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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z16
管理番号 1197208 
審判番号 取消2007-301292 
総通号数 114 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-06-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2007-10-09 
確定日 2009-04-17 
事件の表示 上記当事者間の登録第4348932号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4348932号商標(以下「本件商標」という。)は、「サージュ」の文字を標準文字で横書きしてなり、平成11年3月18日に登録出願され、第16類「印刷物」を指定商品として同12年1月7日に設定登録されたものである。
なお、本件審判の請求の登録日は、平成19年10月23日である。

第2 請求人の主張の要点
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出している。
1 請求の理由
本件商標は継続して3年以上に亘り、使用されてない。

2 弁駁の理由
被請求人は、本件商標を、指定商品である「通信販売カタログ」について、出願後の平成11年4月頃から現在に至るまで継続して使用している旨主張し、乙第1ないし第9号証を提出しているが、本件商標を指定商品である「印刷物」の識別標識として予告登録日前3年以内に使用している事実を何ら立証していない。以下、その理由について、乙各号証ごとに検証する。
(1)乙第1号証
この書証には、「2007 Winter」及び「冬号」の文字が表されているが、予告登録日以前に使用された事実が立証されていない。乙第4号証及び同号証の1は、その予備的行為を主張しているにすぎない。また、この書証として提出された物が商標法上の商品であることの立証がない。

(2)乙第2号証
この書証として提出された物が商標法上の商品であることの立証がない。

(3)乙第3号証
乙第3号証の10ないし24は、予告登録前3年以内の使用を立証していない。また、乙第3号証の1ないし6は、商標法上の商品であることの立証がない。
したがって、登録商標の使用に当たるか否かについて検討を要するのは、乙第3号証の7ないし9のみである。
確かに、それらには「税込300円(本体価格286円)」又は「税込価格300円(本体価格286円)」の表示があるが、その後に発行されたとする「2005年秋号」以降は、かかる表示が一切なされていない。
したがって、かかる表示は形式上なされたものにすぎず、実際には無償で配布された蓋然性が高い。万が一実際に販売されたのであれば、その証拠を提出することが可能であろうし、そうすべきである。
なお、「定価の表示があるとしても、商標法上の商品ということはできない」とされた審判決として、取消2000-30540、平成16年(行ケ)337号がある(「平成15年(行ケ)349号」は誤記と認められる。)。
また、「カタログ」は、「展示物・商品・営業内容などについての目録や案内書」のことを意味し、一般には、それ自体、商標法上の商品ではない。 仮に「カタログ」が商品性を有するとすれば、商標の使用者は他人のためにカタログを作成する者で、その需要者はカタログを自己のために配布する者である。
被請求人は「通信販売カタログ」と称しているが、これとても、被請求人が通信販売を行うための商品の目録や案内書のことを意味するにすぎず、通信販売という役務の用に供する物にすぎない。
仮にその役務の用に供する物が有償で頒布されたとしても、当該物に付された標章は、通信販売という役務を識別しているのであって、その役務の用に供する物を識別しているのではない。
とりわけ、その後に発行されたとする「2005年秋号」以降も、被請求人は、同一の標章を無償で配布される物に付しているが、役務の用に供する物が有償か無償かによって商標の識別機能が変化するものではなく、継続して通信販売という役務を識別していたと解するべきである。
さらに、被請求人は、これらを定期的に発行していたと主張する。しかし、定期刊行物であれば、現日本郵便株式会社(旧郵政省)の第三種郵便物として認可を受けるのが通常であるが、その認可を受けている形跡がない。
なお、被請求人は、「雑誌」について使用しているとは一切主張していない。
したがって、乙第3号証の7ないし9は、書証として提出された物が商標法上の商品であること、すなわち、取消に係る商品であることの主張、立証がないといわざるを得ない。

(4)乙第4号証
これら書証は、登録商標の使用に当たることを直接立証しているものではない。

(5)乙第5号証
2003年4月12日の日付から、予告登録日前3年以内の使用を立証するものではない。

(6)乙第6号証
2003年6月5日の日付から、予告登録日前3年以内の使用を立証するものではない。

(7)乙第7号証
予告登録日前3年以内の書証であるが、本件商標が取消に係る商品「印刷物」に使用されたことの立証がない。

(8)乙第8号証
予告登録日前3年以内の書証であるが、本件商標が取消に係る商品「印刷物」に使用されたことの立証がない。特に、「『サージュ』を無料で差し上げます!」との記載がある。

(9)乙第9号証
予告登録日以降の書証である。また、本件商標が取消に係る商品「印刷物」に使用されたことの立証がない。

第3 被請求人の答弁の要点
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第14号証(枝番を含む。)を提出している。
1 平成19年12月17日付け提出の答弁書
(1)被請求人は、本件商標を、指定商品「印刷物」である「通信販売カタログ」について、出願後の平成11年4月頃から現在に至るまで継続して使用している。
この事実を立証するため、本件商標の使用説明書に乙第1ないし第9号証(枝番を含む。)を添付して提出する。

(2)乙第1及び第2号証は、本件商標を使用している商品「通信販売カタログ」の2007年冬号と秋号、乙第3号証は、2007年初夏号から1999年Early Summer1999号までの表紙(背表紙含む)と裏表紙の写し、乙第4号証は、乙第1ないし第3号証の本件商標を使用している商品「通信販売カタログ」が、過去3年以内に納入されていることを立証するための印刷に関する注文書、注文請書等の伝票写し、乙第5ないし第8号証は、本件商標を使用した「通信販売カタログ」が使用された事実を立証するための新聞等における記事や広告の写し、乙第9号証は被請求人のホームページの出力写しである。

(3)使用説明書により、被請求人である本件商標権者は、本件商標を、本件審判の請求の予告登録(平成19年10月19日)前3年以内に継続して使用している事実が明らかである。
すなわち、乙第1及び第2号証は、本件審判請求の予告登録の平成19年10月19日以前に印刷注文し、納品されている(乙第4号証参照)被請求人の「通信販売カタログ」である。
これらの「通信販売カタログ」の表紙及び背表紙には、片仮名文字で「サージュ」と商標が付されており、裏表紙には被請求人を表す商号商標が付されている。
したがって、「サージュ」で登録された本件商標の使用であることに他ならない。

(4)また、乙第3号証は、乙第2号証より以前の「通信販売カタログ」の写である。資料保存の関係上、原本については提出できないが、確認が必要であればいつでも見せる用意はある。これらの表紙、背表紙には商標の態様が変更している例もあるが、本件商標「サージュ」の使用であることが明らかである。

(5)乙第4号証は、これらの「通信販売カタログ」の印刷が平成19年10月19日前3年以内に注文・納入された事実が立証できる注文書、注文請書等の伝票写しである。
被請求人が日本写真印刷株式会社に「注文書」に基づいて注文し、日本写真印刷株式会社は被請求人に対して「注文請書」を発行している。
さらに被請求人の証憑貼付台紙に貼付された日本写真印刷株式会社作成の用度仕入伝票に基づいて、被請求人は日本写真印刷株式会社に製作・印刷費を支払っていることが確認される。
資料保存の関係上、一部の号についてのみしか提出できないが、さらに必要であれば準備する用意はある。
また、これらの証拠から各「通信販売カタログ」が約25万部前後が定期的に発行されていることも明らかである。

(6)被請求人により、本件商標は平成11年から「通信販売カタログ」に使用されているが、乙第5及び第6号証によれば、平成15年4月12日からは書店販売での展開も開始され、乙第7号証によれば、平成17年4月18日の2005年初夏号も書店販売されていることが明らかである。
現在では、書店販売時と同程度の内容のものを被請求人により無料で配布する「通信販売カタログ」となっており、顧客にダイレクトメールとして発送される他、乙第8号証に記載されているように電話で注文されたり、被請求人のホームページから申し込むことによって「通信販売カタログ」が発送されるという形態(乙第9号証)で発行されている。
また、被請求人の各店舗内の設置場所から本件「通信販売カタログ」を自由に取っていくということも可能である。

(7)以上のように、乙第1ないし第9号証には、本件商標を、平成11年4月から現在に亘って、「印刷物」に属する商品「通信販売カタログ」に、被請求人が使用していることが証明されており、したがって、本件商標が、本件審判の予告登録前3年以内に被請求人によって使用されていることが立証できる。

2 平成20年8月12日付け提出の答弁書
(1)乙第1号証ないし乙第3号証について
請求人は、「通信販売カタログは、通信販売を行うための商品の目録や案内書のことを意味するにすぎず、通信販売という役務の用に供するものにすぎない。」と主張しているが、「通信販売カタログ」は独立した取引の対象となり得るものであるから、商標法上の商品に該当するものである。
これは、特許庁の特許電子図書館の商品・役務名リストで検索した場合に、第16類の商品としてリストされることからも、商標法上の商品として想定されているものである(乙第10号証)。
以下、乙第3号証の7ないし乙第3号証の9と、乙第1号証ないし乙第3号証の6に分けて論ずる。

(2)乙第3号証の7ないし乙第3号証の9について
請求人は、「定価の表示は形式上なされたものにすぎず、実際には無償で配布された蓋然性が高い。万が一実際に販売されたのであれば、その証拠を提出することが可能であろうし、そうすべきである。」と主張している。
しかしながら、既に提出した乙第7号証によれば、2005年4月18日に、乙第3号証の7(2005年初夏号)が書店で販売される旨が記載されており、その証拠を提出している。
また、乙第5号証及び乙第6号証は、たしかに予告登録日前3年以内の使用を立証するものではないが、乙第3号証の14(2003年初夏号)が書店販売されていることを証明しており、その後定期的に発行されている事実は乙第3号証の各枝番から証明されることから、請求人の「実際には無償で配布された蓋然性が高い。」という主張は失当である。
さらに、実際に販売されていたことについて詳述する。乙第3号証の7ないし乙第3号証の14については、それらの発行部数の中で無償配布分と乙第5号証ないし7号証で証明されたように書店販売分とがある。
一般に書店等に流通される出版物には、書籍JANコードとよばれる2段のバーコードが付与される(乙第11号証)。
乙第3号証の7ないし9の書店販売分に付与されている書籍JANコードは、以下の通りである。
・乙第3号証の7(2005年初夏号)
1段目 9784990155865
2段目 1925077002865
・乙第3号証の8(2004年クリスマス迎春号)
1段目 9784990155858
2段目 1925077002865
・乙第3号証の9(2004年秋号)
1段目 9784990155841
2段目 1925077002865
ここで、乙第3号証の8及び9と同じ号の書店販売版の表紙と裏表紙の写しを乙第12号証及び乙第13号証として添付する。これらの裏表紙の下部には、2段のバーコードがあり、これが書籍JANコードである。このようなコードは、これらを書店等で流通する目的のために付されているものであるから、実際に書店で販売されていたといえる。
また、この書籍JANコード(JANコード1段目のISBNコード)により、インターネット等の書籍販売サイトでは、商品の検索をすることもできる。
例えば、文教堂が運営する書籍販売サイト「JBOOK」(http://www.jbook.co.jp/p/p.aspx)で、上記の各JANコードの1段目を入力して検索すると、被請求人の通信販売カタログ「sage(サージュ)」のそれぞれ該当号が抽出される(乙第14号証の1ないし3)。
現在は、実際に購入しようとすると、在庫確認の上、在庫がないため購入することはできない。
しかしながら、予告登録日前3年以内の検索結果ではないものの、これらが実際に販売されていたことは十分に証明できる。
したがって、乙第3号証の7ないし9及び乙第12号証、乙第13号証の書証として提出された「通信販売カタログ」が、独立した商取引の対象となっていることは明らかであり、商標法上の商品である。

(3)乙第1号証ないし乙第3号証の6について
乙第1号証ないし乙第3号証の6については、ダイレクトメールによる発送や被請求人のホームページでの申込や店頭における配布により無償で提供されるものである。
しかしながら、対価と引換えに取引されなければ商標法上の「商品」ではないということはできない。
乙第1号証ないし乙第3号証の6の書証として提出された「通信販売カタログ」は、上述の定価300円で販売されていた「通信販売カタログ」とその内容はおおむね同様といえるものであるから、無償であったとしても十分に独立した商取引の対象となるものであるから、商標法上の商品である。
特に第8号証においても、『「サージュ」を無料で差し上げます!』の文言からも「通信販売カタログ」自体が価値のあるものであることを証明している。
なお、無償で配布される雑誌であっても、市販されている雑誌とおおむね同様といえるとして商品性を認めた審決例(不服2005-14225)や、読者との間では対価を得ていない無料紙について商品性を認めた裁判例(平成19年(行ケ)10008号)がある。

(4)その他の主張について
ア 乙第1号証の「予告登録日以前に使用された事実が立証されていない。乙第4号証ないし乙第4号証の1は、その予備的行為を主張しているにすぎない。」という主張について
商標法上の商標の使用とは、商品に商標を付する行為(商標法第2条第3項第1号)をいう。
してみると、乙第4号証では、商品の納品日が2007年10月12日となっており、予告登録日以前にすでに商標が商品に付されていることが分かる。したがって、予備的行為を主張するものではなく、使用された事実を証明するものである。

イ 乙第3号証の「定期刊行物であれば、現日本郵便株式会社の第三種郵便物として認可を受けるのが通常であるが、その認可を受けている形跡がない。」という主張について
被請求人は、被請求人の発行する「通信販売カタログ」について、第三種郵便物として認可は受けていないが、定期的に発行するものについて、この認可を受けなければならないことはない。
したがって、第三種郵便物の認可を受けていないことにより、本件の商品性を否定するという請求人の主張は失当である。

ウ 乙第3号証の「被請求人は、「雑誌」について使用しているとは一切主張していない。」という主張について
各乙号証の書証として提出された商品が、「通信販売カタログ」に該当するか「雑誌」に該当するかをいずれにしても、指定商品「印刷物」の一つであることには他ならず、予告登録日前3年以内に被請求人が本件商標を指定商品について使用しているという事実はかわらない。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出にかかる乙各号証について
(1)乙第1号証ないし乙第4号証(枝番を含む。)
被請求人が本件商標を使用している商品として提出した乙第1ないし第3号証(枝番を含む。)は、商標権者の業務に係る通信販売カタログ又はその抜粋写し(以下、一括して「本件カタログ」ということがある。)と認められ、その表紙には、「2007Winter」、「カタログ受付期限 2008.2.29」、「ファッション衣料は2008年1月31日まで」、「2007年12月31日は午後3時まで2008年1月1日?3日は休業いたします」等の表示(乙第1号証)をはじめ、「2005初夏号」、「カタログ受付期限は2005.8.31まで」、「ファッション衣料は2005年7月31日まで」等の表示(乙第3号証-7)、「2004ー2005クリスマス迎春号」、「カタログ受付期限2005.2.28」、「ファッション衣料は2004.12.31」等の表示(乙第3号証-8)、「2004秋号」、「カタログ受付期限2004.12.31まで」、「ファッション衣料は2004.11.30」等の表示(乙第3号証-9)、「Fall & Winter 1999」、「受付期限/2000年1月31日(月)まで(ファッション衣料は1999年12月31日(金)まで」等の表示(乙第3号証の23)がされているものである。
加えて、本件カタログに関して商標権者の通信販売事業部が発行した「注文書」、日本写真印刷株式会社が発行した「注文請書」、被請求人による「証憑貼付台紙」及び「用度仕入伝票」(乙第4号証の1ないし5)によれば、本件カタログが1999年ないし2007年に印刷発行されたものと認められる。
そして、本件カタログの「2005初夏号」、「2004-2005クリスマス迎春号」、「2004秋号」、「2004初夏号」、「2003-2004クリスマス迎春号」、「2003秋号」、「2003夏号」及び「2003初夏号」(乙第3号証の7ないし14)の表紙及び/又は裏表紙に「税込価格300円」又は「価格300円」の表示がされていることが認められるが、「2005秋号」ないし「2007初夏号」(乙第3号証の1ないし6)については何処にも価格の表示はない。
また、本件カタログ(乙第1ないし第3号証-14)の表紙には、「サージュ」の文字が記載されている。

(2)乙第5号証ないし乙第7号証
乙第5号証は、2003年(平成15)4月12日付けの新聞広告の写しと認められるところ、本件カタログの「2003初夏号」の写真と共に「4月12日(土)本日創刊」、「書店販売スタート!300円(税込)」等の語句が掲載されている。
乙第6号証は、2003年(平成15)6月5日付けの新聞記事の写しと認められるところ、「初の書店売りカタログ『サージュ』展開スタート」、「カタログ通販事業の強化めざし」の表題の下に、「三越通信販売事業本部は先ごろ、カタログ通販事業を強化するための一環として、同社初の書店売り媒体『サージュ』の展開をスタートした。・・・全国2000軒の書店に1満5000部を配本したほか、既存データベースのなかから、同カタログの商品MDが見合う、30歳?40歳代の顧客へも発送している。」等の記述がされている。
乙第7号証は、2005年(平成17)4月16日付けの新聞広告の写しと認められるところ、本件カタログの「2005初夏号」の写真と共に「4/18(月)全国有名書店発売 300円(税込)」等の語句が掲載されている。

(3)乙第8号証及び乙第9号証
乙第8号証は、2006年4月15日付けの「沿線リビング(西部鉄道編)」の写しと認められるところ、そこに掲載された広告には、「2006初夏号」の写真と共に「通販カタログ無料プレゼント」及び「『サージュ』を無料で差し上げます!」の文字が掲載されている。
乙第9号証は、商標権者のホームページの写しと認められるところ、顧客の申込みに応じて本件カタログを無料で送付する旨が掲載されている(乙第9号証の1ないし4)。

(4)乙第10号証
特許庁の特許電子図書館の「商品・役務名リスト」の検索結果出力写しと認められるところ、「国際分類第9版」において、第16類の商品として「通信販売カタログ」及び「通信販売用のカタログ」が、リスト上に掲載されている。

(5)乙第11号証
財団法人流通システム開発センターのホームページの写しと認められるところ、そこには、書籍JANコードとは、 出版物用に使用するJANコードであって、2段のバーコードで構成され、1段目は国際標準コードのISBN(International Standard Book Numbering)用バーコード、2段目は、日本独自の図書分類と税抜き本体価格であること、そして、書籍JANコードは、書店では、POSシステム、返品処理、棚卸し業務等に活用され、書店の単品在庫管理と売れ筋・死に筋管理に威力を発揮している旨掲載されている。

(6)乙第12号証及び乙第13号証
乙第12号証及び乙第13号証は、乙第3号証の8及び9と同じ号の書店販売版の表紙と裏表紙の写しであり、これらの裏表紙の下部には、2段のバーコードが掲載されている。

(7)乙第14号証(枝番を含む。)
文教堂が運営する書籍販売サイト「JBOOK」において、上記(6)の各JANコードの1段目の番号を入力して検索すると、乙第3号証の8及び9と同じ号の本件カタログのそれぞれの該当号が掲載されている。そして、これら本件カタログの発行年月は、2004年10月及び2004年8月である旨掲載されている。
同じく、乙第3号証の7のJANコードの1段目の番号を入力して検索すると、2005年4月発行の本件カタログの「2005初夏号」が掲載されている。

2 上記1の事実を総合してみると、本件カタログの内容は、商標権者の業務に係る婦人用被服、アクセサリー、バッグ等の商品案内を内容とするものであって、「通信販売用の商品カタログ」(以下「使用商品」という。)と認められるところ、「2004秋号」、「2004-2005クリスマス迎春号」及び「2005初夏号」(乙第3号証-7ないし乙第3号証-9)については、これら本件カタログに「税込価格300円」の表示と、書店等で流通する目的のために付されているものと認められる書籍JANコードを付していること、さらに、乙第7号証の新聞記事から、実際に、書店において販売されたものと推認されるものである。
そうしてみると、使用商品は、独立して商取引の対象となり得る、商標法上の商品に該当するものと認められる。
そして、使用商品は、本件審判請求に係る商品「印刷物」の範疇に属する商品である。
さらに、上記使用商品についての使用時期については、「2005初夏号」が、2005年4月の発行から、遅くとも、カタログ受付期限である2005年(平成17年)8月31日まで、同じく、「2004-2005クリスマス迎春号」が、2004年10月の発行から、遅くとも、カタログ受付期限であるカタログ受付期限2005年2月28日まで、同じく、「2004秋号」が、2004年8月の発行から「カタログ受付期限2004年12月31日までの間に、販売されたとみるのが相当であって、いずれも本件審判請求の登録前3年以内の使用と言い得るものである。

3 請求人の主張について
(1)請求人は、「乙第3号証-7ないし乙第3号証-9には『税込300円(本体価格286円)』又は『税込価格300円(本体価格286円)』の表示があるが、その後に発行されたとする『2005年秋号』以降は、かかる表示が一切なされていない。したがって、かかる表示は形式上なされたものにすぎず、実際には無償で配布された蓋然性が高い。」旨主張している。
しかしながら、乙第3号証-7ないし乙第3号証-9は、上記2で認定したとおり、商標法上の商品に該当するものであるから、請求人の主張は採用することができない。

(2)さらに、請求人は、「『カタログ』は、『展示物・商品・営業内容などについての目録や案内書』のことを意味し、一般には、それ自体、商標法上の商品ではない。被請求人は『通信販売カタログ』と称しているが、これとても、被請求人が通信販売を行うための商品の目録や案内書のことを意味するにすぎず、通信販売という役務の用に供する物にすぎない。仮にその役務の用に供する物が有償で頒布されたとしても、当該物に付された標章は、通信販売という役務を識別しているのであって、その役務の用に供する物を識別しているのではない。」旨主張している。
しかしながら、被請求人が使用する「通信販売カタログ」は、上記2で認定したとおり、実際に商取引の対象となっている以上、商標法上の商品ではないとは言えない。
したがって、この点に関する請求人の主張も採用の限りでない。

4 まとめ
以上のとおり、商標権者は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件商標と社会通念上同一と認められる商標をその指定商品「印刷物」について使用していたものといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2008-11-20 
結審通知日 2008-11-25 
審決日 2008-12-08 
出願番号 商願平11-24331 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Z16)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 原田 信彦 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 小川 きみえ
佐藤 達夫
登録日 2000-01-07 
登録番号 商標登録第4348932号(T4348932) 
商標の称呼 サージュ 
代理人 西山 修 
代理人 木戸 良彦 
代理人 紺野 正幸 
代理人 黒川 弘朗 
代理人 木戸 一彦 
代理人 東森 秀朋 
代理人 山川 茂樹 
代理人 山川 政樹 

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