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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 10105081021
管理番号 1203835 
審判番号 取消2008-300842 
総通号数 118 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-10-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2008-07-07 
確定日 2009-08-24 
事件の表示 上記当事者間の登録第2313382号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第2313382号商標の指定商品中、第1類「植物成長調整剤類」、第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料」、第8類「ピンセット」、第10類「氷まくら,三角きん,支持包帯,手術用キャットガット,吸い飲み,スポイト,乳首,氷のう,氷のうつり,ほ乳用具,魔法ほ乳器,綿棒,指サック,避妊用具,人工鼓膜用材料,補綴充てん用材料(歯科用のものを除く),耳栓」及び第21類「デンタルフロス」については、その登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2313382号商標(以下「本件商標」という。)は、「ハローズ」の文字と「オートハローズ」の文字とを上下二段に横書してなり、昭和61年5月20日に登録出願、第1類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成3年6月28日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらにその後、同14年3月6日に第1類「化学品,のり及び接着剤(事務用又は家庭用のものを除く。),植物成長調整剤類」、第2類「カナダバルサム,壁紙剥離剤,コパール,サンダラック,シェラック,松根油,ダンマール,媒染剤,マスチック,松脂,木材保存剤」、第3類「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用海草のり,洗濯用コンニャクのり,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり」、第4類「固形潤滑剤」、第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料」、第8類「ピンセット」、第10類「氷まくら,三角きん,支持包帯,手術用キャットガット,吸い飲み,スポイト,乳首,氷のう,氷のうつり,ほ乳用具,魔法ほ乳器,綿棒,指サック,避妊用具,人工鼓膜用材料,補綴充てん用材料(歯科用のものを除く。),耳栓」、第16類「事務用又は家庭用ののり及び接着剤」、第19類「タール類及びピッチ類」、第21類「デンタルフロス」及び第30類「アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤」を指定商品とする書換登録がなされているものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
(1)取消事由
本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その指定商品中「第1類 植物成長調整剤類、第5類 薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料、第8類 ピンセット、第10類 氷まくら,三角きん,支持包帯,手術用キャットガット,吸い飲み,スポイト,乳首,氷のう,氷のうつり,ほ乳用具,魔法ほ乳器,綿棒,指サック,避妊用具,人工鼓膜用材料,補綴充てん用材料(歯科用のものを除く。),耳栓、第21類 デンタルフロス」についての登録を取り消されるべきである。
(2)取消原因
請求人は、本件商標の書換登録後の指定商品中、上記取消請求に係る指定商品について調査しても、本件商標が商標権者によって使用された事実を見出せない。
さらに、被請求人以外の者が、被請求人から前記指定商品中のいずれについて通常使用権の許諾を受けて本件商標を本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において使用した事実も認められない。
なお、本件商標の商標登録原簿には、専用使用権又は通常使用権のいずれも登録されていない。
2 答弁に対する弁駁
被請求人は、本件商標について、北海道に店舗を構える自動車用品販売のフランチャイズチェーンであるオートハローズの9店舗において、本件商標を薬剤に含まれる商品「消臭剤」につき本件審判の請求の登録前3年以内に現実に使用している旨主張し、本件商標と社会通念上同一の商標が付されているという看板等の写真、前記商品「消臭剤」の販売事実を示すという商品の写真及び新聞折り込み広告等を提出している。
しかしながら、以下に述べるとおり、前記写真及び新聞折り込み広告等は、本件商標がその登録取消を免れるに足る使用事実の証明資料としては不十分であるから、被請求人の主張には理由がない。
(1)先ず、被請求人は、本件商標権者の子会社である株式会社エー・エム・シーが経営するオートハローズ恵庭店や、本件商標権者のフランチャイズ加盟店である株式会社北日本オート用品が経営するオートハローズ江別店において、本件商標を商品「消臭剤」について使用している旨を主張しているが、本件商標の登録原簿謄本には、いかなる使用権も登録されてはいないし、例えば、使用許諾契約書など本件商標の使用許諾事実を証明する書類も全く提示されていないから、前記株式会社エー・エム・シーらが本件商標についての正当な使用権原を有する者とはいえない。
(2)次に、被請求人は、乙第2号証ないし乙第6号証に示される看板等に使用されている標章では、「ハローズ」「-AUTO-」「HELLO!!ES」の文字が上下3段に記載されており、このうち「-AUTO-」の文字と「HELLO!!ES」の文字は「オートハローズ」の欧文字表記と認識できるから、当該使用標章は、本件商標と社会通念上同一であると主張している。
しかしながら、前記使用標章中の「-AUTO-」及び「HELLO!!ES」の部分に着目すると、「-AUTO-」の文字は「HELLO!!ES」の文字の上に格段に小さく極めて目立たない大きさで併記されているにすぎないし、また、「HELLO!!ES」の文字中、「HELLO」の文字と「ES」の文字の間に感嘆符「!!」が記されていることから、これら2段表記された文字列から「オートハローズ」の称呼が生ずるとするのは不自然である。むしろ、「-AUTO-」の文字は、上段の「ハローズ」の文字と、下段の「HELLO!!ES」の文字との間に埋没してしまっているので、各々が分離して認識されるとするのが自然である。
したがって、前記使用標章「ハローズ\-AUTO-\HELLO!!ES」は、本件商標と相違しているのみならず、商標法第50条に規定する「平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標」に該当するものではなく、本件商標と社会通常上同一の商標ともいえない。
(3)また、被請求人が提出した乙第8号証、乙第10号証又は乙第11号証の新聞折り込み広告には、「オートハローズ」又は「ハローズ」の文字のみが単独で記されているか、あるいは「オートハローズ」「-AUTO-」「HELLO!!ES」の各文字が3段併記された標章が認められる。
ここで、「ハローズ」の文字と「オートハローズ」の文字が上下2段併記された本件商標は、各々の文字列が一対一の対応関係にないから全体として一商標と解されるところ、上段の「ハローズ」又は下段の「オートハローズ」のみを単独で表記した乙第10号証等が本件商標の正当な使用態様に該当しないことは明らかであるし、3段併記の上段に「オートハローズ」と表記した使用態様もまた本件商標における対応部分の「ハローズ」の文字と明らかに相違している。
したがって、これら使用標章「オートハローズ」や「オートハローズ\-AUTO-\HELLO!!ES」は、いずれも本件商標と社会通念上同一の商標の使用とはいえない。
(4)次に、被請求人は、オートハローズ恵庭店で商品「消臭剤」が店頭販売されており(乙第7号証)、新聞折り込み広告に車内消臭スプレーなどの「消臭剤」が掲載されているから(乙第8号証、乙第10号証又は乙第11号証)、本件商標が「消臭剤」に使用されていると主張している。
しかしながら、これら店頭販売され又は広告掲載された商品「消臭剤」には、「タムラ」「デュエット」「TOTO」「ハイドロテクト」「AUG」「ブガールブラン」「エアースペンサー」「アンティス・ズィー」「小林製薬」「微香空間」といった他社の商標が明記されている一方、その商品自体に本件商標は、一切表記されていないため、被請求人らが商品「消臭剤」について本件商標を使用しているとはいえない。
(5)そして、乙第2号証ないし乙第5号証の写真に示される「看板、店舗のウィンドウ、店員の制服、買い物カゴ」は、そもそも個別商品との具体的な関連性がない、ある種汎用的なものであるから、仮に本件商標と同一商標をこれら看板等に付したとしても、商品「消臭剤」に関する本件商標の使用とはいえない。
また、乙第6号証には、前記標章「ハローズ\-AUTO-\HELLO!!ES」が付された買い物袋が示されているが、この種のポリエチレン製買い物袋についても汎用性があり、特定商品に限定使用されるものではないから、商品「消臭剤」との関連性が認められるものではなく、当該商品について本件商標が現実に使用されていた証拠とはなり得ない。
なお、これら看板、店舗のウィンドウ、店員の制服、買い物カゴ、買い物袋に標章を付する行為は、いわゆる小売等役務商標に関する標章の使用というべきものであり、商品商標に関する標章の使用とはいえないものである。
(6)なお、乙第2号証ないし乙第6号証の看板等の写真、乙第7号証の商品の販売状況を示す写真には、その撮影日が2008年10月14日と記されているほか、被請求人自らも、これらの証拠を蒐集したのは本件審判の請求の登録日(平成20年7月29日)(審決注:本件審判の請求の登録日は、平成20年7月31日である。)より後であると述べている。そして、被請求人は、これらの証拠は本件審判の請求の登録前3年以内の本件商標の使用の立証資料としては不完全なものであるとしたうえで、本件審判の請求の登録日前に特許庁に提出した「小売等役務に係る使用に基づく特例の適用主張書」に添付の資料を援用し、壁面看板や店員制服の胸の名札の写真が含まれるインターネット上のウェブページを乙第9号証として提出している。
しかしながら、前述したとおり乙第9号証における各使用標章は、本件商標の使用態様とはいえないものであるし、仮にこれら使用標章が本件商標と社会通念上同一性の範囲内にある使用態様であるとしても、個別商品と具体的関連性がない名札等における標章の使用は、本件商標の使用行為とは認められないから、本件商標をその指定商品中「消臭剤」について使用した事実を示す証拠とはなり得ない。
3 以上のとおり、被請求人が提出した乙第1号証ないし乙第11号証のいずれによっても、本件商標が、本件審判の請求の登録日前3年以内に日本国内において、「消臭剤」ほか本件審判請求に係る指定商品のいかなる商品についても現実に使用された事実が明らかにされていないから、被請求人の主張には理由がない。
よって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その指定商品中、取消請求に係る指定商品についての登録を取り消されるべきである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第14号証(枝番号を含む。但し、枝番号の全てを引用するときは、その枝番号を省略する。)を提出した。
1 理由の要点
本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、第5類「薬剤」に含まれる「消臭剤」について使用している。
(1)オートハローズ店舗について
本件商標は、北海道に店舗を構える自動車用品販売店フランチャイズチェーンであるオートハローズの各店舗において、各種商品に使用している。
現在オートハローズ店舗は、9店舗あり、それぞれのオートハローズ店舗の経営母体は株式会社エー・エム・シー(旧名称「株式会社オートハローズ」平成15年4月商号変更)、及び株式会社北日本オート用品、及び株式会社オートバックス旭川、及び手塚興産株式会社、及び株式会社オオニワである。
オートハローズ石狩花川店……株式会社エー・エム・シー
オートハローズ小樽店…………株式会社エー・エム・シー
オートハローズ江別店…………株式会社北日本オート用品
オートハローズ恵庭店…………株式会社エー・エム・シー
オートハローズ東室蘭店………株式会社エー・エム・シー
オートハローズ滝川店…………株式会社エー・エム・シー
オートハローズ旭川豊岡店……株式会社オートバックス旭川
オートハローズ紋別店…………手塚興産株式会社
オートハローズ帯広西5条店…株式会社オオニワ
前記のそれぞれの法人と本件被請求人との関係を以下に説明する。
(ア)株式会社エー・エム・シー(旧株式会社オートハローズ)は、被請求人の完全子会社であり、平成14年10月に完全子会社となった。
(イ)株式会社北日本オート用品は、被請求人と加盟店契約(平成15年3月7日)を結んでいるフランチャイズ加盟店である。
(ウ)株式会社オートバックス旭川は、被請求人の連結子会社であり、また、被請求人と加盟店契約(平成18年4月1日)を結んでいるフランチャイズ加盟店である。
(エ)手塚興産株式会社は、被請求人の子会社である株式会社エー・エム・シー(旧株式会社オートハローズ)と、完全子会社となる前に加盟店契約(平成13年3月1日)を結んだフランチャイズ加盟店である。
(オ)株式会社オオニワは、被請求人と加盟店契約(平成15年3月1日)を結んでいるフランチャイズ加盟店である。
(2)オートハローズ恵庭店における本件商標の表示状況及び商品状況
オートハローズ恵庭店における本件商標の表示状況を示す。
まず、本件商標とは完全な同一ではないが、社会通念上同一といえる標章である、「ハローズ」の文字と「-AUTO-」の文字と「HELLO!!ES」の文字とをそれぞれ、3段に亘って記載した標章についての表示写真を、下記の如く乙第2号証ないし乙第6号証に示す。
これらの標章からは、「ハローズ」の文字が認識でき、また、「-AUTO-」の文字と「HELLO!!ES」の文字からは「オートハローズ」の欧文字表記であることが認識できることから、当該標章は本件商標と社会通念上同一と考える。
(ア)乙第2号証の店舗壁面看板写真
壁面看板として当該標章を表示している。
乙第2号証の2の上段の写真は、乙第2号証の1の上段の写真中の右側の看板であって、同看板のクローズアップ写真である下段の同看板の下部がタイヤ商品の陳列棚で隠れていることから、看板と陳列棚の隙間から、その下部を写した写真である。
(イ)乙第3号証の店舗ウィンドウ写真
店舗ウィンドウに当該標章を表示している。
(ウ)乙第4号証の店員の制服写真
店員の制服の胸部分に当該標章を表示している。
(ウ)乙第5号証の店内設置の買い物カゴ写真
買い物カゴに当該標章を表示している。
(オ)乙第6号証の買い物袋写真
買い物袋に当該標章を表示している。
(カ)乙第7号証の消臭剤の商品陳列及び商品の写真
乙第7号証からは、オートハローズ恵庭店において薬剤に含まれる消臭剤を販売していることが分かる。
(キ)乙第8号証の平成17年12月のオートハローズ恵庭店の新聞折り込み広告
乙第8号証の表面及び裏面右下の数字「05-12」は、平成17(2005)年12月を示す数字である。
よって、乙第8号証からは、平成17(2005)年12月当時オートハローズ恵庭店にて消臭剤を販売していたことが分かる。
(3)ここで、乙第2号証ないし乙第7号証のオートハローズ恵庭店における、当該標章の表示状況、及び商品の陳列状況の写真は、本件審判の請求の登録後に蒐集したものである。
したがって、上記証拠では、商標の表示時期という点において、本件審判の請求の登録前3年以内の本件商標の使用の立証としては、不完全なものである。
しかしながら、上記のような小規模とはいえない自動車用品販売フランチャイズチェーン店において、本件審判の請求の登録日の平成20年7月31日以降に直ちに、壁面看板や買い物カゴ、買い物袋等における商標の表示を大きく変えるということは考えにくい。
したがって、少なくとも、さらに上記オートハローズの店舗が本件審判の請求の登録前3年以内に存在したことを立証すれば、本件商標の本件審判の請求の登録前3年以内の使用を立証するのに足りると考える。
なお、商品「消臭剤」についての時期的立証は、前記乙第8号証で行った。
(4)オートハローズ恵庭店の過去の店舗資料について:
乙第9号証として、商願2007-70623の平成20年7月2日付け「小売等役務に係る使用に基づく特例の適用主張書」に資料(6)の5として添付した、オートハローズ恵庭店のインターネット上のウェブページ(URLはhttp://www.helloes.jp/shop/eniwa/index.html)を援用する。
この乙第9号証に示すように、特許庁に提出の平成20年7月2日当時にも、オートハローズ恵庭店は存在した。
また、壁面看板や、店員制服の胸の本件商標の表示は、乙第2号証及び乙第4号証と変わらないことも分かる。
(5)上記乙第2号証から乙第9号証によって、本件商標とは完全な同一ではないが、社会通念上同一といえる標章である、「ハローズ」の文字と「-AUTO-」の文字と「HELLO!!ES」の文字とをそれぞれ、3段に亘って記載した当該標章についての使用を示すことにより、本件審判の請求の登録前3年以内の本件商標の使用を立証した。
つぎに、上記の当該標章とは異なる表示方法による、本件商標の使用を立証をする。
(6)乙第10号証は、オートハローズ江別店の新聞折り込み広告である。
乙第10号証の表面及び裏面右下の数字「2007.11.30」は、平成19(2007)年11月30日を示す数字である。
乙第10号証の表面中央部やや左寄りの部分に、「車内消臭スプレ一」などの3種類の消臭剤が掲載されている。
また、この乙第10号証の表面上部には、「ハローズ」の文字が見え、同表面右上及び左上の2箇所には「オートハローズ」の文字が見える。
これらの表示は、本件商標が「ハローズ」の文字及び「オートハロ一ズ」の文字が上下2段書きであるのに対し、乙第2号証では、「ハローズ」の文字及び「オートハローズ」の文字がやや離れて記載されているものの、両者は社会通念上同一といえるものであるから、この乙第10号証によっても、本件審判の請求の登録前3年以内の本件商標の使用といえるものである。
(7)乙第11号証は、オートハローズ江別店の新聞折り込み広告である。
乙第11号証の表面及び裏面右下の数字「05.07/29」は平成17(2005)年7月29日を示す数字である。
乙第11号証の裏面下部やや中央寄りの部分に、「ファブリーズ」などの消臭剤が掲載されている。
また、この乙第11号証の表面左下には、「ハローズ」の文字が見え、同表面右上及び左上の2箇所には「オートハローズ」の文字が見える。
これらの表示は、本件商標が「ハローズ」の文字及び「オートハローズ」の文字が上下2段書きであるのに対し、乙第2号証では、「ハローズ」の文字及び「オートハローズ」の文字がやや離れて記載されているものの、両者は社会通念上同一といえるものであるから、この乙第11号証によっても、本件審判の請求の登録前3年以内の本件商標の使用といえるものである。
(8)上記のことから、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、商品「消臭剤」に本件商標を使用していたことがわかる。
(9)以上のとおり、本件商標は、商標法第50条第1項の規定に該当しないものであるので、本件審判の請求は成り立たない。
2 被請求人の第2回答弁
(1)本件商標の使用権原について
請求人は、株式会社エー・エム・シー等が本件商標についての正当な使用権原を有するものとは言えないと主張していることから、被請求人は、株式会社エーエムシー等が本件商標についての正当な使用権原を有していることを立証する。
乙第12号証は、URLがhttp://www.autobacs.co.jp/ja/ir/annual/2008annual_j.pdfにおいて公開している被請求人の「アニュアルレポート2008」から抜粋したものである。
その中の会社沿革の欄において、「2002年10月 株式会社オートハローズ(現:株式会社エー・エム・シー)を株式交換により完全子会社とする。」との記載から、株式会社エー・エム・シーが本件商標についての正当な使用権原を有していることが推認できる。
また、乙第13号証は、「オートハローズ江別店」についての披請求人と株式会社北日本オート用品との間でかわされた「オートハローズフランチャイズ契約書」である。
その契約書中には、商標権についての記載があり、株式会社北日本オート用品が本件商標についての正当な使用権原を有していることがわかる。
(2)乙第2号証ないし乙第6号証の使用標章と本件商標の同一性について
請求人は、乙第2号証ないし乙第6号証に示される看板等に使用されている標章中「-AUTO-」及び「HELLO!!ES」の部分から、「オートハローズ」の称呼が生ずるとするのは不自然であり、むしろ「-AUTO-」の文字は、上段の「ハローズ」の文字と、下段の「HELLO!!ES」の文字との間に埋没してしまっているので各々が分離して認識されるとするのが自然であると主張している。
すなわち、「-AUTO-」部分からは、「オート」の称呼が、そして「HELLO!!ES」の部分からは、「ハローズ」の称呼がそれぞれ個別に生じるもので「オートハローズ」の一連の称呼は生じない旨の指摘と推察する。
まず、乙第14号証は、IPDL(特許電子図書館)の「商標出願・登録情報」における被請求人所有の商標登録第2706928号のデータであり、その態様は、乙第2号証ないし乙第6号証の「オートハローズ 恵庭店」における看板、店舗ウィンドウ、制服、買い物カゴ、買い物袋に表示の標章と同一の態様である。
そして、乙第14号証の「【称呼】」の欄には、この登録商標から生じる称呼として「ハローズ」及び「オートハローズ」の称呼が振られている。
このことは、「-AUTO-」及び「HELLO!!ES」の部分からは、「オートハローズ」の一連の称呼が生じるということの1つの証左であり、本件商標とは態様が異なるものの、本件商標が有する独自の識別性に影響を与えない限度の変更にとどまっているものと言える。
そうとすると、乙第2号証ないし乙第9号証により、本件審判の請求の登録前3年以内の本件商標の通常実施権者による該当商品への使用を立証となる。
(3)乙第8号証、乙第10号証及び乙第11号証の使用標章と本件商標の同一性について
請求人は、乙第8号証、乙第10号証及び乙第11号証に示される新聞折り込み広告について、各証拠に表示の使用標章と本件商標とは社会通念上同一の商標の使用とはいえない旨、主張している。
まず、乙第8号証の新聞折り込み広告については、前回答弁書において被請求人は、乙第2号証ないし乙第9号証でもって総合的に商標法第50条第2項の証明をするための1つの証拠として、商品「消臭剤」についての時期的証拠として提出したものであり、乙第8号証に表示の使用標章については何ら言及していないので、請求人の主張への直接の反論はしない。
つぎに、乙第10号証について、表面上部には「ハローズ」の文字が見え、同表面右上及び左上の2箇所には「オートハローズ」の文字が見える。
これらの表示は、本件商標が「ハローズ」の文字及び「オートハローズ」の文字が上下2段書きであるのに対し、乙第10号証では、その使用の態様が、その上下部分である「ハローズ」の文字及び「オートハローズ」の文字を別々にやや離すという変更を行っているものの、それらの表示は同一紙面上に両文字が表示されているものであって、本件商標が有する独自の識別性に影響を与えるほどの変更ではない。
よって、乙第10号証に表示の標章と本件商標は、社会通念上同一の商標と言えるものである。
また、上記で述べたように、請求人による、乙第2号証ないし乙第6号証に示される看板等に使用されている標章中「-AUTO-」の部分からは「オート」の称呼が、そして「HELLO!!ES」の部分からは「ハローズ」の称呼がそれぞれ個別に生じるもので「オートハローズ」の一連の称呼は生じない旨の指摘と推察した。
この場合、乙第10号証に表示の「HELLO!!ES」の部分からは、「ハローズ」の単独の称呼が生じると言える。
そうとすると、その上部の「オートハローズ」と合わせて、乙第10号証に表示の標章と本件商標とは社会通念上同一の商標と言えるものである。
以上のように、乙第10号証に表示の標章はやや使用態様の変更があるものの、二段書き商標の上下部分を別々に同一紙面上に表示するにすぎないものであると言う点において、乙第10号証に表示の標章と本件商標は、社会通念上同一の商標と言えるもので、また、乙第10号証に表示の「HELLO!!ES」の部分から「ハローズ」の単独の称呼が生じるとすれば、その上部の「オートハローズ」と合わせて、これまた、乙第10号証に表示の標章と本件商標とは、社会通念上同一の商標と言えるものである。
したがって、乙第10号証は、単独で商標法第50条第2項の証明をする能力のある証拠となる。
つぎに、乙第11号証について、表面左下には「ハローズ」の文字が見え、同表面右上及び左上の2箇所には「オートハローズ」の文字が見える。
これらの表示は、本件商標が「ハローズ」の文字及び「オートハローズ」の文字が上下2段書きであるのに対し、乙第11号証では、その使用態様が、その上下部分の「ハローズ」の文字及び「オートハローズ」の文字を別々にやや離すという変更を行っているものの、それらの表示は同一紙面上に両文字が表示されているものであって、本件商標が有する独自の識別性に影響を与えるほどの変更ではない。
よって、乙第11号証に表示の標章と本件商標は、社会通念上同一の商標と言えるものである。
また、乙第10号証と同様に、請求人の主張によると、乙第11号証に表示の「HELLO!!ES」の部分からは「ハローズ」の単独の称呼が生じると言える。
そうとすると、その上部の「オートハローズ」と合わせて、乙第11号証に表示の標章と本件商標とは社会通念上同一の商標と言えるものである。
以上のように、乙第11号証に表示の標章は、やや使用態様の変更があるものの、二段書き商標の上下部分を別々に同-紙面上に表示するにすぎないものであると言う点において、乙第11号証に表示の標章と本件商標は、社会通念上同一の商標と言えるもので、また、乙第11号証に表示の「HELLO!!ES」の部分から「ハローズ」の単独の称呼が生じるとすれば、その上部の「オートハローズ」と合わせて、これまた、乙第11号証に表示の標章と本件商標とは、社会通念上同一の商標と言えるものである。
したがって、いずれにせよ、乙第11号証は、単独で商標法第50条第2項の証明をする能力のある証拠となる。
なお、乙第8号証も同様に、請求人の主張によると、表示の「HELLO!!ES」の部分からは、「ハローズ」の単独の称呼が生じると言え、その上部の「オートハローズ」と合わせて、本件商標と社会通念上同一の商標と言えるもので、この場合、乙第8号証についても、単独で商標法第50条第2項の証明をする能力のある証拠となる。
(4)乙各号証中の新聞折り込み広告、看板、店舗のウィンドウ、買い物袋への本件商標の表示は、商品「消臭剤」への本件商標の使用とは言えない旨、主張されている。
しかしながら、新聞折り込み広告については、商品に関する広告に標章を付して頒布する行為であり、買い物袋への本件商標の表示は、商品の包装に標章を付したものを譲渡する行為であって、また看板、店舗のウィンドウヘの本件商標の表示によっても、同様にその「消臭剤」の商品への品質保証機能を発揮するのであるから、それぞれ新聞折り込み広告、看板、店舗のウィンドウ、買い物袋への本件商標の表示は、商品「消臭剤」への本件商標の使用と言えるものである。
例え、その店舗において販売する「消臭剤」の商品自体に本件商標が直接付されていなくとも、また、その「消臭剤」の商品が他社の商品であって他社の商標が付されていようとも、そのことによって前記の本件商標の品質保証機能等が害されることはない。
(5)上記のことから、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、通常使用権者が商品「消臭剤」に本件商標を使用していたことがわかる。

第4 当審の判断
1 商標法第50条に基づく商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その審判請求の登録(平成20年7月31日)前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、その登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。
2 そこで本件についてみるに、本件商標は、前記第1のとおり、「ハローズ」「オートハローズ」の文字を併記してなるところ、被請求人は、取消請求に係る指定商品中の第5類「消臭剤」について、本件商標を使用している旨主張し、乙第1号証ないし乙第11号証をその証拠として提出しているので、以下、乙各号証について検討する。
(1)乙第2号証について
ア 乙第2号証の1は、用紙に貼付された「店舗」の写真2葉で、上部に貼付の写真は、店舗の外部に車のタイヤが陳列され、店舗壁面に、別掲(1)「使用標章1」と同様な構成態様であるが、手の指2本を突き出している手首の図形(以下「ちょき図形」という。)と「ハローズ」の看板が出入り口を挟んで左右に表示されており、下部の写真は右側の看板をクローズアップしたものである。
そして、用紙の下部の空白部分に「・撮影日:平成20(2008)年10月14日」「・撮影場所:オートハローズ恵庭店 北海道…」「・撮影者:…」「・撮影者居所:…/株式会社オートバックスセブン内」(以下「撮影記録」という。)と記載されている。
イ 乙第2号証の2は、乙第2号証の1の上部の写真の左側に写っている看板をクローズアップしたものと思しき写真2葉で、下部のやや斜めに写っている看板写真には、「ちょき図形」と「ハローズ」、「-AUTO-」(なお、左右の「-」は、「AUTO」の倍の長さをもって表示されている罫線である。)及び「HELLO!!ES」の各文字が3段に表示されるところ、後述する別掲(1)「使用標章1」と同じ標章である(なお、「AUTO」は、他の文字と比較し四分の一から五分の一程度の大きさで左右の罫線2つを合わせると「HELLO!!ES」の横幅と同じ幅である。以下同じ)。
そして、用紙の下部の余白部分には、「撮影記録」が記載されている。
(2)乙第3号証について
乙第3号証は、オートハローズ恵庭店の店舗のウィンドウに表示された使用標章を写した写真2葉で、その下部のウィンドウの表示部分をクローズアップした写真は乙第2号証の2の下部の看板写真を正面から撮られた標章であって、用紙の下部の空白部分の記載も乙第2号証と同じであるが、別掲(1)「使用標章1」に示すとおり、「ちょき図形」と「ハローズ」、「-AUTO-」(なお、左右の「-」は、「AUTO」の倍の長さをもって表示されている罫線である。)及び「HELLO!!ES」の各文字が3段に表示される標章(以下「使用標章1」という。)である。用紙の下部の余白部分には、「撮影記録」が記載されている。
(3)乙第4号証について
乙第4号証は、店員の制服の左胸元部分のクローズアップ写真で、別掲(1)「使用標章1」と同じ標章が店員の制服の左胸元部分に縫いつけられており、用紙の下部の余白部分には、「撮影記録」が記載されている。
(4)乙第5号証について
乙第5号証は、店内設置の買い物カゴ写真で、カゴの正面中央部にエンボスが施され、「使用標章1」と同じ標章が表示されており、用紙の下部の余白部分には、「撮影記録」が記載されている。
(5)乙第6号証について
乙第6号証は、買い物袋の写真2葉で、上部に貼付の写真は半透明の袋の中央部に緑色の枠内に、半透明の地に緑色をもって「使用標章1」と同じ標章が表示され、下部に貼付の写真は、袋の中央部に「使用標章1」と同じ標章が表示されている。用紙の下部の余白部分には、「撮影記録」が記載されている。
(6)乙第7号証について
乙第7号証は、多数の商品が陳列されている店内の写真で、「車内清潔/消臭ゼリー」、「タバコ用/スチーム/強力/消臭」等の表示されている消臭剤の包装容器が写っており、用紙の下部の余白部分には、「撮影記録」が記載されている。
(7)乙第8号証について
乙第8号証は、表裏に商品が掲載されている広告チラシであるが、後述する別掲(2)「使用標章2」とほぼ同じ構成態様の標章が表示され、その下に「セール期間」「12/16(金)→12/26(月)」、「オートハローズ/恵庭」、及び右下角の欄外に「05-12」の数字が表示されている。
また、裏の上部中央に「消臭・芳香剤/タムラ/デュエット/ミニビーズ…各399円」と表示されている商品の写真が掲載されており、表と同様に右下角の欄外に「05-12」の数字が表示されている。
(8)乙第9号証について
乙第9号証は、上部右角に、後述する別掲(2)「使用標章2」と同じ標章が表記され、右下角に「2008年6月26日」と表示されているインターネット上のウェブページ(http://www.helloes.jp/shop/eniwa/index.html)で、「ちょき図形」の横に「オートハローズ恵庭店」、その下に乙第2号証の1の上部に貼付されている写真と同様の写真が表示されている。
(9)乙第10号証について
乙第10号証は、表裏に商品が掲載されている広告チラシで、表の左上部角に「オートハローズ」、中央やや右側に「ハローズ 特選」、右上部角に、とおり、後述する別掲(2)「使用標章2」とほぼ同様な構成態様で表記され、その下に「セール期間」「11/30(金)→12/9(月)」、「オートハローズ/江別」、及び右下角の欄外に「2007.11.30」の数字が表示されている。
また、裏の右下角の欄外に「2007.11.30」の数字が表示されている。
(10)乙第11号証について
乙第11号証は、表裏に商品が掲載されている広告チラシで、表の左上部角に「おかげさまでオートハローズ」「『ちょき図形』の横に『誕生20周年』」、右上部角に、別掲(2)「使用標章2」に示すとおり、表側の右上部角に正四角形の緑地内の上部半分程度に「ちょき図形」が白抜きで描がれ、その下「オートハローズ」の文字が表記され、その下は横長白地にて区切られるように間隔を空けて横長赤地の長方形内に白抜きで「-AUTO-」(なお、左右の「-」は、「AUTO」の倍の長さをもって表示されている罫線である。以下同じ)及び「HELLO!!ES」の各文字が配された標章(以下「使用標章2」という。)(なお、「AUTO」の文字は、「HELLO!!ES」と比較し四分の一から五分の一程度の大きさで左右の罫線2つを合わせると該「HELLO!!ES」の横幅と同じ幅である。以下同じ)が表記され、その下に「セール期間」「8/5(金)→8/16(火)」、「オートハローズ/江別」、及び右下角の欄外に「05.07/29」の数字が表示されている。
また、裏の右下角の欄外に「05.07/29」の数字が表示されている。
(11)乙第12号証について
乙第12号証は、被請求人の会社概要が記載された「アニュアルレポート2008年3月期」であるところ、会社沿革には「1998年10月 株式会社オートハローズ(現:株式会社エー・エム・シー)と資本/業務提携。」「2002年10月 株式会社オートハローズ(現:株式会社エー・エム・シー)を株式交換により完全子会社とする。」と記載されている。
(12)乙第13号証について
乙第13号証は、被請求人とオートハローズチェン加盟店(株式会社北日本オート用品)との「オートハローズフランチャイズチェン契約書」であるところ、店名を「オートハローズ江別店」とすること、契約期間を「平成20年3月6日までの5年間」とすること、また、一般条項には、「オートハローズ」の呼称を含む店名、商標等を使用することが記載されている。
(13)乙第14号証について
乙第14号証は、被請求人が所有する登録第2706928号商標に関する登録情報であり、別掲(1)「使用標章1」と構成態様を同じくする商標及び書誌的情報が記載されている。
3 以上の乙第2号証ないし乙第14号証及び被請求人の答弁の趣旨を総合すると、以下のとおりである。
(1)通常使用権について
書面による使用許諾契約はなされていないが、商標権者である被請求人の主張によれば、株式会社エー・エム・シー(旧株式会社オートハローズ)は被請求人の子会社であり、株式会社北日本オート用品は、被請求人と加盟店契約(平成15年3月7日)を結んでいるフランチャイズ加盟店であり、株式会社オートバックス旭川は、被請求人の連結子会社であって、加盟店契約(平成18年4月1日)を結んでいるフランチャイズ加盟店である等、子会社若しくはフランチャイズ加盟店である。
また、乙第2号証ないし乙第7号証の用紙の下部の余白部分に、上記のとおり「・撮影者居所:…/株式会社オートバックスセブン内」等の「撮影記録」が記載されていることが認められる。
さらに、乙第8号証、乙第10号証及び乙第11号証の広告チラシ中にも、「オートハローズ/恵庭」及び「オートハローズ/江別」の店舗名の表示が認められる。
ところで、通常使用権は、商標権者が他人にその商標権について登録商標の使用許諾をすることにより発生するものであり、その使用許諾は、商標権者と使用権者の意思表示の合意によって成立し、契約自由の原則により何らの方式も必要とせず、口頭による使用許諾によっても成立するものと解される。
そうとすれば、書面による使用許諾契約がなされていなくとも、商標権者である被請求人「株式会社オートバックスセブン」と上記「株式会社エー・エム・シー」(オートハローズ恵庭店)との間には事実上の使用許諾がなされていると推認し得るものである。
(2)写真(乙第2号証ないし乙第7号証)について
請求人は、被請求人の提出に係る乙第2号証ないし乙第7号証の各写真は、撮影日が2008年(平成20年)10月14日と記されており、本件審判の請求の登録日後であるから、本件商標の指定商品における使用の事実を証明する証拠資料として不完全なものである旨主張する。
しかしながら、乙第2号証ないし乙第7号証に添付の写真の撮影年月日が本件審判の請求の登録日以降であるとしても、該各写真は、被請求人と使用許諾がなされていると推認される会社の店舗の看板、ウィンドウ、店員の制服の胸部、買い物カゴ、買い物袋及び商品を販売している状態の写真であり、いわば本件商標の使用状態を表すものというべきであるから、その撮影年月日が重要となるものではなく、提出された他の取引書類等とを総合して、当該登録商標が審判の請求の登録日前3年以内に請求に係る商品等について使用されたか否かを判断すれば足りるというべきである。
(3)本件商標と使用標章との社会通念上の同一性について
本件商標は、「ハローズ」の片仮名文字と「オートハローズ」の片仮名文字とを二段に横書きした構成からなる一方、乙第2号証ないし乙第11号証に示された使用標章は、以下のとおりである。
(ア)店舗の看板、ウィンドウ、店員の制服の胸部、買い物カゴ及び買い物袋の写真(乙第2号証ないし乙第6号証)に示された標章は、いずれも別掲(1)「使用標章1」に示すとおり、正四角形の緑地内の上部半分程度の大きさで「ちょき図形」が黒色の輪郭線及び白色の地で描がれ、その下に「ハローズ」、「-AUTO-」及び「HELLO!!ES」の各文字が配されているものである。
(イ)商品が陳列されている店内の写真(乙第7号証)には、本件商標及び「使用標章1」、「使用標章2」の表示は見当たらないが、オートハローズ恵庭店において、消臭剤が販売されていることが認められる。
(ウ)広告チラシ(乙第8号証、乙第10号証及び乙第11号証)には、別掲(2)使用標章2のとおり、黒色の正四角形の輪郭線内を上下にほぼ3対1の割合で、上部を緑色の地、下部を赤色の地であるところ、緑地の上部3分の2程度の範囲に「ちょき図形」が黒の輪郭線及び白塗りで描がかれ、その下に黒色の「オートハローズ」を表示し、下部には「-AUTO-」及び「HELLO!!ES」の各文字が配されているものである。
また、乙第10号証の広告チラシの表側の左上部角には、「オートハローズ」、中央やや右側には、「ハローズ 特選」の標章が使用され、乙第11号証の広告チラシの表側左上部角には、「おかげさまでオートハローズ」が単独で使用されているが、本件商標とは、構成態様が異なる。
(エ)オートハローズ恵庭店のウェブページ(http://www.helloes.jp/shop/eniwa/index.html)(乙第9号証)は、片仮名文字「オートハローズ」及び別掲(1)「使用標章1」に示すとおり、「ちょき図形」が黒色の輪郭線及び白色の地で描がかれている。中央部には、乙第2号証の1の上部に貼付されている恵庭店の店舗の写真と同様の写真が表示され、右下角に「2008年6月26日」の日付が記載されている。
(4)本件商標と乙第2号証ないし乙第11号証中に表示されている使用標章とを、以下比較する。
(ア)先ず、本件商標と乙第2号証ないし乙第6号証の看板等の写真に使用されている標章についてみるに、本件商標が「ハローズ」の片仮名文字と「オートハローズ」の片仮名文字とを二段に横書きした構成からなるのに対し、乙第2号証ないし乙第6号証の看板等の写真に使用されている標章は、「使用標章1」と同一であり、別掲(1)「使用標章1」に示すとおり、正四角形の緑地内の上部半分程度の大きさで「ちょき図形」が黒色の輪郭線及び白色の地で描がれ、その下に「ハローズ」、「-AUTO-」及び「HELLO!!ES」の各文字が配されているものである。
(イ)また、乙第8号証ないし乙第11号証の広告チラシ及びウェブページの写しの右上部角に使用されている標章は、別掲(2)「使用標章2」に示す構成態様とほぼ同様に、正四角形の輪郭線内を上下にほぼ3対1の割合で、上部を緑色の地、下部を赤色の地であるところ、緑地の上部3分の2程度に「ちょき図形」が黒の輪郭線及び白塗りで描がれ、その下に黒色の「オートハローズ」を表示し、下部には「-AUTO-」及び「HELLO!!ES」の各文字が段併記で表示されているものである。
(ウ)乙第8号証、乙第10号証及び乙第11号証の広告チラシの右上部角以外に使用されている標章は、上部左角に「オートハローズ」、相当離れた上部中央やや右側に「ハローズ 特選」の文字のみがそれぞれ単独で表記されているものである。
(エ)以上のとおり乙第2号証ないし乙第6号証、乙第8号証ないし乙第11号証の写真、広告チラシ中で使用されている標章は、いずれも、本件商標のように「ハローズ」と「オートハローズ」とが上下二段にまとまりよく併記されているものではなく、乙第2号証ないし乙第6号証、及び乙第9号証で使用される標章は、別掲(1)「使用標章1」のとおり、その構成中には片仮名文字の「ハローズ」及び欧文字の「-AUTO-」「HELLO!!ES」が段併記で表示されているが、「HELLO!!ES」の文字中には、感嘆符「!!」を有するから、「HELLO」と「ES」とに分離して看取されるものである。
そうとすれば、「使用標章1」中の欧文字部分からは、「オートハローズ」の称呼を生ずるものではない。
また、上記乙第8号証、乙第10号証及び乙第11号証の広告チラシ中には、「オートハローズ」「-AUTO-」「HELLO!!ES」「ハローズ 特選」が表示されているが、「HELLO!!ES」の文字部分から「ハローズ」の称呼を生ずるとは認めがたい。
なお、乙第9号証は、被請求人の主張によれば、「商願2007-70623の平成20年7月2日付け『小売等役務に係る使用に基づく使用に基づく特例の適用主張書』に添付」の資料である。そして、乙第9号証のインターネット上のウェブページの写しには、その右上部角に乙第8号証と同じ別掲(2)の「使用標章2」が表記され、中央部には乙第2号証の1の上部に貼付されている写真と同様の写真が表示され、右下角に「2008年6月26日」の日付が記載されているが、その使用標章と本件商標とは、社会通常上同一の商標とはいえない。。
(オ)そうすると、上記の乙各号証における使用標章は、「ハローズ」又は「オートハローズ」と「-AUTO-」及び「HELLO!!ES」の三段併記か、「オートハローズ」又は「ハローズ 特選」の単独の使用であるから、いずれも商標法第50条第1項に規定する「平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標」に該当するものではなく、また、これらの表示を総合しても本件商標と社会通常上同一の商標とはいえない。
なお、被請求人は、乙第8号証、乙第10号証及び乙第11号証の広告チラシには、同一紙面上で「ハローズ」「オートハローズ」「-AUTO-」「HELLO!!ES」が使用されているから、本件商標の使用をしている旨、主張しているが、本件商標は「ハローズ」と「オートハローズ」の文字を併記したものであるから、使用標章とは外観上構成を著しく異にし、使用する標章と本件商標とは社会通常上同一の商標とはいえない。
さらに、被請求人は、乙第14号証によれば使用標章と構成態様を同じくする登録第2706928号商標が「ハローズ、オートハローズ」の称呼が採用されているから、本件商標と使用標章とは、称呼を同じする社会通常上同一の商標である旨、主張している。
しかしながら、IPDL等で検索する際に使用する称呼と使用標章の称呼とは、その用途を異にするから、たとえ称呼が同一であるとしても、本件商標と使用標章とが社会通念上同一であることを証明したことにならないから、被請求人の主張を採用できない。
4 以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品のいずれかについて、本件商標を使用していることを証明したものと認めることはできない。また、被請求人は、本件商標を使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により指定商品中「結論掲記の指定商品」についての登録を取り消すべきものである。
5 なお、請求人は、「被請求人の使用している上記標章が仮に本件商標と社会通常上同一性の範囲内である使用態様であるとしても、個別商品と具体的関連性がない看板、買い物カゴ、名札等における標章使用は本件商標の使用行為とは認められないから、本件商標をその指定商品中『消臭剤』について使用した事実を示す証拠とはなり得ない。」旨の主張もしているから、念のため被請求人が上記標章を商品に使用していたか否かについて、以下判断する。
(1)本件商標は、上記第1のとおり、第1類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、昭和61年5月20日に登録出願、平成3年6月28日に設定登録され、その後、同14年3月6日に商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として書換登録がなされているものである。
したがって、本件商標は、いわゆる商品商標として登録されているものである。
そして、小売等役務の商標制度が導入される以前においては、小売業者及び卸売業者は、店舗設計や品揃え、商品展示、接客サービス、カタログを通じた商品の選択の工夫等といった、顧客に対するサービス活動は、商品を販売するための付随的なサービスであること等から、商標法上の役務には該当しないとされてきた。
ただし、小売業者等が使用する商標は、「業として商品(中略)譲渡する者がその商品について使用するもの」(商標法第2条第1項第1号)該当することから、自己が使用する商標をその取扱いに係る商品の商標権として取得して、商品に係る商標として保護を受ける必要があったことは認め得るところである。
(2)そして、「商標法上の商品の小売りと、小売等の役務について」に関しては、上記1のとおりであるところ、小売業者がその業務に係る小売・卸売に使用する商標の保護制度を導入するため「意匠法等の一部を改正する法律」(平成18年法律第55号)が平成19年4月1日より施行され、同法律の附則第5条第1項に、「第4条の規定による改正後の商標法(以下「新商標法」という。)第2条第2項の規定は、この法律の施行後にする商標登録出願について適用し、この法律の施行前にした商標登録出願については、なお従前の例による。」と規定されているものである。
したがって、本件取消審判は、取消請求に係る指定商品について、商標法第50条の要件を満たすか否かを判断した。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
(1)使用標章1(色彩については原本参照)


(2)使用標章2(色彩については原本参照)



審理終結日 2009-06-24 
結審通知日 2009-06-30 
審決日 2009-07-13 
出願番号 商願昭61-51955 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (10105081021)
最終処分 成立  
前審関与審査官 渡邉 健司 
特許庁審判長 鈴木 修
特許庁審判官 平澤 芳行
小畑 恵一
登録日 1991-06-28 
登録番号 商標登録第2313382号(T2313382) 
商標の称呼 ハローズ、オートハローズ 
代理人 玉田 修三 

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