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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z0928
管理番号 1189144 
審判番号 取消2007-300305 
総通号数 109 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-01-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2007-03-15 
確定日 2008-12-01 
事件の表示 上記当事者間の登録第4616229号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4616229号商標の指定商品中、第9類「スロットマシン,ウエットスーツ,浮袋,水泳用浮き板,家庭用テレビゲームおもちゃ」及び第28類「遊戯用器具,おもちゃ,人形,運動用具,囲碁用具,将棋用具,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,マージャン用具」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4616229号商標(以下「本件商標」という。)は、「ロック」の片仮名文字を標準文字で表してなり、平成13年12月13日に登録出願、第9類「測定機械器具,電池,眼鏡,スロットマシン,電気アイロン,ウエットスーツ,浮袋,水泳用浮き板,家庭用テレビゲームおもちゃ」、第16類「紙製ブラインド,印刷物,書画,かるた,歌がるた,トランプ,花札」及び第28類「遊戯用器具,囲碁用具,将棋用具,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,マージャン用具,おもちゃ,人形,運動用具」を指定商品として、同14年10月25日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張の要点
請求人は、結論と同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁の理由を次のように述べている。
1 請求の理由
被請求人は、本件商標を継続して3年以上日本国内において、第9類「スロットマシン,ウエットスーツ,浮袋,水泳用浮き板,家庭用テレビゲームおもちゃ」 並びに第28類「遊戯用器具,おもちゃ,人形,運動用具 ,囲碁用具,将棋用具,さいころ,すごろく,ダイスカップ ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,マージャン用具」について使用していない。
2 弁駁の理由
被請求人は、本件商標を第28類「人形」について使用していると主張し、その証拠として乙第1ないし第3号証を提出しているが、これらの証拠は、以下のとおり、本件商標を本件審判請求に係る指定商品に使用していることを証明するものではない。
(1)乙第1号証について
乙第1号証は、ブリスター包装された小型の人形3体を、写真撮影したものと思われる。
そこに、本件商標「ロック」が独立して使用されている事実は示されておらず、下方に貼付されたラベルの右下隅部分に「ロック・ショック・バレル」との表示がなされているにすぎない。
(2)乙第2号証について
乙第2号証においても、本件商標「ロック」の単独使用は見受けられない。
乙第2号証101頁の最下段、右から2番目の長方形枠内において、上段に「マジカルコレクション」、中段に「115」「ナイトメア・ビフォー・クリスマス」、そして3段目に「ロック・ショック・バレル」の表示が見られるのみである。さらに、その下には、乙第1号証と同様の人形3体が表されている。
ところで、被請求人自身が「ロック」は、キャラクターの一人であると述べているが、乙第2号証101頁の最下段における他の「マジカルコレクション」「ナイトメア・ビフォー・クリスマス」シリーズの商品と並べて見ることとも相まって、なるほど3段目の表示「ロック・ショック・バレル」は、その下に表された3体の人形それぞれのキャラクター名称であることが一目瞭然である。
果たして、キャラクター名称は登録商標の使用といえるのか、疑問である。
(3)乙第3号証について
乙第3号証においても、本件商標「ロック」が単独で使用されている事実は見られない。
乙第3号証により、ディズニーアニメーションに登場するキャラクターが小型の人形として製造販売され、そのそれぞれに番号、アニメーションの題号、そして、キャラクター名称が表示されていることが一層明白になっている。
(4)上記(1)ないし(3)によれば、当該商品に接するいかなる需要者も、「ロック・ショック・バレル」は、そこに合わせて表された3体の人形のキャラクター名称であると理解すること疑いがない。
(5)被請求人による登録商標の使用について
被請求人が主張する登録商標の商品「人形」への使用は、その使用態様からして、自他商品識別力を有する商標としての商品「人形」への使用とはいい難い。
標章が商品に付される態様は多数考えられ、たとえ標章が、形式的に商品に表されていたとしても、それが「商標」としての使用といえるかどうかは実際の取引上の経験則等を考慮して判断しなければならず、キャラクター名称である「ロック・ショック・バレル」なる標章に接した需要者が、そこから「ロック」のみを抽出し、「ロック印」の商品「人形」と認識するとすべき特段の事情が見当たらない。
むしろ、需要者は、「ロック・ショック・バレル」はキャラクター名称であるとの認識に留まり、自他商品識別標識としては、ブリスター包装の上部(乙第1号証)にある「DiSNEY」や「TOMY」の文字を「印」たる商標として認識し、「ディズニー印」または「TOMY印」あるいは「Magical Collection/マジカルコレクション印」の商品「人形」と認識し、「DiSNEY」や「TOMY」若しくは「Magical Collection/マジカルコレクション」の部分こそが自他商品識別機能、ひいては出所表示機能、品質保証機能等を有する「商標」であると認識すること疑いがない。
かかる使用態様からすれば、「ロック」が自他商品等識別機能を発揮し得る態様で使用されているとは到底いえず、被請求人の主張する「使用」は「登録商標の使用」とは認められない。

第3 被請求人の答弁の要点
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1ないし第3号証を提出した。
1 答弁の理由
被請求人は、本件商標を人形に使用している。
(1)過去の事実関係
被請求人は、2001年11月より、DiSNEY MagicalCollection(ディズニーマジカルコレクション)の発売に伴い、そのシリーズの1つとして、「Lock、Shock&Barrel(ロック・ショック・バレル)」を販売している(乙第1ないし第3号証)。
(2)現在の使用状態
DiSNEY MagicalCollection(ディズニーマジカルコレクション)のシリーズとして、クレイアニメ「ナイトメア・ビフォー・クリスマス」に登場するキャラクター「ロック・ショック&バレル」が販売されていることは、被請求人発行の「マーケティングガイド&新製品インフォメーション 2006年9月?12月」の101頁に、上記アニメーションに登場する「ジャック・スケリントン」「サリー」というキャラクターと並んで「ロック・ショック&バレル」というキャラクター人形も載っている。「ロック」が悪魔で、鬼のウーギー・ブーギーの子分で、ハロウィン・タウンきっての悪がきトリオの一人であることは、乙第1号証の説明書の記載からも明らかである。
(3)本件商標は、取消審判請求に係る指定商品中、「人形」について使用している。よって、本件審判請求は成り立たない。
2 前記第2の「2 弁駁の理由」に対して、被請求人は、何ら答弁するところがない。

第4 本件審判の審理の対象たる指定商品の範囲
審判長は、請求人に対し、平成20年6月17日付けで、「請求人は、審判請求書の『請求の趣旨』において、本件商標の指定商品中、第9類『スロットマシン,ウエットスーツ,浮袋,水泳用浮き板,家庭用テレビゲームおもちゃ,及びこれらに類似する商品』並びに第28類『遊戯用器具,おもちゃ,人形,運動用具,及びこれらに類似する商品』についての登録の取消しを求めている。しかしながら、上記の指定商品の記載中『及びこれらに類似する商品』は、『請求の趣旨』として不明確なものである。商標法第50条の規定よりすれば、取消審判請求の審理の対象となる指定商品の範囲は、請求人が取消しを求めた審判請求書の『請求の趣旨』の記載に基づいて決められるところ、『請求の趣旨』は、審判における審理の対象・範囲を画し、被請求人における防御の要否の判断・防御の準備の機会を保障し、取消審決が確定した場合における登録商標の効力の及ぶ指定商品の範囲を決定づけるという意味で重要なものであるから、『請求の趣旨』の記載は、客観的で明確なものであることを要するものである。そこで、当審において、『請求の趣旨』に記載された『及びこれらに類似する商品』とは、如何なる指定商品を取消しの対象とするのかについて釈明を求めたところ、請求人は、平成20年1月4日付け回答書により、請求人が登録の取消しを求める指定商品は、第9類『スロットマシン,ウエットスーツ,浮袋,水泳用浮き板,家庭用テレビゲームおもちゃ』 並びに第28類『遊戯用器具,おもちゃ,人形,運動用具 ,囲碁用具,将棋用具,さいころ,すごろく,ダイスカップ ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,マージャン用具』である旨述べている。そして、前記指定商品は、要旨の変更とならない範囲内の明確な表示と認められるものである。したがって、当該『請求の趣旨』の記載を前記指定商品とする手続補正書を提出されたい。」旨の審尋を行った。
これに対して、請求人は、 平成20年6月24日付けの手続補正書において、請求の趣旨を「商標法第50条第1項の規定により商標登録第4616229号の指定商品中、第9類『スロットマシン,ウエットスーツ,浮袋,水泳用浮き板,家庭用テレビゲームおもちゃ』 並びに第28類『遊戯用器具,おもちゃ,人形,運動用具 ,囲碁用具,将棋用具,さいころ,すごろく,ダイスカップ ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,マージャン用具』についてその登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。」とする補正をしたものである。

第5 当審の判断
1 商標法上の保護は、商標の使用によって蓄積された信用に対して与えられるのが本来的な姿であるから、商標登録を受けた場合においても、一定期間、登録商標の使用をしない場合には、保護すべき信用が発生しないかあるいは発生した信用も消滅してその保護の対象がなくなると考えられる。他方、そのような不使用の登録商標に対して、排他独占的な権利を与えておくのは国民一般の利益を不当に侵害し、かつ、その存在により権利者以外の商標使用希望者の商標の選択の余地を狭めることとなるから、商標法は、このような場合、請求をまって、不使用商標の登録を取り消すこととしている。いいかえれば、本来、使用をしているからこそ保護を受けられるのであり、使用をしなくなれば取り消されてもやむを得ないというのが制度の趣旨である。
そして、商標法第50条の商標登録の取消審判にあっては、その登録商標の使用をしていないことについて正当な理由がある場合を除いて、その審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、その請求に係る指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り、商標権者は、その指定役務に係る商標登録の取消しを免れないとされている。
2 被請求人提出の乙各号証によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第1号証は、株式会社トミー発売元の3体のキャラクター人形をパッケージした製品の写真であり、その台紙(表・裏面)及び貼付シールには、「TOMY」、「DiSNEY」、「MagicalCollection」、「ディズニーマジカルコレクション」、「Lock,Shock&Barrel」及び「ロック・ショック・バレル」等の各文字が表示されている。
また、台紙裏面の左中段には、「鬼のウーギー・ブーギーの子分でハロウィン・タウンきっての悪がきトリオ。ロックは悪魔、ショックは魔女、バレルは笑う悪鬼と、それぞれのお面や衣装を身につけています。・・・」で始まる「Lock,Shock&Barrel(ロック・ショック・バレル)」の説明が表示されている。
(2)乙第2号証は、株式会社タカラトミー発行(2006年6月現在)の「マーケティングガイド&新製品インフォメーション 2006年9月?12月」の写しであり、その101頁の上段左側には、「DiSNEY」、「雑貨トイ・コレクタブル」の文字、また、下段右側には、「発売中」、「マジカルコレクション」、「115『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』」及び「ロック・ショック&バレル」等の各文字と3体のキャラクター人形が表示されている。
(3)乙第3号証は、株式会社タカラトミーが「Magical Collection/ディズニーマジカルコレクション」の製品紹介をするホームページの写しであり、そのホームページ中には、「115」、「Lock,Shock&Barrel/ロック・ショック・バレル」および「9月再生産」の各文字と3体のキャラクター人形が表示されている。
3 乙各号証は、いずれも3体のキャラクター人形「Lock,Shock&Barrel/ロック・ショック・バレル」に関する資料であって、「ロック」の文字のみからなる商標使用に関するものはないことから、当然のことながら、そのいずれの資料にも、被請求人の所有に係る「ロック」の片仮名文字からなる本件商標が使用されていた事実は認められない。
したがって、被請求人提出の証拠によっては、本件商標が人形について使用をされていたとは認められず、また、請求人の弁駁に対する被請求人の答弁がないところ、他に本件商標の使用を認め得る証拠はなく、加えて、不使用の正当理由についての主張及び立証はない。
4 以上のとおり、本件商標は、その指定商品中「結論掲記の指定商品」について、継続して3年以上日本国において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用をしていないものに該当するといわざるを得ないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録の取消しを免れない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2008-10-03 
結審通知日 2008-10-09 
審決日 2008-10-21 
出願番号 商願2001-111331(T2001-111331) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Z0928)
最終処分 成立  
前審関与審査官 石田 清 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 久我 敬史
佐藤 達夫
登録日 2002-10-25 
登録番号 商標登録第4616229号(T4616229) 
商標の称呼 ロック 
代理人 田中 光雄 
代理人 小澤 美香 
代理人 瀬川 幹夫 

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