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審判番号(事件番号) データベース 権利
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取消2008300831 審決 商標
取消200330385 審決 商標
審判199831206 審決 商標

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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 107
管理番号 1195516 
審判番号 取消2008-300390 
総通号数 113 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-05-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2008-03-28 
確定日 2009-03-23 
事件の表示 上記当事者間の登録第2189600号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2189600号商標(以下「本件商標」という。)は、「NEOX」の欧文字を書してなり、昭和62年2月2日に登録出願、第7類「石材、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成元年11月28日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

第2 請求人の主張
請求人は、「本件商標は、その指定商品中『リノリューム製建築専用材料,プラスチック製建築専用材料,合成建築専用材料,アスファルト及びアスファルト製の建築用又は構築用の専用材料,ゴム製の建築用又は構築用の専用材料,しっくい,石灰製の建築用又は構築用の専用材料,石こう製の建築用又は構築用の専用材料,繊維製の落石防止網,その他の建築又は構築専用材料(金属製建築又は構築専用材料,陶磁製建築専用材料,れんが及び耐火物を除く)』についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1及び第2号証を提出した。
1 請求の理由
請求人の調査するところによるも、本件商標は、その指定商品中「リノリューム製建築専用材料,プラスチック製建築専用材料,合成建築専用材料,アスファルト及びアスファルト製の建築用又は構築用の専用材料,ゴム製の建築用又は構築用の専用材料,しっくい,石灰製の建築用又は構築用の専用材料,石こう製の建築用又は構築用の専用材料,繊維製の落石防止網,その他の建築又は構築専用材料(金属製建築又は構築専用材料,陶磁製建築専用材料,れんが及び耐火物を除く)」について、継続して3年以上日本国内において商標権者により使用された事実は発見することができなかった。また、本件商標について、専用使用権通常使用権の登録もされておらず、したがって、これらの者による使用の事実もない。
よって、請求人は商標法第50条第1項の規定に基づき、請求の趣旨のとおりの審決を求める。
2 答弁に対する弁駁
(1)「石灰製の建築用又は構築用の専用材料、石こう製の建築用又は構築用の専用材料」について
被請求人は、本件商標が「抗火石を加工してなる外壁材や内壁材」に使用されており、当該商品は「石灰製の建築用又は構築用の専用材料、石こう製の建築用又は構築用の専用材料」であると主張する。
しかしながら、「抗火石を加工してなる外壁材や内壁材」が「石灰(生石灰に水を注いでできる白い粉)を用いた建築用又は構築用の専用材料、石こう(水成岩・粘土層の中に層になってできる白い結晶)を用いた建築用又は構築用の専用材料」とは到底いえない。
被請求人のいう「抗火石を加工してなる外壁材や内壁材」とは、同人が提出した乙第3ないし第7号証から明らかなように、「抗火石」そのものを単に様々な形に切り出し加工したものにすぎず、商標法上「石材」と解されるものである。
被請求人自身も、「ネオエックス(コーガ石)・・・世界でも類のないコーガ石は、イタリアのシシリー島と伊豆七島の新島にしか産出されない貴重な石材です。」「ネオエックスは、様々な空間に、あらゆるカタチを創りだす加工性に富んだ自然石です。」「伊豆七島の新島で採掘されるコーガ石(ネオエックス)は軽量で加工性に富んだ自然石です。」(乙第4号証)、「ネオエックスはイタリアのシシリー島と伊豆七島の新島にしか産出されない火山でできた世界でも珍しい軽量の石材です。」(乙第7号証)、「NEOX 伊豆七島の新島にしか産出されない貴重な天然石材(ネオエックス)は・・・」「ネオエックスは・・・可能性をさらに広げ、空間を息づかせる”味”のある自然石材です。」「NEOX ネオエックスの特徴 火山でできた世界でも珍しい軽量の石材」(乙第11号証)と、本件商標が使用されている商品を取引上「石材」として販売しており、現実の取引において石材として販売されている以上、不使用に基づく取消審判においても当該商品は石材と解すべきである。
また、特許庁も「石製壁材」には類似群「07D01」を付与して「石材」に該当するものとしている(甲第1号証)。
以上述べたことから明らかな如く、本件商標は「石材」に使用されており、「石灰製の建築用又は構築用の専用材料、石こう製の建築用又は構築用の専用材料」には使用されていない。
(2)「抗火石を粉砕し、発泡剤を加えて高温焼成発泡された無機質軽量発泡体」について
当該商品は、乙第8号証から明らかなように、抗火石を粉砕し、発泡剤を加えて高温焼成発泡されたものであって、天然石の外観を持たせたものであり、このような、天然石を材料としてこれを粉砕し加工を加えて天然石の外観を持たせた商品は取引上「人造石材」と解される。
特許庁においては、人造石材には類似群「07D01」を付与して「石材」に該当するものとしている(甲第2号証)。
また、被請求人自身は、当該商品を「超軽量発泡セラミックス」である旨をうたっている(乙第10及び第11号証)。この点で、「抗火石を粉砕し、発泡剤を加えて高温焼成発泡された無機質軽量発泡体」は「陶磁製建築専用材料」と解されるかもしれないが、「陶磁製建築専用材料」は取消請求の対象としていない。
(3)さらに、「ネオエックスファーム(セラミック発泡体)」(乙第3号証)、「ネオエックスファーム、ネオエックスファームは伊豆七島の新島にしか産出されない抗化石を主原料として・・・、ネオエックスファームの優れた特徴。ネオエックスファームスピリットは・・・、NEOXFOAM」(乙第8号証)、「ネオエックスファーム価格表」(乙第9号証)、「ネオエックスファーム、ネオエックスファームとはニューセラミック発泡体、ネオエックスファームの優れた特徴、ネオエックスファームのしめす優れた性能、ネオエックスファームの比重による特性。ネオエックスファームの優れた特徴は建築分野においても様々な用途に・・・」(乙第10号証)、「ネオエックスファームのご案内」(乙第11号証)の如く、当該商品に使用されている商標は、「NEOXFOAM」ないしは「ネオエックスファーム」であって、本件商標ではない。
これら商標「NEOXFOAM」「ネオエックスファーム」は、その構成文字が同一の書体、同一の大きさで横一連に記載されていることから、本件商標と社会通念上同一のものとは到底考えられない。
乙第8号証の表紙の「ネオエックスファーム」は、「ネオエックス」の部分が白抜きで書されており、「フォーム」は青色の文字で作成されているが、このような表示は取引上一つの商標をパンフレット等に表示する際に通常行われる範囲のデザイン化であり、被請求人自身が「抗火石を粉砕し、発泡剤を加えて高温焼成発泡された無機質軽量発泡体」の商標として「NEOXFOAM」「ネオエックスファーム」を常に使用している以上、乙第8号証の表紙の商標も「ネオエックスファーム」と捉えられる。
なお、被請求人は、乙第8号証の裏面には本件商標が表示されていると主張しているが、乙第8号証の裏面に表示されているものは「NEOXFOAM」であって、「NEOX」ではない。
したがって、本件商標は「抗火石を粉砕し、発泡剤を加えて高温焼成発泡された無機質軽量発泡体」に使用されていない。
3 以上のとおり、本件商標は、本件取消審判の取消請求に係る指定商品には使用されていない。
よって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その指定商品中「リノリューム製建築専用材料,プラスチック製建築専用材料,合成建築専用材料,アスファルト及びアスファルト製の建築用又は構築用の専用材料,ゴム製の建築用又は構築用の専用材料,しっくい,石灰製の建築用又は構築用の専用材料,石こう製の建築用又は構築用の専用材料,繊維製の落石防止網,その他の建築又は構築専用材料(金属製建築又は構築専用材料,陶磁製建築専用材料,れんが及び耐火物を除く)」についての登録を取り消されるべきである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1ないし第11号証を提出した。
1 被請求人は、取消が請求された指定商品中の「その他の建築又は構築専用材料」について、本件商標を継続して使用しているものであり、以下、本件商標の使用状況について詳細に説明する。
(1)本件商標の権利者である新島物産株式会社(以下「新島物産」という。)は、昭和27年に創立された木村商店の業務を継承して昭和30年代に設立され、東京都新島村本村1-7-1に本社を有し、東京都新島村字笠松に工場(笠松工場)を有し、東京都江東区東陽3-26-26に支店(営業拠点)を有する法人であり、主として、新島における石材の採掘並びにその加工、加工製造された商品の販売及び輸出入の業務を行っている。
被請求人の「石材の採掘並びにその加工」の業務は、上述の笠松工場において新島で産出される抗火石を加工して製造した建築用材料(内外装材)について、昭和40年代より「ネオエックス」のブランド名で販売するものである。また、新島で産出される抗火石を主原料として製造した建築用材料(内外装材)についても、昭和50年代より「ネオエックス」のブランド名で販売し、現在もこれらの販売について継続的に行っているものである。
(2)抗火石は、乙第3号証の第2頁目の「抗・火・石・と・は」に記載されているように、「浮石質黒雲母流紋石(石英粗面岩)に属し、その鉱物組成の多くは火山ガラスからなり、多少の雲母をもつが、石英、長石を含み多孔質で白ないし淡紅色を呈する。化学成分においては軽珪酸分及びアルミナ分が大部分をしめ、耐久性、耐酸性、耐火性に優れたものとなっている。火山作用により、その主成分の珪酸が硝子繊維化した多孔質な海綿状の融合体となっていることから、軽量でかつ強靱な性質をもっています。」という性質を有している。そして、同号証第3頁に示すように、「採掘」「荒取り」「製材」を順次行う工程を経て「内外装材(ネオエックス)」が製造される。
したがって、抗火石を加工することで製造される内外装材(ネオエックス)は、性質的には、第7類に属する「石灰製の建築用又は構築用の専用材料」及び「石こう製の建築用又は構築用の専用材料」に類するものであり、「その他の建築又は構築専用材料」に該当するものである。
乙第4ないし第6号証は、ネオエックスの名前で販売される「抗火石を加工することで製造される内外装材」が記載されたカタログ(新島物産株式会社発行)であり、ネオエックスと呼ばれる商品(抗火石を加工することで製造される内外装材)が店舗や個人住宅の外壁材及び内壁材として使用される例が示されており、乙第4及び第5号証の表紙においては、本件商標と同じゴシック体のアルファベットで「NEOX」と記載されている。
乙第7号証は、「ネオエックス」の使用説明書及び価格表であり、外壁材及び内壁材として使用される場合の施工方法及び価格が示されている。
なお、本件商標「NEOX」が使用されていた時期であるが、乙第3号証の発行日がその裏面に08-02-10と記載され、乙第7号証の発行日がその裏面に2008/4/1改訂と記載されて、内外装材(ネオエックス)の販売時の説明においてこれらのカタログを配布し、これらのカタログを用いて製品説明が行われていたので、この時点で商標権者である被請求人は、日本国内において本件商標の使用をしていたものである。
また、乙第7号証の発行日は2008年4月1日であるが、商品自体の販売は昭和40年代より継続して行われているものである。
したがって、乙第3ないし第7号証から、商標権者である新島物産が商品である「抗火石を加工して製造された内外装材(その他の建築又は構築専用材料)」に関する広告、価格表、取引書類に本件商標「NEOX」を付して展示し、若しくは頒布しているので、本件取消審判請求に係る指定商品である「その他の建築又は構築専用材料(抗火石を加工して製造された内外装材)」に本件商標が使用(商標法第2条第3項第8号に該当)されていることは明白である。
(3)乙第8号証は、ネオエックスの名前で販売される抗火石を主原料として製造した建築用材料(内外装材)が記載されたカタログ(新島物産株式会社発行)であり、乙第9号証はその価格表である。
乙第10号証は、ネオエックスの名前で販売される抗火石を主原料として製造した建築用材料(高層煙突のライジング材)が記載されたカタログ(新島物産株式会社発行)である。
抗火石を主原料として製造した建築用材料(内外装材、ライジング材)は、抗火石を粉砕し、発泡剤を加えて高温焼成発泡させた無機質軽量発泡体であり、その用途は、乙第8号証に示されるような外壁、内壁、サウナ風呂の壁面、浴室の床面、乙第10号証に示されるライジング材の他、表面肌を変化させることで、建築又は構築専用材料としてより広い用途に使用できるものである。
そして、乙第8号証の裏面には本件商標「NEOX」が使用され、その時期については、乙第9号証の右上に2008年4月1日と記載され、内外装材(ネオエックス)の販売時においてこれらのカタログを配布し、これらのカタログや価格表を用いて製品説明が行われていたので、この時点で商標権者である被請求人は、日本国内において本件商標の使用をしていたものである。
乙第9号証の発行日は2008年4月であるが、商品自体の販売は昭和50年代より継続して行われているものである。
したがって、乙第3及び第8ないし第10号証から、商標権者である新島物産が商品である「抗火石を主原料として製造した内外装材(その他の建築又は構築専用材料)」に関する広告、価格表、取引書類に本件商標「NEOX」を付して展示し、若しくは頒布しているので、取消審判請求に係る指定商品である「その他の建築又は構築専用材料(抗火石を主原料として製造した内外装材)」に本件商標が使用(商標法第2条第3項第8号に該当)されていることは明白である。
(4)被請求人である新島物産のホームページ(www.niijima.co.jp)上においても、乙第11号証に示されるように、「抗火石を加工して製造された内外装材」及び「抗火石を主原料として製造した内外装材」の商品紹介とともに、上部にそのブランド名として「NEOX」の文字が表示されている。
したがって、乙第11号証から、商標権者である新島物産が商品である「抗火石を加工して製造された内外装材(その他の建築又は構築専用材料)」及び「抗火石を主原料として製造した内外装材(その他の建築又は構築専用材料)」に関する広告を内容とする情報に本件商標「NEOX」を付して電磁的方法により提供しているので、ここにおいても本件取消審判請求に係る指定商品である「抗火石を加工して製造された内外装材(その他の建築又は構築専用材料)」及び「その他の建築又は構築専用材料(抗火石を主原料として製造した内外装材)」に本件商標が使用(商標法第2条第3項第8号に該当)されている。
2 以上のとおり、被請求人である新島物産は、本件商標について、本件審判請求の請求登録前3年以内に、日本国内において、指定商品「抗火石を加工して製造された内外装材(その他の建築又は構築専用材料)」及び「抗火石を主原料として製造された内外装材(その他の建築又は構築専用材料)」について使用しているものである。
よって、本件商標について、その指定商品中の「リノリューム製建築専用材料,プラスチック製建築専用材料,合成建築専用材料,アスファルト及びアスファルト製の建築用又は構築用の専用材料,ゴム製の建築用又は構築用の専用材料,しっくい,石灰製の建築用又は構築用の専用材料,石こう製の建築用又は構築用の専用材料,繊維製の落石防止網,その他の建築又は構築専用材料(金属製建築又は構築専用材料,陶磁器製建築専用材料,れんが及び耐火物を除く。)」の登録が取り消される理由はない。

第4 当審の判断
1 乙各号証によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第3号証について
乙第3号証は、被請求人の商品カタログで、表紙上部右側に「軽量・耐久・耐酸・耐火性」、中央部に「KOHKASEKI」、その下右側に「■ネオエックス■ネオサンド」、その下に岩石と思しき写真、「抗火石」及び最下部中央部に「NIIJIMA BUSSAN CO.,LTD.」の各記載がなされている。
2頁目の上部左側に岩石の山の写真、その横の「抗・火・石・と・は」の表題の下に「・・・抗火石は浮石質黒雲母流紋石(石英粗面岩)に属し、その鉱物組成の多くは火山ガラスからなり、多少の雲母をもつが、石英、長石を含み多孔質で白ないし淡紅色を呈する。化学成分においては軽珪酸分及びアルミナ分が大部分をしめ、耐久性、耐酸性、耐火性に優れたものとなっています。火山作用により、その主成分の珪酸が硝子繊維化した多孔質な海綿状の融合体となっていることから、軽量でかつ強靱な性質をもっています。」と記載され、その下部の「抗火石の特性と主な用途」の表題の下に「・・・耐熱性と急熱、急冷に対するこのような性質から、不燃建材として使用されています。また、耐酸性とあいまって、工業用ライニング材にも使用されております。」と記載されている。
3頁目の上部左側にレンガのような写真、その横に「生産ラインと製品群」の表題、その下右側に「採掘」「荒取り」「製材」「内外装材」の順のラインの表示と「●ネオエックス」と記載され、左側下部に「二次製品/●ネオエックスフォーム」と記載されている。
4頁目の上部左側にレンガ作り風の建物の写真、その横に「商業施設から住宅の/内外装に適した不燃建材」の表題、その下に「●不燃建材【認定】/昭和46年に抗火石は、不燃材料に認定されました。」と記載されいる。
裏表紙上部左側に被請求人の名称、中央部に住所等、右下隅に「08-02-10」の数字が記載されている。
(2)乙第4号証について
乙第4号証は、被請求人の商品カタログで、表紙上部左側に「architecture/gardening/stone stage」、中央部に「NEOX/ネオエックスの」(「ネオエックスの」の文字は「NEOX」の文字より小さい。)、その右側に「ネオエックスの」を挟んで縦書きにて「世界」の各記載がなされている。
2頁から3頁にかけて、石材の壁と柱からなる回廊風の写真、2頁の右下に「ネオエックス(コーガ石)」の表題の下に「・・・コーガ石は、イタリアのシシリー島と伊豆七島の新島にしか産出されていない貴重な石材です。・・・」と記載されている。
裏表紙上部左側に、被請求人の名称、住所等、下部に玉石状と板状の石四個の写真、その右に「伊豆七島の新島で採掘されるコーガ石(ネオエックス)は、軽量で加工性に富んだ自然石です。質感(フラット・ビシャン・割肌)形状(玉石・板材・角材等)更に保温・防音・耐火性に優れ、高い吸音効果を持った不燃性建材です。」と記載されている。
(3)乙第5号証について
乙第5号証は、表紙に大きな建造物の写真が用いられている被請求人の商品カタログで、その上部右側に「NEOX/石舞台」(「石舞台」の文字は「NEOX」の文字より小さい。)と記載されている。
2頁以降は、石の建造物の内部で石材の壁、柱、壁画等の写真が掲載されている。
(4)乙第6号証について
乙第6号証は、石の壁画部分の写真の表紙からなる被請求人の商品カタログで、その上部右側に「ネオエックス/自然石の美しさ」(「自然石の美しさ」の文字は「ネオエックス」の文字より小さい。)と記載されている。
2頁以降は、石の建造物の外部、内部等の写真が掲載されている。
(5)乙第7号証について
乙第7号証は、表紙に「ネオエックス/使用説明書/価格表」の記載のある被請求人の商品カタログで、2頁目下部の「形状」の見出しの下に「玉石状、板状、レンガ状の各形状の写真」、3頁目上部に「ネオエックスのパターンと施工方法」の表題の下に商品の商品番号とともに施工方法の図とその説明が記述されている。
裏表紙下部に、被請求人の名称、住所等、右下隅に「2008/4/1 改訂」と記載されている。
(6)乙第8号証について
乙第8号証は、表紙に「ネオエックスフォーム/スピリット/フォームが創る深い味わい」の記載のある被請求人の商品カタログで、2頁目下部の「ソフトな感触と温もりを/感じさせる建築壁装材」の見出しの下に「ネオエックスフォームは、伊豆七島の新島にしか産出しない抗化石を主原料として、当社独自の技術で高温焼成した無機質軽量発泡体です。・・・“味”のある建築壁装材です。・・・」と記載されている。
(7)乙第9号証について
乙第9号証は、2008年4月1日付けの被請求人の「ネオエックスフォーム価格表」で、各商品番号と設計価格等が表示されている。
(8)乙第10号証について
乙第10号証は、表紙に「ネオエックス/フォーム」の記載のある被請求人の商品カタログで、2頁目以降に「ネオエックスフォーム」の性能等について説明がされている。
(9)乙第11号証について
乙第11号証は、被請求人のホームページの写しで、表紙の左上部の「NEOX」の見出しの下「東京から南へ約150キロ・・・ネオエックス(抗火石)・・・」、その下に「こだわりの自然石材/自然『石』舞台」、「住宅/NEOXの石舞台」、被請求人の名称、右下隅に「2008/06/01」と記載され、2頁目以降に主として「NEOX」「ネオエックス」についての説明がされている。
2 請求人の提出に係る甲第1及び第2号証は、特許庁の「国際分類第9版の商品・役務名の採択例」で、「壁」「第19類」及び「07D01」、「人造石材」及び「第19類」をキーワードにした検索打ち出し例である。
3 以上の乙各号証及び甲各号証よりすると、以下のとおりである。
(1)被請求人の使用している商品について
ア 乙第3ないし第7号証及び第11号証よりすると、被請求人の使用しているとする商品は、建築又は構築用の内外装材として「抗火石」と指称される浮石質黒雲母流紋石(石英粗面岩)を主原料として加工された耐火性に優れた軽量の石材で「不燃建材」として昭和46年に認定され、例えば、「煙突」の内部のライニング材、建造物の壁材、柱の壁装材として、本件審判の請求の登録前3年以内の2008年(平成20年)2月10日前後より、「ネオエックス」又は「NEOX」の商標を表示して使用されていたと認められ(乙第3号証)、2008年(平成20年)4月1日以降も使用されていたと認められる(乙第7号証)。
イ この点における被請求人の使用商品について、請求人は、乙第3ないし第7号証よりすると、被請求人の主張する「抗火石を加工してなる外壁材や内壁材」とは「抗火石」そのものを単に様々な形に切り出し加工したにすぎず、商標法上「石材」と解され、特許庁も「石製壁材」には類似群「07D01」を付与している(甲第1号証)と主張している。
また、請求人は、乙第8号証から明らかなように、「抗火石を粉砕し、発泡剤を加えて高温焼成発泡された無機質軽量発泡体」は、天然石を材料としてこれを粉砕し加工を加えて天然石の外観を持たせた商品である旨述べ、取引上「人造石材」と解され、特許庁も「人造石材」には類似群「07D01」を付与している(甲第2号証)とも主張している。
ウ そこで、被請求人の主張する上記の本件商標の第7類(昭和34年法下の「第7類」であるが、以下、単に「旧第7類」という。)の指定商品「石材、その他本類に属する商品」中の「その他の建築又は構築専用材料」に含まれるとする「抗火石を加工製造した建築用材料(内外装材)」と、請求人の主張する旧第7類中の「石材」との関係について、以下検討する。
(ア)商標法における商品の区分は、市場で流通する膨大な種類の商品を、商標登録出願に際しての出願人の便宜及び審査の便宜を図るという行政上見地から分類したものであり、時代の推移により存在しなかった商品が出現し、分類自体、実態にあわせるべく改訂されてきたところである。そして、分類のいずれか一つに属するとは決し難い商品が出現した場合、不使用取消審判の場で、商品は常にいずれかの分類に属することはあり得ないとするのは相当でなく、登録商標の使用されている当該商品の実質に則して、それが真に二つの分類に属する二面性を有する商品であれば、当該二つの分類に属する商品について登録商標が使用されていると扱って差し支えないというべきであり、このように解しても、商品類別ないし商品区分の趣旨に反することにならないと解すべきである(東京高裁 昭和57年(行ケ)第67号 参照)。
(イ)そして、昭和34年法の商品区分解説(「昭和55年3月31日 改訂版」特許庁商標課編 社団法人 発明協会発行)によれば、第7類「建築用または構築用の専用材料 セメント 木材 石材 ガラス」は、【趣旨】として「この類は主として建築又は構築に使用される材料を集めたものである。ただしセメント 木材 石材 ガラスは建築又は構築に使用されるものに限らない。したがって、この類は用途主義を中心とし、材料主義を加味した類である。」とあり、また、【解釈】として「建築用または構築用の専用材料」は、「専ら建築又は構築に使用される材料のうち、セメント製、木製、石材製、及びガラス製のものを除いたものがこの概念に属する。“専用材料”という意味は、専ら建築又は構築に用途限定されたものとして取引される材料のことである。・・・また、物それ自体として建築又は構築以外の用途に使われないようなもの(例えば「れんが」「とびら」「タイル」等がこの概念に属することは当然である。)とあり、さらに「石材」は、「この概念には、岩石を一定の形に切り出したものだけが含まれる。未加工の岩石は、第6類鉱石に属する。」と解説されいる。
エ そうすると、旧第7類の「リノリューム製建築専用材料、・・・その他の建築又は構築専用材料」中の「その他の建築又は構築専用材料」(いわゆる類似群コード「A03」)に、建築又は構築に用途限定され、ある程度加工された「石材」が包含されているか否かが問題となるが、上記(ア)の趣旨、上記(イ)の「れんが」、「タイル」についての解説及び「石材」は、「岩石を一定の形に切り出したものだけが含まれる。未加工の岩石は、第6類鉱石に属する。」とする解説中の加工の程度(岩石を一定の形に切り出したものを更に加工したものについては、どのように捉えるのか)、並びに、実際に使用しているとして提出されている上記乙第3ないし第7号証及び第11号証を総合すると、被請求人の使用しているとする商品「抗火石を加工してなる外壁材や内壁材」は、旧第7類の「リノリューム製建築専用材料,・・・その他の建築又は構築専用材料」(いわゆる類似群コード「A03」)中の「その他の建築又は構築専用材料」の範疇に属するというのが相当である。
なお、請求人は、被請求人の使用している商品「抗火石を加工してなる外壁材や内壁材」は旧第7類の「石材」の範疇に属するものである旨主張して甲第1及び第2号証を提出しているが、請求人の提出に係る甲第1及び第2号証は過去の審査における採択事例であり、その商品の具体的取引事例等が明らかでないし、また、被請求人の使用している商品については上記のとおり判断すべきであるから、この点に関する請求人の主張は採用できない。
(2)被請求人の使用している商標について
被請求人が使用商品「抗火石を加工製造した建築用材料(内外装材)」について用いている商標は、乙第3ないし第7号証及び第11号証よりすると、商品カタログ及びホームページの表紙部分に、「NEOX」及び「ネオエックス」の表記が認められ、特に、乙第3、第4、第7及び第11号証においては、商品説明中に「内外装材」として「ネオエックス」、「ネオエックスの施工方法」の表示が認められる。
そうすると、本件商標が上記第1のとおり、「NEOX」の欧文字よりなるものであるところ、上記被請求人の使用している商標は、「NEOX」及びその表音を自然に表したものと認められる「ネオエックス」を同一カタログ内において表記し、乙第4号証においては両者を併記しているものであるから、これらを総合すると、上記被請求人の使用している商標は、本件商標と社会通念上同一の範囲内というべきである。
この点について、請求人は、乙第3、第8ないし第11号証よりすると、被請求人が商品「抗火石を加工製造した建築用材料(内外装材)」に使用している商標は「ネオエックスファーム」「NEOXFOAM」である旨主張している。
確かに、これらの乙各号証には「ネオエックスファーム」「NEOXFOAM」と表記されている箇所が認められるが、乙第3号証の3頁における「ネオエックスファーム」は、「ネオエックス」とは別の二次製品としての商品として挙げられており、乙11号証においても同様の趣旨の商品説明がなされているものである。
したがって、この点に関する請求人の主張も採用の限りでない。
4 以上を総合すると、本件商標の商標権者が、本件審判の請求の登録日前3年以内に、日本国内において本件商標の指定商品中の「その他の建築又は構築専用材料」の範疇に属する「抗火石を加工製造した建築用材料(内外装材)」に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたといえるものである。
5 以上のとおりであるから、商標権者が本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標を請求に係る指定商品中の「その他の建築又は構築専用材料」に含まれる「抗火石を加工製造した建築用材料(内外装材)」について登録商標の使用していたことを証明したというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、請求に係る指定商品中の「リノリューム製建築専用材料,プラスチック製建築専用材料,合成建築専用材料,アスファルト及びアスファルト製の建築用又は構築用の専用材料,ゴム製の建築用又は構築用の専用材料,しっくい,石灰製の建築用又は構築用の専用材料,石こう製の建築用又は構築用の専用材料,繊維製の落石防止網,その他の建築又は構築専用材料(金属製建築又は構築専用材料,陶磁製建築専用材料,れんが及び耐火物を除く)」についての登録を取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2009-01-28 
結審通知日 2009-01-30 
審決日 2009-02-10 
出願番号 商願昭62-8858 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (107)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 門倉 武則山口 烈 
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 久我 敬史
小林 由美子
登録日 1989-11-28 
登録番号 商標登録第2189600号(T2189600) 
商標の称呼 ネオックス、ネオエックス 
代理人 青木 篤 
代理人 田島 壽 
代理人 船津 暢宏 
代理人 阪本 清孝 

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