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審決分類 |
審判 査定不服 商品(役務)の類否 登録しない Y09 |
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管理番号 | 1200558 |
審判番号 | 不服2007-8568 |
総通号数 | 116 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2009-08-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2007-03-23 |
確定日 | 2009-07-13 |
事件の表示 | 商願2006-12069拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、「Laser Eye」の欧文字を標準文字で表してなり、第9類「光照射型混入異物検査装置」を指定商品として、平成18年2月13日に登録出願され、その後、指定商品については、当審における同19年3月23日付け手続補正書により、第9類「レーザー光照射型混入異物検査装置」に補正されたものである。 2 当審における拒絶理由 当審において、本願商標を商標法第4条第1項第11号に該当するとして、その新たな拒絶の理由に引用した登録第4930819号商標(以下「引用商標」という。)は、「レーザーアイ」の片仮名文字と「LASER EYE」の欧文字とを上下二段に横書きしてなり、平成17年7月7日に登録出願、第11類「便所ユニット,浴室ユニット,乾燥装置,換熱器,蒸煮装置,蒸発装置,蒸留装置,熱交換器,牛乳殺菌機,工業用炉,原子炉,飼料乾燥装置,ボイラー,暖冷房装置,冷凍機械器具,業務用衣類乾燥機,美容院用又は理髪店用の機械器具(いすを除く。),業務用加熱調理機械器具,業務用食器乾燥機,業務用食器消毒器,水道用栓,タンク用水位制御弁,パイプライン用栓,汚水浄化槽,し尿処理槽,ごみ焼却炉,太陽熱利用温水器,浄水装置,自転車用ライト,その他の電球類及び照明用器具,家庭用電熱用品類,水道蛇口用座金,水道蛇口用ワッシャー,ガス湯沸かし器,加熱器,調理台,流し台,アイスボックス,氷冷蔵庫,家庭用浄水器,浴槽類,あんどん,ちょうちん,ガスランプ,石油ランプ,ほや,あんか,かいろ,かいろ灰,湯たんぽ,洗浄機能付き便座,洗面所用消毒剤ディスペンサー,便器,和式便器用いす,家庭用汚水浄化槽,家庭用し尿処理槽,化学物質を充てんした保温保冷具,火鉢類」を指定商品として、同18年2月24日に設定登録され、現に有効に存続するものである。 3 当審における拒絶理由に対する請求人の意見(要旨) 本願商標自体は、引用商標と同一又は類似とされてもやむを得ないが、本願商標に係る指定商品は、引用商標と同一又は類似の商品について使用するものではない。 すなわち、引用商標に係る指定商品「牛乳殺菌機」が対象とする「牛乳」は、その流通に際し、安全性確保のため食品衛生法で所定の条件での殺菌処理が義務付けられていることから、牛乳の生産加工業者はその業務を開始する際、あるいは定期的に生産装置の必須の装置として、「牛乳殺菌機」を購入もしくは更新しなければならない。 他方、本願商標の指定商品「レーザー光照射型混入異物検査装置」は、食品等の製造または加工の工程で必ず必要になる装置ではなく、製造加工業者の任意選択に委ねられている。そして、本願に係る指定商品は、「牛乳」という商品を製造・加工する場合に設置されることはない。 以上のことから、本願商標の指定商品と引用商標の指定商品に含まれる「牛乳殺菌機」とは、その性格を異にし、これらの商品の流通経路が共通になることは考えられず、また、本願に係る指定商品は検査対象となる品物が食品であることを前提としたものではなく、その性質を全く異にしている。 4 当審の判断 (1)本願商標と引用商標の類否について 本願商標は、前記1のとおり、「Laser Eye」の欧文字を横書きしてなるところ、外観上まとまりよく一体に構成されているものであって、これより生ずると認められる「レーザーアイ」の称呼もよどみなく一気一連に称呼できるものであり、また、親しまれた特定の観念を有しない造語と認められる。 他方、引用商標は、前記2のとおり、「レーザーアイ」の片仮名文字と「LASER EYE」の欧文字とを二段に横書きしてなるところ、その構成中の「レーザーアイ」の文字は、「LASER EYE」の欧文字から生ずる読みを特定したものと無理なく認められることから、その構成文字に相応して「レーザーアイ」の称呼が生じ、また、特定の観念を有しない造語と認められる。 そうすると、本願商標と引用商標とは、観念においては比較することができないものの、その称呼を共通にするものであり、かつ、外観においても欧文字の綴りを同一にする点において近似した印象を与えるものである。 したがって、本願商標と引用商標とは、称呼を共通にし、また、外観においても相紛らわしい類似する商標と認められるものであり、この点は、平成20年9月27日付け意見書において、請求人も認めるところである。 (2)本願商標の指定商品と引用商標の指定商品との類否について 原審において請求人が平成18年9月29日付けで提出した意見書によれば、補正前の指定商品「光照射型混入異物検査装置」は、「各種レーザーによる透過、反射、散乱並びに蛍光特性の違いを利用して食品中に混入したビニール片、プラスチック片、虫や毛髪等の異物を検出する異物検査装置」と記載されており、また、同19年3月23日付けの提出の手続補正書において補正した指定商品「レーザー光照射型混入異物検査装置」は、同日付けの審判請求書によれば、「この装置が市場に販売投入された場合でも、用途は上記のようにかなり制限されたものであり、製品中に含まれる異物に特に神経質な食品製造業界の最終検査工程での使用等に限定される。」旨記載されている。 他方、平成20年9月27日付け請求人提出の意見書によれば、「本願に係る指定商品は検査対象となる物品が食品であることを前提としたものではなく、この装置を必要とする業界が現時点ではたまたま食品業界であるという事情に基づいたものである」旨記載されている。 これらの記載によれば、本願に係る指定商品「レーザー光照射型混入異物検査装置」は、検査対象物が必ずしも食品に限定されたものではないとしても、その主たる用途からすれば、主として、食品の製造・加工において用いられる、レーザー光を利用した異物検出装置といい得るものである。 他方、引用商標の指定商品に含まれる「牛乳殺菌機」は、「生乳」に含まれる雑菌などを加熱により、ほぼ死滅させる機械であり、牛乳の生産に用いられる製造・加工用機械といい得るものである。 ここで、指定商品の類否の判断については、最高裁判所の判決では、「指定商品が類似のものであるかどうかは・・・商品自体が取引上誤認混同の虞があるかどうかにより判定すべきものではなく、それらの商品が通常同一営業主により製造又は販売されている等の事情により、それらの商品に同一又は類似の商標を使用するときは同一営業主の製造又は販売にかかる商品と誤認される虞があると認められる関係にある場合には、たとえ、商品自体が互いに誤認混同を生ずる虞がないものであっても、それらの商標は商標法・・・にいう類似の商品にあたると解するのが相当である。」(昭和33年(オ)第1104号判決 昭和36年6月27日判決言渡)とされ、さらに「商品の類否の判断は、取引の実情、即ち商品の生産部門、販売部門、原材料及び品質、用途、需要者の範囲が一致するかどうか、完成品と部品の関係にあるかどうか等を総合的に判断すべき」(東京高平成7年(行ケ)第161号判決 平成8年3月21日判決言渡)と解されているところである。 そこでこの観点から、本願に係る指定商品である、「レーザー光照射型混入異物検査装置」と、引用商標の指定商品に含まれる「牛乳殺菌機」とを比較するに、「レーザー光照射型混入異物検査装置」は異物の検出手法をレーザー光照射とするものであるが、主たる機能は「食品に含まれる異物を検出」するものであることから、事業者が、食品の製造・加工過程において、異物の混入を防ぐなどその食品の安全性を確保するために設置する点において、両者はその目的及び用途を共通にするものであり、またその対象とする物品が異なるとしても、食品の製造・加工における食品の安全性確保という点において、その主たる機能を同一にするものである。 そして、このような食品の製造・加工における食品の安全性を確保するための機械装置は、食品の製造・加工機械メーカーが主に取り扱っているのが実情であり、食品に含まれる異物を検出する装置である「レーザー光照射型混入異物検査装置」が、食品の製造・加工機械メーカーから離れて独自に他の分野のメーカーのみにより製造されるものとはいえず、この点において、牛乳の製造・加工に用いられる「牛乳殺菌機」とは、生産・販売・用途等において密接な関連を有するものといわざるを得ない。 また、前記のように同一の業者によって販売されている事実があること等を考慮すれば、「レーザー光照射型混入異物検査装置」と「牛乳殺菌機」とは、需要者は、主として食品製造・加工企業であることから、需要者を共通にすることが多いといえる。 してみれば、引用商標と称呼を共通にし、外観においても近似する本願商標を、その指定商品である「レーザー光照射型混入異物検査装置」に使用するときは、引用商標の指定商品に含まれる「牛乳殺菌機」の製造者が、「レーザー光照射型混入異物検査装置」を製造、販売しているか、又は取り扱っているかのような印象を取引者、需要者に与え、商品の出所を混同させるおそれがあることは明らかであるから、両者は類似する商品というべきものである。 (3)請求人主張について 請求人は、引用商標の指定商品に含まれる「牛乳殺菌機」は「牛乳」という生鮮飲料の処理加工工程にのみ用いられ、かつ、必須の極めて特殊な用途に限定された処理装置であるため、限られた独自の流通経路が形成されているのに対し、本願の指定商品「レーザー光照射型混入異物検査装置」は、謂わば商品の究極の安全性を求める場合に必要となる処理装置であり、両者の性格が全く異なることから、流通経路が共通になることはない旨主張する。 さらに、本願に係る指定商品が、「牛乳」を製造・加工する場合に設置されることはなく、したがって、本願指定商品と引用商標の指定商品である「牛乳殺菌機」とは、その機能や需要者の認識及びそれらの流通経路を考慮しても全く異なる商品である旨主張する。 しかしながら、商品の類否に関しては、両商品が互いに品質・形状・用途を異にするものであっても、それに同一または類似の商標を使用すれば同一営業主の製造または販売にかかる商品と誤認混同されるおそれがある場合には、類似の商品にあたる(最高裁判所昭和39年(行ツ)第54号判決 昭和43年11月15日判決言渡)と解すべきであって、請求人が主張するような専ら商品の属性で判断すべきものではなく、出所の混同という観点に立って判断するものである。 そうとすれば、本願商標の指定商品「レーザー光照射型混入異物検査装置」と引用商標の指定商品中「牛乳殺菌機」とは、上記認定のとおり、その商品の出所について混同するおそれのある、互いに類似する商品と判断するのが相当であるから、請求人の主張は採用の限りでない。 (4)むすび 以上のとおり、本願商標と引用商標とは、観念は比較できないにしても、なお、「レーザーアイ」の称呼を共通にし、外観においても近似した印象を与える類似の商標というべきであり、かつ、本願商標の指定商品は引用商標 の指定商品に含まれる「牛乳殺菌機」と類似するものであるから、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することはできない。 したがって、本願商標は、この拒絶理由によって拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審理終結日 | 2008-11-14 |
結審通知日 | 2008-11-21 |
審決日 | 2008-12-03 |
出願番号 | 商願2006-12069(T2006-12069) |
審決分類 |
T
1
8・
264-
Z
(Y09)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 熊谷 道夫 |
特許庁審判長 |
石田 清 |
特許庁審判官 |
木村 一弘 末武 久佳 |
商標の称呼 | レーザーアイ、アイ、イイワイイイ |
代理人 | 山田 英穂 |