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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y33
管理番号 1193931 
審判番号 取消2007-300926 
総通号数 112 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-04-24 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2007-07-20 
確定日 2009-03-11 
事件の表示 上記当事者間の登録第4786694号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4786694号商標の指定商品中、第33類「全指定商品」については、その登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4786694号商標(以下「本件商標」という。)は、「OOTAKANOMORI」の文字と「おおたかの森」の文字を二段に横書きしてなり、平成15年11月6日に登録出願、第29類、第30類及び第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品並びに第33類「日本酒,洋酒,果実酒」を指定商品として、平成16年7月16日に設定登録されたものであり、その商標権は、現に有効に存続しているものである。

2 請求人の主張の要点
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べた。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定商品中、第33類「全指定商品」について、継続して3年以上日本国内において使用された事実がない。
したがって、本件商標の登録は、その指定商品中、第33類「全指定商品」について、商標法第50条の規定により取り消されるべきものである。
(2)答弁に対する弁駁
平成15年に筑波エキスプレスの駅が、流山に3駅できることが決まり(「流山南」駅の名称はすでに決まっていた。)、その駅名は、市民からの公募により、「流山セントラルパーク」駅、「流山おおたかの森」駅と決まった。そして、平成17年8月に筑波エキスプレスが開通し、それに伴い流山市の町おこしのために、市内の業者が立ち上がり、ふるさと産品を作る企画を立てた。請求人は、酒小売業であり、「自然が美しい流山」、「おおたかの森」の名称を使用した純米吟醸酒・薬味酒を発売してすでに2年になり、流山ふるさと産品に認定されたところである。
したがって、請求人は、町の活性化を図るためにも、本件商標の登録を取り消し、「おおたかの森」の商標登録を得たいと思量する。

3 被請求人の答弁の要点
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第4号証を提出した。
被請求人は、商標を活用した環境保全の推進に資するビジネスモデルを考え企画し、食品及び飲料の分野で本件商標を出願し、登録を受けた(乙第1号証)。出願当時から現在まで確認されるところ、首都圏には「おおたかの森」あるいは「オオタカの森」の呼称に因む自然保護団体が千葉県北西部(東葛飾)、埼玉県南西部(武蔵野)及び栃木県北部(那須高原)にあり、この企画は、これら地域の特産物、産業立地や特色を生かした商品の製造販売と環境保護団体の活動を始めとする環境保全事業への支援を商標を介して組み合わせることを意図しており、商標を用いた新しい仕組み・ビジネスの萌芽となる可能性を秘めていると考えている。
一方で、被請求人はこの3年間国外に在留しており、日本国内において当該の登録商標を使用することが極めて困難な状況にあった(乙第2号証ないし乙第4号証)。被請求人は、現在もハワイ大学に留まり学位論文の学会誌投稿へ向けた編集作業等をしており、同時に並行して、乙第1号証の企画に沿い関係各位と話し合いを持ち登録商標の使用に向けた準備を進めているところである。
したがって、被請求人が本件商標の使用をしていないことについて、正当な理由がある。

4 当審の判断
(1)商標法第50条第2項但し書にいう「正当な理由」の有無について
ア 商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、請求に係る指定商品又は指定役務(以下「指定商品等」という。)について当該登録商標を使用していることを証明し、又は使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その指定商品等に係る商標登録の取消しを免れないところである。
この点に関し、被請求人は、商標を活用した環境保全の推進に資するビジネスモデルを考え企画し、食品及び飲料の分野で本件商標を出願し、登録を受けたが、その登録以降、約3年間外国に在留しており、日本国内において本件商標を使用することが極めて困難な状況にあったから、本件商標が本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において使用されなかったことにつき、正当な理由がある旨主張し、乙第1号証ないし乙第4号証を提出する。
イ そこで、被請求人の主張する「正当な理由」が商標法第50条第2項但し書にいう「正当な理由」に当たるか否かについて検討する。
乙第1号証(「『OOTAKANOMORI/おたかの森』ブランドを活用した食と環境の融合ビジネス展開」企画概要 2005年8月/2007年8月改定)によれば、被請求人が主張するところの「商標を活用した環境保全の推進に資するビジネスモデルを考え企画し」、本件商標を商品「清酒、ビール、ウイスキー、ワイン」に使用する計画があったことが窺われる。
しかし、商標は、商品・役務について継続的に使用されることにより、商標に商標使用者の業務上の信用が化体され、顧客吸引力が高まり、財産的価値が発揮されるものであるから、商標法により商標権者に登録商標を独占的に使用させることを保護しているものであり、登録商標をその指定商品等について使用する意思のみをもって、当該登録商標の使用を認めることとすれば、上記商標法の目的に反するばかりでなく、当該商標の使用を欲する者の商標採択の範囲を狭め、国民一般の利益を損なう結果ともなり、請求により、このような商標登録を取り消そうとする不使用取消の審判制度の趣旨にも反するものであるから、たとえ、登録商標の使用の意思を有していたとしても、本件審判の請求の登録前3年以内に現実の使用がない限り、その商標登録を取り消されてもやむを得ないというべきである。
上記商標法の目的及び商標登録不使用取消の審判制度の立法趣旨からみれば、商標法第50条第2項但し書にいう「正当な理由」があるといえるためには、例えば、その商標の使用をする予定の準備を進めていたにもかかわらず、天災地変等によって工場等が損壊した結果、その使用ができなかったような場合や時限立法によって一定期間(3年以上)その商標の使用が禁止されたような場合など、登録商標を使用しないことについて、商標権者の責めに帰することができない特別の事情が存在することが不可欠と解される。
これを本件についてみると、被請求人のいう登録商標の不使用についての正当な理由は、前記のとおり、本件商標の登録以降、約3年間外国に在留していたというものである。しかし、外国に在留していたという事情は、いわば個人的事情にすぎず、商標権者の責めに帰することができない特別の事情に該当するものとは認められない。付言すれば、登録商標の使用は、商標権者のみならず、商標権者から当該登録商標の使用をする権利の許諾を受けた者も可能であることは、法が規定するところであり、被請求人は、本件商標の登録前後において、外国に在留することが事前に分かっていた状態にあったものと推測できるから、そのような措置を講じなかったことは、必ずしも被請求人に落ち度が無かったものとはいえない。
したがって、本件商標を請求に係る指定商品に使用していないことについて、商標法第50条第2項但し書にいう「正当な理由」があると認めることはできない。
(2)むすび
以上のとおりであるから、本件商標の登録は、その指定商品中、第33類「全指定商品」について、商標法第50条の規定により、取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2008-07-28 
結審通知日 2008-08-01 
審決日 2008-08-12 
出願番号 商願2003-102478(T2003-102478) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Y33)
最終処分 成立  
前審関与審査官 大島 護 
特許庁審判長 渡邉 健司
特許庁審判官 酒井 福造
鈴木 修
登録日 2004-07-16 
登録番号 商標登録第4786694号(T4786694) 
商標の称呼 オオタカノモリ、オータカノモリ 

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