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審決分類 審判 一部無効 商4条1項10号一般周知商標 無効としない Z18
審判 一部無効 商4条1項11号一般他人の登録商標 無効としない Z18
管理番号 1198843 
審判番号 無効2006-89136 
総通号数 115 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-07-31 
種別 無効の審決 
審判請求日 2006-09-28 
確定日 2009-05-11 
事件の表示 上記当事者間の登録第4558873号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4558873号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成13年6月28日に登録出願、第18類「皮革,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,かばん金具,がま口口金,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具,愛玩動物用被服類」を指定商品として、同14年3月5日に登録査定、同年4月12日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品中「かばん類、袋物、傘」についての登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第86号証(枝番を含む。)を提出した。
なお、請求人は、当初、本件審判請求書の「請求の趣旨」において、本件商標の指定商品中「かばん類、袋物、傘及びこれらの類似商品」についての登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求めていたが、その登録を無効とすべき指定商品中「これらの類似商品」の部分を客観的で明確な表示にするよう平成20年7月22日付け審尋を発したところ、同年7月31日付け手続補正書により、「請求の趣旨」に記載した登録を無効とすべき指定商品中から「及びこれらの類似商品」の部分を削除する補正をした。
1 請求の理由
本件商標は、請求人の業務にかかる商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標に類似する商標であって、その商品である「かばん類、袋物、傘その他これに類似する商品」について使用するものであり、商標法第4条第1項第10号及び同法第4条第1項第11号に該当するにも拘わらず登録されたものであるから、同法第46条第1項に基づき一部無効とされるべきものである。
(1)請求人の引用する商標
ア 商標法第4条第1項第10号に対して
請求人が第18類「かばん類、袋物、傘その他これに類似する商品」に使用する「CHOOP」の英文字からなる商標(以下「引用商標1」という。)は、本件商標の出願時点である2001年頃には既に「シュープ」の称呼によって需要者や取引者の間で周知となっていた商標である。
イ 商標法第4条第1項第11号に対して
(ア)登録第3240038号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成6年1月27日に登録出願、第18類「かばん類,袋物」を指定商品として、同8年12月25日に設定登録され、その後、同18年12月26日に商標権の存続期間の更新登録がされ、現に有効に存続しているものである。
(イ)登録第3274942号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成6年10月6日に登録出願、第18類「傘」を指定商品として、同9年4月4日に設定登録され、その後、同19年4月10日に商標権の存続期間の更新登録がされ、現に有効に存続しているものである。
(ウ)登録第4545250号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲(3)のとおりの構成よりなり、平成13年4月16日に登録出願、第18類「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘」を指定商品として、同14年2月22日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
(エ)登録第4545252号商標(以下「引用商標5」という。)は、別掲(4)のとおりの構成よりなり、平成13年4月16日に登録出願、第18類「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘」を指定商品として、同14年2月22日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
(2)引用商標1の周知性について
引用商標1は、本件商標出願時には「シュープ」の称呼として既に需要者の間に周知となっていることは以下に例示する種々の証拠によって明らかである。
(A)引用商標1の周知性獲得の推移
ア 引用商標1の使用開始
引用商標1は、1994年頃から使用を開始しており、これはボイス情報株式会社発行の「ライセンスビジネス名鑑2003〔ブランド編〕」の19頁に掲載されているブランド開始年表の1994年の欄、及び194頁の「CHOOP(シュープ)」の「開始年」の項の記載により明らかである(甲第3号証)。
イ 雑誌による引用商標1の周知化.
(ア)1994年?1995年
引用商標1を使用し始めた頃は、「CHOOP」は「シュープ」と称呼するものであることを特に需要者に印象付けるための説明を加えるなどの特別の努力を払っていた。
例えば、1994年10月発行の少女向け雑誌である「Lemon」(甲第4号証)には「アメリカからやってきた、ピースフルでキッチュなブランドCHOOP(シュープ)」と称呼を片仮名文字で表した記載がある。同じく1994年11月発行の少女向け雑誌である「Zipper」(甲第5号証)にも、「CHOOP」ブランドを紹介する説明文の中で、「CHOOP(シュープ)」と「CHOOP」の文字と「シュープ」が併記あるいは二段書きされている。また、1995年1月発行の雑誌「Lemon」(甲第6号証)には片仮名文字で「シュープ」と記載された上で、「アメリカ生まれの注目カジュアルブランド・シュープは、キュートなリスのロゴマークが目印だよ。」及び1995年4月発行の雑誌「Lemon」(甲第7号証)にも「リスのロゴマークでおなじみのシュープは、アメリカ生まれのカジュアル・ブランド」などと紹介されている。
さらに、1995年11月発行の雑誌「Lemon」(甲第8号証)や「POMME」(甲第9号証)でも、「CHOOP【シュープ】」と片仮名を併記したブランド説明や「CHOOP」を「【シュープ】と読みます!とーぜん知ってた!?」などと「シュープ」の称呼の周知化を図ることを目的とした宣伝広告が行われている。
上記のように、英文字「CHOOP」と片仮名文字「シュープ」を併記している例や、片仮名文字の「シュープ」で「CHOOP」ブランドの紹介をしている例は数多い(甲第10号証ないし甲第13号証)。
(イ)1996年?1997年頃
この頃には、「CHOOP」すなわち「シュープ」であるとの認識が定着し、「シュープ」としての称呼のみならず片仮名文字の「シュープ」のみの表記が商標的機能を発揮して一人歩きしている。すなわち、1997年11月発行の雑誌「JUNIE」(甲第14号証)には、英文字「CHOOP」を除いた片仮名文字の「シュープ」のみの記載が多く表されている。例えば、「ベーシックもの 流行ものもシュープにおまかせ」、「ウェアから小物までそろうシュープでなら、お気に入りがきっと見つかるはず!」「シュープのロゴもかわいい」などの記載である。
そして、初期の頃のような懇切丁寧な「シュープ」のブランド説明などはする必要も無くなり、1997年頃の雑誌広告には省略されるようになった。例えば、1997年4月発行雑誌「たまごクラブ」(甲第16号証)などを見てももはやブランド説明などは見当たらなくなり、単に片仮名文字「シュープ」が併記されるのみになっている。
(ウ)1998年?2001年頃
例えば、1998年4月発行の「Olive」(甲第17号証)には、「アクティブに着こなせ!『CHOOP/シュープ』のカラフル旋風。」の表題の下に、片仮名文字「シュープ」単独の表記が「ショルダーバッグ¥3,900(シュープ/優美社産業)」等のように頻出しており、「シュープ」の片仮名文字のみで商品の出所を示す機能を果たしていることが立証される。
このように、既にこの頃には片仮名文字「シュープ」という表記をすれば当然商標「CHOOP」のことを指し示しているものと一般的に理解されており、片仮名文字「シュープ」単独で使用されても商標的機能を発揮し、その信用が商標「CHOOP」に蓄積されていったのである。
なお、前述の優美社産業は、請求人から引用商標1の使用の許諾を受けた法人である。
その後も、引用商標1は、片仮名表記「シュープ」を併記したり、単に片仮名表記「シュープ」のみでも使用され、「シュープ」の称呼は益々周知になっていったのである。
例えば、1998年5月発行の雑誌「JUNIE」には、「シュープのガーリッシュ・スタイル」、「シュープで見つけたキュートなアイテムをコーディネートにプラスして。」、1998年12月発行の雑誌「JUNIE」には、「元気がいちばん!シュープカジュアル」、「もうすっかりおなじみになった、リスのマークが目印のシュープ。」、1998年10月発行の雑誌「Olive」には、「カラフルな色使いとリスのイメージ・キャラですっかりみんなの人気もの、『シュープ』のおしゃれワールド!」、1998年11月発行の雑誌「Seventeen」には、「『シュープ/CHOOP』の秋アイテム速報!」、1998年4月発行の雑誌「プチSEVEN」には、「リスがトレードマークのシュープ/CHOOPは、…」、1998年11月発行の雑誌「プチSEVEN」にも、「横向き小リスちゃんがトレードマークのシュープ/CHOOP。」等の記載が見られる(甲第18号証ないし甲第26号証)。
また、1999年10月発行の雑誌「ピチレモン」(甲第27号証)にあるように、雑誌を通じての通販形式で商品を提供する際には、特に他の商品との混同をさけて確実を期すために、ブランド紹介の中に「CHOOP/シュープは、アメリカの・・・」や「みんなが大好きなCHOOP/シュープを集めた通販だよ!!」のように称呼を併記して明確化を図っている。
この頃には「CHOOP」が「シュープ」と称呼することは既に周知になっているので、甲第28号証ないし甲第31号証のように、「シュープ」の片仮名表記が全く無い広告も多数ある一方で、新しい需要者開拓のために「シュープ」の称呼を表記して広告することも忘れてはいない(甲第32号証ないし甲第36号証)。
上述のように、引用商標1の使用開始以来、その称呼「シュープ」を周知化させるための努力を継続した結果、本件商標出願時には、既に「シュープ」の片仮名表記は引用商標1を指標するほどに「シュープ」の称呼は周知になっていたのである。
ウ テレビコマーシャルによる引用商標1の周知化
上述した雑誌などによる広告は、主に視覚面から「シュープ」の称呼を周知化ならしめるものであるが、聴覚面からも「シュープ」の称呼を需要者に認知させるべく、テレビコマーシャルによる周知化も図られた。
その方法としては、引用商標1の商品「バッグ等」について単独に「シュープ」の称呼を広告宣伝するというのではなく、衣類を中心に、それに関連して使用されるバッグ類、靴、傘、時計、メガネなどをトータルにコーディネートして、需要者に主張したいスタイルを広告宣伝するという手法が用いられている。
その結果、需要者は、衣類並びにそれに関連する商品であるバッグ類等について、商標「CHOOP」の称呼は「シュープ」であると認識するのである。
以下その詳細について説明する。
(ア)テレビコマーシャルとしては、「リスを置く」編、「待ち合わせ」編、「リスとおおかみ」編、「愛すべきリスたち」編(甲第37号証の1)、「99年 シュープ春」編(甲第37号証の2及び3)のスポット広告が作成され放映された。これらは、いずれもリスの図形と「CHOOP」の英文字の画面が出て「ストリートカジュアル・シュープ」の音声が流される内容の広告である。
(イ)これらの広告は、以下のように各放送局より提供された。
例えば、1995年4月から1995年8月、1995年10月から1995年12月、1996年3月の毎週金曜日の午後7時から7時54分にテレビ東京系6局ネット放映(テレビ東京、テレビ北海道、テレビ愛知、テレビ大阪、テレビせとうち、TVQ九州)の番組「おまかせ!山田商会」において、「リスを置く」編、「待ち合わせ」編が放映された(甲第38号証)。
1997年1月から1997年3月までは毎週月曜日の午後8時から8時54分にフジテレビ系26局の全国ネット放映の番組「HEY! HEY! HEY!」において、「リスとおおかみ」編、「愛されるリスたち」編が放映された(甲第38号証)。1997年4月から1997年9月までは毎週木曜日の午後5時から5時半にテレビ東京系6局ネット放映(テレビ東京、テレビ北海道、テレビ愛知、テレビ大阪、テレビせとうち、TVQ九州)の番組「神谷町LIVE!」において、「リスとおおかみ」編、「愛されるリスたち」編が放映された(甲第38号証)。
1997年11月から1998年3月までは毎週水曜日の午前2時15分から2時45分にテレビ東京系20局の全国ネット放映の番組「SNOW BEAT」において、「リスとおおかみ」編、「愛されるリスたち」編が放映された(甲第38号証)。同じく1997年11月から1998年3月までは毎週水曜日の午前0時50分から1時20分に北海道テレビ放映の番組「DODA」において、「リスとおおかみ」編、「愛されるリスたち」編が放映された(甲第38号証)。
この他、特に需要者がテレビなどを見る機会の多い年末や年始などには、一気に周知性を高めるべく、集中的にテレビを使った広告を行っている。
また、翌1998年の年末から1999年の年始にかけても、1998年12月25日から1999年1月2日に至るまで毎晩連続して1?2の映画番組を提供し「シュープ」の称呼の周知化を強力に推進している。
(ウ)さらに、上述したテレビコマーシャルの提供とは別に、「シュープ/CHOOP」の文字をそのタイトルの最初に付した特別なテレビ番組が放映された。
これは、主な需要者である小・中学生・高校生が休みとなる春休みや夏休みを狙って制作されたもので、例えば、1998年8月には、日本テレビ系列全国28局ネットで「シュープ/CHOOP 夏休みスペシャル『入道雲は白、夏の空は青』」(甲第54号証の1ないし3及び甲第55号証)として放映されている。甲第55号証のビデオテープから判るように、まず、この番組の宣伝において、出演者の野村佑香や本上まなみが「シュープ夏休みスペシャル」と称呼しており、番組の始めには、「ストリート・カジュアル・シュープが提供します」と音声が入っている。
さらに、番組中においても3回コマーシャルタイムがあり、1回につき「リスとおおかみ」編、「愛されるリスたち」編が合わせて6回放映され、ドラマ中で合計18回も放映された。番組の最後にも「この番組はストリート・カジュアル・シュープが提供いたしました。」のナレーションが入って「シュープ」の称呼を印象付けている。
このような特別番組は、続いて1999年3月に、「シュープ/CHOOP春休みドラマスペシャル『卒業旅行』」(甲第56号証の1及び2並びに甲第57号証)として、同じく日本テレビ系列全国28局ネットで放映され、その中でテレビコマーシャル「99年 シュープ春」編(甲第37号証の2及び3)が放映された。なお、読売新聞にもその広告が掲載され、その中でも英文字の「CHOOP」には片仮名文字で「シュープ」とその称呼が示されている(甲第56号証の2)。
その後も同様に、2000年4月には日本テレビ系列全国28ネットで「CHOOP春休みドラマスペシャル『空のかけら?MESSAGE from the sky』」(甲第58号証ないし甲第60号証)が放映されている。
「空のかけら?MESSAGE from the sky」では、テレビコマーシャル「リスとおおかみ」編、「愛されるリスたち」編が放映された他に、テレビ画面上にも「みんなのお洋服・シュープ・スポルティブ」と「シュープ」の片仮名表記が映し出された(甲第59号証)。上記の番組には、野村佑香、藤原竜也等、引用商標1の需要者層である10代の青少年に人気のある俳優を起用して注目度を集め、バッグ表面やショルダーベルト部分に大きく「CHOOP」の商標を付したものなど数多くの「CHOOP」のファッション関連商品が番組の中で出演者によって着用され、前述したような「リスとおおかみ」編、「愛されるリスたち」編のスポット広告が放映されることによって引用商標1の周知度も集中的に高まっている(甲第54号証の1ないし甲第60号証)。
エ 新聞広告による引用商標1の周知化
1998年8月15日付読売新聞のテレビ番組欄のページや1998年8月14付読売新聞に掲載されている前記提供番組「入道雲は白、夏の空は青」の広告(甲第54号証の2及び3)中や、1999年3月22日付読売新聞のテレビ・ラジオ番組欄のページに掲載されている前記提供番組「卒業旅行」の広告(甲第56号証の2)中、2000年3月30日付の日経流通新聞の全面広告(甲第60号証)中、及び2000年6月21日付の繊研新聞の全面広告(甲第61号証)で、「シュープ」の称呼を片仮名で併記することによって引用商標1が「シュープ」と称呼することを周知化している。
オ 引用商標1に関する新聞記事による引用商標1の周知化
業界新聞として周知の繊研新聞において、1997年9月29日付の「岐路に立つライセンス事業既存ブランドのてこ入れ本格化」の記事(甲第62号証)、1998年6月17日付の「2000年に1000億円の構想 クラウンファンシーグッヅのライセンス事業2市場に参入」の記事(甲第63号証)、1998年8月15日付の「『シュープ』(ファッションブランド)がつくり出したテレビドラマ」の記事(甲第64号証)、1998年12月18日付の「ズバリ聞く」の記事(甲第65号証)、1999年4月1日付の「販促活動を強めるクラウンファンシーグッヅメディア複合で」の記事(甲第66号証)、1999年12月22日付の「『シュープ』を拡大 クラウンファンシーグッヅ多ブランド化進める」の記事(甲第67号証)、2000年7月29日付の「70年代感覚を表現」の記事(甲第68号証)、2000年8月23日付の「クラウン FG 海外でライセンス事業」の記事(甲第69号証)、2000年12月9日付の「クラウンファンシーグッヅ 世界でライセンス事業 キャラクター『シュープ』拡大」の記事(甲第70号証)及び2001年3月9日付の「総合カジュアル強化」の記事(甲第71号証)のそれぞれにおいて、引用商標1の拡大展開の内容が書かれているが、引用商標1については、その称呼の片仮名表記「シュープ」で全て記載されており、バッグを含むファッション関係の人々に対して「シュープ」の周知化が確実に図られた。
(B)引用商標1の周知性の獲得の客観的事実
ア ブランド年鑑等による引用商標1の周知性の明示
(ア)2001年1月発行の「別冊チャネラー/ファッション・ブランド年鑑2001」(甲第72号証)を見ると、目次の中に「シュープ」と片仮名文字のみで掲載されており、該当頁を見ると「シュープ(CHOOP)」として掲載されている。この事実によって、当該年鑑発行時である2001年1月の時点において、「シュープ」の記載からは「CHOOP」以外のブランドは考えられないほどに、「CHOOP」は「シュープ」の称呼によって周知であったこと、すなわち、単に片仮名で「シュープ」とのみ記載されていたとしても、需要者は「CHOOP」ブランドに想到するほどに片仮名表記「シュープ」と英語表記「CHOOP」は一体不可分に結びついていたという事実が判明し、この指定商品の属するファッション業界では「シュープ」と称呼すれば直ちに「CHOOP」のことであると認識されていたという取引の実情が明らかになる。
(イ)また、2000年12月発行の繊研新聞社「ファッションブランドガイドSENKEN FB2001」(甲第73号証)の目次のブランドインデックスにおいても、そのサ行に「シュープ」として掲載され、その該当頁には「シュープ」(CHOOP)として載っている。2001年12月発行の繊研新聞社「ファッションブランドガイド SENKEN FB2002」(甲第74号証)においても同様である。
(ウ)上記の他にも、ボイス情報株式会社の「‘99ライセンスブランド&キャラクター名鑑」(甲第75号証)、「ライセンスブランド&キャラクター名鑑2000」(甲第76号証)、「ライセンスビジネス名鑑2003〔ブランド編〕」(甲第3号証)のインデックスの「し」の行にも「シュープ」として掲載され、その該当頁に「CHOOP(シュープ)」として詳細が掲載されている。
(エ)すなわち、上記事実は、第一に、引用商標1及びその称呼「シュープ」は本件商標出願時以前から本件商標登録時以後に至るまで、継続して数々のブランド年鑑に掲載されるほど周知であるということを示しており、次に、目次において「シュープ」とのみ記載され「チョープ」などの記載では掲載されていないという事実によって引用商標1は「シュープ」とのみ称呼されていた事実が判明する。さらに、単に「シュープ」とだけ記載されていても、それが引用商標1を特定するほどに周知であるという事実を示している。
イ なお、特許庁の審決(甲第77号証)に示されるように、既に衣類等については、商標「CHOOP」は「シュープ」の称呼で周知であることが特許庁に認められており、この事実から、かかる衣類と同時に使用されるファッション関連商品であるバッグ等に関しても商標「CHOOP」が「シュープ」として周知であると類推することができる。すなわち、商慣習上、ファッション関連商品である衣類やバッグ等は、トータルにコーディネートして広告宣伝するのが常であり、引用商標1の場合も、上記商品をコーディネートした状態で雑誌等に掲載されていた事実がある。
したがって、衣類等について商標「CHOOP」は「シュープ」の称呼で周知である以上、それとコーディネートして広告宣伝されるバッグ等もまた「シュープ」の称呼で周知であるといえるのであり、同一の商標「CHOOP」 が衣類に関しては「シュープ」として称呼されるのが周知になっているにもかかわらず、同じファッション関連商品であるバッグ類に関しては「チョープ」と称呼されるなどいうことは、ファッション業界の取引実情をかんがみて、全く考えられないことだからである。
ウ 広告宣伝費用及び売上実績
これまで述べてきたような広告宣伝に費やした費用は、バッグ及び衣類等に関するものについて、市場価格ベースで、1994年において715万円、1995年において1億円、1996年において8800万円、1997年において1億4300万円、1998年において4300万円、1999年において1億1400万円、2000年において1億1000万円、2001年において5600万円であり、合計約6億6000万円であった。
また、引用商標1を使用したバッグ・傘類の売上実績は、市場価格ベースで1995年において2億9600万円、1996年において6億4400万円、1997年において12億5300万円、1998年において17億7100万円、1999年において21億5100万円、2000年において16億3600万円、2001年6月までにおいて8億4100万円であり、合計約85億9100万円の売上実績があった。
(3)前述のように、引用商標1は「シュープ」の称呼として、雑誌により、テレビコマーシャル、あるいは、新聞の広告や記事によって本件商標出願時には周知になっており、この周知であることはブランド年鑑等によって裏付けられる。
(4)商標法第4条第1項第10号について
ここで、本件商標は、その指定商品が引用商標1の使用商品に類似し、その構成文字「shoop」から明らかに「シュープ」の称呼を生ずるので、前述の経過を経て需要者の間で既に周知になっている引用商標1の称呼「シュープ」と類似する。したがって、本件商標は、請求人の周知引用商標1と類似するので商標法第4条第1項第10号に該当し登録すべきではない。また、このように同じ称呼を有する商標が登録されるならば、請求人のみならず、需要者にとっても出所の混同や品質の誤認を生じて不測の不利益をこうむることにもなり、需要者の保護を図ると共に取引秩序の維持を図ろうとする商標法の法目的にも反するものである。
(5)商標法第4条第1項第11号について
本件商標の先願先登録商標である引用商標2ないし5は、いずれも請求人の登録商標であり、「CHOOP」の文字と図形から構成されている。
ここで、これらの登録商標の文字部分「CHOOP」は、前述した周知となっている引用商標1と同一の称呼「シュープ」を生ずるものと一般の需要者に広く認識されていることから、本件商標と称呼上類似するものである。
さらに、本件商標の指定商品においても前記引用商標2ないし5と共通するものであるから、本件商標は、その先願先登録である請求人の引用商標2ないし5と類似するものであり、商標法第4条第1項11号に該当するので登録を受けるべきではない。
(6)以上述べているように、本件商標は、請求人の周知商標である引用商標1に類似するので商標法第4条第1項第10号の規定に該当し、また、請求人の引用商標2ないし5に対し商標法第4条第1項第11号にも該当するため登録を受けることのできない商標であって、商標法第46条第1項により無効とされるべきものである。
なお、本件に関する証拠中で「クラウンファンシーグッヅ株式会社」とあるのは、請求人である「株式会社クラウン・クリエイティブ」の旧名称である(甲第82号証)。
2 答弁に対する弁駁
(1)商標法第4条第1項第10号について
商標法第4条第1項第10号の規定は、周知商標と同一又はこれに類似する商標で、他人の商品又はその類似商品に使用する商標は登録しない旨の規定である。
本件商標は、周知である請求人の引用商標1と称呼「シュープ」において類似するものであって、引用商標1にかかる商品又はその類似商品に使用するものであり、商標法第4条第1項第10号に該当するものである。
以下、詳説する。
ア 引用商標の周知性について
まず、商標法第4条第1項第10号に規定するいわゆる周知商標とは、未登録であっても使用により業務上の信用が蓄積されて周知になった商標をいい、本件審判事件においては、請求人の引用商標1、すなわち、使用により「シュープ」と称呼するようになった商標「CHOOP」が該当する。
被請求人は、「需要者が、請求人の業務に係る商品であると認識しうるものは『リス図形』と一体化した『CHOOP』であり、すなわち、『リスのシュープ』として、親しまれていることが明らかである。」と述べた上で、「欧文字『CHOOP』のみで直ちに『シュープ』との称呼を生じ得るとは考え難く、「かばん類、袋物、傘その他これに類似する商品」について、直ちに「シュープ」と称呼が生じるとの十分な証拠も無い。」と主張しているが全く失当である。
すなわち、引用商標1は、「CHOOP」単独で使用されている例や、「花」の図形と一緒に使用されている場合など、リスの図形と共に使用されない例は数限りなくあり、既に提出した証拠においても明らかである(甲第14号証、甲第20号証、甲第22号証、甲第26号証、甲第29号証、甲第30号証、甲第33号証ないし甲第35号証の添付参考資料)。その場合においても、商標「CHOOP」が「シュープ」と称呼されていることは既に審判請求書において示したとおりである。
また、本件商標出願時である2001年時点において、衣類関係の商品については、引用商標1と同一の標章「CHOOP」が「シュープ」の称呼で周知であると特許庁で認められており、無効2004-35142審決(甲第77号証)において明らかである。
ここで、上記周知であるとされた標章「CHOOP」の衣類の分野における売上実績は、本件商標出願時点においておよそ55億6700万円であるのに対し、「かばん類、袋物、傘その他これに類似する商品」についての引用商標1の売上実績はそれよりもはるかに多い85億9100万円である。この事実をもってしても、「かばん類、袋物、傘その他これに類似する商品」についての引用商標1は衣類についての標章「CHOOP」よりもさらに多くの需要者に親しまれている商標であることが判明する。
このように親しまれている引用商標1が、衣類では「シュープ」の称呼で周知であるにもかかわらず、かばん類等では「シュープ」の称呼としては周知でないなどとは到底考えられないことである。
その上、衣類もかばん類も同じファッション関係の商品であり、広告なども同時に行われることが多く、需要者はそれらの商品を同時に購入する機会も多いという現実を考慮すれば、衣類について標章「CHOOP」を「シュープ」の称呼で広く認識している需要者が、かばん類に関しては「シュープ」の称呼では認識していないとする被請求人の主張は取引の実情を無視した主張である。
イ 本件商標について
(ア)本件商標の非周知性について
本件商標は、その出願時点においてほとんど使用実績の無い商標である。
被請求人は、「本件商標は、『B系ファッション』愛好者の間において、『B系ファッションのSHOOP』として、出願時・査定時において周知性を獲得しているものである。」と主張する。
しかし、上記主張は、その前提とするところが誤りであり、裏付けとする証拠を全く有しないものである。
すなわち、そもそも商標法第4条第1項第10号の時期的な判断基準は本件商標の出願時であり、2001年6月28日をもって判断されるべきものである。
ここで、被請求人が本件商標の周知の事実を示すために提出された証拠のほとんどは2001年6月28日以降のものであり(乙第20号証ないし乙第22号証、乙第24号証の1ないし乙第25号証の2、乙第26号証ないし乙第44号証、乙第50号証ないし乙第53号証、乙第55号証ないし乙第57号証)、時期的基準を満たすわずかな証拠である雑誌の広告掲載においてさえ、本件商標の商品である「かばん類」についてのものではないからである(乙第16号証ないし乙第19号証)。
(イ)本件商標の販売実績
判断基準時である出願時までに、引用商標1「CHOOP」を付したかばん類等が300万個製造されているのに比べれば、本件商標を付したかばん類はわずか4400個しか販売されておらず全く使用実績の無いこと、すなわち周知性が無いことが判明する。
また、本件商標の売上高についても、かばん類に関しての金額は示されていないので判断の対象にならない。
(ウ)宣伝広告実績
周知化を図るために、判断基準時である出願時までに、かばん類・被服類等に関するものについて、引用商標1では6億6000万円もの広告宣伝費を費やしているのに対し、本件商標が1000万円であることをかんがみれば、本件商標が周知性を獲得しているなどとは到底いえないものである。
ウ バッグ類の取引の実情及び類否判断について
被請求人は、本件商標と引用商標とは、主たる需要者層、商品の分類特性、趣向性の点で明確に区別されている実情が認められると主張する。
すなわち、主たる需要者層において、本件商標は「20代?30代」であるのに対し引用商標は「ティーン層」であり、商品の分類特性において、本件商標が「B系ファッション」であるのに対し引用商標は「ストリートカジュアル」である上に、趣向性の点では、本件商標が「セクシー」であるのに対し引用商標は「可愛い」ので出所混同のおそれがないと述べている。
しかし、同じかばん類等という商品の取引分野において、上記に示された境界などは暖味なものであり、需要者が明確に区別しているとは考えられない。
(ア)例えば、上記商品の分類特性においても、「B系ファッション」であろうと「ストリートカジュアル」であろうと共にカジュアル系ファッションである点においては共通であり、現に、「B系ファッション」であると主張する被請求人の商品であるかばん類や衣類(乙第30号証、乙第31号証、乙第22号証の添付参考資料)と「ストリートカジュアル」である請求人の商品であるかばん類や衣類(甲第83号証ないし甲第85号証)の証拠を比較してみれば両者の間に大差が無いことなど一目瞭然である。
(イ)また、趣向性における「セクシー」と「可愛い」という差異も明確に区分される類のものではなく、「セクシーで可愛い」ものを好む需要者も存在するであろうことは容易に推測できる。
(ウ)さらに、主たる需要者層の相違に関しても、被請求人が主張する上記「20代?30代」と「ティーン層」との間にある区別などは流動的であり容易に変遷しうるものである。
最近の流行を考えれば、大人の女性がティーンの服を着るなどの傾向もあれば、ブランド展開によっては需要者層が変化することなど容易に想定できることだからである。
例えば、今日のファッション関連企業のブランド展開においては、メインブランドに加えて複数のサブブランドを展開している場合が少なくなく、一般需要者もそのことを認識していることは周知の事実である。
現に、被請求人は「CHOOP」のサブブランドとして、乳児や幼児層を主な需要者層とした登録商標「CHOOPLAND」や、成人層をターゲットとする登録商標「CHOOP SPORTIVE」や登録商標「CHOOP CLASSIC」を有してブランド展開を行っている(甲第86号証)。
すなわち、上記商標「CHOOP SPORTIVE」及び商標「CHOOP CLASSIC」については、20代から30代の女性をターゲットにしており、本件商標の主な需要者層である20代から30代の女性である点において、本件商標と需要者層が共通している。
かかる取引実情をかんがみれば、本件商標をその指定商品に使用するときは、これに接した需要者が引用商標1の主な需要者層を変更したブランド展開であるかのように、その出所につき誤認を生じさせるおそれが充分ある。
(エ)商標の類否判断において考慮される取引の実情においては、現時点における商標の具体的使用態様等の将来変動する可能性もある個別事情を過大に考慮すべきではない。
すなわち、被請求人が主張する、「主な需要者層が20代?30代である」とか、「商品特性がB系ファッションである」とか「趣向性がセクシー」であるなどという要素についても、たまたま現時点における商標の具体的な使用態様にすぎず将来的に変動しうる不確定な要素であるので過大に評価すべきものではない。
さらに、本件商標の指定商品であるかばん類等は、日常的に使用される性質の商品であることや、同指定商品の需要者も特別の専門知識を有するものでない一般消費者であることからすれば、その需要者がこれを購入する際に払う注意力はさほど高くないので、上記の要素を明確に区別するとは考えられない。
したがって、上述したように、本件商標は、引用商標1に対し、重要な類否判断要素である「称呼」が類似するので需要者等に対し出所混同を生じさせる。
そして、引用商標1に類似する本件商標が並存する結果、引用商標の信用の希釈化、あるいは、需要者の引用商標1に対する期待を裏切るような商品と誤認することによる信用の汚染化、ひいては被請求人の業務上の信用の低下という結果を招来しかねないのである。
以上のように、本件商標と引用商標1は、主たる需要者層、商品の分類特性、趣向性の点において、その境界が暖昧であって明確に区別されておらず出所の混同を生じ得るので、被請求人の「本件商標と引用商標1とは、主たる需要者層、商品の分類特性、趣向性の点で明確に区別されている実情が認められる」との主張は全く根拠を欠いたものである。
(2)商標法第4条第1項第11号について
ア 被請求人は、「周知性を獲得しているのは『リス図形』と一体的な態様の『CHOOP』であり、文字商標『CHOOP』ではない。また、本件商標の査定時において、引用商標2ないし5からは『シュープ』の称呼は生じていない。」と主張するが失当である。
一般に、簡易、迅速を尊ぶ取引の実際においては、商標は、各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほどまでに不可分的に結合していない限り、常に必ずその構成部分全体によって称呼、観念されるというわけではなく、しばしば、その一部だけによって簡略に称呼、観念され、その結果、一個の商標から二個以上の称呼、観念の生ずることがあるのは、経験則の教えるところである(最高裁判所第一小法廷昭和38年12月5日判決・民集17巻12号1621頁参照)。
したがって、常に「リス図形」と一体的な態様の「CHOOP」として観察すべき必要はなく、文字商標「CHOOP」の部分からも称呼が生じており、既に立証したようにかかる引用商標1が本件商標出願時点において「シュープ」の称呼で周知であることが明白である。
ここで、本件商標の先願先登録商標である引用商標2ないし5は、その要部として上記「シュープ」の称呼で周知な引用商標1を含んでおり、「リス図形」等とは関係なく「シュープ」の称呼が生じることが明白である。
被請求人は、答弁書において、引用商標2及び3の称呼を「不明」であるとしているが、前述してきたように引用商標1が「シュープ」と称呼することが周知である以上、当該引用商標1を要部として含む引用商標2及び3も「シュープ」と称呼することは明白である。
イ なお、被請求人は、「引用商標4,5は、異議2002-90326号、異議2002-90328号の審理において、「本件商標は、『CHOOP』の文字部分から『チュープ』の称呼が生ずるものと認められる。」との認定がされていることから、引用商標4の審査時ばかりでなく、登録異議の申立の審理時においても、引用商標4,5は、「シュープ」との称呼は生じないと判断されている。」と主張するが妥当ではない。
なぜならば、当該異議申立の決定においては、単に、「本件商標は、『CHOOP』の文字部分から『チュープ』の称呼が生ずるものと認められる。」と判断しているのみであって、被請求人が主張するように「引用商標4,5は、『シュープ』との称呼は生じないと判断されている。」と判断しているわけではない。
すなわち、当該審理判断においては、引用商標1が「シュープ」として周知であるなどの取引実情は考慮されておらず、単に引用商標1の英文字「CHOOP」の外観態様から自然に発生する称呼である「チョープ」をもって形式的に判断されているからである。
故に、特許庁が「形式的に判断すれば『チョープ』の称呼が生ずる」とした判断を、被請求人が「『シュープ』との称呼は生じないと判断されている。」と曲げて解釈するのは妥当ではない。
したがって、商標法第4条第1項第11号類否判断においてもかかる取引実情を考慮し、実際に需要者の間で周知である「シュープ」の称呼をもって引用商標4,5の「CHOOP」の称呼を判断すべきである。
ウ 上述したように、英文字「CHOOP」は、本件商標の先願先登録商標である引用商標2ないし5の要部であって「シュープ」と称呼し、本件商標も、被請求人が答弁書において認めているように「シュープ」と称呼するので、称呼上同一であり、同一又は類似する商品について使用するので、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)以上述べてきたように、本件商標は、「シュープ」の称呼で周知な引用商標1に類似するにもかかわらず登録されたものであって、取引者及び需要者に対し出所の混同を生ぜしめるものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当し、また、先願先登録商標である引用商標2ないし5に類似するものであるから、同法第4条第1項第11号に該当するのでその登録を無効にすべきである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第65号証(枝番を含む。)を提出した。
1 商標法第4条第1項第10号について
(1)周知性が獲得されている商標の特定について
請求人は、文字商標「CHOOP」(引用商標1)について、「かばん類、袋物、傘その他これに類似する商品」において、「シュープ」の称呼によって需要者や取引者の間で周知となっていたと認定しているが、かかる認定は妥当ではない。
ア 引用商標1と「リス」との関係
請求人の証拠を検討するに、「CHOOP」に対して、「シュープ」とのルビを配して、宣伝活動をしていることが見受けられるものの、同時に、その殆どが、下記a)及びb)のいずれかの態様によるものである。
a)引用商標1について、「リス図形」と一体的、又は同一枠内、同一頁内に配置された態様での使用
b)引用商標1について、請求人が自認しているように「リスのマーク」を想起させる態様での使用
(ア)雑誌における取扱い
a)に該当するものは、請求人の提出した各証拠(甲第4号証ないし甲第36号証)から明らかである。
また、b)に該当するものとして、例えば、「CHOOP(シュープ)。リスのマークが最高カワイくって、」(甲第4号証)、「カジュアルブランド・シュープは、キュートなリスのロゴマークが目印だよ」(甲第6号証)、「リスのマークでおなじみのシュープ」(甲第7号証)、「リスがちょこんとおすわりしているマークが自まんの目じるしなんだ」(甲第8号証)、「リスがちょこんとおすわりしているマークが自まんの目じるしなんだ」(甲第9号証)、「リスのマークが目印のCHOOP」、「キュートなリスのマークが目印だよ」(甲第13号証)、「リスマークがキュートなCHOOP」(甲第16号証)、「リスと花柄がかわいい」(甲第18号証)、「もうすっかりおなじみになった、リスのマークが目印のシュープ。」(甲第19号証)、「リスのイメージ・キャラですっかりみんなの人気もの『シュープ』の」(甲第20号証)、「キュートなリスのロゴにファンも多いCHOOPは」(甲第21号証)、「リスのマークのCHOOPは、」(甲第22号証)、「リスのマークがトレードマークで、」(甲第24号証)、「かわいいリスのマークが目じるしだよ。」(甲第32号証)、「リス、リス、リス、リス、リス、リス、リス、リス、リス、リス、リス、リス、・・・リスが好き。」、「リスが好き。」(甲第60号証)のように表されていることが認められる。
(イ)新聞広告・コマーシャルにおける取扱い
いずれのテレビコマーシャル(甲第37号証の1及び2、甲第55号証、甲第59号証)についても、「リス」がテーマとされている。例えば、「リスとおおかみ編」(甲第37号証の1)については、「リス」との言葉がコマーシャル中に繰り返し発せられ、最後に、「シュープ」との音声と共に「リスがスキ。/(リス図形)/CHOOP(ロゴ)」が表示されている。そして、他のコマーシャルについても、同様に「リス」が強調された内容であり、「CHOOP」と「リス」とが、一体的なものとして認められる態様である。
さらに、新聞広告においても、欧文字「CHOOP」の多くが「リス図形」と同一枠に配置されており(甲第54号証の2及び3)、また、キャラクターである「リス」をテーマとして全面広告を展開している(甲第60号証、甲第61号証)。記事においても、例えば、「シュープはリスのマークがかわいい」(甲第65号証)、「リスをキャラクターモチーフとしたストリートカジュアルブランド『シュープ』」(甲第67号証)、「シュープはリスをキャラクターにしたブランド」(甲第69号証)、「リスをキャラクターにしたカジュアルブランド『シュープ』」(甲第70号証)。
したがって、需要者が、請求人の業務に係る商品であると認識し得るものは、「リス図形」と一体化した「CHOOP」であり、すなわち、「リスのシュープ」として、親しまれていることが明らかである。
イ 商品の特定
さらに、引用商標1が新聞記事等にて記載される際には、「ストリートカジュアル」との商品の特性と共に記載されている。
例えば、「カジュアルブランドを中心に成長してきたライセンスブランド」(甲第62号証)、「カジュアルブランドを着こなしてシーンを彩り」(甲第64号証)、「アメリカンカジュアルブランド」(甲第65号証)、「レディスカジュアルの『シュープ』」(甲第66号証)、「リスをキャラクターモチーフとしたストリートカジュアルブランド『シュープ』」(甲第67号証)、「レディスカジュアルウェア」(甲第68号証)、「リスをキャラクターにしたカジュアルブランド『シュープ』」(甲第70号証)、「カジュアルのトータルブランド・・・・『シュープ』」(甲第71号証)のように、「カジュアルブランドのシュープ」として、表示されている実情が認められる。
ウ 商標の特定
してみれば、「かばん類、袋物、傘その他これに類似する商品」における需要者が、引用商標1のみ、すなわち欧文字「CHOOP」のみで、直ちに「シュープ」との称呼を生じ得るとは考え難く、「かばん類、袋物、傘その他これに類似する商品」について、直ちに「シュープ」と称呼が生じるとの十分な証拠も無い。
むしろ、「リス図形が付加された態様」、もしくは「リスのマークのCHOOP」等の表示、もしくは、「カジュアルファッション」の表示と共に使用された際に、主たる需要者は、請求人の業務に係る商品であると認識し得ると判断するのが相当である。
以上のように、請求人は、周知性の獲得されている対象の認定を誤っており、「かばん類、袋物、傘その他これに類似する商品」について、文字商標「CHOOP」である引用商標1から「シュープ」との称呼が生じる程に周知性を獲得しているとの認定に基づいた、本件商標に対する商標法第4条第1項第10号に該当する、との請求人の主張は、失当である。
エ ブランド年鑑における掲載の意義
請求人は、「数々のブランド年鑑に掲載されるほど周知である」と主張しているが、これらのブランド年鑑は、アンケートに回答して提出することで、一律に無料で掲載されるものであることを出版元にて確認している(乙第2号証の1及び2)。そして、修正や訂正等がなければ、継続して毎年、同じ内容が掲載されるものである。
すなわち、回答したアンケートの内容がそのまま掲載されることから、請求人の「CHOOP」について、「シュープ」との表記は、請求人やライセンシーが積極的に行ったものに過ぎない。
これらのブランド年鑑に掲載された事実は、広告としての意味合いを有することは認め得るものであるが、掲載された事実をもって、いわゆる「周知ブランドである」と直ちに認められる性質のものではない。
なお、被請求人の「Shoop」ブランドは、企画・デザインを自ら展開するオリジナルブランドであって、「直営店のみで販売」するとのブランド戦略であることから、ライセンス各誌やブランド年鑑等に、敢えて掲載していないものである。
(2)本件商標について
ア 商標について
本件商標は、外観は、横向きの女性図形と欧文字「Shoop」からなり、「Shoop」とは、「R&B(リズム・アンド・ブルース)」、「ソウルミュージック」、「ヒップホップ」に代表されるブラックミュージック(以下「ブラックミュージック」という。)愛好者の間では「タメ息の音」を意味するものとして親しまれ、「セクシーさ」を想起させることから、本件商標の全体として「セクシーな黒人女性」との観念を生じさせるものである。
そして、外観構成から自然に生じる「シュープ」との称呼が生じるものである。
イ 本件商標の周知性の獲得
(ア)主たる需要者層
1996年以降、ダンス・ブーム、クラブ・ブームと共にブラックミュージック・ファッションブームが到来し、現在においては、「Bガール」若しくは「B-GIRL」、「B系」と称されて、一つのカテゴリーとして取り扱われる程度にブラックミュージック系のファッション(以下「B系ファッション」という。)は、特別な市場として確立している(乙第3号証)。
本件商標に係る商品(B系ファッション)は、セクシーさを趣向とする特徴を有することから、成熟した女性層をターゲットとしており、DJがヒップホップやR&Bの音楽を流すいわゆる「クラブ」は、夜10時以降から営業を始めることが多いことから、本件商標における主たる需要者として、「20代から30代」の「ブラックミュージックやクラブ文化を愛好する女性」又は「B系ファッションを愛好する層」を対象としている。
(イ)販売実績
本件商標は、本件商標の出願日(平成13年6月28日)より前から、「かばん類,袋物」について使用をしており、本件商標の登録時には、少なくとも46種類ものアイテムを製造・販売していることが認められる(乙第4号証の1ないし第6号証)。
そして、追加発注がなされる程に、本件商標の査定時には、人気を博していたことが認められる(乙第7号証の1ないし23)。
例えば、商品の一部を掲げるに、本件商標の査定時までに、7200個、6400個、2600個のかばん類が納品・販売がなされている(乙第8号証の1ないし4)。さらに、出願前より販売され、現在においても継続して販売がなされている定番商品は、3?4年間で、約1万3千個、約1万4千個、約8千個を販売する程に人気を博している(乙第8号証の5ないし7)。また、本件出願前の平成12年に限定すれば、約4400個のかばん類が納入され、販売されている(乙第9号証の1ないし乙第15号証の2)。
さらに、B系ファッションを愛好する層への周知化を図るべく、本件商標の査定時前より、「かばん類」について、B系ファッション雑誌において宣伝広告を展開している(乙第16号証ないし乙第22号証、乙第26号証)。そして、これらの広告記事からも明らかなように、平成13年7月1日時点において、渋谷、横浜、新宿、池袋といったB系ファッションを愛好する需要者が集まる地域に7店舗の直営店を展開しており(乙第16号証、乙第17号証、乙第19号証、乙第20号証)、査定時までに10店舗にまで拡大している(乙第21号証、乙第26号証)。そして、かかる直営店にて、本件商標が付された「かばん類,袋物」を販売しているものである。
このように、かばん類を含む「Shoop」ブランドは、本件商標の出願時・査定時において、B系ファッションを愛好する層において、広く親しまれており、かばん類を含む「Shoop」ブランドの商品販売高は、平成12年度は約8億円、平成13年度は約11億円、平成14年度は約15億円、平成15年度は約19億円にも上るものである(乙第23号証)。
そして、人気を博するにしたがって「Shoop」ブランドの模倣品が流出し始めたことから、広告において、「直営店のみでの販売」との注意を、需要者に対して喚起するまでに至っている(乙第29号証)。現在においても、模倣品が横行しているものの、既に周知性を獲得しているが故に、模倣品が発生した際には、警察側から取締対象として真正品確認の照会を受けるまでに至っている(乙第24号証の1ないし第25号証の2)。このように、「Shoop」に係る商標権の存在により、「Shoop」ブランドの模倣品が刑事罰の対象となった実績も看過し得ないところである。
(ウ)宣伝広告実績
上述のとおり、「かばん類,袋物」について、本件商標の出願前より現在まで、B系ファッション愛好者向けの雑誌にて、継続的に宣伝広告を展開しており、愛好されている実績が認められる(乙第16号証ないし乙第22号証、乙第26号ないし乙第44号証)。
そして、本件出願前の平成12年から、愛好者にして、「よくSHOOPで買いモノをしている」、「SHOOPがお気に入り」、「お気に入りのショップはSHOOP」(乙第45号証)、「好きなショップはSHOOP」(乙第46号証)と言わしめる程に人気を博し、また、クラブにおいて、「SHOOP」ブランドの被服類を着用している愛好者が多数、認められている(乙第47号証、乙第48号証)。B系ファッション雑誌の読者アンケートにおいても、「好きなブランド」及び「特集を組んでもらいたいブランド」のいずれについても上位に掲げられている(乙第49号)。
このように、本件出願前より「SHOOP」ブランドは、人気を博しており、本件商標の出願時・査定時には、B系ファッションの愛好者の間では、「かばん類,袋物」について周知性を獲得していることが認められる。
そして、流行の趨勢が激しいファッション界において、現在においても、「セクシー系のシュープ」、「B系ブランドのシュープ」として、ファッション分野において、人気を博しているところである(乙第50号証)。
ここにおいて、「SHOOP」ブランドにおける宣伝広告費を、被請求人が把握している範囲において述べるに、かばん類・被服類等に関するものについて、平成13年には約1千万円、査定時の平成14年は約5千万円、また、権利取得後については、「B系ファッション」を愛好する層が好む地域や媒体に対して集中的に宣伝・広告やイベントを展開しており、平成15年は約8千万円、平成16年には同様に約7千万円もの金額を宣伝広告費として支出し、「B系ファッション」を愛好する層が好む地域や媒体に対して集中的に宣伝・広告やイベントを展開している(乙第51号証ないし乙第57号証)。
このように、本件商標は、「B系ファッション」愛好者の間において、「B系ファッションのSHOOP」として、出願時・査定時において周知性を獲得しているものである。
(エ)本件商標の周知性の獲得のまとめ
上述のとおり、本件商標は、出願時・査定時において、「かばん類,袋物」について、「B系ファッションのSHOOP」として周知性を獲得していたものである。
したがって、本件商標に接した需要者は、「セクシーなB系ファッションのSHOOP」と直ちに理解し得るものであり、一方、請求人の使用商標に接した需要者は「ストリートカジュアルのリスのCHOOP」と理解し、直ちに区別し得るものである。
(3)バッグ類の取引の実情について
一般的に、ファッションの分野においては、趣向性(好み)が極めて大きく左右するところであり、需要者は充分に注意力を発揮する。そして、例えば、デパートでは販売フロアが異なる例からも明らかなように、性別のみならず、需要者の年代が異なれば、販売場所(地域、店舗)が異なるという特殊性を有する分野である。
そして、「かばん類,袋物,その他これに類似する商品」に関するブランドについては、それぞれに独自の趣向性があり、需要者をして明確に区別され得るものである。
以下、請求人の使用に係る商標と、本件商標の取引の実情を検討する。
ア 請求人の使用に係る商標について
請求人の使用に係る商標は、「リス図形が付加された態様」、もしくは「リスのマークのCHOOP」、「リスのシュープ」等の表示にて親しまれており、これらは、「ストリートカジュアル」ファッションを示す表示として広く親しまれていることが認められる。そして、主たる需要者層は、「ティーン世代」である。
イ 本件商標について
これに対して、本件商標に係る商品は、「セクシー」を趣向とする「B系ファッション」に属するものである。そして、主たる需要者として、「20代から30代」の「ブラックミュージックやクラブ文化を愛好する女性」又は「B系ファッションを愛好する層」を対象としており、流行性が激しいファッション分野において、「Shoop」は、「セクシー」な「B系ファッション」ブランドを示すものとして出願時・査定時において主たる需要者層において周知性を獲得しており、現在も、継続して地位を確立している(乙第58号証)。
(4)類否判断
上述のように、請求人の使用に係る商標が、「かばん類,袋物,その他これに類似する商品」について使用されているとしても、本件商標のブランドとは、その趣向性及び需要者層が、「カジュアル」と「セクシー」、「ティーン世代」と「20代から30代のブラックミュージックやクラブを愛好する女性」とのように全く相違するものである。そして、これらによって、明確に区別がなされていることは、請求人の各証拠からも明らかである(乙第3号証の3、甲第62号証、甲第66号証、甲第67号証、甲第69号証、甲第70号証、甲第71号証)。そして、実際に、ファッション業界においては、明確に区別されている実情が認められるところである(乙第58号証)。
してみれば、その市場・販売経路は全く異なるものであり、需要者・取引者をして明確に区別せしめるものである。
これらの事情を考慮しつつ、本件商標と引用商標1(文字商標「CHOOP」)との出所の混同のおそれの有無を検討すると、引用商標1と本件商標は、a)引用商標1は、「ティーン層の可愛い系ストリートカジュアル」において、「リス」の観念と強固に結合して親しまれていることから、「リスのシュープ」と称されること、b)引用商標1は、「リス」を強く想起しつつ取引に資されること、c)本件物品分野の需要者は、「外観」に極めて強く注意力を発揮すること、d)需要者層が全く相違すること(「20代?30代」に対して「ティーン層」)、e)本件商標は、「B系ファッション」として広く親しまれていること、との要素を総合的にかんがみれば、本件商標と引用商標1とは、彼此、相紛れるおそれはなく、需要者等に出所の混同を招来させるおそれはないものである。
(5)無効審判2004-35142号について
請求人は、「セーター類,ワイシャツ類,寝間き類,下着,水泳着,水泳帽及びこれらの類似商品」に関する無効審判2004-35142号の審決(甲第77号証)を掲げて、「この事実から、かかる衣類と同時に使用されるファッション関連商品であるバッグ等に関しても『CHOOP』が『シュープ』として周知であると類推することができる」と主張している。
しかしながら、無効審判2004-35142号は、「雑貨小物,キッズウェア,パジャマ,レディスカジュアルウェア」については判断しているものの、本件の対象である「かばん類、袋物、傘その他これに類似する商品」に対する判断ではない。
4条1項10号を適用せしめる周知性の獲得については、個別具体的に判断すべきであり、当該審判における判断を、直ちに、「かばん類、袋物、傘及びこれらの類似品」に類推し得るとの請求人の主張は、失当である。
(6)まとめ
上述のとおり、本件商標は、請求人の業務に係る商品について使用する引用商標1に類似するものではなく、出所の混同を招来させるおそれもないことから、商標法第4項第1項第10号に該当するものではない。
2 商標法第4条第1項第11号について
(1)引用商標2ないし5との関係について
請求人は、引用商標2ないし5を掲げ、「これらの登録商標の文字部分『CHOOP』は、称呼『シュープ』が生じると一般の需要者に広く認識されていることから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する」と主張しているが、かかる主張は妥当ではない。以下、その理由を詳述する。
(2)周知性を獲得した商標の特定の誤り
上述のとおり、広く親しまれているものは「(リス図形)CHOOP」、「リスのCHOOP」であり、引用商標1、すなわち、文字商標「CHOOP」ではない。
してみれば、「かばん類、袋物、傘その他これに類似する商品」に関して、文字商標「CHOOP」のみについては、生じる称呼が不明であり、文字商標「CHOOP」に接した需要者層に、直ちに「シュープ」と称呼せしめるとは言い難いものである。このことについて、以下、ア?ウの具体例を掲げる。
ア 引用商標4(登録第4545250号)
引用商標4は、設定登録後、平成14年5月27日に商標登録の異議申立がなされており(異議2002-90326号)、かかる審理において、「本件商標は、『choop』の文字部分から『チュープ』の称呼が生ずるものと認められる。」との認定によって、「登録第4545250号商標の商標登録を維持する。」との決定を受けている(平成14年12月24日 乙第59号証)。
してみれば、引用商標4の審査時(査定起案日:平成14年1月15日)ばかりでなく、平成14年12月24日時点においても、「チュープ」との称呼のみ生じるものと判断され、登録を受けたものと思料される。
イ 引用商標5(登録第4545252号)
引用商標5は、設定登録後、平成14年5月27日に商標登録の異議申立がなされており(異議2002-90328号)、審理において、「本件商標は、『CHOOP』の文字部分から『チュープ』の称呼が生ずるものと認められる。」との認定によって、「登録第4545252号商標の商標登録を維持する。」との決定を受けている(平成15年1月16日 乙第60号証)。
してみれば、引用商標5の審査時(査定起案日:平成14年1月15日)ばかりでなく、平成15年1月16日時点においても、引用商標5は「チュープ」との称呼のみ生じるものと判断され、登録を受けたものと思料される。
ウ 他の登録例との関係
また、請求人は、本件商標が登録され、商標公報が発行(平成14年5月21日)された後に、「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘」について商標「CHOOP/classic」(登録第4672593号 乙第61号証)及び商標「CHOOP」(登録第4707746号 乙第62号証)を出願し、登録を受けている。
すなわち、これらの商標は、「本件商標とは非類似である」と判断され、登録を受けたものである。
エ まとめ
これらの審査例をかんがみても、「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ」等について、請求人の各商標から、当然に「シュープ」との称呼が生じるとは、認め難いものである。
(3)引用商標2及び3
引用商標2及び3は、大きなリス図形の下部に「CHOOP」と表示してなる態様であり、商標全体から「リスのCHOOP」と理解されるものであり、周知性を獲得している請求人使用商標とあいまって、「リスのシュープ」との称呼及び観念が生じるものである。
したがって、横向きの女性図形と欧文字「Shoop」からなる外観であって、かかる態様から、本件商標に接した需要者層に、「セクシーな黒人女性・シュープ」との強い観念を想起させつつ、「シュープ」との称呼を生じせしめる本件商標と、引用商標2及び3とは、外観、観念、称呼のいずれにおいても明確に区別し得る非類似の商標と判断するのが相当である。
(4)引用商標2ないし5との関係におけるまとめ
上述のとおり、文字商標「CHOOP」のみから、直ちに「シュープ」との称呼が生じるものと、「一般の需要者」に広く認識されていたものではない。また、「CHOOP」との文字からは、本件商標の査定時、それ以降においても、「シュープ」との称呼が生じないと判断されている(乙第63号証)。
仮に、引用商標2ないし5から「シュープ」との称呼が生じることがあるとしても、請求人の「CHOOP」は、「リス」、「リスのマーク」を伴って親しまれている実情をかんがみると、単に「シュープ」との称呼が生じるというよりも、むしろ、「リスのCHOOP」(リスのシュープ)との称呼が生じるものである。
そして、「シュープ」と称呼する際には、「リス」、「リスのCHOOP」と強く認識しつつ「リスのシュープ」と称呼せしめるものである。
一方、本件商標は「セクシーな黒人女性的なB系ファッションブランド」として広く親しまれていることから、本件商標に接した需要者は、「セクシーな黒人女性」、「B系ファッション」とのイメージを強く認識しつつ「シュープ」と称呼するものである(乙第65号証)。
このように、請求人の商標「CHOOP」は、「リス図形」や「リス」と一体的なものとして広く親しまれており、すなわち、「リス」との「観念」と強固に結びついており、例え、「シュープ」との称呼が共通するとしても、請求人の引用商標に接した需要者は「リス」を強く想起しつつ称呼するのに対して、本件商標については、「セクシーな黒人女性」を想起しつつ称呼することから、請求人の各引用商標と本件商標に接した需要者は、「リスのCHOOP」と「セクシーな黒人女性的なファッションのSHOOP」として、明確に区別し得るものである。
そして、かかる「観念」の相違が強く発揮され、称呼の共通性を凌駕するものである。
したがって、本件商標は、引用商標2ないし5との関係において、称呼、外観、観念のいずれにおいても明確に区別し得る非類似の商標と判断するのが相当であり、商標法第4条第1項第11号に該当しないものである。

第4 当審の判断
本件商標は、引用商標1との関係で商標法第4条第1項第10号に該当し、また、引用商標2ないし5との関係で同法第4条第1項第11号に該当する、と請求人は主張し、甲各号証を提出しているので、以下、本件の事案の性質にかんがみて、引用商標1(「CHOOP」)の周知性から検討する。
1 引用商標1の周知性について
(1)事実認定
ア 本件商標の出願前の2002年10月31日ボイス情報株式会社発行に係る「ライセンスビジネス名鑑2003〔ブランド編〕」(甲第3号証)によれば、ブランド名「CHOOP(シュープ)」の頁には、「ライセンス窓口」の欄に「クラウンファンシーグッヅ(株)」、当該ブランドの「開始年」の欄に「1994年」、「ライセンス状況」の欄に「雑貨小物、キッズウェア、パジャマ、レディスカジュアルウェア、バッグ、傘」等がそれぞれ記載されている。
イ 本件商標の出願前の1994年から2001年にかけて発行された「Zipper」、「mcSister」、「Lemon」、「POMME」、「Olive」、「ピチレモン」、「nicola」、「Cawaii」等のティーン層の少女をターゲットとする雑誌に、「CHOOP」の文字及び「シュープ」の文字を併用した広告がされている(甲第4号証ないし甲第15号証、甲第17号証ないし甲第22号証、甲第24号証ないし甲第27号証、甲第32号証ないし甲第36号証)。
ウ 請求人が広告主として放映したと認め得る「テレビCM放送証明書、テレビタイム放送確認書」(甲第37号証ないし甲第53号証)によれば、1995年から1999年にかけて、「CHOOP」のテレビコマーシャルが「CHOOP」の文字の映像と共に、「リスがめじるし ストリートカジュアル シュープ」、「ストリートカジュアル シュープ」など「シュープ」の音声を用いたテレビコマーシャルが各地で放映されている。
エ 請求人の提供に係るティーン層の少女を主人公とするテレビドラマ(放映日:1998年8月15日、1999年3月22日及び2000年4月1日)が新聞に取り上げられ、これらに「CHOOP」の文字及び「シュープ」の文字が併記され、又は「シュープ」の文字が記載されている(甲第54号証、甲第56号証ないし甲第58号証、甲第60号証)。
オ 前記テレビドラマにおいて、「CHOOP」の文字の映像と共に、「リスがすき ストリートカジュアル シュープ」など「シュープ」の音声が用いられている(甲第55号証及び甲第59号証)。
カ 請求人が広告主である2000年3月30日付けの日経流通新聞の全面広告(1頁分)には、「なんて読むのコレ?」、「CHOOP」及び「シュープ」等の文字が、それぞれ吹き出し形状の図形中に記載されている(甲第60号証)。また、同年6月21日付けの繊研新聞の全面広告(1頁分)には、リスの図形と「CHOOP」の文字からなる標章の右隣に「シュープ」の文字が大書きされ、それに続いて「“リス”をキャラクターモチーフにしたティーンズカジュアルのブランド。10歳から14歳のティーンズをコアターゲットにフレンチ、アメリカン、ポップの中間領域をねらった新しいストリートカジュアルを訴求する。これとは別に今春から『シュープ』のサブブランド展開をスタートさせている。基幹ブランド『シュープ』では取り込めない客層をサブブランド化で対応していくやり方だ。具体的にはスポーツラインの『シュープ・スポーティブ』とベビー・キッズ向けの『シュープランド』がそれ。『シュープ・スポーティブ』はヤングを中心顧客対象とした既存のシュープでは取りこめない主婦層の獲得が主なねらい。」と記載されている(甲第61号証)。
キ 1997年から2001年にかけて発行された繊研新聞にファションブランドとしての「シュープ」が取り上げられている(甲第62号証ないし甲第71号証)。
ク 「ファッション・ブランド年鑑2001年版」(甲第72号証)、「ファッションブランドガイド SENKEN FB2001」(甲第73号証)、「ファッションブランドガイド SENKEN FB2002」(甲第74号証)、「’99ライセンスブランド&キャラクター名鑑」(甲第75号証)、「ライセンスブランド&キャラクター名鑑2000」(甲第76号証)、「ライセンスブランド名鑑2004」(甲第86号証)に「CHOOP」の文字及び「シュープ」の文字が併記されている。
ケ 引用商標1を使用した請求人又はそのライセンシーの商品は、バッグ、傘、雑貨小物、キッズウェア、パジャマ、レディスカジュアルウェアなどであることが認められる。
(2)判断
前記(1)の各事実を総合すれば、請求人又はそのライセンシーの使用に係る引用商標1は、本件商標の出願前から、主として「ティーン世代の少女層向けの可愛いカジュアルファッション」に関心を抱く需要者層をターゲットに、雑誌、テレビ、業界誌等において広告宣伝されるとともに、バッグ、傘、雑貨小物、キッズウェア、パジャマ、レディスカジュアルウェアなどの商品に幅広く使用されてきたということができるから、引用商標1は、遅くとも本件商標の出願時には、既に請求人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたと認めるのが相当である。しかし、後記2(2)のとおり、引用商標1において「シュープ」の称呼が生じ得ることは認められるが、同称呼が、あらゆる需要者層において、広く認識されていたとまで認めることはできない。
2 商標法第4条第1項第10号について
(1)商標法第4条第1項第10号は、「他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であって、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの」については、商標登録を受けることができない旨規定している。
商標法第4条第1項第10号における商標の類否は、同法第4条第1項第11号の場合と同様に、対比される両商標が同一又は類似の商品・役務に使用された場合に、商品・役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであり、誤認混同を生ずるおそれがあるか否かは、そのような商品・役務に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者及び需要者に与える印象、記憶、連想等を考察するとともに、その商品・役務の取引の実情を明らかにし得る限り、その具体的な取引状況に照らし、その商品・役務の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断すべきものと解される(最高裁昭和39年(行ツ)第110号同43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号399頁参照)。
(2)上記の観点から、本件商標と引用商標1の類否について検討する。
ア 外観について
本件商標は、別掲(1)に示すとおり、耳の一部と大型のイヤリング及び鼻の横の一部を白抜きにしてシルエット状に大きく描いた女性の横顔と思しき図形と、デザイン化された「Shoop」の文字との結合からなるものであるのに対し、引用商標1は、「CHOOP」の文字からなるものであるから、両者は、図形の有無に加え、本件商標を構成する「Shoop」の文字がデザイン化されていること、同文字と引用商標1を構成する「CHOOP」の文字とは、先頭文字が「S」と「C」との点で異なり、前者は後続する「hoop」が小文字で表記されているのに対して、後者は後続する「HOOP」が大文字で表記されている点において異なる点で、本件商標と引用商標1はその外観において相違する。
イ 観念について
本件商標を構成する図形部分からは、「女性の横顔のシルエット」程の観念を生じるものということができるものの、本件商標を構成する「Shoop」の文字部分は、少なくとも、いわゆるブラックミュージックの愛好者の間では、「タメ息の音」を意味する俗語として認識されているが、必ずしも一般的な観念が生じるとまでは認定できず、他方、引用商標1を構成する「CHOOP」の文字も、一般的な観念は生じないので、観念における対比をすることができない。
ウ 称呼について
本件商標を構成する図形部分と文字部分とは、その外観上、両部分が分離されないような態様で構成されているものではなく、また、両部分が不可分のものとして一つの観念を形成しているものともいえないから、両部分は、これを分離して観察することが取引上不自然と考えられるほど不可分一体に結合しているということはできない。そうすると、本件商標は、その文字部分である「Shoop」も独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものというべきであり、当該文字部分に相応して、最も自然な「シュープ」の称呼を生ずるものと認められる。
他方、引用商標1は、前記1のとおり、「シュープ」の文字を併記し、また「シュープ」の音声を用いた広告宣伝活動の結果、引用商標1から「シュープ」の称呼が生じ得ることが認定できる。しかし、引用商標1は、「CHOOP」の文字からなるものであり、自然な称呼は、「チュープ」あるいは「チョープ」であることに照らすならば、確かに、請求人が広告宣伝を行ってきた「ティーン世代の少女層向けの可愛いカジュアルファッション」に関心を抱く需要者層に対しては、「シュープ」の称呼を想起させるものといえるが、それ以外の一般消費者に対して、「シュープ」の称呼を想起させるものとはいえないというべきである。したがって、引用商標1において、「シュープ」の称呼が、あらゆる需要者層において、広く認識されていたとまで認めることはできない。
エ 取引の実情等
(ア)引用商標1は、前記1(1)の各事実及び前述の雑誌、新聞等に掲載された広告宣伝、記事等の内容に照らせば、アメリカ生まれの元気なブランド、あるいはおしゃれでキュートなブランドというコンセプトの下、ティーン世代の少女層をターゲットとして、請求人による引用商標1の使用(請求人のライセンシーによる使用を含む。)及び広告宣伝活動が継続された結果、本件商標の出願時及び査定時には、「ティーン世代の少女層向けの可愛いカジュアルファッションブランド」を想起させるものとして、需要者層を開拓していたものと認められる。
(イ)他方、被請求人の提出に係る証拠及び答弁の全趣旨によれば、a)本件商標は、その構成中の「Shoop」の文字から、「シュープ」との称呼を生じるものであること、b)「Shoop」は、少なくとも、いわゆるブラックミュージックの愛好者の間では、「タメ息の音」を意味する俗語として認識されていること、c)本件商標は、被請求人により、B系ファッションをコンセプトとして、広告宣伝が行われ、平成13年5月に発行された雑誌には、「完全クラブ仕様のデザインは絶大な人気、全身コーディネート可能なのも魅力」、「クラブ・クルーズする夜は、昼間よりゴージャスにして目立ちたい! そんな女の子の心理をわかってらっしゃるショップ、SHOOP。」及び「セクシー&ワイルドなテイストを求めるなら絶対外せないショップだ。」などとして紹介され(乙第18号証)、平成13年から平成14年にかけて発行された雑誌に本件商標又は「Shoop」ないし「SHOOP」を用いたB系ファッションを趣向とする女性向け被服やバッグ及びその直営店の広告が掲載され(乙第16号証ないし乙第22号証、乙第26号証、乙第46号証)、平成13年3月28日発売のブラック・テイストから生まれたニュー・タイプ・ファッション誌「LUIRE」(ルイール)にて読者アンケートを実施した結果、「今、好きなブランドは?」及び「今後、特集を組んでもらいたいブランド」について、「Shoop」は、それぞれ、第3位及び第5位であったことが調査会社より報告されたこと(乙第16号証、乙第49号証)d)被請求人は、遅くとも本件商標の出願時までに、渋谷、新宿、池袋、横浜などのB系ファッションを愛好する需要者が集まる地域に7の直営店を展開し(乙第16号証、乙第19号証、乙第20号証)、その後、これを査定時までに10店舗に拡大したこと(乙第21号証、乙第26号証)、e)かばん類を含む「Shoop」ブランドの商品販売高は、平成12年度は約8億円、平成13年度は約11億円、平成14年度は約15億円であったこと(乙第23号証)、f)本件商標の査定後のものではあるものの、その後間もない平成14年7月には、東京都内(渋谷?新宿)にラッピングバスを走らせ(乙第51号証)、平成14年9月には、「Shoop」がタイアップした音楽CD「R&B/HIPHOPPARTY2002」を販売するなど(乙第53号証)、B系ファッションを愛好する層が集まる地域やメディアをターゲットとして、積極的な広告宣伝を展開したこと、等の事実が認められる。
前記各事実及び前述の雑誌等に掲載された本件商標に関する広告、記事等の内容に照らせば、B系ファッションを対象とするブランドというコンセプトの下、セクシーさを趣向するものとして、20代から30代の成熟した女性層やいわゆるクラブにおけるダンス愛好者をターゲットとして、被請求人による本件商標の使用及び広告宣伝活動が継続された結果、本件商標の出願時及び査定時には、「Shoop」の欧文字をその構成中に有してなる本件商標は、「セクシーなB系ファッションブランド」を想起させるものとして、需要者層を開拓していたものと認められる。
(ウ)また、引用商標1の使用された商品に関心を示す、「ティーン世代の少女層向けの可愛いカジュアルファッション」を好む需要者層と、本件商標の使用された商品に関心を示す、いわゆる「セクシーなB系ファッション」を好む需要者層とは、被服等の趣向(好み、テイスト)や動機(着用目的、着用場所等)において相違することが認められる。
オ 商品の出所についての誤認混同のおそれ
以上によれば、引用商標1から、「シュープ」の称呼が生じる旨認識している需要者は、請求人が広告宣伝を行ってきた「ティーン世代の少女層向けの可愛いカジュアルファッション」に関心を抱く需要者層であって、本件商標が使用された商品に関心を抱く「セクシーなB系ファッション」の需要者層やそれ以外の一般消費者ではないといえる。結局、請求人が広告宣伝を行ってきた需要者層以外の消費者については、引用商標1から「シュープ」の称呼が生じると認識することはなく、前記認定した取引の実情等を総合すれば、称呼を共通にすることによる混同は生じないということができる。
その他、本件商標と引用商標1とは、観念においては対比できないものの、外観においては相違する。
そうすると、本件商標は、その指定商品中「かばん類、袋物、傘」に使用された場合、引用商標1とは異なる印象、記憶、連想等を需要者に与えるものと認められ、商品の出所につき誤認混同を生じるおそれはないというべきであるから、互いに非類似の商標といわなければならない。
カ 請求人の主張について
(ア)請求人は、引用商標1のサブブランドである「CHOOP SPORTIVE」及び「CHOOP CLASSIC」の各商標の主な需要者層が本件商標を付した商品の需要者層と共通する旨主張する。
しかし、前記オのとおり、本件商標は、その指定商品中「かばん類、袋物、傘」に使用された場合、引用商標1とは異なる印象、記憶、連想等を取引者、需要者に与えるものと認められ、その結果、出所に混同を来すことはないというべきであって、特定の商品の需要者層が共通する場合があることによって、かかる認定判断が左右されるものではない。したがって、請求人の上記主張は採用することができない。
(イ)請求人は、商標の類否判断において考慮される取引の実情においては、現時点における商標の具体的使用態様等の将来変動する可能性もある個別事情を過大に考慮すべきではない旨主張する。
しかし、本件商標から生じる称呼と引用商標1から生じる自然な称呼とは異なるものであって、引用商標1は、継続的使用及び広告宣伝の結果、特定の需要者に対して、「シュープ」との称呼を生ずるものとして認識されるに至ったのであるから、両商標の類否に当たり取引の実情を考慮することは当然に許されるというべきである。したがって、請求人の上記主張も採用することができない。
キ 小括
以上によれば、本件商標の登録出願時において、引用商標1が、請求人の業務に係る商品を表示するものとして取引者、需要者の間に広く認識されているものであるとしても、本件商標と引用商標1とは、互いに非類似の商標というべきであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当するものとはいえない。
3 商標法第4条第1項第11号について
引用商標2ないし5は、別掲(2)ないし(4)のとおり、いずれもその構成中に「CHOOP」又は「choop」の文字を有してなるところ、これら各文字が引用商標1と同一又は類似であることから「シュープ」の称呼が生じ得るとしても、上記のとおり、本件商標とは、外観、観念、称呼及び取引の実情を総合して勘案すると、「シュープ」の称呼を共通にすることによる混同は生じないというべきであるし、また、引用商標2ないし5における図形部分は、本件商標とは類似しないものであること明らかであるから、結局、本件商標は、引用商標2ないし5とも互いに非類似の商標といわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
4 結語
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効にすべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲

(1)本件商標


(2)引用商標2及び3


(3)引用商標4


(4)引用商標5




審理終結日 2009-02-02 
結審通知日 2009-02-05 
審決日 2009-03-30 
出願番号 商願2001-59063(T2001-59063) 
審決分類 T 1 12・ 25- Y (Z18)
T 1 12・ 26- Y (Z18)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 井岡 賢一 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 田村 正明
安達 輝幸
登録日 2002-04-12 
登録番号 商標登録第4558873号(T4558873) 
商標の称呼 シュープ 
代理人 小山 輝晃 
代理人 吉田 芳春 
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