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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Z30
管理番号 1186073 
審判番号 不服2006-25336 
総通号数 107 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2008-11-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-11-08 
確定日 2008-08-14 
事件の表示 平成11年商標登録願第111606号拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第30類「菓子及びパン」を指定商品として、平成11年12月6日に登録出願されたものであり、その後、指定商品について、当審における同18年11月8日付け手続補正書で、第30類「まんじゅう」に補正されたものである。

第2 原査定における拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、その指定商品との関係よりすれば、指定商品に採用し得る一形状を表したものと認識されるものであるから、これをその指定商品について使用しても、単に商品の形状そのものを表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。また、本願商標をその指定商品「菓子及びパン」に属する商品全般に、本願商標を使用している事実は認められないから、商標法第3条第2項に該当するということもできない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号について
本願商標は、別掲に示すとおり、やや上方を向いた鳥形の形状を把握し得るものである。
ところで、菓子は、商品の形状等の外観上の特徴や見栄えが需要者の購買心理、選択意欲、消費行動等に重要な影響を与えるものといえるものであり、特に、本願商標の指定商品「まんじゅう」を含む和菓子は、一般的に、季節の事物・事象、自然物等を模した意匠を施して作られる。また、製造者名及び販売者名や内容物の表示等が付された包装用紙等に包装され、販売されているところであり、その商品自体の形状をパンフレットやちらし、コマーシャルに掲載して宣伝広告しているのが実情といえる。
そして、「まんじゅう」を含む和菓子等、本願商標の指定商品等を取り扱う業界においては、鳥の形状をした菓子が、例えば、有限会社二鶴堂(福岡県)の「二鶴の親子」、株式会社長登屋(名古屋市)の「名古屋コーチン」、株式会社大藤(東京都)の「かもめの水兵さん」、株式会社江戸製菓(東京都)の「なかよし小鳥」、丸三食品株式会社(豊橋市)の「アルプス雷鳥」、有限会社東月製菓(東京都)の「浅草ぽっぽ」等、全国各地において製造販売されている事実が認められる。
そうすると、本願商標の指定商品を取り扱う業界において、鳥の形状をかた取った「まんじゅう」、「和菓子」などが、しばしば製造販売されているところ、本願商標は、「請求人の商品「名菓ひよ子」を斜めからみた図形(写真)である」と請求人も「請求の理由」において述べるとおり、鳥形の菓子の斜めからの写真であって、鳥の形の商品であることを容易に看取し得るものであるから、これに接する取引者、需要者は、商品の形状として認識するにとどまるものであって、商品の出所表示標識としては、理解しないものであるというのが相当である。
したがって、本願商標は、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
2 商標法第3条第2項について
本願商標は、当審において、その指定商品について「まんじゅう」と補正されたものであり、請求人は、「本願商標に係るまんじゅうである「名菓ひよ子」の売上高、広告宣伝費、本願商標についての広告の態様(新聞、雑誌、テレビCM)、頻度等を勘案すると、本願商標が、請求人の製造・販売に係る「まんじゅう」を示す商標として、菓子業界では勿論、一般需要者の間にあっても、全国的に広く認識される状況となっているものと考えられる」とし、本願商標が、商標法第3条第2項に該当するものとして、証拠方法として資料8ないし資料44(枝番を含む。)を提出した。
そこで、請求人の提出した各証拠について検討する。
(1)資料8は、請求人「経歴書」、資料9は、同じく「会社案内」、資料10は、「ジャンル別九州NO1企業写 東洋経済新報社」であり、資料11は、「昭和62年6月30日付西日本新聞」であって、これらの資料には、大正元年に先々代がひよ子を形どった菓子を考案し、請求人は、その和菓子を製造販売する事業を引き継ぐ形で昭和34年に設立された和菓子の製造販売を主たる業務とする福岡市に本社を置く株式会社であり、本願に係る「ひよ子のお菓子」は、請求人の基礎となる主力商品であることが記載されている。
(2)資料12は、キヨスク、高速道路、空港、百貨店、福岡市内卸、地方卸、外商等における請求人の取引先一覧表(平成16年10月20日現在)であり、それらの流通業態により、「ひよ子」の販売がのびていることが、資料13(昭和45年11月18日西日本新聞記事)において、鉄道弘済会(九州地区、関東地区)、デパート(九州、東京、大阪)との取引があることや資料14(平成13年(2001年)10月付全国観光と物産新聞)、資料15(平成9年9月9日付西日本新聞)、資料16(平成11年(1999年)6月4日西日本新聞)に記載されている。
(3)資料17(枝番号を含む。)は、「ひよ子」の文字商標、商標登録第524914号の防護1号ほか5件の公告公報である。
(4)資料18ないし資料28、資料35ないし資料43は、昭和41年から平成18年までの間の雑誌、新聞、カタログ、ちらし等の記事及び宣伝広告であり、資料29ないし資料31(枝番号を含む。)は、昭和30年代から平成15年までの間の「提供番組放送報告書」「テレビCMの静止画像(抜粋)」等、テレビCMにおける宣伝広告の実績を示すものである。そして、資料32は、博報堂九州支社からの「平成15年4月分ご請求確認書写」であり、「合計 18,880,050(円)」の記載がある。
(5)資料33(枝番号を含む。)及び資料34は、昭和32年度から平成14年度の「年度別営業実績推移グラフ」等及び昭和56年7月23日付フクニチ新聞の記事である。
(6)資料44は、「平成17年(行ケ)第10673号審決取消請求事件判決写」である。
上記、請求人の提出において、請求人は、永年の間、「名菓ひよ子」の製造販売、宣伝広告に努めてきたことが認められ、「莫大な広告宣伝費をかけてまんじゅう「名菓ひよ子」並びに本願商標を大々的に宣伝してきた」と主張するものである。
しかしながら、資料18ないし資料28、資料35ないし資料43は、請求人会社の商品について本願商標の使用状況を証明するものと認められる雑誌、新聞、ちらし等であるが、それらに記載された鳥形の菓子の図形(写真)の商品は、例えば、資料26、資料35、資料39のように2羽の鳥形の菓子の図形(写真)等、本願商標と構成態様を異にするものが多く含まれるものである。
さらに、そのすべてにおいて、「名菓ひよ子」、「ひよ子」等の文字がその近接した位置にあり、これに接する需要者は、鳥形の図形(写真)を、商品の形状として把握するにとどまるものであって、上記「名菓ひよ子」、「ひよ子」等の文字に着目して商品の出所を識別するというべきである。
また、資料30(枝番号を含む。)に抜粋で示されたテレビCMにおいては、鳥形の菓子の斜め上方からの図が映し出されるものの、菓子を多くの角度から映し出しているものであり、必ずその画面に「名菓ひよ子」、「ひよ子」の文字も大きく表示されている。そうすると、これに接する需要者は、鳥形の菓子の斜め上方からの画面のみをとらえて、商品の出所を識別するとは認め難いものであり、むしろ、一連の映像から、鳥形の菓子の形状としてのみ認識するというべきである。
そして、請求人の直営店舗の多くは九州北部、関東地方等を中心に所在するものであり、必ずしも日本全国にわたって、広く店舗が存在するものでもない。
そうすると、菓子を取り扱う業界においては、鳥形の形状の商品は、ありふれたものというべきであること、及び、広告宣伝状況は、需要者が「ひよ子」の文字に注目するような形態で行われているものであるから、「ひよ子」等の文字からなる商標、または、音声によって、それぞれ商品の出所が識別されているものとみるのが商取引の実際に照らして自然というべきである。
してみると、請求人の売上高、広告宣伝等の頻繁さをもってしても、本願商標の使用事実を証明する証拠において本願商標と使用に係る商標が同一のものとはいい得ず、また、「ひよ子」等の文字部分より商品の図形(写真)部分が需要者に強い印象、記憶を与えているとも認められないものであり、本願商標に接する需要者は、これを商品の形状としてのみ認識するものであるといわざるを得ない。
なお、請求人は、「請求人立体商標(平成17年(行ケ)第10673号審決取消請求事件(無効2004-89076号)と本願商標とは、(ア)請求人の商品「名菓ひよ子」を側面からみた図形(写真)であり、この鳥の菓子の斜視図形を広告・宣伝等に使用しているのは請求人のみである。(イ)本願商標は、立体商標とは異なる平面商標である。(ウ)広告等に「名菓ひよ子」等の文字を表示すること、商品を価格と共に紹介する等は、広告において必要なことであるという相違点があり、平成17年(行ケ)第10673号審決取消請求事件(無効2004-89076号と本願商標の商標法第3条第2項該当性の有無は区別して判断されるべきである。」と述べている。
しかしながら、本願商標については、商品の形状として認識されるにとどまるものであり、たとえ、鳥形の商品の斜視図形を広告・宣伝等に使用しているのは請求人のみであるとしても、本願指定商品を取り扱う業界において、鳥形の菓子は、自他商品を識別し得る程、独創的とはいえず、商品自体の形状を宣伝広告に使用することは、一般的なことであるから、請求人の提出する証拠をもってしても、本願商標は、上記のとおり、自他商品の識別力を獲得したものとは認められず、上記請求人の主張は、採用できない。
したがって、請求人の提出した証拠を総合して勘案しても、本願商標が、その指定商品について使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものとは認められないものである。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当し、かつ、同法第3条第2項の要件を具備しないとした原査定は妥当なものであって、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本願商標 色彩は原本参照。)


審理終結日 2008-06-03 
結審通知日 2008-06-10 
審決日 2008-06-30 
出願番号 商願平11-111606 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (Z30)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐藤 達夫小畑 恵一 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 鈴木 修
堀内 仁子
代理人 藤井 信孝 
代理人 藤井 重男 
代理人 藤井 信行 

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