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審判番号(事件番号) データベース 権利
平成17ワ14972不正競争行為差止等請求事件 平成17ワ22496損害賠償等請求事件 判例 不正競争防止法

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審決分類 審判 全部無効 称呼類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 030
管理番号 1189011 
審判番号 無効2005-89170 
総通号数 109 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-01-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2005-12-27 
確定日 2008-11-13 
事件の表示 上記当事者間の登録第4559956号商標の商標登録無効審判事件についてされた平成19年1月31日付け審決に対し、知的財産高等裁判所において審決取消の判決(平成19年(行ケ)第10091号、平成19年7月19日判決言渡)がなされ、同判決が最高裁判所の決定(平成19年(行ヒ)第320号、平成20年4月22日決定)により確定したので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 
結論 登録第4559956号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4559956号商標(以下「本件商標」という。)は、「元祖餃子の王将」の文字を書してなり、平成7年2月16日に登録出願、第30類「餃子,サンドイッチ,すし,ピザ,べんとう,ミートパイ,ラビオリ」を指定商品として、同14年4月12日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第2 引用商標
請求人が本件商標の無効の理由に引用する登録商標は、以下の(1)ないし(3)のとおりである。
(1)登録第1673048号号商標(以下「引用商標1」という。)は、「王将」の漢字を横書きしてなり、昭和55年5月24日に登録出願、第32類「ぎようざ、しゆうまい」を指定商品として、同59年3月22日に設定登録、その後、2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、指定商品については、平成16年3月31日に第30類「ぎょうざ、しゅうまい」を指定商品とする書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
(2)登録第2471182号商標(以下「引用商標2」という。)は、「王将」の漢字を横書きしてなり、昭和61年3月28日に登録出願、第32類「食肉,卵,魚介類,海そう類,肉製品,加工水産物(かつお節、削り節,とろろこんぶ,干しのり,焼きのり,干しわかめ,干しひじき,寒天を除く)かつを節,削り節,とろろこんぶ,干しのり,焼きのり,干しわかめ,干しひじき,寒天,すし,べんとう,サンドイツチ,乾燥卵,即席菓子のもと,カレ?ライスのもと,ス?プのもと,シチユ?のもと,ふりかけ,お茶づけのり,なめ物,酒かす」を指定商品として、平成4年10月30日に設定登録、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、指定商品については、同16年3月3日に第29類「食肉,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),肉製品,加工水産物,乾燥卵,カレーライスのもと,スープのもと,シチューのもと,お茶づけのり,ふりかけ,なめ物」、第30類「サンドイッチ,すし,べんとう,即席菓子のもと,酒かす」及び第31類「食用魚介類(生きているものに限る。),海藻類」を指定商品とする書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
(3)登録第509755号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、昭和31年12月24日に登録出願、第45類「漬物、及び他類に属しない食料品及び加味品」を指定商品として、同32年11月8日に設定登録、その後、4回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、指定商品については、平成20年5月28日に第29類「食肉,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),肉製品,加工水産物,野菜のつくだに,野菜の缶詰,野菜の瓶詰,野菜の漬物,果実の缶詰,果実の瓶詰,ジャム,マーマレード,納豆,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物」、第30類「みそ,ごま塩,すりごま,セロリーソルト,うま味調味料,香辛料,アーモンドペースト,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,即席菓子のもと,酒かす」、第31類「ホップ,食用魚介類(生きているものに限る。),海藻類(てんぐさを除く。)」及び第32類「ビール醸造用ホップエキス」を指定商品とする書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
以上の(1)ないし(3)の登録商標を一括していうときは、「引用各商標」という。

第3 請求人の主張
請求人は、結論と同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第159号証(枝番を含む、枝番の全てを引用するときはその枝番を省略する。)を提出した。
1 請求の理由
(1)請求人及び利害関係について
請求人は、本件商標と類似する引用各商標の商標権者であり、餃子等の商品に引用各商標を継続して使用しているものであるから、請求人が本件無効審判を請求することに関し利害関係を有していることは明らかである。
(2)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標は、前記第1のとおり、「元祖」「餃子の」「王将」の3語を結合させた商標である。
しかし、本件商標の中央部の「餃子の」は、指定商品との関係からすれば、商品の普通名称に格助詞「の」を付したにすぎない言葉であり、また、前部の「元祖」も、「ある物事を初めてしだした人、創始者」の意を有し、商品の品質を誇称して表示する場合などに多用されている言葉である。
また更に、本件商標の一連の称呼「ガンソギョウザノオウショウ」又は「ガンソギョーザノオーショー(請求人は「ガンギョーザノオーショー」と記載しているが、該記載は誤記と認められる)」は、称呼上やや冗長である。 したがって、この様な構成の本件商標に接した取引者および一般需要者は、自他商品の識別標識としての機能に欠ける前部の「元祖」や中央部の「餃子の」ではなく、後部の「王将」の部分により自他の商品を識別し、「オウショウ」又は「オーショー」の称呼を生じさせると解される。
一方、引用各商標からも、その構成に照らして「オウショウ」又は「オーショー」の称呼が生ずることは明確である。
よって、本件商標は、引用各商標と称呼上類似する商標であり、かつ指定商品も類似する。
イ 上記アの考察が正当であることを証するために、「元祖」「元祖+商品の普通名称」「元祖+商品の普通名称+図形」の構成よりなり、食品や飲食物の提供を指定商品(指定役務)とする商標であり、何れも商標法第3条を根拠に拒絶されている(甲第5号証ないし甲第10号証)。
すなわち、上記過去の審査例は、少なくとも食品や飲食物の提供といった指定商品(指定役務)に関しては、「元祖」「元祖+商品の普通名称」の構成態様は、商標としての機能(自他・役務商品識別機能)を有さないことを示しており、これらの審査例を本件商標に類推適用すれば、本件商標の前部「元祖」や中央部「餃子の」が商標の要部であり得ないことは明確である。 さらに、請求人は、平成4年審判第20921号外3件の審決例(甲第11号証ないし甲第14号証)を提出する。
これらの審決における考察は、そのまま本件商標から生ずる称呼の考察にも類推適用されてしかるべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)請求人「イートアンド株式会社(旧社名:株式会社大阪王将、旧々社名:大阪王将食品株式会社)」は、昭和44 年の創業以来、餃子、焼売等の中華料理を提供する飲食店を経営し、その継続的な営業努力と宣伝活動により、現在では直営店・FC加盟店を併せ146 店舗が「王将」の看板を掲げるに至っている。
また、請求人は、飲食店内における飲食物の提供や、飲食店に併設されたお持ち帰りコーナーにおける商品の販売のみならず、流通商品としての冷凍餃子・冷凍焼売等の販売にも尽力してきた企業である。
すなわち、今日まで、「王将」の文字を付した冷凍餃子・冷凍焼売等の流通商品はすべて請求人の業務に係る商品であり、この様な状況下で本件商標を付した商品が市場に流通すれば、商品の出所について誤認混同が生ずることは明らかである。
また、上記事情から、本件商標の指定商品に該当する冷凍餃子・冷凍焼売等の流通商品に関しては、「元祖」は請求人であり、被請求人でない。
したがって、事実に反する「元祖」を被請求人が流通商品に表示することは、需要者(一般消費者)に商品の品質、内容を誤認させ、また、請求人の営業上の信用を害する虚偽の事実を流布する行為であり、商標法第4条第1項第7号及び同第16号、不正競争防止法第2条第1項第13号及び同第14号に該当する行為である。
被請求人は、本件商標の指定商品の「餃子」等は、レストラン等の飲食店でも持ち帰り商品として販売されている実態があり、また、被請求人の外食産業界における知名度を鑑みると、飲食店等に従事する者であれば本件商標の構成文字中、「餃子の王将」を見ると被請求人の著名な通称として認識し、把握することは疑う余地はない、と主張する。
しかし、本件商標が指定するのは役務ではなく商品であり、役務「飲食物の提供」と商品「餃子、サンドイッチ」等は非類似である。
したがって、レストラン等の飲食店において、請求人に無断で商標「王将」を付した持ち帰り商品(餃子等)を販売する行為は、引用商標の商標権を侵害する行為である。
またもし仮に、被請求人が主張するとおり、飲食店の通称として「餃子の王将」が著名であったとしても、それは飲食店に従事する者や店内で飲食する者に対してであって、転々と流通し生協やスーパーマーケットで販売される流通商品の取扱者や需要者に対してではない。
前記したとおり、請求人は、飲食店における飲食物の提供や、お持ち帰り商品の販売のみならず、流通商品としての冷凍餃子・冷凍焼売等の販売にも長年に渡り尽力してきている。
甲第15号証ないし甲第17号証は請求人の流通商品(市販用・生協用・業務用)のカタログであり、これらの流通商品の認知度の高さは、甲第18号証の「生協流通新聞(2001年5月20日 )」の「各支社別の売れ筋商品ベスト20」欄の記載や甲第19号証の月刊フローズンワールドの記事から明らかであり、冷凍餃子だけで年間約633万(箱・袋)・約16億2千万円(2004 年度)を売り上げるに至っている(甲第20号証の陳述書参照)。
甲第21号証ないし甲第24号証は請求人から製造委託を受けた業者の陳述書であり、ここ数年相当量の餃子・焼売等の流通商品が請求人に納品されていた事実が示されている。
甲第25号証ないし甲第54号証は、各生協において顧客に配布されたチラシ、甲第55号証は、島根県生活協同組合の機関紙せいきょう、甲第56号証ないし甲第61号証は店舗内の商品陳列状況を示す写真、甲第62号証ないし甲第66号証は通販カタログの商品掲載例である。
これらの証拠により、少なくとも十数年前から「王将」「OHSHO」「大阪王将」の文字を表示をした冷凍餃子・冷凍焼売等の流通商品が需要者(一般消費者)に知られていたこと、及び地域も関西に限定されず、通信販売を通じて全国的に認識されていたことを示している。
これら甲第15号証ないし甲第66号証を総合して判断すれば、冷凍餃子・冷凍焼売等の流通商品に関しては、「王将」の文字は、請求人の業務に係る商標として周知となっていることは明らかである。
(2)また被請求人は、本件商標は「餃子の王将」の文字部分より需要者、取扱者に被請求人の著名な通称(中華レストランチェーンの名称)を認識させ、本件商標の語頭の「元祖」から「餃子の王将」が離れて「餃子の王将」のみが認識される場合があっても「王将」の文字のみが分離することはあり得ない、と主張する。
しかし前記したとおり、請求人もまた、昭和44年の創業以来、その継続的な営業努力と宣伝活動により、現在では直営店・FC加盟店を併せ146店舗が「王将」の看板を掲げるに至っている。
甲第67号証ないし甲第69号証は代表的な店舗の写真、甲第70号証ないし甲第72号証はメニュー、甲第73号証ないし甲第77号証は店舗広告のチラシ、甲第78号証ないし甲第82号証は新聞の掲載記事である。
飲食店「王将」は関西圏のみならず、関東、東北地方等にも進出しており、流通商品と同様、飲食店「王将」も少なくとも関西圏では周知性を獲得していることは明らかである。
実際、甲第83号証ないし甲第85号証のインターネット掲示板への書き込みを見ると、飲食店を訪れる顧客(一般消費者)の中には、飲食店「王将」と飲食店「餃子の王将」を明確に区別していない例が見受けられる。
この様な誤認混同が生ずるのは、需要者(一般消費者)が「餃子の王将」を常に一体不可分として見ておらず、「王将」を要部として店名や料理品の提供者を認識している事実を示すものである。
したがって、飲食店「王将」と飲食店「餃子の王将」を混同する者が存在する様な状況下で、本件商標を付した商品が市場に流通すれば、商品の出所について混同が生ずるおそれがあることは明らかである。
(3)また、被請求人は、拒絶査定不服審判事件(不服2000-16088号)において、本件商標と引用商標2及び登録第2643796号商標「OHSHO」とは非類似と判断されており、引用商標3とは、互いに指定商品を異にする、と主張する。
しかし、乙第2号証の審決は、請求人の業務に係る商品として「王将」「OHSHO」「大阪王将」の文字を付した商品が広範に流通している事実を考慮していない点で不当であり、本件審判においては請求人が示した取引の実情を考慮した上で、甲第11号証ないし甲第14号証の審決に沿って本件商標と引用商標の頬否は判断されるべきである。
なお、引用商標3が本件商標と類似することは、甲第86号証の商標出願・登録情報検索(詳細表示)に類似群コード「32F06」があることから明らかである。
(4)むすび
上記事情を考慮し、総合的に判断すれば、被請求人が、例えば「冷凍餃子」について本件商標を使用した場合には、請求人が周知にした「王将」ブランドを付した商品「冷凍餃子」と誤認混同を生ずることは明らかである。
すなわち、「冷凍餃子」について「王将」ブランドは、請求人の商品として周知であり、被請求人は「冷凍餃子」について全く「王将」ブランドを使用した実績がないことから、「王将」を要部とする本件商標が「冷凍餃子」について使用された場合には、需要者(一般消費者)は、明らかに商品の出所について誤認混同を生ずることになる。
さらに、本件商標は一部に「元祖」の文字を有しているが、例えば「冷凍餃子」について本件商標が使用された場合、元々、長年の研究と苦労を重ねて元祖として「冷凍餃子」を売れ筋商品として販売し、一般消費者の間において請求人の商品として周知になっているこの商品が、被請求人の商品が元祖であって、請求人の商品が後発の模倣品であると、一般消費者に誤認されると共に、請求人の信用を棄損するものである。
よって、本件商標は、商標法第46条第1項の無効理由を有するものである。
なお、請求人は、平成18年7月10日付け「上申書」にて審決例(不服2005-1699)を提出し、本件商標から「王将」の文字のみが分離することはあり得ないとする、被請求人の主張が失当である旨主張している(甲第87号証)。

第4 被請求人の答弁
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第37号証(枝番を含む、枝番の全てを引用するときはその枝番を省略する。)を提出した。
1 商品の類否について
請求人は、引用各商標の指定商品の表示が異なるにもかかわらず、本件商標の指定商品との類否につき具体的に検討することなく、「指定商品も類似する。」と決め付けている。
引用商標3は、商標登録原簿(甲第4号証の2)によれば、その指定商品を大正10年法第45類の「漬物、及び他類に属しない食料品及び加味品」としてなるものである。そうするとこれら指定商品と本件商標の指定商品、第30類「餃子、サンドイッチ、すし、ピザ、べんとう、ミートパイ、ラビオリ」との間には、同一又は類似する商品がない(乙第1号証の1)。
引用商標3の指定商品は、特許庁商標課編の「商標権の指定商品の書換のための書換ガイドライン〔国際分類第8版対応〕」(乙第1号証の2)に明示されているとおり本件商標の指定商品が属する類似群コード「32F06」が付された商品が引用商標3の指定商品のいずれもあたらない。
本件商標と引用商標3とは、その商標の類否を検討するまでもなく、互いにその指定商品を異にするため、両商標が類似することはあり得ない。このことは、本件商標が審査の段階でこれに類似するとして本件における引用商標3が引用されなかったことからも裏付けることができる(乙第2号証参照)。
2 商標の類否判断について
商標が類似するか否かは、対比される両商標が同ー又は類似の商品に使用された場合、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきものであり、その類否判断をするに当たり両商標の外観、観念、称呼を観察し、それらが取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察するものであり、その指定商品に係る取扱者、需要者が商標をどのように認識し、かつ把握するかは商標の類否判断の重要な判断基準になるものといえる。
本件商標の拒絶査定不服審判事件(不服2000-16088号、乙第2号証)において、本件商標と登録第2471182号商標「王将」及び登録第2643796号商標「OHSHO」とが非類似と判断された理由中に明示されていることから容易に裏付けることができる。
被請求人は、本件商標と引用各商標の類否を判断するにあたり、本件商標がこれに接する需要者、取扱者にどのように認識され把握されるかを十分に考察し、その上で両商標の外観、観念及び称呼の各要素を検討することとする。
3 本件商標について
(1)需要者、取扱者の認識
ア 本件商標は、その指定商品を第30類「餃子、サンドイッチ、すし、ピザ、べんとう、ミートパイ、ラビオリ」とするもので、その需要者は年齢や性別等に関係なく広く一般消費者を対象とするものである。又これらの商品はスーパーマーケット等の小売店で販売される場合の他、レストラン等の飲食店でも持ち帰り商品として販売されている実態があり、そうであるならこの種商品の取扱者は飲食物の提供者と共通する場合もあり、かつ、そこに訪れるお客は上記商品の需要者である一般消費者でもある。
イ してみれば、被請求人の外食産業界における知名度を鑑みると、本件商標の指定商品に係る取扱者、特に飲食店等に従事する者であれば本件商標の構成文字中、「餃子の王将」を見ると被請求人の著名な通称として認識し、把握することは疑う余地はない。
ウ 以下に示すとおり、被請求人による「餃子の王将」の圧倒的な使用実績や宣伝広告により、一般消費者には日常のありふれた光景の中で、例えば、中華レストランの「餃子の王将」の看板、頻繁に流れているテレビコマーシャルの「餃子の王将」、店前で配っている餃子の無料券に表示された「餃子の王将」等として目にする機会が多くあり、そのような機会を通じて「餃子の王将」を中華レストランチェーンの名称として著名な城にまで育てたものといえる。
(2)「餃子の王将」の使用実績
ア 被請求人は、約40年程前の昭和42年(1967)に京都4条大宮に1号店を出店して以来、「安く、うまく、早く」をモットーに低廉な価格で多様な中華料理を提供して人々の嗜好を外食に向けさせる外食業界の中心的な役割を果たし、同時に創業間もない頃から独特な宣伝手法を試み、例えば「鮫子を十人前食べるとタダ」を唱って当時の大学生、高校生の間で爆発的な人気を獲得する等他社から注目されるだけでなく、広く一般的な人々の関心も集め、今や直営店が286、フランチャイズ(FC)店が189という全国的な規模となり外食チェーンの雄というべき評価を得るに至ったのである。
イ そして、被請求人は、「餃子の王将」を店に訪れるお客だけでなく、遠くからでも一目でわかるように看板(ネオン)に大きく「餃子の王将」を表示している。これを写した各店の写真を提出する(乙第3号証)。
ウ また、被請求人の全店では、上記の看板だけでなく、のぼりや店内で使うメニュー、マッチ、箸、卓上ラー油の瓶ラベル、品書きのイエロー紙、領収書及び伝票のみならず、従業員の帽子に至るまで全て「餃子の王将」を表示したものを使用している(乙第4号証)。
エ さらに、被請求人は、各店の独自性を重視して各店がオリジナルメニューやフェアメニューと称してお客に他店と異なる料理を提供して好評を得ているが、このメニューにも「餃子の王将」を必ず表示している(乙第5号証)。
オ 各店の「餃子の王将」の使用例をより具体的に立証すべく、全店中、売上1位の年商5億円(平成17年度)を達成した「空港線豊中店(大阪府)」での使用例を提出する(乙第6号証)。
(a)空港線豊中店では、店の立地が阪神高速道路に隣接している関係からこの道路を走る車からも見えるよう約10メートル四方内に3本の〈〉内に「餃子の王将」を上下二段に表して夜でもネオンでハッキリと見えるような巨大な看板を設置している(乙第6号証の1ないし4)。
(b)駐車場の看板の下に「餃子の王将」(乙第6号証の5)、店内に入るドアーに貼り付けた「餃子」のポスターの上隅に「餃子の王将」を表示している(乙第6号証の6)。
(c)店内のスタンド席の客が見上げると必ず目に入る壁にも店独自のポスターを貼り付け、そこでも「餃子の王将」を表示している(乙第6号証の7及び8)。
(d)従業員の帽子や厨房内の料理人の制服まで「餃子の王将」を表示している(乙第6号証の9ないし11)。
(3)「餃子の王将」の宣伝広告実績
ア 各店ごとの宣伝広告
(a)被請求人は、中華レストランチェーンでありながら、地域の人の好みに合った料理を提供できるように各店に独自性を認めていることから、地域ごとに各店が独自に「チラシ」を配布して客を呼び込む宣伝活動を行っている。
(b)例えば、乙第7号証の1の「平成17年度各店(近畿地区の店)のチラシ実績」によれば、月末に1日?3日間の短い間隔で1万枚から6万枚を超える数の「チラシ」を配布している事実がある。そして、この「チラシ」には「餃子の王将」が表示されており(乙第7号証の2ないし50)、しかも、この「チラシ」は「餃子」の割引券にもなるものである。
(c)また、被請求人は、各店が配布する「チラシ」枚数を、「チラシ」を印刷した会社から被請求人への「納品書」及びその納品した「チラシ」の態様を提出する(乙第8号証)。これら納品書によれば、1店舗で2万枚から5万枚もの「チラシ」を作成、準備していることを看取できる。
(d)さらに、被請求人の各店は、直接的な集客効果を狙って「割引券」又は「スタンプカード」を作成し、道行く人に配ることで客を呼び込む宣伝活動も行っている(乙第9号証)。
(e)これら各券には「餃子の王将」を表示し、その作成枚数につき5枚綴りのもので1万枚、「スタンプカード」は1シート(16枚)を1000枚から1600枚、1シート16枚の「サービス券」であれば600枚程度を1回の配布用として作成している。
(f)なお、被請求人の上記の宣伝広告は、決して短期間の場当たり的なものではなく、例えば、昭和40年代後半、昭和50年代頃には「ポスター」や京都の学生を対象とした雑誌等で「餃子の王将」を表示し(乙第10号証)、しかも、その「チラシ」を無料券などに代用する宣伝広告スタイルをとっており、これは今も変わりのない被請求人の伝統的なものといえる。
イ テレビ等による宣伝広告実績
(a)被請求人は、昭和51年にテレビコマーシャルに参入し、その当時の宣伝広告費用を年間総売上予算の3%も占めていた事実があり、このことから被請求人が30年以上も前から既にテレビ広告を重視していたことを窺い知ることができる。
(b)具体的に被請求人は、昭和56年(1981)から現在までその内容を大きく変えることなく、「豚肉一日7千キロ、鶏肉一日3千キロ、卵一日五万個、餃子一日百万個、食、盛況にして万里を超える、餃子の王将」を決まり文句として画像に「餃子の王将」を写してなるテレビコマーシャルを行っている(乙第11号証の1)。
(c)最近のテレビコマーシャルの実績として、東海テレビ放送株式会社(乙第1号証の2)、関西テレビ放送株式会社(乙第11号証の3)、讀賣テレビ放送株式会社(乙第11号証の4)、朝日放送株式会社(乙第11号証の5)、株式会社会社毎日放送(乙第11号証の6)等を通じて上記内容の広告を繰り返して放映している事実がある。
(d)さらに、被請求人は、テレビコマーシャルだけでなく、「餃子の王将」を広く周知化するためにラジオ広告も積極的に活用しており、例えば株式会社毎日放送又は株式会社京都放送を通じて上記テレビ広告の決まり文句を繰り返して流している事実もあり(乙第12号証)、このようなラジオ媒体によっても耳から「ギョウザノオウショウ」の呼び名を被請求人の通称として訴えている。
ウ 新聞等による宣伝広告実績
(a)被請求人は、「餃子の王将」の新聞等による宣伝広告例は枚挙に暇がないが、そのほんの一例をあげれば、全国紙(讀賣新聞、朝日新聞等)の他、京都新聞や中日新聞等の地方紙を通じて毎月1日と16日にディスカウントフェアの広告を大々的に行っており、乙第13号証の広告記事のように「揚げソバ」や「エビチリ」等の商品を季節性を織り交ぜながら1品づつ目玉商品として掲載すると共に、「餃子の王将」を表示して宣伝広告を行っている事実がある。
(b)また、被請求人は、上記フェアの広告とは別に最近では讀賣新聞の京都版において平成17年(2005)の10月から平成18年の2月初めまでの4ケ月程度の短期間に9回も定期的に「餃子の王将」なる題字を表示して宣伝広告を行っている(乙第14号証)。
エ 被請求人の通称等としての認識
(a)以上のとおり、被請求人は、既に昭和56年(1981)時には日本の飲食業ランキングにおいて、前商号の「餃子の王将チェーン」の名称で昭和55年の売上高が第43位にランクされ、従業員の一人あたりの売上高も第2位にランクされる等、我が国を代表する外食チェーンの地位を獲得するに至った(乙第15号証)。
(b)その後、平成6年度(1994)決算売上高ランキングにおいて、「日本の飲食企業ビッグ300社」のうち、第25位にランクされ(乙第16号証)、さらに、このような飛躍的な発展は、経済界でも大きな注目を集めており、創業社長が昭和59年10月25日の「日本流通新聞」(乙第17号証)で紹介されている他、現社長まで歴代の社長等々が各種の新聞及び雑誌に紹介されている事実がある(乙第18号証ないし乙第21号証)。
(c)そして、被請求人は、平成17年(2005)3月時で売上高が約427億円という他社の追随を許さない規模を誇り、外食チェーンの雄としての地位を獲得しており、この種外食業界では「餃子の王将」と言えば被請求人の通称であることを知らないものがいない程の著名性を獲得している。
(d)もちろん、被請求人が上記の売上高を達成したのは、被請求人の提供する商品が多くのお客(一般消費者)から評価されたからに他ならず、これらの人々には「餃子」と言えば「王将」、「王将」と言えば「餃子」といわれる程、「餃子」と「王将」とが一体となって少なくとも中華レストランチェーンの著名な名称として認識されるに至っているのである。このことは、例えば、以下の一般紙における被請求人を紹介する記事からも容易に裏付けることができる。
(e)乙第22号証の平成3年(1991)10月25日の毎日新聞の記事では「『餃子の王将』で知られる中華料理チェーン『王将フードサービス』(本社・京都市)は、…」と、乙第23号証の平成6年(1994)12月15日の讀賣新聞の記事では「『餃子(きょうざ)の王将』で知られる『王将フードサービス』(本社・京都市)の…」と、乙第24号証の平成8年(1996)12月15日の毎日新聞の記事では、人間味のある音楽を目指す芸人「種浦マサオさん」の紹介記事の中で本人が「94年にバンド『音船楽団』の自主CDが手売りで3千枚と結構売れて、昨年8月に『チャイニーズレストランへ行こう!』でデビュー。よう通った『餃子の王将』がモデル。」として歌のイメージとして「餃子の王将」が取り上げられたり、乙第25号証の平成17年(2005)2月25日の朝日新聞では、被請求人の通称が「餃子の王将、中国に進出」と、乙第26号証の平成17年(2005)12月26日夕刊フジの記事では「『餃子の王将』を全国で展開する『王将フードサービス』(本社・京都市)が…」と、乙第27号証の平成17年(2005)3月25日日経産業新聞の他社の宣伝広告の中で「『餃子の王将』で有名な株式会社『王将フードサービス』(本社・京都市)が…」等々の記事から如何に「餃子の王将」が被請求人の通称として認識され、かつ親しまれているかを窺い知ることができる。
(4)小括
ア 以上、本件商標は、その指定商品に係る需要者、取扱者が飲食の提供者はもちろん、そのお客としての一般消費者まで広く含むものであり、これら者にとってその構成中、「餃子の王将」の文字部分から被請求人の著名な通称等を認識するのが自然であり、そうであるならその外観、観念及び称呼も「餃子の王将」の部分を一体として判断しなければならないことはいうまでもない。
イ してみれば、本件商標は、語頭の「元祖」から「餃子の王将」が離れて「餃子の王将」のみが認識される場合があっても「王将」の文字のみが分離することはあり得ず、それ故、上記外観、観念及び称呼の判断要素は全て構成全体から「元祖餃子の王将」若しくは「餃子の王将」としてのみ認識され、把握されると考えるのが相当である。
4 本件商標と引用各商標との類否判断
(1)本件商標は、上記のとおり、その構成全体又は「餃子の王将」の文字部分から「ガンソギョウザノオウショウ」又は「ギョウザノオウシヨウ」の称呼のみが生じ、外観、観念も「餃子の王将」を常に一体として被請求人の著名な通称若しくは中華レストランチェーンの著名な名称として認識されるものである。
(2)これに対し、引用商標1及び2は漢字「王将」のみからなるものであるため、これに相応して「オウシヨウ」の称呼が生じ、外観、観念も「将棋の王将」としてのみ認識されるものであり、引用商標3は「王将」なる文字が将棋の駒の図形に大きく表されているため、これから直ちに将棋の「王将」としての外観、観念が生じるものである。
(3)そうすると、両商標は称呼において、本件商標の「ガンソギヨウザノオウショウ」又は「ギョウザノオウシヨウ」と引用各商標の「オウシヨウ」とは、その音数及び語感語調に顕著な差異があり、両者をそれぞれ一連に称呼しても決して彼此混同が生じることはあり得ない。
(4)また、外観については、本件商標は常に「餃子の王将」としてのみ認識されるものである以上、引用商標の「王将」のみとはその外観は明らかに異なるものであり、さらに観念についても、本件商標は「餃子の王将」より被請求人の著名な通称等を認識させるものであり、引用商標の「将棋の駒の王将」のみを認識させるものとは明らかに異なるものである。
(5)してみれば、両商標は、称呼、観念、外観のいずれも異なるものであり、しかも、本件商標は「餃子の王将」の文字部分より需要者、取扱者に被請求人の著名な通称(中華レストランチェーンの名称)を認識させるものである以上、両商標が需要者、取扱者に与える印象、記憶、連想も著しく異なるものである。
(6)よって、両商標は商品の出所につき誤認混同のおそれはないものであり、全体として類似する商標とみることはできないものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しないと考えるのが相当である。5 請求人による審査及び審判例の参酌
(1)請求人は、本件商標と引用各商標の類似性を裏付ける証拠として、第1に「元祖」なる文字が商標としての自他商品識別機能を有しないことを甲第5号証ないし甲第10号証の特許庁で拒絶された審査例を提出し、第2に甲第11号証ないし甲第14号証の審判例により、本件商標の自他商品識別機能を有する部分が「王将」である旨を主張する。
(2)しかるに、請求人がこれらの審査、審判例をあげることは、本件と全く異なる事例を本件に当てはめようとする失当なものである。請求人があげた審査例はいずれも「元祖」のみか「元祖」と「普通名称」を単純に並べたものにすぎず、本件商標のように前後の語を助詞 「の」で結んで一つの語を構成するものとは全く異なるものである。
(3)そして、請求人があげた審判例は、いずれも本件商標とは異なる構成のものであり、しかも、両商標の類似性の判断がなされた審決時が平成7年7月若しくは平成8年9月であるのに対し、被請求人が乙第2号証としてあげた審判は正に本件商標そのものの事案であり、その審決がなされた時期が被請求人のあげた上記審判の審決時よりも6年以上後の平成14年3月1日になされたものである。
(4)してみれば、審理の統一性及び取引実状が時代と共に変遷することを考慮すると、本件においても直近の特許庁の判断である後者の審判に沿って商標の類否判断がなされるべきである。
6 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しないことは明らかであるので、同法第46条第1項の規定によりその登録が無効とされるべきものではない。

第5 当審の判断
当事者間に利害関係について争いがないので本案に入って判断する。
1 本件商標と引用各商標について
本件商標は、第1のとおり、「元祖餃子の王将」の文字を同書同大に等間隔に横書きしてなるものである。
他方、引用商標1及び2は、第2のとおり、「王将」の漢字を横書きしてなり、引用商標3は、別掲のとおり、五角形の将棋の駒を左斜め横から表して駒の厚みを表現し、その内部(駒の表面)に「王将」と大きく縦書きし、その他に「品質優良」「常道商店」等の文字を小さく縦書きしてなるものである。
2 本件商標と引用各商標との類否について
(1)外観について
本件商標の構成は、前記1のとおり、「元祖餃子の王将」の文字を同書同大に等間隔にまとまって横書きしてなるものであり、一方、引用商標1及び2は、前記1のとおり、いずれも「王将」の文字を横書きにしてなるもので、引用商標3は、別掲のとおり、金色の将棋の駒の内部に黒字で王将と書かれたものである。
そうすると、外観上、本件商標と引用各商標は区別しうるが、本件商標においては、文字や配列、配色等に特段の特徴はなく、かえって引用商標1及び2とは漢字の「王将」を横書きする点において共通し、外観上の差異はそれほど顕著とはいえないというべきである。
(2)称呼について
「元祖」の意味に関し広辞苑(第5版)によれば、「(1)一家系の最初の人。(2)ある物事を初めてしだした人。創始者。」の意味であるところ(甲第159号証)、この部分に格別の識別力があるとは認められない。
加えて、本件商標は、「元祖餃子の王将」の文字を同書同大にして横に並べただけであり、「餃子」が食品名を表し、「の」は格助詞であることから、「餃子の」の部分が格別の自他識別機能を有さず、また直ちに被請求人の店舗名を想記させるほどの特徴も有していないことから、「オウショウ」のみの称呼が生じる場合もあるというべきである。
そうすると、本件商標は、「ガンソギョウザノオウショウ」、「ギョウザノオウショウ」又は「オウショウ」の称呼を生じ、一方、引用各商標からは「オウショウ」の称呼が生じることから、本件商標と引用各商標の称呼は構成音数及び語調語感にさほどの差異があるとは認められないというべきである。
(3)観念について
本件商標は、前記1のとおり、「元祖餃子の王将」と横書きに書すだけのものであるから、被請求人の店舗名がそれなりに一般消費者に周知であるとはいえるとしても、そこから直ちに本件商標から被請求人の店舗名である「餃子の王将」を観念するとするには飛躍があるというべきである。
このことは、例えば「王将の餃子はあまりにも有名で「王将餃子」と聞いて学生時代を懐かしむ組合員さんも多いのではと思いますが、王将には「京都王将」と「大阪王将」と二つの別会社があります。私たちに生協仕様の冷凍餃子を作って下さっているのは「大阪王将」です。」(機関誌せいきょう、甲第55号証)とするもの、「王将って、大阪の店と京都の店、別々の経営なのでしょうか?」(甲第87号証の12のブログ)、「餃子の王将(京都王将)と勘違いしている人が結構いるかもね。」(甲第84号証のインターネット掲示板への投稿)等からしても、「元祖餃子の王将」との本件商標の表記から直ちに被請求人の店舗名を想記するとまではいえないことが明らかである。
そうすると、本件商標からは「元祖」、「餃子の」の部分に格別の識別力が生じないことから、「王将」の部分につき、将棋の王将の観念が生じるというべきである。そして、引用商標1ないし3からは将棋の王将の観念が生じるから、両商標の観念はほぼ同一というべきである。
(4)小括
上記認定を総合すると、本件商標と引用各商標とは、外観において一応区別しうるもののそれほど顕著な差異とはいえず、称呼については構成音及び語調語感にさほどの差異はなく、観念についてはほぼ同一というべきである。
また、指定商品については、本件商標の指定商品と同一又は類似の指定商品を引用各商標は含むものである。
(5)取引の実情を踏まえた検討
指定商品(主として餃子)の取引の実情を踏まえて商品の出所に誤認混同をきたすおそれがあるか否かについて検討すると、乙各号証によれば被請求人が「元祖餃子の王将」及び「餃子の王将」と「元祖」とを組み合わせるなどした表示を実際に使用している証拠はないこと、及び前記のとおり、「元祖餃子の王将」の文字から「餃子の王将」の部分のみが取り出され認識されるほどに被請求人の「餃子の王将」は著名であるとは認められないことから、本件商標と引用各商標とは、商品の出所について誤認混同をきたすおそれがないとはいえないというべきである。
(6)まとめ
以上によれば、本件商標と引用各商標とは、観念をほぼ同一にし、称呼上及び外観上の差異も顕著とはいえないものであるから、同一又は類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがある類似の商標であり、かつ、指定商品については、本件商標の指定商品と同一又は類似の指定商品を引用各商標は含むものである。
3 結論
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲

別掲 引用商標3 登録第509755号商標

(色彩については、原本参照)
審理終結日 2008-09-04 
結審通知日 2008-09-09 
審決日 2007-01-31 
出願番号 商願平7-14309 
審決分類 T 1 11・ 262- Z (030)
最終処分 成立  
前審関与審査官 渡口 忠次 
特許庁審判長 中村 謙三
特許庁審判官 末武 久佳
前山 るり子
登録日 2002-04-12 
登録番号 商標登録第4559956号(T4559956) 
商標の称呼 ガンソギョーザノオーショー、ギョーザノオーショー、オーショー 
代理人 辻本 一義 
代理人 藤本 昇 
代理人 辻本 希世士 
代理人 神吉 出 

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