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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 Y35
審判 全部申立て  登録を維持 Y35
審判 全部申立て  登録を維持 Y35
審判 全部申立て  登録を維持 Y35
管理番号 1187754 
異議申立番号 異議2008-900035 
総通号数 108 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2008-12-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2008-01-28 
確定日 2008-10-20 
異議申立件数
事件の表示 登録第5088234号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5088234号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5088234号商標(以下「本件商標」という。)は、「学天就活ナビ」の文字を横書きしてなり、平成18年2月6日に登録出願、第35類「広告,トレーディングスタンプの発行,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,職業のあっせん,競売の運営,輸出入に関する事務の代理又は代行,新聞の予約購読の取次ぎ,速記,筆耕,書類の複製,文書又は磁気テープのファイリング,電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作,建築物における来訪者の受付及び案内,広告用具の貸与,タイプライター・複写機及びワードプロセッサの貸与,求人情報の提供,自動販売機の貸与」を指定役務として、同19年11月2日に設定登録されたものである。

2 本件登録異議の申立ての理由
本件登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、その理由を以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第24号証を提出した。
(1)引用商標
申立人が引用する登録第4729576号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲(1)に示したとおりの構成よりなり、平成14年8月23日に登録出願、第35類「インターネットなどの通信ネットワークシステムを利用した職業のあっせんに関する情報の提供,インターネットなどの通信ネットワークシステムを利用した就職に関する求人情報の提供,雑誌・新聞・テレビジョン・ラジオによる広告の代理」及び第42類「インターネットなどの通信ネットワークシステムを利用した電子計算機用プログラムの提供,電子計算機端末による電子計算機用プログラムの提供,デザインの考案,電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明」を指定役務として、同15年11月28日に設定登録されたものである。
(2)商標「就活ナビ」の周知・著名性について
本件商標の一部である「就活ナビ」(以下「使用商標」という。)については、申立人の継続的かつ全国的な使用により、需要者・取引者に広く認識されるに至っている周知・著名商標である。甲第2号証は、申立人及び株式会社ダイヤモンド・ビッグ社が作成し、配布した2002年(平成14年)7月10日付プレスリリースである。これは、両社が共同して行う「ダイヤモンドLEAD就活ナビ」のサービス提供開始の告知であり、マスコミ各社に配布されている。本告知においては、「就活ナビ」単独での表記が見られる。甲第3号証は、株式会社ダイヤモンド社が発行する週刊誌「週刊ダイヤモンド」2004年(平成16年)2月28日号掲載記事である。ここでは、申立人が開設する就職情報サイトとして「就活ナビ」と掲載されている。甲第4号証は、申立人及び株式会社ダイヤモンド・ビッグ社が発行する雑誌「別冊週刊ダイヤモンド ニッポンの会社発見2004」掲載記事、甲第5号証は、株式会社ダイヤモンド社が発行する雑誌「週刊ダイヤモンド別冊 ニッポンの会社発見2008」掲載記事である。ここでは、申立人が開設する就職情報サイトとして「就活ナビ」と掲載されている。なお、ここでは、2004年及び2008年就職活動向けの書籍を代表して提出するが、本書籍は、大学生向けの就職ガイドブックとして毎年発行されているものである。また、発行部数は、毎年約25万部であり、うち約5万部を各大学生に対し直接郵送し、残りの約20万部を各大学の就職部を通して配布している。甲第6号証は、申立人及び株式会社ダイヤモンド・ビッグ社が作成し、配布した2004年(平成16年)3月卒業の大学生・大学院生向け就職活動案内のリーフレット、甲第7号証は、申立人が作成し、配布した2005年(平成17年)3月卒業の大学生・大学院生向け就職活動案内のリーフレット、甲第8号証は、申立人が作成し、配布した2008年(平成20年)3月卒業の大学生・大学院生向け就職活動案内のリーフレットである。いずれのリーフレットにおいても、申立人が開設する就職情報サイトとして「就活ナビ」と掲載されている。なお、ここでは、2004年、2005年及び2008年就職活動向けのリーフレットを代表して提出するが、同様の印刷物は、毎年発行されているものである。また、発行部数は、毎年約40万部であり、各大学での就職ガイダンスや各大学就職部窓口、学生主催の団体等を通して配布している。甲第9号証は、株式会社ダイヤモンド・ビッグ社が作成し、配布した「DIAMOND MEDIA CONCEPT 2004」、甲第10号証は、申立人が作成し、配布した「ダイヤモンドLEAD Media-Planning Guide 2004」、甲第11号証は、申立人が作成し、配布した「ダイヤモンドLEAD Media-Planning Guide 2006」、甲第12号証は、申立人が作成し、配布した「ダイヤモンドLEAD Media-Planning Guide 2007」、甲第13号証は、申立人が作成し、配布した「ダイヤモンドLEAD Media-Planning Guide 2007」添付リーフレット、甲第14号証は、申立人が作成し、配布した「ダイヤモンドLEAD MEDIA-PLANNING GUIDE 2008」である。いずれのパンフレット及びリーフレットにおいても、申立人が開設する就職情報サイトとして「就活ナビ」と掲載されている。なお、これらの印刷物の発行部数は毎年約5000部であり、原則として申立人従業者が各企業の人事部に直接持参し、配布している。甲第15号証は、申立人が作成し、配布した「05就活ナビ『会社の歩き方』入稿システム利用マニュアル」である。この印刷物では、そのタイトルに本願商標「就活ナビ」が用いられている。なお、ここでは、2005年就職活動向けの印刷物を代表して提出するが、同様の印刷物は、毎年発行されているものである。また、この印刷物は、約2,000部が「就活ナビ」利用企業に配布されている。なお、配布・発行の部数と使用商標の周知・著名性との関係であるが、申立人が商標「就活ナビ」を付して役務を提供する対象となる者は、卒業・修了後に就職を希望し、就職活動を行う大学生・大学院生・短期大学生及びその求人企業という極めて限られた範囲の者であるから、上記配布・発行部数は商標が提供役務との関係で周知・著名であると推察するために十分な部数であるものと思料する。以上より、申立人の使用に係る商標「就活ナビ」は、その継続的かつ全国的な使用により、遅くとも本件商標の出願時である平成18年2月までには、需要者・取引者に広く認識されるに至っており、全国的に著名な商標となっていたことをうかがい知ることができる。
(3)本件商標と申立人の商標との類似性
本件商標は、漢字及び片仮名文字により「学天就活ナビ」と表記されている。本件商標は、横一連に表記されているものではあるが、称呼した場合には「ガクテンシュウカツナビ」という比較的長い称呼を有することから、需要者・取引者が本件商標に接した場合、これを一連に称呼することはないものと想定される。この点、本件の拒絶査定不服審判では、その審決理由において、本件商標につき「その構成全体から生ずると認められる『ガクテンシュウカツナビ』の称呼も、やや冗長であるとしても、よどみなく一連に称呼し得るものである。」とし、「全体をもって一連の造語を表したものと看取、把握されるというべきであるから、本願商標は、その構成全体に相応する『ガクテンシュウカツナビ』の一連の称呼のみを生ずるとみるのが相当である。」との判断がなされている(甲第16号証)。しかしながら、この判断は、失当であるものと思料する。すなわち、本件商標の商標権者(以下、単に「商標権者」とする。)は、本件商標の属する第35類において、本件商標のほかにも「学天」の文字単独の登録に加え(甲第17,18号証)、「学天」と他の語とを結合させた商標の登録(甲第19?21号証)及び出願(甲第22号証)を有している。このような商標の登録・出願状況からは、商標権者により「学天」の語単独及び「学天」と他の語とを結合させた多種類の商標が、第35類に属する指定役務の分野において実際に使用されていることは容易にうかがい知ることができる。してみれば、そのような「学天」関係商標の使用状況下において、本件商標に係る指定役務の分野の需要者・取引者が本件商標に接した場合、本件商標を「学天」と「就活ナビ」との結合商標として把握するのが必然であって、その構成全体を一連の造語として把握するという上記審決理由摘示のような商標の把握は、およそ想定できないものと思料する。以上より、本件商標が比較的長い称呼を有するために一連で称呼することが困難であることと、商標権者による商標「学天」及び申立人による商標「就活ナビ」の既述した使用状況とを合わせみれば、本件商標は、需要者・取引者において「学天」と「就活ナビ」とに分離して観察・称呼され、それゆえ各単独の商標と類似するというのが、自然な把握であるものと思料する。よって、本件商標と申立人の使用に係る商標「就活ナビ」とは、類似するとの判断を免れない。
(4)商標法第4条第1項第10号について
既述のとおり、本件商標と申立人の使用商標「就活ナビ」とは、類似し、また、申立人の同商標は、本件商標の出願日である平成18年2月6日には、周知・著名性を獲得していたものと認められる。さらに、本件商標の指定役務は、申立人が同商標を付して提供する役務「職業のあっせんに関する情報の提供,就職に関する求人情報の提供」等の役務と同一又は類似するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当するにもかかわらず、誤って登録されたものである。
(5)商標法第4条第1項第11号について
既述のとおり、本件商標と申立人の先願先登録商標「ダイヤモンドLEAD/就活ナビ」とは類似し、また、本件商標の指定役務の一部は、申立人の登録商標の指定役務と同一又は類似するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するにもかかわらず、誤って登録されたものである。
(6)商標法第4条第1項第15号について
商標法第4条第1項第15号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標には、当該商標をその指定商品又は指定役務に使用したときに、当該商品等が他人の商品又は役務(以下「商品等」という。)に係るものであると誤信されるおそれがある商標のみならず、当該商品等が右他人との間にいわゆる親子関係や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品等であると誤信されるおそれ(以下「広義の混同を生ずるおそれ」という。)がある商標を含むものと解される(最判平成12年7月11日「レールデュタン」事件・甲第24号証)。ここで本件商標について検討すると、既述のとおり「シュウカツナビ」の称呼を生じさせるものである。 その一方で、申立人の登録第4729576号商標「ダイヤモンドLEAD/就活ナビ」の存在や、上記のとおり申立人の使用に係る商標「就活ナビ」が周知・著名となっている使用状況を考慮すれば、少なくとも本件商標の出願日である平成18年2月6日の時点において、商標権者が本件商標を使用した場合には、本件商標権者があたかも申立人と経済的・組織的に何らかの関係があるものと需要者・取引者に誤信させるおそれが高く、いわゆる広義の混同を招来する可能性が高いことは、容易に推察できるところである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するにもかかわらず、誤って登録されたものである。
(7)商標法第4条第1項第19号について
既述のとおり、本件商標と申立人の使用商標「就活ナビ」とは類似し、また、申立人の同商標は、本件商標の出願日である平成18年2月6日には、日本国内において周知・著名性を獲得していたものと認められる。さらに、商標権者は、申立人と同一の事業を営んでいることよりすれば、申立人が商標「就活ナビ」を付して「職業のあっせんに関する情報の提供,就職に関する求人情報の提供」等の事業を行っていることは、商標権者は、2002年(平成14年)7月10日付プレスリリース(甲第2号証)直後から把握していたものと類推することができ、少なくとも本件商標の出願日である平成18年2月6日には、十分把握していたものと解される。よって、申立人の使用に係る商標「就活ナビ」の語を含み、「シュウカツナビ」の称呼をも生じさせる本件商標は、日本国内で周知・著名な申立人の使用商標について出所表示機能を稀釈化させ、また、その名声にフリーライド(只乗り)する目的をもって出願され、登録を受けたものといわざるを得ず、商標法第4条第1項第19号にいう「不正の目的」をもったものと解される。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するにもかかわらず、誤って登録されたものである。
(8)結び
以上のように、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、11号、15号、19号に該当するにもかかわらず誤って登録されたものであるので、その登録は取り消されるべきである。

3 当審の判断
(1)「就活ナビ」について
申立人は、使用商標である「就活ナビ」が、申立人の開設する就職情報サイトにおいて使用された結果、「申立人の継続的かつ全国的な使用として、需要者・取引者に広く認識されるに至っている周知・著名商標である。」と述べ、証拠として甲各号証を提出しているが、提出に係る証拠は、全て、申立人の会社のパンフレット等の発行物や申立人の関連会社である「ダイヤモンド社」の発行に係る広告記事といい得るものである。そして、申立人が、「就活ナビ」の語を本件商標の出願日以前より使用していたとしても、提出された甲各号証において、その使用商標の使用期間、地域、範囲等の事実を示す証左は見出せず、需要者間において、申立人にかかる役務を表すものとして広く認識されているとは認められないものである。
また、「就活」は、「就職活動」の略として広く親しまれている語であり、「ナビ」は、「ナビゲーション」の略であることは容易に把握できるものであって、就職情報サイト上において、申立人以外によっても、「東海就活ナビ」(http://navitokai.com/)、「デジッド学生ナビ」「就活生の方へ」「就活情報」(http://www.digit.co.jp/)、「就活Lab」(http://www.as-navi.com/2009/)等、「就活」及び「ナビ」がかかる意味合いで広く一般的に使用されている実状にあることが認められる。
してみれば、「就活ナビ」は、「就職活動のナビゲーション(誘導すること)」を認識させ、本件の指定役務「職業のあっせん、求人情報の提供」との関係においては、需要者・取引者にかかる意味合いを看取させる自他役務の識別力を有しないか、あるいは極めて希薄なものと認められる。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、「学天就活ナビ」の文字よりなるところ、その各構成文字は、同一の書体、同一の大きさ、同一の間隔により、外観上まとまりよく一体的に表され、これより生ずる「ガクテンシュウカツナビ」の称呼が、やや冗長にわたるものであるとしても、よどみなく一気一連に称呼し得るものである。そして、たとえ、構成中の「就活ナビ」の文字が、本件指定役務の質等を表す場合があるとしても、かかる構成においては、むしろ、全体をもって一種の造語を表したものと認められるから、本件商標は、その構成全体に相応して、「ガクテンシュウカツナビ」の一連の称呼のみを生ずるものとみるのが相当である。
他方、引用商標は、別掲(1)のとおりの構成よりなるところ、その構成文字に照らして、「ダイヤモンドリードシュウカツナビ」及び「ダイヤモンドリード」の称呼を生ずるものと認められる。
そこで、本件商標から生ずる「ガクテンシュウカツナビ」の称呼と引用商標から生ずる「ダイヤモンドリードシュウカツナビ」及び「ダイヤモンドリード」の称呼を比較するに、両商標は、その音数、音構成が明らかに相違し、十分に聴別し得るものである。また、本件商標と引用商標とは、外観が明らかに相違し、観念においては、本件商標から格別の観念が生じないことから、比較すべきところがない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、その称呼、外観及び観念のいずれにおいても、何ら相紛れるおそれのない非類似の商標である。
(3)商標法第4条第1項第10号、同第15号及び同19号について
申立人の引用に係る使用商標「就活ナビ」は、前記(1)の認定のとおり、申立人の業務にかかる役務を表示するものとして、取引者、需要者間に広く認識されているものとはいえない。
さらに、本願商標は、前記(2)の認定とおり、一連の「ガクテンシュウカツナビ」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じない造語であるから、「シュウカツナビ」の称呼を生じる使用商標とは、その称呼上「ガクテン」の音の有無により十分に聴別し得るものであり、本件商標から格別の観念が生じないことから、観念については比較すべくもなく、外観上においても十分に区別し得るから、その称呼、観念及び外観において、何ら相紛れるおそれのない非類似の商標である。
そうとすれば、本件商標をその指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者が使用商標ないしは申立人を連想、想起するようなことはないというべきであり、該役務が申立人または同人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれもないといわなければならない。
また、申立人の使用商標の出所表示機能を希釈させたり、その名声を毀損させるなどの不正の目的をもって登録出願されたものともいえないものである。
(4)結び
以上のとおりであるから、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同11号、同15号及び同19号に違反して登録されたものでなく、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲(1)


(色彩は原本参照)

異議決定日 2008-09-30 
出願番号 商願2006-13546(T2006-13546) 
審決分類 T 1 651・ 25- Y (Y35)
T 1 651・ 222- Y (Y35)
T 1 651・ 26- Y (Y35)
T 1 651・ 271- Y (Y35)
最終処分 維持  
前審関与審査官 村上 照美土井 敬子 
特許庁審判長 佐藤 達夫
特許庁審判官 小川 きみえ
手塚 義明
登録日 2007-11-02 
登録番号 商標登録第5088234号(T5088234) 
権利者 株式会社ベンチャー・オンライン
商標の称呼 ガクテンシューカツナビ、ガクテン、シューカツナビ 
代理人 宮崎 昭夫 
代理人 石橋 政幸 
代理人 磯野 富彦 
代理人 緒方 雅昭 

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