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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 121
管理番号 1203892 
審判番号 取消2008-301362 
総通号数 118 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-10-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2008-10-24 
確定日 2009-09-07 
事件の表示 上記当事者間の登録第859474号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第859474号商標にかかる指定用品中,第21類「装身具、ボタン類、かばん類、袋物、宝玉及びその模造品、化粧用具」については,その登録は取り消す。 審判費用は,被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第859474号商標(以下「本件商標」という。)は,「ルピナス」の文字を横書きしてなり,昭和43年8月17日に登録出願,平成3年政令第299号による改正前の商標法施行令別表(以下「旧別表」という。)による商品区分第21類の「装身具、ボタン類、かばん類、袋物、宝玉及びその模造品、造花、化粧用具」を指定商品として,同45年6月6日に設定登録され,その後,3回にわたり存続期間の更新登録がなされ,現に有効に存続しているものである。

第2 請求人の主張
請求人は,結論同旨の審決を求めると申し立て,その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ,証拠方法として,履歴事項全部証明書及び現在事項全部証明書を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,その指定商品中,第21類「装身具,ボタン類,かばん類,袋物,宝玉及びその模造品,化粧用具」(以下「取消請求に係る商品」という。)について,継続して3年以上日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから,商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
2 弁駁の理由
被請求人は,本件商標をその指定商品中の「ボタン類,かばん類,袋物」等について,自らが使用している旨主張し,乙第1号証ないし乙第19号証を提出しているが,その証拠によっては,これらのいずれの商品についても,本件商標の使用事実は証明されていない。
(1)「ボタン類」の使用について
ア 乙第1号証ないし乙第3号証は,「ルピナス 貝ボタン」の表示と共にボタンが販売されている様子を撮影した写真であるが,これらからは,それが撮影された場所及び日時を判断することはできない。
また,乙第14号証は,2008年7月12日とする仕入伝票であり,その日付は本件審判請求前のものではあるが,これは,単に品名として「貝釦単品」と記載してあるだけであり,「ルピナス」商標の使用事実はない。
そして,乙第14号証と乙第1号証ないし乙第3号証の関連性を証明する証拠もない。
イ 本件取消審判請求は,平成20(2008)年10月24日であり,同年10月10日時点での商標の使用は「審判の請求前3月からその審判の請求の登録の日までの間…に使用された場合」にあたる。
請求人は,本件審判請求に先立って,前取消審判の請求をした。これに対し,同年10月6日に被請求人より答弁書が提出され,その立証は「造花の芯」及び「手芸用ケース」の使用を主張しているものの,「ボタン類」,「かばん類」及び「袋物」についての使用は何ら主張していない。
そうすると,被請求人は,請求人から「ボタン類」等に限定した一部不使用取消請求が後日なされることは,十分に予測が可能なことであると考えることができ,少なくとも同年10月10日でのボタンにおける本件商標の使用には,これを予測して使用を始めたものと評価できる。
したがって,被請求人の本件商標の使用は,一部取消請求が行われることを知った後になされたものであると評価でき,当該条文の要件である「その審判の請求がされることを知った後である」の場合にあたるから,商標法50条3項本文の要件が満たされ,被請求人が主張する本件商標の使用事実は認められない。
(2)「袋物」の使用について
乙第4号証ないし乙第6号証,及び乙第15号証ないし乙第17号証によって示されているのは,あくまで「がま口」型財布の製作に使われる「がま口」の口金の部分に過ぎない。現に「類似商品・役務審査基準」の第18類において「がま口口金」(13C01)と「袋物」に属する「がまロ」(21C01)は分けて記載されている。
したがって,「がま口口金」として商標を使用しているとしても,それは部品についての使用を証明したにすぎず,完成品である「袋物(がま口)」についての使用事実が証明されたことにはならない。
(3)「かばん類」の使用について
ア 乙第7号証ないし乙第9号証,乙第18号証及び乙第19号証の証拠によって示されているのは,かばんの製作に用いられるかばんの肩紐の部分に過ぎず,肩紐として部品の状態で商標を使用しているとしても,それは完成品である「かばん類」についての使用事実が証明されたことにはならない。
乙第7号証ないし乙第9号証,及び乙第18号証には,品名が「ルピナス3mカット」と記載されているが,これはかばんの紐のほかに広く汎用性のある部品であり,かばん専用の部品とはいい難い。

第3 被請求人の主張
被請求人は,「本件審判の請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とするとの審決を求める。」と答弁し,その理由を次のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第19号証を提出した。
被請求人は,本件商標をその指定商品中の「ボタン類,かばん類,袋物」等について,審判請求の登録前3年以内に,日本国内において,自ら継続して使用しているから,その使用事実を立証する。
1 「ボタン」の使用について
乙第1号証ないし乙第3号証は,被請求人の店舗内において販売されている商品「ボタン」及びその包装の写真であり,商品の包装及び売り場に本件商標「ルピナス」が表示されている。
また,乙第13号証及び乙第14号証は,乙第1号証ないし乙第3号証に示されている「ボタン」の取引書類(売上伝票及び仕入伝票)であり,売上伝票には本件商標「ルピナス」が記載されている。
2 「がま口口金」の使用について
乙第4号証ないし乙第6号証は,被請求人の店舗内において販売されている商品「がま口口金」についての写真であり,乙第10号証及び乙第11号証は,「がま口口金」を使用した製品写真の例である。
また,乙第15号証ないし乙第17号証は,乙第4号証ないし乙第6号証に示されている「がま口口金」の取引書類(売上伝票,仕入伝票,型番を示したカタログ)であって,全て「E55」という型番で一致しており,かつ,売上伝票には本件商標「ルピナス」が記載されている。
3 「かばんの肩掛けベルト」の使用について
乙第7号証ないし乙第9号証は,被請求人の店舗内において販売されている商品「かばんの肩掛けベルト」についての写真であり,乙第12号証は「かばんの肩掛けベルト」を使用した製品例を示した写真である。
また,乙第18号証及び乙第19号証は,乙第7号証ないし乙第9号証に示されている「かばんの肩掛けベルト」の取引書類(売上伝票及び仕入伝票)であって,型番「WS115(11シリーズ)」において一致しており,かつ,売上伝票には本件商標「ルピナス」が記載されている。

第4 当審の判断
被請求人は,本件商標を取消請求に係る指定商品中の「ボタン類,かばん類及び袋物」等について,自らが使用している旨述べ,商品(「ボタン,がま口口金,かばんの肩掛けベルト」)が表示された写真及びこれらの取引書類を,乙第1号証ないし乙第19号証として提出した。
そこで,以下,被請求人の提出した証拠及び主張について判断する。
1 「ボタン」の使用について
(1)乙第1号証は,「ルピナス 貝ボタン」と表示されたプレートの下,大きさと個数の異なる8種の袋詰ボタンを陳列した状況を撮影した写真であり,乙第2号証は,これのアングルを変えた同状況の写真であるところ,「ルピナス 貝ボタン」と表示されたプレートの上部に,判読し難いところもあるが,「ルピナス 貝ボタン」,「×× 10ミリ?14ミリ」及び「上代 260円 ××…」などの文字が記載された紙片が貼付されている。
乙第3号証は,陳列された袋詰ボタンのうち24個入りのものを撮影した写真であるところ,その袋詰ボタンのパッケージの左上部に,内部に「ルピナス」の記載のある赤色のラベルが貼付されている。
しかし,これらの写真の撮影者,撮影時期などは不明であって,展示時期を特定することはできない。
(2)乙第13号証は,売上伝票(控)であるところ,これには,上部に,「マービー株式会社」及び「2008年10月10日」の表示,「引合6」の行に,商品コード「497908689160」,商品名「ルピナス貝ボタン 11.5mm」及び単価「430」などの記載がある。
乙第14号証は,仕入伝票であるところ,これには,上部に,「マービー株式会社」,「前田昌宏商店」及び「08年7月12日」の表示,中段に,商品コード「010004280001」,品名「貝釦単品」,納品数・数量「4」,単位「11コ」及び単価「9696」などの記載がある。
(3)ところで,商標が使用されたことを立証するためには,商品に付された商標,商品番号,価格等の事実と取引書類に記載された商標,商品名,商品番号,価格等の事実を総合して判断すべきところ,乙第13号証の売上伝票(控)には,「ルピナス貝ボタン」のほか,商品コード,単価「430円」などが表示されているが,乙第1号証ないし乙第3号証の写真には,「ルピナス」の文字以外にこれらと一致する記載がない。
また,乙第14号証の仕入伝票に記載された品名は,「貝釦単品」であって「ルピナス」の表示はない。そして,これには他に商品コード,単価などが記載されているが,乙第1号証ないし乙第3号証の写真にはこれらと一致する記載はない。
そうすると,乙第1号証ないし乙第3号証の写真と乙第13号証及び乙第14号証の取引書類における表示中で一致するのは,品名の「貝ボタン(貝釦)」と乙第13号証の売上伝票(控)の「ルピナス」の文字のみであり,少なくとも写真に表示されたボタン中のどのボタンが取引されたのか特定することができず,両者の整合性は極めてうすいものといえるから,これらの証拠によっては,写真に掲載された商品,すなわち,「ルピナス」の商標が付された「ボタン」の取引があったことを認めることはできない。
したがって,請求人の主張する商標法第50条第3項に規定する事項を検討するまでもなく,乙第1号証ないし乙第3号証,乙第13号証及び乙第14号証によっては,本件商標の「ボタン類」についての使用を認めることはできない。
2 「がま口口金」の使用について
(1)乙第4号証は,「ルピナス・オリジナル口金」と表示されたプレートの下,大きさや形状の異なる10種の袋詰口金を陳列した状況を撮影した写真であり,乙第5号証は,これのアングルを変えた同状況写真であり,乙第6号証は,口金が一個袋詰めされた写真と認められるが,これらの写真の撮影者,撮影時期などは不明であって,展示時期を特定することはできない。
そして,乙第15号証ないし乙第17号証は,乙第4号証ないし乙第6号証に示された「がま口口金」の取引書類(売上伝票,仕入伝票,型番を示したカタログ)と認められる。
ところで,被請求人は,「がま口口金」の使用をもって,本件の指定商品中の「袋物」に含まれる「がま口」の使用を立証する意図であると解されるところ,「がま口口金」は,被請求人もこれに価格を表示し販売しているように,製品である「がま口」とは別に,手芸店や金物屋などにおいて単独で販売されるものであり,また,旧別表においても「がま口口金」は,第13類の「金具」に属する商品として例示されているものであるから,これが本件の指定商品中の「袋物」に含まれる商品でないことは明らかである。
また,乙第10号証及び乙第11号証は,「がま口口金」を使用した製品例(がま口)を示した写真と認められるが,これには本件商標及び商品「がま口」の使用を裏付ける表示は一切なく,これらの証拠をもって商品「がま口」の使用を認めることはできない。
したがって,乙第4号証ないし乙第6号証,乙第10号証,乙第11号証,乙第16号証及び乙第17号証によっては,本件商標の「袋物」についての使用を認めることはできない。
3 「かばんの肩掛けベルト」の使用について
乙第7号証は,「ルピナス コード 3mカット」と表示されたプレートの下,10種ほどの袋詰したコードと思しき商品を陳列した状況を撮影した写真であり,乙第8号証は,これのアングルを変えた同状況写真であり,また,乙第9号証は「ルピナス コード 3mカット」及び「(メイフェア WS-115)」「黒」の文字が表示されているコードが袋詰めされた写真と認められるが,これらの写真の撮影者,撮影時期などは不明であって,展示時期を特定することはできない。
ところで,被請求人は,「かばんの肩掛けベルト」の使用をもって,本件の指定商品中の「かばん類」の使用を立証する意図であると解されるところ,乙第7号証ないし乙第9号証に表示された商品には,「かばんの肩掛けベルト」の表示はなく,「ルピナスコード3mカット」と表示されており,外形上も単なる紐(コード)であって,これらの商品を「かばんの肩掛けベルト」ということはできないから,当然にこれらを「かばん類」に属するものと認めることもできない。
加えて,乙第7号証ないし乙第9号証に関連し提出された乙第12号証,乙第18号証及び乙第19号証についても,以下のとおり「かばん類」の使用を認めるに足るものではない。
乙第18号証及び乙第19号証は,取引書類(売上伝票(控),仕入伝票)と認められるところ,売上伝票(控)に表示された日付は,「2008年12月5日」であって,本件審判の請求の登録日(平成20年11月11日)以降のものである。
また,仕入伝票には,その登録日以前の2006年8月19日が記載されているが,ここに記載された商品名は,「メタリック(メイフェア)両縫紐芯入」であって「ルピナス」の記載はない。
乙第12号証は,被請求人が「かばんの肩掛けベルト」を使用した製品例(ポーチ)を示した写真と認められるが,これにはショルダー(肩掛けベルト)付きのポーチが表示されているが,本件商標「ルミナス」及び商品「ポーチ(かばん)」の使用を裏付ける表示は一切なく,この証拠をもって商品「ポーチ(かばん)」の使用を認めることはできない。
したがって,乙7号証ないし乙第9号証,乙第12号証,乙第18号証及び乙第19号証によっては,本件商標の「かばん類」についての使用を認めることはできない。
4 まとめ
以上のとおり,乙第1号証ないし乙第19号証によっては,商標権者(被請求人)が本件商標を本件審判請求の登録前3年内に日本国内において,取消請求に係る指定商品について使用したものと認めることができないから,商標法第50条の規定により,本件の指定商品中,「装身具,ボタン類,かばん類,袋物,宝玉及びその模造品,化粧用具」の登録を取り消すべきものとする。
よって,結論のとおり審決する。
審理終結日 2009-07-09 
結審通知日 2009-07-13 
審決日 2009-07-27 
出願番号 商願昭43-57285 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (121)
最終処分 成立  
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 小林 由美子
久我 敬史
登録日 1970-06-06 
登録番号 商標登録第859474号(T859474) 
商標の称呼 ルピナス 
代理人 吉武 賢次 
代理人 渡辺 志穂 
代理人 渡邊 敏 
代理人 矢崎 和彦 
代理人 小泉 勝義 
代理人 宮嶋 学 
代理人 塩谷 信 

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