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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 Y25
審判 全部申立て  登録を維持 Y25
審判 全部申立て  登録を維持 Y25
審判 全部申立て  登録を維持 Y25
管理番号 1197385 
異議申立番号 異議2008-685008 
総通号数 114 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2009-06-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2008-03-18 
確定日 2009-04-06 
異議申立件数
事件の表示 国際商標登録第906673号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 国際商標登録第906673号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件商標は、別掲(1)の構成よりなり、2006年(平成18年)6月29日にGermanyにおいてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、2006年(平成18年)10月13日を国際登録の日とし、第25類「Clothing,footwear,headgear」を指定商品として、平成20年2月15日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下、「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下の(1)ないし(4)である。
(1)登録第2148445号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(2)の構成よりなり、昭和52年6月6日に登録出願、第17類「被服(運動用特殊被服を除く)布製身回品(他の類に属するものを除く)寝具類(寝台を除く)」を指定商品として、平成1年6月23日に設定登録され、その後、商標権存続期間の更新登録がされたものである。
(2)登録第2286907号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲(3)の構成よりなり、昭和55年7月4日に登録出願、第22類「はき物(運動用特殊靴を除く)かさ、つえ、これらの部品および附属品」を指定商品として、平成2年12月26日に設定登録され、その後、商標権存続期間の更新登録がされ、また、指定商品については、同13年4月25日に、第25類「履物」の他、第6類、第14類、第18類、第21類、第22類及び第26類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品とする書換登録がなされたものである。
(3)登録第4860114号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲(4)の構成よりなり、平成12年12月28日に登録出願、第25類「被服,履物,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,仮装用衣服」の他、第3類、第9類、第14類、第16類、第18類、第21類、第24類及び第26類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同17年4月28日に設定登録されたものである。
(4)登録第4915256号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲(5)の構成よりなり、平成16年11月11日に登録出願、第25類「被服,履物,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,仮装用衣服」の他、第18類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同17年12月16日に設定登録されたものである。
以下、上記(1)ないし(4)をまとめていうときは、「引用商標」という。
2 登録異議の申立ての理由の要点
(1)商標法第4条第1項第11号について
まず、本件商標と引用商標の称呼の類否についてみるに、本件商標からは、「ワイズ」及び「ワイエス」の自然称呼を生ずる。
また、引用商標からは、「ワイズ」及び「ワイエス」の自然称呼を生ずる。
してみれば、本件商標と引用商標とは、自然称呼を共通にするものであるから、両商標は、称呼上類似する商標である
次に、本件商標と引用商標1ないし引用商標3の外観の類否についてみるに、本件商標は別添(1)のとおり、ローマ字の”YS”の文字及び当該文字を囲む略楕円状の図形からなる商標である。
一方、引用商標1ないし引用商標3は、別添(2)ないし(4)のとおり、活字体の大文字“Y”と小文字“s”とをアポストロフィ「’」で結合してなる商標である。
そこで、本件商標の文字部分と引用商標1ないし引用商標3とを比較すると、両者は、“Y”と“S”の文字から構成される点を共通にしているものである。
そして、これら共通点は、引用商標1ないし引用商標3の外観上の特徴点であるとともに、本件商標並びに引用商標1ないし引用商標3の基礎となる部分である。
よって、本件商標と引用商標1ないし引用商標3は、略楕円状の図形の有無及びアポストロフィの有無の差異を有するものの、時と処を異にしてみたときには、標章全体から受ける視覚的印象は極めて似通っているため、需要者、取引者が類似する標章として相見間違うおそれがある。
また、被服、履物等の取引界において、商標をワンポイントマークとして使用することが普通に行われていること、及び、それらはかなり小さい表示形態となることは、取引における一般的な実情であるというべきである。
さらに、引用商標1ないし引用商標3は、被服、履物等のブランドとして国内外で周知・著名な表示であり、相当程度広く認識されているものであるから、本件商標と引用商標1ないし引用商標3を時と処を異にしてみたときには、需要者、取引者の印象・記憶に強く残る部分は、引用商標1ないし引用商標3の周知な“Y”と“s”からなる構成であるというべきである。
してみれば、本件商標と引用商標1ないし引用商標3は、外観上類似する商標である。
また、本件商標の指定商品中には、引用商標と同一又は類似する商品を含んである。
そうとすれば、本件商標と引用商標とは、商標が類似するとともに、指定商品も同一又は類似するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する商標であるから、その登録を取消されるべきである。
(2)商標法第4条第1項第10号について
ア 本件商標は、本件商標の優先日である平成18年(2006年)6月29日の時点並びに登録査定の時点において、申立人の業務にかかる商品、即ち、被服、履物等を表示するものとして需要者の間に広く認識されている引用商標に類似する商標であって、その商品又はこれらに類似する商品について使用するものである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する商標であるから、その登録を取消されるべきである。
イ 引用商標の使用開始時期、使用期間及び使用対象商品
引用商標は、申立人の代表取締役であるファッションデザイナーの山本耀司氏が展開するブランドライン名の一つである“Y’s(ワイズ)”を表したものである。
ファッションデザイナーである山本耀司は、昭和47年(1972年)に株式会社ワイズを設立後、昭和52年(1977年)の東京コレクション、昭和56年(1981年)のパリ・プレタポルテコレクションでのデビューを経て、今日に至るまで国内外の第一線で活躍し、川久保玲、三宅一生と並びわが国を代表する世界のトップデザイナーとしての地位を確立している(甲第7号証ないし甲第10号証)。
山本耀司は、最近も、平成16年に春の紫綬褒章、同年にイタリア・トスカーナ州の「銀の旗賞」、平成17年(2005年)にフランスの国家功労勲章オフィシエ等をそれぞれ受章するなど(甲第8号証ないし甲第11号証)、国内外で高い評価を得ている。
また、申立人は、競争力の高い日本ブランドを海外市場に発信・普及しているとして、平成17年8月に経済産業大臣表彰の「日本ブランド創造貢献企業表彰」を受けているが、その際のプレス用参考資料においても山本耀司に関する国内外での高い評価について紹介されている(甲第12号証)。
そして、“Y’s”の表示は、山本耀司のデザインによる被服、履物等を表すものとして30年以上に亘り継続して使用された結果、申立人の取り扱う商品を表示するものとして、我が国における当該商品の取引者、需要者の間で広く認識されているものと認められる。
また、“Y’s”の表示は、男性物の被服等のブランド“Y’s for men”、生活雑貨のブランド“Y’s for living”等、女性物の被服、履物等に限らず幅広い分野において、山本耀司のデザインによる商品を表すものとして使用されており、取引者、需要者の間に広く認識されている。
ウ 引用商標の使用地域
引用商標は、日本全国において、被服、履物等について使用されている。
申立人は、日本国内の合計34箇所の店舗(甲第13号証)を介し、引用商標の使用対象商品である被服、履物等の販売を継続している。
また、申立人は、海外においても、11の現地法人(甲第14号証)と、ニューヨーク、パリ、ロンドン、アントワープの4箇所の店舗(甲第15号証)を介し、引用各商標の使用対象商品である被服、履物等の販売を継続している。
さらに、申立人は、平成20年(2008年)4月28日に中国の北京において、中国人民対外友好協会と「ワイズ(Y’s)」のファッションショーを共催するとともに、同20年9月には引用商標の使用対象商品である被服、履物等を販売する店舗を中国にオープンする予定である(甲第16号証)。
また、申立人は、申立人のホームページ等においても、引用商標を使用した広告宣伝を行っている(甲第17号証)。
以上より、引用商標は、被服、履物等について、日本も含めた世界各国において使用されている商標であることは明らかであり、引用商標の商標権者の業務に係る商品、即ち、被服、履物等を表示するものとして、需要者、取引者の間に広く認識されている商標である。
かかる周知な引用商標に類似する本件商標について、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品について登録を認めることは、需要者、取引者に誤認混同を生じさせるおそれがある。
エ 小括
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する商標であるから、その登録を取消されるべきである。
(3)商標法第4条第1項第15号について
上述のとおり、引用商標は、申立人の事業に係る表示、即ち被服、履物等のブランドとして、広く一般に知られている商標である。
そして、本件商標の構成は、需要者に容易に周知、著名な引用商標を連想させるものである。
よって、本件商標をその指定商品に使用したときには、当該商品が引用各商標の商標権者の商品に係るものであると誤認されるおそれがあるのみならず、当該商品が引用商標の商標権者との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係等にある者の業務に係る商品であると誤認されるおそれ(いわゆる「広義の混同を生ずるおそれ」)があり、本件商標は周知著名表示へのただ乗り(いわゆる「フリーライド」)及び周知著名表示の希釈化(いわゆる「ダイリューション」)をするものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する商標であるから、その登録を取消されるべきである。
(4)商標法第4条第1項第19号について
本件商標は、本件商標の優先日である平成18年(2006年)6月29日の時点並びに登録査定の時点において、引用各商標の権利者の業務にかかる商品、即ち、被服、履物等を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と類似の商標である。
また、本件商標の文字部分は、引用各商標”Y’s”の構成文字と同じ“Y”と“S”の文字からなるものである。
よって、本件商標は、引用各商標に化体した信用にただ乗りして採択されたものと考えられ、本件商標の使用により引用商標の出所表示機能を希釈化しその名声を毀損させるおそれがある、すなわち、不正の目的があると推認し得るものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する商標であるから、その登録を取消されるべきである。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第10号及び同第11号について
本件商標は、別掲(1)のとおり、相当に図案化された欧文字の「Y」及び「S」(以下、当該「Y」及び「S」を併せていうときは、「文字部分」という。)を並列に並べ、当該「Y」の文字の左側中央から左下に弧を描くように広がりつつ当該「Y」の文字の下まで伸びたあと右にはねるように幅が狭くなった曲線及び当該「S」の文字の右側中央から右上に弧を描くように広がりつつ当該「S」の文字の上まで伸びたあと左にはねるように幅が狭くなった曲線(以下、「Y」の文字の左側から伸びている曲線及び「S」の文字の右側から伸びている曲線を併せていうときは、「図形部分」という。)を配しなるものであり、文字部分と図形部分は、ともに灰色で描かれている。
しかるところ、文字部分は、相当に図案化されているため特定の称呼を生ずるとはいい難い。
仮に、文字部分から称呼を生ずるとしても、文字部分は、「Y」(ワイ)と「S」(エス)を並列に並べてなるものであるから、その構成よりして「ワイエス」の称呼のみを生ずるというべきである
一方、引用商標は、欧文字の大文字「Y」、アポストロフィ「’」及び欧文字の小文字「s」よりなるものであるところ、日本で親しまれている英語において、「boy’s」が「ボーイズ」と称呼され、また、「baby’s」が「ベイビーズ」と称呼されることに倣えば、「?’s」は、「?ズ」と一般に称呼されるというのが相当である。
そうとすれば、引用商標からは、「ワイズ」の称呼のみを生ずるというべきである。
そこで、本件商標より生ずる「ワイエス」の称呼と引用商標より生ずる「ワイズ」の称呼とを比較するに、両商標は、その音構成及び構成音数において明らかに相違する称呼上非類似の商標である。
次に、外観についてみるに、本件商標は上に述べた構成よりなるものであって文字部分と図形部分とが一体的に表示されているものであるから、外観上、本件商標から文字部分のみが分離され、認識、把握されるというのは不自然である。
そして、本件商標の構成全体の外観と引用商標の外観と比較すれば、構成態様が異なっていることは明らかである。
したがって、本件商標と引用商標とは、外観上非類似の商標である。
また、観念についてみるに、本件商標も引用商標もともに観念を有さない造語と認められるから、観念については比較することができない。
そうとすれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても類似しない非類似の商標である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第11号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
申立人は、引用商標が、被服、履物等のブランドとして、申立人の事業を表示するものとして広く知られている旨主張し、甲第1号証ないし甲第17号証を提出している。
しかしながら、甲各号証の中で、引用商標が実際に使用されているのは、甲第13号証ないし甲第17号証であるところ、これらは、いずれも、WEBサイトの写しにすぎず、そのうち、甲第13号証ないし甲第15号証及び17号証は、申立人が開設するWEBサイトの写しである。
してみれば、この程度の証拠によっては、引用商標が、申立人の事業を表示するものとして広く知られていると認めることはできない。
また、本件商標と引用商標とが非類似の商標であることは、上記(1)で述べたとおりである。
そうとすれば、本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者が、引用商標を連想、想起し、申立人又は申立人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれのないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第19号について
本件商標と引用商標とが非類似の商標であることは、上記(1)で述べたとおりである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(4)むすび
本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第11号、同第15号及び同第19号のいずれの規定にも違反して登録されたものではないから、本件商標は商標法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
なお、申立人は、平成20年7月28日付け提出の上申書及び同年12月4日付け提出の上申書において、商標権者と交渉していることを理由として審理の開始を待ってほしい旨述べているが、本件登録異議の申立てから、相当の期間が経過していることから、審理を進めることとした。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 【別記】





異議決定日 2009-03-18 
審決分類 T 1 651・ 26- Y (Y25)
T 1 651・ 222- Y (Y25)
T 1 651・ 25- Y (Y25)
T 1 651・ 271- Y (Y25)
最終処分 維持  
前審関与審査官 根岸 克弘 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 岩崎 良子
豊田 純一
登録日 2006-10-13 
権利者 Reno Schuhcentrum GmbH
商標の称呼 ワイエス 
代理人 伊藤 孝太郎 
代理人 大渕 美千栄 
代理人 前田 大輔 
代理人 中村 知公 

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