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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y35
管理番号 1189087 
審判番号 取消2007-300774 
総通号数 109 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-01-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2007-06-14 
確定日 2008-12-03 
事件の表示 上記当事者間の登録第4716257号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4716257号商標(以下「本件商標」という。)は、「NEXTEX」の文字を標準文字で書してなり、平成14年12月25日に登録出願、第35類「法人の経営の診断及び指導,法人の設立又は廃止及び法人の提携・合併又は買収に関する助言・仲介・斡旋又は契約の代理・媒介,法人の経営管理又は事業運営の代理又は代行,事業・市場又は世論の調査およびその評価・分析,商品の販売に関する情報の提供,広告および広告の代理に関する助言」及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、平成15年10月10日に設定登録され、その商標権は、現に有効に存続しているものである。

第2 請求人の主張の要点
請求人は、「本件商標の指定役務中『第35類 法人の経営の診断及び指導,法人の設立又は廃止及び法人の提携・合併又は買収に関する助言・仲介・斡旋又は契約の代理・媒介,法人の経営管理又は事業運営の代理又は代行,事業・市場又は世論の調査およびその評価・分析,商品の販売に関する情報の提供』についての登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定役務中、上記役務について、継続して3年以上日本国内において使用された事実がないから、その登録は、商標法第50条の規定により、取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)乙第1号証(名刺)及び乙第2号証(封筒)について
(ア)被請求人は、乙第1号証について、被請求人代表者が使用している名刺のコピーであると主張し、これをもって、被請求人が本件商標を日常使用している事実を示すものであると主張する。
しかしながら、乙第1号証が、仮に被請求人代表者の名刺であったとしても、いつの時点で作成されたものであるかは明らかではなく、したがって、乙第1号証が本件審判の請求の登録前3年以内に作成され、使用された事実は何ら立証されていない。
また、乙第1号証の配布について、いつ、誰に対して交付されたか等について、被請求人は何ら立証していない。
(イ)乙第2号証についても、その作成時が明らかではなく、したがって、乙第2号証が本件審判の請求の登録前3年以内に作成され、使用された事実は何ら立証されていない。また、乙第2号証の使用について、いつ、誰に対して発送されたか等について、被請求人は何ら主張立証していない。
(ウ)以上のことからすれば、乙第1号証及び乙第2号証は、本件審判の請求の登録前3年以内に本件商標が日本国内において使用された事実を証明する証拠であるとはいえない。
(2)乙第3号証ないし乙第25号証(契約書、発注書等)について
乙第3号証ないし乙第12号証及び乙第15号証ないし乙第19号証は、被請求人とその取引先との間で取り交わされた契約書、発注書、覚書等、取引に係る書類とされている。また、乙第13号証は、中華人民共和国の法人との間でのコンサルタント契約締結の事実を示す委任状であるとされ、乙第14号証は、静岡県の入札資格認定についての書類であるとされている。さらに、乙第20号証は、被請求人の代表者が行った講演に関する書類とされている。
被請求人は、これらの証拠が本件商標の使用の証拠であるとしている。
しかし、これら証拠には、契約当事者としての被請求人の商号が表示されているにすぎない。この点、商号は、商人が営業を行うにおいて自己を表示するために使用する名称であって、商品や役務の出所識別標識である商標とは異なるものである。
(3)答弁に対する第2弁駁
また、乙第21号証は、平成19年2月1日に「nextex ネクステックス」の標準文字による商標登録出願を行った事実を示す証拠にすぎない。
そして、乙第22号証には、「商標の使用の事実を示す書類」として、「会社封筒、名刺」の他、「コンサルティング活動(指定役務)」での使用の事実にかかる次の書類又は公的WEB記載」として3件の資料を提出した旨記載があるが、このうち、「協同組合焼津水産加工センター組合総会での平成17年5月26日の記念講演の上映・配布資料(表紙及び内容サンプル)」の内容は、本件取消請求に係る指定役務について本件商標NEXTEXが使用されたか否かについて、証拠上明らかではなく、また、他の2件の提出資料は、甲第1号証及び甲第2号証であり、これらにはセミナーの講師あるいはコーディネーターの一人として被請求人の代表者の氏名及び被請求人代表者としての肩書が表示されているものの、セミナーの開催日付(それぞれ平成13年10月25日、平成14年11月21日)からして、そもそも、本件審判請求の登録前3年以内に本件取消請求に係る指定役務について本件商標NEXTEXが日本国内において使用された事実を証明するものとはいえない。
さらに、乙第24号証は、乙第1号証の名刺のPC上での作成画面であると主張(しかし、デザインが異なるので、被請求人の主張は不明)し、そこに更新日時として記載されている平成16年8月28日以降、被請求人は乙第1号証の名刺を使用していると主張するが、PC上の作成画面のみでは、真に乙第1号証の名刺が作成され、かつ、それが取引上使用された事実は何等立証されていないというべきである。また、その中段左部に表示のものはあくまで、「nextex consulting co.ltd.」という被請求人の商号の英語表示であるし、名刺上には、本件取消請求に係る指定役務についての表示が一切存在しない。
そして、乙第25号証は、平成17年5月18日に被請求人に対して乙第2号証の封筒を納品した旨等を陳述する有限会社エムケーツー企画の「証明書」であるが、被請求人は乙第2号証の封筒の使用について、なんら主張立証していない。そればかりでなく、乙第25号証は、有限会社エムケーツー企画が被請求人の意を受けて平成19年10月17日になって作成したものであり、その信用性は低いものというべきである。
(4)甲第1号証及び甲第2号証について
甲第1号証は、乙第22号証において提出書類として記載されている、静岡県中部地区SOHO推進協議会主催のセミナーの開催履歴を示すWEBページの写しであるが、平成13年10月25日開催のセミナーの講師として被請求人の代表者の氏名及び被請求人代表者としての肩書が記載されているのみであり、また、甲第2号証は乙第22号証において提出書類として記載されている、「テクノサロン浜松2002」の開催案内のWEBページの写しであるが、平成14年11月21日開催のセミナーのコーディネィターの一人として被請求人の代表者の氏名及び被請求人代表者としての肩書が記載されているのみであり、そもそも本件審判請求の登録前3年以内に本件取消請求に係る指定役務について本件商標NEXTEXが日本国内において使用された事実を証明するものとはいえない。。
(5)むすび
以上のとおり、被請求人が提出した全ての証拠によっても、本件審判の請求の登録前3年以内に本件商標が日本国内において使用された事実が証明されているとはいえない。

第3 被請求人の答弁の要点
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第25号証を提出した。
1 被請求人は、一部上場企業や官公庁等公的団体を中心として厳格な秘密保持契約に基づく事業コンサルタント業務契約を締結した上でコンサルタント業務を多数遂行しており、その都度、名刺(乙第1号証)及び封筒(乙第2号証)を用いており、さらに、コンサルティング等の契約を締結し、本件商標を用いて業務を行っている(乙第3号証ないし乙第20号証)。
同書証中、依頼企業との守秘義務契約により開示できない点については、墨塗りをしている。
2 被請求人は、登録第5059825号商標(乙第21号証)について、早期審査請求をした(乙第22号証)際に、早期審査に関する事情説明書と共に証拠として、乙第1号証及び乙第2号証を特許庁に提出している(乙第22号証末尾 提出物件の目録参照)。併せて、平成19年3月6日に特許庁にて実施された面接において、被請求人は、乙第1号証及び乙第2号証を担当面接官に示し、かつ、担当面接官とも名刺交換をしている。
また、乙第1号証は、乙第24号証のとおり、平成16年8月28日に作成したものであり、さらに、乙第2号証は、乙第25号証のとおり、平成17年5月18日に納品されており、その後、継続的に被請求人において使用しているものである。
3 むすび
以上の事実より、請求人の本件審判の請求には理由がない。

第4 当審の判断
1 乙第11号証、乙第13号証及び乙第19号証並びに乙第24号証及び乙第25号証によれば、以下の事実を認めることができる(なお、乙第11号証、乙第13号証及び乙第19号証についての以下の事実認定において、「?」の部分は、墨塗りがされた箇所を示す。)。
(1)乙第11号証は、被請求人(乙)とその顧客(甲)との間で、平成17年1月1日に締結した「顧問契約書」であるところ、該契約書の第1条には、「乙は、甲の依頼により、甲又は甲の関連会社の事業或いは計画策定の円滑かつ戦略的な推進のため、或いは甲の指定のよる甲の役員、株主、従業員にかかる事案処理のため、の相談、監修、交渉代理、専門家(法律、財務会計、知的財産権、その他)の手配その他の支援業務を行う。」とあり、また、同第6条には、「甲は、本契約の基本報酬として乙に対し月額?円を乙の指定する口座に現金により振り込み支払うものとする。」との記載がある。そして、その契約期間は、本契約調印の日から1年間(期間延長もある。)である(同第7条)。
(2)乙第13号証は、「委任状」の表題がある2005年(平成17年)5月15日付けの文書であるところ、その文面から、中国在の法人が被請求人に対し、「弊社(審決注:中国在の法人)の生産する商品『?』の、日本企業または日系企業に対する告知活動、販売促進活動、販売代理活動」についての依頼を内容とするものであって、その期間は、2007年(平成19年)6月末まで(期間延長もある。)とするものである。
(3)乙第19号証は、委託者(甲)を「?株式会社」とし、受託者(乙)を被請求人とする平成19年1月16日締結の「委託契約書」であるところ、第1条には、「甲は、次の調査を乙に委託し、乙はこれを受託する。委託調査の名称 ?100%子会社化に関する交渉戦略の検討及び報告」等と記載され、第2条には、「調査期間は平成19年1月15日から平成19年2月23日とする。」との記載があり、第5条には、甲が乙に支払う「委託金」についての規定がある。
(4)乙第24号証は、被請求人の代表取締役である「鈴木文彦」の名刺及びその作成ソフトのパソコン画面の写しと認められるところ、該名刺には、別掲(1)のとおり、「nextex」の文字と登録商標記号(○にR記号)及び「consultingco.,ltd」の文字が二段に横書きにして表示されているところ、「nextex」の文字部分は、「consultingco.,ltd」の文字より大きく表され、看者の注意を引くものといえる。また、作成ソフトのパソコン画面の写しには、「更新日時」として「2004年8月28日」との記載がある。
(5)乙第25号証は、有限会社エムケーツー企画が証明した証明書と認められるところ、その内容は、平成17年5月18日に被請求人に納品した3種類の封筒(伝票番号003928)は、この証明書に添付したものと同一のものであり、また、平成17年5月31日に有限会社エムケーツー企画が発行した請求書(コード900154/No.001)は、上記3種類の封筒の代金を請求したものであり、この請求に基づいて、被請求人は、平成17年6月3日に代金を支払った、というものである。
そして、上記証明書に添付された「請求書」、「振込明細書」、「封筒」は以下のとおりである。
(ア)請求書には、上段右隅に「900154/No.001」との記載があり、大きく書された「請求書」の文字の下に「平成17年5月31日(平成17年5月1日?平成17年5月31日)」、「有限会社 エムケイツー企画」の文字があり、その左の枠内には、「東京都港区港南1-8-27-1307/ネクステックス・コンサルティング(株) 御中」との記載がある。また、請求金額は67,935円であり、「社名有り 角2封筒/1,000枚/25,700円」などがその内訳である。さらに、該請求書の最下段には、「お振込の節は、下記の口座にお願いいたします。」「三井住友銀行 錦糸町支店 普通 No,2543664 有限会社 エムケイツー企画」の記載がある。
(イ)振込明細書には、「年月日/17-6-3」、「普通2543664」、「お取引金額/67,935」、「お振込先 三井住友銀行/錦糸町支店」、「お受取人 ユ)エムケイツーキカク様」、「ネクステツクス コンサルティング(カ様」の記載がある。
(ウ)「社名有り」の封筒は、大小2種類であり、そのいずれにも、別掲(2)のとおり、「nextex」の文字と登録商標記号(○にR記号)及び「consultingco.,ltd」の文字が二段に横書きにして表示されているところ、「nextex」の文字部分は、「consultingco.,ltd」の文字より大きく表され、看者の注意を引くものといえる。
2 前記1で認定した事実によれば、以下のとおりである。
(1)被請求人は、少なくとも本件審判の請求の登録(平成19年7月2日)前3年以内に次の業務を行ったことが推認される。
(ア)平成17年1月1日から1年の間に、「顧問契約書」(乙第11号証)を締結した顧客又はその関連会社に対し、その事業、あるいは計画策定の円滑、かつ、戦略的な推進のため、あるいは上記顧客の指定した該顧客の役員、株主、従業員に係る事案処理の相談、監修、交渉代理、専門家(法律、財務会計、知的財産権、その他)の手配その他の支援業務。
(イ)2005年(平成17年)5月15日ころから2007年(平成19年)6月末までの間に、中国在の法人の依頼により、該中国在の法人の生産する商品について、日本企業又は日系企業に対する告知活動、販売促進活動、販売代理活動(乙第13号証)。
(ウ)平成19年1月15日から平成19年2月23日の間に、「委託契約書」(乙第19号証)を締結した顧客に対し、ある会社の100%子会社化に関する交渉戦略の検討及び報告。
そして、上記(ア)?(ウ)の業務は、請求に係る指定役務中の「法人の設立又は廃止及び法人の提携・合併又は買収に関する助言・仲介・斡旋又は契約の代理・媒介,法人の経営管理又は事業運営の代理又は代行,商品の販売に関する情報の提供」の範疇に属する役務と認められる。
(2)また、被請求人は、上記(1)の業務を行うにあたり、本件審判の請求の登録前3年以内に作成したと認められる名刺(乙第24号証)及び封筒(乙第25号証に添付のもの)を使用したことが優に推認することができ、該名刺及び封筒には、他の文字から独立して把握、認識される「nextex」の文字と登録商標記号(○にR記号)が表示されている。
そして、該「nextex」の文字は、本件商標とは、大文字と小文字の差異があるとしても、いずれも同じ綴り文字よりなるものであるから、同一の称呼が生ずることは明らかであり、本件商標と社会通念上同一と認められる商標というのが相当である。
(3)したがって、被請求人(商標権者)は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、請求に係る指定役務中の範疇に属する役務について、本件商標と本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたものと認められる。
3 請求人の主張について
乙第3号証ないし乙第20号証(契約書、発注書等)について、これら証拠には、契約当事者としての被請求人の商号が表示されているにすぎず、これは、商人が営業を行うにおいて自己を表示するために使用する名称であって、商品や役務の出所識別標識である商標とは異なるものであるから、これら証拠は、本件審判の請求の登録前3年以内に本件商標が日本国内において使用された事実を証明する証拠であるとはいえない旨主張する。
しかし、上記証拠における契約書等に本件商標の表示が使用されていないとしても、これらの契約を締結するに際し使用されていたと推認し得る封筒、及び顧客との取引の際に提示したと推認し得る名刺には、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が表示されていたことは、前記2(2)認定のとおりであり、したがって、契約書等並びに封筒及び名刺とを総合勘案すれば、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたと認めることができるから、請求人の上記主張は採用することができない。
4 以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が本件商標と社会通念上同一と認められる商標を請求に係る指定役務中の「法人の設立又は廃止及び法人の提携・合併又は買収に関する助言・仲介・斡旋又は契約の代理・媒介,法人の経営管理又は事業運営の代理又は代行,商品の販売に関する情報の提供」について使用していたことを証明したというべきである。
なお、被請求人は、平成20年3月24日付け弁駁書において、口頭審理の機会を求める旨上申しているが、本件は、前記で認定したとおり、乙号各証により本件商標の使用の事実を認めることができるから、口頭審理によらず書面により審理した。
したがって、本件商標の登録は、請求に係る指定役務について、商標法第50条の規定により、取り消すべきものではない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2008-04-09 
結審通知日 2008-04-15 
審決日 2008-04-30 
出願番号 商願2002-111272(T2002-111272) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Y35)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 中村 謙三
特許庁審判官 小畑 恵一
津金 純子
登録日 2003-10-10 
登録番号 商標登録第4716257号(T4716257) 
商標の称呼 ネックステックス、ネクステクス 
代理人 生田 哲郎 
代理人 森本 晋 
代理人 秋野 卓生 
代理人 斎藤 裕次郎 

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