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審決分類 審判 全部無効 商4条1項7号 公序、良俗 無効としない X25
審判 全部無効 観念類似 無効としない X25
審判 全部無効 観念類似 無効としない X25
審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない X25
審判 全部無効 称呼類似 無効としない X25
審判 全部無効 商8条先願 無効としない X25
審判 全部無効 称呼類似 無効としない X25
管理番号 1203907 
審判番号 無効2008-890085 
総通号数 118 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-10-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2008-09-19 
確定日 2009-09-10 
事件の表示 上記当事者間の登録第5110661号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第5110661号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成からなり、平成19年6月7日に登録出願、第25類「洋服,寝巻き類,下着,帽子,ガーター,草履類,運動用特殊衣服」を指定商品として、平成20年2月8日に設定登録されたものである。

2 引用商標
請求人が引用する国際登録第936397号商標(以下「引用商標1」という。)は、「KG」の文字を書してなり、第25類「Clothing,footwear,headgear」のほか、第3類、第9類、第14類第18類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品とし、2007(平成19)年5月25日を国際登録の日として登録出願されたものである。
また、同じく国際登録第937460号商標(以下「引用商標2」という。)は、「KURT GEIGER」の文字を書してなり、平成19年5月25日に国際登録され、我が国においては、第25類「Clothing,footwear,headgear」のほか、第3類、第9類、第14類、第18類、第35類に属する国際商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成20年11月28日に設定登録されたものである。

3 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第17号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)請求の理由
ア 本件無効審判の根拠法条について
本件商標は、商標法第8条第1項第1号(審決注:「商標法第8条第1項」の明らかな誤記と認められるので、以下、そのように訂正した主張として取り扱うこととする。)、同法第4条第1項第7号、第10号、第11号及び第15号に違反して登録査定されたものなので、同法第46条第1項の規定によってその登録を無効とされるべきものである。
イ 引用商標「KG」と「KURT GEIGER」について
(ア)引用商標の由来、特徴と歴史について
請求人(Kurt Geiger Limited)は、ヨーロッパを拠点とする著名な高級靴のメーカー及び小売業者であり、世界中で名声を博している(甲第4号証ないし同第17号証)。
請求人は、数ある製品の中でも、特に男性用・女性用デザイナー靴及び靴下、鞄等の付属品を広範囲に品揃えし、引用商標の「KG」と「KURT GEIGER」のブランドで製造・販売している。
引用商標のブランドは、オーストラリア国のKurt GiegerとIemgard Giegerによって生まれたものである。この2人が当該ブランドを英国に持ち込み、1963年に最初の店がロンドンにオープンした。なお、このブランドは、その後、2005年、そして2008年のマネージメント・バイアウトまでは、一時有名なヨーロッパ最大のデパートであるハロッズの傘下になるなど、数回所有者が変わった。
引用商標は、請求人のいわゆる著名商標であり、請求人の売り上額の22.5パーセントに相当するものである。
引用商標の購買者のターゲットは、インスピレーションとデザインの要素が重要な流行製品を求める男女を対象としている。同製品は、デザイン重視のイギリスブランドの一つとして最近ますます広く認識されており、他社の靴のコレクションより一歩進んでいることを特徴にしている。価格は、デザイナー製品よりやや低めに設定されており、引用商標は高い知名度を獲得している。
引用商標1の「KG」商標の商品は、引用商標「KURT GEIGER」の商品の大衆向け製品に使用されている。ファッション市場においてファッションデザイナーによる大衆向けブランドの採用が流行した時(2000年)(Dolce and Gabbanaに関するD&C、Donna Karanに関するDKNY、French Connectionに関するFCUK及びLouis vuittonに関するLVなど)と同じころに作られた。
引用商標1は、「KG」商標の購買者のターゲットである現代的・都会的な感覚を持ち、「KG」ブランドを高級品ブランドとして認識する若い流行に敏感な顧客に訴えている。有名人のファッションからしばしばインスピレーションを得ており、「KG」は流行を追ってはいても、自分のファッションポリシーとストリートスタイルを持った顧客用のものである。同ブランドは20?34才の年齢層の男女両方をターゲットとしている。
(イ)引用商標の登録について
「KG」ブランドは、1998年9月15日にトルコ共和国で最初に商標登録され(甲第5号証)、英国において2000年に最初に使用され、2005年5月18日に同国にて商標登録された(甲第6号証)。
「KG」ブランドは、その他地域において、フランス登録第063412500号、国際登録第936397号、レバノン登録第112083号、メキシコ登録第998689号(第3類)及び第1016812号(第18類)、ニュージーランド登録第769393号、CTM登録第5916697号(甲第7号証ないし甲第13号証)の登録商標がある。
(ウ)引用商標の使用について
「KG」ブランドは、現在女性・男性用靴に使用されている。例としては、ブーツ、パンプス、サンダル、バックストラップ付きパンプス、スニーカー、女性用及びブーツ用ウェッジシューズ、編み上げ靴、ローファー、男性用サンダル及びスニーカーなどがある(甲第4号証ないし同第17号証)。
「KG」ブランドは、英国において2000年に採用された日以来、現在まで継続的に使用され、英国に加え、トルコ国、アイルランド国、ジャージー島、フランス国、イタリア国及び中東諸国で使用されている。最近オープンしたKG製品を販売する店舗(現在靴のみ)はドバイ店舗で、2008年5月10日土曜日にオープンした。KG製品を販売する店舗は2008年後半にカタール国でオープン予定、また中国では2009年春のオープンが見込まれている。
(エ)引用商標の販売額
2000年の引用商標の採用以来の「KG」ブランド販売地域、総売上高及び販売高は「別掲表1」のとおりである。
(オ)引用商標のマーケティング及び宣伝について
請求人及びその前任社は、「KG」ブランドとそのブランドで販売された製品の販売促進と宣伝のために相当な時間、費用、そして努力を費やした。「KG」ブランドは15の小売店(増加中)、そして世界中からの旅行者と著名人がとりわけよく訪れる有名ロンドン百貨店のハロッズを含む100店舗以上の百貨店で販売されている。このブランドは、インターネットでも販売されており、2006年の「Kurt Geiger」Webサイトの立ち上げから続いている。日本においても、同Webサイトへのアクセスが可能であり、その製品を購入できるものである(甲第17号証)。
KG製品は「Vogue」や「Elle」を含む数多くの高級ファッション雑誌で繰り返し取り上げられ、また宣伝されている。一流ファッションエディターや著名人たちに高い人気をもっている。
請求人のその他ブランドKURT GEIGER、CARVELA、SOLEA、FASHIONISTAS及びKURT GEIGER LUXEの2000年からのビジュアルマーチャンダイジング、マーケティング及び販売促進総コストは、2000年「?189,775.15」、2001年「?171,113.65」、2002年「?849,343.50」、2003年「?532,695.31」、2004年「?511,441.38」、2005年「?555,733.11」、2006年「?568,342.80」、2007年「?746,645.17」、2008年「?789,278.86」であり、その合計は、「?5,123,878.3」である。
(カ)2007年、請求人は既存地域に加え、オーストラリア国、バーレーン国、ブラジル国、ヨルダン国、クウェート国、マカオ、メキシコ国(第9、14類、18類、25類)、オマーン国、カタール国、サウジアラビア国、アラブ首長国連邦国において「KG」ブランドの商標登録出願を行うことで、「KG」ブランドの商標保護に関する世界戦略をさらに促進させた。これらの出願は審査を通り、異議申立期間でも異議はなかった。
(キ)以上述べたように、引用商標、特に引用商標1は、イギリス国はもとより、ヨーロッパ諸国、中近東そして日本においては、靴及び鞄類について極めて著名な商標であることは明らかである。
ウ 本件商標と引用商標の比較
(ア)外観類似について
本件商標が欧文字部分「KG」と片仮名部分「スキンタッチ」とでその構成態様が相違すること、そして、その欧文字部分「KG」が共に図案化された商標であり、しかも、本件商標は、欧文字部分と片仮名部分が一連不可分には構成されていないので、簡易迅速を尊ぶ取引会においては、「KG」部分が需要者及び取引者に強く認識されることになり、請求人の引用商標「KG」が本件商標の欧文字部分「KG」と完全に同一であるので、本件商標は、引用商標1に外観が類似するものである。
また、このように類似する様式で表現されているので、関連消費者が当該商標の出所に関して混乱し、本件商標が請求人及び請求人の先行著名引用商標1と何らかの経済的関連があると判断する可能性があるものである。
請求人が欧州共同体(特に英国、アイルランド国、イタリア国及びフランス国)において引用商標「KG」に対する名声を享受していることを考慮され、また、一般的に商標の保護は、「商標自体に由来するか、市場における名声によるかに拘わらず、高い識別性を持つ商標は、識別性の低い商標よりも幅広い保護を享受する」ことを考えると、本件商標と引用商標1間の外観的類似に基づく出所混同のおそれがあることは明らかである。
(イ)称呼類似について
本件商標は、欧文字「KG」と片仮名「スキンタッチ」の書体の相違があり、しかも、その構成が一連不可分に構成されていなく、上下2段に配されているので、外観上よりは、分離されて認識されるものであり、しかも、本件商標の全体の称呼「ケイジースキンタッチ」は、10音と比較的長い称呼なので、簡易迅速を尊ぶ取引界においては、その要部である「KG」部分を捉えて「KG(ケイジー)」あるいは「スキンタッチ」の略称が生じるものである。他方、引用商標1よりは、「ケイジー」の称呼が生じることは明らかである。
したがって、両者は、共に「ケージー」の称呼が生じる称呼類似の商標である。
(ウ)観念類似について
本件商標は、消費者に対して明瞭及び明確な概念的意味を想起させない。一方、請求人の商標「KG」は広範囲に及ぶ使用により欧州共同体及び世界中において著名な商標であるので、「KG」の2文字からなる商標であるとの観念において類似する商標である。
いいかえれば、両商標は、文字「K」と「G」の組み合わせの商標である。
(エ)本件商標と引用商標の指定商品及び先願について
本件商標の指定商品は、第25類の「洋服、寝巻き類、下着、帽子、ガーター、草履類、運動用特殊衣服」である。
他方、引用商標1の指定商品は、「第25類 Clothing,footwear,headgear」である。
したがって、本件商標の指定商品と引用商標1の指定商品が抵触することは明らかである。
また、本件商標の出願日は、平成19年7月5日であるのに対して、引用商標の国際登録日は、いずれも平成19年5月25日なので、引用商標が先願商標であることは明らかである。
(オ)引用商標の著名性について
請求人の引用商標1「KG」ブランドは、先に述べたように自社ブランドKURT GEIGERの大衆向けブランドである。
請求人が英国において「KG」ブランドを最初に使用したのは2000年で、このブランドは2005年5月18日に、第18類、第25類及び第35類の指定商品・役務について英国で商標登録された。
「KG」ブランドは、2000年以来、英国において主に男性・女性用の高級靴関連で幅広く使用されている。このような長期使用の結果として、引用商標1「KG」ブランドは、若いファッションに敏感な大衆において、現代的で品質の良いブランドとして英国で知られ、評価を受けている。
英国での成功に続き、請求人は「KG」ブランドをアイルランド国、ジャージー島、フランス国及びイタリア国、そして最近はヨーロッパ外のアラブ首長国連邦国にあるドバイで販売開始した。2009年春の「KG」ブランド中国市場進出も進められている。このように、引用商標は、靴については世界的に著名商標である。
請求人の「KG」ブランドは、ロンドンのハロッズ百貨店及びセルフリッジ百貨店内の「ショップ内のショップ」売り場で、また、毎日何千もの旅行者が訪れるガトウィック空港内の小売店を含む、全国の独立型KURT GEIGER店でも販売されており、今後も引き続き販売される予定である。
英国外では、パリのプランタン百貨店及びミラノのラ・リナシェンテ百貨店にKURT GEIGER売り場があり、「KG」ブランド製品が販売されている。
明らかに、これらの百貨店に大勢の公衆が訪れることにより、請求人の引用商標1人は、ヨーロッパの国々を中心に世界中で「KG」ブランドにおける名声と信用を獲得したのである。
(カ)損害及び不正行為性について
請求人は、上述したように欧州共同体内の主要国及び世界各国において引用商標「KG」の名声と信用を獲得したものである。したがって、本件商標の権利者が行う「KG/スキンタッチ」ブランドを付した被服及び靴製品の宣伝・販売は、請求人の先行引用商標「KG」に対し不当な損失を与えることは明白である。
これは欧州共同体内の関連消費者が、ファッショナブルな高品質靴及びファッションアクセサリーについて「KG」ブランドに今や非常に慣れ親しんでいるため、第25類の指定商品についてKGに類似したいかなる新ブランド(ここではKG/スキンタッチ)も、公衆が両ブランドを混同する、あるいは、出所混同するおそれがあることから、明らかに請求人の先行有名引用商標1「KG」ブランドを汚染或いは希釈化する不正行為に該当するものである。
したがって、一般需要者及び取引者が、本件商標は、実際に請求人のブランドと商品の出所の混同を生じ、または請求人の「KG」ブランド製品ラインの延長であると信じるに至った場合、本件商標の権利者の商標「KG/スキンタッチ」を付した指定商品、特に請求人の「KG」ブランド製品の品質に劣る商品によって、請求人が確立した引用商標の名声を毀損するおそれがある。
また、本件商標は、請求人が享受する「KG」ブランドの靴製品及び関連ファッションアクセサリーに関する重要なグッドウィルを棄損し、また、請求人が「KG」製品のマーケティング及び宣伝に多大な費用をかけて築いたグッドウィルを(フリーライドにより)不正に利用することを許すことになる。
エ 結論
(ア)上述のように、本件商標は、先願引用商標に類似するので、商標法第8条第1項の規定に違反して登録されたものである。
(イ)また、本件商標は、引用商標に類似し、しかも引用商標は欧州共同体内の主要国を含む世界中において認められた周知商標なので、周知商標の保護を規定した商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものである。
(ウ)更に、本件商標をその指定商品に使用することは、請求人の著名商標「KG」の名声に只乗り或いは、その名声を汚染することになるにもかかわらず登録されたので、商標法第4条第1項第7号に該当するものである。
(エ)また、本件商標をその指定商品に使用することは、請求人の著名商標「KG」と何等かの関連性があるものと商品の出所の混同を生じる虞があるにもかかわらず登録されたものであるから、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。

4 被請求人の主張
被請求人は、結論と同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第6号証(審決注;被請求人はこれらを「甲各号」と表記しているが、「乙各号」と表記したものとして取り扱うものとする。)を提出した。
(1)商標法第8条第1項について
請求人は、本件商標が引用商標に類似するにもかかわらず、登録されたと主張する。しかし、被請求人はこれらは非類似の商標であると考える。
引用商標1は、欧文字2文字でからなり、スタイライズ化されたとはいえ、標準的な2文字で構成され、比較的識別性の弱い商標と言える。
一方、本件商標は、太目の欧文字2文字とカタカナ文字6文字から構成される商標であり、「KG」と「スキンタッチ」が二段書きされているとはいえ、双方太目で、ともに文字の中は明暗のあるグラデーション柄文字であり、外観上「KG」と「スキンタッチ」は一連一体になった商標として見られるのが自然である。
仮に、強いて「KG」の部分を分離して観察したとしても、請求人の標準的な2文字「KG」と被請求人の太目のデザイン化された「KG」とは、外観上異なり、ともに欧文字2文字という単純な構成から考えると、類似しているとは言えない。
また、請求人が国際登録を行なう2007年より前に、被請求人は「KG-soft」なる商標を出願したが、「KG」は単なる品番等の記号であるとの理由で拒絶査定を受けていることを付言しておく。
以上より、請求人商標と本件商標は同一又は類似とは言えず、商標法第8条第1項の規定には該当しない。
(2)商標法第4条1項7号について
請求人は、被請求人が本件商標をその指定商品に使用することは、請求人の著名商標「KG」の名声にただ乗り、あるいは、その名声を汚染することになるにもかかわらず登録されたので商標法第4条第1項第7号に該当すると主張する。
しかし、請求人の海外、特に英国での販売実績からある一定の周知性があるとはいえ、日本国内での販売実績は証明されておらず、また被請求人が調査したところ、日本国内では請求人の「KG」は見当たらず、周知性があるとはいえない。
本件商標を使用した場合、請求人の商標「KG」を汚し、社会の利益を害することになる理由もなく、何ら公序良俗に反するおそれがないことは明らかである。
したがって商標法第4条1項7号には該当しない。
(3)商標法第4条第1項第10号について
請求人は、請求人商標が欧州共同体内の主要国を含む世界中に認められた周知商標なので商標法第4条第1項第10号に該当すると主張する。
しかし、上記のとおり、請求人の海外、特に英国での販売実績からある一定の周知性があるとはいえ、日本国内では周知性があるとはいえない。
また、本件商標は、請求人商標と類似しているとは言えず、商標法第4条1項10号には該当しない。
(4)商標法第4条第1項第11号について
本件無効審判の請求の理由に、根拠法条の中で第11号をあげている。
これについては、上記(1)のとおり、本件商標と請求人商標は非類似であり、商標法第4条第1項第11号には該当しない。
(5)商標法第4条第1項第15号について
請求人が提出する関連証拠を検討しても、国内での請求人の「KG」が周知著名性を備えると到底評し得ないことは明らかである。
また、仮に請求人の登録商標が日本国内で使用されていたとしても、請求人商標「KG」と本件商標とはその全体としての外観及び、「KG」の文字の部分の態様の違いにより、需要者において商品の出所に関する誤認混同を生じさせるとはいえない。
以上より、本件商標が、請求人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあるとはいえず、商標法第4条第1項第15号には該当しない。
(6)結論
本件商標は、商標法第8条第1項、同法第4条第1項第7号、第10号及び第15号に該当することはなく、本件無効審判の請求は成り立たない。
(7)本件商標について
被請求人は、創業110年の歴史をもつ、日本国内有数のアパレル企業である。戦後、靴下や肌着を中心とした事業に取り組み、特に肌着市場において高い販売シェアを維持し続けている。
肌着市場においては、紳士肌着を中心として、婦人、子供肌着についてもある一定のシェアを維持しており、子供肌着では「こどもグンゼ(頭文字を略して「KG」)」の名で親しまれてきている。
「こどもグンゼ」は昭和52年に発売され、永年に渡って「図形商標KG」(乙第1号証及び同第2号証)を使用し、昭和63年には、商品の陳腐化等により商品をリニュアルし、「こどもグンゼ(KG)」の名を残すことを販売店から要求され、パッケージのイラストに「KG」の文字を加えた形で販売を行なった経過がある。それが平成17年に出願商標登録されたものである。(乙第3号証及び同第4号証)
また、平成15年には「こどもグンゼ」の商品群でソフトな素材を特徴とする商品を展開するに当たり、「KG-soft」という商標の出願を行なったが、「KG」の欧文字2文字は商品の品番等と認識されるものとして、また「soft」は品質を表示するものとして、拒絶査定を受けている(乙第5号証及び同第6号証)。
本件商標は、「こどもグンゼ」の商品群で「肌に優しい素材」をコンセプトに考案したもので、その商標登録出願にあたり、文字に特長をもたせ、「KG」と「スキンタッチ」という言葉を一連一体化することで登録査定を受けることを目指したものである。

5 当審の判断
(1)商標法第8条第1項該当について
本件商標は、別掲のとおり、上段に「KG」の文字、下段に「スキンタッチ」の文字を配したものである。そして、これらの構成文字は、「G」がやや小さい以外、ほぼ同じ大きさで、いずれも角に丸みをもたせた籠字風の態様で表されており、明暗のあるグラデーションを施した色調を含めて、全体として纏まりよく構成されているものであるから、二段に構成されているとはいえ、一体的な標章として看取されるというのが自然である。また、識別機能の面からみても、上下の構成文字で主従の関係や軽重の差は認められず、構成中「KG」からなる部分をもって殊に強く印象され記憶されて取引に資されるとすべき特段の理由は見出せない。
してみれば、本件商標は、構成文字に相応して「ケージースキンタッチ」の称呼を生じるものであり、また、特定の観念を生じさせない一の標章からなるものというべきである。
一方、引用商標1は、「KG」の文字からなるものである。
しかして、仮に引用商標1から「ケージー」の称呼を生ずるものとしても、本件商標の上記称呼「ケージースキンタッチ」とは、構成音数が相違し、かつ、相違する各音の音質の相違によって、判然と区別し得るものである。
さらに、本件商標と引用商標1とは、外観構成が明らかに相違し、また、観念において比較できないものであるから、外観上及び観念上で相紛れることはないというべきである。
してみれば、本件商標は、外観、称呼及び観念のいずれからみても、引用商標1に類似する商標と判断することはできないものである。
したがって、本件商標が商標法第8条第1項に該当するものであるとすることはできない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当について
本件商標は、上記(1)のとおり、「ケージースキンタッチ」の称呼を生じ、特定の観念を生じさせない一の標章からなるものである。
一方、引用商標2は、「KURT GEIGER」の文字からるものであり、構成文字に相応して「クルトガイガー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
しかして、本件商標及び引用商標2とは、その構成及び態様を全く異にするものであり、称呼及び観念において相紛れる余地はないものであるから、本件商標は、外観、称呼及び観念のいずれからみても、引用商標2に類似する商標とは認められない。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第10号該当について
ア 請求人提出の証拠(甲第4号証ないし同第17号証)によれば、引用商標1及び「KG」の文字からなる商標がイギリス国、フランス国等で商標登録されていること(甲第5号証ないし甲第13号証)、CTM商標「KKGG(図形商標)」に対して、請求人が「KG(図形商標)」を引用して異議申立てを行ったこと(甲第4号証)、外国語の雑誌「MARIE CLAIRE」の2007年6月号に他社のファッション商品とともに「KG」のブランドのサンダルが数足紹介されていること(甲第14号証)、請求人の2007年秋冬用カタログ「KURT GEIGER AUTUMN/WINTER 2007」には「KG Women’s Product」との表記があり、婦人靴等が掲載され、サンダル靴に「KG」の文字が表記されていること(甲第15号証)、同様の婦人靴等に係る請求人のカタログ「KURT GEIGER SPRING/SUMMER 2008」のには、「KG PRODUCT GROUPS」との標記があり、婦人靴が掲載され、サンダル靴に「KG」の文字が表記されていること(甲第16号証)が認められる。そして、請求人のWebサイトには「KURT GEIGER」の文字が表示され、婦人靴等の写真が掲載されていること(甲第17号証)、が認められる。なお、甲第15号証ないし甲第17号証は外国語によるものである。
なお、請求人は、イギリス国をはじめとする諸外国における売上高やマーケティング及び宣伝のコストについて2000年以降の具体的数値を挙げているが、これを裏打ちする資料は提出しておらず、また、前記数値の中には、我が国に関する記載は挙げられていない。
しかして、以上によれば、引用商標1及び「KG」の文字からなる商標がイギリス国を主として国外において婦人靴等に使用をされてきたことを窺い知ることができるけれども、しかし、これら証拠によっては、前記商標が周知なものとなっていたと認めるに充分なものとは言い難いものである。また、我が国における使用状況等は明らかにされておらず、本件商標の出願前に、引用商標1あるいは「KG」の文字からなる商標が、我が国における婦人靴等の需要者間で広く認識されるに至っていたと認めることはできない。
イ 本件商標は、前記(1)のとおり、引用商標1及び「KG」の文字からなる商標に類似する商標とは認められないものである。
また、本件商標の指定商品中に「草履類」が含まれているが、これと請求人商標の使用に係る婦人靴等とは、ともに履物の範疇に属するものではあるとしても、その品質を異にする上、一般に製造販売に係る事業者が共通するものではないから、両商品は、非類似の商品と判断されるものである。
そのほか、本件商標の指定商品中に、請求人商標の使用に係る婦人靴等と同一又は類似する商品は見当たらない。
ウ 上記ア及びイによれば、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当するものとはいえない。
(4)商標法第4条第1項第15号該当について
本件商標と引用商標1及び「KG」の文字からなる商標が非類似の商標と判断されること、また、婦人靴等について引用商標1あるいは「KG」の文字からなる商標が需要者の間で広く認識されるに至っていたと認め得ないことは、前記のとおりである。
してみれば、本件商標の構成中に欧文字「KG」を含むとしても、そのことのみをもって、本件商標と引用商標1や請求人に係る商標とを関連づけ得るものとはいえないから、結局、両者は別異の出所を表示するものとして看取されるとみるのが相当である。
したがって、本件商標の出願時において、本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する需要者が引用商標等の請求人の商標を想起し連想して、当該商品を請求人あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如くに誤信するとは認め難いから、商品の出所について混同するおそれはなかったというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(5)商標法第4条第1項第7号該当について
本件商標は、別掲のとおりの構成からなるものであり、その構成自体において、公序良俗を害するおそれがないことは明らかというべきである。そして、その出願の経緯等において著しく社会的妥当性を欠くものがあったというような事情も認められず、また、本件商標を使用することによって、請求人の商標の名声にただ乗りし、あるいは、その名声を汚染することになるとすべき事情やそれを首肯し得る的確な証左は見出せない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものとはいえない。
(6)まとめ
以上のとおり、本件商標は商標法第4条第1項第7号、同第10号、同第11号、同第15号及び同法第8条第1項の規定に違反して登録されたものではないから、商標法第46条第1項の規定によって、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
本件商標

(色彩は原本参照)

表1


審理終結日 2009-04-08 
結審通知日 2009-04-13 
審決日 2009-05-01 
出願番号 商願2007-57615(T2007-57615) 
審決分類 T 1 11・ 4- Y (X25)
T 1 11・ 22- Y (X25)
T 1 11・ 252- Y (X25)
T 1 11・ 263- Y (X25)
T 1 11・ 262- Y (X25)
T 1 11・ 253- Y (X25)
T 1 11・ 271- Y (X25)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 泉田 智宏 
特許庁審判長 芦葉 松美
特許庁審判官 内山 進
岩崎 良子
登録日 2008-02-08 
登録番号 商標登録第5110661号(T5110661) 
商標の称呼 ケイジイスキンタッチ、スキンタッチ、タッチ 
代理人 三嶋 景治 
代理人 滝口 昌司 
代理人 川崎 仁 
代理人 中里 浩一 
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