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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y30
管理番号 1202097 
審判番号 取消2008-300753 
総通号数 117 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-09-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2008-06-16 
確定日 2009-08-03 
事件の表示 上記当事者間の登録第4802393号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4802393号商標(以下「本件商標」という。)は、「ベルナシオン」の文字と「BERNACHON」の文字とを二段に横書きしてなり、平成15年12月10日に登録出願、第30類「菓子及びパン」を指定商品として、同16年9月10日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録について取り消す、審判費用は、被請求人の負担とする、との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
(1)請求の理由
請求人の調査したところでは、本件商標は、その指定商品「菓子及びパン」については、本件審判請求前3年以内には、日本国内において商標権者によって使用されている事実は見当たらない。
また、商標登録原簿上に専用使用権者及び通常使用権者の登録もないため、使用権者による使用も考えられず、この点からも、本件商標は不使用の商標である(甲第2号証)。
したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取消されるべきである。
(2)答弁に対する弁駁
(ア)被請求人は、答弁書において、乙第1号証ないし乙第7号証を提出し、商標権者である被請求人とその通常使用権者が、本件商標を、本件審判請求登録日前から、その指定商品「チョコレート」において「広告」し、また「製造・販売」していたと主張している。
しかし、以下に述べるように、上記証拠によっては、本件商標の使用を証明しているとはいえないものである。
(イ)乙第1号証ないし乙第4号証について
被請求人は、乙第1号証ないし乙第4号証により、通常使用権者である株式会社ウブリエが、本件商標を指定商品「チョコレート」について、広告、販売を行っていたと述べている。
しかし、乙第4号証において、「“チョコレート屋さん”のセレクトシリーズ」とあり、「ベルギー産カップ型チョコ」とあるように、他社が製造した各種チョコレートについて、バレンタイン商戦向けに「商品の品揃え」をし、「商品の陳列」を企画提案しているにすぎないものと理解されるものであり、被請求人や株式会社ウブリエ自身が「製造、販売」している「チョコレート」について「広告」するものであるかは明らかではないものである。
従って、乙第4号証のみからは、株式会社ウブリエが、本件商標を指定商品「チョコレート」について、広告、販売を行っていたと認めるには足りないものである。
(ウ)乙第5号証ないし乙第7号証について
まず、被請求人は、乙第5号証の1ないし36において「ユニュウテヅクリセットA」、「ユニュウテヅクリセットB」、乙第7号証において「ユニュウテヅクリセットAとB」が売られていることが示されている旨を述べている。
しかし、これらの売上伝票には、本件商標は表示されておらず、本件商標の使用を証明するものとはならないものである。
また、「ユニュウテヅクリセット」の言葉からも、輸入品の詰め合わせであることが理解できるものであり、被請求人や株式会社ウブリエ自らが「製造、販売」している商品であるとは理解できないものである。
また、被請求人は、乙第6号証の1ないし7について、「2007年度には顧客に送られていたもので、その中から顧客(卸屋や量販店)が選んで、乙第5号証1ないし36や乙第7号証の1ないし6の各売上げが行われていた」と述べている。
しかし、乙第6号証の1ないし7については、その作成者が一切記載されておらず、何者が作成したものか不明のものである。
したがって、乙第6号証の1ないし7は、被請求人や株式会社ウブリエが作成し、顧客に送っていたものとは認められないものである。
また、被請求人は、乙第5号証の1ないし36における「ユニュウテヅクリセットA」、「ユニュウテヅクリセットB」の記載が、乙第6号証の1ないし7における「輸入手作りセットA」、「輸入手作りセットB」のことであると述べており、乙第7号証において「ユニュウテヅクリセットAとB」の記載があるところ、特にその中の乙第7号証の2における「テヅクリセットA-2」は、乙第6号証の1にある「輸入手作りセットA-2」のことであると述べ、各々を関連づけている。
しかし、既に述べたように、乙第6号証の1ないし7は、そもそも被請求人や株式会社ウブリエが作成したものであるとは認められないものである。
したがって、被請求人や株式会社ウブリエが、標章「ベルナシオン」や「BERNACHON」を付したチョコレートを「製造・販売」していることも認められないものである。
さらには、乙第6号証の1に記載されているように、乙第6号証は、「平成19年10月1日現在」の「棚提案」の段階のものであり、「ディスプレイ・またその中の商品は一部変更になる場合がありますので予め御了承下さい。」ということである。
したがって、そもそも乙第5号証1ないし36における「ユニュウテヅクリセットA」、「ユニュウテヅクリセットB」及び乙第7号証の2における「テヅクリセットA-2」に、標章「ベルナシオン」や「BERNACHON」を付した「チョコレート」が含まれているかは明らかではないものである。
(エ)以上、述べてきたように、被請求人が提出した証拠によっては、被請求人やその通常使用権者である株式会社ウブリエが、本件商標を「チョコレート」において、本件審判請求登録日前3年以内に日本国内で「広告」し、また「製造・販売」していたものとは認めることができないものである。

3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第7号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)請求人は、以下の通り主張している。
請求人は、本件商標について、その請求人が調査したところでは、本件登録の指定商品「菓子及びパン」が、本件審判請求の登録前3年以内には、国内において商標権者によって使用されている事実は見当たらない。また、専用使用権者及び通常使用権者の登録もないため、使用権者による使用も考えられず、この点からも本件商標は不使用の商標である。したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取消されるべきである。との主張である。
しかしながら、上記請求人の主張は正当でなく、本件商標は、その請求に係る指定商品のうち「チョコレート」について、商標権者とその商標権について許諾した通常使用者により、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内で使用されていたものである。
(2)まず、本件商標には商標権者と通常使用権者があることは、別紙通常使用権許諾証書(平成19年4月1日付け)(乙第1号証)から明らかである。
(3)つぎに、本件商標(乙第2号証)の通常使用権者の株式会社ウブリエ(乙第3号証)[この会社は、商標権者と同一ビル内にあり、代表取締役を同一人とする、いわゆる関連会社である]は、業界でも有名な菓子・パンの専門誌「製菓製パン」の月刊誌1月号「新商品ガイド」「NEW PRODUCTS GUIDE」p.303の下部に、以下の広告・宣伝をしている(乙第4号証)。
すなわち、同箇所には「“チョコレート屋さん”のセレクトシリーズ」との標題があり、その中に「ベルナシオン/ホワイトチョコ,ベルナシオン/ミルクチョコ,ベルナシオン/ストロベリーチョコ」等が、「いずれも入数は二○×一、店頭販売セット価格は税込みで三万五千七百円。限定セットにつき品切れになる場合もある。」と記載されている。また、商品の写真中にも、中央上部のリボンのところに「BERNACHON/CHOCOLAT」と二段書きされている他に、下方のパッケージにも「Bernachon」や「(マカダミアナッツ・・・入りのミルクチョコ)」との記載がある。
これにより、本件商標は指定商品「チョコレート」について広告、販売を行っていたことが判る。
(4)さらに、商標権者の2008年1月5日の売上伝票(36件)(乙第5号証の1ないし36)には、「66388」(この「66388」は左側が綴られているために一部のコピーが欠けているものがある)のユニュウテヅクリセットA、また「66396」のユニュウテヅクリセットBが税別単価20,400円(平成19年10月1日現在として、この金額は別紙2008年輸入手作りキット3枚(乙第6号証の1ないし7)、バレンタイン棚提案の輸入手作りセットA(A-1セット+A-2セット)における本体価格34,000円の×0.6の卸価である)と、21,600円(これも輸入手作りセットBにおける本体価格36,000円の×0.6の卸価である)が売り上げられている。
また、2008年6月の売上伝票(6件)(乙第7号証)にも、前記ユニュウテヅクリセットAとB(それぞれ27,540円と22,780円等は本体価格34,000円×0.81の卸価の場合や、×0.67の卸価であるといった売却先によって異なる。このような卸価の違いがあることは商慣習である)が売られ、特に、その中の乙第7号証の2の(有)イーストプライドでは「66399」18,900(円)テヅクリセットA-2は乙第6号証の1にある「66399 輸入手作りセットA-2 18,900(円)(消費税含)」のことである。
そして、上記「66399」輸入手作り(ユニュウテヅクリ)セットA-2の商品チョコレート(OBLIER“チョコレート屋さんのスイーツ”シリーズとかベルナシオン ホワイトチョコ等・・・・で表れている)に、標章「ベルナシオン」や「BERNACHON」が付されているものが、2008年1月9日(受注)して2008年1月10日(納品のために発送)した売上伝票により、判る。
なお、上記乙第6号証の1ないし7は、2007年度には顧客に送られていたもので、その中から顧客(卸屋や量販店)が選んで、乙第5号証1ないし36や乙第7号証の1ないし6の各売上げが行われていたものである。そして、これらの「売上伝票」(受注側の控)には「請求書」(顧客側の控)、「仕入伝票」(顧客側の控)、納品書(顧客側の控)がコンピュータにより一綴りになっている。
(5)上記各乙号証からも明らかなように、被請求人やその通常使用権者は、本件商標を「チョコレート」において、本件取消請求の登録前から日本国内で「広告」し、また「製造・販売」していたものであるから、請求人の主張する「使用の事実がない」との主張は当を得たものではなく、したがって本件商標を取り消すべきものとの理由はない。
以上のとおり、本件商標は商標法第50条第1項の規定に該当しない。

4 当審の判断
被請求人は、乙第1号証ないし乙第7号証(枝番号を含む。)を提出し、本件商標は、その請求に係る指定商品のうち「チョコレート」について、商標権者とその商標権について許諾した通常使用権者により、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内で使用されていたものである旨主張している。
そこで、被請求人の提出に係る上記証拠についてみるに、乙第1号証の通常使用権許諾書によれば、商標権者が、代表取締役をする株式会社ウブリエに商品「チョコレート」についての通常使用権を許諾している旨記載されている。
乙第4号証の「製菓製パン」(平成20年1月5日発行)によれば、「NEW PRODUCTS GUIDE」(303頁)の項には、「“チョコレート屋さん”のセレクトシリーズ」との標題の下に「ベルナシオン/ホワイトチョコ、ベルナシオン/ミルクチョコ及びベルナシオン/ストロベリーチョコ」等が、「いずれも入数は二○×一、店頭販売セット価格は税込みで三万五千七百円。限定セットにつき品切れになる場合もある。」と記載されている。
また、商品の写真中にも、中央上部のリボンのところに「BERNACHON/CHOCOLAT」と二段書きされている他に、下方のパッケージにも「Bernachon」との記載がある。
さらに、その商品の販売者として、本件商標に関する通常使用権者と認められる株式会社ウブリエの記載がある。
そして、上記商品が限定セットであるとしても、このような商品についての商標の使用が、商標法に規定する商標の使用に当たらないということはできない。また、その限定セット中に含まれる商品「チョコレート」(以下「使用商品」という。)は、本件商標の指定商品の範疇に属する商品と認められ、「ベルナシオン/ホワイトチョコ、ベルナシオン/ミルクチョコ及びベルナシオン/ストロベリーチョコ」中の「ベルナシオン」の文字部分よりは、本件商標と社会通念上同一の商標が表示されているものとみるのが相当である。
乙第5号証の4、5、7、10、32及び36の被請求人の各売上伝票(売上伝票のうち商品コードである「66388」が明確に記載されているもの)によれば、商品コード欄に「66388」、品名欄に「35700ユニュウテヅクリセットA」といずれも記載されている。
そして、上記乙第5号証の商品コード欄の「66388」は、乙第6号証の1の「2008年 輸入手作りキット バレンタイン 棚提案」(平成19年10月1日現在)及び乙第6号証の5の「2008年輸入手作りセットA(A-1+A-2)」に記載されている商品コード欄の「66388」とそれぞれ一致する。
また、上記乙第5号証の品名欄の「35700ユニュウテヅクリセットA」は、同様に乙第6号証の1の商品名欄の「輸入手作りセットA(A-1セット+A-2セット)」と「輸入手作りセット」であるという内容がいずれも一致し、しかも、乙第6号証の5の写真と上記乙第4号証の使用商品の写真の一部とが一致することから、乙第5号証の4、5、7、10、32及び36の品名欄の「35700ユニュウテヅクリセットA」及び乙第6号証の1及び乙第6号証の5の商品名欄の「輸入手作りセットA(A-1セット+A-2セット)」と使用商品とは同一のものといわざるを得ない。
また、乙第4号証は、平成20年1月5日に発行されたもの、乙第5号証は、いずれも2008年1月5日付けのもの及び乙第6号証の1は、平成19年10月1日現在のものであるから、使用商品は、本件審判の請求の登録前3年以内に取引されたものと認められる。
してみれば、本件商標は、被請求人が提出した証拠からは、相互の関連性が十分に看て取れるものであるから、これらを総合勘案すれば、被請求人及び通常使用権者により、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、継続して本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、その指定商品中使用商品について使用していたものといわなければならない。
なお、請求人は、「被請求人が提出した証拠によっては、被請求人やその通常使用権者が、本件商標を『チョコレート』において、本件審判請求登録日前3年以内に日本国内で『広告』し、また『製造・販売』していたものとは認めることができない」旨主張しているが、本件については、上記認定のとおりであるから、この点に関する請求人の主張は採用の限りでない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきではない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2009-03-11 
結審通知日 2009-03-13 
審決日 2009-03-24 
出願番号 商願2003-109691(T2003-109691) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Y30)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 藤平 良二 
特許庁審判長 渡邉 健司
特許庁審判官 井出 英一郎
鈴木 修
登録日 2004-09-10 
登録番号 商標登録第4802393号(T4802393) 
商標の称呼 ベルナシオン、バーナション、バーナチョン 
代理人 小出 俊實 
代理人 酒井 一 
代理人 鈴江 武彦 
代理人 吉田 親司 
代理人 潮崎 宗 
代理人 橋本 良樹 
代理人 蔵田 昌俊 
代理人 石川 義雄 
代理人 蔵合 正博 
代理人 河野 哲 
代理人 幡 茂良 

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