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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Y05
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない Y05
管理番号 1193846 
審判番号 不服2008-10116 
総通号数 112 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-04-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-04-22 
確定日 2009-02-12 
事件の表示 商願2006-111910拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第5類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成18年12月4日に登録出願されたものである。そして、願書記載の指定商品については、原審において、同19年12月19日付け提出の手続補正書により、第5類「男性用の失禁用ナプキン,男性用の失禁用パッド,男性用の失禁用パンツ,男性用の失禁用ライナー,男性用の大人用紙オムツ,男性用の失禁用おしめ,男性用の失禁用吸収性ショーツ・ブリーフ及びトランクスその他の失禁用吸収性下着」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由(要点)
原査定は、「本願商標は、様々な太さ・濃さの青色の帯から構成される横長長方形を配し、その左側に、薄い青色の縦長長方形の中にパンツ或いはおしめをはいた男性の膝上から胸の下までを写実的に描いたものと思しき図形を配してなるところ、その構成中、横長長方形部分は、商品の容器等包装に普通に採択され、使用されている地模様と認められるものであり、また『薄い青色の縦長長方形の中にパンツ或いはおしめをはいた男性の膝上から胸の下までを写実的に描いたものと思しき図形』部分は、本願指定商品中『失禁用パンツ,失禁用おしめ』など『(パンツのように)履いて使用する男性用の商品』との関係においては、『商品の使用の方法』を表示したものと認められるものであるから、このような商標を本願指定商品中『(パンツのように)履いて使用する男性用の商品』について使用しても、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であると認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを行ったところ、別掲2に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、平成20年10月16日付けで証拠調べの結果を通知した。

4 職権証拠調べに対する請求人の対応
前記「証拠調べ通知」に対して、所定の期間を指定して意見を申し立てる機会を与えたところ、請求人からは何らの意見もない。

5 当審の判断
本願商標は、別掲1のとおり、青色の濃淡が施された帯状の図形を背景に、オムツ又は下着等を身に着けた男性の身体の一部と思しき図形よりなるものである。
そして、前記3で通知したとおり、本願商標の構成中、背景の帯状の図形は、一般に商品の容器等包装に普通に採択、使用されているものであり、また、青色等の寒色系の色彩は、男性用の商品を表す色彩として、商品の包装等に施される傾向にあることから、該図形部分は、それ自体が単独で自他商品を識別する機能を発揮し得るとはいい難い、男性用商品の容器等包装に使用される背景的図柄を表したものというべきであり、さらに、オムツ又は下着等を身に着けた男性の身体の一部と思しき形状は、本願指定商品を取り扱う業界において、その商品の品質、形状、使用方法等を表示するものとして、普通に用いられている実情にある。
そうすると、本願商標は、その指定商品との関係において、商品の容器等包装に使用される帯状の背景的図柄に、男性用商品の形状、又は、例えばパンツのようにはいて使用する男性用商品の使用の方法等を表した図形であると容易に認識させるというべきである。
してみれば、本願商標を、その指定商品中「男性用の失禁用ナプキン,男性用の失禁用パッド,男性用の失禁用パンツ,男性用の失禁用ライナー,パンツのようにはいて使用する男性用の大人用紙オムツ・男性用の失禁用おしめ,パンツのようにはいて使用する男性用の失禁用吸収性ショーツ・ブリーフ及びトランクスその他の失禁用吸収性下着」に使用するときは、これに接する取引者、需要者に、商品の品質、形状、使用の方法等を表示してなるにすぎないものと理解させるに止まるものであるから、自他商品の識別標識としての機能を有する商標とは認識し得ないというべきであり、かつ、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものというべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
なお、原査定において、本願商標は、商標第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして拒絶したものであるが、前記3のとおり、当審における職権証拠調べ通知において、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当すると通知しており、本願商標は、前記のとおり、本願指定商品中、特定の商品との関係においては、自他商品の識別標識としての機能を果たさない商標であり、この認定において原査定と相違するものではないから、結局、原査定は妥当なものであって取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
1 本願商標




2 証拠調べ通知の内容
第1 本願商標を構成する「青色の濃淡が施された帯状の図形を背景に、オムツ又は下着等を身に着けた男性の身体の一部と思しき図形」等に関して行った職権による証拠調べによれば、以下の事実が認められる。
1 商品の包装等に帯状の図形が使用されている事実。
(1)「大王製紙株式会社」のウェブサイトにおいて、商品「テークケア」シリーズの包装に帯状の図形が使用されている事実(http://www.elleair.co.jp/takecare/lineup/index.html)。
(2)「白十字株式会社」のウェブサイトにおいて、失禁用パッド「遊遊レディケアレギュラー14枚入り」及び「遊遊レディケアスーパー14枚入り」の包装に帯状の図形が使用されている事実(http://www.hakujuji.co.jp/Products/03keisikkin.html#sitagi)。
2 男性用商品の包装等に、青色や緑色等の寒色系の色彩が使用されている事実。
(1)「ケンコーコム」のウェブサイトにおいて、商品「軽失禁用 安心快適ブリーフ(紳士用3枚組) LL」、「軽失禁用 安心快適ブリーフ(紳士用3枚組) L」及び「軽失禁用 安心快適ブリーフ(紳士用3枚組) M」の包装に水色の色彩が施されている事実(http://www.kenko.com/product/brand/bra_68180.html)。
(2)「ピジョンホームヘルスケア」のウェブサイトにおいて、商品「尿とりパッド 横モレ防止超高立体ギャザー(男性用)30枚入」、「尿とりパッド 横モレ防止超高立体ギャザー(男性用) 52枚」及び「尿とりパッドス-パ- 男性用 36枚入」の包装に水色又は緑色の色彩が施されている事実(http://pigeon-hhc.info/shouhin/018.html)。
(3)「花王株式会社」のウェブサイトにおいて、軽失禁用品「リリーフ 消臭安心ガード 男性用」(http://www.kao.co.jp/relief/product/list/index.html)、及び、大人用紙おむつ〔尿とりパッド〕「プロフィット 介護の達人 尿とりパッド 男性用 [52枚]」(http://www.kao.com/jp/profit/prf_pad_man_01.html)の包装に水色の色彩が施されている事実。
(4)「大王製紙株式会社」のウェブサイトにおいて、尿とりパッド「アテント尿とりパッド パワフル吸収 男性用56枚」、「アテント尿とりパッド 強力パワフル吸収 男性用42枚」(http://www.elleair.co.jp/takecare/attento/shohin/05.html)、及び、「テークケア安心パッド強力スーパー男性用」(http://www.elleair.co.jp/takecare/lineup/index.html)の包装に青色の色彩が施されている事実。
3 「オムツ又は下着等を身に着けた男性の身体の一部と思しき形状」が、商品の包装又は宣伝広告等に、その商品の品質、形状、装着の状態及び使用法等を表示するものとして使用されている事実。
(1)「ピップフジモト株式会社」のウェブサイトにおいて、失禁用品「安心パンツ 軽度失禁パンツ(男性用)」、「安心パンツ 中度失禁パンツ(男性用)」及び「安心パンツ 申又タイプ(男性用)」の各商品の包装及びそれらの製品紹介に該形状が使用されている事実(http://www.pip-collection.com/fujimoto/list.php?cat=9)。
(2)「シースターメディカルマーケット」のウェブサイトにおいて、商品「ソフラピレンパンツ 」の製品紹介に該形状が使用されている事実(http://www.sea-star.jp/content/kategorie/details.php)。
(3)「介護衣料通販のシマネヤ」のウェブサイトにおいて、商品「5枚組 快適パンツ(紳士用) 前開きなし」の製品紹介に該形状が使用されている事実
(http://www2u.biglobe.ne.jp/~shimane/kaigo/pantu1a.htm)。
(4)「片倉工業株式会社」のウェブサイトにおいて、失禁パンツ「吸水ニットトランクス」及び「吸水トランクス(涼感タイプ)」のそれらの製品紹介に該形状が使用されている事実(http://www.katakura.co.jp/Activities/Iryo/mens/mens_kyusuipantsu/kyuusui00.htm)
(5)「楽天市場」のウェブサイトにおいて、商品「男性用失禁ブリーフ2133M/L」及び「男性用失禁ブリーフ2133LL」の製品紹介に該形状が使用されている事実(http://item.rakuten.co.jp/kaneko-ltd/c/0000000229/)。
(6)「日本通販」のウェブサイトにおいて、失禁パンツ「男性用・ゆうゆう120(3枚セット)」の製品紹介に該形状が使用されている事実(http://www.666-666.jp/indea.php/m/product_detail?gf_mph=1187)。
(7)「ピジョンホームヘルスケア」のウェブサイトにおいて、軽度失禁用品「かるるブリーフ(S-M)」、「かかるブリーフ(L)」、「吸収パンツ 男性用 ブリーフタイプ S?M」、「吸収パンツ 男性用 ブリーフタイプ L」、「吸収パンツ 男性用 ブリーフタイプ LL」、「吸収パンツ 男性用 トランクスフィットタイプ S?M」、「吸収パンツ 男性用 トランクスフィットタイプ L」及び「吸収パンツ 男性用 トランクスフィットタイプ LL」の各商品の包装及びそれらの製品紹介に該形状が使用されている事実(http://pigeon-hhc.info/shouhin/015.html)。
(8)「白十字株式会社」のウェブサイトにおいて、軽失禁用下着「ブライ 吸水ボクサーパンツ」の包装に該図形が使用されている事実、及び、「遊遊抗菌防臭ドライブリーフ」の製品紹介に該形状が使用されている事実(http://www.hakujuja.co.jp/Products/03keisikkin.html#sitagi)。

第2 本願商標は、「青色の濃淡が施された帯状の図形を背景に、オムツ又は下着等を身に着けた男性の身体の一部と思しき図形」よりなるところ、その構成中、背景にある帯状の図形(ストライプ柄)は、一般に商品の容器等包装に普通に採択、使用されているものであって、本願指定商品を取り扱う業界においても、前記1のように、商品説明用の文字や図形の背景として使用されているものである。
また、青色等の寒色系の色彩は、男性用の商品を表す色彩として、前記2のように、商品の包装等に施される傾向にあって、加えて、色彩を濃淡に表すことも一般に行われているところである。
そして、オムツ又は下着等を身に着けた男性の身体の一部と思しき形状は、本願指定商品を取り扱う業界において、その商品の包装又は宣伝広告等に、その商品の品質、形状、装着の状態及び使用法等を表示するものとして、普通に用いられている実情を、前記3において窺い知ることができるものである。
以上の事実等を総合勘案すると、本願商標の構成中、青色の濃淡が施された帯状の図形部分は、男性用商品の容器等包装に使用される背景的図柄を表したものというべきであって、それ自体が単独で自他商品を識別する機能を発揮し得るとはいい難いものであり、さらに、オムツ又は下着等を身に着けた男性の身体の一部と思しき図形は、商品の品質、形状、使用の方法等を表示したものというべきである。
そうすると、本願商標は、本願指定商品との関係において、商品の容器等包装に使用される帯状の背景的図柄に、男性用商品の形状、又は、例えばパンツのようにはいて使用する男性用商品の使用の方法等を表した図形であると容易に認識させるというべきである。
してみれば、本願商標を、その指定商品中「男性用の失禁用ナプキン,男性用の失禁用パッド,男性用の失禁用パンツ,男性用の失禁用ライナー,パンツのようにはいて使用する男性用の大人用紙オムツ・男性用の失禁用おしめ,パンツのようにはいて使用する男性用の失禁用吸収性ショーツ・ブリーフ及びトランクスその他の失禁用吸収性下着」に使用するときは、これに接する取引者、需要者に、商品の品質、形状、使用の方法等を表示してなるにすぎないものと理解させるに止まるものであるから、自他商品の識別標識としての機能を有する商標とは認識し得ないものといわざるを得ず、かつ、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものというべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するというのが相当である。
なお、原査定において、本願商標は、商標法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして拒絶したものであるが、当審における職権による調査により、同法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものと判断したものである。


審理終結日 2008-12-11 
結審通知日 2008-12-15 
審決日 2008-12-26 
出願番号 商願2006-111910(T2006-111910) 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (Y05)
T 1 8・ 13- Z (Y05)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 須田 亮一高橋 謙司 
特許庁審判長 鈴木 修
特許庁審判官 岩崎 安子
小畑 恵一
代理人 網野 友康 

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