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審決分類 審判 査定不服 称呼類似 登録しない X12
管理番号 1193879 
審判番号 不服2008-13559 
総通号数 112 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-04-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-05-29 
確定日 2009-02-16 
事件の表示 商願2007-47442拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「Moto Corsa」の欧文字及び「モト コルサ」の片仮名文字を上下二段に横書きしてなり、第12類「荷役用索道,カーダンパー,カープッシャー,カープラー,牽引車,陸上の乗物用の動力機械(その部品を除く。),陸上の乗物用の機械要素,落下傘,乗物用盗難警報器,車いす,陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機(その部品を除く。),船舶並びにその部品及び附属品,航空機並びにその部品及び附属品,自動車並びにそれらの部品及び附属品,二輪自動車・自転車並びにその部品及び附属品,鉄道車両並びにその部品及び附属品,乳母車,人力車,そり,手押し車,荷車,馬車,リヤカー,タイヤ又はチューブの修繕用ゴムはり付け片」を指定商品として平成19年5月14日に登録出願され、その後、指定商品については、同20年1月21日付け手続補正書により、第12類「二輪自動車・自転車並びにその部品及び附属品」に補正されたものである。

2 引用商標
原査定において、本願商標の拒絶理由に引用した登録第4521901号商標(以下「引用商標」という。)は、「MOTOCORSE」の文字を標準文字で表してなり、平成12年12月28日登録出願、第12類「航空機並びにその部品及び附属品,自動車並びにその部品及び附属品,二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品」及び第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(『靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具』を除く。),運動用特殊衣服,運動用特殊靴(『乗馬靴』を除く。)」を指定商品として、同13年11月16日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

3 当審において通知した証拠調べ通知の要点
本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するか否かについて、「Moto Corsa」及び「MOTOCORSE」を構成する「moto」、「corsa」及び「corse」の各語に関して、職権に基づく証拠調べを行ったところ、以下の事実を発見したので,商標法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき通知した証拠調べ通知の内容は,以下のとおりである。
1.辞書における記載
(1)「moto」の項目に、「動き、運動」との記載があり、「moto-」の項目に、「『モーターの付いている機械』『自動車』などの意を表わす合成語の造語要素。」との記載がある。(「小学館伊和中辞典 初版」 1991年6月20日 株式会社小学館発行)
(2)「corsa」の項目に、「1(人や動物が)走ること、駆け足 2(乗り物が)走ること;(乗り物の)便 ・・・「corse di [al]trotto」((乗馬で馬を)早足で走らせること)、3競争、レース;競馬・・・「andare alle corse」(競馬に行く)」との記載がある。(前掲「小学館伊和中辞典 初版」)
(3)「corse」の項目に、「3・単・遠・直説法 →correre」との記載がある。(前掲「小学館伊和中辞典 初版」)そして、「correre」の項目には、「1(人や動物が)走る;(乗り物などが)走る、(車で)走る.」との記載がある。(前掲「小学館伊和中辞典 初版」)
2.インターネットにおける情報
(1)「楽天市場」のウエブサイトにおいて、「輸入車インポートモデル 50cc class」として、「Malaguti Drakon 50NKD ドゥカティ コルセ」が紹介され、「『ストリートファイターモデル』と言うジャンルのみならず、全ての他のバイク/スクーターには無いデザインとフォルムで強烈なインパクトを持つ Drakon 50NKDにDucatiCorseとのコラポレーションモデルが登場しました。」との記載がある。(http://www.rakuten.co.jp/hatoya/468091/468110/727195/)
(2)「ドゥカティのサイクルモデルは、MotoGPやスーパーバイク界で活躍するモーターサイクルチームの“ドゥカティ・コルセ”に由来する鮮烈なレッドがモチーフ。角断面を巧みに取り入れたロードバイクや、モーターサイクルのフレームを連想させるデザインのシティーバイクの製造は、イタリアの老舗自転車メーカーのビアンキが担当しており、そのセンスの良さとクォリティーの高さは世界のトップレベルに位置しています。*ドゥカティ・コルセは、2007MotoGPのワールドチャンピオンシップタイトルを獲得!」との記載がある。(http://www.intermax.co.jp/products/ducati/ducati_panigale.html)
(3)「ドカティコルセ バイ ビアンキ DUCATI Corse by Bianchi DUCATIとbianchiのコラボレーションロードレーサー。」との記載がある。(http://www.kanshin.com/keyword/232146)
(4)「ワールドサイクル」のウエブサイトにおいて、「タイヤ(チューブラ)」の「VELOFLEX」に、「Servizio Corse」の文字をタイヤ側面に記した写真とともに、「VELOFLEX セルヴィツィオコルセ 27in チューブラ」との記載がある。(http://www.worldcycle.co.jp/item/3043.html)
(5)「MOTO CORSE グループ企業概要」に、「MOTO CORSE SHOWROOM 商号:株式会社モトコルセ」との記載がある。(http://www.motocorse.jp/04_about/)
(6)「楽天市場」の「MOTO CORSE online store」において、「モトコルセは、MVアグスタ、DUCATI、BIMOTA、MOTOGUZZI、Benelli、Husqvarnaなどイタリアンバイクをはじめとするスペシャルバイクのパフォーマンスパーツを製作、輸入、販売しています。」との記載がある。(http://www.rakuten.co.jp/motocorse/)
(7)「ONLINE BIKE PARTS SHOP 3184 バイクパーツ通販」の「モトコルセ」において、「モトコルセ イタリアン・モーターサイクルの血統を受け継ぐ。世界唯一のBIMOTA SB6専門ショップからスタートしたMOTO CORSE。そのポテンシャルを発揮させる技術は確かなもの。イタリアンビッグバイク用に数々のハイクオリティ・オリジナルパーツをリリースしています。」との記載がある。(http://www.bikeparts.jp/moto-corse-0358/)
(8)国立国会図書館の書誌情報に、「ラリーコルセ:’98年世界ラリー選手権全記録」(飯島俊行監修 1999年1月リイド社発行)の並列タイトルとして、「Rally Corse」との記載がある。
3.本願の指定商品におけるイタリア語の使用について
(1)本田技研工業株式会社のウエブサイトの「お客様相談センター」内において、「バイクQ&A」にネーミングの由来が記載され、二輪車として「FORZA」に「イタリア語で『力強さ』『元気』の意。たくましくスポーティーな外観と走りを表現。」、「スパーダ」に「イタリア語で『剣』の意味。英語ではSPADE!!」との記載がある。(http://www.honda.co.jp/customer/faq-motor/modelname/index.html)
(2)スズキ株式会社のウエブサイトの「スズキ二輪車 車名の由来」に、「ヴェルデ VERDE イタリア語 緑の意味。発売当初は緑をイメージカラーとしていたことから命名しました。」との記載がある。(http://www.suzuki.co.jp/about/faq/dom2_name.html)
(3)ヤマハ発動機株式会社の1997年2月20日発表のニュースリリースによれば、「レトロ感覚と優れた実用機能を調和させた50ccスクーター ヤマハスクーター『Vino』(ビーノ)新発売」の見出しのもと、商品の概要に「なお、『Vino』とは、イタリア語で「ワイン」の意。ラテンの明るい感じ、華やかさ、上品さを表現しています。」との記載がある。(http://www.yamaha-motor.co.jp/news/1997/02/20/vino.html)
4.イタリアにおける二輪車等の展示会
「来年のバイク展示会、300社出展か[車両]」の見出しのもと、「EICMAは、イタリアの自転車・二輪協会の子会社で、世界最大のバイク展示会『国際自転車・二輪ショー・ミラノ』を主催している。同ショーは1914年に始まり、今年が65回目の開催。昨年は50万人が来場した。」との記載がある。(NNAアジア経済情報 2007.04.19 シンガポール 経済)

4 証拠調べ通知に対する請求人の意見の要点
(1)引用商標の「MOTOCORSE」は、一般的に英語風に「モトコース」と称呼するのが自然である。従って、引用商標の「MOTOCORSE」から「モトコルセ」の称呼が生ずるとするのは、極めて不自然である。
(2)一歩譲って、引用商標の「MOTOCORSE」を「モトコルセ」と称呼した場合、該「モトコルセ」と本願商標から生ずる「モトコルサ」とを比較するに、両者は語尾音において「サ」と「セ」の一音のみの相違であるが、夫々帯有する母音を異にすると共に、「モトコルサ」「モトコルセ」が極めて明瞭に発音されるので、両者の語韻語調に明瞭な差が生じ、取引上紛れることがなく十分に区別することができる。即ち、称呼上比較的短音の構成からなる両者は全体の音調を著しく異にし、それぞれ全体として称呼する時は、その語調、語感を異質にし、明瞭に聴別され、称呼上互いに相紛れるおそれのない別異のものである。
(3)商標の類否の判断は、商品についての一般的で恒常的な取引の実情を考慮して、需要者の通常有する注意力を基準として判断しなければならない。本願商標の指定商品「二輪自動車」等の商品の購入に当たっては、取引者又は需要者において、商品の性質上、相当な注意力を要するものであり、商標についても相当な注意力を払うものである。従って、二段構成からなる本願商標と引用商標とは、全く異なった認識・印象を受けるもので、決して混同するものではない。
以上のとおり、本願と引用商標とは非類似の商標というべきである。

5 当審の判断
本願商標は、前記1のとおり、「Moto Corsa」の欧文字及び「モト コルサ」の片仮名文字を上下二段に横書きしてなるところ、その構成中の「Moto Corsa」と「モト コルサ」の各文字は何ら特定の意味合いを看取させるものではないことから、いずれも特定の語義を有しない一連の造語というのが相当である。また、一般に欧文字と片仮名文字とを併記した構成において、その片仮名文字部分が欧文字部分の称呼を特定すべき役割を果たすものと無理なく認識し得るときは、片仮名文字部分より生じる称呼がその商標より生ずる自然の称呼とみるのが相当であり、これを本願商標についてみると、下段の「モト コルサ」の片仮名文字は、上段の「Moto Corsa」の欧文字から生ずる称呼を特定したものと無理なく認識し得るとみるのが自然であるから、本願商標は、その構成文字に相応して「モトコルサ」の称呼のみを生ずると判断するのが相当である。
他方,引用商標は,前記2のとおり、「MOTOCORSE」の文字を標準文字で表してなるところ、これよりは、特に親しまれた既成の観念を有する語とはいえないことから、特定の観念を生じない造語と認識されるものである。
ところで、前記3の認定事実によれば、商品の名称にイタリア語が使用されていること、イタリア製の二輪自動車が我が国においても販売されていること、国際的なオートバイのレースにおいて、イタリア製の二輪自動車が活躍していることが認められ、本願商標の指定商品に係る業界においては、イタリア語が相当程度使用されているといい得るものであり、そして、引用商標は、「モトコルセ」と称して使用されている事実が認められる。
そうすると、一般に我が国においてイタリア語は馴染みの薄い言語であるとしても、本願商標の指定商品にかかる業界においては、取引者、需要者が、「MOTOCORSE」の語に接する場合に、イタリア語読みに「モトコルセ」と称呼する場合も決して少なくないというべきであるから、引用商標の「MOTOCORSE」の文字からは、英語読みにして「モトコース」の称呼を生ずるほかに、イタリア語読みにして「モトコルセ」の称呼をも生ずると判断するのが相当である。
そこで、本願商標から生ずる「モトコルサ」の称呼と、引用商標から生ずる「モトコルセ」の称呼とを比較するに、両称呼は、共に5音構成からなるところ、称呼における識別上重要な要素を占める語頭音を含む4音を共通にし、語尾における「サ」音と「セ」音の差異を有するものである。
しかして、該差異音である「サ(sa)」音と「セ(se)」音にしても、「サ」音は舌端を前硬口蓋に寄せて発する無声摩擦音「s」と母音「a」とが結合した音節であり、「セ」音は無声摩擦音「s」と母音「e」とが結合した音節であることから、ともに無声摩擦音である子音(s)を共通にし、かつ、口の開き方と舌の位置の比較から、母音ア(a)は母音エ(e)に近似する音であり、また、「サ」音と「セ」音が明確に聴取され難い語尾に位置することをも考慮すると、該差異音が称呼全体に及ぼす影響は決して大きいものとはいえず、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、称呼全体の語調・語感が近似し、互いに聞き誤るおそれがあるといわなければならない。
さらに、本願商標と引用商標とは、前記認定のとおり、観念については共に造語と認められるから比較できないものであるとしても、外観については、両商標は前記のとおりの構成よりなるところ、本願商標の構成中の「Moto Corsa」と「モトコルサ」の各文字部分は、同じ称呼を生ずる片仮名文字と欧文字とを併記した構成よりなるものと認識されるものであるから、これに接する取引者、需要者においては、本願商標の欧文字部分のみをもって記憶、想起し、取引に当たる場合も少なくないとみるのが相当である。
しかして、本願商標と引用商標の欧文字部分とは、いずれも文字を普通に用いられる態様で表してなるにすぎないものであって、大文字と小文字の相違はあるにしても、語尾において「a」と「E」の相違を有するにすぎず、他の文字の綴りを同じくするものであるから、時と所を異にした場合にあっては、その差異が明確に印象に残るともいえないものであり、両商標は前記のとおり称呼において相紛れるおそれのあることを併せ考慮すると、両商標は互いに類似すべきというべきであり、かつ、本願商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一の商品を含むものである。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであり、取消すことはできない。
なお、請求人は、引用商標からは「モトコース」の称呼が生ずるのが自然であり、「モトコルセ」の称呼が生ずるのは不自然である旨主張するが、商標は指定商品との関係において理解、把握されるものであって、本願商標の指定商品の分野においては、イタリア語が取引上使用されていることは前記認定のとおりであるから、引用商標からイタリア語読みに「モトコルセ」の称呼が生ずることは不自然とまではいえず、むしろ、引用商標は「モトコルサ」と称して使用されているものである。
また、請求人は、仮に引用商標から「モトコルセ」の称呼が生ずるとしても、本願商標から生ずる「モトコルサ」とは明らかにその語調、語感を異質にし、明瞭に聴別され、称呼上互いに相紛れるおそれのない別異のものである旨主張するが、「モトコルサ」と「モトコルセ」の差異音である「サ」と「セ」については、前記認定のとおり、ともにサ行に属する子音を共通にし、その母音も近似するものであって、かつ、語尾に位置することから、本願商標と引用商標とは称呼において相紛らわしい商標というべきである。
さらに、請求人は、本願商標の指定商品「二輪自動車」等の商品の購入に当たっては、取引者又は需要者において、商品の性質上、相当な注意力を要し、商標についても相当な注意力を払うものであるから、本願商標と引用商標とは、決して混同するものではない旨主張する。
しかし、請求人は、上記主張を裏付ける証左を提出していないばかりでなく、「二輪自動車」を購入するにあたり、カタログ等を電話で取りそろえる場合もあり得るし、かつ、本願商標の指定商品には「二輪自動車」のみならず、「二輪自動車の部品及附属品」や「自転車並びにその部品及び附属品」も含まれているものであって、これら「二輪自動車の部品及附属品」や「自転車並びにその部品及び附属品」は専門店のみならず、一般の量販店においても広く取引されていることを考慮すれば、請求人がいうように常に相当な注意力を要するとまではいえず、商標が互いに紛らわしい場合には混同が生ずるおそれがあるといわざるを得ない。
してみれば、請求人の主張は、いずれも採用することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2008-12-16 
結審通知日 2008-12-17 
審決日 2009-01-06 
出願番号 商願2007-47442(T2007-47442) 
審決分類 T 1 8・ 262- Z (X12)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 土井 敬子 
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 木村 一弘
末武 久佳
商標の称呼 モトコルサ、モトコーサ、モト、コルサ、コーサ 
代理人 谷山 守 

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