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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服200813097 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X29
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X29
審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない X29
管理番号 1200556 
審判番号 不服2008-23360 
総通号数 116 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-08-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-09-11 
確定日 2009-07-09 
事件の表示 商願2008-31164拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第29類「豚軟骨エキス・松樹皮エキス末・松かさエキス末・ぶどう種子エキス末・グレープシードオイル・ローズヒップ・ほうれん草・ビタミンE含有植物油・ローヤルゼリー・プラセンタエキス・ビタミンB1・ビタミンB2・ビタミンB6・ビタミンB12又はビタミンCを主成分とした粒状・顆粒状・液状・錠剤状・粉末状・カプセル状又は軟カプセル状の加工食品,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実」を指定商品として、平成20年4月21日に登録出願され、その後、指定商品については、原審における同年7月30日付け手続補正書により、第29類「豚軟骨エキス・松樹皮エキス末・松かさエキス末・ぶどう種子エキス末・グレープシードオイル・ローズヒップ・ほうれん草・ビタミンE含有植物油・ローヤルゼリー・プラセンタエキス・ビタミンB1・ビタミンB2・ビタミンB6・ビタミンB12又はビタミンCを主成分とした粒状・顆粒状・液状・錠剤状・粉末状・カプセル状又は軟カプセル状の加工食品」に補正されたものである。

第2 原査定の拒絶理由
原査定は、「本願商標は、何ら識別性を有しない赤色を背景に、『PLACENTA100』の語よりなり、その構成中には『胎盤』を意味する『PLACENTA』と、商品の記号・符号として一般に用いられる数字の類型である『100』の文字が一連に表されている。しかして、食品を扱う分野における『胎盤』は、それから抽出した成長因子などを意味し、これは、抹消血行促進作用・細胞賦活作用・抗疲労効果・発育促進・造血機能の活性化その他の効用が認められている(例えば、http://qt82.com/)。そうすると、これを、本願指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者は、前記効用がある商品であることを直観するに止まり、これは、単に商品の品質・効能を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審における証拠調べ通知の要点
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権により証拠調べをした結果、下記の事実を発見したので、平成21年1月20日付けの証拠調べ通知書により、請求人に対し、商標法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づく通知を行い、意見を求めた。

1 本願商標を構成する「PLACENTA100」の文字に関して、書籍、新聞記事及びインターネット上のウェブページの検索結果によれば、次の事実が認められる。
(1)ランダムハウス英和大辞典(第2版。株式会社小学館発行)には、「placenta」として「胎盤」との記載がある。また、コンサイスカタカナ語辞典(第3版。株式会社三省堂発行)には、「プラセンタ〔placenta〕」として「胎盤。また,その抽出物。肝機能障害の治療に用いられるほか,美容にも効果があるとされている。」等の記載がある。
(2)2005年9月14日付けFujiSankei Business i. 16ページには、「【サロン】コレコ・高橋節子社長 美と健康キーワードに癒し施設づくり」の表題の下、「特に豚の胎盤から抽出した『プラセンタエキス』を100%使った美容液は、加齢により衰えた肌機能を復活させると好評を得ている。」との記載がある。
(3)2006年11月30日付けFujiSankei Business i. 14ページには、「【新商品 プレゼント】銀座・トマトから美容食品」の表題の下、「スイスで生産されたライ麦の胎座から抽出したプラセンタエキスを、5粒あたり原液換算で700ミリグラム含有。」との記載がある。
(4)2007年10月4日付けFujiSankei Business i. 19ページには、「【新商品】サプリメント『プラセンタ 100』」の表題の下、「1粒(580ミリグラム)にプラセンタを100%の高濃度で180ミリグラム配合。」との記載がある。
(5)2008年10月27日付け化学工業日報 9ページには、「岩瀬コスファ、馬プラセンタエキス販売に参入、三共理化から導入」の表題の下、「純度100%の凍結乾燥(フリーズドライ)粉末品。」及び「健康食品用の『馬プラセンタFD100』は、サラブレッドの胎盤から独自の製法で抽出したエキスをフリーズドライにして純度100%の粉末品にした。」との記載がある。
(6)2008年12月11日付けFujiSankei Businessi. 18ページには、「【新商品】美容ドリンク『ライプラセンタ』」の表題の下、「ライ麦から抽出した植物性100%のプラセンタを主成分に使い、安全性を高めた。」との記載がある。
(7)株式会社グラント・イー ワンズのウェブページ中、「コーディアル・グラント・シリーズ(栄養補助食品)」(http://www.grant-e-ones.jp/cordial_placenta.html)には、「商品名:グラントプラセンタ100」との記載があり、画像中には「プラセンタ100%原液」との記載がある。
(8)株式会社ケーフーライクのウェブページ中、「SPF PLACENTA 100『エスピーエフプラセンタ100』」(http://shop.yumetenpo.jp/goods/d/kwholike.co.jp/g/F_02/index.shtml)には、画像中に「PLACENTA 100」との記載がある。
2 本願商標の指定商品を含む食品を取り扱う業界において、商品の包装(ラベル、箱、袋等)に、赤色で塗りつぶされたもの(包装上の図形を塗りつぶしたものを含む。自他商品の識別力を有しないと認められるもの。)を使用している事実について、インターネット上のウェブページの検索結果によれば、次の事実が認められる。
(1)株式会社協和のウェブページ「協和ショップ.com」中、「プラビタ1000」(http://www.kyowashop.com/index.php/module/ShohinShosai/action/ShohinShosai/sno/358)には、「内容成分」として「プラセンタエキス濃縮粉末(豚)」との記載があり、画像部分には、文字部分を除き赤色で塗りつぶされたラベルが貼付された瓶及び赤色地の箱がある。
(2)株式会社グレファス化粧品のウェブページ中、「グレファスGIO・GIOα 製品詳細」(http://www.grefas.co.jp/placenta/commodity/gio/index.html)には、「グレファスジオアルファ」の商品画像として、文字部分を除いたラベル部分が赤色で塗りつぶされたビンの画像がある。
(3)楽天市場のウェブページ中、有限会社イーシー・コミュニケーションズが運営する「イーエステshop」には、「イディット(iedite),TVショッピングで大人気!」(http://www.rakuten.co.jp/kirei/896014/)として、一部に黒塗りと、白色の帯状の模様があるものの、これらと文字の記載を除くと大部分を赤色で塗りつぶしたパッケージの画像がある。
(4)株式会社セシールのウェブページ中、「リアルインパクトビューティープラセンタ」(http://www.cecile.co.jp/detail/1/BTSP1C000004/)には、「Bレギュラー90球」として、カプセルのシートと箱の画像があり、該箱の上面は文字部分を除き赤色で塗りつぶされており、「Cレギュラー2箱セット」として、文字部分を除き上面部が赤色で塗りつぶされた箱の画像がある。また、「プラ・オーシャン」(http://www.cecile.co.jp/detail/1/BTSP1B000014/)には、文字の部分及び模様を除き赤色で塗りつぶされた箱の画像がある。
(5)株式会社スノーヴァのウェブページ中、「飲むプラセンタサプリメント:プレミアムプラセンタ」(http://www.snova.ne.jp/premium/)には、上面及び正面の一部に、白抜き文字部分を除き赤色で塗りつぶされた四角形を描いてなる箱の画像がある。
(6)ドクタープログラム株式会社のウェブページ中、「ピュア プラセンタ カプセルW」(http://www.trinityline.com/shopping/supliment/ppc/)には、文字部分を除き赤色で塗りつぶされた箱の画像がある。
(7)株式会社ファインのウェブページ中、「ファイン アミノプラセンタ&DNA」(http://www.fine-fine-fine.net/shopdetail/003000000028/order/)には、文字部分を除き赤色で塗りつぶされた箱の画像がある。

第4 証拠調べ通知に対する請求人の意見の要点
本願商標に関して、「PLACENTA100」という成分を表示するものと、「赤色」という色彩については、もともと識別力が認められないかもしれない。しかしながら、請求人は、「PLACENTA100」と赤色の色彩との組み合わせで使用し続けた結果、本願商標が識別力を獲得したものと考えられる旨主張し、当審において、さきに提出した証拠(甲第1号証ないし甲第6号証)に加え、甲第7号証及び甲第8号証を提出している。

第5 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について
本願商標は、別掲のとおり、赤く塗りつぶされた矩形内に、中央部より少し下部に「PLACENTA100」の文字を黄色で横書きしてなるものである。
ところで、上記第3の証拠調べ通知に記載の事実中、1(1)によれば、「PLACENTA」の欧文字は、「胎盤」又は「胎盤の抽出物」を意味する語であることが認められ、また、同1(4)、(5)及び(7)によれば、「胎盤」又は「胎盤の抽出物」を使用した加工食品(いわゆる健康食品、栄養食品、サプリメント等)に、「PLACENTA」の文字又はその表音と認められる「プラセンタ」の文字が使用されていることが、それぞれ認められる。
そうすると、本願商標の構成中「PLACENTA」の文字部分は、その指定商品との関係から、加工食品(いわゆる健康食品、栄養食品、サプリメント等)の原材料を表示したものということができる。
また、「100」の数字は、上記第3の証拠調べ通知に記載の事実中、1(4)、(5)及び(7)によれば、本願指定商品の原材料名である「プラセンタ」の文字と、「100」の数字とを併記した場合に、各種プラセンタを原材料として使用した商品におけるプラセンタの純度や濃度が100パーセントであることを指すものとして使用されていることが認められる。
そうとすれば、本願商標の構成中「100」の数字は、加工食品(いわゆる健康食品、栄養食品、サプリメント等)に使用したときには、当該商品の原材料の純度や濃度が100パーセントであることを理解させるにとどまるというべきである。
なお、このことは、以下の(1)ないし(5)に示すところの、本願指定商品の属する加工食品の分野における商品に関するインターネットのウェブページの記載からも、十分に裏付けられるところである。
(1)ケンコーコム株式会社が運営するケンコーコム健康メガショップのウェブページ中、「ラフィノース100」(http://www.kenko.com/product/item/itm_8210050072.html)には、「ラフィノースは、他のオリゴ糖には見られない、純度100%の天然オリゴ糖です。」との記載、及び商品のパッケージ画像中に「100」の記載がある。
(2)ケンコーコム株式会社が運営するケンコーコム健康メガショップのウェブページ中、「ニッピ コラーゲン100」(http://www.kenko.com/product/item/itm_7821734072.html)には、「『ニッピ コラーゲン100』は、高品質な天然コラーゲン100%を摂取しやすい粉末に仕上げたコラーゲン食品です。」との記載、及び商品のパッケージ画像中に「100」の記載がある。
(3)オリヒロ株式会社のウェブページ中、「製品カタログ 栄養補助食品 スピルリナ」(http://health.orihiro.com/htmls/60201038.html)には、「原材料名:スピルリナ原末100%」との記載及び商品のパッケージ画像中に「100」の記載がある。
(4)株式会社ドームのウェブページ中、「プロテインホエイ100」(http://www.domeshoppingzone.com/dns/html/item/001/001/item69.html)には、「プロテインの王様“ホエイ”100%配合」との記載、及び商品のパッケージ画像中に「100」の記載がある。
(5)株式会社アビオスのウェブページ中、「アサイー100」(http://www.acai.co.jp/shopping/acai100.html)には、「無添加のアサイーベリーを、100%フリーズドライにし、そのパウダーを摂取しやすいサイズのカプセルに詰めました。」及び「アサイー100%のフリーズドライパウダーで作られたアサイー100。」との記載並びに商品のパッケージ画像中に「100」の記載がある。
以上のことから、本願商標を構成する「PLACENTA100」の文字部分については、「純度又は濃度が100パーセントのプラセンタを原材料としてして使用する商品」であることを理解、認識させるにとどまるものといわざるを得ない。
次に、本願商標を構成する赤色で塗りつぶされた矩形部分についてみるに、該矩形部分は、識別力を有する文字や図形をより顕著に引き立てるために、一般に採択、使用されている背景図形の一である四角形及び背景色の一である赤色を組み合わせたものと認められることから、単に文字等を顕著に引き立たせるためのものとしか認識し得ないといわざるを得ず、それ自体は格別自他商品を識別する機能を発揮し得るとはいい難いものである。
なお、本願商標の組み合わせに使用されている赤色の色彩については、上記第3の証拠調べ通知中2に記載の各事実に照らせば、食品業界において、商品の包装箱やラベル等に赤色又は赤色系統の色を使用することが普通に行われていることからしても、背景に用いられる色彩の一であることを容易に認識させるものである。
これらの事情を総合勘案すると、本願商標は、これを補正後の指定商品中、「純度又は濃度が100パーセントのプラセンタを原材料に使用したプラセンタエキスを主成分とした粒状・顆粒状・液状・錠剤状・粉末状・カプセル状又は軟カプセル状の加工食品」に使用したとしても、これに接する取引者・需要者は、該商品の品質、原材料を表示したものと理解、認識するにとどまるというのが相当であって、自他商品の識別標識としての機能を有しないというべきであり、かつ、これを上記商品以外の指定商品に使用するときには、あたかも、それが純度又は濃度が100パーセントのプラセンタを原材料に使用した商品であるかのごとく、その商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるというべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
2 商標法第3条第2項の該当性について
(1)請求人は、「PLACENTA100」の文字を、赤色の色彩からなる箱との組み合わせで使用し続けた結果、赤色矩形図形と「PLACENTA100」の文字の組み合わせからなる本願商標は、自他商品の識別力を獲得したものと考えられる旨、すなわち、本願商標が商標法第3条第2項の規定に該当し商標登録されるべきものである旨主張しているものと解され、当審において甲第1号証ないし甲第8号証を提出しているので、以下この点について検討する。
(2)ある商標が使用により自他商品識別力を認められることについて、平成18年(行ケ)第10054号判決(知的財産高等裁判所 平成18年6月12日判決言渡)は、「特定人が当該商標をその業務に係る商品の自他識別標識として他人に使用されることなく永年独占排他的に継続使用した実績を有する場合には、当該商標は例外的に自他商品識別力を獲得したものということができる上に、当該商品の取引界において当該特定人の独占使用が事実上容認されている以上、他の事業者に対してその使用の機会を開放しておかなければならない公益上の要請は薄いということができるから、当該商標の登録を認めようというものであると解される。」と、そして、「実際に使用している商標(以下『使用商標』という。)及び商品、使用開始時期、使用期間、使用地域、当該商品の生産又は販売の数量、並びに広告宣伝の方法及び回数等を総合考慮して、出願商標が使用された結果、判断時である審決時において、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものと認められるか否か(いわゆる『自他商品識別力(特別顕著性)』の獲得の有無)によって決すべきものである。」と、さらに、「使用商標は、出願商標と同一であることを要し、出願商標と類似のもの(例えば、文字商標において書体が異なるもの)を含まないと解すべきである。」と判示されている。
(3)そこで、上記観点を踏まえて、本願商標について検討するに、請求人の提出に係る各証拠(甲第1号証ないし甲第8号証。なお、原審における早期審査に関する事情説明書に添付して提出された甲第1号証及び甲第2号証についても、参酌するものとし、以下、すべての証拠について引用するときは「全証拠」という。)によれば、例えば、甲第6号証や甲第8号証には、「PLACENTA100」の文字を表した赤色の包装箱を表示した写真が見られるものの、これには、該文字以外の文字や図形が表示されているほか、全体の構成態様が、赤色で塗りつぶした矩形と「PLACENTA100」の文字のみからなる本願商標とは相違するものであり、本願商標と同一の商標がその指定商品と同一の商品について使用されている事実を示すものとは認められない。
また、その他全証拠を通じて、本願商標と同一の商標がその指定商品と同一の商品について使用されている事実を示すものは見当たらない。
そして、他に請求人が本願商標をその指定商品に使用した結果、需要者が本願商標を何人かの業務に係る商品であると認識するに至ったと認めるに足りる証拠はない。
そうとすれば、本願商標は、これをその指定商品に使用した結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至ったものと認めることはできない。
3 むすび
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであって、かつ、同法第3条第2項の要件を具備するものではないから、本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲 本願商標



審理終結日 2009-04-30 
結審通知日 2009-05-07 
審決日 2009-05-25 
出願番号 商願2008-31164(T2008-31164) 
審決分類 T 1 8・ 17- Z (X29)
T 1 8・ 13- Z (X29)
T 1 8・ 272- Z (X29)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 福島 昇 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 杉本 克治
田村 正明
商標の称呼 プラセンタヒャク、プラセンタイチゼロゼロ、プラセンタ、プラサンタ 
代理人 橘 和之 

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