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審決分類 審判 全部無効 商4条1項11号一般他人の登録商標 無効とする(請求一部成立)取り消す(申し立て一部成立) Y03
管理番号 1184481 
審判番号 無効2007-890101 
総通号数 106 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2008-10-31 
種別 無効の審決 
審判請求日 2007-06-22 
確定日 2008-08-26 
事件の表示 上記当事者間の登録第4895977号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4895977号の指定商品中、第3類「植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料,薫料,塗料用剥離剤,靴クリーム,靴墨,つや出し剤,せっけん類,歯磨き,化粧品,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,つけづめ,つけまつ毛」についての登録を無効とする。 その余の指定商品についての審判請求は成り立たない。 審判費用は、その2分の1を請求人の負担とし、2分の1を被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4895977号商標(以下「本件商標」という。)は、「ハーブライフ」の片仮名文字と「HERBLIFE」の欧文字とを二段に横書きしてなり、平成16年11月15日に登録出願、第3類「植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料,薫料,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,塗料用剥離剤,靴クリーム,靴墨,つや出し剤,せっけん類,歯磨き,化粧品,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,つけづめ,つけまつ毛」を指定商品として、同17年7月22日に登録査定がなされ、同年9月22日に設定登録されたものである。

第2 請求人の引用する商標
請求人が本件商標の登録の無効の理由に引用する登録第4226662号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成9年3月10日に登録出願、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,つけづめ,つけまつ毛,歯磨き,つや出し剤,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,靴クリーム,靴墨,塗料用剥離剤」を指定商品として、同11年1月8日に設定登録されたものである。

第3 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第42号証(枝番を含む)を提出した。
1 請求の理由の要旨
本件商標は、引用商標と類似し、指定商品も類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
(1)指定商品の同一・類似性について
本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品のいずれかと同一あるいは類似の関係にある。
すなわち、本件商標の指定商品中の「塗料用剥離剤,靴クリーム,靴墨,つや出し剤,せっけん類,歯磨き,化粧品,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,つけづめ,つけまつ毛」は、引用商標の指定商品と同一である。
本件商標の指定商品中の「植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料,薫料」は、引用商標の指定商品中の「香料類」に包含される関係にある。
本件商標の指定商品中の「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり」は、いずれも衣服のクリーニングに用いる家庭用薬剤であるところ、これらは、引用商標の指定商品「せっけん類」との間で、いずれも家庭において洗濯に用いられる溶剤である点で共通し、商品類似の関係にある。
本件商標の指定商品中の「かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤」は、引用商標の指定商品「つけまつ毛」との関係において、人工毛に関連する商品という点で類似する。
本件商標の指定商品中の「さび除去剤」と引用商標の指定商品中の「塗料用剥離剤」は、いずれも建物や家具等の付着物を取り除く薬剤という点で類似する。
(2)商標の類似性について
(ア)外観上の類似性について
本件商標と引用商標の外観を比較すると、欧文字部分については、「HERBLIFE」と「HERBALIFE」の両者は、それぞれ8文字、9文字からなり、全体としてその綴りが長く、看る者の視覚的注意力が比較的届きにくい中間の位置(5文字目)に「A」の文字が有るか無いかという違いがあるものの、この違いによる印象の差は極めて小さい。したがって、時と所を異にして離隔的に観察するときには、両商標が取引者・需要者に商品の出所について誤認混同を生ぜしめるおそれがあることから、両商標は外観上類似する商標である。上記主張が正当であることを裏付ける資料として、平成6年審判第3396号審決(甲第3号証の1)及び2003年審判第35287号審決(甲第3号証の2)を提出する。
(イ)称呼上の類似性について
本件商標は、仮名文字部分が欧文字部分の読みに相当するものであるから、その構成文字に相応して「ハーブライフ」の称呼を生ずるものである。他方、引用商標は、「HERBALIFE」の欧文字で構成されており、「ハーバライフ」の称呼を生ずる。
そこで、両商標から生ずる称呼を対比するに、両称呼において相違する唯一の音である子音「ブ」及び「バ」は、共に50音図の「バ行」に属する濁音であり、両子音とも両唇を閉じて鼻腔への通路を閉鎖し気流が口腔内から逃げないようにしてから空気を破裂させるようにして音を出す破裂音であり、調音方法が共通する。また、口腔内において空気の流れを妨げる場所(調音部位)についても、唇部分である点で共通である。なお、両子音は言語学上も同一の子音分類に属するものである(甲第6号証)。
そして、両音とも語頭音が共通であるところ、語頭音は需要者の印象、記憶、連想に最も強い影響を与える音であり、また、相違音である「ブ」と「バ」の音は、語頭部に比して明瞭に聴取し難い中間に位置するため、より印象が弱められ、全体の称呼に与える影響が小さいものになっている。更に、アクセントの位置も「ハー」の位置である点で共通しているので、全体の音感が近似して聴覚されるようになっている。
以上より、「ハーブライフ」と「ハーバライフ」は、全体の音質、音節及び音調がいずれも近似し称呼上互いに相紛れるおそれが高いものということができる。
請求人の上記主張を裏付けるものとして、2003年審判第90225号異議決定(甲第7号証)、昭和57年審判第10656号(甲第8号証の1)、昭和59年審判第13664号(甲第8号証の2)、平成3年審判第8498号(甲第8号証の3)及び昭和51年審判第10488号(甲第8号証の4)を提出する。
(ウ)観念上の類似性について
本件商標と引用商標は、いずれも特段の観念を生じない。仮に、何らかの観念が生じるとしても外観上の類似性及び称呼上の類似性に影響を及ぼすものではなく、本件商標と引用商標との間に出所混同が生じるおそれが高いことに何ら変りはない。
(エ)取引の実情について
請求人は、1980年に米国において設立され、それ以来現在に至るまでダイエットフード及び化粧品等のパーソナル・ケア商品を中心に幅広い商品を取り扱い成長してきた(甲第25号証、甲第26号証)。商標の登録も、2003年時点で世界67カ国において種々の分類について「HERBALIFE」の商標登録をしており(甲第27号証、甲第28号証)、本件審判請求時には、我が国を含めて世界64力国で現地法人を有して事業を展開している(甲第30号証)。宣伝・広告についても、ウェブサイトにおける商品紹介(甲第9号証、甲第10号証)、新聞・雑誌(甲第11号証ないし甲第14号証)、パンフレット・リーフレット・会社広報(甲第15号証)、スポーツ選手との契約(甲第16号証ないし甲第23号証)、会員向け広報誌(甲第24号証)等々において盛んに行っている。また、請求人の企業活動は、我が国の新聞・雑誌等のメディアでも注目を集めており(甲第32号証、甲第33号証)、1994年には米国の有名紙「ロサンジェルス・タイムス」が選んだカリフォルニア州の優良企業ベスト100のうち一番にランキングされている(甲第34号証)。
このような取引の実情に鑑みると、本件商標がその指定商品、とりわけ、カプセル、ガーゼ等に使用された場合には、需要者は、これらの商品は、健康食品を主事業として、少なくとも一定の知名度を有する「ハーバライフ」、すなわち、請求人により製造販売されたものであると誤認混同するおそれがあることに疑いを容れる余地はない。
(3)結論
以上のとおり、外観、称呼、観念及び取引の実情に鑑みると、本件商標は、引用商標と類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当し、本件商標の登録は無効とされるべきである。

2 答弁に対する弁駁の要旨
(1)外観上の類似性について
被請求人は、引用商標は図形と欧文字から構成されているのに対し、本件商標は欧文字と片仮名文字が2段に併記されている点、欧文字だけを比較した場合でも、引用商標は「R」のテール部分を「A」の文字まで延ばすことにより「BA」の2文字が強調されている点及び本件商標を構成する文字中「HERB」が我が国において広く親しまれた英単語である点を挙げて、両商標は、外観上非類似である旨主張している。
しかしながら、引用商標の図形部分と文字部分とは、その構成態様上からばかりでなく、商取引の実情からみても、分離して認識され得るものである。また、引用商標中の「R」のテールが伸びているという微細な部分に注目して、本件指定商品の主たる需要者が商取引を行うとは到底考えられない。
更に、本件商標を構成する文字中の「HERB」が我が国において広く親しまれた英単語であるのだとすると、この部分は、引用商標にもそのまま存在するのであり、両商標が外観上類似していることの根拠になるものではあるが、非類似であることの根拠にはなり得ない。
(2)観念上の類似性について
被請求人は、本件商標からは「ハーブのある暮らし」という観念が生じるのに対し、引用商標は造語であって特定の意味合いを想起させるものではないので観念非類似である旨主張している。
しかしながら、英語の「HERB」は、「草」という意味を有するラテン語の「HERBA」という語に由来する単語である。このことは、日本ハーブ図鑑や英和辞典、インターネット上の情報等でも多数紹介されている(甲第36号証、甲第38号証、甲第40号証及び甲第41号証)。
また、引用商標は、「HERBALIFE」の文字からなるところ、この「HERBALIFE」の商標は、「HERBAL」と「LIFE」を組み合わせ、重複した「L」を1文字除いて作成された請求人のメインブランドである。しかるに、「HERBAL」とは「HERB」の語尾に「AL」を付加した語であり、英語で「?al」の語尾は、名詞に付けて「?の」の意の形容詞を作る接尾語として日本においても広く一般に知られていることから(甲第42号証)、引用商標においても、「HERBAL」は「ハーブの/草木の」という形容詞的意味を有していることは明らかである(甲第37号証及び甲第39号証)。
更に、図形要素と文字が相俟って特定の意味合い・印象・連想を需要者に与える場合があることは、一般に経験則の知るところであるが、引用商標には、三つの葉(草)を丸い枠で囲った図形要素が存在する。してみると、当該葉の図形によって(若しくは文字部分と図形部分とが相俟って)、引用商標からも「草」あるいは「ハーブ」の意味合い・印象・連想を需要者に与える場合があるとみるのが自然である。
したがって、両商標から観念が生じるとすれば、むしろ、本件商標と引用商標とは観念を同一にする類似の商標である。
(3)称呼上の類似性について
本件商標と引用商標の称呼上の類似性については、請求書において述べたとおりである。被請求人が提出している「ブ」と「バ」の非類似に関する過去の審決例は、いずれも4音以下の音節から構成される称呼の類似性に関する審決であり、本件とは事案を異にするものである。
(4)指定商品の類似性について
(ア)本件商標の指定商品中の「洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり」は、「洗濯用」との文言上、洗濯に用いられる溶剤であることは明らかである。また、「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,染み抜きベンジン」についても、用法として衣類の洗濯の際の一工程としてそれぞれ静電気の帯電防止、油汚れの漂白又はしみ抜きのために用いられる溶剤であり、やはり家庭において洗濯に用いられる溶剤である。
したがって、「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり」と「せっけん類」は類似する。
(イ)本件商標の指定商品中の「つけまつ毛用接着剤」と「つけまつ毛」については、前者は、つけまつ毛を人の目元に装着するのに必ず用いられるもので、つけまつ毛を装着するという行為に共通して用いられる商品である。そして、その際には、安全・衛生等の面から必ずといっていいほど「つけまつ毛用接着剤」が必要となるものであり、「つけまつ毛」と「つけまつ毛用接着剤」とは、セットとして一つの商品として販売されることが多く、商品の需要者・取引者、販売場所において共通する。したがって、「つけまつ毛」と「つけまつ毛用接着剤」は類似する商品である。
また、本件商標の指定商品中の「かつら接着用接着剤」についても、かつらとつけまつ毛は両者とも、材料に人工毛や人毛といった毛を使用するという点で共通するのみならず、人間の頭部に人為的に付けて毛の量や長さを調整するという点でも共通する。つけまつ毛の施術を行う技術者は、「毛」に関連する知識や技術を要することから理容師であったり、また、施術場所が理容室であったりすることが少なくない。したがって、「かつら接着用接着剤」と「つけまつ毛」も商品の主たる取引者・需要者の範囲、取り扱いがなされる場所等において、一般に共通する点が多く、類似する商品である。
(ウ)本件商標の指定商品中の「さび除去剤」と引用商標の指定商品中の「塗料用剥離剤」の類似性について、被請求人は、「さび除去剤」は化学品の一種であって、塗料の一種である「塗料用剥離剤」とは用途が異なる旨主張している。
しかしながら、「塗料用剥離剤」も化学反応を利用して塗料を剥離する溶剤であることから、化学品の一種であることは明らかである。また、そもそも、塗料とは、対象物を保護・美装、又は独自な機能を付与するために、その表面に塗りつける材料であり、「塗料用剥離剤」が対象物を保護・美装する塗料を剥離するために塗布する溶剤である点において、むしろ塗料とは反対の意義を有する。そうだとすると、「塗料用剥離剤」が塗料の一種であるという被請求人の主張は誤りである。したがって、「さび除去剤」と「塗料用剥離剤」とは類似する商品である。
以上より、本件商標と引用商標の指定商品は、全て同一ないし類似性を有するものである。

第4 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べた。
(1)本件商標について
本件商標は、「HERBLIFE」の文字を同書・同大・同間隔で一体的に表わされており、上段の「ハーブライフ」の文字は「HERBLIFE」の称呼を特定するものであり、「ハーブライフ」の称呼を生ずる。
本件商標は、各種の辞書に記載のない造語であり、基本的に特定の意味を有しない造語と判断されるものであるが、本件商標を構成する「HERB/ハーブ」、「LIFE/ライフ」の文字がいずれも日常的に使用される外来語であることを勘案すると「ハーブのある暮らし」等の意味合いを直ちに想起するものということができる。
(2)引用商標について
引用商標は、円枠内に、細長い葉が中央縦向きに1枚、また、中央下部より左側に1枚、さらに中央下部より右側に1枚配置され、その右側に、「HERBALIFE」の欧文字を左横書きし、構成文字中の「R」は、テール部分を、次に続く「B」の文字を越え2文字後ろの「A」のプラケットセリフに届く程度に通常よりも長く表わしたものである。
しかして、引用商標は、全体を纏まり良く表わし、しかも構成文字中の「HERBALIFE」は、英語・フランス語・ドイツ語の辞書には存在していないところから、称呼に際しては、我が国において最も親しまれている英語風の読み方がなされ、「ハーバライフ」の称呼が生じ、全体として特定の意味を有しない造語と判断される。
(3)本件商標と引用商標との比較
(ア)商標の比較
引用商標は、図形と欧文字とから構成されたものであるのに対して、本件商標は、欧文字と片仮名文字が2段に併記されたものであるから、一見して外観の相違は明らかである。
この点、請求人は、欧文字のみを抽出し、両者は「A」の有無に過ぎないと主張しているが、対比の仕方は当を得たものではない。
仮に、欧文字のみを比較したとしても、引用商標は、前記したように、構成中の「R」のテール部分を次に続く「B」の文字を越え2文字後ろの「A」のプラケットセリフに届くように延出させることによって、「BA」の文字を強調するものであるから、外観上、本件商標と引用商標とは、全く相紛れるおそれのないものである。
特に、本件商標を構成する文字中の「HERB」は、我がおいて広く親しまれた英単語である点を考慮すると、取引者・需要者にとって、上記綴りの相違により、視覚的に異なる印象を与えるものということができる。
つぎに、称呼について検討するに、本件商標からは、「ハ一ブライフ」の称呼が生ずるのに対し、引用商標からは、「ハ一バライフ」の称呼が生ずるため、第3音目における「ブ」と「バ」の差異が存在する。
このうち、「ブ」の音は、「フ」の濁音であって、前舌面を下歯の歯茎に僅かに触れる程度に後退させて後舌面を高め、唇をとがらせて口腔の狭い部分から発せられる母音「u」を帯同する音である。
これに対し、「バ」の音は、「ハ」の濁音であって、口を大きく開き舌を低く下げ、その尖端を下歯茎に触れる程度の位置におき、声帯を振動させて発する母音(a)を帯同する音であって、両音は、調音方法が異なるとともに、いずれも強く発音される音であるため、該差異音が両商標の称呼全体に及ぼす影響は大きく、語調・語感が相違し、容易に聴別することができるので、称呼上非類似である。
しかも、本件商標は、観念において「ハーブのある暮らし」等といった特定の意味合いを直ちに想起させるものであるのに対し、引用商標は、造語であって、特定の意味合いが生じないため、観念上の相違もあるので、該差異音が両商標の称呼全体に及ぼす影響は大きく、語調・語感が相違し、容易に聴別することができるものである。
さらに、本件商標に係る指定商品である「せっけん類,香料類,化粧品,つけづめ,つけまつ毛,歯磨き」等の商品の購入者は、その多くが女性であること、品質の良し悪しが問われることなどから、商標については極めて慎重な対処をすることが一般的であるなど取引の実情を考慮すると、請求人の主張は、机上論を述べるのみで、経済社会における生きた商標の判断とは云い得ない。
よって、本件商標は、引用商標とは外観、称呼及び観念のいずれの点においても類似しないものである。
(イ)指定商品の比較
本件商標の指定商品中、「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり」に関しては、家庭において洗濯に用いられることがあるものの、必ず洗濯に用いられるものではなく、「せっけん類」とは用途がそれぞれ異なるため、引用商標の指定商品とは非類似である。
また、本件商標の指定商品中、「かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤」に関しては、「接着剤」の一種であって、引用商標の指定商品中の「つけまつ毛」とどのように関連するか全く述べられていない。
さらに、本件商標の指定商品中の「さび除去剤」については、化学品のうちの一つであって、引用商標の指定商品中の塗料の一種である「塗料用剥離剤」とは用途が異なるため、商品は類似しないものである。
そのため、本件商標の指定商品中、上記商品については、引用商標との比較をするまでもなく、指定商品が類似しないため、商標上非類似である。
(4)請求人の主張に対する全般的な反論
(ア)外観上の類似性について
本件商標と引用商標とは、外観において「A」の差異のみしか存在していないものはではないから、請求人の主張は失当である。なお、請求人は、外観類似の審決例を挙げているが、いずれも何ら特定の意味合いを生じないものであり、発音し難い商標のため、仕方なく外観において類似すると結論付けている特殊な例にすぎない。
本件商標は「ハーブのある暮らし」といった特定の意味合いを直ちに想起させるものであり、このように観念において明らかな差異を有する場合には、時と所を別にして観察したとしても、外観類似と判断されることはない。
(イ)称呼上の類似性について
称呼の類否については、中間音が1音のみ異なっている場合であっても、類似せず登録される例は多数存在している。音質に関し、請求人は、子音が共通することのみ主張しているが、日本語にあっては「子音」と共に「母音」が存在し、母音が異なれば音質も全く異なるものである。また、音節に関しては、本件商標は「ハーブ・ライフ」と発音され、引用商標は「ハーバ・ライフ」と発音されるため、第3音目の「ブ」及び「バ」と、第4音目の「ラ」との間で呼気を止めるところから、一瞬の間があくため、第3音目の「ブ」と「バ」は、双方共に破裂音として強く発音されることとも相俟って、非常に明瞭に発音され聴覚されるものである。
さらに、本件商標から生ずる「ハーブライフ」と引用商標から生ずる「ハーバライフ」の称呼は、「ハーブ」が「香草」という特定の意味合いが生ずるのに対し、「ハーバ」には何ら特定の観念が生じないものであるため、想起させる観念における顕著な相違からも明確に聴別されるものであって、明らかに非類似のものである。
この点については、「ブ」と「バ」に関する過去の審決例で、例えば、「ゆう文/YUBUN」(ユーブン)と「YUBAN」(ユーバン)(昭和53年拒絶第15836号)、「SANBY」(サンバイ)と「SUNV」(サンブイ)(昭和57年拒絶第11858号)、「KIBAN」(キバン)と「KIBUN」(キブン)(昭和59年拒第14821号)などが、いずれも類似しないと判断されていることからも明白である。
(ウ)観念について
本件商標は、商標の構成文字が取引者及び需要者のいずれもが日常的に使用する極めて身近な単語であるため、直ちに「ハーブのある暮らし」等といった生活に余裕があり、ゆったりと楽しみながら過ごす日々という情景が目に浮かぶものである。
これに対し、引用商標は、造語であって、特定の意味合いを想起させることが困難なものである。
そのため、本件商標は、引用商標とは観念上明確に区別することが可能なものであって、類似しないものである。
(エ)取引の実情について
請求人は、引用商標に関し、2005年9月22日の時点において、請求人又は請求人と経済的・組織的に関係を有する者の業務に係る商品を表示するものとして周知著名になっていた旨主張している。
しかしながら、請求人は、「本件商標の指定商品中、特に『カプセル、ガーゼ』のような医療補助品や生理用品のような衛生用品は、・・・」と記載して、請求人の商品「ダイエットなどのための商品」と本件商標の指定商品の関連性を述べているが、本件商標の指定商品には「カプセル、ガーゼ」のような医療補助品や生理用品のような衛生用品は存在しないため、この点においても意味のない主張である。
(5)まとめ
以上述べたように、本件商標は、引用商標とは外観は勿論のこと、称呼及び観念のいずれの点においても非類似の商標であり、しかも、引用商標の取引の実情を考慮したとしても、本件商標は引用商標とは類似せず、登録要件を具備するものである。

第5 当審の判断
請求人は、別掲に掲げる登録商標を引用して、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する旨主張しているので、この点について判断する。
(1)本件商標と引用商標との商標の類否について
(ア)称呼について
本件商標は、前記したとおり、「ハーブライフ」の片仮名文字と「HERBLIFE」の欧文字とを二段に横書きしてなるものであるから、該構成文字に相応して、「ハーブライフ」の称呼を生ずるものと認められる。
他方、引用商標は、別掲に示したとおり、円輪郭の中に植物の葉を描いた図形を表し、その右側に、「HERBALIFE(「R」の文字のテール部分が、「A」のプラケットセリフに届くあたりまで伸ばされている。)」の欧文字を横書きした構成からなるものであるところ、該欧文字部分もそれ自体独立して自他商品識別標識としての機能を果たし得るということができるものである。そして、その構成中の「R」の文字がやゝデザイン化されているとはいえ、容易に「HERBALIFE」の欧文字からなるものと理解されるから、これよりは、「ハーバライフ」の称呼を生ずるものと認められる。
そこで、本件商標から生ずる「ハーブライフ」の称呼と引用商標から生ずる「ハーバライフ」の称呼とを比較するに、この両称呼は、いずれも長音を含めて6音構成からなり、称呼の識別上重要な要素を占める語頭部の「ハー」及び後半部分の「ライフ」の音を同じくし、異なるところは、第3音における「ブ」と「バ」の音のみである。しかも、その異なる「ブ」と「バ」の音にしても、上下の唇を閉じて破裂させる有声子音(b)を共通にする近似する音であり、その位置するところも明瞭に聴取されにくい中間に位置するものであるから、この差異が両称呼全体に及ぼす影響は決して大きいものとはいえず、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、全体の語調・語感が近似したものとなり、彼此聴き誤るおそれがあるものといわなければならない。
この点について、被請求人は、差異音である「ブ」と「バ」の音には、母音の差があり、また、「ハーブ・ライフ」、「ハーバ・ライフ」のように区切って発音されるため、「ブ」と「バ」の音は非常に明瞭に発音され聴覚されるものである旨主張している。
しかしながら、両称呼とも、音の長さの点においては、長音を含めても6音からなるものであって、決して長すぎるという程のものではなく、むしろ、よどみなく一気一連に称呼し得るものであるから、これを殊更、「ハーブ・ライフ」あるいは「ハーバ・ライフ」のように区切って発音されるとみるべき合理的な理由は見出し難く、そうであるとすれば、「ブ」と「バ」の音(母音の差異を含めて)が特に明瞭に発音され聴取されるものともいい難いものである。
(イ)外観について
次に、両商標の外観を比較するに、前記したとおり、本件商標は、「ハーブライフ」の片仮名文字と「HERBLIFE」の欧文字とを二段に横書きしてなるのに対して、引用商標は、図形と「HERBALIFE」の欧文字からなるものである。しかして、本件商標における片仮名文字部分は、欧文字部分の自然な読みを併記したにすぎないものとも理解されるから、常にこれらを不可分一体のものとして把握されるものとはいい難く、欧文字部分も看者の注目を集め、欧文字部分のみを捉えて取引に供される場合も決して少なくないものとみるのが相当であり、引用商標についても、欧文字部分のみを捉えて取引に供される場合も決して少なくないものとみるのが相当である。
そうとすれば、本件商標の欧文字部分と引用商標の欧文字部分とは、それぞれ8文字と9文字からなるものであって全体としてやゝ長めの構成からなるものであり、両者における差異である「A」の文字の有無も看者の視覚的注意力が比較的届きにくい中間の位置にあることから、この違いによる印象の差は決して大きいものとはいえず、時と所を異にして離隔的に観察するときには、取引者・需要者をして誤認混同を生ぜしめるおそれがあるから、両商標は、該欧文字部分の外観において、類似する商標といわなければならない。
被請求人は、引用商標に関して、その構成中の「R」のテール部分を「A」の文字まで延ばすことにより、「BA」の2文字が強調されている旨主張しているが、「R」の文字のテール部分がやゝ伸びていることは認められるとしても、そのことによって、格別「BA」の2文字が強調されているものとはいい難いから、この点についての被請求人の主張も採用できない。
(ウ)観念について
更に、両商標の観念を比較するに、本件商標は、全体として特定の語義を有する成語ではないとしても、容易に「ハーブ/HERB」と「ライフ/LIFE」の単語を結合したと理解されるものであるから、被請求人も述べているように、これよりは「ハーブのある暮らし」程の意味合いを理解・認識し得るものということができる。
他方、引用商標の欧文字についても、全体として特定の語義を有する成語ではないが、その構成中の「HERBA」の語については、請求人の提出に係る社団法人家の光協会発行の「日本ハーブ図鑑(2002年4月27日第3版)」(甲第36号証)によれば、「一般に、香りのある植物や薬草などをさしてハーブ(herb)と呼びますが、その語源は『やわらかな葉や茎の草』を意味するラテン語のherba(ヘルバ)に由来します」と記載されている。そして、同様のことは、「英辞郎 on the WEB」(甲第38号証)、「BOTANICALS Herb Communications ハーブを知る」と題するウェブページ(甲第40号証)及び「ハーブのホームページ」と題するウェブページ(甲第41号証)にも記載されている。
このような語源的な観点からみれば、引用商標の欧文字も「ハーブのある暮らし」程の意味合いを有しているものということができるが、そのような専門的な知識がなかったとしても、「HERBAL」の語は、「HERB」の語尾に「?の」の意の形容詞を作る接尾語である「al」を付加した語であって、「草木の/ハーブの」という形容詞的意味を有している語であり(甲第37号証)、請求人の主張によれば、引用商標は、この「HERBAL」の単語と「LIFE」の単語とを組み合わせ、重複した「L」を1文字除いて作成された請求人のメインブランドとのことであり、この観点からみても、引用商標からは「ハーブのある暮らし」程の意味合いを想起し得るものということができる。
してみれば、本件商標と引用商標とは、観念において類似するものとまではいえないとしても、少なくとも、その意味合いの関連性を想起させ得る点において、需要者に与える印象・連想等を共通にするところがあるものというべきである。
(エ)引用商標等の使用状況について
請求人の提出に係る甲第9号証の1ないし甲第34号証(請求人のホームページ、各種新聞・雑誌における広告、パンフレット・会社広報、会員向け広報誌、世界各国における商標登録状況、各種新聞・雑誌における紹介記事等)によれば、請求人は、1980年に米国において設立され、それ以来現在に至るまでダイエットフードや栄養補助食品(サプリメント)、化粧品等のパーソナル・ケア商品を中心に幅広い商品を取り扱い、「HERBALIFE」の商標を2003年時点で世界67カ国において種々の分類について登録しており、また、本件審判請求時には、我が国におけるハーバーライフ・オブ・ジャパン株式会社を含めて世界64力国で現地法人を有して事業を展開していることを認めることができる。そして、我が国の新聞・雑誌においても、請求人の事業や製品の紹介記事が数多く掲載されており、また、引用商標や「ハーバライフ」の商標を表示した各種商品について、盛んに宣伝・広告が行われていた事実を認めることができる。
そうとすれば、請求人の使用に係る「HERBALIFE」等の商標は、ダイエットフード、栄養補助食品(サプリメント)や化粧品等の商品について使用され、本件商標の登録出願時までには、少なくとも一定程度の周知性を獲得していたものと認めることができる。そして、本件商標の指定商品中には、請求人の業務に係る商品中の「スキン・ケア商品、ヘア・ケア商品、フレグランス」等の化粧品も含まれており、互いに紛らわしい関係にある商品を含むものということができる。
(オ)小括
以上のとおり、本件商標と引用商標とは、称呼及び外観において類似する商標であり、観念についてもその印象・連想等を共通にするところのある相紛らわしい商標であって、これに請求人の使用に係る「HERBALIFE」商標の周知性をも勘案すれば、本件商標と引用商標とは、互いに出所の混同のおそれのある類似の商標といわなければならない。

(2)本件商標と引用商標における商品の類否について
(ア)本件商標と引用商標の指定商品は、前記したとおりのものであるところ、以下の各商品は、互いに同一又は類似の関係にある商品と認められるものである。
(a)本件商標の指定商品中の「植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料」と引用商標の指定商品中の「香料類」とは、前者は中概念の表示であり、後者は、該中概念の商品と薫料とを含む大概念の表示であるという差異にすぎず、いずれも香料類を指定商品とするものであるから、互いに同一又は類似する商品ということができる。
(b)本件商標の指定商品中の「薫料」は、上記した引用商標の指定商品中の「香料類」という大概念の中に含まれている商品であるから、互いに同一又は類似する商品ということができる。
(c)本件商標の指定商品中の「塗料用剥離剤,靴クリーム,靴墨,つや出し剤,せっけん類,歯磨き,化粧品,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,つけづめ,つけまつ毛」については、引用商標の指定商品においても同じ商品が指定されている。
(d)そうとすれば、本件商標と引用商標における上記各商品は、互いに同一又は類似する商品と認められるものであり、この点について、両当事者は特に争ってはいない。
してみれば、前記したとおり、本件商標と引用商標とは、商標において類似するものであるから、本件商標は、その指定商品中の上記商品について、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものといわなければならない。
(イ)次に、請求人は、本件商標の指定商品中の「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり」は引用商標の指定商品中の「せっけん類」と類似し、「かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤」は引用商標の指定商品中の「つけまつ毛」と類似し、「さび除去剤」は引用商標の指定商品中の「塗料用剥離剤」と類似する商品である旨主張しているので、それぞれの商品の類否について判断する。
(a)「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり」と「せっけん類」との類否について
請求人は、上記各商品について、いずれも家庭において洗濯に用いられる溶剤である点で共通し、商品類似の関係にある旨主張している。
確かに、「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤」も「せっけん類」も、広義においては化学的製品(界面活性剤)にして、洗濯にも用いられる場合があることを一概には否定できない。しかしながら、「せっけん類」は、類似商品・役務審査基準(改訂第8版)の該概念の項に例示されているように「髪洗い粉,クレンザー,化粧せっけん,工業用せっけん,シャンプー」等々の如く、専ら「洗浄作用」を目的とした化学的製品であって、その「洗浄作用」に着目して「せっけん類」という概念のもとに一つの類似群として構成されているものであり、洗浄作用を有しない「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤」といった化学的製品とは、それら商品が本来的に持っている用途において明らかな差異を有するものというべきである。
そうとすれば、洗濯において用いられるという使用の一側面における共通性のみを捉えて、「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤」と「せっけん類」とを類似の商品とみることはできない。
また、「洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり」と「せっけん類」との関係についても、「洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり」は、その商品の接着性に特色がある化学的製品であり、洗浄作用を目的とした化学的製品である「せっけん類」とは、商品の用途において明らかな差異を有するものであるから、洗濯において用いられるという使用の一側面における共通性のみを捉えて、「洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり」と「せっけん類」とを類似の商品とみることはできない。
(b)「かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤」と引用商標の指定商品中の「つけまつ毛」との類否について
請求人は、上記各商品について、いずれも人工毛に関連する商品であって、つけまつ毛を装着するという行為に共通して用いられる商品であり、また、「かつら接着用接着剤」と「つけまつ毛」も商品の主たる取引者・需要者の範囲、取り扱いがなされる場所等において共通する点が多く、類似する商品である旨主張している。
しかしながら、「かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤」は、上記した「洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり」と同様、その商品の接着性に特色がある化学的製品であり、「化粧用具」の範疇に属する商品である「つけまつ毛」とは、商品の原材料をはじめ生産者等の点においても明らかな差異のある別異の商品というべきものである。
そうとすれば、「人工毛に関連する商品」という使用の一側面における共通性のみを捉えて、「かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤」と「つけまつ毛」とを類似の商品とみることはできない。
(c)「さび除去剤」と引用商標の指定商品中の「塗料用剥離剤」との類否について
請求人は、上記各商品について、いずれも建物や家具等の付着物を取り除く薬剤という点で類似するものであり、また、塗料は対象物を保護・美装するために、その表面に塗りつける材料であるのに対して、「塗料用剥離剤」は、塗料とは反対の意義を有するものであるから、「塗料用剥離剤」が塗料の一種であるという被請求人の主張は誤りである旨主張している。
しかしながら、「さび除去剤」も「塗料用剥離剤」も化学品ではあるが、「さび除去剤」は、鉄、銅等のさびを溶解するための化学品であるのに対して、「塗料用剥離剤」は、ペイント、エナメル、ラッカー、ワニス等の古塗膜を剥がすのに用いられる溶剤であり、一見、塗料とは反対の役割を果たすものではあるが、塗料を希釈するために用いられる溶剤(塗料用シンナー)等とともに、塗料とは密接不可分な関係にあることから、「塗料」の概念に属する商品として分類されているものである。
そうとすれば、これらの各商品は、商品の用途、需要者等において明らかな差異を有するものであるから、「建物や家具等の付着物を取り除く」という使用の一側面における共通性のみを捉えて、「さび除去剤」と「塗料用剥離剤」とを類似の商品とみることはできない。
(d)してみれば、本件商標の指定商品中の「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり」と引用商標の指定商品中の「せっけん類」、「かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤」と引用商標の指定商品中の「つけまつ毛」及び「さび除去剤」と引用商標の指定商品中の「塗料用剥離剤」とは、いずれも互いに類似する商品とは認められないものである。
したがって、前記したとおり、本件商標と引用商標とは、商標において類似するものではあるが、本件商標は、その指定商品中の上記商品については、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものということはできない。

(3)まとめ
以上のとおり、本件商標は、その指定商品中の「植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料,薫料,塗料用剥離剤,靴クリーム,靴墨,つや出し剤,せっけん類,歯磨き,化粧品,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,つけづめ,つけまつ毛」について、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものというべきであるから、当該商品についての登録は、商標法第46条第1項の規定により無効とすべきものである。
しかしながら、本件商標の指定商品中の上記商品以外の商品である「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり」については、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではないから、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲


引用商標


(色彩については、原本参照)



審理終結日 2008-03-28 
結審通知日 2008-04-03 
審決日 2008-04-16 
出願番号 商願2004-108980(T2004-108980) 
審決分類 T 1 11・ 26- ZC (Y03)
最終処分 一部成立  
前審関与審査官 小林 正和 
特許庁審判長 山口 烈
特許庁審判官 井岡 賢一
寺光 幸子
登録日 2005-09-22 
登録番号 商標登録第4895977号(T4895977) 
商標の称呼 ハーブライフ、ライフ 
代理人 齋藤 理絵 
代理人 幸田 全弘 
代理人 城山 康文 
代理人 森 智香子 
代理人 岩瀬 吉和 

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