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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Y21
管理番号 1186083 
審判番号 不服2007-10797 
総通号数 107 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2008-11-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-04-13 
確定日 2008-10-03 
事件の表示 商願2005- 12271拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、後掲のとおりの構成よりなり、第21類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成17年2月2日に立体商標として登録出願されたものである。そして、指定商品については、原審における同18年4月11日付け手続補正書により、第21類「ムース状の泡を噴出してごきぶりを捕獲するごきぶり捕獲具,ムース状の泡を噴出して害虫を捕獲する害虫捕獲具,ねずみの通り道に粘着質材を噴出させてねずみを捕獲するねずみ捕獲具,ごきぶりの通り道に粘着質材を噴出させてごきぶりを捕獲するごきぶり捕獲具,害虫の通り道・集まる箇所に粘着質材を噴出させて害虫を捕獲する害虫捕獲具」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、その指定商品中の『ごきぶり捕獲器、害虫捕獲器』との関係においては、その商品の収納容器の一形態を表したものと容易に認識させる立体的形状よりなるものであり、また、その側面に施された短冊状の図形にしても、単なる装飾の一部に過ぎず、自他商品の識別力を有する程に特異性があるとは認められないものである。そうとすれば、本願商標を、その指定商品中前記商品に使用しても、単に商品の品質、収納容器の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標にすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)立体商標は、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状も含むものであるが、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(第一義的)には商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として採択されるものではない。
そして、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは商品等の機能又は美感をより発揮させるために施されたものであって、本来的には、自他商品を識別するための標識として採択されるのではなく、全体としてみた場合、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者、需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まり、このような商品等の機能又は美感と関わる形状は、多少特異な形状であっても、未だ商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないと解するのが相当である。
また、商品等の形状は、同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。
そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標については、使用をされた結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者、需要者間において当該形状をもって同種の商品等と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。
なお、商品等の立体的形状について、上記と同旨の判示をしたうえで、自他商品の識別力を有しない旨認定、判断をした以下の東京高等裁判所の判決がある(平成11年(行ケ)第406号 判決言渡日 平成12年12月21日、 平成13年(行ケ)第48号 判決言渡日 平成13年12月28日ほか)。
(2)そこで、これを本件についてみるに、本願商標は、後掲のとおりの構成よりなるところ、その構成中の青色筒状容器側面には、左から縦右斜め下方向に大小2個の金色縁取りをした薄水色短冊及び同じく金色縁取りをした黄緑色の二等辺三角形を逆さにした模様を有し、その立体的形状は、その頭部に、噴出用ノズルと噴出用レバーを具えたキャップ(以下「キャップ部分」という。)があることなどを踏まえれば、その補正後の指定商品のスプレー式収納容器の一形態を表したと理解できる形状からなるものとみるのが自然である。
そして、該収納容器頭部のキャップ部分が、たとえ、請求人のみが採択している特異な構成よりなるものであっても、これは、ムース状の泡等を噴出するスプレー式収納容器の一部として採択し得る形状であって、また、筒状容器側面に彩られた大小2個の薄水色短冊及び黄緑色の二等辺三角形を逆さにした装飾模様とともに、これらは、商品の機能、美観を効果的に高めるために施されたものにすぎないというべきである。
してみると、本願商標は、これをその補正後の指定商品に使用しても、取引者・需要者は、全体として商品の中のスプレー式収納容器の形状を表示するにすぎないものと理解するに止まり、自他商品の識別標識として認識し得ないものと判断するのが相当である。
(3)請求人は、原審における平成18年4月11日付け手続補足書の参考資料1ないし5(枝番を含む)並びに当審における同19年7月6日付け手続補足書の甲第1号証ないし第19号証(枝番を含む)及び参考資料1を添付資料として各証拠を提出し、筒状容器本体の頭部のキャップ部分は、意匠登録を受けたものであって、顕著な特徴を有するとともに、筒状容器側面の模様にも特徴があり、さらに、本願商標と共通形態のスプレー式容器を10年以上継続的に使用してきており、請求人のヒット商品であるハエ蚊用エアゾール(商品名「アースジェット」)の容器は、本願商標と同一の形状及び模様からなるから、本願商標は、それらとの関連で、需要者にとって周知な識別標識になっているといえる旨主張している。
しかしながら、本願商標の構成中のキャップ部分が、たとえ意匠登録を受けたものであったとしても、意匠権による保護は、同法の目的に基づいて、保護の対象、要件、権利の範囲、効力等が定められているものであって、これらに従った独占を理由としては、本願商標が自他商品の識別力を有するものと認めることができない。
そして、本願商標は、商品の収納容器の形状と認識される立体的形状をもって構成される商標と認められるものであり、また、該筒状容器側面の模様においても、商品の装飾としての域を超えるものとは認められないものであるから、上記認定のとおり、商品の機能(使い易さ)や、美観を効果的に高めるための範囲内のものにすぎない。
また、本願商標と共通形態のスプレー式容器が継続的に使用され、ハエ蚊用エアゾール(商品名「アースジェット」)がヒット商品になったとしても、提出された証拠は、全て「アースジェット」、あるいは、「ゴキジェット」等の文字が付されており、該文字等は、看者に与える印象が著しく強く、商品の自他商品識別力が強い部分であるのに対し、スプレー式収納容器の形状それ自体である本願商標のみでは、看者に与える印象が強いものではなく、自他商品の識別力を有するに至ったことを認めるに足りないというべきである。
そうすると、提出された証拠によっては、本願商標は、その指定商品について使用された結果、自他商品の識別力を獲得し、商標法第3条第2項の要件を具備しているものとも認められないから、請求人の上記主張は採用することができない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 後掲
本願商標

(色彩については、原本参照)


審理終結日 2008-06-27 
結審通知日 2008-07-18 
審決日 2008-07-30 
出願番号 商願2005-12271(T2005-12271) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (Y21)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐藤 達夫小川 きみえ 
特許庁審判長 伊藤 三男
特許庁審判官 齋藤 貴博
岩崎 良子
代理人 中澤 直樹 
代理人 吉原 省三 
代理人 桶川 美和 

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