• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X06
管理番号 1205139 
審判番号 不服2008-22574 
総通号数 119 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-11-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-09-03 
確定日 2009-09-16 
事件の表示 商願2007-27214拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「ハイブリッドルーフ」の片仮名文字と「Hybrid Roof」の欧文字とを上下2段に横書きしてなり、第6類「ガルバリウム鋼板・ウレタンフォーム及びアルミニウム蒸着紙から成る屋根材,その他の金属製屋根材」を指定商品として、平成19年3月28日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶理由の要旨
原査定は、「本願商標は、『ハイブリッドルーフ』『Hybrid Roof』の文字を上下二段に書してなるところ、その構成中『Hybrid』の文字は『(異種のものの)混成物』を意味する語として、そして、『Roof』の文字は『屋根』を意味する語として、共に一般に親しまれ使用されている。また、本願指定商品を取り扱う業界において、それぞれの素材の特質を生かそうと、異種の素材を組み合わせて作られた、より性能のよい商品を『ハイブリッド屋根材』と称し使用されていることも相俟って、本願商標をその指定商品に使用するときは、これに接する需要者、取引者をして、『異種の素材を組み合わせて作られた、より性能のよい屋根材』であると認識、理解させる以上に格別顕著なところはなく、単に商品の品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審における証拠調べ通知の要旨
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを行った結果、後記の事実を発見したので、請求人に対し、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づく通知を行い、意見を求めた。

1 「ハイブリッド」又は「Hybrid」の文字が、建築材料を取り扱う分野における取引の実際において使用されている事実について
(1)株式会社彰国社「建築大辞典 第2版普及版」の「ハイブリッド ガーダー hybrid girder」の項に、「異種の材質より成る一種の組立て梁。経済的に,しかも剛性を低下させずに耐力を増加させる。」の記載がある。
(2)株式会社彰国社「建築大辞典 第2版普及版」の「ハイブリッドこうぞう[-構造]hybrid structure」の項に、「異種の構造材料の組合せ,構造部材に対する異種の剛性の付加,あるいは異なった耐荷方式の混合によって,それまでの基本的構造とは違った構造特性を持った混合構造。」の記載がある。
(3)2008年9月2日付け「朝日新聞 大阪地方版/広島」の25ページには、「(こだわって ひろしま)中国木材 大野英輔常務・生産本部長 国産スギ活用/広島県」の見出しのもと、「温暖化ガス減少には林業、輸出産業に育つ可能性もある(60歳)戦後の拡大造林で大量に植林された杉、ヒノキが全国で伐採期を迎えている。住宅用建材メーカー大手の中国木材(本社・呉市)は8月、北広島町の県営大朝工業団地で、県産材の製材工場の建設に着工した。木材価格の低迷などで国内の林業は不振が続くが、同社はベイマツと国産スギ材を張り合わせて作る『異樹種集成材』によって国産材の活用に力を入れている。大野英輔常務・生産本部長(60)に現状と展望を聞いた。(福家司)(中略)--なぜ集成材でなければならないのですか スギは軽くてねばり強いが、曲げに弱いので、重量のかかる床などに使うのは難しい。そこで、曲げに強いベイマツとスギを張り合わせた『ハイブリッド・ビーム』(異樹種集成材)の研究を00年ごろから始め、03年に日本で初めて日本農林規格(JAS)の認証を受けました。かつて山に放置され、通常は使えなかった曲がり材も製材の方法を工夫することで、使えるようになりました。今は伊万里工場のほか、呉市の郷原工場でも生産しています。・・・」の記載がある。
(4)2007年4月24日付け「建設通信新聞」には、「新商品・ハイブリッド外装材/三協立山アルミ」の見出しのもと、「三協立山アルミは、アルミ形材に木粉配合樹脂を被覆した複合外装部材『ハイブリッド外装材』=写真=を発売した。アルミの軽さ、強度を持ちながら、木の質感を表現できる。フェンスや外壁のアクセントとして活用できる。木粉を配合した樹脂は、凹凸があり木の表情を表現できるほか、耐候性が高く雨や経年変化による影響を受けにくい。ダイオキシンなどの有害物質を含まず、環境にも優しい。・・・」の記載がある。
(5)2007年4月16日付け「日刊建設工業新聞」の5ページには、「アキレスと松下電器産業/住宅向けに真空断熱材/日本初開発、断熱性能2倍」の見出しのもと、「アキレス(中田寛社長)は、松下電器産業の真空断熱材を使うことにより硬質ウレタン断熱ボードの2倍の断熱性能を保有するハイブリッド断熱ボード=写真=を開発した。このハイブリッド断熱ボードは、多孔質芯材をプラスチックラミネートフィルムで被覆して内部を減圧封止した真空断熱材を硬質ウレタンボード内に複数枚配置することで、断熱性能を2倍に高めたという。真空断熱材は、冷蔵庫や自動販売機などに使われており、その断熱性能の高さは立証されているものの、いるが、真空を保つため上からくぎを打てないため住宅建材には不向きとされていた。しかし今回、こうした課題をクリア、住宅への応用が可能な断熱ボードとして日本で初めて開発した。・・・」の記載がある。
(6)2007年3月5日付け「鉄鋼新聞」の7面には、「クワザワ/『新築・リフォームフェア』開催/北海鋼機など3グループ」の見出しのもと、「快適な環境つくりを目指す建材総合商社のクワザワ(本社・札幌市)はこのほど、札幌市内で『クワザワ07新築・リフォームフェア』を開催した。3日間に渡って開かれた同フェアには建材メーカーなど90社が出展し自慢の製品を紹介したほか、各種セミナーも開催。鉄鋼業界からも3グループがブースを構えPRした。北海鋼機・北板金属はガルバリウム鋼板のモノトーンシリーズやスノースパン、スチールハウスをPR。また、JFE鋼板・北長金日米建材は嵌合式立葺・ツリールーフや三角スパン250、プルーフなどを展示。淀川製鋼所・佐渡島はヨドスパン・メタルウッドやヨド物置・エルモ、金属と天然石のハイブリッド屋根・ストーンウェイブなどを紹介した。」の記載がある。
(7)2006年3月20日付け「鉄鋼新聞」の6面には、「YKKAP/アルミと再生木を融合/住宅用新建材を開発」の見出しのもと、「YKKAP(本社・東京都千代田区、社長・吉田忠裕氏)は、アルミニウムと再生木(リウッド)の2つの素材を融合させたハイブリッド新素材による、住宅用エクステリア製品シリーズ『RexA‘レグザ’』を開発、発売した。『レグザ』は、住宅向け木製デッキ等で展開している、木粉と樹脂から成る再生木(リウッド=耐久性にすぐれリサイクル可能な環境配慮素材)の製造技術と、アルミ建材で培ったアルミ押出技術の2つの技術から生まれた全く新しい住宅用エクステリア製品。・・・」の記載がある。
(8)2006年2月20日付け「化学工業日報」の4ページには、「エーアンドエーマテリアル、高弾性の無機系建材を本格販売」の見出しのもと、「エーアンドエーマテリアルは、高弾性で強度に優れる無機系建材の本格販売を開始した。セメントを主体に、微細化したケイ酸カルシウム水和物のトバモライト、繊維質材料などを均一に配合、特殊成形した。強度や軽量性、断熱性などに優れるトバモライトを通常に比べ微細化したことで、より細かな空隙構造を持たせることに成功。これにより弾性を高め、強度向上を図った。無機建材の持つ不燃性や耐久性、木質建材の粘性や加工性を兼備する新建材として売り込む。使用するトバモライトは、通常のケイ酸カルシウム板に用いるものより微細化した。これを独自配合技術によりセメント、繊維質材料などと均一混合、特殊成形することで微細な空隙構造を有する『ドリームボード』を開発した。無機建材の不燃性、耐腐食性、防蟻性と、木質系の粘性、加工性といった特性を持たせた。木造戸建住宅に用いられている軸組工法で、木質筋交い利用に比べ強度・耐震性を向上できる。同工法の耐震補強には近年、構造用合板などの面材工法が多用されているが、同社では揮発性有機化合物(VOC)などを含まない安全、高信頼性の無機・木質系ハイブリッド建材として展開する。・・・」の記載がある。
(9)2003年5月22日付け「建設通信新聞」には、「特集・人と建物の快適さ--21世紀のマンションライフ(2)」の見出しのもと、「《本文》・・・【ハイブリッド高遮音壁/コンクリ壁厚80cmに相当】長谷工コーポレーションと建材の大手メーカーである『エーアンドエーマテリアル』は、集合住宅の戸境壁(界壁)遮音性能で、住宅の品質の確保の促進に関する法律(住宅品確法)の住宅性能表示制度最高等級(4)を上回る『ハイブリッド高遮音壁』を開発した。鉄筋コンクリート躯体と軽量間仕切りパネルを組み合わせることによって、RC壁の厚さ、重量を増大させずに、厚さ80cmのRC壁に相当する高い遮音性能を実現した。この水準の性能は、これまでの集合住宅にはない。このハイブリッド高遮音壁は、建物構造で必要な耐力壁であるRC躯体(戸境壁)をエーアンドエーマテリアルが商品化した遮音性・耐火性に優れる軽量間仕切りパネル(SLPパネル)などでサンドイッチしたユニークな構造になっている。これによって、RC躯体の厚さが15cmの場合でも、住宅性能表示の最高等級4を上回り、80cmの厚さのRC戸境壁と同等のきわめて高い遮音性能を実現した。・・・」の記載がある。
(10)2003年4月11日付け「建設通信新聞」には、「新商品・熱による伸縮を抑制/セイキ工業のすべり止め付き瓦桟」の見出しのもと、「《本文》セイキ工業は、発泡ポリスチレン(PS)とアルミ芯材を一体成形したハイブリッド建材・SKシリーズに新たにすべり止め付き瓦桟15mm×30mmを加えた=写真。・・・」の記載がある。
(11)1995年5月10日付け「日経産業新聞」の17ページには、「トステムと大林組子会社、アルミとPC材複合??カーテンウオール開発。」の見出しのもと、「トステムは大林組の全額出資子会社ショックベトン・ジャパンと共同で、ビル用外壁材として国内で初めてアルミ材とPC材を複合させた新構造のカーテンウオールを開発した。二つの素材の長所を生かして耐候性、遮音性、耐火性を高めたほか軽量で、超高層ビルなどの新建材として需要を見込んでいる。商品名は『ハイブリッドACカーテンウォール』。(中略)アルミは独特の美観に加えて耐候性が高く、PCは遮音性、耐火性が高いなどの特徴があり、ハイブリッドでは両方の利点を生かした。・・・」の記載がある。
2 「ルーフ」又は「Roof」の文字が、建築材料を取り扱う分野における取引の実際において使用されている事実について
(1)株式会社彰国社「建築大辞典 第2版特装机上版」の「やね[屋根]roof」の項に、「建築物の上方に位置し、外部に面して空間を覆うもの。雨、雪や直射日光などから人間を守ることが主要な機能となる。この語は屋根葺き仕上げ面を指す場合もあるし、また屋根下地あるいは小屋組まで含めた全体の構造をいう場合もある。屋根の形、主体構造、屋根葺き材料などには多種多様なものがある。」の記載がある。
(2)日本ビジネスレポート株式会社「最新・建築英和辞典」の「roof〔屋根〕」の項に、「建物の覆い。屋根葺材(roofing)および壁や直立材上で支え、保持するための(支持部材のような)すべての構造体や材料を含む。」の記載があり、また、「roofing」の項には、「1.屋根葺き材、ルーフィング。風や雨をしのぎ、断熱層をも形成する屋根仕上げ材料。シングル、スレート、金属平版、瓦など。roof claddingとも呼ばれる。2.屋根(roof)のこと。」の記載がある。
(3)株式会社 エダ住宅のWebサイトには、「新モダン和風住宅/J-Excellent/ジェイ・エクセレント」の見出しのもと、各種建築材料を紹介しているところ、「Exterior-塗り壁と金属、スリットラインの調和が美しい外観」や「Out Wall-外壁材」と同じように、「Roof-屋根材 ガルバリウム鋼板・瓦」の記載がある(http://1tomo.com/jexcellent/exterior.html)。
(4)株式会社荒木工務店のWebサイトには、「MY HOUSE 在来木造住宅」の見出しのもと、各種建築材料を紹介しているところ、「SYSTEM KITCHEN/システムキッチン」、「OUTER WALL/外壁」、「TOILET/トイレ」及び「BATH/風呂」と同じように、「ROOF/屋根材」の記載がある(http://www.araki-koumuten.com/my/index.html)。
(5)セルコホーム株式会社のWebサイトには、「Good Quality Good Price/SELCO HOME」の見出しのもと、「この金額でこの仕様!こんな家に住みたい!」の項において、各種建築材料を紹介しているところ、「EXTERIOR」(エクステリア)関係で、「OUTER WALL 【外壁材】」や「ENTRANCE DOOR 【玄関ドア】」と同じように、「ROOF 【屋根材】」の記載がある(http://kokyo.returns.selcohome.jp/spec/)。
(6)2008年5月15日付け「毎日新聞 東京朝刊」の24ページには、「役立つ住宅情報:ハウジング・ミニ情報 ライトグレーを追加--トステム」の見出しのもと、「トステムは、天然石付き鋼鈑屋根材『T・ルーフ』に、新たにライトグレー色を追加し、スタンダードカラー全6色、オーダーカラー全2色と充実させた。・・・」の記載がある。
(7)2007年4月9日付け「鉄鋼新聞」の7面には、「JFE建材/QLルーフ/販売好調、30万平方メートル確保/06年度、耐火・断熱性優れる」の見出しのもと、「JFE建材(社長・谷一浩氏)は、鋼製デッキプレートをコンクリート型枠および構造材として用いる床用の合成スラブ『QLデッキ』を応用して屋根材として用いる『QLルーフ』の販売が好調に推移しており、06年度は降雪地域向けを主体に30万平方メートル程度の実績を確保できる見込み。今後、合成スラブを屋根材として用いる市場は拡大することが見込まれるため、年間40万平方メートル程度の受注を目指すことにしている。QLルーフは、00年の建築基準法改正に伴い、屋根30分耐火認定を取得(耐火認定番号FR030RF-0064)して他社に先駆けて商品化した屋根材。・・・」の記載がある。
(8)2006年9月8日付け「日刊工業新聞」の18ページには、「横河システム建築、高断熱仕様の屋根材と建築製品を発売」の見出しのもと、「横河システム建築(千葉県船橋市、浅井恭社長、047・435・6205)は、断熱性に優れた二重折板タイプの屋根材『SSダブルルーフ』と、倉庫・工場向けシステム建築製品『スペースMAX』の断熱タイプを発売した。・・・」の記載がある。
(9)2005年11月2日付け「日刊工業新聞」の18ページには、「旭化成建材、繊維強化セメント屋根材で販売地域を全国拡大へ」の見出しのもと、「旭化成建材は1日、繊維強化セメント屋根材『ナノルーフ』の本格販売を始めたと発表した。販売地域を関東中心から、強風・多雪・寒冷地域を除く全国に拡大した。重厚感と軽さを両立している点が特徴。・・・」の記載がある。
(10)2005年4月18日付け「日経産業新聞」の17ページには、「住宅用屋根材、表面処理にアルミ??チューオー、腐食しにくく。」の見出しのもと、「建材メーカーのチューオー(栃木県鹿沼市)は腐食しにくく断熱性の高い住宅用屋根材を開発した。鋼板の表面処理材にアルミニウムを加えたほか、断熱に使う硬質のウレタンも従来製品より厚くした。『横暖ルーフ』は屋根の基材となるガリバリウム鋼板の表面に処理する亜鉛メッキにアルミニウムを混ぜた。これまで鋼板と断熱材のウレタンは建設現場でそれぞれ施工していたが、事前に工場で張り合わせておくことで現場での工事の手間を省いた。・・・」の記載がある。
(11)2004年11月5日付け「鉄鋼新聞」の4面には、「東邦シート/デッキプレートなど床版事業/1ラインに集約、効率化」の見出しのもと、「鉄鋼建材メーカーの東邦シートフレーム(本社事務所・千葉県八千代市、社長・村上靖氏)は、フラットデッキプレートおよびデッキ型屋根材など床版事業の最適生産体制を強化する。2ラインあるデッキ製造設備のうち1号ラインを休止、主力の2号ライン(月産能力約1500トン)に集約して、効率操業および生産性向上を図る。(中略)同社の床版事業は年商11億円(04年3月期)。全売上高(117億円)の9%強。今年度は上半期で約7億円を確保、通期で15億円規模を予想している。商品は、フラットデッキが『アイデッキ』、屋根材が『アイルーフ』。・・・」の記載がある。
(12)2002年2月5日付け「住宅新報」の5面には、「断熱プラス遮熱の屋根材 松本建工が開発 夏の省エネ対策」の見出しのもと、「松本建工(札幌市北区、松本節也社長)は、住宅の遮熱対策を実現した屋根断熱材『遮断ルーフ』を開発、4月から販売する。・・・」の記載がある。
(13)2000年12月21日付け「日本工業新聞」の13ページには、「元旦ビューティが初の屋上緑化対応の屋根材を投入 ジャバラ状で建物への負荷低減」の見出しのもと、「環境商品拡充の一環 工場や文化施設などに用途 金属屋根製品大手の元旦ビューティ工業は、環境対応商品の拡充策の一環として、屋上緑化に対応したジャバラ状の屋根材『ジャバラルーフ』=写真は断面=を開発、発売した。・・・」の記載がある。
(14)株式会社三邦のWebサイトには、「屋根材一覧」の項において、その種類として「ルーフ150」、「ルーフ88」及び「ルーフ66」の記載がある(http://www.sanpou-roof.co.jp/PRODUCT/yane/roof150/roof150.htm)。
3 「ハイブリッド屋根材」の文字が、建築材料を取り扱う分野における取引の実際において使用されている事実について
(1)2006年3月28日付け「鉄鋼新聞」の6面には、「外装工事の『Mr・ルーフマン』/第1回、加盟店会議を開催」の見出しのもと、「外装工事の営業専門店、Mr・ルーフマン(本社・札幌市北区、社長・秋山信介氏)はこのほど、札幌市内で第1回加盟店会議を開催。同社は昨年1月、道央地区の板金業者4社が共同出資し、各社の営業部門を分離・集約して設立。フランチャイズ方式を導入し、現在は全道11店舗で活動を展開。天然石とガルバリウム鋼板のハイブリッド屋根材『セキスイかわらS』(積水化学工業)や金属サイディング『はる・一番』(松下電工)などをメーンに、一般住宅の屋根・壁工事(新築、リフォーム)とエクステリア工事の営業を専門に手がけている。・・・」の記載がある。
(2)株式会社金平商店のWebサイトには、「Kanehira」の見出しのもと、「ハイブリッド屋根材 ROOGA」の記載がある(http://www.kanehira.ne.jp/kawara/index.html)。
(3)旭トステム外装株式会社のWebサイトには、「すてきな住まい 夢のとなりに。/旭トステム外装株式会社」の見出しのもと、「屋根材」の項において、「天然石付き軽量ガルバリウム鋼板屋根材/「T・ルーフ/アンバサダー」/丈夫で長持ち、リフォームにも最適な天然石チップ+ガルバリウム鋼板のハイブリッド屋根材です。」の記載がある(http://www.asahitostem.co.jp/product/yanezai/default.htm)。
(4)株式会社サンダイのWebサイトには、「新築・増改築・改築リフォーム/サンダイホーム/株式会社サンダイ」の見出しのもと、「リフォームのご案内」の項において、「当社オススメ自然素材商品」の区分に、「■ハイブリッド屋根材 【ストーンウェイブ】」の記載がある(http://www.sandaihome.co.jp/information/index.html)。
(5)佐藤瓦店のWebサイトには、「S.K.プランニング」の見出しのもと、「屋根・外壁の情報館」の項において、「屋根(瓦)の種類」の区分中、「金属屋根材」の説明には、「軽量な屋根材で、カラーベストの屋根の上からも重ねて葺くことができます。焼き付け塗装のガルバリウム鋼板(アルミニウムと亜鉛)と天然石を混合したハイブリッド屋根材は錆びにくく、耐久性・断熱性と美しさ・静かさ(雨音)をかね備えています。」の記載がある(http://www.sato-kawara.com/cgi-bin/sato-kawara/siteup.cgi?category=4&page=0)。
4 「ハイブリッドルーフ」又は「Hybrid Roof」の文字が、建築材料を取り扱う分野における取引の実際において使用されている事実について
2007年3月9日付け「鉄鋼新聞」の7面には、「秋本産業/軽量、高断熱、高防水性/高機能金属屋根材を本格販売/月出荷量、5000平方メートル目指す」の見出しのもと、「鉄鋼二三次製品、建材製品問屋の秋本産業(広島市中区寺町2-28、社長・秋本敬次氏)は軽量で高断熱、高防水のオリジナル金属屋根材『ハイブリッドルーフ』の本格販売を開始した。既存のスレート屋根をはがすことなく施工可能な重ね葺きタイプ。新築、戸建てリフォームに適し、販売のみならず自社施工、営業活動も手がけることで拡販を目指す。ハイブリッドルーフは、表面材にガルバリウム鋼板0・4ミリを使用。芯材には硬質ウレタンフォームを採用して断熱性を高め、裏面のアルミ蒸着紙は吸水透湿を防ぎ、かつ熱反射効果がある。これら3つの素材の組み合わせの一体成型で、軽量に仕上げた。100平方メートル換算の屋根重量はカラーベスト約2千キログラム、瓦約6千キログラムに対し、ハイブリッドルーフは約500キログラムに抑えてある。金属屋根の泣き所である雨音は重ね葺きとウレタン材効果で低減し、施工時の傷も作業者の靴の履き替えなど配慮する。・・・」の記載がある。

第4 証拠調べ通知に対する請求人の意見の要旨
証拠調べ通知書に記載された事実は、いずれも本願商標が指定商品の品質等を示す語として広く使用されていることを示すものではない。
それどころか、本願商標を構成する「ハイブリッド」又は「ルーフ」を含む語が、建築材料を取り扱う分野において商標を構成する語として使用されていることを示す事実が多く含まれている。
市場における実態に即した判断をされたい。

第5 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号について
本願商標は、前記第1のとおり、「ハイブリッドルーフ」の片仮名文字と「Hybrid Roof」の欧文字とを上下2段に横書きしてなるところ、該構成中前半の「ハイブリッド」「Hybrid」の文字は、「異種のものを組みあわせたもの。」(株式会社岩波書店発行「広辞苑」第6版)を意味する英語又は外来語であり、また、該構成中後半の「ルーフ」「Roof」の文字は、「屋根」(前掲「広辞苑」。前掲「建築大辞典」。株式会社三省堂発行「コンサイスカタカナ語辞典」第3版。株式会社小学館発行「大辞泉」。)を意味する英語又は外来語として、いずれの語も一般に使用され、知られているということができる。
そして、前記第3の1に記載の事実によれば、本願の指定商品を取り扱う業界において、「ハイブリッド」の文字は、材質等が異なる複数の材料を組み合わせて作られた商品について、「異なる材質のものを組み合わせたもの」の意味合いで使用されていることが認められる。
また、「ルーフ」又は「ROOF」の文字は、前記第3の2に記載の事実によれば、「屋根材」を扱う業界において、「屋根」に用いられる商品であること、すなわち「屋根材」であることを認識させる文字として使用されていることが多数認められ、かつ、前記第3の2の(3)ないし(5)の事実においては、本願指定商品を扱う業界において、「Roof-屋根材」のように、「Roof」の文字が「屋根材」として、使用されていることをも認められる。
さらに、前記第3の3に記載の事実のとおり、本願の指定商品を取り扱う業界において、異種の素材を組み合わせて作られた、より性能が良い屋根材の商品について、「ハイブリッド屋根材」の文字が普通に使用されていることをも認めることができる。
以上を総合して勘案してみると、「ハイブリッドルーフ」及び「Hybrid Roof」の文字からなる本願商標は、これをその指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者をして「異種の素材を組み合わせて作られた、より性能のよい屋根材」であることを表示したものと理解するにとどまり、自他商品の識別標識とは認識し得ないものであると判断するのが相当である。
2 請求人の主張について
請求人は、本願商標を構成する「ハイブリッドルーフ」又は「Hybrid Roof」の文字が、本願商標の前出願人である秋本産業株式会社の他に使用している者がいるという事実が見出せない以上、秋本産業株式会社以外の者は本願商標を使用していないことを推測させるものである旨主張しているが、出願された商標が、商標法第3条第1項第3号に該当する商標であるか否かについては、「商標法3条1項3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである」(平成12年9月4日判決 東京高裁平成12年(行ケ)第76号参照)と判示しているところである。
してみると、本願商標が登録されるべきであるかどうかは、本願指定商品の需要者等において、これがどのような意味を有するものとして認識され用いられるのかによって判断されなければならないものであるところ、本願商標が、その指定商品を取り扱う需要者等において、指定商品の品質を示すものとして認識されることは、上記認定のとおりであることからしても、かかる請求人の主張については採用することができない。
3 結語
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2009-07-01 
結審通知日 2009-07-10 
審決日 2009-07-23 
出願番号 商願2007-27214(T2007-27214) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X06)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 飯田 亜紀 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 杉本 克治
石田 清
商標の称呼 ハイブリッドルーフ、ハイブリッド 
代理人 特許業務法人 山広特許事務所 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ