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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X03
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X03
管理番号 1202047 
審判番号 不服2008-28975 
総通号数 117 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-09-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-11-13 
確定日 2009-07-30 
事件の表示 商願2008- 11914拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「REAL ORGANIC」の欧文字と「リアルオーガニック」の片仮名文字を2段に横書きしてなり、第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類」を指定商品として、平成20年2月20日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『REAL ORGANIC』及び『リアルオーガニック』の文字を2段に書してなるところ、近時、厳格な基準に基づいた有機農法によって生産された原材料を使用し、人工的な原材料を使用せずに商品を生産することを『リアルオーガニック』と称し、そのような方法により生産されたシャンプーや化粧品が販売されている事実が見受けられる。そうすると、本願商標は、指定商品との関係において『本物の有機栽培によるもの』程度の意味合いを看取させるから、これをその指定商品中『有機農法によって生産された原材料からなるせっけん類・歯磨き・化粧品・香料類』に使用するときは、単に商品の品質、原材料、(原材料の)生産の方法を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、次の事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づく通知を行った。

本願商標は、「REAL ORGANIC」の欧文字と「リアルオーガニック」の片仮名文字とを上下2段に横書きしてなるところ、これを構成する「REAL」及び「リアル」の文字は「本物の」等の意味を有し、「ORGANIC」及び「オーガニック」の文字は、「有機栽培の」等の意味を有する語として、それぞれ広く一般に親しまれた語であるから、本願商標は、全体として「本物の有機栽培」程の意味合いを極めて容易に理解、認識させるものである。
そして、「リアルオーガニック」の文字に関して行った職権による証拠調べによれば、以下の事実が認められるので、本願商標をその指定商品「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「本物の有機栽培による原材料で作られたせっけん類・歯磨き・化粧品・香料類」であること、すなわち、商品の品質、原材料を表示したものと理解するにとどまり、自他商品の識別標識とは認識し得ないものといわざるを得ず、かつ、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものというべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものである。

原審において提示した証拠に加えて、「リアルオーガニック」の文字が、「本物の有機栽培」ほどの意味合いをもって、化粧品、シャンプー等に使用されている事実。
(1)「ケンコーコム」のウェブサイトにおいて、「AGRONATURAとは」の見出しの下に「Agronaturaは、日本との共同開発によって生まれたイタリアのリアルオーガニックコスメです。イタリアの豊かな大地と大らかな心。日本の美意識ときめ細かい感受性。両者がタッグを組んで、現代のための化粧品について考察を重ねた末に出した結論は、どこまでもオーガニックを追求した製品でした。こだわりは、バイオダイナミック農法をはじめとする有機栽培原料を自らの手で畑から育てていること。そして、土壌づくりから製品化まで、プロセスのひとつひとつに心を込めて取り組んでいることです。自然環境保護と社会貢献を行うAgronatura Association(アグロナチュラ・アソシエーション)協会員の農家で、Agronaturaの製品は原料から生産されています。有機栽培植物由来にこだわり原料を吟味し、その特性を十分に生かすために、合成の着色料・香料・保存料、石油由来・動物由来成分は使用しません。その信念は、すべての製品における欧州有機認定の取得にも現れています。」との記載がある。(http://www.kenko.com/ss/agronatura/ag_index.html)
(2)「ウーマンエキサイト」のウェブサイトにおいて、「イデアインターナショナルより待望のリアルオーガニックブランド」の見出しの下に「ヘア、ボディ、ハンドなど、ボディケアを中心に展開するBioristaは、同社が展開するオーガニックハーブをテーマにした「Agronatura(アグロナチュラ)」と同様、100%Made in Italyのオーガニック原料を用いている。原料となる野菜と果物はすべて北イタリア・ピエモンテ州の広大な畑で“バイオダイナミック農法”により丹念に育てられた100%オーガニック素材。食用としても十分贅沢な原料をたっぷり封じ込めた製品はいずれも、太陽の恵みたっぷりのフレッシュな香りと使用感が楽しめる。」(http://woman.excite.co.jp/beauty/topics/rid_932/)
(3)「ヘラクレス (株)イデアインターナショナル」のウェブサイトにおいて、「どのようなブランド展開をされているのでしょう。」の見出しの下に「・・・以上の5つがインテリア雑貨のブランドで、残る『Agronatura』と『Biorista』ではリアルオーガニックコスメ(有機栽培の植物成分を主原料とした化粧品)を展開しています。」との記載がある。(http://qweb1-1.qhit.net/hercules/qsearch.exe?F=jp%2Fiporeport&QCODE=3140%2FNG)
(4)「エル・オンライン」のウェブサイトにおいて、「女子力を呼び覚ます、リアル・オーガニックのローズパワー」の見出しの下に「この『ローズ シア ボタニカル』のアイテムには、ケミカルな要素はほとんど配合されておらず、まぎれもなく本物の天然由来成分で作られていることが肌で感じられる。このシリーズを作るために、Hirokoさんは何年にも渡ってフランスに足を運び、原料を自ら厳選。畑を歩き、栽培者やオイルの作り手を訪ね、質の優れたオーガニック原料を探し出した。自分の目と鼻で確かめたものしか使用しないこだわりは、工場での製造段階にも及び、最後まで妥協を許さない製品づくりを貫いた」との記載がある。(http://www.elle.co.jp/beauty/pick/hiroko.k09_0223)
(5)「楽天市場 森のよろずや」のウェブサイトにおいて、「リアルオーガニック化粧品」の見出しの下に「弊社が提唱する化粧品のレベル レベル1から高位なレベルへ、不要な原料を抜いていき本当に皆にやさしい化粧品を提供したいと考えています。レベル6 リアルオーガニック化粧品 無農薬証明がない・栽培履歴がない植物原料を含まない。(中国産など・・・)」との記載がある。(http://www.rakuten.co.jp/s-yorozu/1956832/)
(6)「MYLOHAS」のウェブサイトにおいて、「身体と地球を美しく整える“リアルオーガニックコスメティクス”」の見出しの下に「世界各国の最高品質のハーブ、オイル、エッセンシャルオイルなどの数十種類にも及ぶ植物成分が持つ“肌本来の美しさを引き出す本来の力によって、清潔に保ち、水分を補い、整える。”という機能性に着目。加えて、常に石油系化学薬品、パラベン類等の合成保存料を一切使わない製品作りをしています。」との記載がある。(http://www.mylohas.net/blog/archives/2007/06/special0607-22.php)
(7)「もったいない屋」のウェブサイトにおいて、「健康と環境に配慮したリアルオーガニックのベビーふとん用カバーリングです」の見出しの下に「製品総重量の95%以上がオーガニックを使用。残りの5%未満(縫糸や品質表示ラベル等)についても安全性の確認済。全て原材料、加工剤の製品安全データシートで生物や環境への有害性をチェックし、安全性のあるものだけを使用した製品です。」との記載がある。(http://www.mottainaiya.jp/shopdetail/022008000004/order/)
(8)「健康美容EXP」のウェブサイトにおいて、「■リアルオーガニック」の見出しの下に「ヒポポタマスのタオルは、すべてスイスの商品安全テスト機関Oeko-TexStandard 100(エコテックス規格100)の中で最も基準が厳しいクラス1(幼児が口に入れても安全)の認定を受けています。安心安全でありながら、遊び心でカラダを包むタオルです」との記載がある。(http://www.e-expo.net/release/2009/01/post_266.html)
(9)「オルタナパーソン」のウェブサイトにおいて、「日本の消費者にもっとオーガニックを買ってもらうためにはどんな努力が必要でしょうか」の見出しの下に「オーガニック農産物、特に『リアルオーガニック』をもっと理解してもらう必要がありますね。リアルオーガニックとは、有機JASのマークがなくても、農薬や有機表を使っていない農産物のことです。認証がなくても、無農薬・無化学肥料の良品はたくさんあります。」との記載がある。(http://www.alterna.co.jp/person/person003.html)
(10)「農業生産法人 黒富士農場」のウェブサイトにおいて、「リアルオーガニック卵について」の見出しの下に「黒富士農場では、3年間、無農薬・無化学肥料で有機栽培された飼料供与と厳しい基準による審査に合格した『リアルオーガニック卵』を販売しております。」との記載がある。(http://www.kurofuji.com/nojyo/nojyo-noho.htm)

第4 職権証拠調べに対する意見の要点
請求人は、「『リアルオーガニック』の文字が、化粧品やシャンプーについて使用されていることは認められるが、それらの使用はわずか4社にしかすぎないものであり、『リアルオーガニック』の文字が、『本物の有機栽培』程の意味合いをもって、取引上普通に用いられているとまでは到底認められない。さらに、『リアルオーガニック』の文字が、本願の指定商品以外の『ふとん用カバーリング』、『タオル』、『農産物』、『卵』に使用されているが、この程度の証拠からも、『リアルオーガニック』の文字が、『本物の有機栽培』程の意味合いを極めて容易に理解、認識させるものとは認められない。」旨述べている。

第5 当審の判断
本願商標は、前記1のとおり、「REAL ORGANIC」の欧文字と「リアルオーガニック」の片仮名文字を2段に横書きしてなるところ、その構成中の「REAL」及び「リアル」の文字は、「本当の、本物の」の意味を有し、また、「ORGANIC」及び「オーガニック」の文字は、「有機の、有機栽培の、有機肥料を用いる」等の意味を有する語(いずれも「ランダムハウス英和大辞典 株式会社小学館」)として、広く一般に使用されているものである。
そうすると、「REAL ORGANIC」及び「リアルオーガニック」」の文字よりなる本願商標は、全体として「本物の有機栽培」程の意味合いを極めて容易に理解、認識させるものである。
ところで、近時、肌に優しく、安全性にも配慮した合成の着色料・香料・保存料、石油由来・動物由来成分を使用しない、無農薬・有機栽培の植物成分を主原料とした化粧品、シャンプー、洗顔ソープ等が製造・販売されていることは、前記第3の証拠調べ通知に記載の事実より窺い知ることができる。
してみれば、これを本願の指定商品「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「本物の有機栽培による原材料で作られたせっけん類・歯磨き・化粧品・香料類」であること、すなわち、商品の品質、原材料を表示したものと理解するにとどまり、自他商品の識別標識としては認識し得ないものであり、かつ、これを前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものというのが相当である。
なお、請求人は、上記第4において、「リアルオーガニック」の文字の使用例はわずかにすぎず、これらが「本物の有機栽培」程の意味合いで、取引上普通に用いられているとまではいえない旨述べているが、「商標法第3条第1項第3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである(平成12年(行ケ)第76号 東京高裁平成12年9月4日判決言渡 参照)」から、たとえ、「REAL ORGANIC」及び「リアルオーガニック」の文字が、その指定商品を取り扱う業界において、商品の品質、原材料を表示するものとして一般に使用されているとまではいえないとしても、本願商標が商品の品質、原材料を表示するものであるとすることの妨げにはならないものである。
さらに、請求人は、過去の登録例を挙げ、本願商標も同様に登録されるべきである旨主張するが、登録出願された商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるかどうかの判断は、当該商標の構成態様と指定商品に基づいて、個別具体的に判断されるものであって、他の登録例の存在によって、上記判断が左右されるものではなく、本願については前記のとおり判断するのが相当であるから、この点についての請求人の主張も採用することができない。
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、これを登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2009-06-01 
結審通知日 2009-06-02 
審決日 2009-06-16 
出願番号 商願2008-11914(T2008-11914) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X03)
T 1 8・ 272- Z (X03)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大塚 順子 
特許庁審判長 渡邉 健司
特許庁審判官 平澤 芳行
杉山 和江
商標の称呼 リアルオーガニック 
代理人 森 厚夫 
代理人 西川 惠清 

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