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審判番号(事件番号) データベース 権利
取消2008300831 審決 商標

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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z30
管理番号 1198883 
審判番号 取消2008-300343 
総通号数 115 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-07-31 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2008-03-17 
確定日 2009-05-18 
事件の表示 上記当事者間の登録第4316490号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4316490号商標の指定商品中「コーヒー及びココア,茶,アイスクリームのもと,シャーベットのもと」については、その登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4316490号商標(以下「本件商標」という。)は、「GOLDEN DROP」の文字を標準文字としてなり、平成10年9月17日に登録出願、第30類「コーヒー及びココア,コーヒー豆,茶,調味料,香辛料,食品香料(精油のものを除く。),米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン,穀物の加工品,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,菓子及びパン,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,アーモンドペースト,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,氷,アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,酒かす,ホイップクリーム用安定剤」を指定商品として、平成11年9月17日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は、結論と同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び同第2号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、商標登録原簿の記載より明らかなとおり、何人にも専用使用権又は通常使用権の設定の登録はなされていない。また、請求人は、本件商標が請求に係る指定商品について使用された事実については不知である。
したがって、被請求人において請求に係る指定商品に、本件商標の使用事実の証明がされないと、本件商標は、商標法第50条第1項に規定する「継続して3年以上日本国内において商標権者等が指定商品についての登録商標の使用をしていない」の要件に該当する。
そうすると、本件商標は商標法第50条第1項の要件を充足し、その登録は、取消しを免れ得ないものである。
(2)弁駁
被請求人は、使用許諾者によって「茶」について本件商標を使用したとしているので、以下に弁駁する。
被請求人は、使用許諾者であるユニリーバ・ジャパン株式会社によって本件商標が使用されていると主張している。
しかし、被請求人と使用許諾者とが本件商標の使用許諾契約を締結していることの立証は何等なされていない。したがって、乙第1号証の書籍も、許諾契約と如何に関係して出版されたものであるか不明である。
また、百歩譲って、乙第1号証の書籍が許諾契約で許されたことにより発行されたものとしても、乙第1号証の内容は、
紅茶ではじまるハッピーな一日
お昼の元気は紅茶から
3時はもちろん紅茶の時間
紅茶を楽しむ絶好の休日
という目次の記述からも窺い知れるところで、乙第1号証は紅茶の楽しみ方を紹介する書籍なのであって、商品「茶」について本件商標が使用されている箇所は皆無である。
同様に、乙第2号証の1ないし3は、所謂カルチャー教室を紹介するもの(乙第2号証の1)、及びカルチャー教室のテキスト(乙第2号証の2及び3)であって、商品は一切表示されてはいない。
また、被請求人は、乙第1号証ないし同第2号証の3中の「ゴールデンドロップ」の表記は、商標法第50条第1項の規定が該当するものであると主張するが、そもそも、乙各号証において本件商標の使用はなされていないのであるから、前記条項が該当することもあり得ない。
いうまでもなく、被請求人において立証されるべき点は、結果として商標が現実に使用されていたのかであって、商標を付した商品を提示することで立証することを被請求人は求められている。
しかし、今般の答弁書においては、上記の点を何等立証するものがない。
したがって、本件商標が付された商品の提出もない答弁書によっては、本件商標が使用されたものとの立証は到底なされていないものである。
また、被請求人らの如く、大規模に製造販売をされる場合、商品が存在するならば必ず何等かの記録をしているものであるから、その資料の提出がないことは、実際に本件商標が使用されていなかったことを証するものである。
したがって、乙第1号証ないし同第2号証の3によっては本件商標を「コーヒー及びココア,茶,アイスクリームのもと,シャーベットのもと」について使用していることにはならず、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取消を免れ得ない。

3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証及び同第2号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)本件商標は、被請求人の使用許諾者であるユニリーバ・ジャパン株式会社によって、乙第1号証に示すとおり、2006年11月1日付けで株式会社旭屋出版から発行された書籍「はずむ時間を、紅茶から。Enjoy Tea Time Book」の第67頁に「茶」について使用されている。該書籍ではカタカナで「ゴールデンドロップ」と表記されているが、かかる表記は、商標法第50条第1項に規定の「平仮名、片仮名、及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標」に該当し、上記登録商標と社会通念上同一の商標であって、登録商標の使用を構成する。
(2)さらに、本件商標は、本件権利者である被請求人の使用許諾者であるユニリーバ・ジャパン株式会社によって、乙第2号証に示すとおり、同社主催の紅茶教室(乙第2号証の1)のシニアコースCの教材「おいしい紅茶のいれ方」(乙第2号証の2)の第2頁及び同教室シニアコースFの教材「特選紅茶のいれ方を極める」(乙第2号証の3)の第2頁において、それぞれ、本件商標を使用している。該教材ではカタカナで「ゴールデンドロップ」と表記されているが、かかる表記は、商標法第50条第1項に規定の「平仮名、片仮名、及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標」に該当し、上記登録商標と社会通念上同一の商標であって、登録商標の使用を構成する。
(3)以上のように、被請求人は、本審判の請求登録前3年以内に、本件と同一の商標を「茶」に関して使用しているので、請求人の主張するような本件商標の不使用の事実は存しないものであることは明らかである。

4 当審の判断
(1)商標法第50条第1項に基づき、商標登録の取消審判が請求された場合には、被請求人は、取消請求に係る指定商品について、本件審判請求の登録前3年以内(以下「本件期間内」という。)における当該登録商標の使用の事実を証明するか、あるいは、不使用の場合には、不使用についての正当な理由のあることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れないものである(法第50条第2項)。
(2)被請求人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
ア 2006年11月1日発行の「はずむ時間を、紅茶から」と題する書籍(乙第1号証)の第67頁には、「リーフティーのおいしいいれ方」と表題して、茶のいれ方の手順を1から4まで写真で示し、その4に、「・・・最後の一滴までうまみが凝縮されているので、注ぎきりましょう。最後の一滴のことを『ゴールデンドロップ』(またはベストドロップ)といいます。」との記述が掲載されている。
イ 乙第2号証の1は、「Tea School 紅茶教室」に係るウエブサイトであり、そこには、紅茶に係る講座の案内として、講座の各コース(レギュラーコース、シニアコース等)の説明が掲載されている。そして、「シニアコース」の説明において、必須科目の中に「C おいしい紅茶のいれ方」「F 特撰紅茶のいれ方を極める」があることが記載されている。
しかし、本件商標に関連するとみられる文字等は一切みいだせない。
ウ 前記イの必須科目「おいしい紅茶のいれ方」に係る資料(乙第2号証の2)には、「いずれにしても、最後の一滴、ベストドロップ・ゴールデンドロップを入れると、味がしまっておいしく出来上がる。」との記述がある。
エ 前記イの必須科目「特撰紅茶のいれ方を極める」に係る資料(乙第2号証の3)には、「必ずすっかり移し替え、最後のゴールデンドロップの一滴も残さないようにします。」との記述がある。
(3)本件商標は「GOLDEN DROP」の文字からなるものであるところ、上記(2)のとおり、資料(乙各号証)には「ゴールデンドロップ」の文字が記載されており、また、「ゴールデンドロップ」は「GOLDEN DROP」の表音とみて自然なものということができる。
しかしながら、当該記載のいずれをもってしても、商品「茶」について、商標法第2条第3項所定の「使用」行為に該当するものがあったとみることはできない。
すなわち、当該記載は、乙第1号証にあっては茶の注ぎ方に関わる説明として表されたものというべきであり、乙第2号証の2及び3では、いずれも、「紅茶教室」なる講座の科目「おいしい紅茶のいれ方」「特撰紅茶のいれ方を極める」の教材の一文に含まれ、その指導内容を示すに止まるものである。しかして、これらの「ゴールデンドロップ」の文字は、商品「茶」あるいは「茶の包装」に表示されたことを示すものではなく、また、商標を表示した商品の展示等に係るものでもなく、さらに、商品に関する広告、価格表や取引書類に係るものでもないことは明らかというべきである。
してみれば、被請求人提出の証拠によっては、取消請求に係る指定商品について、本件期間内における本件商標の使用を明らかにしたと認めることができないといわざるを得ないものである。
他に、本件商標の使用を示す証拠はみいだせず、不使用に係る正当理由の主張及び立証はないから、本件商標は、取消請求に係る指定商品について、その登録の取消しを免れない。
(4)以上のとおり、本件商標は、指定商品中、結論掲記の指定商品について、商標法第50条の規定に基づき、その登録を取り消されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2008-12-17 
結審通知日 2008-12-24 
審決日 2009-01-06 
出願番号 商願平10-79942 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Z30)
最終処分 成立  
前審関与審査官 瀧本 佐代子 
特許庁審判長 渡邉 健司
特許庁審判官 鈴木 修
井出 英一郎
登録日 1999-09-17 
登録番号 商標登録第4316490号(T4316490) 
商標の称呼 ゴールデンドロップ、ゴールデン 
代理人 谷口 登 
代理人 中山 健一 

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