成したとすべきであり、逆に、その写真が成立しえない事実があるならば、それは、請求人側が立証すべきである。写真の成立に疑義がある、と述べれば良いという問題ではない。この法理は、特許法第104条の2において、相手方の主張を否認する時には、積極的否認をするように求めていることと同一の法理であり、挙証責任の衡平原則に則ったものである。
特許庁編「工業所有権法(産業財産法)逐条解説」でも、「挙証責任は、本来衡平の原則によって決定されるべきものである」と明確に述べているので、被請求人側に一方的に重い証明責任を負わせることなく、衡平の原則に沿う範囲の立証を求めるべきものである。
なるほど、逐条解説では、商標権者が使用を立証することは「容易にできるはずである。」と記載しているが、大々的に使用されている商号商標や主要商品への使用は証明が容易とは言えても、主要商品でない場合は、過去の一定期間内の使用の事実を証明することは容易ではないので、むしろ、この逐条解説に沿って、容易に証明できる範囲内の証明に基づいて使用を認定すべきと考える。
仮に、使用の証明が不十分で不使用に基づく取消がなされた場合、その後に現実の使用が残ることになり、その残存した使用について、旧権利者は新たに権利を取得した者に対して先使用の証明を強いられることとなり、それができなければ権利侵害を構成することになる。
被請求人はこのような点について問題を提起し、商標法50条第2項の適正な運用を要求する。
オ 結語
以上のとおり、本件商標は、その指定商品に予告登録前3年の間に使用されているから、本件審判請求はその要件を満たすものではない。

4 請求の趣旨の補正
(1)審判長は、請求人に対し、平成21年4月16日付けで、「取消審判の『請求の趣旨』は、審判における審理の対象・範囲を画し、被請求人における防御の要否の判断・防御の準備の機会を保障し、取消審決が確定した場合における登録商標の効力の及ぶ指定商品の範囲を決定づけるという意味で重要なものであるから、『請求の趣旨』の記載は、客観的で明確なものであることを要するところ、この審判事件の『請求の趣旨』に記載された『およびこれらに類似する商品』は、如何なる指定商品を取消しの対象とするか不明確であるから、これについて釈明し、補正をして『請求の趣旨』を客観的で明確なものにされたい。」旨の審尋を発した。
(2)これに対し、請求人は、平成21年5月7日付け手続補正書をもって、「請求の趣旨」中の取消しの対象となる指定商品を「金魚ばち,観賞魚用水そう,観賞魚用水そう内において使用する飾り岩・水車・風車・燈台・模造植物,観賞魚用水そうに用いる揚水ポンプ・エアーポンプ・ろ過器,小鳥籠,犬小屋,犬の首輪,犬の胴輪,犬の胴着,犬の靴,犬のおしゃぶり,愛玩動物用ブラシ・食器」と補正した。

5 当審の判断
(1)請求の趣旨の補正について
前記4のとおり、不明確であった請求の趣旨は補正により明確なものとなり、平成21年5月14日に本件商標の商標登録原簿に請求の趣旨の更正の登録がなされた。
そして、請求人による当該補正は、請求の趣旨の内容を実質的に変更するものではないから、要旨を変更するものではない。
(2)本件商標の使用について
被請求人は、本件商標を取消請求に係る指定商品中の「観賞魚用水槽に用いるろ過器(水質改善材、EMセラミック)」について、通常使用権者である株式会社クリテーが使用しているとして、乙第1号証ないし乙第16号証を提出しているので、これらについて検討する。
ア 「観賞魚用水槽に用いるろ過器」の展示・販売について
(ア)そこで、まず被請求人が、本件商標を通常使用権者が「観賞魚用水槽に用いるろ過器」について使用にしているとして提出した乙各1号証ないし乙第12号証についてみれば、以下の事実が認められる。
乙第1号証は、樹脂製透明袋に包装された商品「水質改善材」と認められる商品の写真であり、その包装の上側開口部分にステープラーで止着された大きな四角形の紙が付けられ、そこには、別掲のとおりの構成からなる「水・アミーゴ」の文字を大きく表し、その下に「水質改善材・EMセレミックス」と表示され、更にその下に、「・・・金魚の水槽に入れておきますと、汚れが落ちやすく水の交換が楽です。」と当該商品の説明が記載されている。そして、写真の右端には、撮影日時と認められる「2008/11/21 17:15」の日時が表示されている。
乙第2号証は、EMセラミックスの説明パンフレットと認められるものであり、当該パンフレットには、「EMセラミックスのあら不思議」の表題のもとに、当該商品の使用例が掲載され、その例の一つとして、「水槽に」とあり、「金魚の水槽に入れておきます。汚れが落ちやすく水の交換が楽です。」と記載されている。
乙第3号証は、納品書と題する書面であり、株式会社アヴァントが株式会社クリテーの社長に宛てた2008年3月24日付の納品書であり、品名・制作内容の欄には、他の商品とともに、「水質改善材EMセラミックス/水・アミーゴ用シール」、数量の欄には「一式」とあり、その金額が記載されている。
乙第4号証の1は、「バレーヌ東中神」利用契約書の写しであり、東中神駅前商店会が経営するビジネスボックス「バレーヌ東中神」の利用についての2008年1月31日付けの契約であって、同商店会と日中体育環境教育整備協会の記名、捺印(同商店会の印影は、「くじらロード商店会」と表示されている。)がなされている。また、乙第4号証の2は、「バレーヌ東中神」利用料領収書の写しであり、当該書面には平成20年1月31日の日付や金額が記載され、内訳には当該金額が12ヶ月分のものであることを表したと認められる「×12ケ月」の記載がある。
乙第5号証の7は、日中体育環境教育整備協会宛の「バレーヌ東中神・会員出品申込書」の写しであり、そこには、会員名として「株式会社クリテー」、品名として「水・アミーゴ」と記載されている。
乙第6号証は、「バレーヌ東中神 レンタルボックスショップ出品名と出品者リストであり、その氏名の欄に「(株)クリテー」、出品物名称の欄に「水・アミーゴ」と記載され、その下の商品の特徴の項には、「水・アミーゴ・・・金魚の水槽に沈めておくと、水が濁りにくくなり、水槽を掃除する時よごれが落ちやすい。」と記載されている。
乙第7号証は、くじらロード商店会お買い物マップであり、その右中央に「バレーヌ東中神/(ボックスショップ)」「営業時間A10?P6」の記載があり、下段の四角い囲みの中には「発行:くじらロード商店会」の記載や発行時期を表したと認められる「2008年3月」の記載がある。
乙第8号証及び乙第10号証は、アイデア発明振興協会の会員名簿の抜粋と会則であり、会員名簿の番号2の列には、役職/氏名の欄に「会長代行/理事長/山田昌夫」、住所/会社名の欄に「(株)クリテー 代表取締役」の記載があり(「(株)クリテー」は、印刷された「タマパック(株)」を手書きで修正されたものである。)、また、会員名簿の番号5の列には、役職/氏名の欄に「山田昌夫」、住所/会社名の欄に「(株)クリテー 代表取締役」の記載がある。なお、会員名簿右上の「平成20年2月現在」の記載は、印刷された「平成18年11月現在」を手書きで修正されたものである。
乙第9号証は、「バレーヌ東中神」と展示ボックスでの商品展示状態を示す写真であり、上段の2枚の写真はボックスショップの外観と認められる写真であって、ガラスドアに「バレーヌ」と表示され、店内の展示用のボックスにはいくつもの商品が展示されている。また、下段の2枚の写真は、展示ボックス内に種々の商品が展示されている写真であり、別掲のとおりの構成からなる「水・アミーゴ」の文字が表された四角形の紙が付けられた商品も展示されている。そして、それらの写真の右下には、いずれも撮影日と認められる「2/9/2008」の文字が表示されている。
乙第10号証は、アイデア発明振興会会則であり、第1条には、本会は日中体育環境教育整備協会に所属する旨の記載があり、また最終頁には理事長として住所と共に「山田昌夫」の記載がある。
乙第11号証ないし乙第13号証は、日中体育環境教育整備協会の平成19年度必達活動計画、事業報告書等提出書及び現在事項全部証明書の写しであり、乙第11号証及び乙第12号証には、同協会の事業としてアイデア発明振興会の活動が記載され、乙第12号証の表紙には同協会の代表者として「山田昌夫」の記載があり、乙第13号証には、理事として住所と共に「山田昌夫」の記載がある。
乙第14号証は、タマパック株式会社と日中体育環境教育整備協会との商標使用許諾契約書の写しであり、第1条に、タマパック株式会社が日中体育環境教育整備協会に、同社が有する商標登録の通常使用権を無償で許諾する旨記載され、また、許諾する登録商標として本件商標の登録番号が記載され、さらに、契約日と認められる2006年12月1日の日付が記載されている。
(イ)以上の事実及び被請求人の主張からすれば、本件商標の通常使用権者と認められる株式会社クリテーが、本件審判の請求の登録(平成20年6月19日)前3年以内である平成20年2月9日に、東京都立川市の東中神駅前のレンタルボックスショップ「バレーヌ東中神」において、本件商標の取消請求に係る指定商品に含まれる商品「観賞魚用水槽に用いるろ過器(水質改善材)」に、別掲のとおりの構成からなる「水・アミーゴ」の文字が表示された四角形の紙を付けて、展示・販売を開始した、と推認して差し支えないものと認められる。
なお、請求人は、本件商標の登録原簿にはいかなる使用権も登録されていないし、許諾事実を証明する書類も全く示されていないから、株式会社クリテーは通常使用権者とは認められない旨主張しているが、通常使用権は、商標登録原簿への登録を要するものではなく、また、請求人も述べているように、被請求人と株式会社クリテーは、いずれも山田昌夫を代表者とする同系会社であることからすれば、両社の間に通常使用権の許諾について黙示の合意があったとみるのが相当であるから、この主張は採用できない。
また、請求人は、ステープラーにて止着された白色紙製のタグにおいて、商品名「水・アミーゴ」や商品説明文が記載されている白色紙製のタグは、一般的な事務用紙にワープロ印字されただけの極めて簡略なものであり、製造者・販売者表示などは一切表示されていないから、証拠として不十分である旨述べているが、例え、それが極めて簡略なものであるとしても、当該商品名の記載は商標法第2条第3項第1号に規定する、商品の包装に標章を付する行為に該当するものであるから、この主張も採用できない。
イ 本件商標と乙第1号証の商標との社会的同?性について
本件商標は、「AMIGO」の欧文字と「アミーゴ」の片仮名文字とを二段に横書きしてなるものである。
乙第1号証の商標(以下「被請求人使用商標」という。)は、別掲に示したとおり、「水・アミーゴ」の文字が波打つように表された構成からなるものであり、全体として一つのまとまりのある外観を構成しているものであって、構成文字全体から生じる「ミズアミーゴ」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものであり、かつ、構成文字全体から「水は友だち」の如き意味合い(観念)を認識させるものである。
そうとすれば、被請求人使用商標は、「水・アミーゴ」の構成文字全体が不可分一体の商標とみるのが相当であるから、「AMIGO」と「アミーゴ」の文字を二段に表した本件商標と社会通念上同一と認められる商標ということはできない
被請求人は、被請求人使用商標は水に関連する商品に使用されるものであるため、「水」の文字は商品の用途・効能表示であり、自他商品識別力を有するのは「アミーゴ」の文字部分であるから、本件商標と同一性の範囲内にあると主張するとともに、審判便覧及び審決例を乙第15号証及び乙第16号証として提出している。しかしながら、被請求人使用商標が、その構成文字全体が不可分一体のものであることは上述のとおりであり、「水」の文字が商品「観賞魚用水槽に用いるろ過器」の用途・効能表示として一般に使用されていることの証左の提出はなく、また、その事実も見出すことができないから、被請求人の主張は採用することができない。
なお、被請求人が掲げた審判便覧の例示は、登録商標が二段併記等の構成からなる場合における、上段又は下段等一方の使用について明示したものであるのに対し、被請求人使用商標は、二段併記の一方に他の文字を加え、さらにそれを一体的に表したものであるから、審判便覧の例示とは異なるものであるし、また、審決例は、本件商標とは商標の構成が相違し(構成文字が異なるばかりでなく、本件商標が欧文字と片仮名の二段書きであるのに対し、審決例の登録商標は全て一段書きのものである。)、事案を異にするものであるから、いずれも本件についての判断に影響を与えるものではない。
ウ してみれば、被請求人が提出した乙各号証によっては、本件審判の要証期間内に、株式会社クリテーが本件商標(本件商標と社会通念上同一と認められる商標を含む)を「観賞魚用水槽に用いるろ過器」について使用していたものとは認められない。
そして、他に、本件商標を取消請求に係る指定商品について使用をしていたことを認めるに足る証拠は提出されていない。
(3)まとめ
以上のとおり、被請求人の答弁の全趣旨及び乙各号証を総合的に判断しても、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが請求に係る指定商品のいずれかについての本件商標(本件商標と社会通念上同一と認められる商標を含む)の使用をしていたことを証明したものとは認められない。また、被請求人は、請求に係る指定商品について本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、請求に係る第19類「金魚ばち,観賞魚用水そう,観賞魚用水そう内において使用する飾り岩・水車・風車・燈台・模造植物,観賞魚用水そうに用いる揚水ポンプ・エアーポンプ・ろ過器,小鳥籠,犬小屋,犬の首輪,犬の胴輪,犬の胴着,犬の靴,犬のおしゃぶり,愛玩動物用ブラシ・食器」についての登録を取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲

(色彩については原本参照)

審理終結日 2009-07-31 
結審通知日 2009-08-05 
審決日 2009-08-18 
出願番号 商願平4-22095 
審決分類 T 1 32・ 11- Z (119)
最終処分 成立  
特許庁審判長 森吉 正美
特許庁審判官 小畑 恵一
瀧本 佐代子
登録日 1995-02-28 
登録番号 商標登録第2703925号(T2703925) 
商標の称呼 アミーゴ、アミゴ 
代理人 大菅 義之 

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