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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 Y05
審判 全部申立て  登録を維持 Y05
審判 全部申立て  登録を維持 Y05
管理番号 1187756 
異議申立番号 異議2008-900063 
総通号数 108 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2008-12-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2008-02-14 
確定日 2008-11-10 
異議申立件数
事件の表示 登録第5091573号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5091573号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5091573号商標(以下「本件商標」という。)は,「ARTISS」の欧文字を標準文字で表してなり,平成17年11月18日に登録出願,第5類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同19年10月30日に登録査定,同年11月16日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人の引用する商標
登録異議申立人「エフ.ホフマン-ラ ロシュ アーゲー」(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は,以下のとおりであり,その商標権は,いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第1984667号商標(以下「引用商標1」という。)は,「アーチスト」の片仮名文字を横書きしてなり,昭和60年3月6日に登録出願,第1類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同62年9月21日に設定登録されたものであり,指定商品については,その後,平成20年6月11日に指定商品の書換登録により,第5類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品となっている。
(2)登録第2253096号商標(以下「引用商標2」という。)は,「Artist」の欧文字を横書きしてなり,昭和62年12月28日に登録出願,第1類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,平成2年7月30日に設定登録されたものである。

3 登録異議の申立ての理由(要点)
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標から生ずる「アーチス」あるいは「アーティス」の称呼と引用各商標から生ずる「アーチスト」あるいは「アーティスト」の称呼とは,語尾における「ト」の音の有無の差異のみであり,この音の有無がこれらの称呼の全体に及ぼす影響は小さいものであるから,これらの称呼をそれぞれ一連に称呼するときは,全体の語感が近似したものとなり,彼此聞き誤るおそれがある。
また,本件商標と引用商標2とは,第2文字以下が大文字か小文字の差異と,視覚上最も目立たない最後の文字の「S」と「t」の差異があるにすぎず,しかも,医薬品は,包装用箱から取り出されれば,PHPシートに包装された状態で使用・処方されるものであり,PHPシート上に記載されている文字は,一層目立たなくなることから,両商標は,外観上も相紛らわしいものである。
したがって,本件商標と引用各商標とは,称呼及び外観において類似の商標であり,その指定商品も互いに抵触するものであるから,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項第10号及び同第15号について
申立人の業務に係る「アーチスト(Artist)」薬は,わが国における降圧剤市場においても売り上げランキングでは上位を占め,「β遮断薬(血管拡張作用を有する)」の市場では,2005年以来第1位を占めており,引用各商標は,降圧剤,心不全薬として,わが国の薬剤・医療業界において,本件商標の出願前から著名であったことは明らかである(甲第4号証ないし甲第14号証)。
してみれば,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものであり,また,本件商標がその指定商品に使用されれば,申立人又は申立人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務にかかる商品であるかの如く,その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるから,商標法第4条第1項第15号にも違反して登録されたものである。
なお,本件商標と引用著名商標との類否については,広義の混同という観点からだけではなく,これを取り違えたときの重大な人的リスクについても慎重に考慮し,厳格に判断されるべきである。
(3)よって,本件商標の登録は,取り消されるべきである。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は,前記したとおりの構成からなるものであるところ,該文字は,既成の親しまれた観念を有する成語を表したものではないが,申立人も主張しているように,該構成文字に相応して,「アーチス」あるいは「アーティス」の称呼を生ずるものと認められる。
一方,引用各商標は,前記したとおりの構成からなるものであるところ,該語は,「芸術家,画家」等の意味を有する英語(外来語)であって,「アーチスト」あるいは「アーティスト」の称呼を生ずるものである。
そこで,この両称呼を比較するに,両称呼の差異は,語尾における「ト」の音の有無の差異のみとはいえ,「ト」の音は,無声音ではあるが破裂音であって,それ自体,比較的明瞭に発音・聴取され得る音であるということができる。しかも,我が国においては,特段の事情のない限り,外来語(英語)を発音する場合には,一音一音を正確に発音する傾向にあり,「アーチスト(Artist)」の語にあっても,語尾の「ト」の音を含めて,各音が明瞭に発音され,かつ,聴取され得るものということができる。
そうとすれば,この「ト」の音の有無の差が両称呼全体に与える影響は決して小さいものとはいえず,両者は,これをそれぞれ一連に称呼しても,称呼上十分に区別し得るものということができる。
また,外観についてみても,本件商標と引用商標1とは,全体の外観において明らかな差異を有しており,本件商標と引用商標2とを比較してみても,両者は,語尾部分とはいえ,明らかに字形の異なる「S」と「t」の差異を有するものであり,しかも,「Artist」の語は,「芸術家,画家」等の意味を有する英語として,その綴り字共々熟知されている語であるから,通常の注意力をもってすれば,その外観を見誤ることはないものというべきである。
その他,本件商標と引用各商標とを類似するものとすべき理由は,見出せない。
したがって,本件商標と引用各商標とは,外観,称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であるから,両商標が薬剤に用いられる商標であることを考慮したとしても,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号に違反してされたものとはいえない。
(2)商標法第4条第1項第10号について
申立人の提出に係る甲各号証によれば,申立人が降圧剤,心不全薬の商標として使用しているのは,「アーチスト」あるいは「Artist」の商標(以下「使用商標」という。)であり,これらの商標は,引用各商標と同じ構成態様からなるものであるから,上記したところと同様の理由により,本件商標と使用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
してみれば,その余の要件について検討するまでもなく,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第10号に違反してされたものとはいえない。
(3)商標法第4条第1項第15号について
使用商標(引用各商標を含む)が本件商標の登録出願時において,申立人の業務に係る商品「降圧剤,心不全薬」を表示する商標として,薬剤・医療業界における取引者・需要者の間に広く認識されていたものであるとしても,本件商標と使用商標(引用各商標を含む)とは,上記したとおり,十分に区別し得る別異の商標というべきものであり,他に混同を生ずるとすべき格別の事情も見出し得ないから,商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても,これに接する取引者・需要者をして使用商標(引用各商標を含む)を連想又は想起させるものとは認められず,その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く,その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわなければならない。
したがって,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第15号に違反してされたものとはいえない。
(4)むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第10号,同第11号及び同第15号に違反してされたものではないから,同法第43条の3第4項の規定により,その登録を維持すべきものとする。
よって,結論のとおり決定する。
異議決定日 2008-10-20 
出願番号 商願2005-109020(T2005-109020) 
審決分類 T 1 651・ 25- Y (Y05)
T 1 651・ 271- Y (Y05)
T 1 651・ 26- Y (Y05)
最終処分 維持  
前審関与審査官 箕輪 秀人齋藤 貴博 
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 小林 由美子
久我 敬史
登録日 2007-11-16 
登録番号 商標登録第5091573号(T5091573) 
権利者 バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド
商標の称呼 アーティス、アルティス 
代理人 中村 稔 
代理人 松尾 和子 
代理人 森下 夏樹 
代理人 山本 秀策 
代理人 安村 高明 
代理人 加藤 ちあき 
代理人 熊倉 禎男 
代理人 藤倉 大作 
代理人 井滝 裕敬 

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