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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y14 |
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管理番号 | 1203876 |
審判番号 | 取消2008-300594 |
総通号数 | 118 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2009-10-30 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2008-05-13 |
確定日 | 2009-08-26 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4853588号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第4853588号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第4853588号商標(以下「本件商標」という。)は、「TOKIDOKI」の文字を書してなり、平成16年10月12日に登録出願、第14類「時計」を指定商品として、同17年4月1日に設定登録されたものである。 2 請求人の主張 請求人は、結論と同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第5号証を提出した。 (1)請求の理由 本件商標は、その指定商品及びそれに類似する商品について継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって使用された事実が存在しないものであるから、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取消されるべきである。 なお、本件商標に係る登録原簿謄本(甲第1号証)によれば、専用使用権者、通常使用権者等の設定登録はなされていない。 (2)弁駁 被請求人は、本件商標をその指定商品である第14類「時計」に使用していることを証明したとは言えない。以下にその理由を述べる。 ア 証拠の信用性について 乙第1号証の1及び2、乙第2号証、乙第3号証の1及び2は、商標「TOKIDOKI」を付した商品(時計)及び株式会社コンシェルジュ(以下「コンシェルジュ」という。)の店舗の一つである「CONCIERGE FAMILLE浜松・佐鳴台店」の写真である。 まず、これらの写真にはいずれも日時に関する記載がないため、これをもって商標法第50条第2項にいう「審判請求の登録前3年以内に」使用されたことの証明足りえない。 そこで、各写真の撮影時期について、以下に考察を行う。 (ア)乙第3号証の1 乙第3号証の1の写真中央のソファの上には、雑誌が置かれている。 請求人の調べたところ、当該雑誌は、料理雑誌「ELLE a table」のフランス語版の2008年7/8月号であることが判明した(甲第2号証)。 なお、この種の雑誌は、日本の出版社を経て発行されているものではなく、海外の出版社により海外で発行されているいわゆる海外雑誌である。海外雑誌は、我が国の通常一般的な書店で販売されることはなく、個人輸入ルートによるか、青山ブックセンターや丸善等の海外雑誌を取り扱っている一部の大型書店を通じてのみ入手可能である。通常、このような海外雑誌の取寄せには、少なくとも発行日から1?6週間の配達期間を要する。 とすれば、当該海外雑誌が上記店舗に配達され、店内ディスプレイの一部として配置されたのは、早くても平成20年7月以降といえる。これは、審判請求の予告登録日である平成20年6月2日よりも後である。 したがって、乙第3号証の1は、商標法第50条第2項の「審判請求の登録前3年以内に」使用されたことの証明足りえず、証拠力がない。 (2)乙第3号証の2 乙第3号証の2は上記店舗の内部写真であるところ、写真の左上奥方向に2人の人物が写っている。このうち右手の男性客と、乙第3号証の1の中央奥方向に写っている男性客とは、白いシャツを着用している点及びその背格好において共通しており、同一人物と思われる。とすれば、当該写真の撮影時期は、乙第3号証の2と同様、少なくとも平成20年7月以降とみるのが相当である。なお、男性の着衣は半袖のコットンシャツであり、薄手の初夏の装いであることからも、季節的に符合している。 したがって、乙第3号証の2は、商標法第50条第2項の「審判請求の登録前3年以内に」使用されたことの証明足りえず、証拠力がない。 (3)乙第2号証 乙第2号証は、上記店舗の外観写真とのことであるが、店舗入り口の右側に置かれた木製の台車の上の黒板には、チョークで「7/1からSALE」と記載された文字が看取される。上記乙第3号証の1の写真が撮影されたのが平成20年7月以降であることを考慮すると、「7/1からSALE」の記載と季節的に符号する。 とすれば、当該写真の撮影時期は、やはり平成20年7月以降とみるのが相当であり、乙第2号証は、商標法第50条第2項にいう「審判請求の登録前3年以内に」使用されたことの証明足りえず、証拠力がない。 (4)乙第1号証の1及び2 乙第1号証の1は、上記店舗内の支払いカウンターの上に置かれた木製のアクセサリーケースの写真であり、その中には、本件商標「TOKIDOKI」が付された商品が陳列されている。また、乙第1号証の2は、本件商標「TOKIDOKI」が付された商品の拡大写真である。 請求人は、上記商品が実際に陳列され、販売されているとの事実を確認すべく、平成20年8月22日に上記店舗を訪れ、約半時間かけて、店舗内を詳細に見て廻った。しかしながら、別のブランド名の付された同種商品は確認したものの、「TOKIDOKI」のブランド名が付された商品は、時計を含め、一つも発見することができなかった。 なお、上記店舗の支払いカウンターの上には、確かに木製のアクセサリーケースが置かれていたが、その中には、第1号証の1に表れた商品とは全く異なるブランド名の付された商品が陳列されていたのみであった。 なお、請求人が上記店舗を確かに訪れた事実を示す証拠として、平成20年8月22日付で同店舗が発行したレシートの写を提出する(甲第3号証)。 このように、被請求人は、平成18年10月より販売を行っているとの答弁書における主張に反して、少なくとも平成20年8月22日以降、問題の時計を店頭に陳列しておらず、販売を行っていないこと明らかである。 よって、乙第1号証の1及び2は、商標法第50条第2項にいう「審判請求の登録前3年以内に」使用されたことの証明足りえず、証拠力がない。 (5)乙第4号証及び乙第5号証 乙第4号証は、コンシェルジュの署名による商品の取扱証明書である。また、乙第5号証は、被請求人とコンシェルジュとの関係を示す被請求人のウェブサイトのプリントアウトである。 しかし、これらの証拠からは、コンシェルジュが被請求人の関係会社であるとの事実が認められるのみであり、本件商標が商標法第50条第2項にいう「審判請求の登録前3年以内に」使用された事実を客観的に証明するものではなく、適切な証拠となり得ないことは言うまでもない。 イ 使用にかかる商品について 請求人は、乙第1号証の1及び2、乙第2号証、乙第3号証の1及び2の写真が、万一、審判請求の登録前3年以内に撮影されたものと仮定した場合であっても、指定商品第14類「時計」についての使用事実を示すものではないと思料する。 乙第1号証の1及び2に写った問題の商品を見ると、三角形状の透明のプラスチック枠の上端にぶら下げ用の金属製のリングが取り付けられている。このような商品の用途及び形状に照らせば、写真に表れた商品の主たる機能は「時計」ではなく「キーホルダー」と考えるのが相当である。 インターネットを用いて調べたところ、同種の商品が「時計付きチャーム」としてオンラインショップで販売されている事実が確認される(甲第4号証)。 また、IPDL「商品・役務名リスト」を検索すると、第14類「時計付きキーホルダー」(類似群コード:13CO1)の商品表示が、特許庁において受け入れられている(甲第5号証)。 このように、被請求人が使用していると主張するところの商品は、「時計」ではなく「キーホルダー」の範疇に属する商品と考えるのが相当であって、乙第1号証の1及び2、乙第2号証、乙第3号証の1は、被請求人が指定商品第14類「時計」について本件商標を使用していることの証拠足りえず、証拠力がないというべきである。 3 被請求人の主張 被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第5号証(枝番を含む。)を提出した。 (1)本件商標の商標権者である被請求人は、香港にある関連会社SEPTEMBER MOON社と平成17年11月1日に本件商標を付した時計のデザインについての図面の確認を行い、その後、平成18年1月12日には、金型代及び先方出値についての打ち合わせを行い、同年1月23日にはキーチェーンについての打ち合わせを行っている。その後、本件商標を付した時計を製造し、平成18年10月より、関連会社である「CONCIERGE FAMILLE」浜松・佐鳴台店にて定価2000円(現在では、1800円)で販売を行っている。 (2)その証拠として、本件商標を付した商標の写真(乙第1号証の1,2)、販売店舗の外観写真(乙第2号証)、販売店舗の内部写真(乙第3号証の1,2)、実際に販売をしているコンシェルジュによる取扱証明書(乙第4号証)、コンシェルジュの会社概要(乙第5号証)を提出する。 (3)被請求人は本件商標を付した指定商品「時計」(乙第1号証)を製造し、コンシェルジュに卸し、コンシェルジュの店舗において小売販売を行っている。 そして、当該商品の製造計画は平成17年11月頃から開始しており、実際の販売は平成18年10月頃より、静岡県浜松市にある浜松・佐鳴台店にて開始されたものである。 なお、被請求人はトートバッグを主力製品とする会社であるため、時計の販売については販売予測が難しく、このため、本件商標の使用開始から現在に至るまで、浜松・佐鳴台店でのみの限定販売となっている。 (4)これより、本件商標については、「継続して3年以上日本国内において不使用である」との商標法第50条の取消審判の要件を満たすものではない。 4 当審の判断 (1)被請求人提出の証拠によれば、以下の事実が認められる。 ア 写真(乙第1号証の1)には、財布、キーホルダー、時計等を並べた木製ケースを置いたカウンターが写されている。そして、それを拡大したと認められる写真(乙第1号証の2)によれば、上記ケース内のうちの3つは、竜頭とガラス蓋で覆われた文字盤の中に長針、短針、秒針を備え、併せてキーホルド部の付いた器物であることが確認できる。また、その文字盤には、いずれも「TOKIDOKI」の文字が表されているのが認められる。 さらに、写真(乙第2号証)には、「CONCIERGE FAMILLE」の名称の店舗が写されており、その店内を写したと認められる写真(乙第3号証1及び同2)には、店舗内の状態が示されるとともに、前記の木製ケースを置いたカウンターがあるのが認められる。なお、同店舗においては、掛け時計の取扱もされていることが認められる。 しかし、これら写真において、本件審判請求の登録前3年以内(以下「本件期間内」という。)の時期に係わる表示や記載等は一切みいだせない。 イ 平成20年6月25日付けの取扱証明書(乙第4号証)は、「株式会社コンシェルジュ 代表取締役 神谷敬久」によるものと認められる。そして、同証明書には、「株式会社スーパープラニングが企画・開発した別紙の時計『TOKIDOKI』について、弊社、株式会社コンシェルジュは下記店舗において展示・販売の取扱をしていることを証明します。」として、「記」で「1・店舗名:CONCIERGE FAMILLE 浜松・佐鳴台店」「3.取扱時期:平成18年10月より販売中」等を記載している。 しかし、この証明書の文中にいう「別紙の時計」の別紙はみあたらない。 ウ コンシェルジュの会社案内(乙第5号証)には、同社が被請求人グループの小売店運営部門の会社であること、その代表取締役が神谷敬久であること、ショップリストに「CONCIERGE FAMILLE」として浜松店があること等の記載が認められる。 (2)本件商標は「TOKIDOKI」の文字からなるものであるところ、前記(1)アにおける写真には、本件商標と社会通念上同一の商標と認め得る文字が時計の文字盤の中に表示されていることが認められる。 これに関して、請求人は、上記の商標の使用に係る商品について、その用途及び形状に照らせば、写真に表れた商品の主たる機能は「時計」ではなく「キーホルダー」と考えるのが相当である旨主張する。 しかし、写真に表れた商品についてみると、キーホルダーとしての機能を持つと思われる部位が付いているのが認められるけれども、それ以外に当該商品が「時計」の範疇にない商品であって、「キーホルダー」にのみ属すべきものであると断ずべき明確な理由はない。そして、請求人は、同種の商品が「時計付きチャーム」としてオンラインショップで販売されている事実があるともいうが、販売形態の一として、そのような例が存在するとしても、その販売上の分類(表示)がこの種商品の常態であり、取引上一般的であるとまではいえない。 むしろ、当該商品が竜頭を備え、文字盤上に長針と短針及び秒針を備えている形状からすれば、時刻を示し又は時間を計測するための機器である「時計」としての機能を果たす物品というべきであって、この機能が商品の主な機能でなく付随的な機能に止まるとは到底いえない。してみれば、当該商品は、キーホルダーとして部位を併せもつとしても、前記機能を備える「時計」の一として取引に供される商品とみるのが相当というべきである。 したがって、本件商標は、指定商品「時計」に使用されたということができる。 (3)しかし、上記のとおり、写真において本件商標と社会通念上同一の商標が時計に使用されていることが認められるとしても、当該写真に写された状態の「時期」は、写真自体からは不明というほかはない。 そして、取扱証明書(乙第4号証)において、取扱時期について「平成18年10月より販売中」として、当該時期に取扱証明書にいう「別紙の時計」について展示・販売している旨の証明が提出されている。 しかし、この証明における取扱店舗についてみると、写真の店舗コンシェルジュと同一の店舗を指していることが判るとしても、取扱証明書にいう「別紙の時計」がどのようなものを指すのかは不明であり、また、この証明書と前記写真との関係は、時期や現実の商品に使用されている商標との関係において、客観的に明らかなものとはいえない。加えて、当該証明者が被請求人グループの小売販売部門の会社であり、利害を共通にする、いわば身内ともいえる者の証明であることもあり、また、他に、客観的に商品の取引を示す資料もないことから、この証明書に記された「時計『TOKIDOKI』」の記載のみをもって、本件商標の使用が本件期間内に現に行われたと推認することはできないといわざるを得ない。 なお、被請求人は、請求人の弁駁について何ら新たに答弁していない。 (3)以上のとおり、被請求人提出の証拠によっては、本件商標を本件期間内に指定商品について使用したことが明らかにされたとは認められず、他に本件商標の使用を示す証拠はない。また、不使用に係る正当理由の主張及び立証はない。 したがって、本件商標は、商標法第50条の規定に基づき、その登録の取消しを免れないものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審理終結日 | 2009-06-18 |
結審通知日 | 2009-06-23 |
審決日 | 2009-07-15 |
出願番号 | 商願2004-93211(T2004-93211) |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Z
(Y14)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 小畑 恵一 |
特許庁審判長 |
芦葉 松美 |
特許庁審判官 |
岩崎 良子 内山 進 |
登録日 | 2005-04-01 |
登録番号 | 商標登録第4853588号(T4853588) |
商標の称呼 | トキドキ |
代理人 | 高松 政裕 |
代理人 | 岩堀 邦男 |
代理人 | 野田 久登 |
代理人 | 森田 俊雄 |
代理人 | 大沼 加寿子 |
代理人 | 深見 久郎 |
代理人 | 鹿内 徳行 |
代理人 | 竹内 耕三 |