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審決分類 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない Y03
審判 全部無効 称呼類似 無効としない Y03
審判 全部無効 観念類似 無効としない Y03
管理番号 1194024 
審判番号 無効2007-890183 
総通号数 112 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-04-24 
種別 無効の審決 
審判請求日 2007-12-19 
確定日 2009-03-06 
事件の表示 上記当事者間の登録第4805626号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4805626号商標(以下「本件商標」という。)は、「Purecollage」の欧文字を標準文字で表してなり、平成16年2月23日に登録出願、第3類「爪装飾用のシール,付け爪装飾用のシール,その他の身体装飾用のシール,その他の化粧品」を指定商品として、同年9月24日に設定登録されたものである。その後、平成同17年12月21日の異議決定(異議2004-90740)により、指定商品中「その他の化粧品」についての登録を取り消す旨の決定の確定の登録が、同18年3月24日になされているものである。

第2 引用商標
請求人の引用する登録商標は、以下の(1)ないし(3)のとおりである。
(1)登録第2120276号商標(以下「引用商標1」という。)は、「コラージュ」の片仮名文字を横書きしてなり、昭和54年1月17日に登録出願、第4類「せつけん類(薬剤に属するものを除く)歯みがき、化粧品(薬剤に属するものを除く)香料類」を指定商品として、平成1年3月27日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
(2)登録第2318621号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成1年1月31日に登録出願、第4類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同3年6月28日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、平成13年4月11日に第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類,薫料」及び第30類「食品香料(精油のものを除く。)」とする指定商品の書換の登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
(3)登録第2413569号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成1年1月31日に登録出願、第4類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同4年5月29日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、平成14年5月29日に第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類」及び第30類「食品香料(精油のものを除く。)」とする指定商品の書換の登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
(上記の(1)ないし(3)の登録商標を一括していうときは、単に「引用各商標」という。)

第3 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第298号証(枝番を含む。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当し、よって、商標法第46条第1項第1号に該当するから、無効とされるべきものである。
2 商標法第4条第1項第11号について
本件商標と引用各商標は、称呼及び観念において相紛らわしい商標である。
(1)商標の類似性
本件商標は、「Pure」と「collage」の2語より構成されているところ、構成中「Pure」の語は、「純粋な、まじりけのない」等の意味を有する用語で、その指定商品「爪装飾用のシール,付け爪装飾用のシール,その他の身体装飾用のシール」との関係においても、「ピュアなホワイト…」「ピュアで上品な白パールのバラ」「ピュアで繊細なエンジェルのネイル」の如く、商品の内容説明で随時採択使用されており(甲第6号証)、被請求人と関連を有する者も、「白の羽:1枚は持っていたいピュアで上品なネイルに…」の如く、「ピュア」の語を被請求人の取扱いに係る商品「DecoNail」の商品説明に使用しているところである(甲第46号証)。
そうとすれば、構成語の識別力の強弱の点からして、本件商標は、構成中「collage」の部分が、識別標識として強く支配的な印象を受けるものであり、該部分のみが単独で商標として機能することが明らかである。
そして、この「collage」の文字は、いわゆる「コラージュ」、すなわち「(貼り合せの意)近代絵画の技法の一。画面に紙・印刷物・写真などの切抜きを貼りつけ、一部に加筆などして構成する。広告・ポスターなどにも広く応用。ブラック・ピカソらが創始。貼付け絵。」の意味を有する語として一般に知られているものであるから(甲第7号証)、本件商標は、「collage」の文字部分から「コラージュ」の称呼及び観念をも生ずると判断するのが相当である。
よって、本件商標と引用各商標とは、「コラージュ」の称呼及び観念を共通にするものである。
(2)引用各商標の周知・著名性
また、商標の類否判断においては、指定商品・役務の取引実情をも参酌すべきものであるところ、引用各商標の周知・著名性も、このような取引実情の一事情に当たるものである(甲第8号証)。
この点については、特許庁商標課編「商標審査基準」にも記されているところであり、本件商標が如何に「Pure」と「collage」をまとまりよく表しているとしても、本件で妥当する商品分野において「collage」が周知・著名商標である以上、本件商標は引用各商標と類似することとなる。
後述するとおり、引用各商標の商標権者である持田製薬株式会社は、昭和55年1月以降、爾来今日に至るまで、基礎化粧品を中心としたシリーズ商品「コラージュシリーズ」を表す一種のファミリーマークとして「コラージュ」商標を継続して使用し続けており、その結果、引用各商標は、本件商標の登録出願時である平成17年11月7日において、化粧品の分野において周知・著名性を獲得していたものである。
そうとすれば、本件商標は、構成中「collage」の文字部分が識別標識として強く支配的な印象を受けることが明らかであり、かかる点からしても、本件商標と引用各商標とは「コラージュ」の称呼を共通にする類似の商標といわざるを得ない。
(3)商品の類否
本件商標の指定商品中「化粧品に属するもの」については、引用各商品の指定商品「化粧品」中に含まれているものであり、本件商標と引用各商標は、その指定商品において相抵触するものである。
なお、本件商標の指定商品中に「化粧品」に属するものが含まれていることに関しては、本件商標の登録出願時の商品表示が「爪装飾用のシール,付け爪装飾用のシール,その他の身体装飾用のシール,その他の化粧品」と指定されていたことや過去の登録例(甲第48号証)より、明らかである。
また、かかる事実は、過去に、全く同様の商品を指定した、商願2004‐015678号「Nailcollage」につき、引用各商標と類似するとの拒絶理由通知を受けた被請求人が、反論することなく、拒絶査定を受けていること(甲第49号証)や他の登録において「化粧用身体装飾シール」を指定商品とする商標を所有すること(甲第50号証)からしても、被請求人自身知悉しているところと思われる。
(4)小括
以上より、本件商標と引用各商標とは類似の商標であり、指定商品も相抵触するものであることから、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。
3 商標法第4条第1項第15号について
(1)引用各商標の著名性
請求人は、基礎化粧品を中心としたシリーズ商品を表す一種のファミリーマークとして引用各商標を使用し続けている(なお、甲第45号証で示すとおり、コラージュシリーズの取り扱いは平成16年4月1日に請求人のヘルスケア事業本部から提出者の100%出資に係る持田ヘルスケア株式会社に移されている)。
請求人は昭和55年1月より引用各商標の使用を開始し、爾来今日に至るまで継続して使用しているところ、平成16年2月23日当時の「コラージュ」シリーズのラインナップは、「コラージュクレンジングジェルS」、「コラージュ化粧水ライトS」、「コラージュA脂性肌用石鹸」、「コラージュフルフルリンス」、「コラージュDボディクリーム」、「コラージュホワイトニングソリューションL」及び「コラージュハンドモイスチャー」等のとおりである(甲第10号証ないし甲第18号証)。
「コラージュ」シリーズは製造販売の開始時より現在に至るまで莫大な広告予算を投入して(甲第19号証)、雑誌・新聞を中心として宣伝広告や紹介記事を掲載してきた(甲第51号証ないし甲第298号証)。
また、たびたびキャンペーンを打ち(甲第23号証ないし甲第25号証)、コラージュ愛用者の会「コラージュ倶楽部」「コラージュシーダー会」を立ち上げるなどをするとともに(甲第26号証ないし甲第43号証)、様々な販促ツールを活用して(甲第44号証及び甲第23号証ないし甲第25号証)、需要者に強く働きかけてきた。
その結果、「コラージュ」シリーズ全体の売上は、平成9年度から平成18年度までの10年間一年当たり約20?28億円程度に達している(甲第20号証)。
「コラージュ」シリーズは、皮膚刺激の原因となりやすい成分を一切含んでいないことを特徴としていることから、農学博士等にも紹介され(甲第142号証)、また、臨床試験にも用いられている事実が存在する(甲第54号証)。
さらに、乾燥や肌荒れや油脂肌やニキビ、ひび割れなど肌に問題がある人や乳児にも使用することができ、近年特に増加したアトピー性皮膚炎やアレルギー体質の人にも勧められる低刺激性の製品として定評を得ており(甲第95号証、甲第97号証、甲第166号証、甲第204号証、甲第247号証、甲第256号証、甲第277号証、甲第292号証、甲第295号証及び甲第298号証他)、特に皮膚に問題を有する需要者は「コラージュ」シリーズを継続的に使用するために反復して購入することが多い。
例えば、情報番組を多数担当し、審美観に優れているであろう小島奈津子アナウンサーもが「お勧め商品」に挙げており(甲第290号証)、また、雑誌においても「芸能人やスポーツ選手に隠れファンが多いコラージュ」と紹介されている(甲第121号証)。
かかる特徴のため、甲各号証の広告・記事が掲載されている雑誌は女性ティーンズ誌、ヤングアダルト誌、ミセス誌に限らず、マタニティ・育児誌、生活情報誌、青年向け総合誌、タウン情報誌、テレビ情報誌、旅行情報誌などにも及び(甲第51号証及び甲第149号証)、「コラージュ」シリーズは幅広いジャンルの需要者層をターゲットにした商品であるということができる。
上記のような大々的な宣伝広告は従来よりなされてきており、請求人の請求に係る無効2003-35264号において、「『コラージュ』及び『Collage』の商標は…本件商標の登録出願(平成12年10月20日)の時はもとよりその査定時(平成13年8月23日)においても、せっけん、化粧品業界をはじめ医薬品業界において、その取引者、需要者の間で、請求人(提出者)の取扱に係る上記商品(せっけん、化粧品)の商標として、広く認識され、周知・著名な商標になっていたものと認めることができる」と認定されている(甲第22号証)。
したがって、遅くとも平成12年10月20日には、「Collage(コラージュ)」が取引者・需要者間に広く認識された「著名商標」であると特許庁において認められているところ、この著名性は、その後の継続的な宣伝広告・販売により、本件商標の登録出願時(平成16年2月23日)及び登録査定時(平成16年9月16日)(当審、注:査定時は平成16年8月31日が正しく、平成16年9月16日は誤り。以下、「平成16年8月31日」とする。)においても維持されているものである。
特に、平成14年度に販売額が20億円を超えて以降は、年間販売額が毎年前年度を上回っており(甲第20号証)、特に近3年に至っては、平成16年度24億3000万円、平成17年度26億1000万円、平成18年度27億7300万円と高い数字を維持しながらも販売額が上昇し続けているところでもある。
かかる販売額の推移よりしても、上記無効審決時より、その著名性が高くなっていることが明らかであり(甲第21号証)、本件商標の登録出願時(平成16年2月23日)及び登録査定時(平成16年8月31日)において、「Collage(コラージュ)」は取引者・需要者間に広く認識された著名商標となっていたことが明らかである。
(2)商品の共通性
本件商標の指定商品中、「化粧品に属するもの」に関しては、引用各商標の指定商品「化粧品」に含まれており、本件商標の該商品と引用各商標の指定商品とは相抵触するものである。
また、「化粧品に属するもの」以外の商品に関しても、引用各商標の指定商品「せっけん類,化粧品」と同様、「美容」に関連する肌用の商品であり、また、取引者・需要者を共通にすることの多い商品であるから、引用各商標の指定商品と極めて密接な関連を有する商品である。
したがって、本件商標の指定商品は、いずれも、引用各商標の指定商品中「せっけん類,化粧品」と極めて密接な関連を有する商品である。
(3)出所の混同の可能性
引用各商標はシリーズものを表示する商標として著名となっており、このことに本件商標構成中「Pure」の文字部分の識別力が極めて弱いことを併せ考えると、仮に本件商標「Purecollage」が実際に市場にて商品に使用された場合には、需要者・取引者は該商品が「コラージュ」シリーズの商品であると誤認し、請求人の製造販売に係る商品であると出所を誤認する可能性が十分にある。
加えて、本件商標の指定商品は「爪装飾用のシール,付け爪装飾用のシール,その他の身体装飾用のシール」で、肌に影響を与え得る美容関連商品であるところ、上述のように、「コラージュ」シリーズの各商品は、乾燥肌、脂性肌、ひび割れなど肌に問題を抱える需要者やアトピー性皮膚炎、化学物質アレルギーなどで苦しんでいる需要者を中心に愛用されており、もしもこれら需要者が本件商標を附した商品を出所混同して購入し、誤用してしまった場合には、需要者の肌の健康に重篤な被害をもたらしかねない。
需要者の身体を害する事態が一度でも生じたとすれば、昭和55年以来営々として蓄積してきた「コラージュ」シリーズに対する信用に致命的な打撃を与え、引用各商標の財産的価値も著しく減ぜられることとなる。
このような「コラージュ」シリーズの個別的事情からすると、本件商標の商標登録は容認し難いものである。
(4)以上より、本件商標は、本件指定商品に使用された場合、請求人の業務に係る商品と混同を生じるおそれが十分認められるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。
4 むすび
以上のとおり、本件商標は、引用各商標との関係において商標法第4条第1項第11号に該当し、また請求人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあるから同項第15号に該当するものであるから、商標法第46条第1項第1号の規定により無効とされるべきものである。

第4 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第13号証を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)商標の類似性
ア 本件商標は、「Purecollage」の欧文字を等間隔で一連に横書きしてなるものであり、「爪装飾用のシール,付け爪装飾用のシール,その他の身体装飾用のシール」を指定商品とするものである。
イ Pureの部分について
本件商標の標章の部分であるPureは、「純粋な、まじりけのない」等を意味する英語として知られているが、原則として、pureという商標が識別性を十分に具備するものであることは、特許庁において多くの登録例が存在する事実から裏付けられる。「pure」の登録例としては、登録第906742号、登録第2535740号の1、登録第4309873号、登録第4340745号、登録第4759239号、登録第5013427号(乙第1号証ないし乙第6号証)を例示することができる。
Pureは、本来「純粋な、まじりけのない」という意味を有するものの、これらの意味は直ちに商品の品質を表すものではない。このことは、乙第1号証ないし乙第6号証に示すように、極めて広範囲の商品について登録が認められていることから立証される。化粧品との関係においても、化粧水、クリーム、紅等の化粧品は全て、複数の化学物質から組成されているのであって、Pureが直ちに化粧品の品質を表すものであるとはいえない。化粧品に関連する指定商品において、Pureを含む商標におけるPureの部分の識別性が否定された事件があったとしても、それは、ピュアリップスティック等のように、我が国において、Pure(ピュア)が当該商品との関係で長年一般に用いられてきた事実に拠るものである。
翻って、本件商標の指定商品である「爪装飾用のシール,付け爪装飾用のシール,その他の身体装飾用のシール」についてみると、「純粋なシール」、「まじりけのないシール」と言っても意味が通じないのであって、pureはシールの品質を表すものではない。Pureと本件商標の指定商品「爪装飾用のシール,付け爪装飾用のシール,その他の身体装飾用のシール」との関係は、Pureと「布製身の回り品や被服」との関係(登録第906742号)、Pureと「紙類や紙製文房具等」との関係(登録第4759239号)、Pureと「テープ、リボン等」との関係(登録第5013427号)と同等である。
そもそも、我が国において、英語pureに由来する「ピュア」という言葉は、「何か良いもの」、「かわいいもの」として、感覚的かつ曖昧に用いられる傾向がある。
甲第6号証における、「ピュアなホワイト」「ピュアで上品な白パールのバラ」「ピュアで繊細なエンジェルのネイル」をとってみても、何が「ピュア」であるかについては極めて曖昧である。
同様に、甲第46号証における、「白の羽:1枚は持っていたいピュアで上品なネイルに…」においても、何が「ピュア」であるかについては極めて曖昧である。
すなわち、甲第6号証及び甲第46号証におけるピュアの意味は曖昧であり、これらの証拠における「ピュア」がシールの品質として用いられているとはいえない。甲第6号証及び甲第46号証は、2つのウェブサイトで「ピュア」という表現が用いられていることを示すに留まるものであり、pureがシールの品質として一般に用いられていることを示すものではない。
したがって、本件商標の指定商品「爪装飾用のシール,付け爪装飾用のシール,その他の身体装飾用のシール」とPureとの関係についてみた場合に、Pureはこれらの商品の品質等を示すものではなく、本件商標においてPureの部分は十分に識別機能を発揮している。
ウ Collageの部分について
本件商標の標章の部分であるcollageは、フランス語における「貼り付け」、英語における「新聞の切り抜き、写真の一部、包み紙の切れ端等を同一画面に組み合わせて芸術的効果を生み出す手法、またはその手法を用いた作品」を意味する言葉である。また、Collageという言葉は我が国において決して馴染みのある言葉ではなく、通常の需要者や取引者において、Collageから直ちに、「貼り付け」、「新聞の切り抜き、写真の一部、包み紙の切れ端等を同一画面に組み合わせて芸術的効果を生み出す手法、またはその手法を用いた作品」という観念が想起されることはない。例えば、請求人が所有する引用各商標を見た需要者が、上述のような観念を直ちに想起するものではないと考えられる。
エ 本件商標と引用各商標との類否
本件商標は、「Purecollage」の欧文字を等間隔で一連に横書きしてなり、引用商標とは外観、称呼、観念がいずれも異なる。
本件商標「Purecollage」は、冗長な商標ではなく、また、collageという言葉が通常の需要者や取引者において馴染みの無い言葉であることに鑑みれば、通常の需要者や取引者が「Purecollage」を見たときに、これを「Pure」の部分と「Collage」の部分に分断して認識することはない。
本件商標の指定商品「爪装飾用のシール,付け爪装飾用のシール,その他の身体装飾用のシール」との関係において、「Pure」の部分は十分に識別機能を有するものであり、本件商標において、「Pure」の部分、「Collage」の部分において質的軽重はない。
したがって、本件商標においては、「Purecollage」全体が要部であって、「Collageの部分」から「コラージュ」の称呼あるいは観念が生じることはなく、「コラージュ」の称呼をもって、商品の取引に当たることはない。
(2)引用各商標の周知・著名性
引用各商標は、仮に、これらの引用各商標が需要者の間に広く認識された商標であると認定されたとしても、実際に使用されている商品「せっけん類」、「化粧品の中の化粧水、クリーム」についてのみ認定される。
これに対して、本件商標の指定商品は、「爪装飾用のシール,付け爪装飾用のシール,その他の身体装飾用のシール」であり、引用各商標は、これらの商品に使用すらされていないのであって、本件商標の指定商品「爪装飾用のシール,付け爪装飾用のシール,その他の身体装飾用のシール」について需要者の間に広く認識されているものではない。
したがって、引用各商標は、「指定商品又は指定役務について需要者の間に広く認識された他人の登録商標」に該当しないのであって、甲第9号証に示す審査基準が適用される事案ではない。
(3)商品の類否
本件商標の指定商品「爪装飾用のシール,付け爪装飾用のシール,その他の身体装飾用のシール」は、ここ数年で登場して来た新しい商品であって、たまたま「化粧品」として分類されてはいるものの、従来の化粧品(おしろい、化粧水、クリーム、紅、頭髪用化粧品、香水類等)とは異質の商品である。本件商標の商標権者は、「爪装飾用のシール,付け爪装飾用のシール,その他の身体装飾用のシール」の製造・販売についてはパイオニア的な地位にあり、これらのシールについての特許を取得している(乙第7号証、乙第8号証、乙第9号証及び乙第10号証)。また、乙第11号証に、本件商標の商標権者のウェブサイトから「Purecollage」の商品に関連する部分の抜粋を示す。
「爪装飾用のシール,付け爪装飾用のシール,その他の身体装飾用のシール」と「従来の化粧品」とでは、商品の生産部門、商品の販売部門、商品の原材料や品質、用途、需要者の範囲、完成品と部品の関係、が異なるものである。
乙第7号証ないし乙第11号証に記載するように、「爪装飾用のシール,付け爪装飾用のシール,その他の身体装飾用のシール」は、装飾が施された樹脂製の本体と、本体の下面に形成された粘着層と、からなり、離型シート上に仮接着した状態で、袋体に収納されて流通され、主として、百貨店や家電総合販売店等のネイルコーナー(バス・トイレタリー)、バラエティーコーナー、雑貨コーナー等で販売されており、化粧品売り場で販売されるものではない。
実際、甲第1号証の1及び乙第12号証に示すように、「爪装飾用のシール,付け爪装飾用のシール,その他の身体装飾用のシール」については、通常の化粧品とは異なる類似群コード21F01が付される場合が多い。
また、甲第49号証及び甲第50号証は、指定商品「爪装飾用のシール,付け爪装飾用のシール,その他の身体装飾用のシール」が従来の化粧品とは異質の商品であるという主張と矛盾するものではない。
(4)以上より、本件商標と引用各商標とは、本件商標の指定商品が「爪装飾用のシール,付け爪装飾用のシール,その他の身体装飾用のシール」であることに鑑みれば、非類似の商標であり、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
また、異議2004-90740の異議決定において、「その余の商品については、本件商標は、『Pure』の文字部分が申立人の提出した甲各号証によっても商品の品質等を表示するものとして普通に使用されているとは認められないから、一体不可分の一連にものとみるのが相当である。そうすると、本件商標と引用各商標とは、前半部の『Pure』の有無の差異が顕著であり、これらの差異が全体に与える影響が大きく、外観、称呼及び観念のいずれよりみても非類似の商標である。」(乙第13号証)と認定されている。そして、この認定は、上述のとおり、甲第6号証、甲第46号証、甲第8号証、甲第9号証、甲第49号証及び甲第50号証を勘案しても、維持されるべきものである。
2 商標法第4条第1項第15号について
(1)引用各商標の著名性
引用商標1は、カタカナ文字「コラージュ」であり、引用商標2(別掲(1))は、「コラージュ」のカタカナ文字と「Collage」の欧文字との二段併記であり、引用商標3(別掲(2))は、「Collage」の欧文字と、その下方に配した小さい「コラージュ」のカタカナ文字と、さらにその下方の黒ベタで蔓草の模様とからなる。
これに対して、引用各商標の周知性・著名性を立証する趣旨で提出された各証拠における使用は、ほとんどが、Collage単独、あるいは、コラージュクレンジングジェルS、コラージュ化粧水S、コラージュ乳液S、コラージュクリームS、コラージュフルフル、…のようなコラージュ○○○という使用であり、実際の使用の態様と引用各商標とは異なるものであり、引用各商標の周知性、著名性が十分に立証されているとはいえない。
これらの証拠は、「コラージュシリーズ」が持田ヘルスケア株式会社の業務に係る商品であることを示すものであり、仮に周知性が認められるとするならば、それは、「Collage」、「コラージュ○○○」といった商品がコラージュシリーズのラインアップとして、持田ヘルスケア株式会社の業務に係る商品である需要者に広く知られているということであって、個々の引用各商標が周知であることを立証するものではない。
また、各証拠からは、「Collage」、「コラージュ○○○」が「せっけん類」、「化粧品の中の化粧水、クリーム(すなわち、基礎化粧品)」について集中的かつ限定的に使用されていることが読み取れ、仮に引用各商標に周知性が認められるとしても、「せっけん類」、「化粧品の中の化粧水、クリーム(すなわち、基礎化粧品)」について集中的かつ限定的に使用された結果、これらの限定された商品の商標として広く認識されているというべきであって、甲第22号証における周知性の認定についてもそのように解釈される。また、甲第19号証及び甲第20号証からは、甲第22号証におけるコラージュの周知性の認定後において、コラージュシリーズの商品のラインアップが、「せっけん類」、「化粧品の中の化粧水、クリーム」以外の化粧品に拡大された事実もない。
したがって、仮に引用各商標に周知性が認定されるとしても、それは「せっけん類」、「化粧品の中の化粧水、クリーム」に限定されるものである。また、「せっけん類」、「化粧品の中の化粧水、クリーム」を越えて他の化粧品においても需要者に広く知られている点については立証されていない。
(2)商品の共通性
引用各商標は、実際には、「せっけん類」、「化粧品の中の化粧水、クリーム」に特化して使用されており、「せっけん類」、「化粧水、クリーム」と、「爪装飾用のシール,付け爪装飾用のシール,その他の身体装飾用のシール」とでは、商品の生産部門、商品の販売部門、商品の原材料や品質、用途、需要者の範囲、完成品と部品の関係、が異なるものである。
乙第7号証ないし乙第11号証に記載するように、「爪装飾用のシール,付け爪装飾用のシール,その他の身体装飾用のシール」は、装飾が施された樹脂製の本体と、本体の下面に形成された粘着層と、からなり、離型シート上に仮接着した状態で、袋体に収納されて流通され、主として、百貨店や家電総合販売店等のネイルコーナー(バス・トイレタリー)、バラエティーコーナー、雑貨コーナー等で販売されており、化粧品売り場で販売されるものではない。
実際、甲第1号証の1及び乙第12号証に示すように、「爪装飾用のシール,付け爪装飾用のシール,その他の身体装飾用のシール」については、通常の化粧品とは異なる類似群コード21F01が付される場合が多い。
また、引用各商標の周知性・著名性を立証する趣旨で提出された各証拠から、引用各商標は、「せっけん類」、「化粧水、クリーム」、すなわち、洗顔料、化粧水、美容液、乳液、クリームといった肌質自体を整えることを目的とする基礎化粧品に限定して使用することで差別化が図られており、ファンデーション、紅、眉墨、アイシャドーといった、メーキャップ化粧品とは明確に区別されて使用されている、と考えられる。
これに対して、本件商標の指定商品「爪装飾用のシール,付け爪装飾用のシール,その他の身体装飾用のシール」は、仮に化粧品に属するとした場合には、後者のメーキャップ化粧品に近い性格を備えている。
引用各商標の需要者は、請求人の主張(コラージュ愛用者の会「コラージュ倶楽部」、「コラージュシーダー会」の存在、コラージュシリーズが皮膚刺激の原因となりやすい成分を一切含んでいないことを特徴としており、アトピー性皮膚炎やアレルギー体質の人にも勧められる低刺激性の製品としての定評、皮膚に問題を有する需要者によるコラージュシリーズの継続的使用等)やこれらの主張に関連する各証拠から、主として洗練された女性の需要者であると考えられ、引用各商標が実際に使用されている「せっけん類」、「化粧水、クリーム」と本件商標の指定商品「爪装飾用のシール,付け爪装飾用のシール,その他の身体装飾用のシール」を混同することなく明確に区別し得るといえる。
(3)出所の混同の可能性
商標法第4条第1項第15号は、「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」が商標登録を受けることができないことを規定するものであり、仮に、「コラージュシリーズ」が、持田ヘルスケア株式会社の業務に係る商品であると需要者に広く知られていたとしても、そのことは、同号の要件の一つにすぎない。
引用各商標の周知性・著名性を立証する趣旨で提出された各証拠に示すように、コラージュシリーズにおいては、「せっけん類」、「化粧水、クリーム」に限定して、collage単独、あるいは、コラージュクレンジングジェルS、コラージュ化粧水S、コラージュ乳液S、コラージュクリームS、コラージュフルフル、… のようにコラージュ○○○として統一的に用いられ、かつ、このような統一的な使用に多大な宣伝広告費がかけられているのであり、引用各商標が需要者に広く認識されているとするのであれば、これらの統一的な使用の結果というべきであって、したがって、△△△collageという商標を需要者が看た場合には、むしろ、コラージュシリーズの商品ではないと考えるのが相当である。また、コラージュシリーズは、せっけん類、化粧水、クリームに特化した商品ラインアップとして需要者に広く認識されているのであれば、「爪装飾用のシール,付け爪装飾用のシール,その他の身体装飾用のシール」がコラージュシリーズの商品であると誤認することもない。特に、既述のとおり、コラージュシリーズの商品の主な需要者は洗練された女性であると考えられることから、△△△collageが、コラージュシリーズとして認識されるおそれはないものといえる。
したがって、仮に、本件商標「Purecollage」が実際に市場にて商品に使用された場合には、需要者・取引者は該商品が「コラージュ」シリーズの商品であると誤認し、請求人の製造販売に係る商品であると出所を誤認する可能性が十分にある、という主張は失当である。
本件商標の権利者は、「爪装飾用のシール,付け爪装飾用のシール,その他の身体装飾用のシール」の製造販売についてはパイオニア的な存在であり(乙第7号証ないし乙第10号証)、競合製品との差別化を図るべく高品質、高価格の商品を提供しており、また、シールの粘着剤としては肌に対して低刺激の医療用の粘着剤を使用しているのであって(乙第11号証)、「需要者が本件商標を附した商品を出所混同して購入し、誤用してしまった場合には、需要者の肌の健康に重篤な被害をもたらしかねない」といったこともあり得ないし、「コラージュ」シリーズの財産的価値を減ずるようなこともない。
本件商標の権利者は、事実、「purecollage」を2004年の冬頃からから継続して使用しており、この種の商品のパイオニアとして「purecollage」には独自の信用・価値が化体しているのであり、請求人の「コラージュ」シリーズとの間で具体的に出所の混同が生じたという事実は全くない。
請求人が提出した各証拠からは、コラージュシリーズが「せっけん類」、「化粧水、クリーム」について継続的に使用され、相応の広告宣伝費が投じられ、相応の販売量があるという事実は認められるが、これらの証拠によって、「出所の混同の可能性」は立証されていない。
なお、甲第22号証における事案(無効2003-35264)と本件とでは、対象となる商標が異なる他に、甲第22号証の事案における指定商品が、「せっけん類」、「化粧水、クリーム」を含む「化粧品、せっけん類、歯磨き」であるのに対して、本件の指定商品が、「せっけん類」、「化粧水、クリーム」とは異なる「爪装飾用のシール,付け爪装飾用のシール,その他の身体装飾用のシール」である点で大きく異なり、前提となる事実が異なる。
したがって、本件商標は、「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」に該当するものではない。
(4)以上より、本件商標は、本件指定商品に使用された場合、請求人の業務に係る商品と混同を生じるおそれは全く無く、現実に、出所の混同は生じていないのであって、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
3 むすび
本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当せず、商標法第46条第1項第1号により登録を無効とすることができない。

第5 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標
本件商標は、前記第1のとおり、「Purecollage」の欧文字を標準文字で横書きしてなるものであるところ、その構成は、語頭の「P」が大文字で書されているものの、全体として同一の書体をもって表され、特に構成中の「collage」の文字部分が看者の注意を強く引くというような態様のものではないから、外観上一体的なものとして看取されるばかりでなく、構成文字全体より生ずる「ピュアコラージュ」の称呼も淀みなく一気に称呼できるものである。
そうとすると、本件商標は、その構成文字全体に相応し、「ピュアコラージュ」の一連の称呼のみを生ずるものであって、特定の観念を有しない造語よりなるものといわなければならない。
なお、請求人は、上記認定に関して、本件商標中の「Pure」の文字部分は、「純粋な、まじりけのない」の意味を有し、本件指定商品中の「爪装飾用のシール,付け爪装飾用のシール,その他の身体装飾用のシール」との関係においても、商品の品質等を表示するものとして普通に採択、使用されている(甲第6号証及び甲第46号証)から、自他商品の識別機能を有しないか、極めて弱い語であるのに対し、「collage」の文字部分は、化粧品について使用され著名となっている引用各商標中の「Collage」と同一の文字よりなるものであり、該文字部分の自他商品の識別機能は強く、これより「コラージュ」の称呼及び観念を生ずるから、引用各商標とは称呼、観念においても相紛れるおそれのある類似の商標である旨主張する。
しかし、上記認定のとおり、本件商標は、構成上一体的に結びつき、その構成文字全体より「ピュアコラージュ」との称呼のみを生ずる造語を表したものと理解されるものである。また、甲第6号証及び甲第46号証によっても、「Pure」の語が、本件指定商品「爪装飾用のシール,付け爪装飾用のシール,その他の身体装飾用のシール」において、商品の具体的な品質等を表示するために普通に使用されているという事情は認められず、他に本件商標の構成中の「collage」の文字部分のみが自他商品の識別機能を発揮するという格別の事由は認められない。
したがって、請求人の主張は採用することができない。
(2)引用商標
引用商標1は、前記のとおり、「コラージユ」の文字を横書きしてなるものであるから、これより「コラージユ」又は「コラージュ」の称呼を生ずるものであって、「貼付け絵、コラージュ」の観念を生ずるものとみるのが相当である。
引用商標2は、前記のとおり、「コラージュ」の文字と「Collage」の文字(筆記体)を上下二段に横書きしてなるものであるから、これより「コラージュ」の称呼を生ずるものであって、「貼付け絵、コラージュ」の観念を生ずるものである。
引用商標3は、別掲のとおり、「Collage」の文字(筆記体)と「コラージュ」の文字を上下二段に横書きしてなり、これらの文字の下に、黒塗りの植物様の図形を配してなるものであるところ、該文字部分及び図形部分がそれぞれ独立して自他商品の識別機能を有するものと認められ、該文字部分より「コラージュ」の称呼及び「貼付け絵、コラージュ」の観念を生ずるものとみるのが相当である。
(3)本件商標と引用商標の類否について
本件商標より生ずる「ピュアコラージュ」の称呼と引用各商標より生ずる「コラージュ」又は「コラージユ」の称呼は、「ピュア」の音の差異を有するから、それぞれを一連に称呼した場合においては、その語調、語感が明らかに相違したものとなり、明瞭に聴別出来るものである。
また、本件商標は、構成全体をもって造語を表したものと認識され、引用各商標は、「貼付け絵、コラージュ」の観念を生ずるから、観念上比較することはできない。
さらに、本件商標と引用各商標は、前記及び別掲のとおりの構成よりなるものであるから、それぞれの構成よりみて、外観上明らかに相違するものであり、互いに紛れるおそれはないものである。
したがって、本件商標と引用各商標は、その称呼、観念及び外観のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
(4)本件商標と引用各商標の指定商品の類否について
本件商標の設定登録時の指定商品は、前記第1のとおり、平成17年12月21日の異議決定(異議2004-90740)により、指定商品中「その他の化粧品」について登録が取り消された結果、「爪装飾用のシール,付け爪装飾用のシール,その他の身体装飾用のシール」となっている。
これに対し、引用各商標の指定商品は、前記第2のとおり「化粧品」を含むものである。
しかして、引用各商標の指定商品中の「化粧品」は、薬事法に規定される商品であって、身体を清潔にし、美化する等のために、皮膚に塗布、散布等の方法で使用するものであるのに対し、本件商標の指定商品「爪装飾用のシール,付け爪装飾用のシール,その他の身体装飾用のシール」は、爪や身体に貼付し装飾するためのものであるから、それぞれの用途、使用方法等を異にする商品である。
(5)以上のとおり、本件商標と引用各商標とは、称呼、観念及び外観のいずれの点においても紛れるおそれのない非類似の商標であって、かつ、それぞれの指定商品も同一又は類似しないものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第15号について
請求人は、「Collage」の文字等よりなる引用各商標は、請求人の業務に係る「化粧品」を表示する商標として、本件商標の登録出願前より、周知・著名である旨主張し、甲各号証を提出している。
しかして、請求人の提出した甲第19号証、甲第20号証、甲第21号証及び請求人の主張によれば、請求人は、昭和55年1月より引用各商標の使用を開始し、皮膚刺激の原因となりやすい成分を含んでいないことを特徴とする「クレンジングジェル、化粧水、脂性肌用石鹸、リンス、ボディクリーム」等の商品に、「コラージュ」シリーズとして引用商標を使用し、請求人の業務に係るアトピー性皮膚炎やアレルギー体質の人にも使用できる化粧品、石けん等を表示するものとして、本件商標の登録出願前より、アトピー性皮膚炎やアレルギー体質等の需要者の間に相当程度認識されていたとみることができる。
しかしながら、本件商標の指定商品「爪装飾用のシール,付け爪装飾用のシール,その他の身体装飾用のシール」は、引用商標が使用される商品特に請求人の業務に係るアトピー性皮膚炎やアレルギー体質の人にも使用できる化粧品、石けん等とは、用途、使用方法において異なる商品であること及び本件商標と引用各商標が別異の商標であること前記第5 1(3)、(4)のとおりであることを併せ考慮すれば、本件商標を、商標権者が、その指定商品について使用しても、これに接する取引者・需要者をして、引用各商標を連想又は想起させるものとは認められず、その商品が請求人又は同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわなければならない。
なお、請求人は、本件商標の指定商品「爪装飾用のシール,付け爪装飾用のシール,その他の身体装飾用のシール」は、肌に影響を与え得る美容関連商品であるところ、「コラージュ」シリーズの各商品は、肌に問題を抱える需要者やアトピー性皮膚炎やアレルギー体質で苦しんでいる需要者を中心に愛用されている商品であるから、これらの需要者が本件商標を付した商標を請求人の商品と出所の混同をし、購入したときには、肌に重篤な被害をもたらしかねない旨主張するが、前記のとおり請求人の業務に係る商品と本件商標の指定商品とは、その用途、使用方法が別異の商品であるから、請求人のかかる主張は採用できない。
してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第15号にも該当しない。3 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号又は同第15号
に違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきでない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
(1)引用商標2(登録第2318621号商標)




(2)引用商標3(登録第2413569号商標)



審理終結日 2008-12-05 
結審通知日 2008-12-11 
審決日 2009-01-23 
出願番号 商願2004-15677(T2004-15677) 
審決分類 T 1 11・ 263- Y (Y03)
T 1 11・ 262- Y (Y03)
T 1 11・ 271- Y (Y03)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 渡口 忠次 
特許庁審判長 芦葉 松美
特許庁審判官 内山 進
岩崎 良子
登録日 2004-09-24 
登録番号 商標登録第4805626号(T4805626) 
商標の称呼 ピュアコラージュ 
代理人 網野 友康 
代理人 初瀬 俊哉 
代理人 稲葉 滋 

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