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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 取り消して登録 X09
審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 取り消して登録 X09
審判 査定不服 商3条1項4号 ありふれた氏、名称 取り消して登録 X09
管理番号 1195505 
審判番号 不服2008-9667 
総通号数 113 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-05-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-04-17 
確定日 2009-04-14 
事件の表示 商願2007- 63103拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 1 本願商標
本願商標は、「亀山」の漢字を標準文字で表してなり、第9類に属する願書に記載の商品を指定商品として、平成19年6月20日に登録出願され、その後、指定商品については、同21年2月27日付け手続補正書により、第9類「テレビジョン受信機、液晶ディスプレイパネル、液晶ディスプレイモジュール」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定では、「本願商標は、ありふれた氏『亀山』の文字を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであるから、商標法第3条第1項第4号に該当する。」旨認定、判断をして本願を拒絶したものである。

3 当審における職権証拠調べ
当審において、職権により証拠調べをおこなった結果、本願商標が地名を表す語としての使用事例を発見したので、商標法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人(出願人)に対し、本願商標が指定商品との関係において「三重県北部の地名」を表示するものであるから、商標法第3条1項第3号に該当する旨の証拠調べの結果を通知し、相当の期間を指定して、意見を述べる機会を与えた。

4 請求人(出願人)の意見の要旨
「『亀山』の文字は、京都市右京区の嵯峨にある山の名称や『蓬莱山の異称』の意味合いとしても使用され、一般によく知られている。その証左として、『広辞苑』、『大辞林』においても一番最初に京都市右京区の山の名称が記載されているから、『三重県北部の都市名』の意味合いのみを想起させるものではない。また、本願商標『亀山』の大型液晶テレビは、2006年3月期では販売高4107億円、販売台数400万台という世界的販売実績を考慮されて登録されるべきである。」旨述べて参考資料12ないし15を提出している。

5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第4号について
本願商標は、前記1のとおり、「亀山」の文字を標準文字で表してなるところ、「亀山」の文字は、東日本電信電話株式会社発行の「ハローページ 東京都23区個人名全区版・上巻」(平成13年3月発行)によれば、約460名の「亀山」姓の掲載者があり、佐久間英「日本人の姓」(六藝書房発行)によれば、人口約35000人であることがそれぞれ記載されている。
そうすると、「亀山」は、我が国において、広く知られた氏の一つであると理解されるものと認められるから、本願商標は、ありふれた氏普通に用いられる方法で表してなるにすぎないものと認める。
したがって、本願商標は商標法第3条第1項第4号に該当するものといわなくてはならない。
(2)商標法第3条第1項第3号について
本願商標である「亀山」の文字は、「広辞苑 第6版」(2008年1月11日発行 株式会社岩波書店)によれば、「蓬莱-の異称。」、「1)京都市右京区の小倉山南東部にある丘。2)三重県北部の市。」等の意味や「大辞林 第二版」(2005年6月10日 株式会社三省堂発行)によれば、「『亀の上の山』に同じ。」、「1)京都市右京区嵯峨にある山。2)三重県北部にある市」等の意味を有する語として記載が認められる。また、新聞記事には、例えば、日刊工業新聞(2002年5月20日 35頁)には、「三重県、液晶産業を核にしたまちづくり計画を策定」の見出しのもと、「三重県は液晶産業をリーディング産業と位置づけて、地域づくりを進めるプロジェクトチーム『プロジェクトCグループ』を発足させた。・・今後シャープを核にした関連産業の集積が予想されるため、同県では液晶産業を軸にした産業構造の転換を目指していく。」との記載や中日新聞(2002年6月17日 朝刊3頁)の「核心 三重県クリスタルバレー構想 シャープ工場誘致の舞台裏 補助金135億円『型破り』優遇 成功の秘けつ 財務の『しばり』受けず」の見出しのもと、「液晶産業の集積地を目指す三重県の『クリスタルバレー構想』の中核として、同県亀山市西部の鈴鹿山ろくにシャープ(本社大阪市)の液晶テレビ工場誘致が決まった。・・・クリスタルバレー構想 液晶を中心にフラット・パネル・ディスプレイ(薄型表示画面)産業の世界的な集積地にしようという三重県の計画。」との記載、日本経済新聞(2005年8月11日 7頁)の「凸版が液晶関連新工場-三重にシャープ効果、集積進む。」の見出しのもと、「三重県がフラットパネルディスプレー(FPD)産業の集積を目指すクリスタルバレー構想では、四月までに六十五社が七十三拠点に進出。とりわけシャープは『液晶といえば三重』という地域イメージの確立に大きく貢献している。」等の記載がある。このような実情よりすれば、本願指定商品「テレビジョン受信機、液晶ディスプレイパネル、液晶ディスプレイモジュール」との関係から、本願商標「亀山」の文字は、上記(1)の認定のとおり、ありふれた氏としての「亀山」を理解させるほかに「三重県北部にある市」である「亀山」という地名をも理解させるものというのが相当である。
そうとすれば、本願商標をその指定商品に使用したときは、「三重県北部にある亀山」という地で、製造、販売される商品と理解、把握されるものであるから、本願商標は、商品の産地又は販売地を表すものであり、商標法第3条第1項第3号に該当するものといわざるを得ない。
(3)商標法第3条第2項について
請求人(出願人)は、補正後の指定商品について、本願商標が使用された結果、識別力を有するに至った旨主張し、証拠方法として参考資料12ないし15及び第1号証ないし第74号証を提出している。以下、この点について検討すると、参考資料及び各号証によれば、請求人(出願人)は、補正後の指定商品について、本願商標を2004年頃から現在に至るまで継続的に使用し、液晶テレビについては、2006年には400万台、2007年には603万台、2008年には825万台を販売していることが認められる。この認定事実に加え、当審においてさらに職権で調査したところによれば、本願商標と同一と認め得る商標が、その指定商品に使用していることが認められた。そうとすれば、本願商標は、その指定商品に使用された結果、取引者、需要者間において、請求人(出願人)の業務に係る商品を表示する商標として、広く認識することができるに至ったものと認め得るところである。
(4)結語
してみれば、本願商標は、上記商品について商標法第3条第2項に規定する要件を充たしているものであるから、同法第3条第1項第3号及び同4号に該当するとして、本願を拒絶すべきものとすることはできない。
その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決日 2009-03-27 
出願番号 商願2007-63103(T2007-63103) 
審決分類 T 1 8・ 13- WY (X09)
T 1 8・ 14- WY (X09)
T 1 8・ 17- WY (X09)
最終処分 成立  
前審関与審査官 高橋 幸志 
特許庁審判長 中村 謙三
特許庁審判官 清川 恵子
末武 久佳
商標の称呼 カメヤマ 
代理人 田畑 昌男 

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