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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X0305
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X0305
管理番号 1192251 
審判番号 不服2008-10925 
総通号数 111 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-03-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-04-30 
確定日 2009-01-13 
事件の表示 商願2007- 88292拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「藤の香り」の文字を標準文字で表してなり、第3類及び第5類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として、平成19年8月10日に登録出願されたものである。そして、願書記載の指定商品については、原審において、同20年2月27日付けの手続補正書により、第3類「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,洗濯用除菌剤,洗濯用抗菌剤,つや出し剤,せっけん類,歯磨き,身体用消臭剤,身体用芳香消臭剤,その他の化粧品,芳香剤,消臭芳香剤,その他の香料類」及び第5類 「除菌剤(工業用及び洗濯用のものを除く。),抗菌剤(工業用及び洗濯用のものを除く。),消臭剤(工業用及び身体用のものを除く。),芳香消臭剤(工業用及び身体用のものを除く。),その他の薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料,医療用腕環,失禁用おしめ,乳糖,乳児用粉乳」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由(要点)
原査定は、「本願商標は、『藤の香り』の文字を標準文字で書してなるものであるから、本願商標を、その指定商品中例えば『藤の香りを有するせっけん類・歯磨き・化粧品・芳香剤・消臭芳香剤・その他の香料類・芳香消臭剤』等の『藤の香りを有する商品』に使用するときは、これに接する需要者・取引者は前記意味合いを認識するに止まり、単に商品の品質(香調)を表示したにすぎないものと認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを行ったところ、別掲に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、平成20年9月25日付けで証拠調べの結果を通知した。

4 職権証拠調べに対する請求人の対応
前記「証拠調べ通知」に対して、所定の期間を指定して意見を申し立てる機会を与えたところ、請求人からは何らの意見もない。

5 当審の判断
本願商標は、前記1のとおり、「藤の香り」を標準文字で表してなるところ、前記3で述べた事実からすれば、「藤の香り」の文字から、「マメ科フジ属の蔓性落葉木本の総称である藤の香り」の意味合いを容易に理解させ、また、「藤の香り」の文字は、前記意味合いをもって、香りの種類の一を表す語として、市場において、各種商品に使用されている実情を窺い知ることが出来るものである。
そして、本願指定商品中には、香りを主とする商品又は香りを付加価値とする商品が含まれているものである。
してみれば、これその指定商品中、「(マメ科フジ属の蔓性落葉木本の総称である)藤の香りを有する洗濯用柔軟剤・洗濯用漂白剤・洗濯用除菌剤・洗濯用抗菌剤・せっけん類・歯磨き・身体用消臭剤・身体用芳香消臭剤・その他の化粧品・芳香剤・消臭芳香剤・その他の香料類・除菌剤(工業用及び洗濯用のものを除く。)・抗菌剤(工業用及び洗濯用のものを除く。)・消臭剤(工業用及び身体用のものを除く。)・芳香消臭剤(工業用及び身体用のものを除く。)・その他の薬剤」等に使用するときは、これに接する取引者、需要者は「藤の香りを有する商品」であると理解し、単に商品の品質を表示したものと認識し、把握するにとどまるというべきであるから、自他商品の識別標識としての機能を有する商標とは認識し得ないものであり、かつ、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるというべきである。
なお、請求人は、当審において、本願商標を構成する「藤の香り」の文字は、「藤色の色彩の美しさ」等、様々な意味合いが想起される造語であって、商品の品質を具体的かつ直接的に表示するものとして、直ちに理解されず、また、「藤の香り」の語が指定商品を取り扱う業界において、取引上普通に使用されているものとはいえない旨、主張すると共に、「香(り)」の文字を含む過去の登録例を挙げている。
しかしながら、上述のとおり「藤の香り」の文字から、「マメ科フジ属の蔓性落葉木本の総称である藤の香り」の意味合いを容易に理解させるとみるのが自然であり、また、該文字が香りの種類の一を表す語として、指定商品を取り扱う市場において普通に使用されていることは、証拠調べ通知書における記載から明らかであるから、本願商標をその指定商品中、香りを主とする商品又は香りを付加価値とする商品に使用するときは、商品の品質を具体的に表示してなるにすぎないものと判断するのが相当である。
さらに、登録出願された商標が商標法第3条第1項第3号及び法第4条第1項第16号に該当するか否かの判断は、当該商標との構成態様と指定商品との関係における、その商品の取引の実情を考慮して、個別具体的に判断されるべきものであって、かつ、その判断時期は査定時又は審決時と解されるべきものであるから、請求人が挙げた商標登録例の存在によって、前記判断は左右されないというべきである。
そうとすれば、請求人の前記いずれの主張も採用することはできない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
証拠調べ通知の内容
第1 本願商標を構成する「藤の香り」の文字に関して行った職権による証拠調べによれば、以下の事実が認められる。
1「藤」の文字が有する意味。
「マメ科フジ属の蔓性落葉木本の総称。5?6月頃淡紫色または白色の蝶形の花を長い花穂で垂れる。」
2「の」の文字が有する意味。
「助詞(格助詞) 前の語句の内容を後の体言に付け加え、その体言の内容を限定する。」
3「香(り)」の文字が有する意味。
「よいにおい。香(か)。」
(いずれも「広辞苑第五版」)
4「藤の香り」の文字が、香りの種類の一を表す語として、商品に使用されている事実。
(1)「YAHOO!ショッピング」のウェブサイトにおいて「便利なスポイトキャップ&グラース産の香料使用 アロマオイル【サンタール・エ・ボーテ】ウィステリア(藤の香り)」の項のもと、「便利なスポイトキャップのアロマオイル(フレグランス用)。南仏プロヴァンス産・ウィステリアの香り(藤の花の香り)」との記載(http://store.shopping.yahoo.co.jp/seiyoukoudou/10041116.html)。
(2)「福岡よかもん市場」のウェブサイトにおいて、「藤の香りのお線香藤めぐり」の項のもと、「ほのかに藤の香りのするお線香です。香りがよいと、評判です。」との記載(http://www.yokamon.jp/shop/Y287/S2870043.asp)。
(3)「無印良品」のウェブサイトにおいて、「お香・藤の香り 15本入・スティックタイプ」との記載(http://www.muji.net/store/cmdty/detail/4945247506327)。
(4)「株式会社 菊谷生進堂」のウェブサイトにおいて、「こちらのページは、藤の香りのお香を取り揃えてございます。」との記載 (http://www.kohgen.com/01okoh/cat_1x8_1.htm)。
(5)「ケンコーコム」のウェブサイトにおいて、「シアバター 藤」の項のもと、「『シアバター 藤』は、マルチに使えるシアバタークリームに和の香りをつけたアロマクリームです。(略)藤の香りです。」との記載(http://www.kenko.com/product/item/itm_8834545072.html)。
(6)「warapi」のウェブサイトにおいて、「サンタール・エ・ボーテ ボディミルク」の項のもと、「香りの種類:ウィステリア 凛とした優しい藤の香り」との記載(http://www.officeys.co.jp/item/bus-item/skn001.htm)。
(7)「ビックリ★香水店」のウェブサイトにおいて、「エクラ ドゥアルページュ」の項のもと、「グリーンライラックとシシリアンレモンの爽やかさに優しい藤の香りが優しさを加え、ピーチブロッサムやシートムスク等の官能感で女性らしさを最後に表現してくれる。」との記載(http://kousui.cside.com/lanvin.html)。
(8)「BELLE MAISON」のウェブサイトにおいて、「かをりのエアーリフレッシュナー」の項のもと、お届け商品ラインナップ中に、「詩華(みかんの花の香り)」、「若水(蓮の香り)」と並び「常初花(藤の香り)」との記載(http://monthly.bellemaison.jp/200/pr/880200823/768525/)。
(9)「藤枝市藤の里啓発委員会」のウェブサイトにおいて、「藤の香り付きテレカ」の項のもと、「藤の香りがするテレホンカードです。」との記載、及び「藤の入浴剤」の項のもと、「藤をイメージした入浴剤です。乳紫色のお湯に心安らぐ藤の花の香りがしっとりと漂います。」との記載(http://www.fujinosato.net/ala/goods.html)。
(10)「MAYTY」のウェブサイトにおいて、「入浴剤レビュー 香り」の項のもと、「DHCオリーブバスミルク(藤の花)」の商品説明中に、「エレガントな藤の香りがリッチなバスタイムを演出します。」との記載(http://homepage3.nifty.com/mayty/bath-ax/bath-n13.htm)。
(11)「アットコスメ」のウェブサイトにおいて、商品名「入浴剤 藤の香り」との記載(http://www.cosme.net/product/product/product_id/2927156)。
(12)「Amazon」のウェブサイトにおいて、「日本の花湯 藤の香 1個」の項のもと、「『日本の花湯 藤の香 1個』は、まんまるなカプセル型の和風アロマバス(入浴剤)です。(略)風に揺られてなびく、力強くておおらかな藤の香り。」との記載(http://www.amazon.co.jp/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E8%8A%B1%E6%B9%AF-%E8%97%A4%E3%81%AE%E9%A6%99-1%E5%80%8B/dp/B0012VV6MM/ref=sr_1_6?ie=UTF8&s=hpc&qid=1221713872&sr=1-6)。

第2 以上の事実よりすれば、本願商標を構成する「藤の香り」の文字から、「マメ科フジ属の蔓性落葉木本の総称である藤の香り」の意味合いを容易に理解させ、また、「藤の香り」の文字は、前記意味合いをもって、香りの種類の一を表す語として、市場において、各種商品に使用されている実情を窺い知ることが出来るものである。
そして、本願指定商品中には、香りを主とする商品又は香りを付加価値とする商品、例えば第3類「洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,洗濯用除菌剤,洗濯用抗菌剤,せっけん類,歯磨き,身体用消臭剤,身体用芳香消臭剤,その他の化粧品,芳香剤,消臭芳香剤,その他の香料類」、及び第5類「除菌剤(工業用及び洗濯用のものを除く。),抗菌剤(工業用及び洗濯用のものを除く。),消臭剤(工業用及び身体用のものを除く。),芳香消臭剤(工業用及び身体用のものを除く。),その他の薬剤」等が含まれているものである。
してみれば、これその指定商品中、「(マメ科フジ属の蔓性落葉木本の総称である)藤の香りを有する洗濯用柔軟剤・洗濯用漂白剤・洗濯用除菌剤・洗濯用抗菌剤・せっけん類・歯磨き・身体用消臭剤・身体用芳香消臭剤・その他の化粧品・芳香剤・消臭芳香剤・その他の香料類・除菌剤(工業用及び洗濯用のものを除く。)・抗菌剤(工業用及び洗濯用のものを除く。)・消臭剤(工業用及び身体用のものを除く。)・芳香消臭剤(工業用及び身体用のものを除く。)・その他の薬剤」等に使用するときは、これに接する取引者、需要者は「藤の香りを有する商品」であると理解し、単に商品の品質を表示したものと認識し、把握するにとどまるというべきであるから、自他商品の識別標識としての機能を有する商標とは認識し得ないものであり、かつ、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるというべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するというのが相当である。


審理終結日 2008-11-19 
結審通知日 2008-11-21 
審決日 2008-12-02 
出願番号 商願2007-88292(T2007-88292) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X0305)
T 1 8・ 272- Z (X0305)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 斎林田 悠子 
特許庁審判長 鈴木 修
特許庁審判官 岩崎 安子
小畑 恵一
商標の称呼 フジノカオリ、フジ 
代理人 木村 三朗 
代理人 高梨 範夫 
代理人 大村 昇 
代理人 安島 清 
代理人 小林 久夫 

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