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審決分類 |
審判 一部無効 商4条1項11号一般他人の登録商標 無効としない Y25 |
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管理番号 | 1195426 |
審判番号 | 無効2008-890037 |
総通号数 | 113 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2009-05-29 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2008-05-08 |
確定日 | 2009-03-19 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4997405号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第4997405号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲(1)のとおりの構成からなり,平成17年12月14日に登録出願,第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として,同18年10月20日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。 2 引用商標 本件商標が商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるとして,請求人が引用する登録商標は,以下の(1)ないし(4)のとおりである。 (1)登録第1434359号商標(以下「引用商標1」という。)は,「POLO」の欧文字を書してなり,昭和47年6月13日に登録出願,第17類「ネクタイ、その他本類に属する商品、但し、ポロシヤツ及びその類似品ならびにコ-トを除く」を指定商品として,同55年9月29日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。 (2)登録第1447449号商標(以下「引用商標2」という。)は,別掲(2)のとおりの構成からなり,昭和47年4月22日に登録出願,第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同55年12月25日に設定登録され,その後,指定商品については,商標登録の取消し審判により,一部商品の登録が審決により取り消され,その確定の登録がなされ,さらに,平成13年2月14日に,指定商品の書換登録により,第5類「失禁用おしめ」,第9類「事故防護用手袋,防火被服,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク」,第10類「医療用手袋」,第16類「紙製幼児用おしめ」,第17類「絶縁手袋」,第21類「家事用手袋」及び第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子」となり,現に有効に存続しているものである。 (3)登録第2721189号商標(以下「引用商標3」という。)は,「POLO」の欧文字を書してなり,昭和56年4月6日に登録出願,第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,平成9年5月2日に設定登録され,その後,指定商品については,同20年8月6日に,指定商品の書換登録により,第5類「失禁用おしめ」,第9類「事故防護用手袋,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,防火被服」,第10類「医療用手袋」,第16類「紙製幼児用おしめ」,第17類「絶縁手袋」,第20類「クッション,座布団,まくら,マットレス」,第21類「家事用手袋」,第22類「衣服綿,ハンモック,布団袋,布団綿」,第24類「布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布,湯たんぽカバー,座布団カバー,クッションカバー,こたつ布団,こたつ布団カバー,こたつ用敷き布団,こたつ中掛け,こたつ布団用上掛け」及び第25類「被服」となり,現に有効に存続しているものである。 (4)登録第1606201号商標(以下「引用商標4」という。)は,「POLOSA」の欧文字を書してなり,昭和55年12月4日に登録出願,第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同58年7月28日に設定登録され,その後,指定商品については,平成15年6月25日に,指定商品の書換登録により,第24類「布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」及び第25類「被服」となり,現に有効に存続しているものである。 なお,引用商標1ないし引用商標4を一括していうときは「引用商標」という。 3 請求人の主張 請求人は,「本件商標の指定商品中,『洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子』についての登録を無効とする,審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め,その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第12号証(枝番を含む。)を提出した。 (1)請求人の利害関係 請求人は,本件商標と類似する引用商標の商標権者であり,本件商標の指定商品中,請求に係る前記の指定商品について,登録を無効にすることについて重大な利害関係を有するものである。 (2)商標法第4条第1項第11号について 本件商標は,引用商標と類似するものであり,引用商標の指定商品と同一又は類似する前記のとおりの商品に使用するものであるから,商標法第4条第1項第11号に該当し,商標法第46条第1項第1号により無効とすべきである。 ア 本件商標の要部 本件商標は,別掲(1)のとおり,赤色で横書きした「Polos」の文字の下に,同色の図形を配置した構成からなる商標である。 「Polos」の文字と図形部分は,それを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとはいえず,大きく記載された「Polos」の文字が,図形部分に比して,顕著に際立った構成部分であることは一見して明らかである。 よって,本件商標中,自他商品の識別標識として機能する要部は,「Polos」の文字部分である。 本件商標の商標権者の関連会社若しくは取引会社のものと思われる本件商標を使用した商品を紹介するホームーページにおいて,「Polos」(甲第5号証),「POLOS UOMO」,「POLOS DONNA」(甲第6号証)等「Polos」の文字部分のみが独立した自他商品識別標識として使用されている事実からしても,本件商標の要部が「Polos」の文字部分であることは明白である。 イ 本件商標と引用商標1ないし3の外観 引用商標1及び引用商標3は,「POLO」の文字のみからなるものである。本件商標中の「Polos」と引用商標1及び引用商標3の「POLO」とは,近似した書体からなり,語頭の「P」を共通にし,それに続く「OLO」の文字の大小,及び語尾の「s」の有無の点でのみ相違する。本件商標中の「s」は語尾に位置することから比較的視認し難い上「o」と「O」及び「l」と「L」は,「e」と「E」にみられるような外観上の顕著な差異はなく,一見した場合,両者は5文字と4文字の差異にあって,語頭から4文字が視覚的に同一と認識され易く,外観上極めて近似している。 引用商標2は,外観上,筆記体で書した「Polo」の文字部分が図形とは異なる態様で大きく書されており,該文字部分のみが分離して認識されて自他商品の識別標識として機能することがあるのは経験則上明らかである。引用商標2は多少図案化されているものの「Polo」の文字からなることは一見して認識できるものであり,本件商標中の「Polos」と引用商標2も書体及び語尾の「s」の有無でのみ相違するものであって,外観上,相紛らわしい関係にある。 ウ 本件商標と引用商標1ないし3の称呼 本件商標と引用商標1ないし3は,各々「ポロス」,「ポロ」の称呼を生ずる。本件商標から生ずる「ポロス」の称呼と,引用商標1ないし3から生ずる「ポロ」の称呼を比較すると,両称呼は,「ポロ」の音を共通にし,異なるところは語尾における「ス」の有無のみである。 しかして,この「ス」の音は,それ自体響きの弱い無声摩擦音であるばかりでなく,比較的聴取され難い語尾に位置することから,該「ス」の有無が称呼全体に及ぼす影響は小さい。加えて,それぞれの称呼において識別上重要な要素を占めるのは語頭部の強い破裂音「ポ」にあり,かつ,第2音目の「ロ」も有声の弾音であって明瞭に発音されることから,これに続く「ス」の音は,「ロ」の音に吸収されさらに弱く発音され聴取されにくくなる。 よって,本件商標と引用商標1ないし3とは,それぞれを一連に称呼するときは,語感・語調が近似したものとなり,称呼上極めて相紛らわしい。 エ 本件商標と引用商標1ないし3の観念 「POLO」,「ポロ」の語は,主として英国及び旧英国領の諸地域等において行われている馬上球技の普通名詞として我が国でも慣れ親しまれていて,今日,広く一般に普通名詞として用いられている。よって,引用商標1ないし3は,ポロ競技ないしその略称であるポロの観念が生ずる。 本件商標は,辞書に記載のない造語であるが,英単語の語尾に付された「s」が名詞の複数形や動詞の三人称単数現在(直説法)を構成し,「‘s」が名詞所有格を構成することは,日本では広く知られていて「s」を語尾に配した欧文字からなる語に接した場合に該「s」に前置する文字列からその意味を推知せんとする場合も少なくない。 したがって,本件商標に接した取引者又は需要者が「s」に前置する「Polo」に着目し,ポロ競技ないしその略称であるポロ,若しくはそれらに関連する意味合いを想起・連想するおそれも十分にある。 よって,本件商標は造語であるものの引用商標1ないし3と同一又は近似した観念を生ずる蓋然性が極めて高く,両者は観念上も相紛らわしいといわざるを得ない。 オ 上記アからエのとおり,本件商標は,称呼,外観及び観念において引用商標1ないし3と類似する商標であって,引用商標1ないし3の指定商品と同一又は類似する商品に使用するものであるから,商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。 他の審決例(甲第9号証及び甲第10号証)でも語尾における1文字の有無で相違する商標が,類似すると判断された例は少なくない。 その上,本件指定商品は,日常消費される性質の商品であり,かつ,その需要者は通常が特別の専門知識を有するものではない一般消費者であって,商品を購入するに際して払われる注意力はさほど高いものではない。 よって,本件商標と引用商標1ないし3の類似性及び本件指定商品の性質並びに需要者の注意力等を考慮すれば,本件商標と引用商標1ないし3を本件指定商品に使用する場合,商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれは極めて高い。 (3)答弁に対する弁駁 本件商標と引用商標1ないし3の類否判断において,講学上の理論のみで検討することは誤りであり,実際の取引の事実に即したう上での商標類否判断をすべきである。そのことが一般取引者及び需要者の利益となり,商標法の目的にも沿うものである。 ア 本件商標と引用商標1ないし3の類否について 本件商標の指定商品は日常消費される性質の商品であり,需要者は格別の専門知識を有しない一般消費者であるから商品を購入するに払われる注意力はさほど高いものではない。一般需要者の知識から判断すると,本件商標の語尾部「s」は,複数形を示す「s」の文字又は所有格を表す「‘s」を意味するものであろうと理解することは想像に難くないから。本件商標の指定商品の実際の商取引の現状を考慮すると,本件商標と引用商標1ないし3とは,観念上も「ポロ競技」において同一又は類似する商標であるといえる。 そして、両者の称呼の相違点である「ス」音は,音声学上も実際の発音においても弱く発音され,聴取者にとって聴取し難い音であることは明らかである。 ここで,実際の商取引における称呼を検討すると,本件商標の使用商品は我が国における被請求人商品の取扱い店「Polos青山」のインターネットホームページ(甲第11号証)から明らかなように,イタリアのハイセンスな商品のイメージを売り物にしており,「ス」音は意味合いの上でも訴求力の極めて乏しいものであるところからも,殊更に強く発音することはなく,本件商標を1音1音明瞭に「ポ」「ロ」「ス」と称呼することは無粋な印象を与え,使用商品のイメージを損なうものであるから,実際の商取引においても,本件商標の称呼は外国語の発音のように「ポロ」と「ス」の間に半拍おくか又は「ポロ」に続けて小さく「ス」と発音されるであろうことが容易に推察され「ス」音にアクセントが置かれることはない。 イ 本件商標と引用商標4の類否について 引用商標4は、その態様から「ポロサ」の称呼が生ずる。「ポロサ」と「ポロス」とは,語尾において「サ」と「ス」の音が相違するが,両音は同行音であり極めて紛らわしい音であるから,商取引の場においても全体として両称呼は互いに類似する称呼である。 なお,「ポロ」と引用商標4の称呼「ポロサ」とは,差異音「サ」の母音が「a」であるために,商取引の場においても明瞭に発音聴取されるので,互いに非類似の称呼である。 4 被請求人の答弁 被請求人は,結論同旨の審決を求めると答弁し,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第5号証を提出した。 (1)本件商標と引用商標の外観 本件商標は,赤色で横書きした「Polos」の文字の下に,鳥が羽を広げたような同色の図形を配置した構成からなる商標である。この場合「Polos」の文字は,鳥が羽を広げたような図形の上にほとんど重なるように近接配置され,あたかも「Polos」の文字が鳥の上に乗っているような強い印象を与え,全体として文字と図形が一体となっている。 これに対し,引用商標1及び引用商標3は,大文字の「POLO」の4文字だけからなる商標であり,鳥が大きく羽を広げたような図形の乗るように大文字と小文字からなる「Polos」の5文字が組み合わされた本件商標とは全く異なる外観であり,両者から受ける印象は大きく異なり,これらを混同することはあり得ない。 また,引用商標2は,筆記体で書かれた「Polo」の文字とポロ競技をしている人及び馬の図形とからなっており,本件商標に含まれる図形とは全く異なる図形が含まれているから,その外観は本件商標とは明らかに異なっている。 したがって,本件商標の外観は,引用商標1ないし3のいずれの外観とも類似していない。 なお,請求人は,本件商標の要部が「Polos」の5文字にあり,分離観察により図形部分を切り捨てて判断することが取引上不自然ではないと主張しているが,この主張は当を得ていない。 本件商標の文字部分と図形部分の上下方向の比率は,ほぼ50:50であり,横方向においては,図形の長さは文字部分の1.5倍となっている。しかも,図形部分は,鳥が羽を広げたような特徴的な二つの湾曲形状を持ち,文字部分の左端と右端は2つの湾曲形状の頂点にほとんど重なるように付近配置され,全体として文字と図形のデザイン的バランスが取られている。 本件商標は,以上のような文字と図形の融合によって全体として識別力を発揮するものであり,デザイン的にも重要でその面積を大きく占めている図形部分を排除して観察すべきではない。 なお,甲第5号証には,1/3ページの文中に単なる読みを表すスペルとして「Plols」が用いられているが,これをもって本件商標の要部が「Polos」にあるという主張は根拠のないものである。なぜなら,商品の説明文などにおいて,文字と図形が一体になった商標の文字部分だけを簡易的に引用することは取引において通常行われていることだからである。そして,甲第5号証の1/3ページ上部の写真には,大きく本件商標が表示されており,自他商品識別力を発揮していることは明らかである。 甲第6号証には,「POLOS UOMO」「POLOS DONNA」の文字が記載されており,両者には大文字の「POLOS」が含まれている。しかし,この表示があるからと言って本件商標の要部が「Polos」にあるという根拠にはならない。「POLOS UOMO」「POLOS DONNA」の文字に重なるように本件商標が記載され,ここにおいて自他商品識別力が発揮されている。 以上のように,甲第5号証,甲第6号証のいずれにおいても,文字と図形とが一体となった本件商標が自他商品識別標識として使用されている。 (2)本件商標と引用商標1ないし3の称呼 本件商標は,「ポロス」の称呼を生じ,引用商標1ないし3は,いずれも「ポロ」の称呼を生ずる。両者の相違点である「ス」の音は,多くの日本人は「ウ」という母音を伴って発音するものであり,無声摩擦音ではなく,それ自体の響きも弱くはないし,称呼全体に及ぼす影響も少なくない。 また,「ポロス」は「ポ」,「ロ」及び「ス」の3音節から構成されるのに対し「ポロ」は2音節であり,音節の数が異なっている。すなわち,両者の語感・語調は異なっている。 したがって,本件商標の称呼は,引用商標1ないし3のいずれの称呼とも類似していない。 なお,引用商標1は,昭和47年6月13日に登録出願され,昭和55年9月29日に商標権の設定登録がされたものである。かつて,「ポロス」という称呼を生ずる「POROS」なる登録第1205572号商標が第17類「ネクタイ、その他本類に属する商品但し、セーター類、ワイシヤツ類、下着ねまき類を除く」を指定商品として,昭和47年5月11日に登録出願され,昭和51年6月21日に設定登録されていた(乙第5号証)。引用商標1の商標権が設定登録された時点でも該登録第1205572号商標は存続しており,これは特許庁の審査において「ポロス」と「ポロ」が非類似であると判断されたことを示すものと思料される。 (3)本件商標と引用商標1ないし3の観念 請求人も認めているように,引用商標1ないし3はポロ競技の観念を生ずる。本件商標の文字部分「Polos」は,請求人も認めているように辞書に記載されていない造語であるから何の観念も生じない。また,ポロ競技を意味する英単語「polo」は不加算名詞であるから,名詞の複数形を示す「s」及び動詞の三人称単数現在形を示す「s」が語尾に付されることは文法的にあり得ず,「Polos」からポロ競技の観念が生ずることはない。 したがって,本件商標の観念は,引用商標1ないし3のいずれの観念とも類似していない。 (4)まとめ 上記(1)から(3)のとおり,本件商標は,外観,称呼及び観念のいずれにおいても引用商標1ないし3と類似しない。 したがって,本件商標は商標法第4条第1項第11号に違反しない。 5 当審の判断 (1)本件商標と引用商標との類否について ア 本件商標について 本件商標は,別掲(1)のとおり,赤色で表した「Polos」の文字の下部に鳥が羽を広げたようにみえる同色の図形を配置した構成からなり,全体としてまとまりのよい印象を与えるものである。 しかし、本件商標は,その構成中の「Polos」の文字部分とその下に配された図形部分とを常に一体のものとして認識,把握しなければならないとする格別の理由は見当たらないから,「Polos」の文字部分が独立して自他商品識別機能を果たし得るものであり,これから「ポロス」の称呼を生じ,特定の観念を有しないとみるのが自然である。 イ 引用商標について 引用商標1及び引用商標3は,共に「POLO」の文字からなるものであるから,それぞれの構成文字に相応して「ポロ」の称呼を生じ,「ポロ競技」の観念を生ずるものである。 そして,引用商標2は,別掲(2)のとおり,スティックを持って馬に乗ってポロ競技をしている人物を抽象化した図と黒色で塗りつぶした「Polo」の文字との組み合わせからなるものであるから,図形部分と文字とが相俟って「ポロ」の称呼及び「ポロ競技」の観念を生ずるものである。 また,引用商標4は,「POLOSA」の文字からなるものであるから,それぞれの構成文字に相応して「ポロサ」の称呼を生じ,特定の観念を有しないものとみるのが自然である。 ウ そこで,まず,本件商標から生ずる「ポロス」の称呼と引用商標1ないし3から生ずる「ポロ」の称呼を比較すると,両者は,3音と2音という極めて短い音構成に加えて,差異音である「ス」の音は,母音「U」を伴い比較的明瞭に発音されるものであるから,たとえこれが語尾に位置するとしても,両者をそれぞれ一連に称呼するときには,音感,音調が明らかに異なり,互いに相紛れるおそれはない。 次に,本件商標から生ずる「ポロス」の称呼と引用商標4から生ずる「ポロサ」の称呼を比較すると,両者は,共に3音という極めて短い音構成において,語尾の「ス」と「サ」の音に差異を有し,音構成上,各音毎に「ポ」,「ロ」,「ス(又はサ)」のごとく,明確に区切って称呼されるものといえるから,たとえその差異音が語尾に位置するとしても,両者をそれぞれ一連に称呼するときには,明瞭に聴別できるものであり,互いに相紛れるおそれはない。 そして,本件商標と引用商標の構成及び態様は,別掲(1),同(2)及び上記2のとおりであるから,外観上においても判然と区別し得るものである。 また,本件商標が特定の観念を有しないものであるのに対し,引用商標1ないし3は「ポロ競技」の観念を有するものであり,引用商標4は特定の観念を有しないものであるから,本件商標と引用商標は,観念においては比較することのできないものである。 エ 以上のとおり,本件商標と引用商標は,称呼,外観及び観念のいずれにおいても類似しない商標といわざるを得ない。 (3)むすび したがって,本件商標は,その指定商品中「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子」について,商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではないから,同法第46条第1項第1号によって,その登録を無効とすることはできない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲(1)本件商標 別掲(2)引用商標2 |
審理終結日 | 2009-01-20 |
結審通知日 | 2009-01-23 |
審決日 | 2009-02-04 |
出願番号 | 商願2005-117444(T2005-117444) |
審決分類 |
T
1
12・
26-
Y
(Y25)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 平澤 芳行 |
特許庁審判長 |
石田 清 |
特許庁審判官 |
久我 敬史 小林 由美子 |
登録日 | 2006-10-20 |
登録番号 | 商標登録第4997405号(T4997405) |
商標の称呼 | ポロス |
代理人 | 川▲崎▼ 研二 |
代理人 | 城村 邦彦 |
代理人 | 田中 秀佳 |
代理人 | 白石 吉之 |